スキップしてメイン コンテンツに移動

ウクライナに冬がやってきた。ウクライナ戦の最新状況現地時間11月19日現在

 


Via Twitter


今週の降雪で、交戦両側にとり残酷になりかねないウクライナの冬が初めて姿を見せた

 

クライナに冬が到来した。夏の青々とした草原は消え去り、秋の黄金色の野原は急速に色あせ、戦車の跡や新しいクレーターが雪の白さに埋もれようとしている。

ウクライナのT-64BV戦車2両が移動する映像で、気温がさらに下がるとどうなるか見当をつけることができる。薄暗い曇り空の下、雪に覆われた2台の大型戦車が転がっていく。雪に覆われた地形は美しいが、そこで戦う人々には容赦がない。

米国がウクライナに寄贈した旧アフガン空軍のMi-17の1機と、オランダから寄贈のYPR-765 APCも霜に覆われて登場した。雪は、戦争初期のハルキウ郊外でのロシア人犠牲者の冷厳なイメージを想起させる。

前線から離れたウクライナ各地では、さらなる試練をもたらす。ウクライナの大手エナジー会社DTEKの代表Maksym Tymchenkoは、すでに生命維持装置の頼りの電力供給に過度の負担をかけないよう、国民は冬が来る前に国外に出る準備をすべきだとまで述べている。

解放されたばかりのケルソンも同様で、電力や水といった基本的なインフラの多くが、戦闘や焦土作戦でダメージを受けたままだ。

最新情報

サンクトペテルブルグ郊外でガスパイプラインが大爆発

土曜日の朝、ロシアのサンクトペテルブルク郊外のレニングラード州で、天然ガスのパイプラインと思われる大きな爆発が発生した。

爆発の原因は不明で、死傷者は報告されていない。産業事故は起こるものだが、ロシアがウクライナのエナジーインフラを攻撃し続け、今秋に発生したNordStreamパイプラインの破壊工作が疑われる状況を考えれば、注視しておく必要がある。

スナク英首相がキーウ訪問

リシ・スナク英国首相は、土曜日雪が降るキーウでヴォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談した。

BBC報道によると、2人は、イラン無人機の脅威が続く中、それに対抗するため125門の対空砲、レーダー、電子戦システムなど英国の新援助パッケージを協議したという。また両名はキーウで鹵獲・破壊されたロシア装備品の展示場を訪れ、スナク首相はウクライナの爆弾探知犬ジャックラッセルテリアと対面した。

スナック首相は、ボリス・ジョンソン元首相が首都に続き、ウクライナ首都を訪問した2人目となった。また、ゼレンスキー大統領は、ロシアが正式に戦争終結の交渉を求めていないことを確認した上で、今回の訪問を受け入れた。

ケルソンで地雷撤去続く

ケルソン地方からは、ウクライナ兵が対戦車地雷を間近で除去している映像が入っている。戦車攻撃用の地雷を爆発させる前に、兵士が爆薬を装備している。

ウクライナのM1224 MaxxPro地雷除去待ち伏せ防護車(MRAP)の残骸が示すように、この作業は危険だ。エンジンと前車軸の前部はすべて吹き飛ばされたが、乗員室は設計通りほぼ無傷で残った。

ケルソン駅に初列車到着

2月24日のロシア軍の攻撃以来初めて、ウクライナ列車がケルソン駅に到着し、多くの群衆が装飾された車両を歓迎した。キーウ地下鉄をはじめ、機材を運ぶ東西の重要路線であるウクライナ鉄道は、ロシアの猛攻にもかかわらず、驚くほどの回復力を示している。

黒海に関しては、キンバーン湾の狭い砂州をウクライナが攻撃したとの噂があったが、土曜日に被害の写真が公開され、一部は真実であることが判明した。水陸両用車による上陸作戦の報告は根拠がないが、半島の建物を誰かが砲撃したのは事実のようだ。

ケルソンを奪還したウクライナは、クリミア含む残りの占領地の解放を約束し、いつ、どこで次の行動を起こすのかと、世界は考えている。ウクライナのハブリロフ国防副大臣は、2022年末までにクリミアを奪還できると主張したが、その後、ウクライナ政府はこの楽観的な主張を撤回した。

クリミア橋復旧作業続く

損傷したクリミア橋の工事は続いており、作業員がプレハブの橋脚を所定位置に取り付けているのが見受けられる。10月8日の攻撃で橋が破壊され、半島とロシアを結ぶ重要な橋の通行は制限されたままだ。

前線上空では、ウクライナのMiG-29フルクラムとされる機体がAGM-88 HARMを発射する映像が公開された。このミサイルは発射後、ロフト状に飛行し射程距離を伸ばし、レーダーを探知して照準を合わせる能力がある。ウクライナがフルクラムのHARM能力を急速に向上させている。

マイクロドローンなど西側提供の装備品

身近なところでは、ウクライナのマイクロドローン「ブラック・ホーネット」の写真もある。ウクライナは、イギリスとノルウェー経由で、この小型監視ドローンを何機か装備している。

冬の戦闘に備える

ウクライナ軍は、前線近くの驚くほど住みやすい掘っ立て小屋の兵舎の動画をツイートした。兵士が自主的に建てたとされるこの兵舎には、照明、2段ベッド、無線LANルーターが完備されている。凍てつく悪夢の中での戦いには、このような居心地の良い、暖かい寝床に大きな価値があるはずだ。

バフムト町の近くにも、寒さが厳しく中で、戦況を思い起こさせるものがある。ロシア軍戦死者がクレーター内に散乱している。モスクワはこの地域のウクライナ戦線に攻撃を続けている。

R・スチュワートも「参戦」

ロックンロールの殿堂入りしたロッド・スチュワートは今週、青と黄色を身にまとい、ウクライナへの賛辞を込め英国ツアーを開始した。■

 

Ukraine Situation Report: The Winter War Has Arrived | The Drive

BYSTETSON PAYNE|PUBLISHED NOV 19, 2022 4:01 PM

THE WAR ZONE

 


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...