2017年12月27日水曜日

★日本、韓国がF-35の艦上運用を検討中

日本の狙いは理解できるのですが韓国にとってF-35Bを搭載する目的は何でしょう。まさか日本に負けたくないという面子ではないでしょうね。今年は「平和勢力」には大変な年になったのではないでしょうか。今まで盲信していた世界が崩れてしまったので。それだけ現実世界の重みがあるわけでぜひ目を開いて現実をみてもらいたいものです。あるいは、中国の代弁者になるつもりなのでしょうか。



Japan, South Korea may refit naval ships for F-35 fighters

日本、韓国がF-35運用用に艦艇を改修する可能性が出てきた


USSワスプ(LHD-1)から発艦するF-35 (Marine Corps photo by Cpl. Anne K. Henry/RELEASED)

By: Mike Yeo
本と韓国がそれぞれF-35ライトニングII共用打撃戦闘機の艦上運用案を検討中との報道が出ている。
 共同通信、聯合通信が伝えるところでは短距離離垂直着陸型のF-35B型により日本はいずも級DDHヘリコプター駆逐艦、韓国は独島級揚陸強襲艦を戦闘任務に投入可能な空母に転用する。
 共同によれば日本はF-35Bは南西部に伸びる島しょ部の防衛に投入し、通常型機材に必要な滑走路の設置ができない点を補完する。
 この戦略は北朝鮮の弾道ミサイル・核兵器整備に対応しながら中国の急速な軍事装備近代化に対応するものだ。
報道内容について12月26日小野寺五典防衛相はいずも級を改装しF-35運用を狙う予定はないと繰り返し否定しつつも防衛省は「日本の防衛能力の各種検討の実施」は常時行っていると発言した。
 F-35B運用が可能となればミッションの柔軟性と有効範囲が伸びる。聯合通信は韓国軍が「艦の戦略価値を最大化する」検討中との関係筋発言を引用した。いずも、独島はヘリコプターを14機、10機それぞれ運用する。
 F-35B搭載となれば両艦ともに内部外部で大改修が必要となり、飛行甲板にはF-35Bの垂直着艦時の排熱に耐える高熱対応改修が、また飛行甲板にもローリング離陸対応の形状変更が必要になろう。
 またF-35B用の弾薬類搭載のため強化弾薬庫を拡張し、航空燃料関連も拡大しヘリコプターより多い燃料消費量に対応する必要がある。
 ロイターはいずもにスキージャンプが追加されると見ているが、いずも級の全長は248メートル、独島は199メートルで両艦ともF-35Bのローリング離陸には十分な長さがあるのでスキージャンプは不要だ。
 日本、韓国ともにF-35Aを日本(42機)、韓国(40機)を発注している。
 日本が空母を保有すれば防衛姿勢が大きく変化し、論議を呼ぶ可能性がある。日本国憲法が「攻撃の可能性」のある装備取得を禁じていることを根拠に反対派があらわれそうだ。

だしコーリー・ウォーレスCorey Wallace(ベルリン自由大学東アジア研究大学院)は東アジアフォーラムで日本国憲法は特定の戦闘能力を明確に禁じていないと論じている。むしろ政府が「攻撃の可能性」を脅威の状況や国際関係にあわせて自衛隊全体の能力を解釈しているのであり、特定の能力を最初から攻撃的あるいは防御的と定義しているのではないと指摘している。■

B-52エンジン換装案がやっと始動する

Aerospace Daily & Defense Report

USAF Could Start Re-engining First Two B-52s By 2022


B-52エンジン換装をまず2機で2022年までに開始する

U.S. Air Force
Dec 21, 2017James Drew | Aerospace Daily & Defense Report

空軍によればボーイングB-52Hの1960年代製プラット&ホイットニーTF33-103エンジンは「2030年代まで維持できない」ため今後20年の運用を続けるにはエンジン換装が必須とし、試験用にまず二機が2022年度までに作業を受ける。
76機残る冷戦期の爆撃機には新型核長距離巡航スタンドオフ(LRSO)ミサイルの搭載が決まっている。
2050年代まで運航し次世代兵装、火器管制レーダーやその他電子装備に十分な電源を確保するため空軍はTF33エンジンと同寸ながら性能が高い民生エンジン8発に換装したいとする。
空軍が狙うのはTF33比で燃料消費が2割4割向上しながら十分な発電容量となる400から500kVAの確保だ。機体では電源系統の更新や完全デジタル式エンジン制御も必要だ。だが機体構造や機内搭載装備への影響は最小限に抑え離陸重量488千ポンドを維持したいとする。
エンジンメーカーや主要装備統合業者に詳細情報が2017年12月12日から13日の業界向けイベントで配布されている。
主要エンジンメーカーはすべて会合に参加し、GEエイビエーションプラット&ホイットニーロールスロイスサフランの他、ボーイングユナイテッドテクノロジーズのRohr、ノースロップ・グラマンL3テクノロジーズオメガエアD-Jエンジニアリングハネウェルスピリットエアロシステムズマギルエアクラフトパーツも出席していた。
当日のプレゼンテーションで政府側は「B-52には今後も長く活躍してもらい(2050年代以降も)たいがTF33では2030年以降はもたない」と説明。
配布文書では76機用と予備42基含めエンジン650基調達を検討するとある。当初は20基を調達しテスト用機材2機分とする。
機体や兵装の再認証手続きを回避するため空力特性変更は最小限とし機体の重心点も変更しない。
2018年度空軍予算に着手金が確保され、初期検討用に複数契約が交付される。その後主契約が一本に絞られエンジンの技術作業、生産、搭載に進む。
空軍が調達大日程を公開したのはこれが初めてで、エンジンメーカー、機体統合の最終決定は2020年と予想される。
まず2機から始め続いて実用型10機の換装を2026年度に着手し、残る64機の作業を2028年から2034年にかけ行う。実施になれば同機で最大規模の改修になる。
空軍はB-52G/Hエンジン改修を1971年から検討しており、TF33の8発を大型ターボファン4発に換装する検討から始めた。
以後9通り以上の検討がなされたが1990年代末から関心が高まり、国防総省は実行に移す気配を示さなかった。だがロシア、中国との競合の現実の前にLRSO巡航ミサイルの導入も決まり、空軍がやっと真剣になった。

最有力候補はロールロイスのBR725(推力16,000 lb.)、GEエイビエーションのCF34-10(18,000-lb.)。■

2017年12月26日火曜日

中国の大型水陸両用機AG600が初飛行に成功、今後の動向に注意

China's AG600 Amphibious Flying Boat Takes To The Skies On Its Maiden Flight 

中国のAG600水陸両用機が初飛行


It is the largest amphibious aircraft currently being produced and it's tailored to support China's extra-territorial claims.  

製造中の両用機では世界最大で中国の領土主張の一助となるよう設計されている

China's Homemade Amphibious Aircraft AG600 Makes Maiden Flight In ZhuhaiVCG—VCG VIA GETTY IMAGES
 BY TYLER ROGOWAY DECEMBER 24, 2017

国の野心的なAG600水陸両用機プロジェクトについては以前もお知らせしているが昨日同機が初飛行に成功したので改めてお伝えする。
ほぼ737並みの機体は珠海空港(広東州)から離陸した。初飛行には派手さがないが中国メディア、ソーシャルメディアが取り上げている。
ロイターは同機を新華社が「海洋島しょ環礁の守り神」と表現していると伝えた。その表現は事実とそんなに離れているわけではない。AG600は他機がまねできない機能を実現し中国本土から遠く離れた島しょ部の領有権主張を支える手段となる。特に南シナ海で構築された人工島の支援に投入されるはずだ。
VCG/VCG VIA GETTY IMAGES
The AG600's aircrew deplanes after a successful first flight.
2016年7月にWar Zoneは以下お伝えしていた。
「中国による公式説明では同機は消火任務・救難任務に投入するとあるが同時に広範囲な海洋哨戒飛行を南シナ海で行うだろう。
中国の巨大「沿岸警備」艦と同様にAG600は漁船やエネルギー採掘船の捕捉、監視、追尾に使うのではないか。権益がぶつかる海域で他国の動向も監視するはずだ。
AG600で中国は南シナ海各地の人工島とくに滑走路がない地点へのアクセスが手に入る。ハブアンドスポーク方式でフィアリークロス礁にできた滑走路からAG600は人員、燃料、その他補給品を別の島に送る。長距離飛行能力で本土にも飛び、輸送能力が強まる。人工島の戦略的価値や有用性が高まる。
AG600は新型両用機として多様な任務に投入され遠からぬ将来に同機を原型に別の機体が登場するだろう。
AG600の武装化も容易にできるはずだ。レドームに戦闘機並みの小型レーダーを搭載すればリアルタイムで敵艦船の位置を味方ミサイル部隊に伝えることができる。主翼下にハードポイントが将来追加されるかが注目される。その場合、AG600は強力な制海用両用機材や対潜機に変わる
VCG/VCG VIA GETTY IMAGES
AG600は最大の水陸両用機で中国政府は17機を発注中で、今後この原型から専用型が登場すれば生産数は大はばに増えるだろう。
新型機をゼロから開発するのは大変な作業だ。中国もこれを意識してAG600輸出の可能性を模索している。350mphで飛行時間12時間との性能が本当なら有益な機体に見る国も出よう。AG600が消火機になる、あるいは乗客50名と貨物を遠隔地に運ぶのであれば需要は少ないが訴求力を感じる顧客があるはずだ。
まもなくフライトテストを開始する同機には今後も注視する必要があるが、中国が航空宇宙産業を世界規模にで成長させようとする中で同機は機微性の高い軍用装備を搭載していないため中国報道機関が同機の将来の活躍をあれこれ書き連ねるのは確実だろう。■

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★プーチン機のシリア訪問にはSu-30が身を挺して護衛していた

技術の遅れは体力と気力で乗り切るロシア式のアプローチに感服です。中国とロシアは偏った技術体系になっているのでしょうか。しかし下のツイッター投稿にあるようにいろんなことに詳しい向きがあちこちにいるもんですね。

Su-30s Acted As Infrared "Heat Traps" For Putin's Arrival In

Syria Aboard A Tu-214PU

プーチン乗機のTu-214PUがシリア到着した際にSu-30編隊が赤外線の「ヒートトラップ」として飛んでいた

The Russian Air Force got creative with its shoulder-fired surface-to-air missile countermeasures for Putin's visit to Syria.

ロシア空軍が独創的な対応で携帯型地対空ミサイルへの対抗策をプーチンのシリア訪問時に見せた

YOUTUBE SCREENCAP
BY TYLER ROGOWAYDECEMBER 20, 2017


シア大統領ウラジミール・プーチンが今月初めに中東を訪問したが危険な事態は生まれなかった。シリア反乱勢力からすればシリア独裁者バシャ・アル・アサドの最大の支援者として政権存続を図る同大統領は大きな獲物である。これを意識してロシア軍は異例なほどの注意を払いシリア沿海部ラタキア基地への離着陸時に大統領乗機を護衛した。ラタキアはロシアの恒久基地となっており、クレムリンはフメイミム航空基地と称している。
大統領が同基地を訪問した2017年12月11日、ロシアはプーチンが豪華なTu-214PU機内からSu-30SM編隊が機外を随行するのを見る映像を公開した。戦闘機は大統領機に接近したまま降下している。これは力の示威でも軍隊式歓迎儀式でもなくシリア領空内で警護体制を強化したのでもなく、「ヒートトラップ」としてTu-214PUの発する熱特徴を隠し、携帯型防空装備(MANPADS)として知られる熱追尾対空ミサイルから大統領機を守った。
準国営通信機関RTがSu-30パイロットのひとり「ユーリ」がこのミッションを以下述べているのを伝えている。
「今回の任務は大統領乗機に合流し着陸まで護衛することだった... こちらの機体で隠すことがあり...Su-30SMの排気ガス温度の方がはるかに高いので...飛行速度が違うためこちらは性能を目いっぱい使い、大統領機を両側から守ったまま飛行した」
プーチンも賛辞を送っている。
「パイロットたちを見ていた。着陸までぴったりと寄せて飛行しただけでなく、こちらの下に入っていた。...感謝したいので伝えてほしい」
Tu-214PUには赤外線妨害装置がなく、今回の措置ははじめてではない。同機は約18千フィートまで降下しMANPADの有効範囲に入っていた。シリア領土上空で機体を曝すことが最小になる経路を飛び、ソチからトルコ、東地中海上空を飛んでから空軍基地の南方で方向を変えて最終アプローチをとった。
Tu-214PUは空中指揮所でありVVIP輸送機としてクレムリンが使う。機体は米軍ではエアフォースツーとして副大統領が搭乗することがあるE-6BTACAMOやC-32Aに近い存在で大きさは757とほぼ同じでロシア大統領が通常使用する大型四発のIL-96-300PUと異なる。
ANNA ZVEREVA/WIKICOMMONS
Tu-214PU


Su-30SMにミサイル接近警報装置はないが乗員二名が煙を出す軌跡の有無に目を光らせ、必要なら一瞬でフレアを大量放出できるので貧者の対抗装備となる。またTu-214PUの赤外線特徴をSu-30が自機のAL-31FLエンジンの高温排気で隠すのは十分可能だ。ただ低高度ではミサイル攻撃に手動対応する時間余裕はほとんどない。
大型機をMANPADから守る赤外線対抗装置でロシアは米国から15年近く遅れている。米機材ではC-32、VC-25A、C-17、 C-5、C-130、CV-22、CH-53他で高性能かつ小型の指向性赤外線対抗装置(DIRCM)が搭載されており、フレアやBOL-IR対抗措置でも自機を守る。DIRCMは低出力レーザービームを飛来ミサイルの赤外線シーカーに照射し標的を喪失させる。この装置は機体から放出するおとりと合わせて自動制御で照準をあわせ監視センサーがミサイル接近の警報を出す。
ロシアは技術ギャップを埋めようと懸命に努力しておりプレジデント-Sと呼ぶDIRCM装備の配備を戦闘ヘリコプターに2016年からシリアではじめたようだ。ロシア製ヘリコプターの海外運用者も同装置を受領している。技術が小型化されており、ロシア製回転翼機への搭載が可能となった。さらにロシアは同様の技術で爆撃機に搭載しミサイル攻撃から防御しようとしている。
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スホイのSu-57戦闘機には砲塔式のDIRCMがつき、101KS-Oと呼ばれ、西側メーカーの製品とそん色ない。小型ガラスドーム内にレーザー銃座が入りコックピット後方と下方につく。ミサイル接近警報装置で作動する。だが101KS-Oの性能やいつ完全稼働するか不明だ。
同様のDIRCM機能は現在稼働中の西側戦闘機には搭載されていないが、高出力レーザーはミサイルすべてに対応可能と見られ、ペンタゴンが実用化を急いでいる。
Canopy inlets that were initially 6(3 each side) became 2
around Mar'15,then went back to streamlined 6 in late'15.
Note Atoll EOCM' 101KS-O pic.twitter.com/s4jziSQdj0

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Su-57には地味ですが101KS-Oってのがついてます
101KS-Oは先進的なレーザーベースのカウンターメジャ
ーシステムとなっていてミサイルの誘導システムを混乱
が可能。ヘリなどでは搭載が進んでいるけど戦闘機では
初めて。
今回のSu-30編隊を使った事例映像でなぜこの種の装置がでてこないかがこれでわかる。一方で基地にはその他戦術機がいたはずだが見当たらない。おそらく各機は空中で基地周辺を警戒飛行していたのだろう。
その他にも今回のような独創的な戦術運用からロシア空軍部隊が必要に応じ実に有効な結果を生んでいることがわかる。■


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2017年12月25日月曜日

★★ドイツ海軍:今度は最新鋭フリゲート艦を建造元へ返却

The German Navy Decided To Return Their Bloated New Frigate To The Ship Store This Christmas

ドイツ海軍が新型フリゲートをクリスマス前に造船所へ返却する
ARGE F125/LERSSEN-DEFENCE
 BY TYLER ROGOWAYDECEMBER 23, 2017



ドイツのバーデン=ヴュルテンベルク級125型(F125)フリゲートについては先にお伝えしている。同艦の奇妙な任務想定と設計上の特徴以外に、引き渡し後にも面倒な問題が発生している。右舷へ傾く傾向や重量過重のため性能が出せず、運航経費が上がり、さらに深刻なのは兵装をわずかしか搭載していない同艦で将来の改修をドイツ海軍が行えないことだ。
そこでドイツ海軍は同艦の編入を断念し建造元ブローム+フォス(ハンブルグ)へ返品することとした。この決定の背景には「ソフトウェア、ハードウェア上の瑕疵」があるとドイツ報道は伝えている。特にソフトウェア問題は深刻で艦体の大きさは駆逐艦並みの同艦はわずか120名程度とブレーメン級フリゲートの半分で運行する前提のため、同級4隻では信頼性が最重要な要素で、ドイツをいったん出港後最大2年間もそのまま運用する構想のためだ。
Navaltoday.com によればドイツ海軍が引き渡し後の艦艇を建造元に返却するのはこれが初めてだという。バーデン=ヴュルテンベルクでは試運転でも工期を遅れた実績がある。
問題を複雑にしているのが最終四番艦のラインラント=プファルツの命名式が終わっていることだ。建造、試験調達を並行して進める方式としたため各艦が同じ欠陥を有していることになる。
この問題とは別にドイツ海軍には作戦運用可能な潜水艦が一隻もないなど困った状況があり苦難の連続である。
F125フリゲートでは事態が展開の都度お知らせすることとする。

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★ロッキードが開発するグレイウルフ巡航ミサイルはどこが違うのか

Aerospace Daily & Defense Report

Lockheed To Develop ‘Gray Wolf’ Cruise Missile

ロッキードが開発する「グレイウルフ」巡航ミサイルとは
ロッキード・マーティンのミサイル火器管制部が競合6社を破りAFRLの「グレイウルフ」巡航ミサイル開発実証契約を獲得した。
Dec 20, 2017James Drew | Aerospace Daily & Defense Report

空軍研究事件部門(AFRL)がロッキード・マーティンに開発させる巡航ミサイルは多数一斉発射し高度防空網を突破できる自律運用を目指す。
同社のミサイル火器管制部門(在ダラス)が競合6社を破り、5か年で納期数量未定の契約を110百万ドルで勝ち取り、AFRLが目指すグレイウルフGray Wolf巡航ミサイル実験に取り組む。
契約ではAFRLが2017年3月発表の仕様書の低コスト遷音速巡航ミサイル試作型の「設計、開発、製造、試験」を実施し、ネットワーク技術の応用で高度の航法性能と残存性を発揮しながら特定目標の攻撃を行う想定だ。
AFRLは110百万ドルを二社に執行させるつもりだったがロッキードが全額契約を勝ち取ったようだ。
国防総省の12月18日発表では前渡金2.8百万ドルを提供し発注時期は2022年まで延長可能としている。上記の仕様書は5月に改訂されグレイウルフ契約は二年延長可で2024年までとしている。
国防産業界はグレイウルフについてコメントを積極的に出していないが、米空軍文書から情報の一部が判明している。
AFRL仕様書ではスパイラル状に変化する開発形態を想定しており、目標は低コスト生産工程を駆使した生産方式と個体間で協同作動した形の攻撃をともに実証するものとある。
AFRLは産業界が消耗品扱いの巡航ミサイルを小規模納入かつ期限超過でも低価格にできるか見たいとし、現在の単価数百万ドルと比較する。また新方式の運用、戦術、技法、手順、規制方針が自律能力の付与兵器グレイウルフに適用できるか確認したいとしている。
ロッキードの巡航ミサイルにはペイロード多数が搭載され、運動性エネルギー攻撃、電子攻撃や情報収集監視偵察機能も試されるはずだ。
攻撃効果の実現にはネットワーク化したミサイルが統合防空体制の各種手段を使用不能にしながら突入する必要があり、敵の地対空ミサイル、レーダー、通信機能への対抗を想定している。
「低単価で調達しやすいミサイルは損耗を前提で敵には高コスト対応をさせる」とAFRLのプレゼンテーションで説明していた。「スパイラル状に本体を進展させれば迅速技術試作に繋がり一層多くの発展性が実現する」
これと似た方法をAFRLが以前実施している。低コスト損耗可能攻撃用無人航空機実証事業 Low-Cost Attritable Strike Unmanned Aerial System Demonstration がそれで2016年にクラトスディフェンス&セキュリティソリューションズKratos Defense & Security Solutions がXQ-58Aヴァルキリーで契約交付を受けている。DARPAにはグレムリン事業がありダイネティクスDyneticsジェネラルアトミックス両社が契約を獲得し、無人航空機をロッキードC-130ハーキュリーズでの発進回収する予定だ。

グレイウルフは空軍にとって使い勝手の良い兵装になる見込みで爆撃機や輸送機以外に戦略能力室提案の「兵器庫(重武装)」機からも発射することになるかもしれない。■