米空軍は11月1日から今後2年間で、嘉手納基地に配備中のF-15C/Dイーグル48機を本国帰還させる。代替機は未定だが、インド太平洋の「尖兵」としての即戦力を維持するため、それまでの間、他機種の戦闘機も同基地に配備される。
嘉手納は沖縄本島に位置し、台湾から約450マイル離れた空軍の最も近い陸上拠点である。嘉手納には、戦闘機のほか、タンカー、機動部隊、特殊作戦、情報・監視・偵察のプラットフォームがある。
F-15C/D型は1979年に導入され、ほとんどの機体が平均40年近く経過している。2000年代半ばからF-22に全面的に置き換わる予定だったが、2010年にボブ・ゲイツ国防長官(当時)によってF-22の生産ラインが予定の半分以下の生産数で終了した。以来、空軍は老朽化したF-15C/Dの維持に苦心し、同型機の構造的な疲弊に伴ってG負荷や速度制限を課してきた。
同基地のF-15C/Dは、現役部隊が運用する最後の機体で残りは空軍州兵が運用されている。
嘉手納基地首脳部は、F-15の退役を2年間の「段階的撤退」とし、基地での「安定した存在感」を維持するため、「より新しく、より高度な航空機」で一時的に補填すると発表した。より高度な航空機とは、F-22ラプター、F-35ライトニングII、新型のF-15EXイーグルIIだけで、後者はまだフル生産に至っていない。
空軍関係者によると、アラスカ州のエルメンドルフ・リチャードソン共用基地からF-22が、F-15を補うため嘉手納に最初に配備されるが、こうした配備は通常詳しく発表されないものだ。
永続的な選択がなされるまでは、国防総省は「グローバル・フォース・マネジメント・プロセス」を使い、地域の抑止力を維持し、日本への条約上の義務を果たす能力の強化として後方支援を提供すると、嘉手納指導部は述べている。国防総省はそれらの選択肢に海軍や海兵隊の航空機が含まれるかは明らかにしなかったが、グローバル・フォース・マネジメント・プロセスは、必ずしも能力を提供する軍隊ではなく、戦域指揮官の必要性に基づいて部隊を割り当てる。
日本の安全保障に対する米軍のコミットメントは「鉄壁」であると、嘉手納の声明は述べている。インド太平洋地域における米軍能力を近代化し、米国の態勢を強化することは、「依然として最優先事項である」と同基地の声明は付け加えている。
ケネス・ウィルスバック太平洋空軍司令官は、AFAのミッチェル航空宇宙研究所の3月のストリーミングイベントで、空軍はF-15EXを嘉手納に導入することを検討していると述べた。
「もし幸運にもF-15EXの後継機が手に入れば、制空権と、F-15EXで可能な長距離兵器に使用する」とウィルスバック大将は語った。F-15C/Dがほぼ空対空戦闘機であるのとは異なり、F-15EXはF-15Eをベースに射程と対地攻撃兵器搭載能力をすべて保持している。また、ステルス性の高いAGM-158 Joint Air-to-Surface Standoff Missileを搭載でき、重要な戦力増強になると指摘した。
ウィルスバック大将は、今後の予算で「その一部を見ることができるだろう」と述べた。
F-15A/B型は1979年に嘉手納に到着し、その後F-15C/D型に更新され、実戦配備が行われている。嘉手納の第44飛行隊と第67飛行隊は、2007年から2010年にかけてアクティブ電子走査アレイ(AESA)レーダーのAN/APG-63(V)3を装備した最初のイーグルで、2020年にはイーグルに対応した最初の赤外線捜索・追跡システムであるロッキードマーチン「レジオンポッド」の運用を開始する予定である。
ミッチェル研究所所長デビッド・A・デプトゥーラ退役中将は、嘉手納のニュースは 「30年以上にわたる空軍の一貫した資金不足」を浮き彫りにしていると述べた。老朽化したF-15の後継機をすぐに用意できないのは、「過去30年間にわたる大統領、議会、国防総省の指導者の決定」の「怠慢と近視眼」を示すものという。近年、新システム開発の費用を捻出するために、空軍は「後継機のない兵力構成を削減」せざるを得ないという。従って、退役による空白は 「驚きではない 」はずだ。
デプトゥーラは論説の草稿で、空軍は各戦闘司令部が課す要求や任務に対しサイズが合っていないと一貫して警告しており、2018年調査では、「国家防衛戦略のニーズに約25%の能力が不足している」と指摘した。
空軍の言うローテーション配備に欠点がある、というのがデプトゥーラの説明だ。
「パイロットの確保が深刻な問題になっているのに、航空機や整備員、派遣された航空機搭乗員、さらにその家族にストレスを与えることになる。また、戦闘機に対する需要が非常に高いときに、『他の戦闘司令部から戦闘機を奪う』ことになる」というのだ。前方展開可能なF-22は現在、ロシアを抑止するためヨーロッパに配備されている、と彼は付け加えた。
嘉手納の現役パイロットが通常の配備期間を超えて現地滞在を迫られればキャリア上のリスクもあると指摘した。
F-22かF-35のどちらかがF-15に交代すべきだが、F-22は機数が十分でなく、F-35も必要な数が生産されていないとデプテューラは指摘した。一方、有人戦闘機を補完する無人システムである協働戦闘機などの「コンセプト機」の登場は、10年先の話だという。
「戦闘機部隊の減少を逆転させるために、戦闘機を今すぐ購入する必要があるということです。機材を増強しなければ、抑止力に依存する新しい国家防衛戦略を実行するための能力と容量が不十分となる」。戦力構成の増強がなければ、抑止力は「願望に過ぎず、現実ではない」のである。■
Kadena-Based F-15C/Ds Start Retiring; F-15EX Likely Replacement | Air & Space Forces Magazine
Oct. 31, 2022 | By John A. Tirpak
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