2016年11月18日金曜日

11月18日 注目ニュースヘッドライン


今回は趣向を変えて気になるニュースだけピックアップしました。リクエストあれば抄訳を作ります。これ以外にフルでの記事紹介も行いますが、最近ペースが上がっていません。ご了承ください。


日米韓でミサイル防衛協力がさらに強化へ
北朝鮮が核弾頭付き弾道ミサイルを配備可能になった、あるいは間もなく配備するとの予測がある中、米国は日本、韓国と弾道ミサイル防衛(BMD)の協力を従来より密接に進める。



オーストラリアは原子力潜水艦を建造すべきか
オーストラリアには通常型潜水艦では戦略的な役割が十分果たせないとの意見が強まっている。原子力潜水艦は現行の潜水艦建造計画の費用以下で調達できる。


デンバー上空の謎の機体の正体は

11月16日、デンバー上空を謎の機体が周回飛行するのが目視され話題になった。同機はコロラド州上空からオクラホマ方面へ去ったが、米海軍の核戦争遂行用の特殊通信機だと判明した。


海兵隊遠征部隊に大胆な前線活動を提唱
米シンクタンクCSBAから海兵隊を中国のミサイル射程内に進出させ、遠征部隊を展開し、F-35B機の給油や地上ミサイル発射でA2ADに対抗する構想が提唱されている。


次期エアフォースワンの行方。トランプはボーイングに批判的
1月に発足するドナルド・トランプ政権は公約通り米軍の強化に向かうとみられるが、既存事業を大幅に見直す可能性がある。米空軍の次期大統領専用機ボーイング747-8も例外ではない。


2016年11月17日木曜日

宇宙装備の防衛体制強化をめざす米空軍、ペンタゴンの動きについて




Visit Warrior

Air Force Pursues Strategy to Defend Anti-Satellite Attacks

KRIS OSBORN
11/01/2016


中国の宇宙兵器開発にペンタゴンが懸念している。
  1. 空軍とペンタゴンは宇宙の軍事化に対応できる戦略づくりを進めており、対衛星攻撃からの防御策を目指していると関係者が明らかにしている。
  2. 今年始めに空軍は多面的宇宙防衛策をたてて、これまでの研究分析結果を活用している。2014年には宇宙戦略ポートフォリオ検討を行い、宇宙装備全般を検討した。2015年に空軍は「宇宙状況認識能力」を見直し、今後の戦略方針の基礎となる宇宙保安体制の主要問題に光を当てた。
  3. 構想では当然ながら米宇宙装備が今までより高度のリスクを伴う対衛星技術にさらされているのを前提とする。そこで空軍は今後五年間で55億ドルを投じる。
  4. 「潜在敵対勢力はこちらの宇宙活装備を無効にする実力を整備中で、一旦開戦となれば現実のものになる」とウィンストン・ボーチャンプ空軍次官(宇宙関係担当)がScout Warrior特別取材で答えてくれた。
  5. 中国の脅威がとくに目立つものとなっており、地上から運動性エネルギー兵器のSC-19ミサイルを発射し、衛星を標的にしたことが数年前に発生し世界の関心と非難の的となった。ペンタゴンは中国の技術開発は相当進んでいると見ている。
  6. 「2007年時点で中国はASAT(対衛星)兵器試験を低高度迎撃手段として実施している。標的は稼働を終えた中国気象衛星だったが、破壊でデブリが数万点飛散している」とボーチャンプは説明。「デブリの大部分は今も軌道上にあり、米国含む各国の軌道上装備に脅威となっている」
  7. 対応して米国の合同宇宙作戦本部が宇宙デブリから回避するよう各国に警告している。その後中国は衛星を標的とはしないもののASAT兵器の実弾テストを継続しているという。
  8. 米国が運用する通信衛星はAEHF(高性能超高周波)方式でアップリンクが44 GHz、ダウンリンクが20 GHzだ。
  9. そこで米国が進める宇宙防衛体制で多くは秘密になっているが、米空軍がめざす宇宙装備の「回復力」確保の片鱗が浮かび上がってきた。
  10. 技術要素の中で分解・多様化が特に注目されている。これは複数衛星で核・非核運用し、多様化戦術で複数衛星に同じ目標を実現させる。
  11. 「衛星は言われるほど脆弱な存在ではない」と空軍で同構想に詳しい筋がDefense Systemsに語った。
  12. その一環として「米軍はGPSとヨーロッパ開発のガリレオ航法の双方を使っている」と同上筋は述べている。そのため米国の衛星が中断あるいは敵攻撃で壊滅しても同盟国の装備を利用できるという。
  13. 分散戦略では衛星多数を分散配備し、攻撃を受けても中核機能を継続させる。また欺瞞戦術で敵対勢力には重要機能の中枢がどの衛星がなのかわからなくなる。「攻撃で弱点となる単独衛星は存在しない」と空軍高官も語っている。
  14. 一部の衛星は「SATCOM」(通信衛星)だが他にはGPSや空軍用語で「宇宙配備赤外線」(SBIR)衛星がある。SBIR衛星は大陸間弾道ミサイルの発射を熱探知しミサイル防衛の効率を高める存在だ。
  15. 戦略案ではこの他にも拡散と防御がキーワードだ。ここでは複数衛星が同じ任務に投入されて攻撃に対する「強靭性」を高める。ここで用いる技術は大部分が秘密だが、関係者によれば各種対抗措置が投入されており、リモートセンシング技術や制御戦術が活用されているという。
  16. 衛星の強靭化対策には電子攻撃環境での作動継続もある。また空軍と国防総省は宇宙開発のペースを早め、民間宇宙開発技術の「ルネッサンス」状況に正しく対応させる。
  17. 空軍長官デボラ・ジェイムズは国防宇宙協議会、空軍宇宙軍団を束ねる立場にあり、ミサイル防衛庁や国防高等研究プロジェクト庁(DARPA)との協同活動を進めている。
  18. その例としてDARPAがハイテクで広角監視が可能な宇宙監視望遠鏡が正式に移譲された。同望遠鏡は危険な小惑星または攻撃の兆候を従来より遠距離から探知できる。
  19. 米軍活動はGPS技術に依存しており、共用直接攻撃弾のような爆弾や通信活動、無人機等装備までが活用している。このことを踏まえペンタゴンは「GPSが使えなくなった」状況でも作戦が可能となる位置航法技術や時間測定技術の開発に取り組んでいる。■



2016年11月12日土曜日

ステルス機探知可能な新型レーダーの海外販売を狙う中国の商魂


これではまさしく矛と盾のお話のようですね。ステルス機能がどこまで有効なのか。技術は必ず対抗策を作り出します。全面的なステルスとするためには大きな機体サイズが必要となり、シンクタンクが提唱するような大型戦闘航空機「空飛ぶ戦艦」が究極の姿になるのかもしれません。当然中国がステルス機を運用するようになっても西側は恐れる必要がないということになります。

China offers anti-stealth radars for export

Andrew Tate, London - IHS Jane's Defence Weekly
11 November 2016
珠海航空ショーで展示された中国製ステルス対抗レーダーは左よりJY-27A、YLC-8B、SLC-7の三種類。Source: Via dy.163.com
中国のレーダー製造大手、中国電子工技集団China Electronics Technology Group Corporation (CETC)が珠海で開催の航空ショーAirshow China 2016でロッキード・マーティンF-22ラプターやF-35ライトニングIIといった低視認性航空機も探知できる防空レーダー各種を展示した。
中国の報道では各国向け営業活動がはじまっているという。
CETCが今回のショーで展示したのは中国がステルス機探知可能なレーダーでは世界トップクラスであることを示す意味があった。
性能諸元は最先端とは言うものの詳細は不明だ。ステルス対抗レーダーは1GHz未満の周波数で作動する。これは低視認性機材がレーダー断面積をIEEEが定めるS、C、Xの各バンド(2から12GHzの範囲)で最小限にする設計だからだ。
周波数が低くなるとレーダー反射は大きくなるのは波長が機体の物理的寸法に近くなり、レーダーパルスで機体各部が共鳴が始まるからだ。このため探知追跡が可能となる。
南京恩瑞特実業有限公司Nanjing Research Institute of Electronic Technology (NRIET)はCETC内でこの事業の先鋒で珠海ショーに展示したYLC-8BとSLC-7の二種類のレーダーを製造した。
YLC-8Bは三次元監視レーダーでUHF帯域 (300 Mhzから1 GHz)で作動する。前回の珠海ショー(2014年)に展示されたが、SLC-7は今回初登場だ。
SLC-7はLバンド(1から2GHz)で作動し、NRIETによればフェイズドアレイを方位角・高度両面で走査するとともに機械的にも走査するという。■


2016年11月11日金曜日

縁の下の力持ち? 不気味なAC-130はアフガニスタンで酷使されている


スプーキーとは不気味な愛称ですが、暗闇の上空からいきなり105ミリ砲の攻撃を食らうのは大変恐ろしいことなのでしょう。ただこの機の運用には完全な航空優勢の確保が条件ですね。また機体整備が大変な状況が読み取れますが、火砲による振動も大きな影響なのでしょうか。19世紀の戦列艦が空を飛んでいるような存在ですね。

War Is BoringWe go to war so you don’t have to

In Less Than a Year, U.S. Air Force Gunships Flew Nearly 4,000 Hours in Combat
by JOSEPH TREVITHICK
米空軍の戦闘力というと高速で飛ぶF-15やF-16戦闘機、強力な威力を発揮するA-10対地攻撃機、B-1やB-52の大型爆撃機に注目が集まる。だが恐ろしい効果を上げているAC-130ガンシップが取り上げられることはきわめて少ない。
  1. 重武装AC-130が投入されるのは隠密作戦が多く、地上特殊部隊と連携するため空軍も同機の活動を詳述するこのは稀だ。だがこの特殊用途機が世界各地で大きく貢献しているのも事実だ。
  2. 2013年11月から翌年6月までだけでも第四特殊作戦飛行隊所属のAC-130UスプーキーII各機は合計4千時間も戦闘任務に投入されたと公式空軍記録にある。合計7機の海外展開は延べ1,175日になっている。
  3. War Is Boringはこの度、情報公開法により空軍年次報告の写しを入手したがかなりの部分が削除されている。
  4. AC-130導入はヴィエトナム戦争時点に遡る。U型が1995年までに導入された。C-130輸送機を改造し、火器、装甲、センサーを搭載。U型は25ミリガトリング砲、40ミリ銃、大型105ミリ迫撃砲を機体左側から押し出して運用する。強力な暗視装置、レーダーその他で敵を探知する。通常は13名で運用する。
  5. 第四特殊作戦飛行隊はフロリダ州ハールバートフィールド基地に駐留するが、2013年から2014年にかけて所属機がどこに展開されたのかは読み取れなかった。
  6. 「2013年11月にAC-130Uガンシップ7機が世界各地の戦闘地帯で支援にあたった」と空軍報告にある。「2014年5月から6月にかけて、残る機材が...ハールバート・フィールドに帰還した」
  7. 検閲でミッション内容が黒塗りされている。また2014年度の飛行時間を説明する表では作戦名称や通称も見えなくなっている。
上二枚、第四特殊作戦飛行隊所属のAC-130ガンシップ。U.S. Air Force photos
  1. ただし同機はアフガニスタン上空のミッションに主に投入されているようだ。米軍がイラク国内のイスラム国勢力を集中的に空爆し始めた2014年8月までに各機は帰国している。
  2. 空軍はAC-130を2001年からタリバン、アルカイダ戦闘員を追うエリート特殊部隊と連携する形でアフガニスタンに繰り返し派遣している。地上部隊支援には最適の機材で地方部では無害な住民の巻き添え死亡は起こりにくい。
  3. 指定空域に達すると機体は円形を描く周回飛行を開始する。これで機体は安定し、火砲を標的に正しく照準できる。
  4. さらに空軍は高度なまで正確な火砲集中で建物や車両を粉砕し特定個人を殺害する戦術を編み出している。2013年には旧型AC-130Hが第16特殊作戦飛行隊からアフガニスタンへ投入されていることが別の報告書で判明した。
  5. 第四特殊作戦飛行隊が2013年11月に引き継いたようだ。その翌月に第16飛行隊のガンシップ各機はニューメキシコ州キャノン空軍基地に帰還している。
  6. 過酷な日程のため同隊の戦闘力に影響が出たことが読み取れる。四ヶ月におよぶ投入で、AC-130Uのうち戦闘体制にある機材は2014年3月までに半数までに減ってしまった。
  7. 同月に第四飛行隊のガンシップの残りの機材は「戦闘能力欠如」状態になっている。同隊は6機を飛行可能状態とし、3機の予備機材をハールバートに温存している。7機目のAC-130Uは海外派遣されたが戦闘投入はわずか11日だった。搭載装備の故障で本国に送還されたようだ。
  8. 第一特殊作戦航空機保守隊が残る6機を海外で飛行可能に保つため奮闘している。同隊は「AC-130Uガンシップの投入時に必ず点検整備を行った」と2014年度報告にある。「投入機材では同隊隊員がミッション実施可能状態を80から90台に維持した」
  9. 2014年6月8日に第四飛行隊のAC-130で最後の機がハールバートに着陸した。同機は200日に及び敵戦闘員を攻撃していた。
バッドオーメンの愛称がついたAC-130Uは武装等装備を撤去して廃棄機材保管施設へ向かった。 U.S. Air Force photo
  1. ただゆっくりする暇はなかった。2015年10月に再びアフガニスタンへ飛んでいる。
  2. 2015年10月3日には一連の失態でスプーキーII一機が誤って国境なき医師団の病院をアフガニスタンのクンドゥズで攻撃している。人道援助機関の発表では少なくとも42名が死亡しており、うち13名が医療従事者だった。
  3. ペンタゴンは同事件を調査し、武力紛争法に違反したと結論を下した。空軍は該当機の乗員を譴責処分したが刑事訴追していない。
  4. この事件があっても同機が主役の座を降りることはなかった。2015年11月にはシリアでAC-130部隊がタンクローリー車列を壊滅させており、第四飛行隊の機材も動員されていたはずだ。イスラム国は戦費調達のため原油闇市場を活用していた。
  5. 2015年9月21日にはAC-130Uの一機ニックネーム、バッドオーメンが退役し、最新型のAC-130Jの導入が始まった。バッドオーメン機は2013-2014年に戦闘投入されたベテラン機材のひとつだ。
  6. これに続きスプーキー各機は新型機に更改され2018年に完了する。第四飛行隊の実績が一つの指標で、次世代のガンシップも相当の活躍をするだろう。■

2016年11月10日木曜日

★トランプ当選で航空宇宙防衛産業はこんな影響を受ける




(ターミナル1、2共通投稿です)
熱狂的な結果も一夜空けると冷静な分析が出てきますね。新政権が生まれるのは来年1月20日のはずですから、今はいろいろ観測したり考える時期なのでしょうね。航空業界とくに民間航空が大きな影響を受けそうです。航空管制の民営化の話題は米国の動向次第では日本にも飛び火しそうですね。(国交省は当然反対の立場でしょう)


Aerospace Daily & Defense Report

Trump Win Brings Change, Uncertainty

Nov 9, 2016Michael Bruno | Aerospace Daily & Defense Report
http://aviationweek.com/defense/trump-win-brings-change-uncertainty
WASHINGTON—ドナルド・トランプが大統領に就任すると航空宇宙防衛産業(A&D)は変貌を遂げる。
  1. 政権に癒着して契約を受注している企業をトランプが批判していたことからこの先に起こることは予想がつくし、貿易・安全保障上の条約関係は大部分を再交渉するとの公約もあり、NATO加盟国、北米の各国がここに含まれる。また安全保障分野では本人がまだ詳細を理解していないこともあるものの、中国にボーイング737の完成施設を設ける案件が急に出てきたが、トランプの思考から同案件も大きく影響を受けるだろう。
  2. 西側A&D産業部門はトランプ政権の方向性をつかむまではショック状態のまま、立ち位置の調整が必要となるのは確実だ。英国のブレグジット同様に米国の選挙結果で全員が来春にかけてスリルを感じることになる。
  3. 自由貿易、開かれた国境線、グローバル規模の安全保障の責務から米国を後退させるとの公約により債券市場は早くからトランプ政権誕生はリスク要因と考えてきた。
Donald Trump waving from exit of his Boeing 757 on 2016 campaign trail
  1. 債券市場は民主党候補ヒラリー・クリントンを望ましい候補としつつ、投票日直前でクリントン当選の見通しを55%まで引き下げていたが、アナリスト陣は民主党が議会多数派になるとは見ていなかった。投票日前のA&D業界の集まりではクリントン当選を前提とし大統領選はほとんど話題になっていなかった。
  2. 投票日翌日に共和党が議会の主導権を握ったことが明らかになった。A&Dに重要な共和党上院議員としてジョン・マケイン(アリゾナ)やレイ・ブラント(モンタナ)が再選され、下院ではビル・シャスター(ペンシルヴェニア)、マイク・コフマン(コロラド)、バーバラ・コムストック(ヴァージニア)も当選。
  3. 選挙前は議会はクリントン政権下で両党が競い合う状況を予想していた。トランプ当選はこれを覆したが、その程度はどこまでだろうか。トランプ支持者の楽観主義は急速に衰えるだろう。新構想には議会内外の抵抗が待ち構え、人口構成の変化にともなう連邦予算編成の圧力もあり、対外脅威の増大、世界規模での企業活動の低迷が立ちふさがる。議会が分断されれば急速な変革の足を引っ張り、トランプは選挙公約の実現に困難を感じるはずだ。
  4. 選挙結果で防衛部門に不確実性が立ちふさがるが、投資分野では未知の課題が生まれるはずで今後半年は熟考が必要になる、勝者が誰になるかは関係なく、とキャピタル・アルファで防衛アナリストを務めるブライアン・キャランが11月6日にまとめている。
  5. 「投資機関は選挙結果を米欧の防衛企業に朗報と受け取るはず」とヴァーティカル・リサーチ・パートナーズで防衛分野のアナリストを務めるロバート・ストラードは11月9日に述べている。「両候補とも防衛産業寄りの政策を表明し、とくに予算管理法に基づく強制予算削減策の撤回を上げていた。また外交政策でも強い立場を表明していた。トランプ選挙運動の国家安全保障分野顧問ジェフ・セッションズ上院議員(共、アラバマ)からトランプ政権の防衛政策方針が発表されている」
  6. とは言えトランプ政権誕生でNASAの有人宇宙飛行からロッキード・マーティンF-35共用打撃戦闘機に至るあらゆる事業が不確実性の雲に入るのは最善の場合で、最悪の場合は打ち切りになるだろう。米企業活動にとって国外での事業拡大はリスク要因とり、米外交政策は変更を余儀なくされる。
  7. その例としてキャピタル・アルファは11月7日に国防企業、航空会社、無人機メーカー各社を共和党勝利の場合の「勝者」と位置づけ、各業界と共和党間の歴史上のつながりを理由に上げた。だがトランプは伝統的な共和党候補ではない。軍の規模と装備を拡充すると本人は言うが、政官癒着の兵器調達を非難し、偏狭な見方をとる政治家と共謀していると攻撃している。キャランは今年の夏以来トランプ当選は国内志向の企業には朗報だとしても多国籍に多様な事業を展開する大企業には悪い結果と指摘していた。
  8. 後者の範疇に防衛産業、航空機エンジンメーカー、OEM事業者の殆どが入り、2008年の不況から予算上限を定めた政策の影響を2013年から受けている。
  9. 「トランプ当選で防衛株は値下がりせず、まず歓迎されるだろうが、投資機関としては国防総省の支出規模は5パーセント強で増えるとの見方が強まるのではないか」とキャランは見る。
  10. 「当初の熱狂ぶりも2016年末や2017年になれば一層慎重な政策がロシアのプーチンに向けて立案され、その時点でトランプ政権は防衛政策を固め、ドルは強くなり金利は上昇しているはずだ。米国製国防装備品の輸出条件は悪化する」とし、さらに「トランプが同盟各国へ防衛支出増を求めればヨーロッパ、アジアの地元防衛企業にもチャンスが増える」
  11. もう一つの変化は実施の難易度が高い。クリントント、トランプ両候補とも選挙期間中はA&Dで詳細は多く発表しておらず、有権者、有識者は防衛分野の今後を見通せず置いてきぼりの格好だ。
  12. 国防分野ではトランプ当選で強制削減策の求める上限を超えた予算規模が生まれるはずだ。議会がトランプ政権と協調するか対立するのか、民主党側が国内政策でも同様の予算増を求めてくるかかは見えてこない。
  13. その他の問題で解決が必要なものにいわゆるアジア太平洋重視政策、イラン核合意があり、後者についてはトランプは廃案にすると公約している。またイスラエルへの安全保障援助もある。またペンタゴンの支出調達形態をオバマ政権から引き継いでどう変えていくのか。ビジネスマンとしてのトランプはビジネス世界のやり方を持ち込んでくるだろうが、軍産複合体はアウトサイダーに過ぎないトランプを冷遇するかもしれない。
  14. 中でも米ロ関係がどうなるかが注目の的でA&Dには悲喜こもごもの結果になるだろう。ロシアとの間に緊張緩和が生まれれば米陸軍が進める装備近代化には痛手となるが、国際宇宙ステーション事業のリスクは下がり、民間人乗員と補給物資が円滑に運ばれる。緊張が下がればロシア製ロケットエンジンに依存するユナイテッド・ローンチ・アライアンスのアトラス打ち上げ機をめぐる論争も下火になるだろう。
  15. その他にも全国の航空管制の民営化案の議論が再燃し、議会でも大きな話題となると全国ビジネス航空協会のエド・ボーレン会長が述べている。FAAの組織権限が一年未満に満期を迎えるが、新議会は更新を認めない可能性がある。そうなれば米エアライン業界は民営化を求めロビー活動をはじめるはずだ。
  16. 新議会と新政権がこの問題にどんな姿勢を示すのかが問題だ。オバマ政権は中立だった。クリントン、トランプ両候補ともにこの問題はとりあげていなかった。
  17. もう一つ不透明なのは今後のマクロ経済成長で、民間航空業界に重要な要素であり、サプライチェーンでも同様だ。航空管制の民営化とは別に民間航空分野は今後もオープンスカイズ協定や貿易自由化の継続を期待している。エアライン需要に追い風となり、部品・サービスの供給を増やす効果がある。
  18. オープンスカイは選挙運動中も言及されなかったが国際貿易とグローバリゼーションは注目を浴びた。トランプは業界関係者を震え上がらせたのは環太平洋パートナーシップ協定、北米自由貿易合意をともに葬るとの公言で、アジア太平洋はエアバス、ボーイング両社に成長の源泉であり受注残多数がある。メキシコやカナダはサプライチェーンの重要要素だ。中国との貿易戦争が発生する、あるいは日本が同盟国でなくなれば、民間航空分野は顧客面でも供給面でも大きな痛手を感じるはずだ。
  19. 「エアライン利用客の伸びが経済見通しや信頼度のゆらぎで大きく悪影響を受けることは実証ずみで、ブレグジットで英国のエアライン業界がどうなったかを見たばかりで、迅速に効果は発生する」とストラードは指摘している。「ただし、ブレグジットの先例から当初の悪い影響は比較的短期のうちに終わると見ている。トランプ政権による本当の影響は世界規模のエアライン業界に生まれてくるはずで新規機材発注がどうなるかが注目だ」
  20. 今回の大統領候補は両名ともビジネス航空需要の重要性を改めて示したことに注目されると航空コンサルタントのローランド・ヴィンセントは指摘。投票の前日にトランプは五ヶ所を飛び回り、自家用機の機動性を発揮した。
  21. 「ビズジェットのOEM事業はこれまで見通しがきかないことを新規ビズジェット機の需要がなかなか増えない理由に上げてきたが、この不確実性の水準がまた一段あがることになる」とストラードは指摘している。「ただし、『ビジネス寄り』の施策が米国で増えて新規ジェット機の節税策がドル安と一緒になれば海外需要を喚起し、長期間にわたる需要を下支えし新型機が登場するのではないか」
  22. だがここでもトランプは大統領としてビジネス航空業界にも多数の不確実性をもちこむことになる。「今後の心配のたねがなにになるかがわからない」とコンサルタントのヴィンセントは述べている。「状況に応じた政策となる可能性が高い。先が見えないだけに怖くなる。政策の詳細面は見えてこない」
  23. 不確実性のため各業界や企業が大規模な投資に踏み切れなくなる。この影響は大きいとヴィンセントは指摘する。それでも「良い結果になるかもしれない」とする。■


2016年11月9日水曜日

★トランプの外交政策で国際秩序はこう変わる



現時点でトランプ候補はあと数名で勝利、クリントン候補は結果を受け入れられず敗北宣言を拒んでいます。米国民が下した審判は明らかです。民主国家として結果を受け入れた上で新しい思考の指導者を迎え入れ、21世紀型の国際秩序を作り上げるべきなのです。既得権に目を奪われた層は悲惨な目にあうでしょうが、未来を創るという観点で新しい歴史が始まります。

Trump’s Foreign Policy Could Change the Entire International System

NOVEMBER 7, 2016

先週のことだが、ブルッキングス研究所で米外交政策を専門とするトーマス・ライトがツイッターで米大統領選挙で大胆な書き込みをした。「ドイツの1932年国政選挙に次ぐ重要な選挙になる」とし、アドルフ・ヒトラーの台頭を許したドイツ事例に言及している。「この選挙ほど国際秩序を崩す結果を産んだ選挙はかつてなかった。世界経済や地政学でも同じだ」

選挙戦ではドナルド・トランプの外交政策観を一貫性がない、知見がないとの批判が相次いだが、ライトはこの点を真剣にとらえイデオロギーと歴史の観点から考察している。ライトはトランプの誇張気味の発言(「オバマがISISを生んだ)とトランプの固有の信念は分けて考えている。トランプの公的発言で国際関係に関するものを1980年代から眺めたライトはトランプは一貫した世界観を有しておりアメリカが超大国になってからの主要政党の大統領選挙候補の中では他に匹敵する対象がない存在と結論づけた。

トランプの孤立主義には3つの構成部分があるとライトは結論づけた。1)米主導同盟関係への疑念 2)自由貿易への反対姿勢 3)権威主義 だという。ライトの見方ではこの3つをトランプ政権が政策に反映すれば、リベラルな国際秩序として第二次大戦後に米国が作り上げた秩序が崩れる。これに対してヒラリー・クリントンの方が従来通りの大統領候補路線であり、秩序維持を掲げている。では本選挙前日になりライトはなぜ1930年代と比較するのか。

だがそこまで深刻な結果になるのだろうか。Googleの検索結果から「生涯最大に重要な選挙」は四年ごとにやってくるのはがわかる。クリントン支持派がトランプ当選で終末の日が来るとまで行っているのと比べるとトランプ指示派はクリントンが当選した場合について遥かに穏健な言い回しをしている。選挙の「重要性」とは政治上の力の行使だ。さらに「米主導の国際秩序」とは具体的には何を意味するのだろうか。なぜそれを温存することに価値があるのか。こういった疑問をライトにぶつけてみたところ、トランプの世界観についてこれ以上のものはないという説明を聞くことができた。またトランプ政権で世界がどう変わるかも理解できた。以下ライトとの対話から一部編集した上で再録する。


ツイッターで世界にとって1932年のドイツ総選挙に次ぐ重要な選挙としたが、理由は。

ライト:まずトランプをナチ・ドイツと同じとは言っていない。だが過去のドイツ選挙結果は世界大国の行動に大きな影響を与えた。今回の大統領選挙で特徴的なのはトランプには米外交政策で従来とは違う見方があることで、世界でのアメリカの役割でも同様で、米外交政策が劇的に変わる可能性がある。世界はアメリカの国力と意向を中心に編成されているので、大きな混乱が発生するだろう。そこで歴史を遡り現状維持の動きをひっくり返した選挙を見てみた。明らかに当時のほうが深刻な結果を産んでいる。

20世紀にはアメリカでも重要な大統領選挙があった。フランクリン・ローズベルトやハリー・トルーマン、ドワイト・アイゼンハワーが今日の国際関係を形成してきたのではないか。またソ連崩壊後に初めてロシアが1991年に実施した自由選挙があった。2000年の大統領選挙ではジョージ・W・ブッシュが当選し、イラク戦争に踏み切っている。米ロ二大大国だけでもこういう事例があるが。

ロシアの例はさておき、米国のこれまでの大統領選挙ではすべて米戦略、米外交政策の枠組みの中に留まっている。二大政党が合意した範囲内だった。たしかにトルーマン以降は米国のグローバルな役割、同盟関係、秩序を守るための制度、冷戦時はソ連封じ込めで合意形成されていた。実施面では差異があったが中核的な原則では合意されていた。

今回の大統領選挙は想定がなかった可能性を選択する機会で、一方が従来通りの戦略と秩序を引き続き堅持すると主張し、他方がすべてをひっくり返し、ぜんぜん違う可能性を実施すると言っている。第2次大戦前にもどれば当時の大統領候補はトランプと同じ主張を外交政策で主張していた。つまり孤立主義だ。

トランプ外交を一言で言うとどうなるか。また従来と異なるのはなぜか。

トランプがまだ観点を固めていない分野がたくさんあるし、一部矛盾もあるが、中核は本人のこれまでの経験に基づく理屈抜きの信念でその点ではぶれはない。まずトランプは米国が構築してきた同盟関係に反対している。次に自由貿易に反対し、むしろ重商主義国際経済の仕組みを支持する。三番目に、本人は権威に基づく秩序が大好きで、特にロシアに親近感を覚えている。この3つは1980年代から本人が主張し続けており、政治面で代償を払いながらも一貫して主張している。

問題は当選後に主張を緩和するのか放棄するのかだ。70歳という本人の年齢を考えると30年間ずっと同じ信念を抱いていながら、いきなり別方向に変わる可能性はないだろう。

今触れた3つの信念についてもう少し説明願う。まず米主導の同盟関係への反対だ。根拠は何か。
1987年に本人が掲載したニューヨーク・タイムズ、ボストン・グローブ、ワシントン・ポスト三大紙の全面広告がある。米外交政策、国防政策で意見を述べている。日本、サウジアラビア他への不満が表明し、米国には各国防衛の義務があるのに各国は米国を利用して自国防衛の費用負担を軽減しているというものだった。同じ事を何度も取材で答えており、今回の選挙戦でも前面に出ている。

だがトランプが各国に負担増を求めるのか、同盟そのものを廃棄するつもりなのかが問題だ。私自身は全面廃棄に傾くと見る。理由はいくつかある。まず本人は米国にはアジアへの軍事的関与に戦略的な権益はないと主張している。NATOの当初の役割は陳腐化したとも発言している。そうなると米軍の前方配備にも意味がないと言いかねない。また他国が支払えば米国も対応すると言っている。支払いを口にすると他国もGDP2パーセント相当まで負担増すべきと言っているのかと思いがちだが、実はトランプが費用というときは米軍プレゼンス維持の費用を言っているのだ。太平洋軍司令部を維持する費用であり、第7艦隊を日本や韓国に配備する費用であり、米陸軍を欧州に駐留させる費用だ。また各同盟関係維持のために米国が負担する費用を数兆ドルと講演で述べている。数兆ドルというと数千億ドル規模を何年も続ける規模だ。

ドイツや日本へ行って年間数千億ドルの負担を要求すれば、各国の財政負担を超えるし、従うこともできないだろう。そうなれば米国の安全保障を一方的に凍結するか各国支援はできないと口実になる。1980年代から米国がクウェートを防衛するのなら同国の石油利益の25%を米国に支払うべきと発言している。米国の庇護があって初めて存続できるのがクウェートだとまで言っている。これは米帝国主義の論理だ。オバマ政権の費用共有発言とこれを混同していなならない。この2つは質的に全く異なる。

では二番目の重商主義敵経済制度とはどういう意味なのか。

本人は自由貿易に反対していないと言っているが、米国の貿易協定内容を本人が支持したとの記録はない。「どんな大統領になるのか」と聞かれて本人はレーガンとは異なると答えているのは、貿易政策が理由で、19世紀末や20世紀初頭のように経済を考えているようだ。貿易協定に反対した実績があり、関税等制裁措置を口にしている。メキシコ系住民からの本国送金を止めるとか、経済的な圧力を加えるといっている。貿易協定には反対と言いつつ、アメリカに有利な内容なら「公平」に対応すると言っている。これが重商主義の定義だ。

三番目の権威主義への傾きとは。その根拠があるのか。

1990年から本人はロシアへ数回旅行し、当時のゴルバチョフに失望し、弱い指導者との印象を持った。ゴルバチョフが中国の天安門事件と同様の行動を取れるかとの質問に、強い力を見せつけるのが肝要と答えているその後、本人は専制主義指導者をたたえている、今年の選挙戦では金正恩やサダム・フセインを口にしている。民主主義の重要性や海外でのイベラル主義の意味については全く口にしていない。

プーチンの資質についても同様だ。世界政治の舞台ではロシアについてなんでも批判的に発言するのが一番無難だ。だが本人はプーチンの人格について批判的な発言もしておらず、ロシアの現体制やロシアの外交政策でも同様だ。ロシアを批判しないことで政治的な代償も払い、自身の信念を示している。自身を強い男性だと信じ同様に強い相手とやりあうことを望んでいるようだ。世界を仕切ることであり、米国の立ち位置を確保することだろう。国際秩序の悲惨さや民主主義の脆弱さよりもそちらを優先する。

ロシア寄り、プーチン寄りの姿勢は本人が好む専制主義的傾向が理由なのか。

ある程度まで本人の価値観は専制主義にあるが、同時に米国がNATO構成国としてヨーロッパに駐留する理由はないと見ており、ヨーロッパはロシアからの防衛を自分ですべきと見ている。背景に同盟各国を良く思っていないことがあるのだろう。プーチンはこのことを口にしており、「ロシアができるのになぜこちらがしなくてはいけないのか」というようなものだ。

本人の世界観は一貫していると思う。一度もこの点で疑念を呈していないからだ。各戦略や韓国、その他で技術的な疑問をもっているが本人には方向性は認識されている。

この点を過小評価している。本人は三十年間一貫した発言をしている。トランプは勉強不足との批判があるが、たしかにそうだ。だが厳密に言うと自分の信念を重視するあまりおかしな発言をして笑いものになることがあるが、真意は自分なりに深く長い間考えた結果であり、自分自身で実証済みの考えだと思っている。

同盟関係の軽視、重商主義的経済観、専制主義好みの三点から見ると第二次大戦後の大統領候補で類似の例はあっただろうか。

思いつかない。一番近いのは1992年のパット・ブキャナンだが、候補指名を受けていない。1940年代末のロバート・タフトは戦前の継続の色彩が強いものの、もっと均衡のとれた考え方をしていた。専制主義とはいえず、重商主義でもなかった。同盟関係には反対していたが、政治的には主流派だった。比較なら1940年代のチャールズ・リンドバーグではないか。

ただし同じような主張は長い間残ってきた。今回は政界がこういう主張を封じていないことだ。いかに過激と思われても一定の限度内での話だった。トランプは初めてその制約を乗り越えている。また政界の主流派なら望ましくない・無責任と言われたくないため選択を躊躇するのにトランプは寝た子を覚ましてしまった。

今年の選挙では「米主導の国際秩序」の言葉がよく聞かれる。「ドナルド・トランプも第二次大戦後の米主導国際秩序で国際平和と繁栄が続いた事実を受け入れるのでは」との期待があり、筆者もそう書いたが、よく考えると理解しにくい用語でもある。この言葉の意味をどう捉えているか。

その意味として一般には1940年代末に創設された制度で米国の加わる同盟関係であり、世界各地の前方配備軍事基地であり、開かれた西側経済であり、いまや開かれた世界経済であり、各種取り決めの仕組みで不完全ながら国家の動きを統制するものだ。総合すれば、1991年までは西側で機能していたが、その後グローバル規模に拡大され、まだ完全にグローバルではないが、今日の世界政治を構成する原則だ。またこの秩序はアメリカの国力と外交政策が基礎であり、各国がこうあって欲しいと願うものだが、米国が脱退すれば維持継続は困難となる。米国が抜けたNATOが今のまま続けられるか極めて疑問だ。

トランプはこの秩序の中心部分を解体して事態を危機に陥らせるだろう。ヨーロッパやアジアの安全保障体制は変更となる。グローバル経済も変化する。トランプが主張を退けて共和党主流派の外交プロを閣僚に迎えれば、そうはならない。だが本人の言葉通りなら実現の可能性はある。

そこで1930年代との類似性が出てくる。現在の秩序は1940年代末前には存在せず、1930年代から40年代にかけては大戦争の時代だった。秩序が崩壊したのが1930年代であり、東側の秩序はひと足早く1989年から1991年に崩壊している。

米大統領が一方的に義務を放棄する事態は考えられるのか。議会には超党派コンセンサスに執着する議員が多数いるはずだが。

残念ながら可能性はある。理由はいろいろある。まず大統領制について回る抑制と均衡は国内政策に適用される。外交政策ではさほど効力がない。一部あるが、宣戦布告など限定的なもので近年は減衰している。一般的に大統領の外交面での選択肢の幅は広い。トランプは国内政策で行き詰まり、外交政策に目を転じる可能性がある。なぜならそここそ本人が留意する分野であり、行動の自由も大きいからだ。

二番目に公約で何かをする代わりに実行しないとしている。同盟各国が支払いに応じなければ同盟関係を反故にするとまで言っている。議会は条約解消をさせないように動けるが、議会から自身ガイジの価値がない同盟の維持を求められるおぼえはないし、バルト沿海諸国がロシアの攻撃を受けた場合でも米国が開戦に追いやられることはなく、あるいはバルト沿海諸国を訪問することもなく、NATOの第五条で各国が防衛されているということもないとする。なにもしないことで逆に達成できることがあるのだ。

同盟関係のよりどころは抑止力だ。攻撃を受ければ軍事支援に駆けつける公約は効果がある。これを定めたのがNATOの第五条規定だが、内容はあいまいだ。第五条ではいかなる妥当な方法でも攻撃を受けた加盟国を助けに行くとしている。だが次代大統領が「これを侵略国を強く譴責することと解釈する」と言い出す可能性がある。トランプはバルト海諸国防衛のため対ロシア戦を始める義務はないと見ている。一度この点を疑問にすれば、抑止力の意味が全体として変容してしまう。

国際秩序が変わることでアメリカの日常生活も同時に変わるだろうか。

現在の前提を可能としてきた仕組みを解体すれば世界各地で悪影響が発生し、一部は終焉を迎えるだろう。だが確証はない。同盟関係が明日解体されても、ロシアがすぐにバルト海諸国になだれ込むと断言できないだろう。確かに歴史事例からこう考えることは可能だろうし、他国の意図を評価する必要はある。

だが今後10年を超える期間に渡り、世界が一層危険な場所になりそうで、国家間紛争が発生する可能性が増えるだろう。また修正主義も台頭するだろう。既存国境線を変える動きや自国の利益だけを考えた保護主義も発生するだろう。安全保障面では競合が増えて、米国も脚を引っ張られる可能性がある。仮に米国がヨーロッパを支援しない、アジアから手を引くといえば、20世紀初頭の歴史のようにものごとの収拾がつかなくなり米国も悪影響を受ける。

またグローバル経済も急降下するだろう。深刻な不況が発生する。なぜなら米国がグローバル経済の開放度を裏書きしなくなるからだ。トランプの立場では米経済を好況にするために他国を悪化させることになる。だが戦後70余年の経験から見れば反対だ。米国並びに各国の経済を好況にするためにこそ、グローバル経済がうまく運営されなければならない。

米国が主導しないと国際秩序は本当に崩壊するだろうか。NATO、国連、世界貿易機関等々が米国不在で機能を失うだろうか。

誰かが重荷を担わないといけないとしても手を挙げるものがいるだろうか。1990年代や2000年代中頃にはヨーロッパが重荷を負担する、中国がもっと開放的な国家になり秩序を維持するとのもっともらしく聞こえる話をしていた。だがこの五年ほどでヨーロッパの分断は進行し弱体化し、世界問題に関わる余裕がなくなり、一方で中国は一層専制国家になった。米国の関与以外に他の選択肢はないし、しなkれば米国以外の国が手を上げてくるだろう。米国が関与を深めれば、他国もパートナーとして一層の負担をしてくれるだろう。

他国の義務を論じることで注意がそらされそうだが、大事な点は我々は他国に何を期待しているのか、という点だ。ヨーロッパはもっと負担が必要だと言うのは良いがあくまでも現実的にだ。米軍がヨーロッパから完全撤退したら例えばフランスはどうなるか。フランスが今以上に国際的に関与する国、リベラルな国になる可能性もあるが、右よりになり国民戦線のマリーヌ・ルペンが大統領に当選する可能性の方が高い。するとフランスに国粋主義の政権が誕生してしまう。もし米国が抜ければ、国内事情が悪化する国が多数あり、各国は警戒し保護主義に傾き、もっと国家主義に走るだろう。

この秩序体制を米国は主導していけるのだろうか。

最重要なのが同盟関係だ。安全保障の仕組みを通常兵器や核の傘で支え、北東アジアやヨーロッパで一定の確実性を提供し、地政学上の事実を作り上げることだ。また軍事的に現状維持を変更することを困難にしておくことだ。経済面では海上交通路を開かれた形にし、開かれたグローバル経済体制を資本の自由移動、一定の規則の下で運用することだ。貿易面ではWTO他多数の多国間関係は米国が一方的に手を引けば運用不可能となるだろう。

価値面では米国、ヨーロッパ、アジア一部民主国家がそれぞれ民主体制を支持し人権含む基準を維持すれば大きな効果が生まれる。

現状で秩序はどこまで有効だろうか。フィリピンやトルコとの米同盟関係はここにきて弱体化している。ニューヨーク・タイムズは自由貿易を支持する機運の中で世界貿易は減少傾向と指摘している。ヨーロッパの連帯は英国のEU脱退投票結果で揺らいでいる。秩序は米国の主導下でも空中分解しているのではないか。

課題はあるが、制御可能だと思う。歴史の観点では米国や同盟国、さらに同様の目標を共有できる国と一緒に対応できる範囲にある。金融危機を経て経済環境が悪化している中でナショナリズムが強くなっているが、最悪の場合と比較すればこれでもまだ穏やかな方だと思う。■



F-15C/Eに新型電子戦装備を搭載し2040年代まで現役で共用させようとする米空軍



Air Force Pushes New F-15 Electronic Warfare Suite Forward to EMD Stage

By: Valerie Insinna, November 4, 2016 (Photo Credit: US Air Force)
WASHINGTON — 米空軍が進めるF-15CおよびF-15Eの電子戦能力向上策が技術開発製造段階(EMD)に進んだ。
空軍がボーイングに総額478百万ドル契約でイーグル・パッシブ/アクティブ警報残存性向上装備(EPAWSS)の開発段階を引き上げた。EMD段階は2020年までとし、同社はEPAWSSの設計とともにリスク低減策を進める。ペンタゴンが契約交付に際し発表した。
ボーイングはEPAWSSの各システムを製造し、実験室テストのあとでフライトテストを2018年末に開始する。ボーイング広報ランディ・ジャクソンがDefense Newsに伝えた。
EPAWSSの搭載対象は合計400機を超えるF-15CとF-15Eで、ボーイングは主契約企業として協力企業BAEシステムズとともに昨年選定されていた。
BAEによればEPAWSSは完全デジタルの電子戦装備でF-15に状況認識能力を高め、自機防御を高性能電子対抗措置、レーダー波警告、チャフ・フレア運用能力の向上で実現する。同装備はF-15が1980年代から搭載中の戦術電子戦装備に交代する。
EPAWSSはボーイング提案のF-15C改修パッケージの中核で2040年代まで有効な航空優勢戦闘機として供用させるもの。
レイクンハース英空軍基地に駐留する第48戦闘航空団司令を務めたことがあるロバート・ノヴォトニー大佐はDefense Newsに7月にF-15にはもっと高性能技術が必要だと述べていた。どんな性能が必要なのかと尋ねられた大佐はEPAWSSが特に重要な性能向上手段だと説明していた。「改修策の中でもEPAWSSが特に重要です。F-15に搭載が望まれる装備ですが他機種でも同様で、みんなEPAWSSをほしがっていますよ」■


2016年11月8日火曜日

★★インドUS-2導入決定の報道は誤り 



一部筋がインドのUS-2導入が決まったと伝えていましたが、実はまだコンセンサスがとれていないようです。新明和工業は最後までインドに振り回されそうです。

Vol 7 Issue 45, Nov 04, 2016 - Nov 10, 2016.

DAC clears blacklisting policy, no decision on US-2 planes

08-Nov-2016
New Delhi
Posted 07 Nov 2016

インド国防調達協議会(DAC)(座長国防相マノハル・パリカール)が11月7日一部ブラックリスト企業の解除とともに821億ルピー相当の調達を認可した。
協議の席上、US-2水陸両用機が話題となったが決定に至らなかったと消息筋が述べた。以下略