2022年12月13日火曜日

B-21の奇妙なウィンドスクリーン形状からうかがえること

 


12月2日、アメリカの新型ステルス爆撃機、B-21レイダーが世界に公開された。なかでも、ひときわ異彩を放つ風防(ウィンドスクリーン)に多くの注目が集まった。



 本誌は、B-21レイダーの発表以来、記事やビデオに寄せられたコメントを追跡し、最も頻繁に寄せられる質問に可能な限り対応するよう努めてきた。B-21がB-2スピリットのアップデート版以上の存在である理由についても述べてきた。今回は、レイダーの奇妙な形のコックピットを取り上げ、そのフロントスクリーンが過去の爆撃機となぜここまで違うのかよりよく理解しよう。


2022年12月2日、カリフォーニア州パームデールで行われた式典で一般公開されたB-21レイダー (U.S. Air Force photo)


B-21レイダーの風防はどうなっているのか?


B-21レイダーの変わったウィンドスクリーン配置は、これまで議論の対象になってきたが、正式な声明はほとんどない。B-21レイダーは、B-2スピリットと同様に4枚の窓ガラスを使用しているが、スピリットの4枚の窓はごく普通のものに見える一方で、B-21のはまさにエキゾチックなものになっている。

 B-21コックピットのような曲面構造では、大きな一枚板のフロントガラスを大量生産することは困難であるため、独立した窓数枚を使うことは非常に理にかなう。


(Close-up of B-21 Raider windscreens from Air Force render)


B-21レイダーの前面2枚のフロントガラスは、真正面と上方の視界を最優先した特異な形状をしているようだ。これは、世界中を飛び回るB-21にとって、飛行中の燃料補給がいかに重要であるかを考えれば、非常に理にかなっている。

 また、窓の形状や配置は、飛行中の視覚的な合図への依存を最小限にし、レーダーに探知されないことを重視したデザインを示唆しているのかもしれない。パイロットが空を飛ぶとき、何もない空を覗き込むことなく、計器だけで飛行することは決して珍しいことではない。B-21のウィンドスクリーンは、主に地上でのタキシングと空中給油の際に重要な役割を果たす。



レーダー・リターンに大きな影響を与えるウィンドスクリーン

B-21レイダーのフロントガラス(アメリカ空軍)

 B-2の開発サイクルでは、フロントガラスを完全に省略することも議論されていたことから、空中給油には目視が必要であることは明らかだが、フロントガラスの残りのデザインは、視認性よりステルス性を優先しているようだ。

 ガラス製のフロントガラスやコックピットは、航空機のレーダーリターンに顕著な影響を与えることがある。これは、空軍がF-16のフロントガラスを改良することで、F-16の観測性を低下させるために行った「Have Glass」作戦の第1段階のような取り組みに最も顕著に表れている。第一段階では、戦闘機キャノピーに酸化インジウム錫の薄層を塗布してレーダーを偏向させ、ガラスを通過させるのではなく、パイロットのヘルメットと射出座席の可視部分からのリターンを反射させるものだった。

 ハヴ・グラスIとII(第2段階では、機体の一部にレーダー吸収材を追加)は、F-16全体のレーダーリターンを15%も減少させることができた。

 現時点では、B-21のフロントガラスがプラットフォーム全体のレーダーリターンへの影響を最小限に抑えるような形状になっているとは言えないものの、当初からステルス性を優先させた爆撃機が、フロントガラスのデザインも含めてあらゆる面でステルス性を考慮していることは十分にあり得る。■


What's the deal with the B-21 Raider's crazy windscreens? - Sandboxx

Alex Hollings | December 12, 2022


Alex Hollings

Alex Hollings is a writer, dad, and Marine veteran who specializes in foreign policy and defense technology analysis. He holds a master’s degree in Communications from Southern New Hampshire University, as well as a bachelor’s degree in Corporate and Organizational Communications from Framingham State University.


今週は日本の安全保障で大きな転回点へ。トマホークミサイル導入の内幕。サイバー対抗能力の拡大など発表が控えています

 


Japanese F-2 fighters conduct a joint military drill with U.S.B-1B bombers and F-16 fighters off Japan's southernmost main island of Kyushu on Nov. 5. (Joint Staff Office of the Defense Ministry of Japan/Reuters)


Updated December 12, 2022 at 9:45 a.m. EST|Published December 12, 2022 at 2:00 a.m. EST



ンド太平洋地域における安全保障上の脅威の増大と戦争のリスクに警鐘を鳴らし、日本は戦後前例のない大規模な防衛強化の一環として、米国製トマホーク巡航ミサイルを購入する。日米当局者が発表した。

 同ミサイル購入は日本の長距離攻撃能力を高め、攻撃的な武器を避けてきた長い伝統との驚くべき決別を意味する。また、中国が軍事的近代化を大規模に行い、北朝鮮が核開発を進める中、日本の通常兵器の抑止力強化につながる。

 日本は今月、新しい国家安全保障・防衛戦略の一環として、トマホーク導入の決定を進める。また、の防衛予算を大幅に引き上げ、NATO基準である国内総生産の2%、つまり世界第3位の規模にする。これらの措置は、日本が長年にわたる平和主義の束縛から脱却しようとしていることを示している。


ロシア侵攻をきっかけに、積極的な外交政策を打ち出す日本

「日本は防衛費を抑え、第二次攻撃力を持たないようにしたかった。しかし、我々を取り巻く状況はそれを許さない」と、藤崎一郎元駐米大使は言う。「多くの人が(戦争は)20世紀の問題だと思っていたが、今またそれを目の当たりにしている」。

 ミサイル取得と増大する防衛予算は、日本を西太平洋における極めて重要なパートナーと見なすバイデン政権の支持を受けている。米国と英国がオーストラリアの原子力潜水艦開発を支援したり、米国が韓国の弾道ミサイル製造の制限を解除するなど、日本との同盟関係の深化は、安全保障を強化する幅広い地域協力戦略の一部であると政府関係者は見ている。


「米国は一方的な措置を取るだけでなく、同盟国協力国に深い意味合いを持たせ、同地域における我々の能力を拡大しようとしている」と、まだ公表されていない計画について匿名を条件に米国政府関係者は言った。

 トマホークを数百発(400~500発)購入する決定は、日本が真剣に自衛を考えていること、そしてこの地域で間違いなく最も重要な軍事力を持つ二国間同盟が、北京と平壌の脅威に直面しより強固になっていることを中国と北朝鮮に知らしめることになると、関係者は述べている。

 日本関係者は、「このシステムの導入は、反撃能力に関する前向きな大変化の象徴だ」と述べた。射程1000マイル以上のトマホークミサイルで、中国本土の軍事目標が射程内に入る。

 日本は自衛的な政策から徐々にシフトしてきたが(2014年の憲法解釈変更で同盟国が攻撃された場合の軍事行動が可能になった)、変化は漸進的なものであった。今までは。



アジア主要国がロシアへの世界的な反発に参加、中国も視野に

ロシアの2月のウクライナ侵攻は、与党自民党が反軍国主義的な国民感情を抑え強力な国家安全保障政策を推進できる政治状況を作り出す上で「絶対に」重要な要因だったと、日本政府高官が述べている。

 世論調査によると、ウクライナ戦争後、日本政府が呼ぶ「反撃能力」に対する国民の支持は、2020年7月の37%から6月には60%以上と明らかに上昇している。

 日本人にとって、ウクライナ戦争は、中国による台湾侵攻の可能性をより一層高め、地域紛争が起きた場合の日本の軍事態勢に対する国民の懸念を深めている。

 8月、ナンシー・ペロシ米下院議長の台北訪問に激怒した北京は、台湾付近へ弾道ミサイルを発射し、日本の排他的経済水域に着弾させるなど積極的な軍事演習を行った。また、北朝鮮はこの1年間、核兵器開発を進め前例のない数の弾道ミサイルの発射実験を行い、日本上空にミサイルを飛ばした。

 ランド研究所で日本の安全保障と外交政策を専門とするジェフリー・ホーナングJeffrey Hornungは、「日本の戦略的思考における重要な進化」と述べた。「過去10年間の中国の行動が、日本に防衛をより真剣に考える軌道に乗せたのです」。

 岸田文雄首相は2月以降、より積極的な外交政策を推し進めている。先月末には、2027年までに防衛予算をGDPの2%にまで伸ばしたいと述べるという異例の行動に出た。もし成功すれば、5年後の日本は、アメリカ、中国に次ぐ世界で3番目の防衛予算を持つことになる。

 日本はトマホークミサイルを、5年ほどで納入できる「つなぎ」兵器と考えている。12式巡航ミサイルの射程を伸ばし、陸上の軍事目標を遠くから攻撃する能力を持たせようと取り組んでいるためだ。しかし、同プロジェクトは10年がかりになりそうだとの専門家指摘がある。

 日本はトマホークを搭載するため、駆逐艦の垂直発射システムを再構成すると、当局者は述べた。トマホークが最有力候補だったのは、「戦闘実績のある長距離発射」だからだと、別の日本側関係者は語った。


日本、そしてアジア全域で、ウクライナへの支援の輪が広がる

トマホーク陸上攻撃ミサイル(TLAM)は、レイセオンが製造している。1991年の湾岸戦争で使用され、遠距離から正確に攻撃できる能力を証明した。現在のミサイルは日本の領土に近い侵略者向けであるが、トマホークは中国や北朝鮮内の基地を攻撃する能力を与える。

 元米軍インド太平洋軍司令官フィル・デビッドソン退役大将は、トマホークを保有することは通常兵器に対する日本の抑止力に「大きな付加価値」をもたらすと語った。昨年退役したデビッドソンは、「ある程度の攻撃力は必要だ」と述べた。 「ワールドカップでは、ゴールを決めなければ勝てない。ディフェンスばかりしていてもダメだ。抑止力を持つには、敵にリスクを感じてさせることだ」。

 戦略国際問題研究所(CIS)の日本担当のクリストファー・B・ジョンストンChristopher B. Johnstoneは、地域のパートナーにも恩恵が及ぶと見る。「日本が自力で反撃できるようになれば、東アジアの抑止力に大きく貢献する」。

 日本とアメリカは軍事技術で緊密に協力している、と元政府関係者は指摘する。日本はF-35戦闘機を飛ばし、イージスミサイル防衛システムを使用している。どちらもロッキード・マーチンが製造している。海上での弾道ミサイル防衛訓練も行っており、先月はハワイ沖で成功を収めた。


米国は同盟国やゼレンスキーに侵略の危険性を納得させるのに苦労していた

日本政府関係者は、この動きは日本の防衛負担を担う意思と能力に対するアメリカの信頼も深めるだろうと言う。

「予算と安全保障戦略で我々の意図を裏付けています」と日本政府関係者は言う。「そしてそれは、日本の能力に対する米国の信頼を高めるはずだ。信頼は同盟にとって重要です」。

 今日までイギリスだけがトマホークを販売されている、とホーナングは指摘する。日本への売却は、「同盟国として本当に信頼できる国のトップクラスというメッセージになる」と彼は言った。

 中国は、日本の変化に憤慨している。今月のブリーフィングで、中国外交部の毛寧Mao Ning報道官は、日本の計画は「非常に危険」な展開だと述べた。

 「日本は侵略の歴史を真剣に反省し、アジアの近隣諸国の安全保障上の懸念を尊重し、軍事安全保障の分野で慎重に行動し、地域の平和と安定に資することをもっと行う必要がある」と毛報道官は言った。

 この問題に詳しい人々によれば、5月に日本の国家安全保障アドバイザーである秋葉剛男がワシントンでホワイトハウスのジェイク・サリバンと会談し、トマホーク購入のアイデアを持ちかけたという。サリバンは快く応じてくれたという。

 サリバンは秋葉に「検討プロセスを開始する」と言ったという。「そして、連絡を取り合う」。

 関係者によれば、東京は兵器購入の正式要請をまだしていないという。

 政府は国内の反戦感情に敏感で、自衛のための武器という枠組みを確固として持っている。「これは防衛的なものであり、攻撃的なものではない」と関係者は言った。「防衛的なものだと考えている」。

 しかし、同関係者は、「今回の(動きは)非常に異常である」と認めた。

 日本はアジアで初めて、西側諸国と共にロシアの侵略を理由に制裁を課し、ロシアは「非友好国」のレッテルを貼り、周辺での軍事活動を強化した。

 日本政府関係者は、ウクライナが長い困難の中で戦う意志を示した後、NATOの支持がどのように高まったかを見ていたと、6月までホワイトハウスの東アジア担当ディレクターだったジョンストーンは言う。「危機の際、米国やその他の国々が自国の味方であることを保証する最善の方法は、自国の防衛に投資し、戦う用意があることを示すことだ、と結論づけたのです。それがウクライナ戦争から日本が得た教訓だ」。

 実際、日本は新しいハードウェアや支出の増加だけでなく、多くの点で防衛態勢に著しい転機を迎えようとしている。今月、防衛省はサイバーセキュリティチームを現在の800人から2027年までに2万人に増員し、サイバーセキュリティ能力の大きなギャップを埋めるため人員を確保すると発表する。

日本はまた、平時から自衛隊が民間の港や空港を利用しやすくすることを検討しており、紛争時をにらんだ準備体制への懸念を反映している。■


Japan to buy Tomahawk missiles in defense buildup amid fears of war

By Michelle Ye Hee Lee and Ellen Nakashima 

https://www.washingtonpost.com/world/2022/12/12/japan-tomahawk-missiles-ukraine-war/?location=alert



Nakashima reported from Washington. Julia Mio Inuma in Tokyo contributed to this report.


2022年12月12日月曜日

米陸軍の次期強襲機材にティルトローター正常進化型V-280選定。ブラックホーク後継機になるのか。選定を巡り米国内で意見多出の模様。シコースキー=ボーイングは異議を申し立てるか

 A Reality Check On The Army Picking V-280 Valor Over SB>1 Defiant

Bell Screencap


米陸軍の将来型長距離強襲機材Future Long-Range Assault Aircraftの選定には意見があるが、決定には学ぶべきことがたくさんある

来型長距離攻撃機構想(FLRAA)のもと、米陸軍のH-60ブラックホーク後継機として、ベルのV-280 Valorがシコースキーとボーイング共同開発のSB>1 Defiantを破ったことへの反応は、控えめに言っても強烈だった。非常に強い意見が飛び交っているが、裏付けとなる実際の情報や逸話的な主張以上の直接的な洞察はほとんどない。むしろ、競合の目的から見て理にかなったものよりも、自分にとって最もクールでエキサイティングに見えるものを応援している向きが多いとさえ言える。実はこのプログラムは、単にブラックホーク後継機を探すというだけでなく、陸軍航空部隊の任務の存続に関わる重要プログラムであり、そのため陸軍は存在意義のあるプログラムとして捉えられているのだ。

陸軍がブラックホーク後継機として性能や能力の面で何を求めていたのか、陸軍は3年前にFLRAA要求事項を非公開ながら発表している。

しかし、いざ決定となると、どちらの機体についても、膨大なデータやコスト分析、開発・生産の見通し、性能指標などを知ることができなかった。だからといって、陸軍が賭けた馬が正しいとも間違っているとも言えないが、決断用の情報は我々よりずっと多くあったはずだ。

The V-280 Valor head-on. (Bell)

どちらの機体も、従来型回転翼機より性能が大きく飛躍していることを考えれば、このような能力を大量に獲得することのリスクは非常に高い。V-280には成熟度があった。これは避けて通れない。ベルは数十年をかけてV-22オスプレイを開発し、地球上で最も過酷な条件下で膨大な運用時間を積み重ねてきた。オスプレイにはまだ問題があるものの、大量の悪評や極端な論争を乗り越え成功を収めている。今日、MV-22とCV-22、CMV-22が毎日世界中で活躍している。これは事実だ。デファイアントのような複合同軸リジッドローターヘリコプターは、現時点で同じようなことをやっていない。

そして奇妙なことに、10年前にノースロップ・グラマンのB-21レイダーが勝利したように、Valorはベルの「ティルトローター2.0」としてオスプレイの欠点を補う設計だ。信頼性、ナセル設計、取得コスト、飛行時間当たりのコスト、搭載量など、あらゆる要素が含まれる。ベルは、半世紀にわたり、あらゆる試験で何百時間も飛行し、その間に動作範囲の可能性を探り、300ノットを超える速度に達した印象的なデモンストレーターを作りあげた。これは、リスクを大幅にさらに引き下げる非常に印象的な偉業であり、陸軍は、紙上の予測だけでなく、実績の裏付けあるハードウェアを購入したと実感するはずだ。

一方、「デファイアント」は「ヴァラー」以上に人々の心を捉えた。真新しく、未来的でありながら、同時にブラックホークに近い印象だ。それは完全に主観的な概念ではあるものの、多くの人にとって、よりタイトなパッケージであり、比較的複雑でないようにさえ見える。ヴァラーにはない「色気」があり、今やティルトローターは軍用機では当たり前の存在になった。同軸複合型リジッドローター構成は、そうではない。

デファイアントの魅力は、一部の目にはヴァラーに勝っていたかもしれないが、機体とその根本的な設計コンセプトはヴァラーよりはるかに未熟だ。現在ロッキード・マーチンの一部門であるシコースキーは、デファイアントとその小型版レイダーXを支える「X2」技術で十分な経験をしていないわけではないものの、世界中で何百機も飛行中の技術の発展型ではない。また、SB>1のデモ機もほとんど飛んでいない。これは事実だ。もちろん、事実は誰が見ても明らかだが、デファイアントは設計が成熟していない。しかし、能力とリスクのバランスを考え、このプログラムがいかに重要であるかを考慮すれば、陸軍の決断に影響を与えることができたはずだ。

A Black Hawk and the SB>1 Defiant side-by-side. (Sikorsky)

One of the stated advantages of the SB>1 is that it has a similar footprint as the Black Hawk it intends to replace. (Sikorsky)

One of the Defiant's claimed advantages is being able to get into tighter landing zones than its competitor. (Sikorsky)

また、コスト面も重要だ。開発費、取得費、維持費など、各チームがどの程度の価格で入札したかはわからない。大型軍用機を受注できるチャンスが少なくなっている今、各社は契約を獲得するため非常にアグレッシブになる。しかし、これは計画通りに物事が進まないと悲惨なことになりかねない。つまり、今勝利しても、その先に経済的な破綻が待っている。今回、低入札価格であったかどうかは分からないが、もしそうであったとしても、前例はない。

また、物流や性能での懸念もある。航続距離、速度、積載量、機動性など、どの機体が期待以上の性能を持ち、どの程度のコストで導入できるのか。どちらがより簡単に展開できるのか?どちらの機体もかなり大きいため、輸送に時間がかかり、規模が大きくなると問題が発生する可能性がある。

ティルトローターはいまだに一部で評判が悪いが、「ヴァラー」はオスプレイではないものの、オスプレイの数十年にわたる開発と運用の上に成り立っている。ヴァラーの緊急時自動回転能力や、より大きなフットプリントによる狭い着陸帯へのアクセスへの懸念は、まったくもって妥当なものといえよう。また、複合剛体ローター設計に見られる振動やクラッチシステムに関する歴史的な懸念でも同じことが言える。しかし、このような飛躍的な性能向上には、トレードオフがつきものだ。そもそも着陸地点に到達することさえできないのであれば、そんなことはどうでもよくなる。

陸軍航空部隊は存亡の危機を迎えている。陸軍航空部隊は、ヨーロッパと、ある程度は中東での短距離戦闘用に作られたのであって、太平洋の広大な土地で戦うためのものではない。戦闘半径が数百マイルになると、同規模の紛争が発生した場合、何千機ものヘリコプターの出番が突然なくなる。UH-60ブラックホークやAH-64アパッチを、ほとんどの作戦で効果を発揮できるほど近くに配備すれば、警戒心の強い敵の照準に真っ向からぶつかることになる。また、敵の反アクセス空間の奥深くで活動することさえ、従来のヘリコプターは非常に危険だ。射程距離とスピードがあれば、陸軍は戦力を取り戻せる。これは簡単なようで難しい。だからといって、これらの要素が陸軍の回転翼機の意義に関する問題をすべて解決するわけではない。生存率は大きな問題だが、将来の紛争でその価値を証明する長い道のりを歩むことになる。

では、より速く、より遠くへ飛ぶ航空機を手に入れるため、米陸軍は望みをあきらめることができるのか?筆者には、その答えは「絶対」だと思える。でなければ、陸軍の航空部隊の規模を、どうやって正当化するのか。こう考えると、航続距離が、多くの人が思う以上にこの決断に大きな影響を与えたのではないか?

このため、「ヴァラー」が狭い着陸帯に入れない、必要な機動性がない、自動回転できない、といった批判は妥当かもしれまないし、妥当でないかもしれない。しかし、将来の紛争で部隊の中核を担う新しい能力を必要とする場合、これらの批判はあまり気にならないかもしれない。

The Valor demonstrator during a test flight. (Bell)

A rendering of Valor flying in high-speed, low-level flight. (Bell)

それ以上に、この問題はまだ終わっていないことに注意しなければなならない。シコースキー=ボーイングは、おそらく今回の決定に抗議するだろう。そうすることを責めることはできないし、正当な理由があれば勝てるかもしれない。同時に、シコースキーのX2技術が、将来の武装偵察ヘリ候補として非常に有力であることも忘れてはならない。一般的なヘリコプター設計であるベルのインビクタス360より高性能であるため、デファイアントより小型で一般的構成を共有するレイダーXがフロントランナーであるとする説もあるほどだ。もしかしたら、ヴァラーとレイダー Xは、陸軍にとってドリームチームなのかもしれない。もし軍がベルのインビクタスを採用すれば、X2技術はレイダーXとして生産に移されることになる。つまり、オスプレイと「Valor」のように、「Raider X」はリスクを減らすことができる。

Raider-X prototype

Sikorsky's Raider X prototype under construction. (Sikorsky)

A notional image of production-representative Defiant X and Raider X aircraft on the ramp. (Sikorsky)

A render of the production-representative Defiant X. (Sikorsky)

また、シコースキーとボーイングがデファイアントをあきらめたとしたら筆者は驚く。国際的なものも含め、ヴァラーよりその能力に適した他の入札の可能性があります。また、米国の特殊作戦部隊は、歴史的に見ても活動領域が狭く、H-60ブラックホークに長く愛着を持っていることを考えれば、いつでも参入できる可能性がある。ですから、仮にヴァラーが今回選定されても、デファイアントには再参入の可能性もある。

もちろん、機体は、H-60後継機として大量購入できる価格であることが前提だ。また、H-60が陸軍で引き続き使用され、コストと能力の問題から、今後数十年の間にこの新しい高速機と並行して調達される可能性さえある。このように、レガシー・プラットフォームの全面代替を約束されながら、それが実現しなかったことが何度あった。F-15やF-22が思い浮かぶが、他にも多くの例がある。また、垂直上昇機に関しては、さらに大きな技術的飛躍が目前に迫っている。

V-280 flying over water. (Bell)

要するに陸軍がどうして今回の決定をしたのか、正確に理解するのに十分な情報がないということだ。あるデザインに特別な思い入れを持ち、それがどのように機能するかを推測することはよく理解できるが、これは現実ではない。

この決定について、近いうちにもっと情報が得られるよう期待している。■

A Reality Check On The Army Picking V-280 Valor Over SB>1 Defiant

BYTYLER ROGOWAY|PUBLISHED DEC 8, 2022 1:56 PM

THE WAR ZONE

 


PRCの危機② コロナの「核の冬」をCCPはもはや食い止める術がない----面子にこだわった末の結末か

  


Image: Screenshot from Chinese State TV.

 

 

国の14億1000万人のうち、おそらく90%がCOVID-19に感染すると、中国疾病管理予防センターの前副主任、馮志堅 Feng Zijianがブルームバーグ・ニュースに語っている。Fengは、第一波で人口の60%が感染すると予測している。

 長く待つ必要はない。北京に速いスピードで波が押し寄せている。

 首都は準備できていなかった。「高熱を出した子供がいるのですが、どこの薬局でもイブプロフェンが切れています」と、北京に住むリンという名の人はフィナンシャル・タイムズ紙に語っている。「あまりに早く来たため、準備の時間がなかったのです」。不足は広範囲に及んでいる。「北京は医薬品が不足している」と同紙は指摘する。

 北京大学のマイケル・ペティスがツイッターで報告している。状況は非常に悪く、北京市民は、公的医療制度が完全に崩壊したときに罹患しないように、今のうちにわざと自分を罹患させようと考えているようだ。

 また、国の工場地帯である南部広東省の省都・広州をはじめ、全国で集団感染が起きている。この全国的な状況を、中国の「核の冬」と呼ぶ人もいる。冬の間、100万人のコロナ死が予測されている。この冬、210万人に達するとの見方もある。

 その結果、共産党はかつてないほど厳しい試練に直面することになる。

 中国共産党という支配組織は、政権を脅かす苦境に立たされても、誰も責める相手がいない。パンデミック発生当初から、中国共産党は疾病管理を自らの正当性の証明とし、コロナウイルスに対処する能力は、中国共産党が一般民主主義、特に米国民主主義より優れている証明であると自慢していた。

 中国の支配者、習近平は自らの主張を証明するために、「ダイナミック・ゼロ・コビット」政策を採用した。おそらく世界で最も厳しい一連の疾病対策である。

例えば、たった一例の感染症で街全体を封鎖する。一日に何度も検査が行われた。

 隔離を重視するあまり、中国中央政府はICUや一般病床を建設する資源を奪われた。しかし、政府は広州に25万床の大規模検疫施設を建設したし、現在も建設中のようだ。

 中国保健当局は国民の大部分にワクチンを接種したが、それは中国開発のワクチンに限られた。中国製品はシノファームとシノバックが製造したが、特に効果があったわけではない。

 北京は、ファイザーとモデナからmRNAワクチンを輸入しないことにした。外国技術が中国より進んでいることを認めたくなかったのだろう。

 そのため、共産党には、万が一、鎖国防衛に失敗した場合のプランBがなかった。しかし、そのやり方は、明らかに持続不可能であった。

 10月末のFoxconn鄭州工場を皮切りに、11月24日のウルムチ火災をきっかけに、中国全土で異常な抗議デモが発生し、中国国民が反旗を翻した。

 さらに、ゼロ・コビッドの費用の大半を負担していた自治体に、もはやその余裕はない。11月の貿易統計や生産者物価統計など、公式数字を見ても明らかなように、ロックダウンは中国経済を深く収縮させた。製造業の混乱は、アップルを含む企業が中国から生産拠点を移す結果を招いた。

 この圧力に対応するため、共産党は11月11日に発表された「最適化」措置を皮切りに、段階的に疾病管理措置を緩和しようとしている。中国の「新段階」では、当局は規則を緩和したが、十分な速度で進まなかった。最終的に、水曜日に国家衛生委員会は10項目の計画を発表し、ほとんどの健康コードの追跡を廃止し、検査を縮小し、自宅隔離を許可し、監禁を制限することで屈服した。この計画は、実質的に習近平の「ゼロ・コビット」の終焉を意味する。

 中央政府当局が隔離措置を解除すると、病気の壁が本質的に無防備な中国国民を襲うことになった。現在、人々は政府に促されることなく、自分自身を隔離している。CNNのセリーナ・ワンが土曜日にツイッターで報告したように、北京の舗道は薬局近くを除いて閑散としている。また、北京の病院は今、絶望的な住民でいっぱいだとも伝えられている。

 中国の資源不足には、ひとつの明白な解決策がある。 ピーターソン国際経済研究所のチャド・バウンは、国際社会は「中国政府が喜んで受け入れるような医療品やその他の援助を積極的に提供する」べきだと主張する。

問題は、習近平が人道的援助を受け入れるかどうかだという。傲慢な中国指導者が受け入れるとは思えない。結局のところ、彼はパンデミックを民主主義に対する武器にし、民主的統治の優位性は到底認めることができないのである。

 このような消極的な姿勢は、中国が数カ月にわたって、国民に病気が蔓延し、不自由な生活を強いられることを意味する。そして、中国が閉鎖的であり続け、経済が衰退し続けると、政権は資源を使い果たすことになる。

 コロナウイルスは、債務不履行の加速、不動産価格の暴落、経済の縮小、食糧不足の深刻化、環境の悪化といった同時多発的な危機に見舞われた中国を荒廃させており、習近平には実行可能な選択肢がない。

 しかし、最も危険な危機は、「信頼」の危機だ。現在、中国国民は「むち打ち症」に苦しんでいる。2年間、政権が病気の強さを誇張し、今は軽いと思わせようとしている。北京に住むエコー・ディンさんはCNNの取材に対し、政権の宣伝路線の変更について「どうしてこんなに早く変わるのだろうか」と尋ねた。「私たちは愚か者のように感じる」。

 共産党は信頼と支持を失った。それでも共産党は強制し、脅迫し、投獄できるが、重要な時期に支配の維持は難しいだろう。■

 

China Is Facing a COVID-19 'Nuclear Winter'. The CCP Can't Stop It - 19FortyFive

ByGordon Chang

 

Gordon G. Chang is the author of The Coming Collapse of China. Follow him on Twitter @GordonGChang. He is a 19FortyFive Contributing Editor. 

In this article:CCP, China, Chinese Economy, COVID-19, featured, Xi Jinping


PRCの危機 ① 習近平への不満がおさえきれなくなった国内情勢

  

A China yuan note is seen in this illustration photo May 31, 2017. REUTERS/Thomas White/Illustration/File Photo

 

 

1カ月前、習近平は勝利に酔っていた。中国共産党の第20回全国大会を振り出しに、毛沢東以来で最強の指導者として地位を固めた。その支配は永遠に、少なくとも彼が生きている限り続くと思われた。

 

 

 ウィンストン・チャーチルのように、習近平は中国国民に「血と労苦と涙と汗」以外何も提供しなかったものの、ただ国ではなく党のため行動した。習近平は「党は決して質を変えず、色を変えず、味を変えない」と主張した。

 しかし、多くの中国人が中国共産党の質、色、味を嫌っていることは、明らかである。政権に反対するデモが自然発生的に急速に広がったのは、国民の深い不満の表れだ。一瞬にして国民は声を上げることを恐れなくなった。デモ参加者は、12都市、4校の大学の街頭を占拠し、全体主義的な「ゼロ・COVID」政策に怒りを集中させている。さらに驚くべきことに、国民は習近平、中国共産党、独裁体制というシステムを攻撃し、自由、民主、人権を求めている。抗議行動の動画が殺到し、北京の巨大な検閲システムは圧倒された。

 習近平は人民の代表を自任しているだけに、政権の困惑は深刻だ。米外交問題評議会のイアン・ジョンソンはこう指摘する。「習近平が就任して10年間、独立系映画祭を潰し、歴史雑誌を閉じ、自由な考えを持つ人々の生活を困難にしても、観察者たちは習近平が普通の中国人の支持を当てにしていることを認めざるを得ない。もちろん、中国には独立した世論調査がないため、主流派の支持を証明するのは不可能だ。しかし、中低所得者層の支持は明らかだ。習近平以前の政権に蔓延した腐敗や格差拡大に辟易していた人たちが多かったのだ」。

 しかし、パンデミックに対する習近平の冷酷なアプローチは、明らかに国中の怒りを煽った。中産階級や学生だけでなく、労働者も平常心を求めている。そこで彼らは、世界で最も完璧な社会的監視と統制のシステムに抵抗するため団結したのである。何が起こったのか。

 一つのきっかけは、中国の苦難と抑圧に満ちたウイグル族が集中する新疆ウイグル自治区の首都ウルムチの火災だった。COVID対策の施行に伴う障害で消防隊到着が遅れ、10人の住人が亡くなった。アパートに閉じ込められた人々に対する無慈悲な扱いの最新のエピソードだが、もっと悪いことに、過密で老朽化した収容所に閉じ込められた人々に対するものでもある。最も致命的な例でもない。

 ワールドカップ観戦で、マスクもせず、大勢のファンが集まったことも、抗議行動に拍車をかけたかもしれない。中国の視聴者は、「なぜ中華人民共和国は他と違うのか」と疑問に思ったらしい。WeChatのユーザーは「中国とカタールは同じ惑星にあるのか」と質問した。抗議が広がると、公式の試合報道が変わった。国営放送は、カタール・ワールドカップでマスクをしていないファンのクローズアップショットをカットした初期の報道が、厳しいコビッド19規制への街頭抗議が発生し本国の怒りに火をつけた後である。

 原因が何であれ、デモは政権をひどく困惑させた。習近平とその手下が、おとなしく不活発な国民を作り出そうとあらゆる手を尽くしてきたにもかかわらず、国民は立ち上がったのだ。検閲はますます厳しくなり、現実との関係が希薄な赤のパラレルワールドを作り出している。「愛国的な」洗脳、つまり教育は、あらゆるレベルの学校で行われている。政権は外部の脅威から国家を守るよりも、内部の脅威から中国共産党を守るために多くの支出している。

 弾圧が強まったことと寒波の影響で、抗議デモはほぼ収束した。政府はまた、残忍なゼロCOVID政策の改革を約束し、多くの地方で規制が緩和され始めている。

 しかし、中国の平和な街並みは一時的に過ぎないかもしれない。例えば、大学では学生を早く帰宅させ、抗議行動を沈静化させる戦術がとられた。いずれ学生たちはキャンパスに戻り、1980年代など革命的学生運動の長い伝統にならって、再び組織化されるかもしれない。

 江沢民の死もまた、抵抗運動を活性化させるかもしれない。通常であれば、かつての指導者は自由主義的な支配の象徴ではない。天安門事件とその後の政治的粛清で失脚した趙紫陽総書記に代わってトップに躍り出た江沢民である。しかし、すべては相対的だ。PoliticoのJamil Anderlinは次のように述べている。「この10年、習近平の下で中国がより抑圧的で権威主義的になるにつれ、江沢民のイメージは回復してきた」。

 江沢民は人相からヒキガエルと認識され、(むしろ今では禁止されているくまのプーさんが習近平のシンボルとなったように)死後は、習近平よりずっと人当たりが良く親しみやすい江が、習近平の強敵になる可能性がある。ヒキガエルのイメージはすでに中国と香港の両方で、習近平の権威主義的な路線と新しい毛沢東の役割への反対を表すため使われている。党がかつての最高指導者の追悼や慰霊の活動を禁止することは不可能だ。しかし、今後数日、数週間の追悼活動は、中国政治の現状への反発や不満を表明する機会を無数に提供することになるだろう。

 1976年、より穏健な周恩来の死は、毛沢東の血生臭い支配に対する間接的な批判と見なされ、国民の追悼につながった。1989年の天安門事件は、支配者鄧小平が自由すぎるという理由で排除した胡耀邦の死が引き金となり、蒋介石が逝去した。江沢民の死を悼むことが、習近平と習近平の政策を批判する愛国的な手段になりかねない。

 中国共産党は中国の若者を失いつつあり、多くが抗議に参加した。ブルームバーグのアダム・ミンターはこう報じている。「中国のZ世代は、平伏するのをやめて、監禁をターゲットにした抗議行動に参加した。ほんの数ヶ月前までは、中国経済がパンデミックで疲弊していく中で、諦めて最低限のことしかしていないと広く見られていた層が、突然の変化を遂げたのである」。

 党が経済成長と進歩を保証し、国民は政治的受動性と非力さを示すという現在の社会的コンパクトは崩壊した。16歳から24歳の失業率は約20%に達している。少なくとも親の援助がなければ、若い労働者が都市部で手頃な価格のアパートを見つけるのは非常に困難だ。仕事も家もなければ、今や逆転した「一人っ子政策」によって女性より不当に多くなった男性は、結婚するのさえ難しい。

 大学教育も、快適な生活のチケットにはならない。労働者階級はもっと大きな障害に直面している。ジョンソンによれば、「中国は深刻な教育危機に直面しており、人口の大部分は将来への準備が不十分なままだ。中国の人口の半分以上は農村部に住むが、そこで二流の学校に通わされ、大学教育を受けることはほとんど不可能である。そして、これらの人々がかつて頼った未熟練職の多くは、オートメーションに取って代わられたり、他国へアウトソーシングされたりしている」。

 輸出志向は経済成長をもたらしたが、経済のうち国内消費に割かれる割合は不釣り合いに低い。その中で、サービスの重要性は世界平均よりも低い。その結果、「自国民が実際に消費する割合は、他の国よりもはるかに低い」と復旦大学の西錫は指摘する。

 経済的苦難の増大と将来への自信の喪失が、若者の悲観的な見方を強めている。「北京のゼロ・コビッド政策の執拗な追求が大混乱を起こしているため、今や自分たちは1980年代以来最も不運な世代だと多くが思っている。仕事はなかなか見つからない。頻繁に行われるCovid検査は、彼らの生活を決定づけます。政府は個人の自由をますます制限する一方で、結婚と出産を強要している」。

 その結果、ますます多くの若者が多面的なドロップアウト文化に陥っている。ナショナリストのミームを推進しながらも、彼らは将来への疑念を表明している。「特に中国の若者は、BilibiliやWeiboなどオンラインプラットフォームで、住宅価格の高騰、格差の拡大、日用品の価格上昇への絶望を訴えています」。 

 反応はさまざまだが、おおむね否定的だ。政府が必死に子作りを奨励している時に、結婚や子供を持つことを断念する女性もいる。家庭を持たないことを決意するカップルもいる。ストレス解消とCOVID政策に抗議するため、学生たちは「『集団匍匐前進』と呼ばれる穏やかな形のデモ」に取り組み始めた。より広い意味では、「平臥位」と「腐らせる」運動は、特に技術産業で野心的に働く労働者に典型的な、プレッシャーに満ち、余暇を奪われた生活を捨てることを提唱している。後者は996、つまり週6日、9時から9時まで働くのが特徴だ。若い中国人の多くは、労働時間が短く、仕事量も軽い公務員に転向している。極端なのは「自己満足と開放的な崩壊に傾倒し、意味も達成もなさそうな人生の期待から遠ざかる考え方」である。

 一部中国人は中国からの脱出を模索している。全体主義的なCOVID統制は、外国人の流出に拍車をかけた。今、中国の若者は、祖国から逃げ出すような「ラン哲学」を語っている。あるビデオ制作者は、エコノミスト誌にこう愚痴った。「いくらお金があっても、教育を受けていても、国際的なアクセスがあっても、当局から逃られない」。また、少なくともお金のある年配の中国人は、移住を考えるようになってきている。

 中国では、習近平の世界へのこうした敵対的な反応は、個人的レベルにとどまらない。政治的であり、「中国と習近平の野心的な国家発展計画に対するZ世代の拒否反応」だ。検閲により、退学に関するブログ記事は削除された。国粋主義的で半官半民の環球時報は、「若者はこの国の希望」と強調した。彼ら自身も、国も、「彼らが集団で横たわることを許さない」と力説した。習近平もこれに応えざるを得なくなり、「誰もが参加できる経済、不摂生や横並びを避ける」ことを呼びかけた。しかし、多くの中国人は習近平と中国共産党を問題の一部と見ており、中国再興を目指す現代の紅衛兵は出てきていない。

 習近平にとって不運なことに、経済問題は緩和されるどころか悪化する可能性が高い。国営企業は多額の負債を抱え、国営銀行は不良債権を抱え、高齢化が急速に進み、人口が減少し始め、不動産バブル崩壊は政府支援でなんとか阻止されている。最も深刻なのは、習近平が党の支配を経済全体、さらには民間企業に拡大させていることだろう。政治色が濃く、負債が多く、労働者数が減り続け、教育水準も低くなっていく経済は、繁栄の処方箋とならない。

 必要なのは、自由主義的な経済改革への回帰だ。中国雇用研究所の曾祥権は次のように説明する。「今、中国経済が直面している構造調整では、実は、より多くの人々が起業家となり、努力することを必要としている」。しかし、習近平は中国を逆の方向に動かし続け、党と個人の統制を強化することに重点を置いている。自由な市場は、習近平が作ろうとするレーニン主義国家と相容れない。ジョンソンは、習近平についてこう指摘する。

 「監視体制を強化し、イデオロギー、特にナショナリズムと中国の伝統的価値観への訴求で国民を統制し続ける現状維持型の政策立案者として、習近平ははるかに居心地がよく感じている。中国が高い成長率を維持し、国が正しい方向に向かっているように見える限り、ほとんどの人は習近平の改革の欠如を気にも留めなかった......」。しかし、ゼロCOVIDによる締め付けの代償が大きくなり、国民の一部は、中国が直面する大きな課題と自分たちの期待感の減退に目覚めたようだ。言い換えれば、厳しいパンデミックコントロールは、人々が生活水準が停滞している理由の簡単な説明となった」。"

有名だがフェイクらしい中国の呪文は 「面白い時代に生きられますように」とある。 この1ヶ月で、中国が非常に興味深い対象になった。予期せぬ特別な危機がない限り、習近平は現在の政治的スコールに耐えるだろう。しかし、習近平と中国共産党は、長期的かつ深刻な問題に直面している。習近平の主張と裏腹に、中国共産党は多くの中国人の期待に応えきれていない。習近平が権力を強化しようとすればするほど、国民は習近平に楯突くことになるかもしれない。■ 

 

 

Why China Is In Crisis (And Might Never Be a Superpower Afterall) - 19FortyFive

ByDoug Bandow

 

Doug Bandow is a Senior Fellow at the Cato Institute. A former Special Assistant to President Ronald Reagan, he is the author of Foreign Follies: America’s New Global Empire. Bandow is a 19FortyFive Contributing Editor. 

In this article:China, China Protests, COVID-19, featured, Xi Jinping, zero-COVID