2014年11月22日土曜日

☆☆ 日本:着々と進む次期戦闘機F-3の設計コンセプト固め



次期戦闘機の開発は大型プロジェクトですが、一方で複数の機種開発は不可能なので現実的な想定も必要です。数をそろえることはできないので、どうしても一機で多様な性能を期待することでプロジェクトが破綻する可能性はないでしょうか。あるいはあれもこれも詰め込む八方美人型になると機体が大型化しかねませんね。ここは時間をかけてもちゃんとあるべき姿のコンセプトを技術研究本部主導のプロジェクトチームに期待したいところです。


Japan Prepares Designs For Its Next Fighter

Japan is looking at a big, long-range fighter to defeat superior numbers
Nov 21, 2014
Bradley Perrett | Aviation Week & Space Technology

25DMUはF-3を目指し防衛技術研究本部(TRDI)が各年更新している研究結果の最新版だ。 TRDI

速度より飛行距離が重要と日本の戦闘機開発陣は次期戦闘機の性能検討中に発見した。数で圧倒する相手と戦う方法を検討する日本は目標データを共有し、高性能大型ミサイルを機内に搭載し、戦闘空域を脱出しながらでもミサイル誘導を行なう事が次期戦闘機で必要と強調している。
  1. この研究成果は今後4年以内に作成する実寸大機体の開発に役立つ。日本は国際共同開発の選択肢も残しており、これは財務省には気に入られる構想だろうが、防衛省として結局日本の意思がわずかしか通らない形の協力になるのを警戒している。飛行速度より距離を優先する日本独自の要求のため、結局は独自開発になるのではないか。.
  2. 防衛省技術研究本部(TRDI)がIHIと共同で驚くほど強力なターボファンエンジンの基礎開発を行っており、双発の次期戦闘機に搭載され、2030年頃にF-3として第一線に投入される。TRDIは機体構造の研究ではおそらく三菱重工業の支援を受けている。三菱重工は機体製造を担当し、三菱電機が電子機器を担当する。
  3. 研究は三菱重工製F-2の後継機開発のオプションを狙うものと防衛省は説明する。平成30年度が開発の決定で最終段階だと防衛省はAviation Weekに回答している。
  4. 共同開発の可能性として米空軍と海軍が構想中のロッキード・マーティンF-35の後継機種があるが、防衛省によれば共同化開発の前提として「F-2退役の最終年までに開発が完了できるかを見極める」という。明らかにF-35で発生した大幅な遅延が念頭にある。
  5. 平成22年度からおよそ1,200億円がF-3の初期検討に投入されており、平成27年度に412億円が概算要求されている。i3の名称でTRDIと民間産業界は次期戦闘機で鍵となる技術要素を準備中で、ATD-Xステルス実証機の技術の延長線上に位置づける。ATD-Xは今年度中に初飛行する。
  6. さらに142億円が平成27年度にF-3向けエンジン開発に要求されており、機体より先にエンジン開発がまとまる見込みだ。推力は33,000 lb.とされ、少なくとも初期開発段階ではこのままの規模で想定されていくだろう。
  7. 同エンジンの燃焼器、高圧圧縮機、高圧タービンがテスト中だ。タービンの評価は来年度中にまとまる。低圧圧縮機と低圧タービンの試作機は平成29年度にテストされる。試作エンジンの運転は平成30年の想定だ。
  8. エンジン開発の課題は超高温1,800C (3,272F) の実現であり、エンジン全体の寸法をどこまで小さくできるかだ。後者は機体の前面の面積を縮小するため。スーパークルーズ可能な戦闘機をめざしているようだ。
  9. ただし本当に機体を製造するかは別の問題だ。日本は自国の安全がどんどん中国の台頭と好戦的態度で脅かされていると感じる一方、大型ステルス戦闘機を開発すると数百億ドル規模の事業となることを理解している。
  10. 「新型戦闘機開発費用はこの時点で決定できません」と防衛省は回答しており、航空自衛隊にはF-2が90機あるが、その後継機の機数はまだ決めていないとする。また次期戦闘機の想定性能諸元はまだ公開されていない。
  11. TRDIは今月に入りセミナーを開催しその席上で今後の戦闘機開発の方向性を示した。
  12. TRDIは2011年から2013年まで毎年l別にコンセプトを発表しており、それぞれ23DMU、24DMU、25DMUと呼称されている。数字は元号の年数でDMUはデジタルモックアップの略である。ただし各モデルの構造を見る限りではスーパークルーズは前提となっていない。
  13. 設計陣はステルス性とその他性能のバランスをとることに相当苦労しているようだが、一貫して尾翼を廃止する課題はとりあげていないようで、機体寸法の想定も異なっており、最新版は大型化しているが、それでもエンジン推力を考慮するとまだ控えめなようだ。推力33,000 lb. の双発だとロッキード・マーティンF-22ラプターの大きさに近づく。だがひょっとするとエンジンがこれより小さくなる可能性もある。
  14. 2014年版の機体コンセプトは未公表だが、昨年のTRDIによる作業は25DMUとして完成している。大型機内ミサイル格納庫があり、高アスペクト比としては異例な大型主翼で25DMUが航続距離を重視していることがうかがえる。そこで今年の26DMUは大きく変化する可能性がある。25DMUは26MDUとの比較評価対象となるため、まだ有効であり、あわせて日本は最終仕様の決定に向かっているようだ。
  15. 2011年度設計案と23DMUはどこかATD-Xの拡大版のようだ。ステルス機の特徴として空気取り入れ口をくねらせてエンジンを覆うのはレーダーエネルギーの反射を抑える効果がある。23DMUの尾翼は四枚構造で、外側に向けて伸びている。
  16. 機体内部の並列兵装庫は「中距離ミサイル」4発を格納可能だろう。TRDIによる図では非常に大きなサイズのミサイルで、中距離以上の飛行距離を狙うもののようだ。ロンドンの国際戦略研究所のダグラス・バリーによればTRDI公表の図面中のミサイルにはラムジェット推進の空気取り入れ口が全て描かれており、単なるロケット推進の兵器ではないようだ、という。またTRDI公開の各設計案では共通して胴体側部に短距離ミサイルが左右に合計2発搭載されている。また大型パッシブ無線受信機のアレイも左右にあり、機首レーダーの補助なのだろう。赤外線センサーがコックピット下と前方に付いている。
  17. 23DMUでは機体の奥行きが大きく、レーダー反射用の側面も大きいが、24DMUで機体を平坦にしようとしている。エンジンを外側に取り付け、直線ダクトでつなげたことで、エンジン前方の円形バフルでレーダー放射エネルギーの拡散をねらう。中距離ミサイル4発を前後二組のタンデム配置で搭載する設計だ。V字尾翼はノースロップYF-23試作機と同様の配置で安定板二枚がついていた。
  18. 24DMUが完成したことでTRDIは変更点が交戦時に有効なのかをシミュレーションで確認したところ、23DMUに対してミサイルの発射回数が13%増え、一方で敵にミサイル発射を許す機会が3分の1に減ることが判明した。TRDIは公開セミナーでは回数ではなく、棒グラフでの説明にとどめている。23MDUに手を入れ後退角を変えたが結果は中間にとどまっていた。「後退角を変更してもレーダー断面積への変化はわずかしかない」

  1. 次はダクトの形状を25DMUを参考に戻し、側面は23DMUより位置を下げる。エンジンは再び内側に戻し、中距離ミサイル6発をダクトの下に配置できる空間を確保する。ダクトは上方、内側に曲げられる。追加装備のミサイルは機体サイズと費用を犠牲にしても圧倒的な数の威力に頼る仮想敵国に対峙する想定の日本には必要だとバリーは認める。
  2. それとは別に四枚構造の尾翼表面構成が25DMUで復活しているが、尾翼自体には相当の角度がつき、23DMUより短くなっている。また水平尾翼は下向きの角度がついているが、おそらくこれは尾部の垂直部分を形成するためのものだろう。
  3. 翼幅とアスペクト比は大きく増やされている。特に後者は24DMUの3.2-3.3が3.8-3.9になっているとラフな図面から推察される。F-35Aのアスペクト比は2.4で、ボーイングF-15が3.0だ。TRDIが公開した図面が縮尺通りなら、翼幅が25DMUで2割増えていることになる。主翼の変更は明らかに航続距離の延長が目的で、揚力抗力比を変更するとともに燃料搭載量を増やすのだろう。胴体は大きくしているようで、ここでも燃料搭載量が増えている。TRDIも航続距離が長くなっているのを認めるが、具体的な数字は示していない。速度、加速性が犠牲になっているはずだが、25MDUはすくなくとも1割機体が大型化しているように見える。この背景には極限まで高性能にしても空中戦に決定的な優位性は得られず、むしろ航続距離の方が大きい要素となるとの研究結果があり、あきらかに現場待機時間の長さが日本の戦略条件で優先されているのが分かる。■


2014年11月21日金曜日

中国の核兵力拡充に注意が必要


百万単位のアメリカ市民の生命を奪うとの下の中国記事はどこか正常さを欠いていますが、50年以上もアメリカの核抑止力の下で重圧を受けてきた中国としてはこれでお返しだ、との気持ちもあるのでしょうか。まるで50年代の冷戦時を思わせるレトリックですが、核抑止力の下での平和と言う構図はなかなか変わりそうもありませんね。中国が想定しているのは飽和攻撃で、地球環境の破壊など全く意に介していないようなので、日米が進めるBMDは北朝鮮には有効でも中国ミサイルに対応できるでしょうか。大きな疑問です。

US Report: China's Nukes Getting Bigger and Better

Nov. 19, 2014 - 03:45AM   |  
By WENDELL MINNICK   |   Comments

A Chinese media depiction of the potential destructive effect of a MIRV-capable ICBM on Los Angeles.
中国メディアでMIRV搭載ICBMでロサンジェルスを攻撃した際の被害想定が掲載されている。

TAIPEI, TAIWAN — 議会による調査報告書で中国の核兵器とミサイル近代化の進展で暗い予測が出てきた。

  1. 報告書は11月19日に中国経済安全保障検討委員会により公表されたもので、その中で中国は合衆国が西太平洋に展開する全部隊、軍事施設をすべて攻撃する能力を今後10年で獲得するとしている。
  2. また中国は合衆国が運用する国家安全保障関連衛星の攻撃を各種方法で実施するようになる。運動エネルギー、レーザー、電子ジャミングおよび捕獲の各手段。報告書では今後5年から10年以内に合衆国の衛星がことごとく脅威にさらされるという。中国がねらうのは武力衝突時に合衆国の情報優位性を否定し、必要なら衛星を破壊する能力だという。
  3. 中国は宇宙戦実施能力の整備で戦略的抑止力を高め、合衆国・同盟国に「中国に軍事干渉をできなく」する効果も期待しているのだという。
  4. 報告書では中国の核兵器運用能力の増大が不気味だとする。今後5年間で中国の核兵力は急増し、近代化され、中国の軍事・外交政策で選択肢を広げる効果としてあらわれるとし、「合衆国の抑止力そのものを弱体化させる可能性があり、特に日本関連でこれが予想される」
  5. 次の3から5年で中国の核兵器はさらに威力をまし、生存性をたかめた道路移動式各ミサイルを追加配備するだろうとする。原子力弾道ミサイル潜水艦5隻は各12発の水中発射式大陸間弾道ミサイルを搭載し、各ミサイルには多弾頭独自目標設定可能ミサイル (MIRV)を装着可能だ。
  6. ペンタゴンからは中国核兵力はわずか50発ないし75発のICBMしかなく、今後15年で合衆国まで到達可能なミサイルが100発になるとの予測が2013年に出ていた。しかし今回の報告では中国の核兵器整備はもっと大規模で貯蔵量も予想より大きい可能性があるとの専門家評価を紹介している。
  7. 中国の海洋配備型核抑止力の配備は2007年に3隻の晋級 Jin-class 弾道ミサイル原潜の就役ではじまった。さらに2020年までに2隻が追加されるとみられる。
  8. 晋級の搭載するJL-2ミサイルは初期作戦能力を獲得したようで、「中国が初めて実用的な海軍用核抑止力を入手した」。JL-2の射程は4,598 マイルで「中国近海からアラスカを攻撃可能、日本南方の海域から発射すればアラスカ、ハワイを攻撃可能で、ハワイ西方から米本土西海岸を攻撃できる。ハワイ東方からなら米本土各州を攻撃射程範囲に収める」という。
  9. また道路移動式各弾道ミサイルの増加にも注意が必要だ。このうちDF-31が2006年に実用化している。2007年にはさらに性能を上げたDF-31Aが投入された。道路移動式のため発射時間は短縮され、位置を探知が一層困難で攻撃できない。「DF-31の射程距離は少なくとも6,959マイルあり、米本土の大部分を攻撃可能」。
  10. さらに新型の道路移動型ICBMがDF-41だ。配備は2015年の予測だが、MIRV10発を搭載し、射程は7,456マイルと見られ、「米本土各地を攻撃可能」。中国はDF-5とDF-31AをMIRV対応に改造し、「合衆国の弾道ミサイル防衛網を突破して主要都市、軍事施設をMIRVで攻撃するだろう」。
  11. 報告書では中国国内メディアが掲載したMIRV対応ICBMでロサンジェルスを攻撃した際の破壊予測を引用している。原典は環球時報2013年10月13日号で「中国が合衆国に対する水中戦略核抑止力を初めて獲得」と題の記事だった。
  12. 記事ではロサンジェルスの地図を載せ、JL-2による核攻撃を想定している。「20発の核弾頭による放射能が風で拡散され、数千キロメートルの汚染地帯を生み出す」としていた。
  13. 記事では半径746マイルから870マイル内で屋外にいる住民が全員死亡するとしている。「中国の百万トンTNT換算小型核弾頭技術を搭載した12発のJL-2核ミサイルが一隻の晋級原潜から発射されれば、5百万人から12百万人の生命が奪われ、抑止効果は明白だ」としていた。
  14. また中西部の人口密度が低いことから、最大の破壊効果を期待するには西海岸の大都市シアトル、ロサンジェルス、サンフランシスコ、サンディエゴを目標とするのが最適としている。 ■

2014年11月20日木曜日

★スコーピオンの初の顧客はUAEになるのか




UAE Negotiating Possible Scorpion Purchase

Nov. 2, 2014 - 03:45AM   |  
By AARON MEHTA and AWAD MUSTAFA   |   Comments

Sources say the UAE is in serious talks about becoming an early customer of the Textron AirLand Scorpion jet.
消息筋によればUAEがテキストロン・エアランドのスコーピオン購入を真剣に検討し商談中だという。 (Darin LaCrone / Textron AirLand)

WASHINGTON AND DUBAI — アラブ首長国連合はテキストロン・エアランドと同社の新型スコーピオンジェット機の導入を巡り商談中であると複数筋が伝えている。
  1. また成約まではいかないが、商談内容を知る関係者からは商談は進行中で、同国のトップ級とテキストロンCEOも話をしている模様だ。.
  2. 「UAEがスコーピオンに関心を示し、テキストロンシステムズのCEOエレン・ロード Ellen Lord が現地を訪問しUAE空軍関係者と数回協議している、と内部事情に詳しい米政府関係者が明かしている。
  3. スコーピオン営業推進チームはテキストロン・エアランド社内に設置され、テキストロン・システムズには所属していないが、業界筋によればロードが数回訪問した際には同機の話題も含まれているという。
  4. スコーピオンはISR機でありながら攻撃能力も備えている。2013年9月に発表された際には業界内で懐疑的な意見が強かったが、低コストとモジュラー構造により一般に流通している装備を使い、複合材を使用する利点もあるという。
  5. 米政府関係者と業界筋によればUAEがスコーピオンに目を付ける理由はまずアル・フルサンAl Fursan航空展示アクロバティック飛行隊(現在はアレニア・アエルマッキMB-339を使用中)向けだという。
  6. アクロバット飛行はテキストロンが想定したミッションではないが、業界筋によればアル・フルサン向けに導入すればその後の関係拡大の一歩となるという。
  7. UAEがアレニア・アエルマッキM-346を練習機に選定したのは2009年で、48機導入を決めた。取引にUAV売却も含めたため、技術移転規則にひっかかり商談が中断した経緯がある。現在までこの商談の方向性は双方から発表されていない。
  8. 8月になり、スコーピオンチームからDefense Newsに対し練習機専用型を開発中との話がでた。双発、尾翼2枚の構造はそのままで主翼を短くし、エンジン推力も増やすとの説明だった。
  9. スコーピオン導入で実際に飛行時間あたり費用がどう変化するかは不明だが、推定値の段階でISR/練習機型はM-346に対し十分な魅力があるとされる。
  10. テクストロン商談を後押ししそうなのがUAE国営製造会社 Strata Manufacturingで複合材胴体部分で同機製造に加わる。
  11. 「経済効果が重要な要素です。国営企業は同機の諸元を見て何機製造できるか試算するでしょうし、UAEは航空機製造に参入したいと希望していましたからね」(業界筋)
  12. テクストロン関係者は国営企業の親会社ムバダラ航空宇宙 Mubadala Aerospaceに同機の技術諸元を説明ずみという。
  13. ただし両社の提携は一筋縄ではいかないようだ。
  14. かねてからUAEには同機のローンチカスタマーになることに抵抗があった。これは今も同じで、同上業界筋によれば同国は正式購入の前にテクストロンが別の顧客を見つけるよう期待しているという。だが、具体的な購入先は浮上していない。テクストロンはアジアに大きな商機があると見ている。
  15. 業界筋によれば同社はすでにマレーシア、ブルネイ、フィリピン、インドネシア、バーレーン、カタール、サウジアラビアの各国と意見交換を行っているとし、このうちマレーシアとブルネイが実現度が一番高い。
  16. UAEが求める練習機仕様を実際に作ると、追加技術分析が必要となり、正式合意はまだ先ではないか、というのが同上技術筋の見方だ。
  17. 「あと18ヶ月しないと無理で、ひょっとすると2年になるかも。2016年というところでしょうか。それでもテクストロンが受注すること地見ています」
  18. UAEから見解は得られず、テクストロン広報も直接の言及を避けた。「当社の方針は将来の案件について一切のコメントをしないというものですが、スコーピオンに対する各国の関心は強いものがあり、今も増えていますので、ローンチカスタマー候補の国があると言えます」
  19. 同社は広報を巧みに展開し同機への関心を高めてきたが、2013年9月に突如公開するまでは秘密を守ってきた。
  20. だが、同機を広く各地に移動させ、ファーンボロショーや空軍協会年次総会で実機を公開したが、確定受注はまだないままだ。
  21. ただ同社は米国での営業も忘れていない。その中にはスコーピオンを練習機に改修し、米空軍のT-X次期練習機として採用を狙う案もある。それでも同社は最初の顧客は海外と見ている。
  22. Defense News取材で7月に語った同社顧問ホイット・ピーターズ(元空軍長官)Whit Peters は同機の営業の狙いを示していた。
  23. 「ISRに加えて、攻撃能力の実施を狙う空軍は各地に見られます。ただし、現実的に各国は支払い可能な機体価格と安全な運航を求めています」 ■


2014年11月19日水曜日

ヘイゲル長官が明らかにした重点技術分野 第三相殺戦略で優位性の維持できるか




オフセットとは相殺というよりは優位性確保ということでしょうか。かつて通産省はじめとする日本の官民一体の産業政策を非難していた米国が今やなりふりかまわず同じ方向に向かっているのは歴史の皮肉なのでしょうか。

Hagel Launches ‘Offset Strategy,’ Lists Key Technologies

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on November 15, 2014 at 9:37 PM

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REAGAN LIBRARY: 準備期間数か月を経て、チャック・ヘイゲル国防長官から「相殺戦略」“Offset Strategy” が正式に発表された。ヘイゲル長官はレーガン国防フォーラムでの講演で、優位性がおびやかされている米国の技術水準を今後どう維持するのかを具体的に述べたものの、重要な点で詳細は語らなかった。
  1. 「相殺」の意味は軍と産業界でチームを組み、技術上のブレイクスルーを求め合衆国が潜在敵国に対し優位性を保つことにある。アイゼンハワー大統領時代の「ニュールック」では核兵器がこの役割を果たし、物量で勝るソ連に対抗した。スマート兵器、ステルス、センサー類、コンピューター・ネットワークが1970年代の「相殺」の中心的存在だった。核兵器やスマート兵器が世界的に拡散普及したことで、米国は脅威に直面している。ではヘイゲルのいう「三番目の相殺戦略」の核心は何か。
  2. 長大なリストはないものの、ペンタゴン内部で続く悩ましい議論から次の技術がペンタゴンの縮小気味の予算で優先順位が与えられる分野であるとヘイゲル講演で明らかになった。ロボット、自律システムズ、縮小化、ビッグデータ、高度生産技術として3-Dプリントが含まれている。では、これらに優先順位を与える意味は何か。
  3. 「ロボットと自律システムズ」とは同じ意味だ。戦闘に投入される機械を無人化するだけでなく状況判断、自ら決定することができるようになる。プレデター無人機や爆発処理ロボットのような遠隔有人操作は不要となる。究極的にはコンピューターが殺害対象を選択すれば、倫理・法律・プログラミンング双方で課題となる。だが現在の遠隔操作式システムでは相当の人的監督が必要で、人件費が上がる中、軍はこのまま続けることができないし、通信をたえず維持しておく必要があり、敵勢力がジャミングやハッキング技術を磨く中でこれも軍として保証ができない。
  4. 縮小化はどうか。大型の軍装備から人体を取り外し、生命維持装備や防護対策を取り除けば、残りはかなり小型化かつ安価にできる。この流れを最大限に活用すれば、すべての部品を小型化できるはずだ。究極的には小型、使い捨ての自律兵器の「大群」を実現することになり、誘導ミサイル(魚雷)と無人機の交配となるのではないか。
  5. ビッグデータはすっかり定着した感があるが、軍は民間よりはるかにこの分野に詳しい。NSAによる通信傍受、プレデターが動画を撮影する等で、問題はデータの海におぼれずに賢く解析する能力だ。画面に目をこらす若い下士官に大きく依存している現状が軍にあるが、このままでは人体の限界に達してしまいそうだ。民間の「ビッグデータ」解析技術を投入すれば少なくとも情報収集データを人間の手を介さずに選別できるはずだ。問題の兆候や異常状況を人間に選別させるのはいかにも時間効率が悪い。
  6. 高度生産技術とはあやふやなことばであるが、ヘイゲルは3Dプリンター技術を取り上げている。従来はすべてを一度設計してから量産を数か年続けるのが常だった。3Dプリンターならいつでもすばやく試作し新技術を取り込む、既存技術を改造したり、と状況に対応が可能だ。縮小化した自律的軍事装備にはうってつけの技術であり、ミニ無人機をミッションごとに必要な数だけ調達できる。各艦艇や地上部隊に3Dプリンターを積めば予備部品は必要な時に調達できる長距離の補給線の制約から解放される。
  7. リストに入っていないものにサイバー安全保障があり、この分野の予算は増加しているが、ヘイゲル長官はすでに十分な注目度があると思って割愛したのか。また電子戦もサイバーのややセクシーさを欠く隣接分野としてこれまで20年間にわたり無視されてきたがここにきて国防トップ数名の講演で再度注目されている。同じように極超音速、水中戦、長距離打撃も優先順位が高くつけられる分野のはずだ。しかし、長官自身が具体的な技術分野を口にしたことの意味は大きく、講演に出ていない技術が無視されることはありえない。
  8. ヘイゲルが強調したかったのはなるべく多くの実現可能なアイディアを可能な限り広い範囲の情報源から入手するため網を広くしておこうということだ。今日のイノベーションの多くが「従来からの国防企業」以外から生まれていることを長官は承知しており、「民間セクターの提案には積極的に耳を傾け、企業、大学を問わず国防総省の常連企業以外を歓迎する」と発言している。このことは短期的には国防総省が「政府の内外を問わず頭脳明晰な才能を招き、白紙から今後3年5年でDoDが開発すべき技術分野やシステムを分析したい」
  9. 各分野への投資活動は「長期研究開発企画事業」 “Long-Range Research and Development Planning Program”と分類される。この名称は1970年代の相殺事業で生まれたものだ。事業全体を統括する最高機関が「高性能抑止力審議会」“Advanced Capability and Deterrence Panel” で長官官房、情報部門、各軍、統合参謀本部、研究開発や調達分野のトップレベルを集める。そのとりまとめ役は国防副長官ボブ・ワークで、強引なやり方と遠慮のなさで知られる技術通であり、以前の勤務先である新しいアメリカの安全保障を考えるセンターthe Center for a New American Securityがロボット工学と3Dプリンターを特に強く求めていた。
  10. ヘイゲルの「国防イノベーション構想」では技術がすべてではない。フランク・ケン―ドル副長官がすすめる調達手続きの改革Better Buying Powerの第三版BBP 3.0ではイノベーション誘発に主眼を置くとの発言がある。同時に作戦方法の一新、新しい作戦概念、軍事教育の刷新、中核指導層をどう育成するか、を考えるという。しかし、各話題もまだ抽象的だ。個別具体的に高度技術の内容を取り扱う必要があるのは否めない。■

アイアンドーム機能強化を目指すイスラエルの頼みの綱は米国資金援助


ミサイル防衛(イスラエルの場合は迫撃砲やロケット弾が中心でしょうが)で世界の一歩先をゆくイスラエルの成果の陰に米国の支援が不可欠だというお話です。

Israel Fortifies Iron Dome for Future War

Credits US Support in Race To Outrun Surging Threats

Nov. 8, 2014 - 04:35PM   |  
By BARBARA OPALL-ROME   |   Comments

ISRAEL-PALESTINIAN-CONFLICT-GAZA
イスラエルのアイアンドームから発射されたミサイルがガザから飛来した短距離ロケット弾を迎撃している。8月22日撮影。一スラエルは一層強力な脅威に対応すべくシステムの強化を図っている。 (JACK GUEZ/ / AFP/Getty Images)

TEL AVIV —イスラエルは米国政府の潤沢な予算に加えガザ紛争50日間の対ロケット迎撃作戦の教訓を生かしアイアンドームを強化し、今後の脅威にも対応可能にする。
  1. レバノンに本拠を構えるヒズボラから推定1万発のロケット弾が撃ち込まれたが、イスラエル関係者によれば今回は小手調べにすぎないという。
  2. 公式発表でアイアンドームは迎撃735回で90%に成功している。ガザから発射されたロケット弾は大部分がイスラエル領土に届かず、アイアンドーム防衛では「非脅威対象」扱いだった。
  3. その二年前にPillar of Defense作戦で初めて実戦投入された際は8日間で迎撃成功率は84%だった。この時はガザから発射のうち421発が対応必要な脅威と分類されている。
  4. 実績が向上しているがアイアンドームはまだ一回も純粋なテスト試射はされていないと製作元の国営会社ラファエル   Rafael の航空優位性システムズ Air Superiority Systems Division 事業部長ヨシ・ドラカーYosi Druker は語る。
  5. 次の課題は北側つまりレバノンの脅威に対応できるかだという。
  6. イスラエルミサイル防衛機構の長官を務めたウジ・ルービンUzi Rubinは現在は国際コンサルタントでProtective Edge作戦では打ち上げられたロケット弾の多くからガザ地区で工作能力が着実に向上していることを示していたという。
  7. ルービンの試算では開戦時にガザ内のロケット弾は9,000発以上で現地製造だった。弱小な集団にも製造能力が備われば、「ヒズボラから飛んでくるものは神のみぞ知る、だ」という。
  8. 退役イスラエル空軍少将ジオラ・ロム Giora Romm がイスラエル民間航空局長を6年勤めて先週退任している。ロムはイスラエル唯一の国際空港から1.6キロメートル地点にガザ発射のロケット弾一発が着弾し、空港業務が閉鎖となったが33時間後に業務再開した際の陣頭指揮をとった。.
  9. 11月6日にロムを取材したが、今後のレバノン紛争ではアイアンドーム防衛体制強化が必要で、民間航空の観点からは迎撃に空白地帯を作ってはならないと語っていた。空港へアプローチが困難となれば民間航空はイスラエル南端のエイラート空軍基地へ誘導されるという。
  10. その二日前にヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ Hassan Nasrallah から次回のイスラエル攻撃の際は空港と港湾すべてを使用不能にするとのメッセージが出ていた。
  11. 現在のイスラエルミサイル防衛機構長官ヤイル・ラマティYair Ramatiも脅威の進化に応じイスラエルの防衛体制も強化を迫られていると認める。同機構は国防省の研究開発局MAFATの傘下にある。
  12. 「これは技術競争であり経済競争でもあるのは明白だ。合衆国の支援がなければ、この競争についていけなくなる」
  13. ラマティは「25年以上にわたる米国からの暖かい支援」によりイスラエルは迎撃技術を進めることができたという。
  14. ラマティが特に言及しているのがMAFAT長官のオフィル・ショーハム海軍少将 Rear Adm. Ophir Shohamと歴代の米ミサイル防衛庁長官との密接な関係だ。
  15. 関係者によると開戦時に稼働可能なアイアンドームは6隊しかなかった。だが「命をつないだ」米国の予算手当で開戦数か月前に交戦中に3隊を追加配備できたという。
  16. ルービンの試算ではこの10年間にイスラエルに向け発射された1万1千発のロケット攻撃に対して「少なくとも6割が先のProtective Edge作戦でアイアンドームにより尊い人命の損失を防ぐことができた」という。ルービンの計算の根拠はイスラエル国民の人命被害を「アイアンドーム」稼働前のものと比較し、過去2回のガザ紛争での統計と比較したものだという。
  17. 10億ドル近い複数年度にわたる合衆国の調達予算がなかったらアイアンドーム隊9個編成は実現しなかったと当地の関係者は認める。
  18. また2015年度に要求した175百万ドルがないと、イスラエルはアイアンドーム迎撃体の在庫補充が困難だ。今回の50日間紛争で在庫はかなり使い果たしている。
  19. イスラエルは2012年の総額680百万ドル予算の中から70百万ドルを先行使用し、レーダーと迎撃体を第7部隊に整備した。第8、第9部隊にもレーダー二基を整備した。
  20. 「中東ではタイミングがすべてです。もし一二か月待っていたら、Protective Edge作戦で各レーダーを使用できなかったでしょう」(ラマティ)
  21. 一方でProtective Edge作戦前に策定したアイアンドーム隊の増強策、性能改修策の実施が進んでいる。
  22. 並行しアイアンドームに搭載するタミールTamir 迎撃弾には米国予算で米国製部品の重要な機能が搭載されている。
  23. 米イスラエル政府間で3月に合意された内容では合衆国拠出金の代償に米国企業に作業分担させることが定められている。
  24. レイセオンがラファエルの下請企業として構成部分を生産し、イスラエルの最終組み立てラインへ供給する。レイセオンはラファエルとの契約を9月30日に発表しており、迎撃弾関連の部分で149百万ドルの事業規模だという。
  25. 「アイアンドームはロケット弾、砲撃弾、迫撃砲からイスラエル国民の生命を守るのに有効性を証明しました。タミル迎撃体の構成部分が米国製ですので当面のイスラエル国防に十分な数量を確保できます」とレイセオンミサイルシステムズRaytheon Missile Systems社長テイラー・ローレンスTaylor Lawrenceは言う。
  26. ラマティは最終的に迎撃体部品50%が米国製になると予測している。 ■

2014年11月18日火曜日

★J-31はFC-31(輸出専用モデル)になるのか 珠海ショー余聞②



なるほど、J-31が国内呼称で、FC-31が輸出仕様の型式名称であることが判明しました。中国は米国の考えたハイローミックスは真剣に考慮していないのでは。それともJ-20が長い槍で、J-31とは別の短剣があるのか。これはいまはわかりません。広大な沿岸線を有する中国には防空体制の完璧な整備はなかなかむずかしいでしょうから、シンボリックな高性能機を配備することが費用対効果で意味があるのではないかと思います。

With J-31 Flight, China Makes a Statement

Nov. 15, 2014 - 03:45AM   |  
By WENDELL MINNICK   |   Comments

CHINA-ECONOMY-AVIATION
輸出を視野に入れる: 中国のJ-31ステルス戦闘機が珠海航空ショーで11月11日に展示飛行を行った。(JOHANNES EISELE/ / AFP/Getty Images)

ZHUHAI, CHINA —中国の双発ステルス機J-31が珠海航空ショーで飛行展示されたが、当日の曇天と対照的に、メッセージは明瞭だった。中国は新型戦闘機を売り出そうとする以上に中国の航空産業を世界に売り込もうとしているのだ。

  1. 中国はJ-31を輸出する意向だ。その顧客にはイランとパキスタンが並ぶ。J-31は世界市場をにらんだ初のステルス戦闘機で合衆国の輸出制限対象国やロッキード・マーティンF-35の予算が手当てできない国向けのものだ。
  2. J-31輸出の話はAVIC展示ホールで縮尺1:2のモデルが開幕前のプレス向けツアーでお披露目された際に出てきた。モデルにつけられた説明では「FC-31」となっており、中国の戦闘機には「J」がつき、輸出用機材には「FC」がつくのが通例だ。J-31がFC-31として紹介されたのはこれが初めて。
  3. 米議会が任命した米中経済安全保障検討委員会US-China Economic and Security Review Commissionの委員長ラリー・ウォーツェルLarry WortzelからはJ-31の初の公開展示飛行とFC-31の公開はAPEC会合(北京)およびオバマ大統領の訪中とタイミングを合わせたものと発言。
  4. これはロバート・ゲイツ国防長官(当時)の訪中時にCAC製J-20ステルス機が初飛行した2011年1月の出来事を想起させる。この時ワシントンでは米国訪中団に政治的なメッセージを送るものと解釈されたが、中国関係者は関連を否定した。オバマ訪中と珠海でのJ-31公開ではウォーツェルによれば「今回は少なくとも事前予告があった」点が違うという。
  5. 珠海で実機を公開したことから中国は輸出に本腰を入れるつもり、とダグラス・バリーDouglas Barrie ロンドン国際戦略研究所International Institute for Strategic Studiesで軍事航空の主任研究員、は言う。
  6. 「ただし中国の輸出相手先に第五世代戦闘機を導入する実力があるだろうか」と言い、成都J-7戦闘機ファミリーの後継機種ならCACのJ-10やJF-17/FC-1の方が現実的な選択となるはずというのだ。
  7. これに対して中国はすき間市場を狙っている観がある、というのがロジャー・クリフRoger Cliff (大西洋協議会Atlantic Council.でアジア安全保障構想Asia Security Initiativeを担当する非常勤研究員)だ。「F-35の価格は支払えない国でもMiG-29やF-16より進歩した機体をほしがるところは多い」とし、イランやパキスタンがFC-31に関心を示す可能性が十分あるという。しかしながら、開発費用を回収できる輸出需要があるだろうか、とクリフは不思議がる。「Avicは経済の理屈だけで動く会社ではないけど」
  8. クリフは中国空軍にJ-31購入の予定があるのか疑わしいという。ハイローミックスでいえば、ローの部分を構成する機体です。高性能機はJ-20ですが、珠海に姿を現さず、一方で着々と開発が進んでいると言われています」
  9. クリフは実力を誇示するのであればJ-20が珠海に展示されたはずだという。「中国が輸出用に性能が劣る機材を当ててきた前例があります」とし、JF-17/FC-1とJ-10戦闘機の組み合わせ、KS-1とHQ-9地対空ミサイルの例があるとする。
  10. 中国も模倣できていないのが高性能戦闘機用エンジンだ。ロシア製サトルンAL-31エンジンがJ-31試作機に搭載されているといわれる。これで同機がライセンス問題で輸出できなくなるというわけではない。クリフによればロシアがRD-93エンジンを搭載したFC-1/JF-17の再輸出を許した前例がある。
  11. 中国は国産WS-13エンジン開発を進めており、J-31搭載を狙っているという。成功すれば、ロシア製エンジンは不要となるという。
  12. 中国からJ-31外観が驚くほどF-35に似ているのはスパイ活動が最大の理由だといわれている。
  13. 「中国のスパイ活動で二重に被害が発生します。システムを盗まれて、それが販売されるからです」と説明するのはペンタゴンで技術評価部長を務めたエドワード・ティンパーレイク Edward Timperlake だ。「スパイはF-35の開発途中のソフトウェア設計を盗み、ソフトウェアの核心部分は米国が休まず改良しているので入手できず、いわば出席なしで試験結果だけ手に入れたようなものだ。成績は優でも最終試験は盗み切れていない」.
  14. 最終試験問題を入手しようと中国が動いている証拠がある。6月に連邦捜査局はカナダ在住中国人実業家Su BinがF-22ラプターとF-35の秘密情報を合衆国内の国防産業のコンピュータから盗もうとし逮捕されたと発表。SuはF-35のテスト日程と「青写真」で「中国が米国の水準に急速に追いつく」ことを目指したという。Suの電子メールが米法務省により公開されている。
  15. ではF-35と比較してJ-31はどれだけのステルス性を第五世代機として有しているのか。第五世代機とは単にステルス性能だけの存在ではないとクリフも言う。「スーパークルーズ、推力方向転換、AESAレーダー、高帯域低探知可能性データリンクがあります」という。
  16. この基準だとF-22やF-35も第五世代機として完璧ではないとクリフは指摘。「だが、J-31にはスーパークルーズや推力方向転換機能もないようですし、ステルスつきの第四世代戦闘機以上の存在だが、AESAレーダーや高帯域低探知可能性データリンクがついているか次第で評価がかわりますね。ちなみにF-35ではこれは全部ついています」
  17. J-31とF-35の外観上の類似性は中国がF-35のステルス外観設計を複製しようとした努力のあらわれとティンパーレイクも言う。
  18. 「もし同機が物理的にステルス性能を獲得して、大量生産に入れば、大きな問題になる」と地域内の同盟各国を指して発言。しかし、ステルス性とは生存可能性の問題にすぎず、専門家はもっと内部構造を検討する必要がある。ひとつはF-35の融合コックピットであり、中国がそこまでの水準に達しているかだという。
  19. 「融合の有無でJ-31が本当の競争相手なのかそれとも既存機を直線的に発展させた機体なのかが分かれます。性能が上がっているとしてもハブスポーク方式の戦闘管理、空中早期警戒統制システムと地上から操作する迎撃方式が不可欠でしょう」と指摘する。 ■


空中空母の実現方法を公募中のDARPAは真剣


DARPAはいつも奇抜なことを考えているように見えますが、現実の世界にとらわれず究極のあるべき姿を見ているのかもしれません。その点で思考方法が柔軟なのでしょうね。

Pentagon Wants to Build Aircraft Carriers in the Sky

by MIKE HOFFMAN on NOVEMBER 12, 2014
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ペンタゴンの中心的研究部門が母機に小型無人機を搭載する方法を模索し、軍事応用の経済効果を見極めようとしている。
国防高等研究プロジェクト庁(DARPA)から発表があり、提案競争で大型機(ほぼC-130なみ)に無人機複数を搭載し、広い地域に無人機を発出させる案を公募している。DARPA関係者によると無人機の空中発進のみならず回収方法も募るという。

大型有人機で通常型航空攻撃を実施すると費用がかさむだけでなくパイロットにも危険が伴う、とDARPAは説明し、そのためペンタゴンは「混合法」“blended approach” で小型無人機の飛行距離を伸ばし、有人機に搭載して運ぶ方法を求めるのだという。
「まず小型機の性能を引き上げる方法がほしい。その有力な候補は既存大型機に最小限の改修を加え、『空中空母』にすること」とDARPA主査のダン・パットDan Pattは言う。
DARPAが求める飛行実証では母機と無人機を今後4年以内に飛ばす。関係者の期待は今回の提案から正式なDARPA案件としてシステムを構築することだ。
今回の発表ではDARPAが無人機を小型化し、価格も低くすることを期待していると強調。軍司令官が求めるのは費用対効果の高い空爆の実施案だ。■


2014年11月17日月曜日

中国の新型ターボプロップ輸送機 珠海ショー余聞①




Avic Shows Model Of New Turboprop Airlifter

Nov 10, 2014 Bradley Perrrett | AWIN First



ZHUHAI, China Avicがロッキード・マーティンC-130とほぼ同寸のターボプロップ軍用輸送機の模型を珠海航空ショーで公開した。

同社は以前から新型機開発を言及しており、公開された模型は60トンクラスで情報が一致する。

機体構造は高翼、主着陸装置は機体取り付け型でT字尾翼と6枚ブレイドのプロペラ推進だ。

名称はないが、中型輸送機と分類されている。展示された模型には8316との番号、RSの文字が尾翼にあり、中国空軍の標識がついていた。

現在中国で運用中の中型輸送機Y-9(アントノフAn-12の国産化)やY-9(Y-8を大幅に改修)よりも胴体直径が大きくなっている。Y-8とY-9はともに陝西飛機工業 Shaanxi Aircraft が生産している。同社はAvicで大型機生産を担当。

この新型機の開発状況は明らかにされていない。エンジンはWJ-16(出力3,782 kw (5,072 hp.))と推測される。もし、WJ-16を採用しC-130Jと同等の推力重量比とすれば、機体総重量は88トン近くとなる。■


2014年11月10日月曜日

新戦略思考 第三相殺Third Offsetの内容とは F-35削減、長距離爆撃機、UAV優先を提唱




本来なら装備はバランスよく、いろいろな事態に備えるべきものですが、現在の財政状態ではこれは無理です。そこで新戦略思考ではUAVを優先、F-35や大型水上艦は削減というのが「革命的な」提案を盛り込んだ報告書の骨子ですが、なんでも調達できた時代ではないので考えてみれば当たり前の内容ですね。しかし軍と民間に根付いた既成の考え方(F-35がその頂点)を放棄するのは簡単ではないでしょう。もたもたしているうちに数で勝利する中国他が先に進んでしまいかねません。この数年が新思考が実現するかの勝負とみているのですがいかがでしょうか。

New Strategy Would Cut F-35s, Boost Bombers and UAVs

The U.S.’s air-centered strategy has top-level backing
Oct 31, 2014 Bill Sweetman | Aviation Week & Space Technology
Revolutionary Roadmap
今も機密扱いのノースロップ・グラマンRQ-180無人機がCSBA報告書でもそれとなく言及され、精密攻撃や電子攻撃ミッションに投入されるのだという
Ronnie Olsthoorn Concept for AW&ST

中国その他が進める接近阻止領域拒否(A2AD)には今日の米軍兵力投射装備および現在計画中の装備では効果的に対抗できない、との戦略予算評価センター(CSBA)報告書が発表され、第三相殺Third Offset として知られる防衛戦略の新しい方向性を説明している。

  1. かわりにペンタゴンは汎地球偵察攻撃global surveillance and strike (GSS) のシステム開発を中心とすべきで、この範疇に収まるのが長距離打撃爆撃機(LRS-B)や長距離高ステルスの無人戦闘航空機システム(UCAS)や潜水艦であるという。戦術戦闘機や水上戦闘艦、重装備の陸上部隊は削減すべきだとの趣旨で、予算との関連で戦力構造を再調整すべきとする。
  2. このCSBA報告書が注目されているのはロバート・ワーク国防副長官と上級顧問が直々に関与してまとめられたためだ。ペンタゴン内外の観点で国家防衛のありかたを変える議論に火をつけるのが狙いだという。編集にあたったロバート・マーティネイジRobert Martinageはペンタゴン勤務の職歴をもち、ワーク副長官の関与を「確認も否定もできない」と Aviation Weekに語っている。
  3. このCSBA報告書は第三相殺戦略における既存および新型装備の役割を詳細に説明している。その提言では長距離打撃爆撃機の役割を拡大することを求め、その整備を「加速、拡大」することが望ましいとする。新しく提言している兵器として潜水艦発射の滑空ミサイル boost-glide missile があり、中程度あるいは高度の防空体制を突破し強化した地下構造の目標を攻撃する唯一の手段だとする。また同ミサイルは電子攻撃手段の代役ともなり、大量精密攻撃にも投入できるという。
  4. 提言で規模が最大なのはUCAS機材だ。概念上ではマーティネイジは試作機がノースロップ・グラマンX-47B UCAS-D(Dは実証機の意味)で海軍の求める作戦機材がここから生まれるという。CSBAではN-UCASとして8から10時間連続飛行でき、3,000ないし4,000-lbのペイロードがある機体を想定する。CSBAのアナリストとしてワークは「ハイエンド」型海軍UCASの推進役でその影響で海軍は低性能、低価格の考え方を無人空母運用空中偵察攻撃機(UCLASS)構想に使えなくなった。
  5. CSBA報告書はUCAS-Dに先行していた共用UCAS構想 Joint UCAS:を復活させるものだ。艦上運用型は主翼機体一体型となり、陸上運用型は機体を大型化する。米空軍向けのMQ-Xはペイロードを二倍にできると報告書は述べ、無給油で12時間飛行できる。同期に空対空ミサイルを攻撃、防衛双方で装備する案は戦闘機出身者には支持しにくいだろう。
  6. 航続力がUAVの長所だと報告書は指摘する。第三相殺戦略での新型UCASの主要任務は「絶えず移動し続ける目標破壊者」でもともとの長距離航続能力に空中給油を加え48時間超の連続飛行任務をこなすことで、人間の限界を超えている。UAVが区域内の通信拠点の役割を果たし、敵方の宇宙攻撃手段への保険となり、結果的に衛星攻撃を実施する価値を減らす。同報告書では未公表のノースロップ・グラマンによる研究結果を引用し、F/A-18E/Fを無人機で代替すると25年間の機体寿命期間で合計560億ドルの費用節約になると示している。
  7. 新型N-UCASやMQ-X調達の予算は「有人戦術機の削減」を全軍にわたり実施し、F-35各型すべての調達縮小さらにF-35Cの中止も視野に入れて確保し、高性能スーパーホーネット導入やN-UCASで代わりにする」ことで担保する、としている。2011年7月ワークは海軍副長官当時にF-35B/Cの代替策の内部検討を命じている。
  8. 戦闘機の有効性には限界があり、それは「セミステルス」のF-35でも同じだとし、有効範囲が広く全域でステルス性能を発揮できるUAVとLRS-Bとは区別すべきとし、防御が困難で生き残りが難しい空中給油機への依存が高くなる注意を呼び掛けている。マーティネイジはAviation Weekによる成都J-20の性能評価におおむね賛同しており、同機が空中給油機など支援機材を狙う攻撃手段だとするもの。「空対空ミサイルの射程距離も考慮すると給油機は800から900カイリ離れる必要があり、それでは米軍の戦術戦闘機は沿岸にも到達できなくなる」
  9. もうひとつ提言されている無人機がステルス高高度長時間飛行UAVだ。しかし、報告書ではGSSの実施手段のうち三つしか現在開発に入っていないと指摘。(MQ-X、N-UCASSおよび潜水艦用曳航式モジュール) 通称HaleUAVとはノースロップ・グラマンが開発中のRQ-180そのもののようだ。報告書ではRQ-180には軽攻撃能力がある含みを持たせている。
  10. 見落としてはいけないのは第三相殺戦略で低強度紛争を取り上げている点だ。脅威の強度が低くなり、広範囲に広がると、「最も危険なコスト上昇戦略は自分で設定してしまうものだ」と新アメリカ安全保障センターCenter for a New American Securityのアナリスト・ベン・フィッツジェラルド Ben FitzGeraldは語る。「トヨタのハイラックストラックに50万ドルの武器を搭載するようなものだ」 一方で敵も同水準の武装を進める。「ほぼ同格の敵に対現在の優位性を捨てることはできない。一度失えば復活は無理だ」
  11. マーティネイジもCSBA報告書では新装備の調達数は具体的に提言していないとし、「報告書は予算編成の事前準備ではないから」と言う。しかし一つの例として報告書中に海軍がUCASを全面採用すれば、現行の有人機の半分の規模で可能としているノースロップ・グラマンによる社内検討を引用している。.
  12. 潜水艦は合衆国が相当の優位性を今後も確保できる分野とされる。第三相殺戦略報告書では潜水艦部隊の威力と柔軟性を高めるために無人潜航艇の開発を急ぐべきとし、長距離滑空兵器を潜水艦から発射し、曳航式ペイロードモジュールの開発も手提言する。曳航モジュールとは3,000トンから4,000トンクラスの無人船体で大口径発射管を最大12基積むもので、あらかじめ移動させ同じ場所に数か月留まる。ここでもその代償が発生し、DDG-51級など大型水上艦の調達を削るべき、としている。.
  13. 第三相殺戦略では大規模陸上兵力より特殊作戦部隊やテロ対策地上部隊を優先する。ただし地上部隊には「局地的A2ADネットワーク」の確保任務を想定する。これは脅威に直面する同盟国の領土に適用する。地上配備の対艦巡航ミサイルなどの装備と飛行船などに搭載したレーダーaerostat-borne radarsと組み合わせ沿岸部の防御を固め、敵海軍部隊の移動を阻止する。■