U.S. Air Force photo by Airmen Alysa Knott
リチャード海軍大将が中国との「大抗争が来る」、 米国の抑止力について「船はゆっくり沈む」と発言。
中国との大規模衝突が「そこまで来ている」と、米戦略軍司令官が警告した。
ロシアのウクライナ戦争は、米国にとって中国との長期紛争への「ウォームアップ」だと、戦略軍司令官は示唆している。
チャールズ・A・リチャード海軍大将Admiral Charles A. Richardは、米国は近い将来に発生する中国との長期紛争を予期し、それに備えるべきだと警告している。中国軍による台湾への追加敵対行動で引き起こされる可能性がある。米国防総省の統合戦闘司令部11個の一つ米戦略司令部は、米国の核三本柱を担う。
発言は、11月3日に開催されたNaval Submarine Leagueの2022 Annual Symposium & Industry Update's Awards Luncheonでリチャード大将が公に行ったもので、その後国防総省が公表した。
リチャード大将は、ウクライナ戦争は、中国と米国の「非常に長い」紛争の前哨戦で、米国の通常兵器および核抑止力の水準が徐々に低下していると強調した。
2020年9月21日、ルイジアナ州バークスデール空軍基地を訪問したリチャード米戦略軍司令官チャールズ・A・リチャード大将にB-52Hストラトフォートレスを披露するティモシー・M・レイ空軍グローバルストライクコマンド司令官。 (U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Jacob B. Wrightsman)
「ウクライナ危機はウォームアップに過ぎない」とリチャード大将は言う。「大きなもの(=中国との衝突)がやってくる。長い間試されてこなかった方法で試されるのは、そう先のことではないだろう」。
中国との紛争に備えるため、米国の防衛戦略や抑止力を早急に見直す必要があるとリチャード大将は主張し、これは2月に始まったロシアのウクライナへの全面侵攻と次元が異なるの紛争になるだろうと述べた。
「米国の防衛方法を、急速かつ根本的に変えていかなければならない」と述べた。
リチャード大将は、中国を軍事的に抑止するアメリカの能力については、全体として暗い評価を下した。
「中国に対する抑止力レベルを評価すると、船はゆっくりと沈んでいる。ゆっくりだが、基本的に彼ら(中国)はこちらより早く戦場に戦力を投入しているのだから、沈んでいるのだ。このままカーブが続くと、こちらの作戦計画がいかに優れているか、指揮官がいかに優れているか、馬がいかに優れているかと関係なく、十分な数の馬を確保すできなくなる。非常に近い将来の問題だ」。
中国は過去数年間、海軍への大規模投資、新しい高性能ドローン構想、戦闘機の近代化、あらゆる種類の新しいミサイルなど、ハイエンド軍事技術や装備を急速に導入・投資してきた。この10年間で、事実上、軍のあらゆる面で大幅見直しが行われた。米国の国防当局は、中国の兵器と技術開発の加速が地域の安定と米国にもたらす脅威の警告を発してきた。このため、中国は特定の分野で米国を上回ることはないにしても、同等に近づいてきている。さらに、中国との大規模紛争が発生した場合、米軍にはロジスティクスの面で作戦上の大きな課題が顕在化するだろう。
中国で3隻目の空母「003型福建」が進水した。この空母は、発艦にスキージャンプではなくカタパルトを採用し、ソ連時代の設計を基にした従来艦よりはるかに大型化し、能力も大幅向上している。
リチャード米戦略軍総司令官が特に懸念するのは、中国への核抑止力の効果であり、中国による台湾全面侵攻を阻止する役割だ。ロシアや北朝鮮の新たな核の脅威は、「核の威圧がどのようなものか、それにどう立ち向かうべきか、どう立ち向かってはいけないかを鮮明に示している」と主張する。
リチャード大将の評価は、米国は自国の核抑止力を強化するだけでなく、敵対国が将来の紛争で核兵器を使用する脅威を与え続ける事態に備える必要を示唆している。例えば、ロシア軍指導者がウクライナで戦術核兵器使用を検討した証拠が米政府を警戒させ、核兵器使用に関するクレムリンのレトリックが誇張以上のものである可能性を示している。また、北朝鮮が新たな核実験を行うとの懸念が米政府関係者に高まっている。さらに、米国の公式報告によると、中国の核弾道ミサイルは規模を拡大している。
また、中国とロシアが、部分軌道極超音速能力や核搭載長距離魚雷など、従来の抑止の定義を変える新しい戦略兵器を開発している可能性でも懸念が持たれている。
核抑止力を超えて、競合相手と歩調を合わせて近代化を進めるためには、米軍は新技術や能力を迅速に開発し、実用化する必要があるとリチャード大将は述べている。
「コロンビア級やB-21、LRSOを予定通りに導入できない事態を緩和するという話ではなく、かつての質問、つまり何が必要なのか、という話に戻らなければならない。それはお金ですか?人でしょうか?当局が必要なのか?どんなリスクがあるのか?そうやって1969年までに月へ到達した。その一部でも取り戻す必要があります。さもなければ、中国は私たちを追い抜こうとしており、ロシアはどこにも動かないままだ」。
オハイオ級SSBNが耐用年数を迎える中、コロンビア級SSBNの調達は、米国の核抑止力にとって絶対的な最優先事項である。 (U.S. Navy illustration/Released)
調達のスピードアップのために、過去から学ぶことも解決策のひとつになり得ると、リチャード大将は指摘する。例えば、1960年に導入された巡航ミサイル「AGM-28ハウンド・ドッグ」の例だ。
1950年代後半、ソ連の統合防空システムでB-52が効果がなくなるまで来ていることを知った空軍は、ほとんどナプキンに書いたような要求から、「巡航ミサイル」が必要だと考えた。さらに、スタンドオフ兵器を想定した。
水中戦力など、軍事的に米国が中国に優位性を保っている分野もある。しかし、ここでも調達の遅れやメンテナンスの問題が、両国の差を縮める長期的な問題となる可能性がある。
2020年3月5日、ミズーリ州ホワイトマン空軍基地で慣熟飛行を終え、B-2スピリットステルス爆撃機から離れる米戦略軍司令官チャールズ・リチャード米海軍大将 (U.S. Air Force Photo by Airman 1st Class Thomas Johns)
リチャード大将は、米国の海中戦力は「まだ..唯一の真の非対称的優位性」かもしれないが、「整備問題を解決し、新規建設を進めるという意味で、ペースを上げなければ...戦略的抑止力と国防の維持に良い状態に置くことはできないだろう」と認めている。
リチャード大将発言は、中国の軍事力の増大がもたらす脅威に関して、米国高官から聞いた中で最も深刻なものであることは間違いない。前任者から聞いたが、米国は中国への競争力を失いつつある中で、戦争が起こると宣言していることは、驚くべきことだ。確かに、こうした発言の背景には、投資や予算上の動機が常にあり得るが、今回はそれが主な原動力だとする明白な兆候はない。同大将の発言は驚くほど率直なものに見えたが、誰もが自分の基準でそれを判断することができる。
提督の言葉は、戦略的な勢いが中国に有利な方向に変化し続け、しかも加速度的に進行していることを示すもう一つの指標といえよう。■
Extremely Ominous Warning About China From US Strategic Command Chief
BYOLIVER PARKEN, TYLER ROGOWAY|PUBLISHED NOV 6, 2022 4:23 PM
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