Baykar
ステルス機能と高速性を備えるKizilelmaドローンは、ウクライナ戦で有名になったTB2より先進的な提案だ
トルコのバイラクタルBaykarは、同国初の無人戦闘機とされるrキジレルマ Kizilelmaドローンの地上テストを開始した。北西部テキルダグ県にあるアキンチ飛行訓練・試験センターでの試験には、初飛行に先立つタクシー走行などの画像が添付されており、ユニークな同機をよく見ることができる。様々な戦闘任務を目的としているようで、空母運用も想定してるようだ。
トルコ語で赤いリンゴを意味する「キジレルマ」は、アゼルバイジャンやウクライナで活躍した「バイラクターTB2」や、大型の「バイラクター・アキンチ」を手掛けるバイカールが開発した。しかし、キジレルマは、超音速(少なくとも後期型)、低視認性、有人戦闘機で行われる空戦任務のために設計されたとし、全く異なる提案だ。
ウクライナで設計されたイフチェンコ・プログレスのターボファンエンジンを1基搭載したキジレルマは、中国の有人戦闘機J-20や謎の無人機ダークソードなど、他の低視認性戦闘機の設計で見られるのと同じカナード・デルタ構成になっている。カナードの使用は、低観測性と操縦性のトレードオフになるが、レーダー信号への影響を制限するために対策を講じることができる。尾翼はカント付き垂直安定板で構成されている。
Kizilelmaドローンの特徴を示すインフォグラフィック。. Baykar
技術要件によると、キジレルマは、5〜6時間の耐久性、戦闘半径500海里、35,000フィートの運用高度限界を持つとある。最大離陸重量は13,228ポンドで、ペイロードは3,306ポンド。この積載量には、ステルス性をさらに維持するために、内部兵装庫に搭載される使い捨て装備が含まれる。武器は、トルコ産業界が開発した空対地精密弾薬や空対空ミサイルなど、各種が搭載されるようだ。
キジレルマの試作1号機以下の初期型は、アフターバーナーなしののイフチェンコ・プログレスAI-25TLTターボファンを搭載する予定だが、後期型はこれをイフチェンコ・プログレスAI-322Fに変更し、超音速性能を確保する予定だ。
アフターバーナーを欠くエンジンでも、キジレルマはドローンとしては素晴らしい性能を発揮し、最高速度はマッハ1に近いと思われる。最終的にはAI-322Fを2基搭載した双発機とし、さらに性能を欠く向上させる計画もある。初期状態ではエンジン排気は明らかに非ステルスだが、ロシアがオホトニクで行っているように、この部分を改良することで低視認性を向上させることが可能だ。しかし、この機体は、胴体のラインなど、一定の角度から見たレーダー断面積を減らす工夫が施されているが、明らかに、低観測性より高性能を重視しているようだ。これは、MQ-28 Ghost Batのような例外を除けば、UCAVで一般的に見られるものではない。
キジレルマの機体後部から搭載するAI-25TLTエンジンが見える. Baykar
タクシー試験中のキジレルマ。 Baykar
キジレルマ開発が始まったのは2013年と古いが、プロジェクトが一般に明らかになったのは、2021年7月にコンセプトスタディが発表された際だった。初飛行は来年に予定されている。目標は、現在プロトタイプが地上試験中であることから、達成可能であると思われる。
トルコのHurriyet紙によると、未確認ながら、タクシーテストと地上走行は終了しているという。Baykarの最高技術責任者であるSelcuk Bayraktarは、自身のTwitterアカウントに投稿した動画で、最初の離陸ロールテストは低速で行う予定だったが「その限界を超えた」とし、「最初の自律タクシーと離陸ロールテスト」を無事達成したと述べている。これは、Hurriyet記事が間違っており、さらなる地上テストが計画されていることを示唆しているように思われる。
Hurriyetはまた、最初の「エンジン統合試験」が2カ月前に完了したと報告している。これはおそらく、取り付けられたエンジンが地上で初めてパワーアップしたことを指しているのだろう。
8月にサムスンで開催されたトルコの航空宇宙技術イベント「Teknofest」で、ベイカルのゼネラルマネージャー、ハルク・ベイラクターはキジレルマについて、「コストは高くならないだろう、より低コストで多くを生産できるだろう」 と述べている。
もしそうなら、Baykarは、米国製品を購入できない顧客や、この種のハイエンド戦闘UAVの輸出ライセンスを確保できない顧客向けに手の届く価格の戦闘UAVを市場に送り出すかもしれない。現在、この種の無人機のテストを進めている国は、中国を筆頭に、オーストラリアなどごくわずかだ。キジレルマが特定のシナリオに限ってでも全体的なコストが低いかは不明だが、その可能性は確かにありそうだ。
キジルマのもう一つの重要な点は、短距離離着陸能力で、船首に「スキージャンプ」離陸路を持つトルコ海軍の揚陸攻撃艦「アナドル」のような小型空母からの運用が可能になると言われている。
TCG Anadolu (L-400) under construction at the Sedef Shipyard in Istanbul in September 2022. tolgaozbekcom/Wikimedia Commons
トルコ軍はアナドルからBayraktar TB2ドローンを運用したいと考えていたが、大型で重い新型ドローンを会場運用するためには、艦とキジレルマにどの程度改造が必要になるかは不明である。
確かに、地上試験で見られたキジレルマのプロトタイプの着陸装置は、甲板発進と回収の厳しさに対処するには、あまりにも軽量すぎるように思われる。基本的な形状のキジレルマが、カタパルトの補助なしにスキージャンプで発進できる推力を持てるかは、まだ不明だ。Baykarの関係者は以前、アナドルには無人機回収用のアレスターケーブルが装備されると述べている。
BaykarのCEOHaluk Bayraktarは、2021年にDefense Newsに対して、「UAVで空母離着陸能力を実現するには、非常に高いGショックを受けるため、構造を強化しなければなりません」と述べている。「当社は1年以内にLHDアナドルへの着艦発艦が可能な新しいUCAVを開発することを目指しています」と付け加え、おそらくキジレルマを参照して、またはTB2をさらに発展させたものである可能性がある。
全体として、キジレルマは高速戦術UCAVを設計するための興味深いアプローチだ。低シグネチャ(低観測性ではない)設計の典型的な特徴と、高性能を保証する機体とパワープラントを組み合わせているようだ。将来のバージョンでは超音速飛行が可能になるため、さまざまな空対空および地上防空システムからの生存率が高まる。
トルコにとって、この種の無人機は、F-35共用打撃戦闘機プログラムから外され、F-16購入の提案に疑問が投げかけられている中で、戦闘機の「質量」の増大という問題に対処する有用な方法となり得る。一方、米国の支援がなければ、国産ステルス戦闘機TF-Xを現在の野心的なスケジュール通りに就航させることができるかどうかは、かなり疑わしい。キジレルマUCAVを大量に購入すれば、この需要の少なくとも一部を相殺することができ、同時に既存の有人型の機体寿命も維持することができる。
2019年パリ航空ショーに出展したTF-Xのモックアップ。 TAI
しかし、現段階では、Baykarがどの程度までドローンを構成して空対空ミッションを行うことができるかは疑問が残る。明らかに願望であるが、飛行制御ソフトウェア、コマンド・コントロール・アーキテクチャ、コンピューティング・パワーのレベルが必要であり、従来型のISRや攻撃用ドローンの開発でかなりの成果を上げているトルコでも、その域を出ないかもしれないのだ。
一方、キジレルマが少なくとも当初は偵察・攻撃任務に限定されても、その低価格から、トルコ軍だけでなく他の顧客にとっても非常に魅力的な戦力補強になる可能性がある。特に、戦闘機の性能を持つ後期バージョンになれば、キジレルマは魅力的な選択肢となる。■
Turkey’s Fighter-Like Drone Emerges For Taxi Tests | The Drive
BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED NOV 21, 2022 3:17 PM
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