2017年8月20日日曜日

金正恩の一言は緊張緩和への第一歩なのか?



ゲームは高度化しています。金正恩対トランプのレトリック勝負は金正恩がリードしているようですが、米政権がこのまま劣勢を甘んじるはずはなく、いつどんなどんでん返しが起こってもおかしくないと思います。むしろメッセージを読み間違えることの危険の方が怖いのですが、日本はこの点ナイーブな受け止め方をしがちなのでリスクがあります。またいくら北朝鮮が悪の態勢だとしても存在を認めざるを得ない状況になってきたらどうするのか、いまからしっかり考えておく必要があると思いますが、読者諸賢のご意見はいかがですか。


Kim Jong-un Leaves an Opening for De-escalation. Should the United States Take It?

金正恩が示す緊張緩和の選択肢を米国は受け入れるべきだろうか
A B-1B Lancer aircraft sits in the aircraft parking area at Ellsworth Air Force Base, S.D.
August 19, 2017



  1. 「炎と怒り」の一週間で北朝鮮がグアム攻撃をちらつかせたが、平壌とワシントンが緊張緩和に向かう好機が来ているのかもしれない。
  2. 国営朝鮮中央通信(KCNA)によれば金正恩は火星-12中距離弾道ミサイル数発をグアム島周囲に射撃する案の説明を受けたが実施命令を下さず「ヤンキーがさらに愚行に走るのを静観」し将来の実施に含みを持たせることにしたという。
  3. 今回のKCNA報道の第一報はいつもの米朝二国間の言葉の応酬の延長に写ったが、米政策決定層も最高指導者が延々と続ける空虚な発言の真意を理解できれば緊張緩和の機会がきたとわかるはずだ。
  4. 最新のKCNA報道や先週発表の北朝鮮戦略軍報道官の声明を見ればグアム島周囲にミサイルを撃ち込む目的は北朝鮮へ対する米軍軍事行動に先手を打つことだとわかる。B-1B爆撃機がグアムから出撃すれば、金はグアム島周囲にミサイルを撃ち込み、その気になれば同島を制圧できる力を誇示する。ただしこの戦術の欠点は米軍が爆撃機運用を停止すれば北朝鮮はミサイルを発射できないことだ。さらに北朝鮮は米国へ韓国との大規模合同軍事演習の中止も求めている。予定では8月末に始まる。高圧外交の典型例だ。
  5. 今やボールは米側にあり、トランプ政権に選択肢はふたつある。まず、北朝鮮の脅威はこけおどしで政策変更に値しないと判断し爆撃機、演習は予定通り実施する。もうひとつは軍事行動を変更し、北朝鮮を宥和し緊張緩和の機会ととらえ利用することだ。いずれもリスクを伴うが、後者の方が損失は低く手に入る効果は前者より高い。
  6. 方向転換よりも倍掛けを好むトランプの気性から北朝鮮脅威に強硬策を取る可能性が高い。北朝鮮が挑発に出れば米軍が圧倒的な報復攻撃を実施できるので、北朝鮮もグアムに手を出して支払う代償を考えれば行動しにくくなるはずだ。さらに北朝鮮に恭順な態度を示せば同国を勇み足にしてさらに高圧的な脅迫を将来してくるだろう。
  7. 北朝鮮の高圧的態度を拒否すれば比較的低リスクのオプションとなるがあくまでも北朝鮮がグアム包囲ミサイル発射策を追求しない限りにおいての話だ。脅威の効果を信用させるには能力と意思のふたつの要素が必要だ。北朝鮮ミサイル技術がここにきて進展を示しており脅迫の実行能力があることを意味する。だが実行を貫徹する意思があるのか見極めるのは困難だ。トランプ政権はまさか米国の報復攻撃を招く事態を北朝鮮が招くはずはないと考えている様子が明白にわかる。しかし、この計算が間違っていれば米国を一層のエスカレーションに走らせ、米国の権益に逆効果になる。
  8. もし米国にとって軍事行動を変更しても失うものより得られる結果が大きいければ、北朝鮮を是認する政策選択が妥当となる。平壌が米国に中止を求めているのはB-1Bのグアム島からの運用と大規模米韓軍事演習のふたつだ。双方とも中止しても米国の負担はわずかなですむ。
  9. 北朝鮮がB-1Bを恐れる理由の中心は核兵器運用機材とみているからだ。この脅威論はいかにも現実的のようだが、実は北朝鮮の高圧外交に妨げとなる。米国は北朝鮮の恐怖を逆手に取ればよい。B-1B運用を一時的に停止すれば平壌に大きな貸しを売ることとなるが、その他の装備で北朝鮮への抑止効果が維持でき米側に損は少ない。B-1B飛行停止に同意すれば北朝鮮が本当に緊張緩和に真剣なのか低コストで確認できる。
  10. 毎年恒例の米韓軍事演習を中止することも北朝鮮の高圧外交の目標のひとつだが、実現性は少ない。演習の一部でも変更すれば平壌の勝利となり、完全中止でなくてもいいのだ。たとえば今年前半のフォールイーグル演習でF-35と米韓特殊部隊が北朝鮮核ミサイル施設強襲作戦を実施したが、この部分だけでも次回演習から中止すれば米韓両国は将来の北朝鮮核兵力破壊の実施に困難をきたす。だが現在の北朝鮮は核兵器が有事の初期段階で「使うか、破壊されるか」の悩みがあり、この措置で悩みを減る。
  11. 北朝鮮の高圧外交は米国にリスクのある選択になる。ただし一部にせよ北朝鮮の要求に応じれば逆に同国の交渉態度や真剣さが分かる貴重な情報が得られるし、米国は恭順さの代償も最小限にできる。
  12. 北朝鮮の要求への譲歩を拒絶すれば平壌は引きさがるざるはずと考えるのは間違っている。むしろ米国は今以上の緊張を生み出すエスカレーションへ進まざるを得なくなる。金正恩からトランプ政権に危機状況をこれ以上エスカレートさせない機会が提供されているのだ。それを真に受けてもリスクはあるがいまのままの道を進むことで勝利実現しそうもない。■
Eric Gomez is a policy analyst for defense and foreign-policy
studies at the Cato Institute.
Image: Department of Defense

★中国で出回る謎の機体の正体を推論する



No, That Satellite Image Going Around Social Media Isn't Of China's New Stealth Bomber ソーシャルメディアに出回った衛星画像は中国の新型ステルス爆撃機ではない

China's new stealthy bomber could emerge at anytime, but this isn't it. 中国の新型ステルス爆撃機はそのうち登場するが、今回は別の機体

 BY TYLER ROGOWAYAUGUST 19, 2017
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GOOGLE EARTH
高碑店近郊のRCS試験設備

  1. 中国が新型戦略爆撃機の最終開発段階にあるのは各種情報から間違いない。噂では全翼機形状のステルス機の試作型が6月に極秘裏にロールアウトしたという。中国関係者が同機開発を何度も言及してきたので可能性はあるがソーシャルメディアで出回っている画像はこれとは別だ。
  2. 問題の衛星画像(上)は成都で撮影されたといわれる。同地には成都航空機があり、J-10、Su-27フランカーの模倣機、J-20ステルス迎撃戦闘機等を製造している。だがそれは誤りだ。実は北京南西30マイルほどの高碑店市Gaobeidianで撮影されたものだ。同地にはレーダー断面積性能測定施設がある。
  3. 問題の機体はノースロップ・グラマンのX-47Bに似ているが、翼幅25フィート程度の小型機近くに駐機している。このため翼幅50フィートと述べているする記事に疑問が出る。X-47Bの翼幅は62フィートだ。
  4. そうなるとこれは中国の新型ステルス爆撃機ではない。本当なら翼幅は少なくとも写真で見える機材の三倍になるはずだからだ。また運用支援用の航空基地にいるのもおかしい。ただしレーダー断面積測定専用の縮小モックアップの可能性があり実機形状を反映しているのかもしれない。また機体の大きさからみて進行中の無人機開発プロジェクトで、各種各種形状の違いをレーダー断面積測定テストで比べようとしているのかもしれない。中国が米軍の高機能機材をそっくりまねたり、縮小モデルをつくることで定評があり、自国機でも同じことをする傾向がある。
  5. 該当機材が最高機密の扱いを受けていない証拠がある。Terraserver.comによれば同機は7月9日から7月12日にかけ外部で駐機していた。同基地は海外衛星の重要監視対象であり、中国は米国に意図的に同機を見せようとしたのかもしれない。
  6. 米国防企業多数がレーダー断面積測定で多用するのがパームビーチ(フロリダ)またはボードマン(フロリダ)の大型施設で航空機各種、ミサイルのすべての測定を行っている。こうした施設から米国発のステルス爆撃機の前身も生まれている。各施設は将来登場するはずの機材開発に使われている。中国がステルスで革命的な変化を模索する中、米国と同様の方法を試すのではないか。
  7. 中国の新型爆撃機試作型が遠からぬ将来に登場する可能性は十分ある。その場合、中国の軍事力の飛躍的進歩というよりも機体製造や素材面で大きな進展になるはずだ。今回の記事は中国が急速に進めつつある無人戦闘航空機材の開発の一面を示しているととらえるべきではないか。その例として「Star GlorySG-1CH-805が知られている。このうちStar Gloryが今回の衛星画像で見られる機体と酷似しており、機体寸法も近い。■
Contact the author: Tyler@thedrive.com


リーパー訓練基地を米空軍がメディアに公開した


いいな、こんな機会があって。こっちも見てみたいですが、どこまで現実に感じられるでしょうか。ドローンという表現は無人機(英語では人=男性)の言葉を嫌ったヒラリーが意図的に使ったことばで米空軍では一貫して遠隔操縦機と正式に読んでいます。ヒラリーが落選してもドローンはまだ残っていますね。当ブログではヒラリーが嫌いなこともありドローンの表現は使っていません。航空自衛隊は大型のグローバルホークをまず導入し、プレデターは使わないのでしょうか。朝鮮半島攻撃用に使い勝手のいい機材のはずですが、運用態勢の整備が大掛かりですぐには間にあわないでしょうし、パイロット頂点としたヒエラルキーにひびが入るのは組織上抵抗があるのでしょうか。今は遠隔操縦ですが、自律飛行の機種の登場も待ったなしで悠長なことは言ってられないのですけどね。

ニューメキシコの澄んだ青空から飛び出したMQ-9リーパーがホローマンAFBにいる記者の頭上を通過した。

Don’t Fear the Reaper: A Rare Look inside Remotely Piloted Aircraft Operations at Holloman Air Force Base 

リーパーを運用するホローマン空軍基地内の遠隔操縦機の運用状況を視察する貴重な機会を得た


 Aug 17 2017 - By Tom Demerly

 

  1. 何も聞こえなかった。雲一つない明るいニューメキシコ砂漠上空にバス車内からきらりと光るものが一瞬見えた気がした。もう一度眺めてみたが何もない。音もない。空には何もなかった。するともう一度光るものが見えた。今度は場所が分かった。だが遅すぎた。リーパーはすでに頭上にいた。
  2. ジェネラルアトミックスMQ-9リーパー戦闘航空機の飛行する様子は初めて見た。この経験はジェット戦闘機の雷鳴のような飛行、ターボプロップのうなりとは別格だ。わずか900馬力のハネウェル製ターボプロップの回転音はおもちゃのようだ。米軍装備で最高の威力がある機体の動力とは思えないほどだ。
  3. ホローマンAFBはニューメキシコにあり、米空軍第49遠隔操縦航空機(RPA)飛行団の本拠地だ。同隊には第6、第9、そして特徴ある第29攻撃飛行隊があり、MQ-9リーパー遠隔操縦機材の新規パイロット養成学校としてリーパー運用に必要なパイロット二人体制の初期資格につながる訓練を行う。第29攻撃飛行隊(ATKS)はMQ-9飛行要員の養成機関として全米唯一の存在と言われる。このため同隊は高い需要に対応している。
  4. 遠隔操縦機は誤解の対象となってきた。「ドローン」のフィクションや人的制御を離れて勝手に作動するとの危惧からだ。リーパーのような遠隔操縦機にフライバイワイヤで操縦する有人機以上の機能があるわけではない。
  5. 敵側が遠隔操縦機に電波妨害や制御を乗っ取りをしかける数少ない例が2011年12月に発生し、RQ-170センティネル遠隔操縦機をイラン軍が捕獲している。この事件は極めて異例で有人機のハイジャック(9/11米国襲撃事件など)のリスクの方が高い。
  6. 通信の保安措置により機体と飛行要員の接続状況は高度化し常に改良されている。遠隔操縦機が破壊されても操縦要員の生命に危害はない。この例が2009年のアフガニスタンで発生し飛行中に機体制御不良を起こした遠隔操縦機が米軍機により破壊されている。
  7. 先週のことTheAviationist.comはメディア向け視察の招待を受けてホローマン基地のRPA訓練運用施設を目にすることができた。同訓練校ではジェネラルアトミックスMQ-9リーパー各型を使い、プレデター運航要員の訓練を主に行っている。
ホローマンAFBで訓練ミッションに使うリーパー各機の遠景。

  1. 施設内見学では要員が各自の名札に半透明テープを貼り保安対策していた。訓練では現実世界を想定していた。プレデターパイロット向け訓練で正式な資格を取得したあとわずか37分後に実弾を戦闘地区内の実際の標的に向け発射すると教官が述べている。ここまでの戦闘即応度は現在の多術航空作戦で他に例がない。
氏名をテープで隠した米空軍MQ-9リーパーのパイロットがホローマンAFB上空を飛行する機体からのビデオ画像を説明してくれた。.
  1. プレデターの運用要員と機体は保安体制の上に保安措置を講じたニューメキシコ遠隔地の背後に配置されている。遠隔操縦機の投入で展開時間は限りなくゼロにちかづくため、ホローマン基地内の制御用コンテナにいると戦闘地区の前線滑走路の上に立つのと同じだ。
MQ-9機首下のセンサーボールの中に各種光学センサー、カメラが収まり、飛行要員んに飛行運用の様子を伝える

  1. ブリーフィングでは光学センサーや飛行制御計器のコックピット用画像情報が実際の飛行中機体からモニターに写されていた。軽飛行機のように見えるが実はステルスの戦闘航空機MQ-9プレデターなのだ。見ているとMQ-9は着陸アプローチ訓練をしており、パイロットの飛行制御入力に機体が反応する様子がわかった。これは実は高性能軽戦闘航空機なのだ。
MQ-9リーパー遠隔操縦機の「コックピット」を見るのは貴重な機会
  1. 2017年3月に米空軍ダリル・ロバートソン中将が空軍協会主催航空戦シンポジウムの報道円卓会議で「米空軍ではMQ-1プレデターやMQ-9リーパーの任務が他機種より多くなっている」と語ったとウェブサイトMilitary.comが伝えていた。
  2. 遠隔操縦機の運用拡大とあわせ飛行乗員の需要が高まることから第49飛行団が多忙な拠点になるのは当然だろう。■
運用上重要であることを反映してリーパー制御コンテナまわりの保安体制は厳重だ。

2017年8月19日土曜日

北朝鮮のインターネット利用状況を解明する


北朝鮮でインターネットを使うのはどんな人たちなのか、何に使っているのか。今回の報告書ではデータの層別に問題があるようですが、特権階級が自分たちの欲望に動かされてアクセスしていると想像するのは難くないですね。もちろんサイバー攻撃部隊は別で、ワナクライもその仕業ですが身代金搾取で国家歳入の一部にしようと何とも許せない所業です。

Social Media and Shopping: Report Provides Potential Insights on North Korean Online Behavior

北朝鮮のインターネット利用状況を解説した報告書でわかること

AUGUST 18, 2017
発表されたばかりの研究報告が北朝鮮のインターネット事情の内側を解明している。平均的な北朝鮮国民、労働党上層部及び軍部は一般が想像するようにインターネットと無縁の生活は送っていない。ただしアクセス回数やその範囲は把握できないという。基本データが入手できないためだ。北朝鮮のオンライン活動の実態が俗説と違うと説明しているだけにこれは残念なことでデータの裏付けがあれば北朝鮮に対する見方が変わるのはまちがいない。
報告書の要旨
  1. 7月に報告書を出したのはInsikt GroupでマサチューセッツのRecorded Futureの研究部門だ。同社はオンライン上の危険情報を機械学習を利用して企業に提供している。報告書の下になったのは北朝鮮の国外インターネット活動を集計した Team Cymru(コンピュータセキュリティ専門の非営利団体)でInsiktの「情報収集パートナー」だという。
  2. 報告書ではRecorded Futureの戦略危険開発部長で米情報機関で12年の経験を有するプリシラ・モリウチが北朝鮮ユーザーはインターネットでソーシャルサービスメディアで時間を使うことが多いと指摘。とくにフェイスブックをグーグルから見て、百度やインスタグラムに多数のアクセスがある。アリババ、アマゾン、テンセント、アップルが今年4月1日から7月6日の間の集計でソーシャルネットワーキング関係でトップのサイトだ。
  3. 報告書では4月1日を例に163.comのメールアカウントから中国語映像サイトYoukuへ移り、新華社、人民日報のニュースを閲覧するユーザーの動きを取り上げている。
  4. Team Cymru はデータ収集方法を明確に説明していないが、「データ提供出典各方面」と共同作業していると以前述べていた。また同社の業務利用者以外にデータ利用を禁じているが、報告書では北朝鮮のトラフィックの識別方法の詳細を述べており、インターネットアドレスは三種類のブロックに大別されるという。
  5. 最初のブロックが175.45.176.0から175.45.179.255のアドレス計1,024点で北朝鮮唯一のインターネットプロバイダーStar JVに割り当てられている。同国のウェブサイトはすべてこの中にあり、同国内に居住する外国人や旅行者向けインターネットサービスを提供するKoryolink 3Gも使っている。
  6. 二番目のブロックは210.52.109.0から210.52.109.255までのアドレス256点で中国のアドレスだが北朝鮮の国営通信プロバイダーにChina Netcomが提供している。これはStar JV発足前からの措置で15年前の北朝鮮国内ウェブサイトがこれを利用していた。
  7. グループ三番目が77.94.35.0 から77.94.35.255までのアドレス256点でSatNet向けだ。これはロシアの衛星インターネットプロバイダーで現在はレバノンで使用登録されている。以前は北朝鮮が使っていたがインターネットアドレス登録データベースではその内容と食い違っており、北朝鮮のアドレスとして使われていたのか、今も使われているのか不明だ。
  8. モリウチの感触ではSatNetのアドレスは北朝鮮が使っていたがSatNetアドレスとStar JVアドレスへのアクセスパターンが類似していることに着目しレバノンのウェブサイト用ではないと見る。ここでも基本データがないため裏付けはない。ただしモリウチは筆者にSatNetのトラフィックのうちおよそ4割のデータで中国のChina Netcomからのアクセスは1パーセントにすぎないと語ってくれた。残りは北朝鮮のIPアドレスからであり、報告書の所見を裏付けるものとなっている。
  9. モリウチはこの他にも北朝鮮からインド、マレーシア、ニュージーランド、ネパール、ケニア、モザンビークの各国向けに予想外のトラフィックがあることをつきとめた。アクセス数が通常より多く、特定の現地ニュース報道サイトや官公庁サイトに集中しているという。通常は現地居住者が主にアクセスする種類のサイトだ。.
  10. 調査対象となった活動の五分の一がインド関連であったのは驚くべき事実だ。報告書では北朝鮮から同国大学少なくとも七校に留学生がおり、インド国内の研究機関とも関係があるのではと推論している。
  11. 特徴的なのは5月17日でビットコイン関連のトラフィックが観察されている。4月から皆無だったが突然スパイク現象を示した。報告書では「ワナクライ」マルウェアによるコンピュータ攻撃が5月12日から15日にかけ続いたと指摘している。ワナクライはビットコインで支払いを求め北朝鮮のコンピュータ保安企業体の関連が言われている。
  12. また報告書ではVPN(仮想プライベートネットワーク)関連で西側企業少なくとも7社の利用があると指摘している。この利用にはクレジットカードが必要だが、北朝鮮が海外で手続きするのは不可能ではなく、ここでも背後に誰がいるのかという疑問が残る。
  13. 報告書では「あるVPNがiPadで利用されGmailアカウントのチェック、グーグルクラウドへのアクセス、フェイスブックやMSNアカウントもチェックし、成人向けコンテンツ閲覧に使われている。別のVPNやVPS(仮想プライベートサーバー)でMetasploit(セキュリティソフト)を作動させ、ビットコインで買い物をし、Twitterをチェックし、ヴィデオゲームを楽しみ、画像ストリーミングを視聴し、文書をDropboxに保存してからアマゾンを覗いている」と指摘。
要注意な点
  1. 今回明らかになった事項で要注意なのは何人が実際のユーザーでかつその正体が不明なことだ。報告書ではインターネット利用者を「限定的」とするが、平壌には常時数百名の外国人が居住しており、インターネットで海外サイトにつながることは多いはずだ。その場合VPNでフェイスブックやグーグルに入り163.comのメールアカウントをチェックすることは十分ありうる。
  2. モリウチは筆者に外国人居住者に違いないと思われるトラフィックも見つけたが、全体の中の少数に過ぎないと主張する。数量を把握するのは不可能であり、なぜなら報告書では数をとりあげておらずモリウチも実数を明らかにしていない。
  3. インドのトラフィックを例にあげると、インド向けの動きが増えた理由が平壌のインド大使館で退屈した外交官によるものなのか判別できない。また解析対象のデータ量も不明だし、アクセス対象のサイト数や平壌市内のインターネット利用者数の推計もわからない。
未解明部分
  1. 世界各地同様に北朝鮮でもフェイスブックが一番の人気サイトで、グーグル、百度他有名サイトにも相当の時間を費やしている。北朝鮮発のトラフィックが居住外国人や旅行者以外ならばわれわれと大差ない。
  2. 報告書では北朝鮮国内のインターネット事情の不透明な部分に考察を加えているが、観察された事象がすべて北朝鮮発と断言できない。
  3. 北朝鮮やインターネットに詳しい筋に報告書の件を話してみたが、全員同じ結論だった。数の点で不正確さが残る。多分外国人発信分のデータの方が多いのだろう。
  4. あるいは我々全員が北朝鮮のインターネット利用状況を誤解しているのかもしれない。情報がもっと必要で今回指摘されている事項には驚くべき内容が含まれているので精査が求められる。
  5. モリウチは利用データから得た結論に自信を持っている。アクセスがあったサイト、トラフィックのパターン、活動状況で筆者も正しいと思う。だとしてもデータをもっと解析して詳細面を把握し結論の裏付けを得たいと思うが。
  6. より詳しく知りたい向きはモリウチがRecorded Futureのポッドキャストに出演して詳しく説明しているので聞いてみてはどうか。

2017年8月18日金曜日

スペインが13年ぶりにテロ襲撃の標的になったのはなぜか


こんな無茶苦茶な理屈はないですね。これでは未来永劫に子孫に罪があることになり、某半島部の国民の言い分と同じです。イスラム世界ではISISはじめテロリストとは無縁と主張しながら自浄努力が見られないのはどうしたことでしょう。犠牲者のご冥福を祈りましょう。

Why Spain has become a target for terrorists スペインがテロ襲撃に狙われた理由

バルセロナを襲った木曜日のテロ攻撃でスペインは13年不在だったイスラム過激派の襲撃の洗礼を受けた。
13名死亡100名超が負傷したヴァン暴走は旅行者にも人気の高い歩行者が多数集まるラスランブラス地区で発生。身柄を拘束された二名とは別に逃走中の運転者を警察が捜索中。
昨年からスペイン公安当局は市民を巻き込むところだった襲撃事件少なくとも三件を未然に防いでいる。
  • 2016年11月、モロッコ人一名をマドリード近くで逮捕。「一匹狼」」型の襲撃を企んでいた。「切れ目なくインターネットでテロ行為をすると伝えていた」
  • 2016年12月、テロリストの疑いで一名をスペイン北部で逮捕したが、タンクローリーを使いニース事件6名458名負傷((86名458名負傷)の模倣を企んでいた。
  • 2017年5月、モロッコ人二名をマドリードで逮捕、タンクローリー襲撃を計画し、オンラインのテロリストネットワークの一部と判明。
スペインではイスラム原理主義者による襲撃は2004年3月が最後だった。同事件ではアルカイダ工作員がマドリードで通勤列車を爆破し191名を死亡させた。
その後スペインは公安警察や情報収集能力を増強しテロ活動やISIS関連ありとみられる千名を監視追跡している。
だがロンドン・タイムズが伝える情報分析専門家によればイスラム系住民の「統合が進んでいる」スペインはフランス事例と同様の規模の襲撃から免れていると見られていた。「フランスにあるような隔離地区がなく、イスラム系住民と統合が進んでおり、急進思想はさほど見られない」(同専門家)。
タイムズ記事ではスペインが聖戦主義の標的になったのは711年から1492年までイスラム圏であったことが大きいという。
ISISの宣伝機関はイスラム戦闘員にスペインが1212年のアルユカブの戦いでイスラム教徒60千名を虐殺した史実を思い出させ、スペイン人への復讐としてバルセロナのラスランブラスはじめ観光スポットを襲撃し爆発物やトラックで「スペインがイスラムに対して行った犯罪行為」のツケを払わせろと主張していた。
Read the original article on Business Insider Australia. Copyright 2017. Follow Business Insider Australia on Twitter.

温故知新 朝鮮戦争1.0での米軍空爆規模の恐ろしさ


今回開戦となればどんな空爆作戦になるのでしょうか。トマホークが切り込み部隊となりB-2が核ミサイル開発拠点をバンカーバスターで攻撃したり、通信網配電網をずたずたにするはずですが、都市攻撃までは想定しないのでは。その意味では1950年の再来にならず、前回の戦争が第二次大戦型の戦略爆撃の最後の実施になったのかもしれませんね。


How American Air Power Destroyed North Korea

米航空戦力は北朝鮮をここまで破壊した

The National Interest August 12, 2017


  1. 米朝間の緊張が高まる中、その根源となった朝鮮戦争の実相を見直す価値があるだろう。
  2. 戦闘の概況はよく知られている通りだ。金日成の軍が1950年6月韓国に侵攻して幕を開け、スターリンと毛沢東が背後についていた。北朝鮮軍は迅速に南方へ進軍したところ米軍が国連軍として介入をはじめ北朝鮮軍は38度線の北へ追いやられる。そこで中国の「志願軍」が大量に戦線に現れ米韓軍を38度線へ押し戻す。戦況は膠着状態になり1953年に休戦合意した。
  3. 一方で米空軍力による無慈悲な北朝鮮空爆作戦の実際は少なくとも米国内で知られていない。朝鮮戦争の戦史研究家ブルース・カミングスは「米軍が北を三年間にわたり絨毯爆撃し民間人の死傷など気にかけなかったことを米国で覚えている人は皆無に近い」という。
  4. 事実、エメット・オドンネル少将は当時の極東爆撃軍団を率い、B-29を空爆に投入したが、「北朝鮮の五大都市を灰燼に帰しその他戦略拠点18地点を完全破壊する」のが任務と述べていた。カーティス・ルメイ将軍は戦略空軍が「南北朝鮮の各都市を焼き払った」と自慢し、「三年間で...人口の2割を殺害した」と述べた。のちの国務長官ディーン・ラスクは当時トルーマン政権下で国務省で勤務し米軍の爆撃について「北朝鮮国内で動くものすべて、立っているレンガをことごとく」目標にしたと語っている。
  5. 投下された爆発物の総量は驚くべき規模だ。トム・オコナーはNewsweekで「北朝鮮へ635千トン投下しうちナパームが32,557トンだった」とする。第二次大戦に太平洋各地で投下した爆弾の総量が503千トンであり、それを上回る量が日本の三分の一の面積の北朝鮮に集中した。歴史家チャールズ・K・アームストロングがこう著したのは驚くに当たらない。「北朝鮮国内の破壊程度は第二次大戦時の日本より大規模と米空軍は推定した。大戦中は日本都市64か所が灰燼に帰しさらに原子爆弾で二都市が破壊されている」
  6. 北朝鮮の工業基盤が小規模のため戦略爆撃の標的探しが大変だった。アームストロングが指摘しているように「1952年秋には米軍機の攻撃対象がなくなった。都市、工業施設はすべて空襲されていた」というがこれは決して誇張ではない。平壌の75パーセント、元山の80パーセント、興南の85パーセント、沙里院の95パーセントが破壊されている。 .
  7. その後米軍および連合軍航空部隊は水力発電施設さらにダムを標的にした。各ダムは北朝鮮国内の治水75パーセントを管理し、農業特に米作で必要だ。1953年5月だけで米軍がダム五か所を破壊し、大規模洪水が発生した。同時に北朝鮮国民数百万人が飢餓の一歩手前になり、ソ連中国の大規模食糧援助に頼らざるを得なかった。空爆で大規模停電が発生し、鉄道網は95%が壊滅的被害を受けた。
  8. 米空軍公式戦史ではこの時期について「朝鮮戦争の最終年に米空軍力は米軍、国連軍の軍事目的の達成の中心的手段になっていた。灌漑用ダム二か所の破壊以上に共産主義者へ深刻な影響を与えたものはなかった。北朝鮮農業経済がここまで深刻な影響を受けたことはなかった」と記している。
  9. 外部研究者には空爆作戦が戦争の行方を左右したとは信じない向きがある。政治学者ロバート・ぺイプは北朝鮮・中国が1951年時点で勝利できなかった理由は部隊が空爆による被害を受けたためで戦略爆撃ではないと説明している。航空戦力の最大効果は敵補給路の遮断とくに鴨緑江付近の橋梁破壊で中国・ソ連の支援を止めたことと主張する向きが多いが、問題の橋梁は強固に防御され、当時の航空機の活躍は大きく成約され、航空作戦は限定的な成功しかおさめていない。
  10. 北朝鮮は戦争被害を韓国より早く修復している。韓国の方が被害は少なかったのだが。一方で空爆の影響はその後も残った。金一族がプロパガンダに使い、幼少期から米国への憎悪を植え込んでいる。ブルース・カミングスは「北朝鮮国民全員がこれを知っており、心に刻まれている」と解説している。■
Zachary Keck is the former managing editor of the National Interest. You can find him on Twitter: @ZacharyKeck.

2017年8月17日木曜日

米エアライン機材が緊急時に軍事輸送に供用される仕組み


(T1,T2共通記事) 朝鮮戦争2.0が湾岸戦争規模の全面戦となれば民間機利用も視野に入ります。米系エアラインが機材を使えなくなればその他国のエアラインが漁夫の利でシェアを伸ばすのでしょうか。いえ、そもそも西太平洋の有事となれば需要そのものが大幅に減退するはずですね。ところで日本では有事に自衛隊の空輸能力不足を補う手当はしてあるのでしょうか。韓国には5万名超の邦人がおり、エアライン機の利用はまずこの朝鮮半島有事の場合でしょうか。

This is the Pentagon's not-so-secret civilian 'ghost' aircraft fleet

これがペンタゴンの「幽霊」輸送機部隊だ
  • http://www.wearethemighty.com/articles/this-is-the-pentagons-not-so-secret-civilian-ghost-aircraft-fleet
Pan Am 747 used for military
CRAFが1986年に行った演習でパンナムのボーイング747が傷病兵輸送用に投入された。 US Air Force
  1. 第二次大戦時に米政府は民間航空機多数を徴用し人員貨物輸送に投入した。
  2. この制度は民間予備航空機部隊 Civil Reserve Air Fleet と呼ばれ現在民間旅客機・貨物機数百機が登録され、ジェットブルーUPSユナイテッドエアラインズなどが国防総省の求めに応じて随時提供することになっている。
  3. CRAFの正式発足は1951年12月のことで国防総省と商務省間の合意で民間機の軍用利用方法が整理され軍で輸送能力が不足する緊急事態、危機状況または戦争への投入に道が開いた。
  4. 必要とされればCRAF契約加入の民間エアライン、貨物航空各社は機材、乗員を米輸送軍団USTRANSCOMに提供し、兵員や貨物の輸送から傷病兵の搬送まで各種輸送ミッションに投入される。
  5. 現時点で全米の大手民間航空会社ほぼ全社がCRAFに加盟しており、USTRANSCOMは必要に応じ機材を利用できる。加盟企業には短距離専門エアラインから長距離路線運航エアラインまで含まれ貨物機は機内に手を加え装備人員輸送にあたる。
  6. FedExアメリカンエアラインズデルタエアラインズ等により運航中の長距離機のボーイング747,777、エアバスA330、マクダネルダグラスMD-11の相当数がされているがこうした機材はCRAFの基本方針によれば空軍のC-17グローブマスターIIIやC-5Mギャラクシーを補完する長距離輸送機能が期待される。
  7. 小型機のボーイング737やエアバスA320各機もUSTRANSCOMがCRAF機材に想定する。こうした機材は航続距離や輸送力が劣るので国内移動に投入される。
civilian Boeing 747 offloading troops in Saudi Arabia during Operation Desert Shield
CRAF制度で民間747がサウジアラビアに到着し砂漠の嵐作戦に参加する兵員が到着した。.US Air Force
  1. CRAFが発動されたのは第一次湾岸戦争が最後で当時は砂漠の嵐作戦で兵員装備多数を中東へ運んだ。
  2. パンナム、ユナイテッド、TWAの各社が大型機を提供し米本土からサウジアラビア等まで人員多数を輸送しイラク軍への攻撃に備えた。
  3. この事件以降米軍が自前輸送機で需要が賄えない事態は発生していない。だが、必要となれば軍は契約をもとにオムニエアインターナショナルはじめ民間チャーター専門会社を利用する。
  4. 民間エアライン各社はCRAF脱退はいつでも可能だが、そうしない企業が多いのは有事の際の軍要員輸送で契約民間会社に有利な契約条件が生まれるからだ。■

米本土ミサイル防衛に自信を見せるMDA(ミサイル防衛庁)



New MDA director: US prepared to defend against North Korean nuclear ICBM threat

MDA新長官:米国は北朝鮮核ICBM攻撃の防御の準備ができている



写真 米空軍中将サミュエル・グリーヴス(宇宙ミサイル装備センター長兼宇宙分野事業統括者)が第103回ロウズボウルの観衆に手を振る。カリフォーニア州パサデナ, Jan. 2, 2017.

HUNTSVILLE, Ala. — ミサイル防衛庁長官に就任したサミュエル・グリーヴス空軍中将は米国の本土防衛体制に自信をもっており、北朝鮮の核ICBMに対応する装備の準備態勢ができていると語った。
  1. 宇宙ミサイル防衛シンポジウムで質問を受けたグリーヴス中将は「現在配備中の弾道ミサイル防衛システムで脅威に十分対応できる」と述べた。
  2. ただしミサイル防衛庁は変化し続ける脅威に対応しようとしており、ICBM同時発射や対抗措置やおとりの放出に対抗すべく脅威の「緩和」に「しっかりと」取り組んでいると付け加えた。
  3. グリーヴス中将はデータの裏付けが十分にあってはじめて自信が持てるとし、「解析を完了し、各種システムを構築し、モデリングやシミュレーションを実施し、テストも厳しい条件で行い、総合的に行った。裏付けデータもある」と語った。
  4. 長官はDefense Newsに対しMDAは脅威の深化に対応する整備大日程表に従っていると述べた。
  5. 金正恩になってから北朝鮮はミサイル試射回数を急増しており、呼応して朝鮮半島での開戦の危機も大きくなってきた。
  6. 先月のICBM発射ではじめて射程1万キロ超の性能を有するとの解析結果が出た。サンディエゴはもちろんニューヨークにも届く可能性が出てきた。また核弾頭の小型化にも成功したとの報道がある。
  7. 一方で北朝鮮発表の論調は一層好戦的になっており、8月9日にはグアム核攻撃を公言。
  8. これに対抗して注目されるのが5月に北朝鮮やイランからのICBM攻撃を想定して実施された本土防衛システムの作動試験だ。
  9. このテストではじめて地上配備中間軌道防衛システムが供用されICBM級の目標を狙った。以前のテストでは中距離弾道ミサイルしか標的になっていなかった。
  10. MDAはTHAAD超高度広域防衛システムの先月のテストを成功と判定した。THAADは2013年からグアムに配備が始まり、韓国にも導入がはじまった。■