2022年6月23日木曜日

旧式機材を整理したい米空軍に議会が反発。F-22初期型33機、E-3AWACS15機の削減に抵抗。A-10削減は認める方向。

 f-22s

U.S. Air Force photo by Senior Airman Jessi Monte

 

軍が作成の最古参のF-22ラプター戦闘機33機の処分計画を、下院軍事委員会は鋭く非難し、代わりに2023年国防認可法案NDAAでラプター部隊の維持と旧機材を最新構成にアップグレードすることを義務付ける動きに出た。

アメリカ空軍が訓練専用の初期型F-22を引退させようとしているのは、維持費が高く、戦闘用機材とのミスマッチがますます拡大しながら、訓練プラットフォームとしての価値が低下しているためだ。空軍関係者によれば、該当機のアップグレード費用は約10億ドルになり、手頃な水準ではなかったという。 

しかし、6月20日発表のHASC議長の論点は、機体の退役計画を阻止するだけでなく、F-22全機を少なくとも「ブロック30/35のミッションシステム、センサー、武器運用能力」にアップグレードするよう、空軍に指示するものとなっている。

下院委員会による草案は、上院軍事委員会がNDAAに盛り込んだ内容からさらに踏み込んでおり、「準備態勢の低下や戦闘能力の低下を避けながらF-22搭乗員を訓練するための詳細な計画書」なしにはF-22を退役させないよう求めている。

背景説明で、HASCスタッフは記者団に対し、F-22全機に戦闘能力を持たせることが、超党派でコンセンサスのある委員会の見解である、と述べた。別のスタッフは、戦闘機の保存を 「リスク軽減 」と呼んだ。

「2010年に空軍がF-22は187機でプログラムを縮小させたとき、F-15Cの234機とともに、必要であればいつでも有事の要求に応じられる訓練能力を常に維持していると言っていた」。「空軍はF-15Cを全機退役させ、F-15EX購入を半数に減らし、(次世代制空機は)当初の話より先送りし、今度はF-22の能力を減らそうとしているのです。将来の航空優勢の要件を満たすには大きなリスクとなると考えます。このため、空軍に、訓練用機材を戦闘投入可能機材にするという約束に責任を持たせる」。

法案には、事故などで「任務遂行能力を失い、修理も不経済」と判断された場合に限り、空軍長官がF-22を退役させ、186機の戦闘機在庫を下回るのを認める例外規定がある。

下院委員会は6月22日に開催され、NDAAの最終版作業を行う予定である。各委員会を通過した法案は、本会議で承認された後、会議委員会で調整される。

AWACS

下院軍事委員会は、空軍が保有するE-3 AWACSセントリー15機(保有機数の約半分)を退役させる計画にも異議を唱えた。委員会の法案は、空軍が将来の空中警戒管制計画、空中移動目標指示・戦闘管理・指揮統制能力の開発、AWACS15機退役の影響、E-3と空軍の代替機材E-7ウェッジテイルの詳細比較について報告するまでE-3では10機のみ退役を認めるというもの。

A-10

下院軍事委員会は、空軍のA-10「ウォートホグ」攻撃機の削減計画を受け入れ、さらに空軍が維持すべきA-10の最小数を171機から153機に減らす措置をとった。この動きは、21機のインディアナ州空軍のA-10をF-16に置き換える空軍計画を支援するものと思われる。議会は長い間、同近接航空支援機を退役から守ってきたが、今年、上下両院の委員会は、A-10では高度な敵に対する任務には適さないとする空軍指導部の主張に耳を傾け、ある程度の退役は認める構えのようだ。■

House Moves to Upgrade, Not Retire, Oldest F-22s - Air Force Magazine

 

June 20, 2022 | By Greg Hadley

 

 

 


急変、F-15EXの前途に黄色信号。ボーイングの皮算用は空回りになるのか

 

F-15EX. Image Credit: Creative Commons.  

 

F-15 EX がキャンセルされる?

F-15イーグルは、1970年代に対地攻撃を考慮せずに設計された航空優勢に特化した機体だ。そのため、F-15は空中目標との交戦やドッグファイトに優れており、第4世代の空対空戦闘機として傑出していたが、地上の目標と交戦するシステムや能力は不足していた。1980年代、F-15EはF-15に空対地戦闘のオプションを提供するべく作られた。F-15Eは、イーグルの空対空能力を維持しつつ、空対地モードを追加し、任務の幅を広げた。

F-15EX:危機に瀕したプログラム?

ボーイングによれば、F-15EX新型機は生産準備が整っている。しかし、実際に空軍が発注するのは何機なのか、そして同計画は危機に瀕しているのだろうか。

F-15EXは2021年2月に初飛行した。同年3月、ボーイングはF-15EXの初号機を米空軍に引き渡した。納入は、約20年ぶりのUSAF向け新造イーグルとなり重要なものだった。F-15EXは、アメリカ空軍がボーイングに対して、要件を満たす機体の作成について非常に慎重に問い合わせたことで、密かに開発された機体だ。つまり、アメリカ空軍は、運用コスト、調達コスト、低リスクで、F-35調達を妨げない新しいジェット機を望んでいた。ボーイングのソリューションは、F-15イーグルの更新だ。アメリカ空軍は2001年以来、第4世代戦闘機の納入を受け入れていなかった。

F-15EXは、2001年以降に米空軍に納入されたあらゆる戦闘機と異なり、ステルス機能は搭載されていない。従来のF-15と同様の高い視認性を有している。ステルスはともかく、新型F-15には多くの改良点がある。

フラットパネルガラスコックピット、JHMCS IIヘルメットマウント(HMD)、翼内部構造の見直し、フライバイワイヤー制御、APG-82 AESAレーダー、外翼ステーション1および9の起動、高度ミッションコンピュータ、ロープロファイルヘッドアップディスプレイなど、印象深い構成になっています。無線・衛星通信の更新、高度な電子戦・電子監視システムEPAWSS(Eagle Passive Active Warning Survivability System)、レギオンポッド搭載の赤外線捜索・追跡システム(IRST)など、数え上げればきりがないとウォーゾーンは報じている。

F-15EXで最も印象的なアップデートの1つは、耐用年数の延長だ。F-15EXは何と20,000時間使用に耐えられる。この数字を考えるに、最新のブロックIII F-18 スーパーホーネットの耐用年数は1万時間だ(ブロックIIスーパーホーネットの耐用年数はわずか6000時間)。F-15EXの耐用年数は世代を超えており、今後数十年間も米空軍で活躍する可能性がある。ただし、米空軍がF-15EXを必要とするならば、である。

F-15EXは終わり?

突然だが、アメリカ空軍はF-15EXの調達をキャンセルし、発注を縮小する可能性があると言われる。批評家たちは、この戦闘機は高すぎるし、時代遅れと言っている。ヘリテージ財団の研究員ジョン・ベナブルは、現代の地対空ミサイル(SAM)システムは、非ステルス型のF-15EXでは対応不能、つまり同機はアメリカ国内の防衛パトロールに限定される、と考えている。しかし、F-15EXは一度に最大22発の空対空ミサイルを搭載することができ、国内防衛には完全にオーバーキルだ。

他の学者も同じ意見だ。「F-15EXは予算の無駄遣いだ」と、Rogue States Projectの社長兼CEOで著名な防衛専門家であるハリー・J・カジアニスHarry J. Kazianisは、19FortyFiveのインタビューで説明している。「F-35のステルス性がないまま、S-400の防衛力で守られているロシアや中国の領空に入れば、撃破されそうな戦闘機に、なぜ何十億も費やす必要があるのか?アメリカ空軍のパイロットを死に追いやることになる」。

2023会計年度の予算要求は、F-15EXプログラムが問題を抱えている可能性を示唆しており、わずか18機分の資金が確保されたのみだ。既存のF-15C型とD型の後継機をEXに置き換える当初の計画は、保留されるようだ。米空軍は、ステルス性と汎用性に優れたF-35と、老朽化しコストが低下した第4世代の主力戦闘機による戦力構造で、F-15EXがどこに適合するか、まだ判断していないようだ。 ■

Is the F-15EX On the Brink of Being Canceled? - 19FortyFive

ByHarrison KassPublished1 day ago

Harrison Kass the Senior Defense Editor at 19FortyFive. An attorney, pilot, guitarist, and minor pro hockey player, he joined the US Air Force as a Pilot Trainee but was medically discharged. Harrison holds degrees from Lake Forest College, the University of Oregon, and NYU.. He lives in Oregon and listens to Dokken.


Know Your Enemy:日本が平和国家路線を変更したことを脅威に感じる中国

 環球時報の論説記事です。

CCPとしては日本が存在感を強め、敏感な台湾や東シナ海、南シナ海に口出ししてくるのは抑えたいのでしょう。そのため、日本国内の「平和勢力」が「良心の声」を上げるのを期待しているのでしょう。ウクライナ戦で日本いや一部国除く世界の世論がどう変わったかCPCは理解できないのでしょうね。参院選の結果を見てもフェイクだと受け付けないのでしょうね。執拗にアベガーの声を上げる人たちはこの路線に通じていますね

 

Know Your Enemy KYE

https://knowyourenemy2022.blogspot.com/

が軌道に乗るまで、T2共通記事とさせていただいています。

 

   

Illustration: Chen Xia/Global Times

Illustration: Chen Xia/Global Times


 

 

平和的発展戦略から逸脱した日本が最大の脅威

劉建英

掲載 2022年06月22日 

 

日本の岸田文雄首相はマドリードで来週開催されるNATO首脳会議に出席するだけでなく、報道によると、韓国、オーストラリア、ニュージーランドと四者会談を行い、「自由で開かれたインド太平洋」ビジョンを推進することも検討しているようだ。日本政府は防衛費増加で攻撃的な軍事能力を開発し、台湾問題への干渉でもさらに前進している。

 

今日の日本が直面する最大の脅威は、外部安全保障環境というより、国家戦略からの逸脱だ。戦後の平和主義憲法の下での平和的発展の軌道から外れ、遠い国と付き合い、近い国を攻撃するという軍事・外交戦略を採用したことを指す。

 

まず、安倍晋三前首相の就任以降の日本外交の大きな変化の一つは、外交と安全保障の漸進的な統合である。外交を広範かつ積極的に行うのは、外務省ではなく、防衛省である。両者の役割は異なるが、軍事的安全保障を抜きに、日本の外交、特に対中政策の本質と全貌を見ることはできない。

 

第二に、内部的には憲法改正を求め、外部的には「自由で開かれたインド太平洋」を通じ中国との地政学的なチェックアンドバランスを実現することが、日本の国家戦略の主要な目標となっている。岸田内閣は安倍首相からこの目標を引き継ぎ、自民党内で憲法改正支持派が優勢になった。実現すれば、武器輸出や共同戦力化など軍事な協力が可能になるが、平和を愛する日本国民はそれを許さないだろう。

 

日本の対外戦略は、日米同盟を核に多数国との準軍事同盟の構築、中国と米国の矛盾を利用し、台湾海峡、東・南シナ海に公然と介入し、軍事的には「共同で中国を締め上げるよう各国に求める」方向にシフトしている。

 

日本の国家戦略目標は、単に米国追従で設定されたものではない。実は、米国、日本、オーストラリア、インドで構成されるクアッドの概念を作ったのは、日本である。2016年、安倍首相は「一帯一路」構想に対抗して、いわゆる「自由で開かれたインド太平洋」戦略を正式に提唱した。2017年、アメリカは中国に対して「インド太平洋戦略」を策定した。いわゆるインド太平洋地域はバイデン政権が戦略の中核に位置づけている。

 

年内に導入される新国家安全保障戦略では、日本のインド太平洋戦略のアップグレード版として、NATO軍を「インド太平洋」に迎え入れ、日米欧による対中・対露・対北朝鮮の同盟を形成し、ASEANと韓国を取り込む案が出てくるかもしれない。

 

また、日本は「反撃能力」を持つことを決め、さらに憲法の制限を破り、5年以内に防衛費の対GDP比を1.24から2%に引き上げるだろう。これは、日本の国家安全保障にとって、高コストで低安全保障という危険かつ持続不可能な道となる。

 

第三に、台湾と釣魚島に関する問題で、日本は米国に追従しているだけでなく、中国と米国の戦略的矛盾を積極的に利用して利益を上げている。台湾問題で中国と米国が正面衝突し、双方が損をし、日本が得をすることになると予想する人が日本にいる。 

 

釣魚島問題では、日本は率先して米国を防衛に参加させ、米国を釣魚島の領有権で日本側に引き込み、中国に手を引かせるつもりである。米国は日本に主導権を握られたくないのは確かだが、覇権主義の論理に陥り、中国に対抗するため日本を最大の助っ人として利用したいのだ。こうして米国は、日本の国家戦略の転換と軍備拡張に貢献している。■ 

 

Japan's deviation from peaceful development strategy the greatest threat to itself - Global Times

By Liu Jiangyong

Published: Jun 22, 2022 07:57 PM

 

The author is vice dean of the Institute of Modern International Relations at Tsinghua University. opinion@globaltimes.com.cn


ウクライナ戦の最新状況(現地時間6月22日現在)

 


The overall battlefield as of June 22. (UK MoD)


ロシアのウクライナ侵攻が始まり119日目となった。水曜日、ドンバスでの戦闘は、ロシア軍がウクライナに残るセベロドネツクの最後の街区を奪おうとする中、続いている。



ドンバス地方でのロシアの前進

ロシア軍は、セベロドネツクへの正面攻撃は効率が悪いため、ウクライナの重要な同市を後方から包囲しようと試みている。シヴァスキー・ドネツ川があるため、前線から直接迂回するのは難しい。数週間前、ロシア軍は同川を迂回しようとしたが、その過程で約80台の戦車、装甲兵員輸送車、歩兵戦闘車両を失い、目的を達することができなかった。


その結果、ロシア軍司令官は南(バフムト)と北(イジウム)から進攻し、大きな釜を作り、ウクライナ軍を中に閉じ込めようとしている。ロシア軍には急速な進攻を実現する統合戦能力がないため、こうした努力はほとんど成功していない。しかし、現在、南方で若干の進展が見られる。



The Russian attempts to create a cauldron in the Donbas. (ISW)




「ロシア軍は6月21日にセベロドネツク南東の集落で数回の進攻に成功し、シバースキー・ドネツ川の困難な対岸横断を避けながら、今後数日間でリシチャンスクを脅かすかもしれない。ロシア軍は、ウクライナの地上通信線(GLOC)を妨害するため、リシチャンスク-バフムト高速道路T1302沿いの集落への攻撃を続けている」と戦争研究所は紛争に関する最新情報の中で評価している。


ロシア軍の損失

ウクライナ軍は毎日、ロシア人犠牲者数を発表している。これらの数字は公式の数字であり、個別に検証されたものではない。


しかし、西側の情報機関の評価と独立した報道は、ウクライナの主張する死傷者数をある程度裏付けている。例えば、オープンソースの情報調査ページ「オリックス」は、約800台のロシア戦車を破壊または拿捕したことを目視で確認しており、この評価は英国国防省によって確認されている。


他のウクライナ側の主張のほとんどについても、同じような独立した検証が存在する。つい最近、米国防総省は、ロシア軍が1,000両以上の戦車、数十機の戦闘機やヘリコプターを含むあらゆる種類の戦闘車両数千台を失ったことを認めた。


さらに、西側情報機関の関係者を引用した最近の報道では、ロシア軍はこれまでの戦争で最大2万人の死者を出したという。

実際の数字を確認するのは、現地にいないと非常に難しい。しかし、戦争の霧やその他の要因を調整した後、西側の公式数字はウクライナの主張とかなり近いという。



水曜日の時点で、ウクライナ国防省は以下のロシア人犠牲者を主張している。

  • 戦死34,230(負傷、捕虜は約3倍)

  • 装甲兵員輸送車3,614

  • 車両および燃料タンク2,543

  • 戦車1,496

  • 大砲752

  • 戦術的無人航空機614

  • 戦闘機、攻撃機、輸送機 216

  • 多連装ロケット(MLRS) 239

  • 攻撃・輸送用ヘリコプター 182

  • 撃墜した巡航ミサイル137

  • 対空砲台99

  • 架橋装置などの特殊装備60

  • ボートおよびカッター 14

  • 移動式イスカンダル弾道ミサイル4基


マリウポリの戦いで撃破されたロシア戦車。 (Ukrainian Ministry of Internal Affairs)


過去数週間、ドンバスで継続的な圧力と攻撃作戦を実施ているにもかかわらず、ロシアの死傷者の割合は大幅に減速している。これは2つのことを示唆している。1つ目は、ロシア軍の指揮官が攻撃作戦に慎重になっていること、2つ目は、ウクライナ軍が戦闘力や弾薬を使い果たしつつあることで、これは3カ月以上にわたるロシア軍との戦争で予想されたことである。最近の現地からの報告によると、この2つの要因はいずれも事実であり、戦いの疲労が双方に追いついてきているようだ。


先月はスロビャンスク、クリビヤリ、ザポリジャー周辺で激しい戦闘が続いたため、ロシア軍の死傷者が最も多かった。日が経つにつれ、激しい戦闘はスロビャンスクの南東にあるバフムト方面、ウクライナの重要な町セベロドネツク、ライマン周辺に多く移行していった。


その後、ヨーロッパ最大の原子力発電所があるザポリジヤ周辺でのウクライナ軍の反攻により、最も多くの犠牲者が出た場所は、再び西に移動している。


水曜日、ウクライナ軍は、ロシア軍が進攻しセベロドネツクを後方から遮断しようとしているバフムト付近と、ドネツクに近いアブディフカ方向で最も大きな犠牲を出した。 


ロシア軍の東方再攻略の目的は、ドネツクとルハンスクの親ロシア派の離脱地域を完全に支配し、これらの地域と占領下のクリミアの間に陸上回廊を作り維持することであると表明している。■


YOUR TACTICAL UPDATE ON UKRAINE (JUNE 22)

Stavros Atlamazoglou | June 22, 2022


https://www.sandboxx.us/blog/your-tactical-update-on-ukraine-june-22/


2022年6月22日水曜日

リトアニアがカリニングラードのロシア飛び地への貨物搬送を規制する理由とは

スウォーキーギャップは、リトアニアとポーランド国境に続く、ベラルーシとロシアのカリーニングラード間の回廊。

 


トアニアは土曜日、EU制裁対象のロシア製品の通過禁止措置をとり、ロシアの飛び地であるカリーニングラード州を切り離した。

 同州のアントン・アリカノフ知事によると、この禁止措置で、同州に入る全商品の半分が遮断され、大半は鉄道を経由して運ばれるという。また、カリーニングラード州で唯一のロシアからの石油パイプラインも遮断される。

 この動きは、4月に行われたロシア公認の航空会社21社に対するEUの飛行禁止措置の上に行われ、同様にカリーニングラードへの物資輸送を阻止するものだ。同領域への輸送方法は、国際海域を通る海路のみとなった。

 これに対してロシアは、リトアニアが「深刻な」不特定の結果に直面することになるだろうと述べている。

 リトアニアはNATO加盟国であるため、ロシアが直接軍事行動を起こせば、条約第5条が発動され、同盟国全体がロシアと戦争状態になる。バイデン米大統領は一般教書演説で、NATOの領土を「隅々まで」守ることを誓った。3月にはリトアニアへの駐留を強化し、駐留軍を約1,000人にまで増やした。


カリーニングラード州はどこにあるのか?

南はポーランド、東と北はリトアニアに挟まれたバルト海沿岸に、山のくぼみのように孤立した港町、カリーニングラードがその名の由来である。


なぜカリーニングラード州はロシアの一部なのか?

カリーニングラード州は、ロシア領だ。首都モスクワから約680マイル離れた飛び地である。

 第二次世界大戦終結後、ポツダム会談でソ連はカリーニングラード領の支配権を得た。1991年のソ連崩壊後もロシア連邦に属し、周囲には新たに独立した国々が生まれ、西側と密接な関係を持つようになった。ポーランドとリトアニアがNATOに加盟した。


なぜカリーニングラードは重要なのか?

カリーニングラードは、バルト海で唯一、年間を通した不凍結港であり、ロシア海軍の重要な拠点である。北極海を通る北方航路で北欧を一周する必要がないため、戦略的に重要な位置にある。。

 カリーニングラードは、ロシアがNATOの戦線の背後に海軍の艦艇を駐留させていることも意味する。

 リトアニアによると、ロシアは艦隊とともに、核兵器も領土内に駐留させている。ロシアは3月、「わが国に対する攻撃的な発言」を行うNATO諸国からの圧力が高まっているとし、核戦力の厳戒態勢を命じた。

 NATO領域内に配備された短・中距離弾道ミサイルに搭載された核弾頭は、欧州の目標に到達するまでの時間が限られているため、ロシアにとってより確実な先制攻撃となる。


ロシアの反応は?

ロシアはリトアニアの動きに憤慨し、リトアニア国民が痛みを感じる形で対応すると宣言しているが、それをどのように達成するかは明言していない。

 ロシアは、通過禁止を「封鎖」と呼び、この動きは国際法違反だと述べている。カリーニングラードは、商品や資材をロシアからの輸入に大きく依存する。

 リトアニアは、2月末のウクライナ侵攻以来、ロシアに実施中のEU制裁を遵守するための措置に過ぎないと擁護している。

 リトアニア外務省は声明で、「リトアニアを経由するカリーニングラード地方への旅客および非制裁物資の通過は、途切れることなく続いている」と述べた。「リトアニアは通過に対して、一方的、個別的、あるいは追加的な制限を課していない。リトアニアは、EU制裁を一貫して実施している」と発表。■


Why is Lithuania risking Russia's wrath over Kaliningrad?

By Ryan White

 Jun 22, 05:06 AM

 


About Ryan White

Ryan White is a reporting intern at Sightline Media. He is currently a senior at The University of Maryland, College Park studying journalism.


対空、ミサイル防衛、対地攻撃に加え、対艦攻撃能力まで実証したSM-6はオールマイティの装備品だと証明された

 SM6 Launch Valiant Shield

USN

 

ヴァリアント・シールド22演習で、SM-6 ミサイルが退役フリゲート艦を撃沈した

 

 

海軍は先週のヴァリアント・シールド演習の最後に、退役フリゲート艦をスタンダード・ミサイル6(SM-6)で沈め、「マルチドメイン、多軸、長距離海上攻撃の調整」のデモンストレーションを行った。沈没演習(SINKEX)は、2週間にわたる演習のフィナーレを飾っただけでなく、SM-6で進化中の水上戦能力を示し、同ミサイルに用途が追加された。

 

SM-6は、航空機や巡航ミサイルのような飛翔体の脅威を撃墜する中核的な能力だけでなく、飛翔最終段階の弾道ミサイルを狙ったり、場合によっては極超音速兵器に対応したり、さらに陸上攻撃能力も備える。

 

6月17日に行われたSM-6の対艦任務のデモンストレーションでは、アーレイ・バーク級駆逐艦USSベンフォールド(DDG-65)がミサイル一発が発射され、退役したオリバー・ハザード・ペリー級フリゲートUSSバンデグリフトを標的にした。

 

バンデグリフトに激突したのはSM-6だけではありません。海軍は、「一連の実戦的なイベントで、海上環境における統合部隊の射撃と効果発揮の能力を示した」と記述し、「新兵器は通信技術とともに、サイバー効果を統合し、海上での地表目標に対する長距離、精密、致死的、圧倒的な多領域攻撃を行うためにテストされた」と主張している。

 

米空軍によると、ベンフォールドが発射したSM-6は「バンデグリフトの沈没に大きく影響した」というが、その他にも空母USSロナルド・レーガン(CVN-76)、ロサンゼルス級攻撃型潜水艦USSキーウエスト(SSN-722)の固定翼機やヘリ、さらに第28爆撃隊のB-1Bランサー、米海兵隊のF/A-18とF-35B戦闘機などがSINEXに参加している。

 

キーウェストがMk48重魚雷やハープーンを発射したのは確実だが、海兵隊F/A-18は空中発射のハープーンを搭載しているのが確認された。B-1は、AGM-158C長距離対艦ミサイル(LRASM)または他の精密兵器を搭載していた可能性がある。F-35BもLRASMを搭載するが、海上での役割が高まっている統合直接攻撃弾(JDAM)を搭載していたようだ。

 

ハープーン対艦ミサイルで武装し、ヴァリアント・シールド22に参加するため、アンダーセン空軍基地で離陸準備をする米海兵隊のF/A-18Dホーネットon June 14, 2022, to participate in Valiant Shield 22. U.S. Marine Corps photo by Cpl. Tyler Harmon

 

 

SM-6による攻撃は、駆逐隊15(DESRON15)の乗組員が調整し、USSロナルド・レーガンの戦闘情報センターが交戦を主導した。

 

2年に1度のヴァリアント・シールド演習の2022年版は、フィリピン海のロナルド・レーガン空母打撃群を中心に行われた。同訓練は、外洋上で各種目標を探知、位置確認、追跡、交戦するため各種資産が協力するなど、共同訓練に重点を置く。今回の訓練には、前方配備中のUSSロナルド・レーガンのほか、USSエイブラハム・リンカーン(CVN-72)、強襲揚陸艦USSトリポリ(LHA-7)、各空母の航空機、護衛の駆逐艦巡洋艦が参加した。

 

SM-6 の対地戦使用は、海軍で比較的新しい展開だが、対艦ミサイルの重要性が再び高まる中、非常に重要な存在になる可能性がある。

 

SM-6は、ソフトウェアのアップグレードで、対地戦能力、航空戦能力、弾道ミサイル端末防衛能力を追加している。2016年にハワイ沖の太平洋ミサイル発射施設で駆逐艦USSジョン・ポール・ジョーンズがやはり退役フリゲート艦USSルーベン・ジェームズを標的にSM-6を発射し、初めての対艦実験となった。

 また、昨年4月には、アーレイ・バーク級駆逐艦USSジョン・フィンから発射されたSM-6が、模擬地上標的に発射されるという、重要なテストが行われた。

 

SM-6を対艦兵器として使用できるということで、従来のハープーンより大幅に射程が長いミサイルを手に入れたこととなる。ハープーンBlockIIの射程が約75マイルであるのに対し、SM-6はその2倍以上の射程を誇る。SM-6は水上攻撃に最適化された弾頭を搭載しないが、マッハ3超の高速弾道であるため、殺傷力は向上する。誘導システムは、アクティブレーダーシーカーとGPS/慣性航法システムを組み合わせミッドコース誘導更新のデータリンクで、軍艦のような移動目標への対応に最適だ。

 

タイコンデロガ級誘導ミサイル巡洋艦USS Chancellorsville (CG-62) の乗組員が、ヴァリアント・シールド2022の支援でMk 141 ハープーンミサイルランチャーを搭載した。 U.S. Navy photo by Hospital Corpsman 2nd Class Jan Jason Flores

 

 

しかし、最終的には、SM-6は、国防総省が整備中の多層的な対艦ミサイル能力の一部となる。ハープーン、ネイバルストライクミサイル、AGM-158C長距離対艦ミサイル(LRASM)など亜音速巡航ミサイルと同様に、海軍は2028年以前の就役を目指す空中発射式の極超音速対艦巡航ミサイル整備にも乗り出している。また、対艦能力を持つトマホーク巡航ミサイルも復活し、米海兵隊が最初の受領者となる。米陸軍は、トマホークと地上発射型SM-6を組み合わせた中距離戦用ミサイルの配備を検討している。このように、トレーラー搭載のミサイルは、陸上だけでなく、水上艦にも対応できるようにしていく。この他にも、対地攻撃用ミサイルが機密扱いで計画中のようだ。

 

 

既存と計画中の米海軍の各ミサイルを示す説明資料。U.S. Navy

 

 

SM-6も進化を続けており、Mk41垂直発射システムをフル活用できる、大型の新型が登場する。これには直径21インチのモーターが含まれ、航続距離と速度で大幅な向上が期待されている。SM-6ブロック IB はマルチロールミサイルになる可能性が高い一方で、海軍は対地戦用として位置づけているようだ。

 

こうした構想は、中国やロシアなどの脅威国の急速な開発ペースを意識して推進されているのは明らかだ。中国やロシアは新型の水上戦闘艦を導入しているだけでなく、極超音速弾道ミサイルや超長距離弾道ミサイルなど、独自に対艦ミサイル開発を進めている。

 

SM-6が厳しい環境下でも性能を発揮できるように、米海軍はNIFC-CA(Naval Integrated Fire Control-Counter Air)構想に取り組んでいる。このアーキテクチャは、しばしば「キル・ウェブ」と呼ばれ、F-35ステルス戦闘機、E-2Dホークアイ・レーダー機、イージス艦、そしてSM-6のような各装備の特性を補完し合うよう設計される。艦艇や航空機のデータを共有し、センサーとシューターのネットワークを構築し、空母打撃群等の重要装備をよりよく防御できるとの考えだ。

 

2016年9月、ニューメキシコ州ホワイトサンズミサイルレンジで、F-35と海軍統合射撃統制-防空対応(NIFC-CA)アーキテクチャを統合した最初の実戦実証として、水平線超えの脅威対応でSM-6が発射された。米陸軍写真:Drew Hamilton/リリース U.S. Army photo by Drew Hamilton/Released

 

台湾だけでなく、南シナ海の広大な地域やその他の海域に対する主張など、中国の戦略的野心が急増中のアジア太平洋地域でこうした装備能力が関心を集めている。同時に、同地域にある米軍施設の脆弱性、特に中国との紛争の初期段階でのミサイル攻撃に懸念が高まっている。ミサイルを発射する中国水上艦艇はSM-6の標的となり、発射されたミサイルに対処する際も同じミサイルが使用される。SM-6が垂直発射システム・セルを搭載する艦艇にもたらす重要な利点は、同ミサイルが多用途に対応する使い勝手の良さだ。同ミサイルで各種ターゲットと交戦できる可能性がある。


今回のヴァリアント・シールド演習は、同海域での作戦コンセプトを証明するだけでなく、米軍の準備態勢でメッセージを残した。特に、テニアン、グアム、サイパンの戦略的前哨基地周辺での訓練に重点を置き、地域全体であらゆる有事のシナリオに対応する軍事的重要性を強調した演習になった。


同演習の企画をまとめたローガン・リドリー米海軍中佐Cmdr. Logan Ridleyは、「前方プレゼンスが重要だ」と説明し、「西太平洋でのヴァリアント・シールド演習の実施は、統合任務部隊の実戦的な任務の遂行、長距離射撃の実行、そしてその成功の可視化のための的確な機会を提供した」という。


SM-6については、水上艦攻撃兵器として、また統合された長距離統合戦力の一部として、今回の最新のデモンストレーションは、同ミサイルが万能であるかということだけでなく、アジア太平洋地域における将来起こりうる事態において、対艦兵器が果たす中心的役割を強調した形となった。■


SM-6 Missile Used To Strike Frigate During Massive Sinking Exercise In Pacific

 

BYTHOMAS NEWDICKJUN 20, 2022 3:56 PM

THE WAR ZONE