2015年1月9日金曜日

ISIS作戦にフランスも原子力空母を投入


これもISISがらみですが、フランスも本腰を入れてきたようです。パリの乱射事件のあとだけにフランス海軍も相当カッカしているのではないでしょうか。1月末から2月はじめにかけて作戦に入りそうで、今後の動向に注目ですね。

French Carrier to Deploy to Indian Ocean, Could Join ISIS Fight

By: Sam LaGrone
Published: January 7, 2015 10:13 AM • Updated: January 7, 2015 10:14 AM

Charles de Gaulle (R91)
Charles de Gaulle (R91)
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フランス海軍の原子力空母シャルル・ドゴールCharles de Gaulle (R91) (4万2千トン)はまもなくインド洋に向け出港し、演習のあとイスラム国(ISIS)に対する空爆作戦に参加する。

匿名のフランス国防省筋を引用する形でロイター電は同艦が対ISIS作戦に加わる可能性について「同艦は軍事手段であり、作戦投入して目的が達せられる」と伝えている。

1月6日付のフランス海事報道サイトMer et Marine はド・ゴールは戦闘群を構成し、給油艦1、誘導ミサイルフリゲート2、攻撃潜水艦1と作戦展開の準備中と伝えていた。

フランソワ・オランド大統領は1月14日にツーロン軍港での式典の席上で正式に派遣を発表する。

米国主導の対ISIS作戦ではフランスも早期から参加しており、戦闘機10機とともに情報収集監視偵察(ISR)機材も派遣している。ド・ゴールの派遣で戦闘機が更に30機追加される。■
 

ISIS空爆作戦の効果(途中経過)


空爆はそれなりに効果を上げてきましたが、非常に高価な作戦になるようですね。イラク軍の立て直しが完了するまでは継続が必要です。また、クルド人部隊に支援を与えることで、地域内のバランスがどう変わるか注目されるでしょう。どちらにせよISIS作戦は5年から10年つづくのではないでしょうか。それにしてもエイブラムス戦車等昨日まで自らの陣営の装備だったものを破壊するのはどんな気持ちだったのでしょうかね

US Airstrikes against ISIS Destroy 184 Humvees and 58 Tanks

by RICHARD SISK on JANUARY 7, 2015
ISIS Humvee
ISISへの合計1,600回を上回る空襲により、少なくともハンヴィー184両、戦車58両、700台近くのその他車両が破壊または損傷している。8月8日以降の空襲の対象でイラク、シリア国内の合計3,200点が目標になっていると、米中央軍が1月7日に明らかにした。
  1. 他に合計26両のMRAP(地雷・まちぶせ攻撃用に強化された)車両や装甲兵員輸送車、火砲79台、さらに歩兵陣地673箇所が破壊されたと中央軍が発表。
  2. ハンヴィー、M1A1エイブラムス戦車、MRAPはでISISの攻勢の前にイラク治安維持軍が逃亡して置き去りにしたものをISISが捕獲していた。
  3. 1月7日以降のリストでは小型舟艇14艘もあり、ISISがチグリス・ユーフラテス河で人員物資の輸送に用いていた。
  4. さらにリストを見ると少なくともISISが占拠していた建物・兵舎980棟、検問所92箇所、武器貯蔵所23箇所、掩蔽壕52箇所、戦闘拠点673箇所が標的になっている。
  5. ペンタゴンと中央軍はISISからの石油が闇市場に流出するのを阻止するとの意向が何回も表明している。石油がISISの主要な資金源になっている。今回発表の標的リストでは小規模精油所や貯蔵施設が259回の空襲を受けていることがわかる。
  6. 7日の記者会見ではペンタゴン報道官ジョン・カービー少将から空襲の累積効果によりISISは守勢に回っており、組織内の通信・統制機能が大幅に低下しているとの説明があった。オバマ大統領が空襲実施の許可を出したのは昨年8月8日で、以後毎日平均11回を実施している。■

2015年1月7日水曜日

★米海軍が開発中のレールガンの最新状況




レーザー兵器でもそうですが、海軍が進めている高度技術が着々と実用化に向かっていきます。スペースに成約がない艦艇にまず搭載して、小型化に成功すれば航空機にもゆくゆくは搭載され、コストパフォーマンス比を大きく改善していくことになるのでしょうね。数セントかせいぜい数ドルで百万ドル単位のミサイルを撃破できれば納税者も大喜びでしょう。問題は電力の確保ですね。

Navy Wants Rail Guns to Fight Ballistic and Supersonic Missiles Says RFI

By: Sam LaGrone
Published: January 5, 2015 12:42 PM • Updated: January 5, 2015 12:44 PM


n artist rendering shows the Office of Naval Research-funded electromagnetic railgun installed aboard the joint high-speed vessel USNS Millinocket (JHSV- 3). US Navy Image
電磁レールガンを搭載したUSNSミリノキット(JHSV-3)の想像図 US Navy Image

ペンタゴンが進める電磁レールガンが想定する目標は弾道ミサイル迎撃、ステルス機、水上等であると明記したレールガン射撃制御システムの情報提供依頼書(RFI)を海軍海洋システム司令部 Naval Sea Systems Command (NAVSEA) が12月22日に公開したが、直後に公開を取りやめている。

撤回は事務上の誤りで想定日付より早く公開されたためだとNAVSEA関係者がUSNI Newsに1月5日に説明している。今月末にあらためて政府調達入札情報を掲載するFedBizOpps上で公開するという。

とはいえ、今回のRFIは指向性エネルギー電動兵器開発部 Directed Energy and Electric Weapons Program Office (PMS 405)、海軍研究所(ONR)、国防長官官房(OSD)を取りまとめてNAVSEAが出した形で、合衆国がレールガンに求める方向性が見えてくる内容だ。

RFIでは「多用途レールガンシステムで弾道ミサイルを発見、追跡、迎撃し、あわせて空中および水上目標にも対応できる」実証システムを2018年までに完成させ、2025年までに実用化するとしている。

NAVSEAは以下のうち最低一つを実現するよう産業界に求めている。

  • 低レーダー断面積(ステルス)目標を長距離で追尾すること
  • 電子スキャン範囲(視野)が方位角および仰角で90度を超えること
  • 大気圏内で弾道ミサイル目標を追尾し、迎撃すること
  • 環境条件の影響を受けないこと(天候、水面、生物)
  • 弾道ミサイル迎撃、対空戦、水上戦をそれぞれ支援すること
  • 飛来してくる目標と発射後の超音速飛翔体を同時に追尾すること

ただしNAVSEAは想定速度や有効射程は明記していない。飛行体に加え、RFIでは水上目標の追尾交戦能力も強調している。

実用化を2020年ないし2025年と想定していることから米海軍はEM(電磁)レールガンを次世代大型水上艦に搭載する意向であるとわかる。アーレイ・バーク級駆逐艦、タイコンデロガ級巡洋艦の後継艦は開発の初期段階にあり、建造は2028年開始と海軍はUSNI Newsへ昨年伝えてきた。

ステルス性を高め、高速化している誘導兵器から海軍艦艇を防御する対策としてEMレールガンは有効だと海軍は長年に渡り主張している。

 A high-speed camera captures the first full-energy shots from the Office of Naval Research-funded electromagnetic railgun prototype launcher in 2012. US Navy Photo
高速撮影カメラがとらえた試作レールガンによるはじめての全出力発射の様子。(2012年) US Navy Photo


海軍の現行システムは高価なミサイルで目標に対処するもので、イージス戦闘システムが駆逐艦、巡洋艦に搭載されている。スタンダードミサイル(SM)とレーダーシステムが弾道ミサイル対応に改修されたが、ミサイルは単価11百万ドルになっている。

これに対してレールガンは安価な砲弾を使い、大型弾倉で発射回数も多くなる。

作動原理は磁場を形成する通電レール二本の間に発生する巨大な力で砲弾を押し出すもので、燃焼は一切発生しない。マッハ5を超える速度により砲弾は目標を破壊する。原理はいいとしても信頼性の高いレールガンを兵器として作ることは難題だ。


まず莫大な電力が必要で、海軍艦艇では不足傾向がある。さらに兵器として連続使用も課題だが、海軍はレール間に素早く電気パルスを発生させることで超音速に達する初速を確保した。

ONRによる実証では32メガジュールで発射できることがわかった。これは100マイルまで到達する事が可能な規模で、現在は連続使用に耐える兵器として開発中だ。

海軍は試作品のレールガンを高速ボートUSNSミリノキットMillinocket (JHSV-3)に搭載してテストを来年に実施する。試作レールガンのメーカーはBAEシステムズあるいはジェネラルアトミックスの予定で、実施すれば初の海上テストとなる。



2015年1月5日月曜日

V-22に空中給油能力を付加する米海兵隊の動向に注目

なるほどオスプレイの一部を給油機として固定化するのではなく、必要な時に空域内で給油機として使い、海兵隊の機動性を高めようという構想のようですが、海兵隊独自で給油機が必要と主張するのはどうでしょうか。観念的な反対議論が沈静化する方向にあると思いますが、自衛隊も同機を導入することを決めた今、国民は冷静に事実を見た方がいいでしょうね。地上車両もジェット燃料を使っているというのはターボシャフトエンジンを搭載しているのでしょうか。詳しい方に説明をお願いしたいところです。

V-22 to get a tanker option

Joshua Stewart, Staff Writer10:37 a.m. EST December 28, 2014
635549308216640337-MAR-V-22-Program(Photo: Sheldon Cohen/Bell Boeing)
V-22オスプレイが新しい能力を獲得する。米海兵隊専用の空中給油装備を開発中で、完成すれば空中給油機になる。
  1. 実用化になれば海兵隊の各機への給油機となり、F-35ライトニングIIも含むほか、地上車両への燃料補給も可能だ。ちなみに海兵隊車両は航空燃料を使っている。
  2. オスプレイを給油機として投入して、各機の戦闘行動半径を増やすのが海兵隊の航空10年計画の一部である。
  3. また海兵隊独自で給油能力を拡充すれば、それだけ海兵隊の独自運用の幅が広がると考えている。オスプレイ運用に整備された航空基地は不要であるのも魅力だ。
  4. 試作型の給油装置は2013年にテキサスで実験されている。その際にはオスプレイに燃料タンクと補給用ホースを取り付け、戦闘機の先頭に飛行させた。F/A-18CとD型への空中給油に成功している。
  5. ただし給油装置は都度装着することになり、V-22は分類上は空中給油機にならないという。海兵隊としてはJSFを地上支援に投入する際にも有効に活用できるようになると見ている。
  6. ただし開発は初期段階で実用化は2017年になる見込みだ。
  7. 給油機仕様ではドローグをオスプレイのハッチから伸ばす。実験時の写真では伸縮ホースを使っており固定式ブームではない。
  8. 海兵隊は2007年から同機を受領しているが、この他にも機体底部に機関銃を装着させた他、現在はミサイル搭載を実現化しようとしているなど、給油以外にも改良を加えている。
  9. その背景に海兵隊で同機を運用する特殊部隊Marine Air-Ground Task Forcesが各種の能力拡張を求めているためだという。■

2015年1月4日日曜日

★搭載機関砲が当面使えないF-35ではA-10の代わりにならない



A-10を退役させるのはF-35で対地近接支援任務が可能だから、というのがこれまでの空軍の説明でしたが、この記事によればあと4年以上も銃が使えないまま投入することになりますね。これでは議会が懸念を示すのも当然。そもそもF-35にすべてを期待する(せざるを得ない)ことに無理があるのではないでしょうか。あらためて防衛力の空白が生じることに懸念を感じます。

A Tale of Two Gatling Guns: F-35 vs. A-10

by BRENDAN MCGARRY on JANUARY 2, 2015
F-35共用打撃戦闘機の機関砲はあと4年間は実用化されないと判明。
  1. 理由はガトリング銃の制御用ソフトウェアの完成が2019年にずれこんだせいだ。強力な機関銃はF-35で近接航空支援を実施するのに必須とされる。このソフトウェアブロック3Fの工程が遅れていることは空軍関係者が認めており、2019年の目標もどうなるかわからないという。
  2. もうひとつはF-35が搭載するジェネラル・ダイナミクス製機関銃と1970年代に製造されたA-10サンダーボルトIIのガトリング砲との比較だ。
  3. 4本の25mm機関砲をまとめたGAU-22/Aはすでに海兵隊のAV-8BハリアーIIに搭載実績があるが、これを空軍向けF-35Aに搭載し、弾薬182発を積む。海兵隊向けF-35Bと海軍のF-35C艦載型では外部搭載とし、220発の弾薬を積む。
GAU-22
  1. GAU-22/Aは軽量化しながら射撃が正確になったが、一分間3,300発と発射量は下げている。これだとF-35の機関砲は約4秒で弾薬を使い果たすか、目標に火災を一二回発生させるの関の山だ。
  2. これに対して GAU-8/A Avenger は30mm機関銃7本を束ね、A-10ワートホグの機首に搭載されているが、同機では1,174発を搭載。また毎分あたり発射弾数も3,900発だ。
It's just a phase they're going through
  1. ブロック3Fのソフトウェアが完成するとF-35は機体内部、外部に各種兵装としてGPS誘導式共用直接打撃弾、レーザー誘導式ペイブウェイII爆弾、高性能中距離空対空ミサイルや赤外線方式のサイドワインダーの運用が可能となる。.
  2. ただしF-35の機関砲が使用可能となるまで長く待つ必要があることで、しつこくA-10を退役させようとする空軍へ疑問が出てくる。議会は空軍2015年度予算原案を承認せず、同機の退役を差し止め、最低1年間は同機を運用する予算をつけている。
  3. 前線司令官レベルもA-10の長所を理解しており、実際にイラクで投入され米軍、イラク軍がイスラム国戦闘員と戦うのを支援している。
  4. だがペンタゴンは機関砲が使えなくてもF-35を作戦投入する考えで、ソフトウェアでも懸念が残りつつ今年中に実現する考えだ。F-35Bが初期作戦能力を獲得するのは今年末になりそうで、F-35Aが来年末、F-35Cが2019年2月というのが最新の予定である。■


2015年1月3日土曜日

★ボーイング・エアバス・大韓航空連合が韓国KF-X受注を狙う



しかし、なぜ大韓航空なのか。ナッツリターン事件で大きくイメージを傷つけたのに?実は同社はF-5の国産生産の実績があり、航空会社と言う側面だけでは理解できない企業のようです。しかし、ボーイングはこんな会社と組んで大丈夫なのかなあと思わざるを得ません。

Boeing, Airbus, Korean Air Join To Bid For KF-X

Dec 29, 2014Bradley Perrett | Aerospace Daily & Defense Report

Super Hornet: USAF

韓国が目指すKF-X国産戦闘機開発でエアバスボーイングロッキード・マーティンにみすみす落札させないよう、ヨーロッパでしか提供できない技術内容を提案する準備中と業界筋が明らかにした。
  1. 大韓航空を現地提携先として、ボーイングF/A-18E/Fスーパーホーネットを原型に機体を開発する構想だ。
  2. 韓国国防省の調達機関である国防事業庁 Defense Acquisition Program Agency (DAPA)から12月23日にKF-X開発の提案要求が発出されている。
  3. 国防省の国防開発庁Agency for Defense Development (ADD)は韓国航空宇宙工業にロッキード・マーティンからの技術支援で機体開発させる構想だが、ボーイング-エアバス組の提案は経済効果が高い代替策をめざすもの。
  4. 合衆国は自国企業に海外移転できる技術内容で制限をかけている。韓国には多くの分野で国産化できない技術があり、エアバスにはステルス性能のノウハウをボーイングが期待しているのだろう。
  5. 総費用8.6991兆ウォン(約79億ドル)が財務省から認可されてADDのKF-X開発に目処が着いたといえる。しかし韓国国会は正式開発を認めておらず、来年12月の時点でも見通しは暗い。そこで大韓航空が安上がりな代替案を提出し、DAPAが反応するのを期待する構図だ。
  6. 以前から業界筋からボーイングが高性能版スーパーホーネットを提案するとの話が出ていた。別の筋からはボーイングが大韓航空と手を組むとの話もあった。そこにエアバスも加わるとの観測がでたわけだ。
  7. ボーイングがアメリカ国外の技術を売り込むのは今回がはじめてではない。F-15発展型サイレントイーグルをF-Xフェイズ3で提案した際にイスラエル航空宇宙工業の技術を盛り込もうとした。この際はロッキード・マーティンが入札に成功しており、F-35販売の見返りにKF-Xの技術開発支援を求められることになった。■


2015年1月1日木曜日

DARPA:開発中の2015年注目案件


今年初の記事は夢のある内容です。DARPAはいつも奇想天外な技術開発を目指しているようですが、今回の各案件は意外にまともです。既成概念にとらわれないからこそ次世代の兵器が生まれるのでしょうね。今年もよろしくお願いします。


DARPA Projects to Watch in 2015

by BRENDAN MCGARRY on DECEMBER 30, 2014
ペンタゴンの専門研究開発部門DARPA国防高等研究プロジェクト庁が2014年に自ら注目技術10件のリストを公表した。ここではさらに厳選し5件を紹介する。いずれも武器開発に繋がる可能性があり、2015年に注目すべき内容と考える。
1. 垂直離着陸(VTOL)のXプレーン----高速・高性能ヘリコプターをめざせ、でも陸軍の新型ヘリとどこが違うの?
VTOL-X
シコルスキー等の民間企業や陸軍とは別個にDARPAが考えているのは400ノットの飛行速度で機体重量の4割相当のペイロードが可能となる新型ヘリコプターで2015年9月に初期設計を審査し、一案に絞り込み2017年の初飛行をめざす。

2. 再構成可能空中組み込みシステムAerial Reconfigurable Embedded System (ARES)----陸上輸送を空中輸送に切り替えれば道路脇の即席爆発装置の被害から開放されるはず
ARES
DARPAは無人補給機の実現を目指しており、危険な陸上輸送の代替となる。ロッキード・マーティンのスカンクワークスによる無人機案を昨年採択しており、陸上部隊が携帯電話や専門タブレットで操作可能とする。

3.新型無人車両Ground X-Vehicle Technology (GXV-T)----防御よりも迅速性を重視

GXV-T
DARPAは陸上でも新世代車両をめざす。機動性と生存性を引き上げるが、装甲は減らす。「攻撃兵器が進化する中で装甲は有効性が減っており、脚を引っ張る」ためだという。逆に車両寸法は小さく、ステルス性を向上させれば的に探知されにくくなり、攻撃を受けることも回避できるという。
4. Z-Man----ヤモリからヒントを得た吸着性能を見よ
ZMAN
2014年にDARPAが公開したのは体重200ポンドの男性が高さ25フィートのガラス壁面をよじ登る光景だった。弾性は50ポンドの荷物を背負っていた。秘密はヤモリの四肢が有する吸着性能からヒントを得たパドルだった。素材はポリマーマイクロ構造でDraper Laboratoryが開発したもの。

5. 超精密命中弾薬 Extreme Accuracy Tasked Ordnance (EXACTO)----発射後に誘導して一発必中だ
DARPAは狙撃銃から撃った50口径弾丸を弾道途中で制御して標的に命中させる実験に成功している。特殊弾丸と誘導システムにより「気温、風力、標的自体の移動その他を補正し、弾丸を追尾誘導させて命中させた」という。


Defense.org


2014年12月30日火曜日

★年の瀬に今年の人気記事をご紹介



今年もあと僅か。そこで人気をよんだ今年の記事をあらためてご紹介しましょう。(一定の期間内に一定のアクセスがあった記事に★をつけています)

F-3につながる実証機の登場で一気に国産戦闘機へ期待が高まりました。課題はエンジンですね。国産戦闘機がこのまま開発に一気に進むかは2015年がひとつの勝負になるでしょうね。


★★★米海軍の考える2020年代のA2AD対抗としての航空戦のイメージF-35C, F/A-18E/F, ISR,NIFC-CA, TTNT, UCLASS, 空母打撃群
NIFC-CA(ニフカ)と言う概念が出てきました。機体はコンピュータネットワークの装置のひとつになっていくようですね。E-2Dが実は重要な役割を果たすことがわかります。日本も同機導入を決めましたが、ちと使い方がちがうようですね。


今年もF-35は一進一退、本当にこんな機体にこれからの防衛を依存して西側各国は大丈夫なんでしょうか。当ブログでは一貫して同機への疑問を表明しています。


★★★韓国KF-Xは双発仕様に決定KF-X, ステルス戦闘機, 韓国
あれやこれやとお騒がせなおとなりの国ですが、日本が仮想敵国だという国民の意識はなんとなかならないでしょうか。そもそも韓国の安全保障の課題は何でしょうか。よくわかりません。


一般市民が高性能カメラを手にすることが多くなり、この事件もたまたま写った機体が変だぞ、ということになったのですが、空軍はあわててB-2だったと発表しましたが、怪しいですね。ブラックの世界で開発中の次期戦略偵察機ではないでしょうか。今後は夜間飛行に切り替えて写らないようにするかもしれませんね。


潜水艦の話題が今年は多かったですね。海上自衛隊がこれまで努力を重ねてきた潜水艦開発が急に注目された格好ですね。さらに武器三原則の見直しで海外輸出の可能性が出てきたことも大きいですね。ただし国内向けも増備を図る中で完成品の輸出はまずむずかしいでしょうね。

★★★少しずつ見えてきた第六世代戦闘機の構想指向性エネルギー, 第六世代戦闘機, 米空軍
第五世代戦闘機(これもロッキードの造語なのですが)のF-35やF-22がもたもたしている間にもう先を見越した構想が出てきました。指向性エネルギーを導入したら光のスピードで勝負が決まりますが、どうなりますかね。

その第五世代戦闘機の一つ、F-22が初めて実戦に投入されましたが、対地攻撃機としてのミッションとなったのは皮肉な結果と言えましょう。さらに先のリビア紛争に投入しようとしたところ思わぬ障害(通信機能)が発覚し地上で待機となった悔しい背景もありました。ゲイツ元長官が同機調達縮小したことは正しかったのではないでしょうか。


選外


イスラエルも深刻な自国防衛を背景に地道に技術開発してきた結果、世界で類のない防空体制を構築していますが、その実現には米国の多大な支援があってこそのようです。



核融合の研究者からは完全に無視されていますが、一体ロッキードがこの段階で公表した背景はなんだったのでしょうか。実はブレイクスルーがあったのではないかと見ていますが防衛産業ナンバーワンのロッキードでもさすがに自社単独開発はリスクありと判断し投資を募っているのではないかと思います。急に再び話題が出てきそうで今後も注目ですね。


その他
  • 中国がかつてのソ連のように新装備、新思考をウォッチする対象になりましたね。問題はそれに対抗しようにも米国の国防予算ががんじがらめになっており、思うように手が打てないことです。技術優位性の回復ということでThird Offset戦略が出てきました。
  • ISISイスラム国関連はどうも読者の皆さんの関心とはずれているようですが、これから5年10年と続きそうな戦争で無視はできない話題だと思いますので、今後もご紹介していきます。
  • 北朝鮮、韓国ともに何かとお騒がせな国情ですね、とくにF-35関連で日本と張り合って導入、グローバルホークもそうですが、日本にFACOとともに点検整備ラインができることになりましたが、絶対利用しないと言わざるを得ないのは、感情が優先する国のなりたちのせいでしょうが、安全保障とはそんなものではないはずです。来年は韓国に新しい思考が生まれることを期待したいですね。


では皆様、良いお年をお迎えください。


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2014年12月28日日曜日

今年の軍事航空を振り返る



Military Aircraft In 2014

Dec 29, 2014
Graham Warwick | Aviation Week & Space Technology

F-22が実戦デビューし、議会がA-10退役にストップをかけ、F-35ではさらに就航が遅れる不具合が発生しましたが、以下今年の軍事航空での大きな出来事を御覧ください。(全12題)

AH-64E in A'stan US Army.jpg

1. AH-64E の実戦投入(3月)

ボーイングAH-64Eアパッチを米陸軍がアフガニスタンに投入し、無人機ジェネラルアトミックスMQ-1Cグレイイーグル編隊と連携運用した。
Credit: U.S. Army

UK F-25B BK-1 Lockheeed.jpg

2. F-35 が国際デビューに失敗(7月)

6月に発生したF-35Aのエンジン火災のため飛行停止となり、JSFは英国で予定していた国際航空ショー2つへの出展ができなくなった。
Credit: Lockheed Martin
Scorpion - Textron.jpg

3. スコーピオンが国際デビュー(7月)

初飛行から半年足らずでテキストロン・エアランドが自社開発したスコーピオン軽攻撃・偵察機のプロトタイプが大西洋横断しロイヤルエアタトゥーおよびファーンボロの国際航空ショーでお披露目された。
Credit: Textron
AHRLAC flies Paramount.jpg

4. 南アフリカ開発のAhrlacが初飛行(8月)
南アフリカの防衛産業企業パラマウントグループが設計、開発した発展型高性能偵察軽量航空機Advanced High Performance Reconnaissance Light Aircraft (Ahrlac) が初飛行した。
Credit: Paramount Group

F-22 night ISIS USAF.jpg

5. イラクへの回帰(8月)


アフガニスタンからの撤兵を続ける米国と英国は10月に同地での戦闘活動を停止したが、8月には米国主導の有志連合がイラク、シリア国内のイスラム国勢力への空爆を開始した。ステルス機F-22も対地攻撃で初めて実戦投入された。
Credit: U.S. Air Force

KF-16 South_Korean_Ministry_of_National_Defense.jpg

6. 韓国の調達決定と契約取り消し


韓国はF-35A導入を9月に正式に決定し、2018年から合計40機を調達する。しかし11月にBAEシステムズとのKF-16合計132機の改修契約を価格を理由に取り消している。
Credit: South Korea National Defense Ministry
A-29 Super Tucano US Air Force.jpg

7. 米空軍にスーパータカーノ納入(9月)

シエラネヴァダ社がすったもんだの末に契約を交付され、米国内で組み立てられたエンブラエルA-29スーパータカーノ軽量航空支援機の最初の20機が米空軍に納入され、パイロット訓練が始まった。同機はアフガニスタン空軍用に調達されたもの。
Credit: U.S. Air Force
Prev
Gripen Brazil Saab.jpg

8.ブラジルがグリペンを選定(10月)

ブラジルはSaabのJAS39E/FグリペンNG36機の導入を10月に決定。納入は2019年から24年にかけてで、最終的に108機規模に増える可能性がある。ブラジルは複座型Fモデルの開発に参加し、自国ミサイルの搭載をめざす。
Credit: Saab

KC-390 rollout Embraer.jpg

9.KC-390がロールアウト(10月)

ブラジル空軍が予算を出し開発したエンブラエルKC-390が10月21日にロールアウトした。エンジンは国際開発IAEのV2500双発で輸送機とともに空中給油機にもなる同機は2015年早々に初飛行する。
Credit: Embraer
F-35C lands on carrier US Navy.jpg

10. F-35C着艦に成功(11月)

ロッキード・マーティンのF-35C 艦上運用型が海上公試を実施。テスト機が拘束フック着艦ととカタパルト発艦をUSSニミッツ艦上で実施した。
Credit: Lockheed Martin
E-2D US Navy.jpg

11. 日本がE-2D AEWを選定(12月)

日本がノースロップ・グラマンE-2Dホークアイ空中早期警戒機導入を決め、同機初の海外顧客となった。日本はあわせてベル・ボーイングV-22オスプレイ、ノースロップ・グラマンRQ-4Bグローバルホーク無人機の導入も決定。
Credit: U.S. Navy
A-10 US Air Force.jpg

12. A-10は健在

年末に2015年国防予算が議会を通過したが、一時的にせよ米空軍が予定していた近接地上支援機A-10の退役を阻止している。空軍はE-3とU-2の運航も取りやめる意向だ。A-10は11月から対イスラム国空爆に合流している。
Credit: U.S. Air Force

2014年12月27日土曜日

中国:尖閣諸島をにらんだ基地新設に日本は対応をどうすべきか


こういう報道が出てくる共同通信には敬意を表します。中国に独自の情報源があるのでしょうね。それにしても立場が反対なら自国近辺に物騒なものができたと大騒ぎするのに、いちいち目くじらを立てるなと取り合わない中国の態度はどうなんでしょうか。もっとも国内ではこの案件は全く報道されていないのでしょうね。

Report: China Building a Base 190 Miles from Contested Islands

By: Sam LaGrone
Published: December 23, 2014 10:05 AM • Updated: December 23, 2014 10:06 AM

An illustration of China’s contested Air Defense Identification Zone (ADIZ) from state run media. Xinhua Photo
物議を醸し出している中国による防空識別圏 (ADIZ) 国営新華社通信


中国が尖閣諸島から200マイル地点の島嶼に滑走路複数を建設中と共同通信が伝えた。


匿名中国筋を引用し数本の滑走路が南キ(鹿の下に几)Nanji 島に完成済みで、レーダー設備も補強しているという。

「戦略的に重要な立地だ。釣魚(尖閣)諸島に近く、東シナ海の防空圏を補強できるし、本国の沿海部の海上防衛でも重要な位置になる」と中国海軍研究所Chinese Naval Research Instituteの主任調査員Li JieがBloombergに語っている。「中国が該当地域の軍事プレゼンスを強化しているのは疑いようがない」

新設基地は尖閣諸島に近く、物議をかもしだしている東シナ海上空の防空識別圏(ADIZ)の航空作戦を支援できる。Bloombergは基地が尖閣諸島に沖縄の米軍基地よりも近い場所にあることを指摘している。

「基地整備は何ら異常なことではない」と発言し、「中国は戦略拠点ごとに軍事基地を設けており、今回の南ジもその一つにすぎない」と語るのはXu Guangyu退役中将(中国軍縮兵器管理協会China Arms Control and Disarmament Association顧問)。

「日本側報道が何ジで騒いでいるが、本質を捉えていない」■