2024年3月18日月曜日

中国のレイルガン開発はどこまで進んでいるのか----宣伝と事実の区別は難しい

 レイルガンに真剣に取り組んでいるのは日本と中国だけのようです。

そのうち、中国での進展についてDefene Oneに専門家が見解を寄稿しましたのでご紹介します。

中国のレイルガンは船舶研究開発の一端で進められている

PLAN艦艇に膨大な電力を供給するための研究体制について注意が必要

国の研究者たちは最近、実用的な電磁レイルガンを開発に成功したと主張し、21世紀で最も破壊的な新兵器がPLAに提供される可能性に触れた。米国で同じ研究を長い間妨げてきた技術課題を本当に克服できたかどうかはまだ不明だが、PLAが電磁石と発電システム分野で研究投資を10年以上前から展開してきたことは明らかだ。

従来型の大砲は中国西部で歴史初の描写が刻まれた1128年以来、比較的効率の悪い化学爆発より動力を得てきた。対照的に、レイルガンは磁石を使い弾丸をマッハ6超まで加速させる。レイルガンは、ミサイルやロケットの射程距離と精度の高さをもちながら、従来の大砲の一発あたりの発射コストと同程度になることが期待されている。これは、現代の軍隊を悩ませているコスト負担の問題を一気に解決する。成功したシステムでさえ、運用にとてつもなくコストがかかったり、より安価な兵器の群れを発射する敵に圧倒されたりする可能性がある。例えば、イエメン沖の米軍は巡航ミサイルを発射しているが、このミサイルは破壊する目的の無人機よりも少なくとも3桁高い。

米軍はレイルガン研究でリーダーだったが、5億ドル以上を費やしたあげく、2021年に終了した。理由として、工学的な課題、特に数発撃つだけで銃身が摩耗してしまう傾向があること、極超音速ミサイルなど他のプログラムにリソースをシフトしたいことなどが挙げられている。しかし、その根底には、想定された役割と海軍の優先事項の変化とのミスマッチであった。レイルガンは当初、ズムウォルト級駆逐艦に装備される予定だったが、この計画はコスト問題で打ち切られた。レイルガンはまた、海軍が現在では既存の巡航ミサイルや新しい極超音速ミサイルで想定する攻撃を主な目的としていた。レイルガンを対空/ミサイル/ドローン防御システムに投入する可能性は、海軍や他の米軍にとってはるかに深刻な問題であるにもかかわらず、十分に検討されなかった。

米国は当分の間、関心を失ったかもしれないが、レイルガンの研究開発は他国で進められている。2023年、フランス国防調達庁は海軍電磁レイルガン・プロジェクトを発表し、日本は防空用レイルガンに取り組んでいる。昨年、日本の艦船が史上初めて海上でレイルガンの発射実験を行い、その成功を受け防衛省は2024年度予算にレイルガンの研究開発費として238億円(約1億6000万ドル)を要求している。

しかし、最も継続的な関心を示しているのは中国である。12月、『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』紙は、中国海軍工科大学PLA Naval Engineering Universityが実用的な電磁レイルガンを開発したと報じた。中国の研究チームは、レイルガンはマッハ6で100~200キロの弾丸を発射できると主張している。おそらく最も重要な点は、最大10万個のAI対応センサーを使い、致命的な故障の前に問題を特定し修正し、時間経過とともに徐々に改良するのが可能になったことだろう。これが本当なら、米国の研究者を悩ませていたとされる長年の問題を解決したことになる。中国の記事によれば、発射された弾丸の口径はわずか25ミリで、軽量の海軍大砲のサイズをはるかに下回っている。

その他の中国における防衛技術プログラムと同様、このプログラムでも不透明な部分が多い。しかし、さまざまな公開情報源から重要な詳細が明らかになっている。

中国のレイルガン研究の記録は2011年まで遡る。2018年には、072III型揚陸艦「海洋山」の艦首に搭載された試験システムの写真が掲載された。その翌月には、「3月8日の女性の日の前夜」に、同艦での試験成功の際の「電源メンテナンス」と「システムシミュレーション」の研究者張暁Zhang Xiaoに「紅旗」が授与されたという知らせがもたらされた。

張は、国家船舶統合電力システム技術重点実験室 National Key Laboratory for Vessel Integrated Power System Technologyのチームの一員であり、最近の成功も同実験室の功績である。人民解放軍海軍工程大学の一部となっている同研究所は、湖北省武漢市にあり、PLA海軍と第712研究院が共同管理している。第712研究院は、中国海軍艦艇を製造する国有企業中国国家造船総公司China State Shipbuilding Corporation傘下の船舶用電力を専門とする国防研究機関であり、同社はバイデン大統領によって2021年に米国の禁止リストに指定された。

20年前、中国の指導者たちは、センサー、ジャマー、ネットワーク、そして電磁波兵器を含む兵器に大量に必要な電力が、近代的な海軍の発展におけるボトルネックであることに気づいた。さらに、中国が必要とする高度なシステムを持つ外国は中国へのシステム輸出を禁止していた。

国家重点実験室The National Key Laboratoryは、このボトルネックと外国からの禁輸措置を打破するべく2007年に設立された。同研究所を率いるのは、全国党大会代表であり、船舶用発電と電磁カタパルト技術のブレークスルーで称賛されている「国宝」専門家の馬偉明海軍少将Rear Adm. Ma Weimingである。

SCMPの記事で名前が挙がっている研究所の科学者呂俊勇Lu Junyongは「国家電磁兵器革新チーム」を率い、馬と共に電磁発射技術に取り組んできた。実際、本人のプロフィールによれば、彼と馬は、研究所が正式に設立される以前から、20年にわたりこれらの広範な問題のいくつかに共同で取り組んできたという。そして、米国の研究者を困惑させた摩耗とガンの故障問題に少なくとも10年取り組んできた。

レイルガンばかりがクローズアップされがちだが、この研究所はPLA海軍艦艇のための幅広い電気的・電磁的応用で進歩を遂げている。例えば、同研究所の電磁発射技術の研究は、PLANの増加する空母艦隊の電磁カタパルト開発にも応用されている。PLANの最新空母には、この研究所の研究成果から生まれた電磁カタパルトが搭載されることになっており、中国はこの先進技術を持つ2番目の国となった。

さらに、同研究室は次世代艦艇用電力でも進歩を遂げている。一例として、研究室が開発した中電圧直流統合電力システム(中電圧直流完全電気推進とも呼ばれる)は、003型空母、076型揚陸ヘリドック、055型駆逐艦を含むPLANの最新軍艦に、最新の電磁・レーザー兵器や統合RFシステムなどの先進システムを搭載することを可能にする。

研究所の研究成果は、中国の軍民融合military-civil fusion政策により、戦略的な民生産業にも転用される。可変電流技術はインテリジェント・マイクログリッドの開発に使用され、ダイレクトドライブ風力発電インバーターは外国の独占を打ち破り、価格を大幅に引き下げたと言われている。また同研究所のエナジー研究は、南シナ海に展開する軍事前哨基地用のインテリジェント発電所の建設につながっている。

中国海軍が本格的なレイルガンを開発し、大規模に生産し、軍艦に搭載できるかどうかはまだわからないが、米国が放棄した軍事的に非常に重要な技術で着実な進歩を遂げていることは明らかである。さらに、船舶電力の関連では、中国の艦艇上の高度な兵器や電子システムの統合を可能にし、さらに重大である意味があることを証明するかもしれない。


マット・ブルッツェーゼはBluePath Labsのシニア中国語アナリスト。

ピーター・シンガーはニューアメリカのシニアフェロー、アリゾナ州立大学教授、Useful Fiction LLCのマネージングパートナー。


China’s nascent railgun is just the tip of its shipboard R&D - Defense One

Meet the lab working to equip PLAN warships with vast amounts of electrical power.

By MATT BRUZZESE and PETER W. SINGER

MARCH 15, 2024 12:07 PM ET




日本、フィリピンがそれぞれ新型ミサイル導入。選択に走らせたのは中国、北朝鮮なのに、「軍拡」を非難するのはなぜ

 中国が国際秩序の既存枠組みに挑戦する勢力であるため、周辺国が新規軍事装備を導入し抑止効果を高めるのは当然の動きなのであり、きっかけを作ったのは中国であり北朝鮮なのですが、これだけの予算があれば◯◯何万人分の△△予算に相当するからと心情的に反対しても中国を利するだけです。国民への教育が必要な所以です。この点でメディアも意識する必要があります。Breaking Defense記事からのご紹介です。

 

フィリピンと日本両国で中国に備えた長距離ミサイル調達のマイルストーンが迫ってきた

フィリピンは3月末までに初の対艦巡航ミサイル「ブラモス」を、日本もトマホーク・ミサイルの運用訓練を開始する

西太平洋における領土周辺で中国がますます攻撃的になっているため、米国の同盟国フィリピンと日本は、射程拡大型の新しいミサイル整備で重要なマイルストーンに近づいている。

3月末までに、フィリピンは最初の対艦巡航ミサイル「ブラモス」 BrahMosを保有する予定であり、日本はトマホーク・ミサイルの運用訓練を開始する。これらの獲得は、紛争において中国に対抗する最善の方法は、中国の軍艦を寄せ付けないスタンドオフ兵器だという信念の高まりを反映している。

このようなアプローチをとっているのは日比両国だけではない。北京の海外での行動と国内でのミサイル開発、そして北朝鮮による同様の動きは、「地域の安全保障を弱体化させ、それに呼応するように他国を長距離攻撃能力の向上に駆り立てている」と、国際戦略研究所はアジアの長距離攻撃能力に関する最近の報告書で述べている。

東京やマニラが求めているミサイルは、中国や北朝鮮が持っているものとは「類似」せず、「長距離攻撃能力への注目は、当面は軍備管理上の制約を受けそうにない地域の軍拡競争を助長している」と報告書は述べている。「したがって、アジア太平洋のすべての国々が、水平的にも垂直的にも軍備を拡大し続ける可能性が高い」。

フィリピンの新型ミサイル導入

マニラは2022年1月、ブラモスミサイルで初の外国購入国となり、3個部隊、訓練、サポートについて約3億7000万ドルの契約を結んだ。「世界最速の超音速巡航ミサイルであるブラフモスミサイルは、わが国の主権と主権的権利を損なおうとするいかなる試みに対しても抑止力を提供する」と、デルフィン・ロレンザーナ国防長官(当時)は契約締結時に述べた。

ロシアとインドの合弁企業による開発のブラモスは、フィリピン海軍の陸上対艦ミサイルとして採用された。同ミサイルは、スプラトリー諸島周辺やフィリピンと台湾の間の戦略上重要な海峡の目標に到達できる180マイルの射程距離と、目標が反応できる時間を短縮するマッハ2をはるかに超える巡航速度を持つ。

フィリピン軍の要員は、2023年初めにフィリピン海兵隊が運用するブラフモスの訓練を受けた。フィリピン国家安全保障会議のジョナサン・マラヤ報道官は、ミサイルシステムは3月までに到着すると述べた。フィリピン軍参謀総長のロメオ・ブラウナー・ジュニア将軍も昨年秋、陸軍がブラモスミサイルを取得し、海兵隊と運用することで、沿岸防衛の「隙間をカバーする」ことを計画していると述べた。

マニラのブラモス購入と軍事近代化は、南シナ海におけるフィリピンの民間人や治安部隊への中国の攻撃的な行動によって、外部からの脅威に対する懸念が高まっていることを反映している。対艦ミサイルの購入が「最初に構想された」翌年である2018年に発表された国家安全保障に関する文書では、南シナ海の紛争が「フィリピンの主権と領土保全に対する安全保障上の最大の課題」とされている。

この状況は、3月4日に中国の沿岸警備隊がフィリピン船舶に放水し、乗組員4人が負傷した事件で明らかになった。

1月に承認されたフィリピンの最新の軍事近代化計画は、「憲法の命令と義務によって、資源を保護し保全しなければならない我々の地域に」兵力を投射できるようにすることで、群島防衛戦略を実現することに重点を置いている、と国防長官のギルベルト・テオドロ・ジュニアは1月に述べた。

マニラはその戦略を「運用化しようとしている」と、デ・ラ・サール大学の講師で地政学アナリストのドン・マクレイン・ギルは2月のオンラインイベントで語った。ブラモスミサイルと米国製HIMARSの取得計画は、「特にこの戦略を加速させるために、この数カ月で最も重要な2つの側面と調達であると見られている」とギル氏は述べた。

米軍との最近の基地協定や他の兵器のテストは、「ミサイル攻撃と防衛のための分散配備へのさらなるステップだ」と、戦略国際問題研究センターのミサイル防衛プロジェクト・ディレクター、トム・カラコは言う。ブラモスの取得は、ロシア技術への依存に疑問を投げかけるものであり、「興味深い」とカラコは付け加えた。

日本の「反撃」計画

日本が2022年後半に決定した、敵軍への攻撃を可能にする反撃能力の開発は、自衛能力に限定してきた戦後の公約を大きく転換するものだった。2022年12月に発表された国家安全保障戦略によれば、これは、ミサイル防衛だけでは手に負えなくなった中国と北朝鮮のミサイルの脅威に対応するものだった。

日本へのミサイル攻撃は明白な脅威だ。「反撃は自衛のための必要最小限度の措置として行われる」とし、その能力を持つことで「日本は武力攻撃そのものを抑止する」とした。

2023年版の防衛白書は、侵略が試みられた場合、「相手の脅威包囲網の外から侵略軍をできるだけ早期に、できるだけ遠隔地で阻止し、排除する」スタンドオフ攻撃能力も必要だと述べている。

この能力は、国内開発の長距離ミサイルと海外から購入する長距離ミサイルによって提供される。外国製ミサイルの筆頭はアメリカ製トマホークで、北朝鮮や中国東部を標的に収める1,000マイルの射程を有する。

日本は当初、最新のトマホークの改良型であるブロックVを400発購入し、2026年と2027年に納入される弾道ミサイル防衛システムを搭載したイージス駆逐艦に配備する予定だった。(敵のミサイル発射装置と侵略軍の両方を打ち負かすとの言及は、日本が対地攻撃と対艦型トマホークの混合を望んでいることを示唆している、とIISSの報告書は指摘している)。

だが木原稔防衛相は10月、緊張の高まりからトマホークを優先するとし、ブロックVを200発と2025年から納入可能な旧型のブロックIVを200発要求したと述べた。アメリカは11月に購入を承認し、木原は1月にラーム・エマニュエル駐日アメリカ大使と契約書に署名した。政府関係者は2月、日本の海上自衛隊隊員が3月下旬からミサイルの運用訓練を開始すると発表した。(防衛省に日付の確認を求めたが回答がない)。

1月にエマニュエル大使は日本が「調達と抑止力へのコミットメントを示すため、資金を数年度にわたり分散させるのではなく、前倒しした」と述べ、この動きを称賛した。

横須賀アジア太平洋研究会議のネットワーク・コーディネーターであるベンジャミン・ブランディンは、トマホークや、射程を5倍の600マイル以上に拡大する12式対艦ミサイルの配備加速と並んで、日本はF-35を購入し、ヘリコプター空母を軽空母に改造し、南西諸島の防衛に投資していると述べた。「東南アジア諸国に提供された装備品に加えて、これらすべてが、東京の真剣さと全領域的な準備を物語っている」とブランディン氏は付け加えた。

米国によるC2支援がまだ必要だ

投資を行っているのは日本とフィリピンだけではない。オーストラリアも米国製の長距離ミサイルを求め、米軍と協力して地上配備型の長距離射撃装備を開発している。

「オーストラリアも日本も、最近の防衛安全保障見直しの中で、長距離攻撃と防空・ミサイル防衛を近代化の優先事項のトップ2に挙げています」と、カラコは本誌に語った。

東京とキャンベラが長距離攻撃能力を獲得することは、「この地域における通常抑止力を高めるための、歴史的にも切望されていた一歩を意味する」とカラコは述べ、ミサイルと極超音速攻撃能力に関する協力は、「米国と同盟国が、新たなミサイル時代の到来にどう対処するかの中心にある」と付け加えた。

新型ミサイルがその射程を拡大する一方で、ミサイルを目標に命中させるにはまだ支援が必要かもしれない。

オーストラリアは、情報・監視・偵察(ISR)能力へ投資を増やしているが、「長距離攻撃能力は、C4ISRを実現する広範なアーキテクチャへの米国の支援に依存し続ける可能性が高い」とIISSの報告書は述べている。

フィリピンの海上攻撃能力も同様の問題に直面しており、専用の軍事衛星がなく、長距離センサーを装備した水上艦船や航空機の数も限られている。米国の支援はこうしたギャップの解消に役立っているが、「マニラは、その運動能力と指揮統制能力をより効果的にリンクさせるために、さらなる装備を必要としている」。

日本にとって、弾道ミサイル防衛を任務とする艦艇に陸上攻撃任務を追加することは、「紛争時に大きな負担を強いることになる」と報告書は指摘し、標的を探知・追跡するための日本の資産も「不十分」だと指摘している。

東京は衛星やレーダーに投資して認識力を高め、部隊間やアメリカとの調整を促進する統合司令部の設置を計画しているが、経験が不足しており、「将来の対攻撃能力は日米同盟の傘下にとどまる可能性が高い」と報告書は述べている。

Philippines, Japan near long-range missile milestones as they arm up for China - Breaking Defense

By   CHRISTOPHER WOODY

on March 15, 2024 at 12:16 PM

Christopher Woody is a defense journalist based in Bangkok. You can follow him on Twitter and read more of his work here.


2024年3月17日日曜日

米空軍のロケットカーゴ開発事業が予算化、 革新的な補給プログラム実験が発射台に近づく

 実現すれば画期的な貨物輸送手段となります。そういえば、「地球防衛軍」(東宝 昭和32年)でもロケットで貨物を現場に届けるシーンがありましたね、想像力が当時の技術の先を走っていた、というか技術がそこまで追いついてきたということでしょうか。そんな大きなロケットが着陸しても敵に格好の標的にならないのか疑問も残りますが、実際の貨物輸送方法については今後の発表を待ちましょう。

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An artist’s concept for the Air Force Research Laboratory’s Rocket Cargo program. (AFRL)




ケットカーゴへの投資は、「戦術的に対応可能なタイムライン内で、世界中どこにでも国防総省の物資を輸送する手段の実現に重点を置いている」と、宇宙軍の25年度予算要求書は述べている。


空軍研究本部のロケットカーゴ計画ヴァンガードVanguardは、2025年度予算要求の中で、宇宙軍のプロトタイプの取り組みとして「リアルボーイ」の地位を獲得し、Point-to-Point Delivery(P2PD)という新しい名称も与えられた。

 研究・開発・試験・評価(RDT&E)は400万ドルと金額は小さいが、この資金要求は、文字通りロケットで軍需物資を移動させる実験的な取り組みを、宇宙軍で正式な「新たなスタート」としてマークしている。この要求には、年度外支出の予定が示されていないが、これはおそらく、FY25予算が技術の移行だけを目的としているからであろう。

 「P2PDプログラムの短期的な焦点は、ポイント・ツー・ポイント・デリバリー(P2PD)サービスの運用統合と実戦配備を通じて基礎能力分野を確立することであり、具体的には、空中投下デリバリー・システムのプロトタイプ開発と統合だ。「P2PDプロジェクトは、ロケットカーゴ・ヴァンガード・プログラムで開発した技術を統合し、さらにP2PDサービス・プロバイダーを特定、評価、認証する」。

 ロケットカーゴの当初のコンセプトは、地球上の基地から別の基地へ軍用キットを輸送し、展開中の部隊に迅速に装備を与えるというもので、宇宙軍はインド太平洋戦域での使用の可能性を視野に入れている。しかし将来的には、宇宙軍関係者は、宇宙基地の前哨基地や宇宙ステーションとの間で日常的に貨物を輸送する可能性も視野に入れている。プログラムの最終目標は、商業プロバイダーから配送サービスを購入することである。

 この投資は、「戦術的に対応可能なタイムライン内で、世界中のどこにでも国防総省の物資を輸送するために、宇宙から、または宇宙を横断する交通手段の利用に重点を置いている」と、宇宙軍の予算文書(j-books)は述べている。

 FY25予算は、特に「P2PDサービス・プロバイダーがエアドロップによるペイロード輸送を行うために必要な詳細なエンジニアリング設計を支援する」とJ-Booksに記載されている。

 AFRLは2021年6月、宇宙軍と米運輸司令部TRANSCOMと提携し、ヴァンガードプログラムの一環としてRocket Cargoを開始し、2022年1月にはSpaceXに1億200万ドルの契約を結び、同社の大型Starshipを使って宇宙空間に貨物を飛ばすことを検討している。TRANSCOMはSpaceX以外に、BlueOriginSierra SpaceRocket Labと無償の共同研究開発契約(CRADA)を結んでいる。

 宇宙軍の予算要求では、FY25の取り組みが「AFRLのこれまでの分析に基づいて、迎え角、ドアの位置、射出速度、コンテナのサイズ、反力、それらの力に対抗するため必要な予想される作動権限、飛行中に射出されるペイロードの空気力学について構築される」と述べている。  AFRLは風洞試験、分析、運用計画の第一段階を完了している。


Rocket Cargo is go! Air Force’s experimental resupply program moves closer to the launch pad

The investment in transitioning Rocket Cargo "is focused on utilizing vehicles that traverse from or through space to transport DoD materiel anywhere around the world within tactically responsive timelines," the Space Force's FY25 budget request says.

By   THERESA HITCHENS

on March 14, 2024 at 10:34 AM



TikTokは禁止されるのか、そもそも禁止できるのか。日本が触れたくないサイバーセキュリティと情報利用のジレンマの事例。

 

日本では意図的に無視している観もある、米国におけるTikTok禁止の動きですが、調査解析の行方によってはあらためてサイバーセキュリティ問題として中共による陰謀の疑いが強まってくるでしょう。米国では上院での可決がまだですが、法案が成立すれば、日本も動かざるを得なくなるはずです。その際にはちゃんと中共による犯罪だと明言してほしいものです。Defense One記事(もとはThe Conversation記事)からのご紹介です。



下院は2024年3月13日、TikTokの親会社である中国のByteDance社に対し、アプリを売却するか、TikTokの全国的な禁止措置を取ることを求める法案を352対65で可決した。ジョー・バイデン大統領は3月8日、同法案が同大統領の机に届けば署名すると述べていた。

 人気ビデオ・ソーシャルメディア・アプリは、2024年1月時点で米国内に1億4900万人のユーザーを抱える。多くは、禁止される可能性に抗議するため議会に連絡した。

 上院での法案の行方は不透明だ。その結果、どのような法案が法廷闘争に耐えられるかも不明だ。

 2023年5月17日、モンタナ州知事グレッグ・ジャンフォルテは、同州でTikTokを禁止する法律に署名した。この法律では、TikTokを提供するアプリストアと、同州で運営されている場合はアプリメーカー自体に1日あたり1万米ドルの罰金が課される。個人ユーザーには罰則は科されない。この法律は2024年1月1日に施行される予定であったが、連邦判事は、州が権限を逸脱しているかどうか、またこの法律が憲法修正第1条に違反するかどうかを判断する裁判が開かれるまでの間、これを阻止している。

 連邦政府は、多くの州政府や外国政府、一部の企業とともに、職場で支給される携帯電話でのTikTokをすでに禁止している。この種の禁止措置は、政府の業務に関連するデータを保護するためには有効である。

 しかし、アプリの全国的な全面禁止はまた別の問題であり、多くの疑問が生じる: そもそもTikTokはどのようなデータ・プライバシー・リスクをもたらすのか?コンテンツ推薦アルゴリズムは危険なのか?政府がアプリを全面的に禁止すること自体は合法なのか?アプリを禁止できるのか?

 サイバーセキュリティ研究者として、著者は数年おきに新しく人気のあるモバイルアプリがセキュリティ、プライバシー、データアクセスの問題を提起していることに注目してきた。

 アプリがデータを収集する理由はいくつかある。データがユーザーのためにアプリを改善するために使われることもある。しかし、ほとんどのアプリは、企業の運営資金を調達するためにデータを収集する。この収益は通常、収集したデータに基づいてユーザーを広告のターゲットにすることで得られる。このようなデータの使用は、次のような疑問を投げかける:アプリにこれだけのデータは必要なのか?データを使って何をするのか?そして、データを他者からどのように保護しているのか?

 では、TikTokはPokemon-GOやFacebook、あるいはあなたの携帯電話そのものと何が違うのだろうか?TikTokのプライバシーポリシーは、ほとんど読まれていない。全体的に、同社はその慣行について特に透明性がない。この文書は長すぎて、収集するすべてのデータをここに列挙することはできない。

 TikTokのプライバシーポリシーには、アカウント作成時に提供する情報(名前、年齢、ユーザー名、パスワード、言語、電子メール、電話番号、ソーシャルメディアのアカウント情報、プロフィール画像)以外に、いくつか気になる項目がある。位置情報、クリップボードのデータ、連絡先情報、ウェブサイトのトラッキング、さらにアプリを通じて投稿したすべてのデータや送信済みメッセージが含まれる。同社は、現在のアプリのバージョンでは、米国のユーザーからGPS情報を収集していないと主張している。

 ほとんどのアプリがデータを収集するのであれば、なぜ各国政府はTikTokを心配するのだろうか?第一に、中国政府がTikTokの1億5000万人の米国ユーザーのデータにアクセスすることを心配している。

 もしデータが中国政府の手に渡れば、問題はそのデータをどのように利用できるかだ。中国政府はそのデータを中国の企業と共有し、利益を得る手助けをする可能性がある。中国政府は長期戦になることで知られており、データは力であるため、もしデータを収集していれば、それが中国にどんな利益をもたらすかが判明するには何年もかかるだろう。

 潜在的な脅威のひとつは、中国政府がデータを使って人々、特に貴重な情報にアクセスできる人々をスパイすることだ。司法省は、TikTokの親会社ByteDanceが米国のジャーナリストを監視するためにアプリを使用していたとして調査している。中国政府には、米国政府機関や企業をハッキングしてきた実績があり、ハッキングの多くはソーシャル・エンジニアリング(人々のデータを利用して、より多くの情報を開示するようにだます行為)で促進されてきた。

 米国政府が提起した2つ目の問題は、アルゴリズムの偏りやアルゴリズム操作である。TikTokやほとんどのソーシャルメディアアプリは、ユーザーの興味を学習し、ユーザーがアプリを使い続けるようにコンテンツを調整するアルゴリズムを持っている。TikTokはアルゴリズムを共有していないため、アプリがどのようにユーザーのコンテンツを選択しているかは不明だ。

 アルゴリズムが、特定の物事を信じるように人々に影響を与える形で偏っている可能性もある。TiKTokのアルゴリズムが偏っており、若いユーザー間で否定的な考えを強め、世論に影響を与えるために使われているのではないかという疑惑は数多くある。アルゴリズムの操作行動は意図的なものではない可能性もあるが、中国政府が影響をユーザーに与えるためアルゴリズムを使用している、あるいは使用する可能性があるという懸念がある。

 懸案のモンタナ州法は、罰金により企業に禁止を強制することを目的としている。企業がこれに応じるかどうかは定かではないし、これによって回避策を見つけるユーザーを抑止できるとは考えにくい。

 連邦政府がTikTokを禁止すべきだという結論に達した場合、1億4900万人の既存米国ユーザー全員を禁止することは可能なのだろうか?そのような禁止措置は、おそらくアップルやグーグルのアプリストアを通じてアプリの配信をブロックすることから始まるだろう。しかし、アプリを使おうと決意している人々には、アプリをダウンロードしてインストールする他の方法がある。

 より抜本的な方法として、アップルやグーグルにTikTokが実行できないように携帯電話を変更させることだろう。筆者は弁護士ではないが、この努力は憲法修正第1条の問題を含む法的課題により失敗に終わると思う。要するに、絶対的な禁止を強制するのは難しいということだ。

 また、仮に禁止が可能でも、どれほどの効果があるのかという疑問もある。ある推定によれば、中国政府はすでにアメリカ国民の少なくとも80%の個人情報を各種手段で収集している。そのため、禁止令を出せば今後の被害はある程度抑えられるかもしれないが、中国政府はすでに相当量のデータを収集している。中国政府は、金を持っている他の誰であれ、個人データの大規模な市場にもアクセスできるため、データプライバシー規則の強化を求める声が高まっている。

 では、一般ユーザーは心配すべきなのだろうか?繰り返しになるが、ByteDanceがどのようなデータを収集しているのか、そしてそれが個人に害を及ぼす可能性があるのかどうかは不明だ。最も重大なリスクは、政治権力であれ企業内であれ、権力を持つ人々に対するものだと筆者は考えている。彼らのデータや情報は、他のデータにアクセスするために使われたり、彼らが関係している組織を危険にさらす可能性がある。

 TikTokで最も懸念される点は、ユーザーが見る動画を決定するアルゴリズムと、それが脆弱なグループ、特に若者にどのような影響を与えうるかだ。禁止とは関係なく、家族はTikTokやその他のソーシャルメディアプラットフォームについて、またそれらが精神衛生にどのような悪影響を及ぼしうるかについて話し合うべきだろう。会話は、アプリが不健康な道に導いているかどうかを判断する方法に焦点を当てるべきである。■



Should governments ban TikTok? Can they? - Defense One

By Doug Jacobson

PROFESSOR OF ELECTRICAL AND COMPUTER ENGINEERING, IOWA STATE UNIVERSITY

MARCH 14, 2024



This is an updated version of an article originally published on March 23, 2023, and updated on May 18, 2023.

This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.



2024年3月16日土曜日

ウクライナ戦で将官将校多数を喪失したロシア軍にはこれから大変な事態が発生しそうだ。愚かな指導者を有した国の悲劇。

こんな大義のない戦争、しかも決着が見えない戦争で軍人多数を失って、なぜロシア軍がクーデターをおこなないのか、逆に国民がなぜ怒りの声を上げず、プーチンが再選されてしまうのか、われわれには理解できない恐怖の支配がロシアを覆っているからでしょう。人的資源の喪失は国力の後退につながり、後世の歴史家はプーチンをロシア崩壊の原因を作ったと評することになるでしょう。そんなロシアを堂々と擁護する政治家、識者が日本に残っていることには驚きを隠せません。

ロシア軍に戦場で喪失した装備品より深刻な問題がのしかかる

2年間の全面戦争を通じ将校数千人を失った影響は、ウクライナ戦争におけるロシアの作戦テンポに大きく影響するだろう

シアによるウクライナ侵攻と10年にわたる紛争は、第二次世界大戦後のヨーロッパ大陸で最大の死者を出している。キーウとモスクワ間で死傷者数十万人が出ており、この戦争は犠牲を両国にもたらしている。

戦争を短期で決着がつくと予想していたロシア軍は、特殊作戦部隊、エリート海軍歩兵部隊、最優秀な部隊を急速に失った。中でも将校多数を喪失している。

将校数千人を失った影響は、今後のロシア連邦の全体的な作戦テンポに大きく影響するだろう。

ウクライナでのロシアの損失と部隊再配置

2022年の本格的侵攻の前から、GRUスペツナズなどロシアの特殊部隊の将校たちは、2014年以来ウクライナでの戦闘に参加していた。こうした将校はドンバス戦では最小限の死傷者しか出さなかったが、全面侵攻によってロシア軍は第二次世界大戦以降の紛争で最も大きな死傷者を出すことになった。

米英両国は、全体で少なくとも30万人のロシア人犠牲者を確認している。この戦争により、クレムリンは他の重要戦域から兵力を投入せざるを得なくなり、ロシアは重要な兵力を消耗している。

ロシアの部隊は、カリーニングラード、ウラジオストク(中国との国境)、フィンランドとの北部国境、シリア、占領下のジョージア、アルメニアに再配置され、戦場での損失を補っている。

ウクライナで死亡したロシア軍将校の人数

2024年3月初旬の時点で、ロシアは少なくとも3700人の将校を失っていることが、チェコを拠点にロシア将校の追悼と葬儀を追跡する「Killed in Ukraine」ブログによって確認されている。

この記事執筆時点(2024年3月8日)で、ロシア軍将校の損失は、将官7名(三ツ星1人、二ツ星6人)、大佐90人、中佐220人、少佐420人、大尉627人、上級中尉1010人、中尉700人、下級中尉130人である。

現在進行中の戦争で、戦場でロシア軍将校が失ったものを整理すると、2年間の全面戦争における下級、現場、上級指揮官の平均寿命は悲惨なものだ。記事を執筆の時点で、戦死した90人の大佐の平均寿命は8.5日に近い。中佐の寿命は3.3日で、少佐と大尉は現役戦闘で1~2日生き延びるのがやっとだ。

下士官不足がロシアの小部隊指導に打撃

ロシア軍には下士官(NCO)が存在しないため、将校部隊の損失はモスクワの攻撃力と防御力に悪影響を及ぼす。

下士官は、下士官兵や徴兵兵にとって重要な小部隊指導の中核である。西側諸国の軍隊にとって不可欠な存在であり、中国はその模倣に目を向けているが、ロシアは下士官部隊を持たず苦闘している。

下士官不足はしばしば、下級指揮官によるその場での批判的思考につながる。下級指揮官は通常、経験が浅く、小隊や中隊を指導する軍曹や二等軍曹がいない。

米国海兵隊は、小部隊でのリーダーシップと下級下士官への信頼の典型的な例である。歴史上、勇敢さでな賞を多数受賞したのは、下士官の行動によるものであり、下士官はその場で決断を下すことを許され、それにより仲間の命が救われたことも少なくない。

下士官部隊の核心的な側面は、任務の目的が達成されれば、下士官指導者が自分の判断で指揮を執る自由があることである。下士官や現場指揮官を失ったロシア徴兵兵は、しばしば命令なしに路頭に迷い、仲間同士の混乱や最小限のコミュニケーションにつながる。

 指揮官喪失の影響

経験豊富な将校に代わる戦場での昇進も、移動の自由を妨げる。部下に人気のある上級指揮官を、経験の浅い指揮官を擁する新部隊に置き換えようとすると、しばしば対立や批判を招くことになる。

その一例が、アレクサンダー・ラピン大佐の昇進であり、戦争推進派のロシア人軍事ブロガーたちから痛烈な批判を浴びた。ラピンは以前、2022年9月のハリコフにおけるロシア軍崩壊の責任者だった。

キエフとヴュレダール攻防戦の後、第155海軍歩兵が数回再編成されたように、ロシア軍の大きな損失はエリート部隊の悲惨な作戦にもつながる。経験の浅い将校がエリート部隊の指揮官の座に就き、不慣れな役割で彼らを使うことは、ロシア軍を悩ませ続けるだろう。

英国国防省によれば、ロシアの戦闘力と戦力投射力は、ウクライナ侵攻により少なくとも10年間は低下している。

ロシアの将校団の壊滅と下士官の不足は、進行中のウクライナ侵攻が消耗戦、本質的な計画、そして着実な後方支援能力に帰結するにつれ、重要な意思決定と戦時目標に大きな影響を与えるだろう。■


The Russian Military Has Bigger Problems in Ukraine Than Lost Tanks - 19FortyFive

By

Julian McBride


なぜボーイングはことごとく生産遅延を引き起こしているのか----KC-46とT-7の事例での最新状況

ボーイングの強気の営業姿勢がKC-46とT-7という大型案件で固定価格制を受け入れ、結果として大損失になっているのは同社の製造現場に理想と現実の大きなギャップがあるからでしょう。簡単に解決できる問題ではないようです。Breaking Defense記事からのご紹介です



ボーイングのKC-46A給油機とT-7A練習機、さらなる遅れに直面

空軍の調達責任者アンドリュー・ハンターは、KC-46Aの前途に潜在的な問題があると指摘し、T-7Aの生産開始は以前の予想より「少し遅れる」可能性があると述べている。


ーイングがKC-46Aペガサス空中給油機およびT-7Aレッドホーク練習機で締結した固定価格契約は、遅延、サプライチェーンの制約、開発の苦境に起因する数十億の損失の中で、航空宇宙大手の頭痛の種であった。そして今、空軍の調達担当官によれば、2機種でさらなる遅れが生じる可能性があるという。

 アンドリュー・ハンターAndrew Hunterは、火曜日に行われた下院の軍事海投射軍小委員会で証言し、KC-46Aで長い間問題となっていたビジョンシステムのアップグレードは2026年になりそうだと述べた。公聴会の後、ハンターは空軍がT-7Aトレーナーの生産を承認するのが以前の予想よりも遅れる可能性について "おそらく "と記者団に語った。

 RVS2.0と呼ばれるKC-46A用の新ビジョン・システムの運用について、ハンターは議員たちに「スケジュール上のプレッシャーがある」と語った。「連邦航空局(FAA)の耐空性認証プロセスの完了次第では、25年に実戦配備できる保証はない。26年になるかもしれない。そして、それは実際にそうなりそうだ」。

 公聴会の後、ハンターは記者団に対し、ペガサスの遅延の可能性はFAAの認証プロセスと関連していると説明した。RVS 2.0が統合される際、「機体の別の場所に影響を与えないようにしなければならない」ため、耐空性プロセスは見た目以上に複雑になる。

 ハンターは、空軍とボーイングが "正しい設計 "をしていると "確信している"とし、チームは "近い将来、完全な耐空性プロセスを通過するだろう "と付け加えた。

 ボーイングはこれまで、固定価格制のためペガサス・プログラムで70億ドル以上の損失を計上しているが、RVS 2.0の追加遅延でさらに損失が発生するかは不明だ。ボーイングは質問を空軍へ転送しているが、同社は新ビジョン・システムの能力がベースライン・バージョンより著しく向上していると宣伝している。

 ビジョンシステム問題にもかかわらず、同機は戦闘配備が許可されており、A-10を除くほとんどの米軍機への給油が可能だ。ハンターは昨年、米空軍が老朽化したKC-135給油機の再資源化を継続する新戦略の一環として、KC-46の追加購入に傾いていることを示唆した。

 ロッキード・マーチンが撤退を表明したため、空軍が競作を決定した場合の代替案として、ヨーロッパのエアバスを位置づけている。

 ハンターは今週の証言で、自律能力が将来の空中給油に組み込まれる可能性があると述べたが、次のタンカー調達の必要条件にはならないと記者団に語った。

 自律給油については、「独立した取り組みとして検討し、将来的に実用化する可能性がある」と述べた。

 火曜日に行われた書面証言で、ハンターはさらに、ボーイングとの現行契約を若干拡大し、4機のKC-46Aを追加し、合計183機のプログラムとなるだろうと述べた。


T-7Aは「予想より若干遅れる」


一方、予算文書では、老朽化したT-38タロンに交代するT-7Aレッドホーク練習機の2025年度調達を14機から7機に半減する空軍の決定が確認され、このプログラムでも遅延があることを示している。

 このプログラムは2年以上の遅れを反映させるために昨年再検討された。特に、空軍が新たな飛行制御の欠陥の発見を狙った飛行テストに移行が進行中だった。

 同訓練機のスケジュールはさらに遅れる可能性があるようだ。空軍が月曜夕方に発表した25年度予算案によると、マイルストーンCの決定(空軍が公式に生産開始を承認する時点)は2025年5月と予測されている。以前は、2025年2月と計画されていた。

 遅れを軽減するため、ボーイングは最終的な生産決定に向け、長期リードパーツの購入を開始した。このアプローチには、早期生産を監督するための空軍、ボーイング、国防契約管理局間の特別協定が必要であったが、空軍は本誌にこの協定が成立したと昨年伝えている。

 さらに、Aviation Weekが以前指摘したように、予算文書によれば、同機の初期運用能力は、27年度第2四半期から28年度第2四半期へ、1年遅れる可能性がある。ボーイングはこれまで、レッドホーク・プログラムで約13億ドルの損失を計上しており、新たな遅延がさらなる損失につながるかは不明だ。KC-46と同様、同社はT-7Aに関する質問を空軍に転送している。

 火曜日の公聴会後、ハンターは記者団に対し、25年度にT-7Aの購入を半減する決定は、トップラインの財政圧迫の結果と説明した。それでも、レッドホーク7機というロットサイズは、サービスにとって「良いスタート地点だ」と述べた。

 また、飛行試験プログラムの開始が遅れれば、訓練機の生産承認が予想より遅れる可能性があると述べた。最初のT-7Aは11月にエドワーズ空軍基地に到着した。

 「予想より少し遅れて飛行試験プログラムに入ったので、生産開始も予想より少し遅れる」とハンターは述べ、「現在の飛行試験プログラムは比較的順調に進んでいる。想定外の事項が発見されなければ、25会計年度には生産開始できると思う」。

 2025年2月のマイルストーンC日程が危ういのかとの質問に、ハンターは「マイルストーンCは未定だ。テストプログラムがどのように実施されるかを見守る必要がある」と答えた。■


Boeing’s KC-46A refueler, T-7A trainer face more delays

Air Force acquisition chief Andrew Hunter noted potential troubles ahead for the KC-46A and said T-7A production could start "a little later" than previously anticipated, but he remained confident about the way forward for the two aircraft.

By   MICHAEL MARROW

on March 13, 2024 at 2:23 PM


https://breakingdefense.com/2024/03/boeings-kc-46a-refueler-t-7a-trainer-face-more-delays/