2016年6月15日水曜日

★★米海兵隊が進めるオスプレイ改良、武装化、空中給油能力、さらにC型の開発



海兵隊はオスプレイの最大のユーザーですが、独自に発展を考えているようです。C型というのは海軍仕様のCODにつく名称だと思っていましたが、先に海兵隊が取ってしまったのでしょうか。今後変更もあるかもしれませんね。

The U.S. Marines Want to Turn the MV-22 Osprey into a Lethal Flying Tank

June 13, 2016

米海兵隊はMV-22オスプレイにレーザー誘導方式2.75インチロケット弾、ミサイル、重機関銃を搭載する武装案を検討中だ。実現すれば同機のミッションは従来の補給・輸送に戦闘任務も追加される。

MV-22の武装化

  1. 「NSWC(海軍水上戦センター)のダルグレン施設で前方発射式ロケット弾、ミサイル、固定機関銃、機首装着銃に加え30mm砲、投下式ロケット弾、誘導爆弾をV-22で運用する可能性を探っています。この結果から海兵隊はMV-22Bオスプレイの武装化の決断を下します」とサラ・バーンズ大尉がScout Warrior へ書面で連絡してくれた。
  2. オスプレイ武装化で小火器、ミサイル、ロケット弾から防御性が高まり、輸送任務中のリスクが減る。さらに精密誘導兵器は海兵隊の兵力展開時に敵制圧能力となる。
  3. 武装オスプレイの登場でティルトローター機中心の戦術案の効果が上がる。同機のスピードとホバリング能力を活用し移動式迫撃砲や軽車両を運搬し、前線の海兵隊員を支援する構想で、奇襲攻撃も想定する。
  4. V-22武装化の第一歩は目標捕捉FLIR装備の選択、デジタル相互運用性、機体生存装備の選択だ。新型兵装の搭載は早ければ2019年からとバーンズ大尉は述べた。
  5. またバーンズ大尉は「強襲支援」はMV-22の主要任務として変更はないと述べている。「地上及び空中ミッションの指揮官の選択肢を広げ、即座に効果が出る防御手段となります。兵装の選択次第ですが、将来のティルトローター機は防御からガンシップ、警戒監視まで各種の能力を発揮するでしょう」
  6. レーザー誘導式ハイラ2.75インチロケット弾はフィン折り畳み式でアパッチ攻撃ヘリコプターに導入済みだがオスプレイで精密攻撃能力が実現する。レーザーを利用した2.75インチロケット弾発射方式は高性能精密破壊兵器システムAPKWSと呼ばれる。
  7. ベル=ボーイングは機体横にパイロンを付け各種兵器共通運用を図る。 「当社はベル社と共同でロケット弾をAPKWS構想の一部として機体に装着してみました。2.75インチロケット弾、レーザー誘導兵器やグリフィンミサイルです。レーザー照準の実験で効果を確認しています」とベル=ボーイングの業務開発部長リック・レマスターがScout Warriorに語ってくれた。また海兵隊はMV-22に50口径あるいは7.62mm 銃の搭載も考えているという。

新型オスプレイが2030年に登場

  1. 海兵隊ではさらに新型オスプレイMV-22Cを2030年代中頃の稼働開始想定で現在企画段階にある。海兵隊は新型オスプレイの構想としてティルトローター技術を元に性能をさらに引き上げると説明している。詳細はまだ不明だが、おそらく改良型センサーやデジタル航法で他機との接続を実現し、飛行速度やホバリング性能はさらに引き上げ、ペイロードが増え、次世代エイビオニクスを搭載し、機体防御装備としてミサイルや小火器対応をするだろう。
  2. 詳細はまだ不明だが、海兵隊関係者からScout WarriorにC型はこれから登場する次世代航空技術を搭載するとわかった。
  3. 「性能向上策で海兵隊に高性能中型強襲支援機が手に入ります」と海兵隊広報官ポール・グリーンバーグ少佐がScout Warriorに伝えている。
  4. オスプレイは水平飛行で280ノットが出せ、通常の回転翼機より戦闘半径が大きいことがまず特徴としてあげられる。
  5. ティルトローターの特徴でヘリコプターモードのホバリングで接近偵察をし、垂直着陸で兵員、装備、物資の輸送した後で航空機モードで固定翼機並みのスピードで飛行できる。一回の燃料補給で飛行できる半径は450カイリと海兵隊は説明している。
  6. 「2007年の供用開始以降MV-22は過酷環境で運用中です。イラクやリビアの砂漠からアフガニスタンやネパールの山地、揚陸強襲艦にも搭載されています。2007年1月から2015年8月まで海兵隊MV-22の総飛行時間は178千時間に上り各種戦闘作戦を支援してきました」(グリーンバーグ少佐)
  7. MV-22はこれまで290機がメーカーのベル=ボーイングから引き渡されており、最終的に360機になる。

FVL新技術をオスプレイに流用

  1. グリーンバーグ少佐はさらにMV-22Cで陸軍が推進中の次世代垂直離着陸機FVLで開発する技術も導入すると述べた。
  2. 「MV-22Cは進行中の各軍共用多任務次世代垂直離着陸機で導入する新技術も利用するほか、開発中の技術開発成果も使うでしょう」
  3. 米陸軍は2030年までの供用開始をめざし高性能高速かつ高効率の中型ヘリコプターの実証機で二社に開発製造契約を交付している。狙いは航空機同様の高速飛行とヘリコプターのホバリング性能を同時に実現することだ。
  4. このため各種技術の応用が想定され、軽量機体構造で抗力を下げ、各種推進方式、燃料効率が高いエンジン、複合材料や新型センサー技術の採用、航法、目標捕捉能力の改良、デジタルコックピットまで幅広い。
  5. 要求内容には「高度高温」環境での運用能力もあり、華氏95度高度6,000ft.という通常型ヘリコプターでは運用が難しい環境での運用を求めている。大気密度が薄く、気圧が低くなるためヘリコプターの操縦と運用は困難になる。
  6. 陸軍の共用多用途技術実証事業はJMR TDと呼ばれ、ベルヘリコプター=テキストロン、シコルスキー=ボーイングの各チームが契約を交付され、2017年までに実証機を生産し、次の中型ヘリコプター開発につなげる。
  7. テキストロン傘下のベルヘリコプターはティルトローターのベルV-280ヴァラー、シコスルキー=ボーイングチームはSB>1ディファイアント同軸ローターブレイド機をそれぞれ製造中だ。同軸ローターブレイドは反対回転するブレイド二組と機体後部に取り付けた推進器を組み合わせ安定した高速飛行、ホバリング性能、操縦安定性を同時に実現する。ベルのV-280はティルトローター式でオスプレイとの共通点が見られる。
  8. 次世代垂直離着陸機で想定する任務には輸送、武装偵察、攻撃、人道援助、MEDEVAC(救急搬送)、対潜戦、対水上艦戦、陸上海上での捜索救難、特殊作戦支援、機雷掃海があると陸軍は説明している。
  9. 今後登場する技術分野には次世代センサー、航法技術、自律飛行、雲中透視、埃や異物が散乱する「低視認度環境」での飛行がある。

空中給油能力など既存型の改良進む

  1. 陸軍主導で開発する技術要素を海兵隊は新型オスプレイにも搭載する一方で既存MV-22でも技術改良を続ける。
  2. V-22空中給油システムVARSがその一つで、2018年供用開始とグリーンバーグ少佐は説明。
  3. 「VARSでF-35BライトニングII戦闘機におよそ4,000ポンドの給油が初期作戦能力として可能になります。2019年までに1万ポンドに拡大します。F-35Bの行動半径が延びるとともに目標上空で滞空時間を延長できます」
  4. またオスプレイからヘリコプターへ速度110ノットで、固定翼機には220ノットで空中給油できるようになるとレマスターは述べている。
  5. VARSの対象はCH-53E/K、F-18,AV-8Bハリヤーに加えV-22も含むとグリーンバーグ少佐は解説してくれた。
  6. 海兵隊ではオスプレイに高度ネットワーク技術の搭載も狙い、「デジタル相互運用性」“Digital Interoperability”略してDIと呼ぶ。このネットワークでオスプレイ乗員は後部に乗る海兵隊員含め戦術戦略情報を機内で入手できる。DIは第十五海兵遠征部隊が試用中で2017年中に供用開始する。■


本記事の著者クリス・オズボーンはScout Warriorの編集主幹。Scout.comで独自取材源で記事を執筆好ている。Scout Warrior は軍事関連記事を幅広く提供しており、兵装から次世代技術まで扱い、その他軍関連情報を公開している。オズボーンは現職の前にMilitary.comで服編集人をつとめていた。本記事はScout Warriorからの転載である。


サイバー攻撃の被害を受ける前にハッカーを先に狩り立てろ



韓国で発覚したサイバー被害は政府機関・民間会社あわせて160機関で合計14万台のPC端末に及んでいたとのことです。悪意あるコードが送りまれたのが2014年で今年2月まで発覚しなかったということで相当巧妙な攻撃だったようです。そこで防御一方の対応でいいのかというのが以下の主張です。しかし著者の元海兵隊大尉はなかなかの切れ者のようですな。

No More Cyber Maginot Lines: We Need to Hunt Down Hackers Before They Strike

An attendee works on her computer during the Black Hat conference, Thursday, Aug. 6, 2015, in Las Vegas.
JOHN LOCHER/AP

JUNE 5, 2016BY NATE FICKQUARTZ

サイバーセキュリティの次の最前線


2006年、イラクとアフガニスタンで米国は同時に戦争に負けつつあった。だが国内では政治、軍事、経済、報道、いずれの観点でも順調と信じ込んでいた。

  1. それから十年後、サイバーセキュリティ業界が同じ状況にあるようだ。昨年だけでも750億ドルがセキュリティ製品サービスに投じられ、全米大手企業500社の四分の三以上がサイバー被害にあう中、侵入探知に平均146日かかっていた。(2014年の205日よりは短くなっているがこれでも長すぎる) これでは防御側にとって戦略的に負けているのと同じだ。
  2. 何らかの変化が必要だ。不完全な予防策だけに頼るのではなく、また侵入発生後に対応するのではなく、防衛側は形勢逆転をすべく、先行して攻撃者を特定し実害の発生前に相手を根絶する必要がある。これがサイバーセキュリティの次の最前線の姿だ。
  3. これに失敗すれば大損失になる。2015年のサイバー犯罪調査によれば一回のハッキングで年間平均15.4百万ドルの損害が米企業に発生しており、世界平均の二倍規模だ。別の報告書ではサイバー攻撃による年間被害額は世界全体で4000ないし5000億ドルとしている。2013年調査では米国では悪意あるサイバー活動で雇用数十万名分が毎年失われている。
  4. 攻撃の被害が確実に広がっておりオンライン商取引や通信への社会信頼度が揺らいでいるのがもっと深刻な結果だ。
  5. だが変わったのは一部だけだ。この業界は人材問題で身動きがとれなくなっている。創造性あふれた人材がハッカーになりやすいのは防衛側の仕事がリストのチェックが中心の規則順守作業になっているためだ。沿岸警備隊に入隊するより海賊になるほうが楽しいに決まっている。さらに政府の対応や法律は技術の進歩に追いついていないし、背景にある急速な社会規範の変化にも遅れ気味だ。企業や政府機関はセキュリティ予算を増やし対策を模索しているが、中心はいまだに周囲防御を高めることであり、相変わらず属性が判明している脅威に対処技術が大手を振っているが、本当の脅威は穴だらけの防御網を回避しているだけだ。
サイバーセキュリティの筋書きをひっくり返せ
  1. 分岐路に立たされているのに業界は間違った方向に進んでおり、サイバーセキュリティ関連支出では今も中心は予防策や防御線の死守だ。確かに予防策は必要だがそれだけで十分でなく、ましてセキュリティ支出の9割を使うことは正当化できない。
  2. 防御線はすでに消滅している。携帯機器の普及やビジネスでクラウドサービスが広まったためだ。防御線の内側で既知のマルウェアを探索するのはリアウィンドウを見てクルマを運転するようなものだ。予測が立たず新規の被害発生は予知できない。これは受動的な防衛態勢で能動的な敵を相手にすることになりうまくいくはずがない。
  3. そこでこれまでのサイバーセキュリティの筋書きを逆転する必要がある。米空軍の戦略立案専門家ジョン・ボイドは次の言葉で以後の軍事思考に大きな影響を残した。「ヒト、考え、ハードウェア、必ずこの順序で!」とのボイドの考え方をサイバーセキュリティに応用すれば、対応策に大きな変化が生まれそうだ。人材を引き付け最大限に能力を活用し、各種構想で政府の政策をテコ入れし、技術利用の在り方を変えるのだ。
  4. 多様な人材でチーム多数を編成する必要がある。ダイバーシティはイノベーションの源泉である。そしてダイバーシティは性差、背景、視点、技能を文字通り多様化にすることだ。イラクで2003年の平均的歩兵はほぼ同様に見える敵の歩兵と対峙したが、相手側も同様の訓練を受け、おそらく思考も類似していたはずだ。2008年になると歩兵の相手は一層多様化しており、女性(特にイスラム圏では男性ではできないことも扱える)、情報分析内容、その他政府機関が相手勢力を構成していた。
  5. サイバーセキュリティに当てはめると業界の在り方自体の変化につながる。これまでの「スウェットシャツを着たハッカー」のイメージではなく各社はダイバーシティを積極的に進めるのだ。次世代の脅威に対応するため社会学者、データ技術者、政治学者、グラフィックデザイナーが軍や情報機関の専門家と肩を並べてソフトウェア技術者、研究員や味方のハッカーとともに働くことになるだろう。
攻撃側に回り敵を探り出せ
  1. 防御一辺倒の考え方は逆転する必要がある。著者はアフガニスタン・イラク戦の初期に海兵隊戦闘部隊を指揮していたが軍用地図を逆に持ち替えて敵の観点で考えることを普通にしていた。生き残るためには必要だった。同じことが発生している。考え方を企業防衛から攻撃に切り替えるのだ。アラビアのローレンスが反乱分子との闘いで言ったことは今日のデジタル敵対勢力にもあてはまる。ナイフでスープを飲むのは惨めたらしく時間がかかるが目的達成は可能だ。
  2. 次が技術だ。狩りを成功させる要素はステルスだ。攻撃側はステルスを必死に保とうとする。DNAの中にすりこまれているのだ。目に見えない攻撃者は成功者と言える。そこでステルス構想を防衛に応用すればどうなるか。防衛手段が見えれば、敵は回避するだろう。だが防御側にステルスはどんな効果を生むか。侵入時に攻撃側が防御側に気づけば戦いは困難になる。一部のセキュリティ企業は臆面もなくセキュリティ会社の存在を探知すれば攻撃者は逃げ出すと公言している。そのとおりだと思う向きは孫子を読んだことがない人だ。また効果的な攻撃側にもなれそうにない。敵は表面を避け隙間に逃げ込むものだ。ここまで積極的に言うとセキュリティの鉄則を破ることになると心配する向きもあろうが、はっきりさせておきたい。先手を打ち敵を狩り立てるのはサイバー空間の敵への「ハッキング返し」ではないし、非合法の「撃ち返し」でもない。狩り立てることが必須であり、逆に相手をハッキングするのは非合法行為だ。
  3. 合法非合法の境界線より重要なのはハッキング返しは愚策だということで、ガンファイトにナイフを持ち出すようなものだ。大銀行で巨額予算をセキュリティ対策に使えても中国のPLAやロシアのFSBを相手にしたいと思うだろうか。
  4. 反対に攻撃側に回り敵を狩り立てることは自分の資産をこっそりと継続調査することにつながる。こう考えてはいかがか。侵入者が読者の自宅に押し入ってきたら、金庫に手が伸びるまで放置しておかないだろう。読者は自宅周囲を回り侵入者を探し、実損の発生前に止めるのではないか。現実世界ではこれは常識だが、デジタル世界では簡単ではない。読者の住宅では侵入者は一人だけと想定してもいいが、サイバー世界の侵入者は数千名かつ75パーセントの確率ですでにシステム内部は侵入ずみなのだ。
  5. とはいえ攻撃型のサイバーセキュリティは実際に機能するだろうか。攻撃側はどうしても有利になる。同じ金額の予算なら攻撃側が防衛側を毎回打ち負かすだろう。防衛側は一回も間違いを犯す余裕はないが攻撃側は正しい選択を一回だけすればよい。先手を打つ狩りでこのハンディはなくなり防衛側は攻撃側に対して優位になるかもしれない。このことに政府は気付いている。国防総省、情報機関各種等先で先手を打つ狩りはすでに開始されており、実施は今後一層広がるだろう。民間企業も同じ考え方に切り替える必要がある。
  6. だが筆者は楽観主義者である。課題はたしかに存在するが、根本的に秩序ある側が優勢になると見ている。商業活動、通信活動、教育活動、娯楽でインターネットへ社会は過剰依存しており、インターネットへの信頼度が一定以下に下がるのは容認できない。企業経営者、投資家、技術者、データ技術者、政策決定者、学術研究者、情報機関関係者他の毎日が惨めで結果がなかなか出てこないのはナイフでスープを飲んでいるからだ。■
本稿の著者ネイト・フィックはセキュリティソフトウェア会社EndgameのCEOで、同社製品は高度技術を有するサイバー敵対勢力を追跡するもの。アフガニスタンとイラクで海兵隊部隊を指揮しており、その経験で書き下ろした"One Bullet Away"はニューヨークタイムズのベストセラー入りしている。
Nathaniel Fick


2016年6月14日火曜日

★北朝鮮が韓国へのサイバー攻撃でF-15技術情報を入手



2年間以上もハッキングされていると気づかないほど北朝鮮の手口は巧妙なのでしょうか。北朝鮮の標的が韓国だけとはとても思えず、我が国特にサイバー保安体制への支出を渋りがちな政府部門は警戒を強化し、点検をすべきではないでしょうか。いつも思うのですが、いいように攻撃だけ受けるのはいかがなものでしょうか。サイバー報復攻撃をそろそろ始動してもいいのではないでしょうか。

South Korea Charges That Pyongyang Hackers Stole F-15 Designs

U.S. F-15C Eagle jet fighter / APU.S. F-15C Eagle jet fighter / AP

BY: Natalie Johnson

June 13, 2016 3:39 pm


北朝鮮が広範囲なサイバー攻撃を韓国企業に加え米戦闘機の技術情報を盗んだと韓国政府が13日発表した。
  1. 犯行は2014年から始まり、国防関連文書4万点が韓国企業二社から盗まれたとロイターが伝えている。ハッキング行為の発覚は今年2月だという。
  2. F-15戦闘機の設計図や無人スパイ機用の部品写真が大韓航空から盗まれた。同社は韓国空軍機の部品を製造し、F-15もそのひとつだとウォールストリートジャーナルは伝えている。
  3. 韓国国防筋によれば盗まれた書類に秘密文書はない。「今回の情報漏えいによる国家安全保障への影響は無視できる程度だ」
  4. 逆探知で判明したIPアドレスは平壌市内で、韓国で官民が使うソフトウェアを標的にしていた。
  5. これに対し北朝鮮当局はサイバー攻撃への関与を否定しているが、同国のハッキング能力は飛躍的に伸びている。
  6. 韓国の情報機関は北朝鮮がサイバー攻撃をエスカレートし韓国の安全保障関係者40名の電話を盗聴していたと3月に発表。これについても北朝鮮は「ねつ造」と一蹴している。.
  7. 米政府は2014年にソニーピクチャーズで発生した大規模情報流出を北朝鮮と関連付けた。この事件により同社は金正恩暗殺を描いたコメディ映画の上映を中止している。■


2016年6月13日月曜日

★1945年8月が終戦でなかったら日本本土は化学兵器の攻撃を受けていた



なるほど、あの時点で日本が降伏していなければ国土が文字通り死ぬ事態になっていた可能性があるわけですか。戦後に同じ製品を日本の農家が除草剤として大量導入したのは皮肉な事実ですね。土壌汚染は中国が深刻といわれますが、日本も人のことは言えないでしょう。旧陸軍731部隊と言い、今回の化学兵器といい、科学の成果が形を変えて今日でも日常の中に生きている例ですが、科学技術の持つ暗い面に目をつむらずに正しく判断するためにも情報の普及と共有は政治力以上に必要と痛感させられます。

 Revealed: America Nearly Attacked Japan with Chemical Weapons in 1945


June 10, 2016


バラク・オバマ大統領が歴史に残る広島訪問を5月にして第二次世界大戦末期の日本を降伏させるため原子爆弾投下は必要だったのか議論に火がついている。ただし議論が触れていないのは米軍が原爆以外の恐ろしい兵器も投入する準備をしていたことで、化学兵器による飢餓作戦もその一つだ。
  1. 1944年4月のこと、米陸軍は農作物を全滅させるあるいは被害を与える特殊化学品の備蓄を開始した。その一年後に地上戦部門は日本本土で作戦実施の場合に投入可能な武器の準備に追われていた。
  2. 「化学戦成分の投入で日本本土の主要作物を枯死させる選択肢は第二次大戦の最終年に真剣に検討されていた」と1946年の国家防衛研究委員会(NDRC)報告書は述べている。
  3. 終戦時点で「化学薬品の散布方法の開発は高い優先順位事項で進行していた」
  4. 1945年8月に広島、長崎が原爆二発で壊滅したことで日本は戦闘継続を断念した。だが戦闘が続いていたら米軍は大規模化学攻撃で日本本土の農耕地を破壊する決断に動いていたかもしれない。
  5. 農作地を使用不可能にし食料備蓄を破壊する構想は人類史上に古くからある。第二次大戦終結までに米側にはこの構想を大規模に利用する準備ができていた。
  6. 1945年4月までに米陸軍はキャンプ・デートリックで1,000種類以上の化学薬品の試験をしていたが、ここはワシントンから80キロしか離れていないメリーランドの陸軍基地だ。これは1947年公表の陸軍生物戦の資料で明らかになっている。
  7. 陸軍はオハイオ州立大学に委託し効果の高い化学薬品200種類の合成をさせ、デートリックでもその他化学薬品を開発している。陸軍は各化成品にはコード「LN」の後に無作為の番号を付け識別した
  8. 「戦時研究から化学薬品で農作物を破壊する有効策は生まれていない」とNDRC報告書はまとめている。「ただし一部化合物は有望と見られる」
  9. 軍事的観点ではフェノキシ酢酸が一番効果があると見られる。この化学物質は植物生育を混乱させ枯死させる。
  10. 陸軍はフェノキシ酢酸を使い可能性が高い9種類の化学兵器を準備した。中でもLN-8が一番高い成績で、大量生産に移された。ダウ・ケミカルの特種製品事業部がLN-8をもとに製品三種類を作った。固形製品、アンモニアを混合した「塩」、濃縮液体だ。ペンタゴンはそれぞれ野菜殺し酸、野菜殺し塩、野菜殺し液と呼んだ。
  11. 陸軍は航空機からの除草剤散布方法を模索し1945年4月、B-25爆撃機編隊は550ガロンのタンクをそれぞれ爆弾倉に搭載し、インディアナ州とテキサス州でテストを実施している。各機は野菜殺し酸の霧を散布し、ディーゼル燃料その他石油製品を各種混合していた。
  12. 陸軍は結果から重い、つまり粘性が高い混合物の方が地表に着実に到達することを発見している。それ以外は空中で拡散してしまった。
  13. 「ただし効果的な散布には危険な低空飛行を敵地上空で行う必要があった」と陸軍生物兵器開発史は述べている。「長距離飛行が可能な大型機の投入が日本の米作地を攻撃する際に必要と判明した」
  14. そのころ米陸軍航空隊は日本の都市部工業地帯に焼夷弾攻撃を加えていた。散布試験の前月に一回の空襲で東京で10万名超が死亡し、280千棟以上が炎に包まれ百万名が住居を奪われている。
  15. ペンタゴンは農作物全滅攻撃を連続実施する考えで、同年6月に米陸軍のB-25がユタ州のテスト場でクラスター爆弾各種を投下している。
  16. 爆弾容器の中身はLN-8混合物125ポンドだったがテストでは故障が続き満足に散布できなかったため、陸軍は別の選択肢に動いた。
  17. 翌月に爆撃機はSPDマーク2爆弾を投下した。設計は簡素化され200ポンドの野菜殺し酸が入っていた。B-29なら数十発を搭載できただろう
  18. 設定高度で起爆剤が本体を開放し、化学物質が空中に放出された。英国の爆弾をお手本に陸軍はSPDに炭疽菌やリシン等の生物兵器を詰め込んだ。
  19. SPDは設計通りに作動したが、新たな問題が浮上した。高高度で投下すると除草剤の散布範囲が広がりすぎ効果が出ないのだ。
  20. 反対に爆弾の開放を地上近くで行うと十分に対象地に広がらない。そこで陸軍は苦労の末LN-8の効果を最大化する最適値を発見したとNRDC報告書は述べている。
  21. テスト結果から広葉作物に効果が一番大きいことが判明した。化学物質を集める効果があるためで、穀物作物のコメや麦には効果が薄いことが分かった。陸軍は穀物用に別の化学製品を準備する必要に迫られた。
  22. 各化学薬品が人体や自然界に毒性があるとは述べず、1925年のジュネーブ協定では化学生物兵器の使用を禁止していた。
  23. だが1947年時点の米陸軍はLN-8等の化学製品の危険性は認識しておらず、土壌にどのくらい残り、水源を汚染した場合の影響がはわかっていないようだった。
  24. 「大量使用する場合、2,4-Dは胃腸障害を発生させるが致死性はない」と陸軍地上戦闘部門はLN-8の中心成分について以下言及している。「2,4-Dは吸入しても毒性はなく皮膚からすぐには吸収されないようだ」
  25. 仮にB-29数百機が数千ポンドの野菜殺しを日本の農業地帯に散布した場合にこの所見で正しかったか確信がもてない。ただしこの所見をもとにダウはじめ各社が民間用除草剤として戦後に販売を始めている。
  26. 世界保健機関は1987年に正式に同化学製品をがん誘発物質と認定した。そらに二十年後に米環境保護庁は同成分が人体のがん発生に直接関連しているとは結論づけられないと発表した。
  27. ただしLN-14は異なる。数十年後に研究者は製造過程で一般にはダイオキシンとして知られる発がん物質が生成されることを発見している。
  28. 米空軍は陸軍とともに数千ガロンの化学物質を南ヴィエトナムで1960年代70年代に散布した。悪名高き除草剤エージェントオレンジにはLN-8や14と同じ成分が入っていた。
  29. 1985年になり環境保護庁もついにこの化学製品の米国内販売、使用を禁止した。しかしこの1月ダウ・ケミカルから 2,4-Dの最新版としてグリホセート(商品名ラウンドアップ)を混合した製品の米農業生産部門への販売予定が発表されたところだ。■


米陸軍でのレーザー兵器開発の最新状況 半導体レーザーで陸軍の姿は変わるか


Visit Warrior Army Lasers Will Soon Destroy Enemy Mortars, Artillery, Drones and Cruise Missiles

KRIS OSBORN
12:25 AM

米陸軍はレーザー兵器で前線作戦基地(FOB)を防御し、敵の無人機、砲弾、迫撃砲弾、巡航ミサイルを瞬時に焼くと関係者が ScoutWarriorに明らかにした。

  1. 前線配備部隊ではアフガニスタンのように迫撃砲弾、ロケット弾、銃器の攻撃にさらされているが将来の敵は無人機、巡航ミサイル、重火器他をFOBに向けてくる可能性がある。
  2. そこでレーザーを加え、センサー装備や火器管制レーダーと統合すれば米軍は秒単位で敵の攻撃手段を破壊し、兵員の安全が保てると陸軍上層部は考える。
  3. レーザー兵器を陸軍は長年にわたり開発中だとメアリー・ミラー国防副次官補(技術研究担当)はScout Warrior取材に答えてくれた。
U.S. Army

  1. 「UAV対応に効果があることはすでに実証ずみだ。今度は迫撃砲弾やミサイルにさらに巡航ミサイルに対応できるかが課題だ」
  2. 今後登場する兵器は間接火力防護能力Indirect Fire Protection Capability(IFPC Increment 2)と呼ばれ陸軍は2023年までに前方基地防御手段としてセンサー装備と組み合わせて投入する。
  3. 前方作戦基地の現行防衛装備ははロケット弾・火砲・迫撃砲弾対応C-RAMと呼ばれ飛来する敵の砲弾等を撃破する。C-RAMの構成はセンサー装備、垂直搭載20mmファランクス近接対応兵装で毎分4.500発を発射する機関銃だ。一帯を大量の小口径飛翔体で包み込み飛来する敵の砲弾等を迎え撃つ考え方だ。
  4. レーザーでは迅速に敵標的の広い面積を焼き尽くしながら費用は最小限にできるとミラー次官補は説明してくれた。
  5. 「破壊一回ごとのレーザー発射コストは数百万ドルもする迎撃ミサイルと比較にならないくらい安い」
  6. ボーイングのアヴェンジャーレーザー兵装システムは2008年にホワイトサンズ射爆場で無人機の破壊に成功し、陸軍の兵器開発部門が実験を視察した。
  7. 陸軍では移動式高エネルギー半導体レーザーを高エネルギー移動式レーザー実証機HEL MDの名称で開発中で、10キロワットレーザーをトラックの上に搭載する。HEL MDのレーザー照射装置はトラックの上で360度回転する。出力を100キロワット級に引き上げると陸軍関係者が述べている。

  1. このサポートにあたるのが熱・電力関連のサブシステムで、出力を上げた半導体レーザーに対応させる。出力が増え、レーザー有効射程も拡大する一方で、目標への照射時間は減ると陸軍は発表している。
  2. 2013年11月に米陸軍の宇宙ミサイル防衛本部は戦略司令部と合同で迫撃砲弾90発以上、無人機数機を連続して対応する実証実験にHEL MDで成功している。
  3. 「車両にレーザーとともにビーム導波器を車両に搭載したフル装備で初めてのHEL MDの実証となり代理レーダー(高性能多モードレーダー)がレーザー照射の順番を管理した」と陸軍文書は解説している。ミラー次官補からはこの成果を元に陸軍はレーザー兵器でより大型の標的を遠距離から破壊する手段を開発すると発言があった。またレーザー兵器開発はこれまで数十年にわたり続いているとの説明もあった。
  4. 「まず1960年代にレーザーの兵器利用を決定し、90年代になり破壊効果を発生させる出力の目途が付いて、長い時間をかけてシステム開発を続けています」(ミラー)■


★★歴史に残る機体シリーズ① B-58ハスラーは冷戦時代の偉大な失敗作



冷戦時代の各機には独特のカラーがありますが、中でもB-58は異彩を放つ存在で就役時間が短かったのは結局同機の存在価値が消滅したためでしょうね。莫大な費用は無駄になったのでしょうか。無駄と言えば無駄ですが、世界が大戦の惨禍に合わなかったのはウェポンシステムとしての抑止力が機能していたからこそで、それだけの予算を投じて今日の世界があるわけで、同機も一翼を担っていたのですね。今日の世界は核戦力への適正な予算配分が減っているためシステムの有効性が減っており、より危険になっているともいえるでしょう。

The B-58 Hustler: America's Cold War Nuclear Bomber Blunder

She was a work of art—but was nearly obsolete from the start.
June 10, 2016

  1. 奇想天外な機体が数々登場した当時でもB-58ハスラーほど視覚面で目立つ機体はなかった。デルタ主翼、巨大なエンジン、さらに驚くべきその性能により同機は神話の域に達し、パイロットは限界を超えた速度で文字通りその主翼を引き裂いたこともあった。
  2. というのはうそだがB-58は操縦が難しい機体だった。驚異の技術を有しながらハスラーの事故率は恐ろしく高く、保守コストも同様で、ミッション性能はすぐに陳腐化してしまった。わずか十年しか就役せず戦略爆撃機開発の手詰まりを象徴する機体になった。
  3. ハスラーはB-47ストラトジェットの直系の後継機となった中型爆撃機だ。中型爆撃機の任務は海外基地を発進してソ連を攻撃することだったが、ハスラーが就役するまでに中型と大型爆撃機の違いは縮まっており。空中給油が登場し前線航空基地の安全性に米空軍が懸念をいだき、さらに同盟各国が戦略核兵器の国内配備に懸念したことでB-58は米国内からの運用しかできなくなった。
  4. メーカーのコンヴェアーはB-36ピースメーカーで爆撃機事業に参入していた。巨大かつ低速のB-36は1950年代の長距離戦略爆撃機として水爆を搭載し米核抑止力の中心となっていた。だがMiG-15はじめソ連の迎撃戦闘機の出現で一気に時代遅れになり、同じ課題が新型ジェット爆撃機たるB-47やB-52にも残った。
  5. ハスラーはピースメーカーと類似性がまったくない。大型エンジン四基をデルタ翼に取り付けたB-58はマッハ2で飛行し核兵器と燃料タンクを胴体下に運んだ。米国内基地から離陸し、KC-135タンカーの支援を受けてソ連領空に高速高高度で侵入しつつ、ソ連迎撃機をかわし、核兵器を投下する作戦構想だった。初飛行は1956年で作戦運用開始は1960年だった。合計116機が調達されたが機体単価はB-52ストラトフォートレスとほぼ同額だった。
  6. 初期のデルタ翼機としてハスラーも空飛ぶ怪物だった。着陸、離陸時に失速傾向があり、スピンも多々あったためパイロットは制御方法を必死に体得した。ハスラーの飛行特性には独特の特徴がありパイロットの経験能力との調和が欠けていた。保守管理には専用工具が必要で非常に高価な作業になった。
  7. このため事故率は驚くほど高く116機中26機が事故喪失となり、10年間で26パーセントを喪失した。黎明期のジェット機事故率は総じて高かったが、ハスラーの事故率は突出しており、機体単価が高いことが痛かった。もしB-58退役に踏み切っていなかったら、全機が数年のうちに消耗してたはずと述べた専門家もいたほどだ。
  8. B-36やB-47同様にB-58も実戦で一発も爆弾投下をしていない。ハスラーはヴィエトナム戦に投入されず核任務に専念したが、B-52は北ヴィエトナムを爆撃している。B-58も理屈の上では通常爆弾を運用できたが、高速かつ低空では機体制御が難しく正確な爆弾投下は困難だったはずだ。
  9. 米空軍は高性能の侵攻爆撃機が必要としながらB-58に高い評価を与えなかった。カーティス・ルメイ将軍はB-58の欠点を列挙することでB-70ヴァルキリーの正当性を訴えている。ただしB-52の後継機を狙ったB-70もB-58同様の運命をたどった。当時の国防長官は高高度SAMとミサイル搭載迎撃機の出現で爆撃機は時代遅れと主張したのだ。
  10. ロバート・マクナマラ長官は1965年にB-58全機退役の命令を発出し、退役が完了したのは1970年だった。供用期間は10年たらずになった。B-58を民間ジェット機に転用する案もあったが予想どおり立ち消えになっている。任務はB-52が引き継ぎ、低空侵攻はハスラーより効果的にこなせた。中型爆撃機による通常爆弾投下任務は戦闘爆撃機が引き継ぎ、FB-111アードヴァーク(同機も長い苦闘の歴史あり)から多用途戦闘機としてF-15、F-16さらにゆくゆくはF-35が引き継ぐ。精密誘導兵器の出現で爆弾搭載量が爆撃機の性能を支配する時代は終わった。
  11. B-58の存在はむしろポピュラーカルチャーの世界で鮮明だ。未来的な形態と危険な印象がアーティストや映画製作者を刺激してきた。中でもB-58編隊(作品中では『ヴィンディケーター』)がモスクワ爆撃に投入される1964年の映画Fail-Safe(「未知への飛行」)が最も有名だ。モスクワ攻撃を誤って命令された編隊はソ連領空へ侵入しモスクワを核攻撃する。米大統領はニューヨーク攻撃を命令する。
  12. B-58は第二次大戦後の戦略爆撃手段として空軍が構築した業績の一部だ。第二次大戦ではB-17、B-24、B-29が大きな攻撃手段となった。この経験から空軍上層部は戦争に勝つためには戦略爆撃を長期間継続する必要があると思いつく。SAMが出現し、ヴィエトナムの大失敗が重なり、さらに当時の指導層が引退したことでB-58のような爆撃機への支持にひびが入った。
  13. だがICBMなら爆撃機よりさらに高速かつ高高度を飛翔し、ソ連防空網は無効となる。さらに潜水艦発射方式の弾道ミサイルは核抑止力を安全に維持し、弱体な爆撃機を連続パトロール飛行させる必要がない。これに対して各種ミッションを柔軟にこなしながら残存性がある機体はB-52ぐらいしかない。

Robert Farley, a frequent contributor to the National Interest, is author ofThe Battleship Book. He serves as a senior lecturer at the Patterson School of Diplomacy and International Commerce at the University of Kentucky. His work includes military doctrine, national security and maritime affairs. He blogs at Lawyers, Guns and Money, Information Dissemination and theDiplomat.


2016年6月12日日曜日

「衛星へのサイバー攻撃は戦闘行為」 下院情報特別委員会


中国の動きを念頭に米側は情報収集衛星、軍事通信衛星など軍の活動を支える軌道上のアセットの防御を真剣に考えざるを得ない立場に追い込まれています。そこで下院有力議員から宇宙での敵対行為について見解が示されたということでしょうか。

Cyber Attack On Satellite Could Be Act Of War: HPSCI Ranking

By COLIN CLARK on June 10, 2016 at 4:43 PM
CAPITOL HILL: 米衛星へのサイバー攻撃は戦争行為とみなすべきとの発言が米下院常設情報特別委員会の民主党筆頭議員アダム・シフから出た。
  1. この発言を当然と思う向きもある一方で軍事衛星、情報衛星がサイバーで妨害されるだけで戦闘行為の要件が成立するのかは以前から議論されてきた。「森で木が倒れる現場に誰も居なくて木が倒れる音が聞こえるのだろうか」 軍と情報機関の高官の面々がサイバー問題への回答に極めて慎重なのは諜報活動と攻撃行為の間に線を引くことが大変困難なためだ。
  2. 「我が国の探知警報システム(スパイ衛星群)に対する行為は挑発行為と受け止める。好戦的な行為でないとしても外国が不可逆的な行為を始めた場合で、周波数妨害はその例」とシフ議員は声明文を発表した。
  3. 対応策は複雑とシフ議員は空軍協会主催の朝食会前に報道陣に語った。まず誰が攻撃をしかけたのか特定せねばならない。次に実行犯の情報をどこまで公表するかを決める。その際はどこまでの情報を安全に公表できるかで変わってくるとシフ議員は述べた。条件がすべて合えば、米側は敵国の衛星の一つを標的にする。あるいは地上基地を狙う。あるいは別目標を設定する。すべてにおいて十分な配慮が求められる。
  4. 「当然ながらこちら側の情報衛星にも防衛措置を搭載するなど自衛策が可能だ。だが問題は実施した場合に国際的にはどう受け止められるかだ。防御機能を搭載した衛星は軌道上の兵器に変わるといえるからだ」
  5. また「報復の応酬が続けば敵味方双方が高い代償を払うことになる」と同議員は発言。
  6. 宇宙戦の課題でも一番難しいのが攻撃の定義だ。攻撃と断定するには標的として狙われたうえ攻撃手段が法的な条件を満たすことが必要だ。宇宙空間で敵の動きを抑える対策は極秘情報であり、シフ議員も明らかせず代わりに以下発言をしている。
  7. 「宇宙装備について詳しく述べることはできないが、攻撃方法は多数ある。運動エネルギーで地上からの攻撃も可能だ。妨害もできる。作動不能にすることもできる。サイバーでの攻撃も可能で、宇宙空間で別の機体からの攻撃も可能だ。そこでこちらのこれからの宇宙システムの回復力を確保し、既存システムで回復力が不足するものについては防衛策、サイバー攻撃への護りを確保していく」
  8. システムが攻撃を受けても回復力を発揮できれば大きな違いが生まれる。今後この話題はもっとお伝えすることができよう。■

★★★★米海兵隊>F-35Bの遅れから旧型ホーネットを「墓場」から呼び戻す事態へ





US Marine Corps recovering 'boneyard' Hornets to plug capability gap


Gareth Jennings, Cecil Field, Florida - IHS Jane's Defence Weekly

10 June 2016

米海兵隊(USMC)はボーイングF/A-18Cホーネットをデイヴィス-モンタン空軍基地(アリゾナ)の退役機体保管場「墓場」から回収し、ロッキード・マーティンF-35B共用打撃戦闘機の就役の遅れに対応するとボーイングが6月10日に明らかにした。
Boeing is to reconstitute 30 legacy F/A-18C Hornet aircraft into the F/A-18C+ standard to help the US Marine Corps plug a capability gap resulting from the delayed introduction into service of the F-35B Joint Strike Fighter. (US Navy)(US Navy)
ボーイングはUSMCから契約を交付され、旧型ホーネット30機を同基地の第309航空宇宙保守再生部隊から回収し、JSFへの移行時で一時的に不足する機数と能力の穴を埋めるという。
回収機はF/A-18C+仕様となる。


2016年6月11日土曜日

★米空軍はハイローミックスを再構築すべき段階にきている





Why America’s Air Force Needs to Revive the High-Low Mix

June 9, 2016

米空軍の構造問題は深刻だ。一方で戦闘機爆撃機無人機の装備近代化で航空優勢を今後も確保しようとしているが、第四世代機は高脅威環境では残存は期待できない。統合防空体制の出現で米空軍は航空優勢確立方法で再考を迫られている。
  1. F-35A戦闘機の一義的な任務は高性能ステルス性能や優秀な電子装備とデータ共有機能を生かせり高脅威度の環境を想定し、後に続く第四世代機に「ドアを開けてやる」ことだ。だが米国による航空優勢が脅かされる中でF-22再生産案が浮上してきた。目標を捕捉し敵防空網を突破するのがB-21爆撃機の要求性能の中心だ。空軍は無人機で統合防空網をどう克服するか熟考している。
  2. その反面、空軍の大部分の時間は海軍、海兵隊と並び深刻な脅威度がない環境での作戦展開た。各種機材が、対テロ作戦、対ゲリラ戦、平定作戦で飛行時間の大部分は支障なく上空待機をしている。
  3. ハイエンドの脅威環境に対応できるならローエンド脅威にも対応できることに疑問の余地がないだろう。ISIS相手の地上戦で近接航空支援に一番活躍している機体はB-1爆撃機だ。長距離飛行、高速であらゆる兵装を搭載でき、長時間滞空できるB-1が冷戦時代の任務内容を再定義されたのだ。
  4. だがハイエンド部隊をローエンド戦に投入するのはフェラーリを所有しながら子供のサッカー練習の送り迎えに使うようなものだ。これは21世紀の空軍の戦力整備にもあてはまる。F-35Aを空軍は1,763機整備する方針だが、接近阻止領域拒否の動きが欧州、中東、アジアで広がれば各機はハイエンド作戦中心の投入となり、抑止効果が期待されるようになる。ローエンド戦では一部のF-35が指揮統制の中継機の役割を果たすだろう。
  5. 第五世代機でハイエンド脅威に対応し、第四世代機の改修で大規模武力衝突勃発に備えつつ空軍は予算投入と性能整備の焦点を世界各地発生するはずの低難易度紛争への対応にあてるべきだ。特に航空優勢が比較的容易に確立できる環境での運用維持 (O&S) 費用を下げることだ。
  6. この要求にこたえる機材は既に存在しており、生産中のものもある。たとえば軽航空支援(LAS)機としてアフガニスタン空軍に頑丈で柔軟に運用でき抵コストの機材を供与しISRに加え対地攻撃も行う構想がある。A-29スーパーツカーノが現在8機同国内で運用されており上々の効果をあげている。レバノンが導入に傾いており、ナイジェリアもボコハラム戦で同機の投入を検討している。米空軍も独自にLAS導入を検討したことがあり、各国向けの訓練支援にあてようとした。低強度紛争で米軍や各国軍を支援する費用を下げる効果が期待できるので空軍は独自によるA-29導入を再考すべきだろう。
  7. 同様の議論が低コスト長時間投入可能な無人機部隊の調達で、MQ-9リーパーを補完することに可能だ。リーパーは現地戦闘指揮官の求めでISRに酷使されている。空軍はオーロラフライトサイエンシズのオライオン超長時間飛行無人機を導入しO&Sコストや人件費が削減できないか検討している。空軍が高脅威環境に対応でに走る中で低コストのISR用無人機は一層必要とされるはずである。
  8. ハイ・ローミックスの戦力整備は冷戦時代で意味があったが、紛争の形態が多用化し予算が厳しい今日では解決策としての効果が増えている。ハイエンドは専用機材としてF-22、F-35やB-21で構成する。だがローエンドは最小限のコストでミッションが求める要求を実現する方法で対応するのである。■

This story originally appeared in the Lexington Institute’s LexNext blog