2018年1月1日月曜日

イラン国内の反政府デモが止まらない。米国がデモ参加者に共感を示す

2018年の展望---日本では中東や西アジアへ関心が低いのですが、実はイランの方が北朝鮮より脅威と認識されています。とくにイスラム世界の混乱を裏で操るのがイランと言う見方があり、イランの動向に注意を向けている国は多いです。そのおひざ元で反対勢力が動き始めたのはイラン体制にひびが入る一歩となるでしょう。デモは制圧されるでしょうが、いったん広がった火はくすぶりつづけるでしょう。イランが世俗国家に復帰すればホメイニ革命以後の40年近くを克服することになりますが、米国も声明以上の支援は出せず(反米プロパガンダに手は貸せない)しばらくは様子見でしょうか。しかし、事態は予想外に向かう可能性もあり、目が離せませんね。


U.S. Sides With Anti-Iranian Regime Protesters Amid Crackdown

イラン反政府デモに米国が共感を示すが弾圧が強まる

Protests stretch into fourth day across Iran

イラン全土でデモは4日目に突入

Iranian students protest at the University of Tehran during a demonstration driven by anger over economic problems
イラン学生がテヘラン大で経済問題への怒りを表明I / Getty Images

December 31, 2017 11:55 am


ランプ政権と米議会がイランの反政府デモ参加者に連帯感を表明した。デモ活動は4日間連続でイラン各地で広がっている。
イラン市民は生活費必需品の物価急騰に忍耐力の限界を感じテヘランはじめ主要都市でデモを始めた。核合意の結果巨額の収入を受けながら国内の経済悪化にほとんど手を打っていない政府への抗議の意味もある。
イラン政府は軍備増強に大々的な資金投入をしながら、経済再建に失敗している。
デモ参加者が全国規模になっているのはソーシャルメディアでわかり、「改革者」と呼ばれるハッサン・ロウハニ大統領と政権要職に抗議が向けられている。
経済不振に我慢できなくなったデモ参加者は最高指導者アリ・ハメネイ率いる聖職者上位体制へも標的を合わせ、強硬派イスラム政権支持者からの反発を招いている。
「国民は乞食同然の生活を強いられている。最高指導者は神のようにふるまっている」とデモ参加者がファルシ語で述べるのがツイッターで確認できた。
その他の映像でもイラン軍がデモ隊に催涙弾を無差別に発射する光景が確認できる。イラン革命防衛隊と連携する志願兵バシジ部隊がデモ参加者を投打しているとの報道がある。
「ハメネイに死を」との掛け声も聞こえ、2009年に当時のオバマ政権がデモ支援表明を拒みデモ隊が制圧されたのが思い起こさせられる。
トランプ政権は全く違う反応を示しており、声明文で「世界が注視している」とイラン市民とイラン政府のデモ対応に言及している。
「イラン市民が政権腐敗と海外テロ活動支援への国富投入に嫌気がさし平和的に抗議しているとの報道が多く入っている」とホワイトハウスは述べ、「イラン政府は自国民の権利を尊重すべきで、表現の自由もその一部だ。世界は注視している」。
米議会内部にデモ隊への支援を早々と表明する動きがあり反政府勢力へ理解を示している。
「イラン国民が不正で好戦的なイスラム暴政に反抗する人々を米国は評価すべきだ」とロン・デサンティス下院議員Rep. Ron DeSantis(共、フロリダ)は外交委員会所属でワシントン・フリービーコンに語っている。「1979年以来、イラン国民はホメイニ主義の人質となり同国の経済文化面での進展は阻害されたままだ」「トランプ大統領には専制主義へ戦う人々への支援を表明してもらいたい」
デヴィン・ヌネス下院議員 Rep. Devin Nunes(共、カリフォーニア)は有力な下院情報常設委員会の委員長でイランの反対勢力を弾圧し改革勢力を封じる専制的な政権に堂々と意見を表明するデモ参加者の勇気をほめたたえた。

「イラン国民が強圧的な政府に対し神から与えられた自由に生活を送る権利を再び要求している。自らの危険を顧みない男女は世界に対して聖職者の国でも政権が正しくないことを示している」「勇気あふれるその態度に米国は万全の支援を与え、イランが自由の国になる動きを助けるべきだ」■

USSワスプが佐世保へ回航中、F-35B運用能力が注目される

ワスプは排水量41千トンといずもより大型艦ですが、全長はそんなにかわらないのですね。佐世保に来ればいずもの改装前に大いに参考になる点をつぶさに見られるのでしょうか。先代のワスプ級空母には日本は散々な目にあいましたが今度は一緒に抑止効果を狙うことになるとは歴史の皮肉というやつでしょうか。ボンノムリチャードはフランス人の名前なのでリシャ―ルと無理な表記をしていることが多いのですが、米人はリチャードと呼ぶはずですのでこう表記しました。

 

USS Wasp with stealthy F-35B makes stopover on way to Japan 

F-35運用可能なUSSワスプが日本へ回航中


US Navy 071004-N-1189B-012 U.S. Marine Corps MV-22 Ospreys, assigned to Marine Medium Tiltrotor Squadron (VMM) 263, Marine Aircraft Group 29, prepare for flight on the deck of the multipurpose amphibious assault ship USS Wasp (
By U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Zachary L. Borden [Public domain], via Wikimedia Commons
December 28, 2017
Updated December 28, 2017 2:03pm

襲揚陸艦USSワスプ(LHD-1)がパールハーバーに本日到着した。同艦は日本への回航の途中でF-35B艦載能力を有し、北朝鮮や中国が控える緊張の高い地区に配属される。
全長843フィート(257メートル)の同艦はUSSボンノムリチャードと交替し前方配備揚陸部隊旗艦として佐世保を母港とし西太平洋の守りにつく。
ステルスF-35Bは海兵隊仕様の共用打撃戦闘機で短距離発艦垂直着艦が可能だ。
「最先端の航空戦力が前方配備される意義は大きい」とワスプ艦長アンドリュー・スミス大佐がノーフォーク(ヴァージニア州)で昨年述べていた。「F-35Bと組み合わせ第七艦隊の精密打撃能力が増強される。ワスプはインドアジア太平洋地区の海上安全保障と安定に責任を果たす米国の努力の一助となる」
海軍によればワスプは「戦力増強した遠征打撃群」の中心となり、三隻で構成する揚陸即応部隊の戦力が増強されるという。
打撃群には揚陸輸送ドック型艦USSグリーンベイもあり、第31海兵遠征部隊の2,200名強が展開できる。
打撃群と海兵遠征部隊の組み合わせは「危機対応で最高の部隊となり西太平洋で対応できる。プレゼンスと抑止効果による安全の確保に加えてワスプESGはあらゆる種類の緊急事態に直ちに対応可能で人命救難災害援助活動もここに含む」と海軍は述べる。
今年1月に海兵隊第121戦闘攻撃飛行隊がF-35B飛行隊としてアリゾナ州ユマの海兵隊航空基地から岩国海兵隊航空基地へ移動していた。
F-35BライトニングIIはF/A-18ホーネット、AV-8Bハリヤー、EA-6Bプラウラーの後継機種として開発されている。海兵隊はF-35Bを「戦力増強手段」と見る。

「この機種にしかないステルス、先端レーダー・センサー技術、電子戦装備を搭載した最新鋭戦闘機であり、爆撃機であり全天候運用可能な支援機材のいずれにもなる」と言うのが海兵隊の見解だ。■

2018年の世界 危険な場所はここだ

新年といってうかれているわけにはいきません。現実世界は待ってくれないのです。視野を広げましょう。北朝鮮だけが危険なのではありません。われわれは相互依存の世界に生きていますので遠い地点での危機もわれわれの危機につながりかねません。国境線だけでは安全は守れないのです


5 Places World War III Could Start in 2018

2018年第三次世界大戦がはじまりそうな場所

December 15, 2017


2017年の世界は大国間の衝突なく対処できた。シリアなど一部で緊張が大きく下がったが、状況が悪化した地方もある。以下2018年に大国間の武力衝突の発生可能性がある場所を見てみよう。

北朝鮮
朝鮮が最も深刻な外交危機なのは疑いない。弾道ミサイル開発に成功し、トランプ政権が外交に不慣れなことが重なり非常に危険な状況が生まれている。ミサイルと核の実験を繰り返す北朝鮮は米圧力で自ら滅びるつもりはないと表明している。米外交が首尾一貫しないのは政府高官間で矛盾する発言が出ているのも原因だ。
 問題を複雑にしているのは北朝鮮と米国ともにいつ先制攻撃してもおかしくない理由があることだ。米国は北朝鮮の通信施設を地上攻撃に先立ち破壊し、北朝鮮は攻撃を受ける前に先に手を出してもおかしくない。このままだと双方が誤った判断をして開戦になってもおかしくなく、日本、中国も巻き込まれる可能性がある。
 ここにきて中国の軍部、外交部からそれぞれ乱暴な発言が出ているのはPRC内部で軍事バランスが中国に有利と判断する考えがあるためだろう。この認識は時期尚早であり、中国指導部がすべて同じ見方をしているわけではない。中国は北朝鮮付近での軍事活動を強化しており、同国のその他国境地帯でも同じ傾向がみられる。
 米国はこれに対して冷静に対応しており、中国の動きは非難し台湾向け大規模武器販売を発表している。ただしトランプ政権は北朝鮮に対するスタンスで混乱を示し外交上は苦境にあり、中国へ一層の制裁実施を頼む立場だ。予測可能かつ慎重な外交を前提とするべき中で米中両国はむしろ不確実性を受け止める姿勢を示しており、破滅的な衝突が発生しかねない。

ウクライナ
ウクライナ情勢は相変わらず厳しい。東部での停戦はウクライナ政府とロシアが支援する現地武装勢力間の衝突で中断している。首都キエフでもデモや抗議活動から政府の安定度に疑問が生まれている。
 紛争は多様な形で生まれそうだ。ウクライナ政府の崩壊はモスクワには有利に働くはずだが一層の混乱と暴力を生むだけかもしれない。ロシアの代理勢力は勇気づけられ、プーチンは領土を獲得するチャンスと見るかもしれない。逆にキエフ政府崩壊で右翼強硬派が権力を握り火にガソリンを注ぐように東部の状況が悪化するかもしれない。
 オバマ政権がキエフ支援に動いたのにトランプ政権は継承せず、ロシアがウクライナを軍事侵攻すればヨーロッパや米国もロシアと衝突する事態が生まれかねない。

NATO南部
米国とトルコの関係は昨年崩壊したといってよい。トルコは2015年発生した軍事小競り合いで悪化したロシアとの関係を修復した。トルコがEUや米国から離れる傾向を示しているのはロシア製軍事装備の取得が象徴的で地域内の力のバランスに大変化が生まれるかもしれない。
 関係国のトルコ、ロシア、米国はいずれも戦争は解決策にならないと分かっているが、トルコは極めて重要な国で同国が離脱すればシリアイラク、イラン、さらにバルカン諸国やコーカサスの行方にも影響がでる。トルコ外交の方向が変われば予期しがたい波及効果が近隣に現れそうで、とくにクルドの建国志向が試される。また南部ヨーロッパでNATOへの関与を再検討する動きにもなりかねない。この予測不可能な状況でモスクワあるいはワシントンが自らの力のレベルを読み間違える危険も生まれよう。

ペルシア湾岸
中東での武力衝突は大国間の衝突につながる危険性を内包しているが実際に発展することはまれだ。シリア内戦が終了に向かう中で、関心はイランとサウジアラビアの対立に移りつつある。サウジアラビアはいつでも引き金を引きそうで、イランが毎回の事件の背後にあることを突き止めようとしている。イランはイラク、シリア他に自らの影響力を増やそうとしている。
 トランプ政権はシリアのアサド政権の勝利をほぼ受け入れており、努力の方向をイランへの対抗に切り替えている。このためサウジアラビアが展開するイエメン他の作戦には白紙小切手を切っており、これがリヤドの自信過剰につながっているといえよう。
 リヤド、テヘランが開戦を踏みとどまれるか。湾岸地方の戦乱で世界へ影響が全くない事例は発生していない。だがリヤドは外交軍事同盟でイランに対抗しようと明確に動いており、イスラエルを巻き込むことになりそうだ。ロシアがこの地域で自国の立場を再び主張しはじめており、超大国間の衝突につながる事態は容易に想像できるのが憂鬱だ。

結論 
世界は危険な場所だ。トランプ政権の揺れる外交でさらに危険が増え、各地で予測が立てにくくなれば米国にとっても政策意図と能力の展開が困難になる。不確実性から恩恵を受ける国が必ずしも現れるわけではないが、危機状況でも危機でない状況でさえ誤算の可能性は増える。トランプ政権の外交チームには成長と成熟してもらい、外交面で一貫した方向性を示し各種危機状況の緩和を期待したい。■

Robert Farley, a frequent contributor to TNI, is author of The Battleship Book. He serves as a Senior Lecturer at the Patterson School of Diplomacy and International Commerce at the University of Kentucky. His work includes military doctrine, national security, and maritime affairs. He blogs at Lawyers, Guns and Money and Information Dissemination and The Diplomat.

Image: M1A1 Abrams Main Battle Tank during training. Flickr/U.S. Marine Corps/Public domai

2017年12月31日日曜日

★米空軍プレデター用途廃止へ 

New in 2018: Air Force will officially retire MQ-1 Predator drone

2018年の動向:空軍がMQ-1プレデター無人機を用途廃止する

(Tech. Sgt. Sabrina Johnson/Air Force)

By: Charlsy Panzino
空軍が21年間飛ばしてきたMQ-1プレデター遠隔操縦機(RPAs)のMQ-9リーパーへの機種転換を開始し、プレデターは2018年夏までに用途廃止される。


これまでのRPAはもっぱら情報収集偵察任務に投入されてきたが現在の脅威対象はより正確な近接航空支援を必要としている。プレデターはもともと武装搭載を想定していなかたったが200ポンドのペイロード運用がその後始まった。リーパーは4,000ポンド近い搭載量がある。
リーパーは共用直接攻撃弾からヘルファイヤミサイルまで運用できる。
リーパー最新型ブロック5は2017年6月に戦闘任務に投入されている。16時間硫黄も飛行し不朽の決意作戦を支援したと空軍が発表している。
MQ-9リーパーも供用開始から10年以上になるが最新型では電気系統と通信機能が向上している。

プレデター引退で空軍は訓練、保守管理費用を節減できる。リーパーは専用のシステムになっているためだ。■

UFO目撃証言の多くは軍の極秘試作機だった(と片付けたい勢力がある)

これはどうなのでしょうか。地球の大気圏内に人類とは別の何かが航空機(?)を運航しているのではないでしょうか。UFOが宇宙から来たとは限りません。中世の住民が今日の高性能航空機を見たらやはり理解不能となるのでは。また、ロシアや中国での目撃例がすべて試作機とは思えませんし、日本でも次第に目撃例が増えてきているのはなぜでしょう。2018年に急展開があるとは思えませんが、ペンタゴンから年末にこのニュースが出てきてやや違和感があるのも事実です。皆さんはどう思いますか。

Sorry, Believers — Many UFOs Are Just Military Aircraft

UFO信者に申し訳ないが目撃事例の多くは軍用機だ
Sorry, Believers — Many UFOs Are Just Military Aircraft
 FEATUREDWIB AIR December 27, 2017 David Axe


2007年から2012年にかけペンタゴンが未確認飛行物体、そうUFOである、の目撃情報を精査していた。高度航空宇宙脅威識別事業Advanced Aerospace Threat Identification Programと銘打たれ外部委託で軍パイロットと謎の飛行物体の接近遭遇事例を分析した。
一部は軍パイロットも知らない極秘軍用試作機であった可能性が高い。そのほかは説明がつかず、人類文明に革命的変化をもたらす可能性がある。
「説明がつかないから即地球外の存在にはつながりませんが、可能性が皆無とも言えません」と語るニック・ポープ Nick Popeは英国防省でUFO調査を1990年代初頭に行っていた。「地球外からの訪問はあり得ないと言っても一件でも真実だと分かれば全体が一変します」
2004年の出来事が懐疑派を困惑させる。米海軍の戦闘機二機編隊がカリフォーニア南部沿岸を飛行中に旅客機大の葉巻型物体を追跡し、空中停止など通常の航空技術では不可能な操縦を目撃した。パイロットの一人は「正体はまったくわからない」とニューヨークタイムズに語っている。
高度航空宇宙脅威識別事業を率いたルイス・エリゾンド Luis Elizondoは「説明がつかない目撃例が残っており、戦闘機パイロットや民間乗務員のように高度に訓練された人でも識別できず奇妙な飛行は説明がつかない」と電子メールで伝えてきた。
「情報部門の人たちにはUFO目撃事例を極秘試作機や無人機で別の国が開発したり政府の別機関が開発したものと信じさせようとする傾向があるが、情報が区分けされており普通の人が近寄れません」(ポープ)
「目撃事例の一部は大気圏内の放電で科学も未解明の現象と説明がつく」ともポープが大気の帯電現象を使って述べている。
「米国南西部での1980年代のUFO目撃事例の多くは極秘高性能軍用機のロッキードF-117やノースロップ・グラマンのB-2のような機体だった」(エリゾンド)
UFOと間違われるような高性能軍用試作機の噂や目撃事例は数多い。米空軍はRQ-170ステルス・スパイ無人機を2000年初頭に秘密裡に開発し、2007年にアフガニスタンで実機が目撃されるとあわてて存在を認めた例もある。ただRQ-170で最近のUFO報告が説明できるか不明だ。
空軍は大型かつ高ステルス性のスパイ無人機RQ-180を新型B-21爆撃機と並行開発している。くさび状の謎の機体がカンザス州上空を飛行する様子が2014年に撮影されたが(上写真)、おそらくB-21の初期型技術実証機だったのだろう。
軍と国防産業は「極超音速」の機体と宇宙機の開発に取り組んでおり、マッハ5を超えた飛行が狙いだ。その一部は公表されている。その他にロッキード・マーティンが自社開発したSR-72極超音速スパイ機があるが完全に秘密のベールに隠されている。
アメリカの空を秘密試作機が多数飛ぶことから政府機関や外部調査が宇宙生命体の証拠と言い始めないようにカバーストーリーが必要で「このため政府部内ではAATIPに関係するものも含め考えられないことも考えるように常日頃から準備しており、どう見ても一部は地球外の産物だと言っている」(ポープ)

2004年の映像記録はまだ説明がつかない。だが覚えておいてほしいのは謎に満ちたUFO目撃が実は軍用試作機だった例が多いことだ。まごつくパイロットの目の前に現れたのはペンタゴンの秘密試作機である可能性の方が高い。■

米国の北朝鮮戦略は見直しが必要だ

この主張のとおりなら悪の存在と共存しなければならないのでしょうか。北朝鮮に核兵力維持を認めることが耐えられないというメンタリティでは生きていけなくなります。幸いトランプには米外交政策の特徴の宣教師的な価値観の一環性がないので状況に応じうまく対応していくかもしれません。ただし北朝鮮核兵器の流出は困るので同国は実質上封じ込められたままになると思いますが、いつ我慢できずに暴れだすかもしれません。その場合、都度攻撃を受けるのであれば、準戦争状態が長く続くことになりますね。国連による飛行禁止区域措置や海上通行禁止措置も可能でしょうが、必ず抜け道を見つけるでしょう。日本としては鬱陶しい状況ではありますが、ソ連の核兵器脅威を受け止めざるを得なかった米国の60年代のように冷戦のメンタリティが必要となりそうですね。


Explained: Why America’s North Korea Strategy Is Failing

米国の対北朝鮮戦略が失速している理由
December 26, 2017

国の北朝鮮戦略は失速しかけている。
トランプ政権のいう「最大限の圧力」となる強硬な経済措置と軍事姿勢をもってしても北朝鮮のミサイル、核戦力整備に減速の兆しがない。トランプが大統領就任した2017年1月以降に平壌はICBM二種類、中距離弾道ミサイルでは一種類、固体燃料式の潜水艦搭載用ミサイル一種類の発射テストに成功したのに加え最大規模の核装置の爆発にも成功した。トランプ政権は一貫して北朝鮮には圧力で対抗するとしながら圧力の結果で北の行動に変化があるかは検証していない。
米国の対北朝鮮戦略での問題点は非現実的な目的が設定されていることだ。ワシントンが求めるのは完全かつ実証可能で不可逆的な核戦力解体であり、平壌がその目的に近づいて初めて交渉に応じるとする。
現時点の米戦略では非現実的目標を追い求めつつ攻撃姿勢を隠さないことを政策の前提にしているのでワシントンは金正恩を屈服させ核保有がとてつもなく高負担で割が合わなくさセル必要がある。ただし金正恩が核兵器を自らの権力基盤存続に必要ととらえているため、核兵器保有コストがいかに高くても甘受するつもりなのは明白だ。戦争一歩手前のまま、北朝鮮にこれ以上の負担をさせ金正恩に核放棄を迫るのは実質的に不可能になっている。核兵器保有は金正恩の頭の中では生死がかかった問題になっているからだ。
トランプ政権の新制裁措置で新兵器開発は減速をせまられるし、現行兵器の製造も同様に減速するが、この方向性では非核化目標に近づかない。圧力を増やすことは金正恩に核放棄を求めるためだが逆に核兵器への執着を強める結果になる。さらに北朝鮮の核兵力はまだ小規模で早期警戒体制や指揮命令系統が貧弱なため、金正恩は武力衝突の初期段階で核兵器投入をためらわず攻撃的な姿勢を示しそうだ。第二次攻撃能力がない北朝鮮にとって米攻撃を食い止める最善策は核兵器投入をちらつかせることで米国による政権崩壊が現実にならないようにすることである。
ワシントンは非核化という達成不可能な目標は脇に置いて、かわりに北朝鮮を核先制攻撃に踏み込ませない抑止を中心とすべきだ。こちらの目標の方が実施上は容易だが戦略上はいくつかの理由で賢明だ。
まず、無理強いと違い、抑止効果の方は防衛的性格が強く現状体制の維持に中心をおくため無理やり変化を求めるより実施は楽だ。
二番目に、米国の大目的が北朝鮮の核兵器投入を食い止めることなら、米国は北朝鮮核戦力への予防的軍事行動を強調すべきではない。北朝鮮を無理やり武装解体させるとの脅しは危機の不安定度を助長しかねず、金正恩に「今使わなければ敗ける」と思わせる状況が生まれるため抑止効果で非生産的でとなる。
三番目に非核化目標を放棄すれば米国に柔軟に北朝鮮へ対応できる可能性が特に外交面で生まれる。つまるところ、米国に非核化しか受け入れられないなら平壌にはワシントンとの交渉ができない。

「最大限の圧力」で北朝鮮を非核化するねらいは成功しない。かわりに米国は北朝鮮に核兵器を使わせないことに注力すべきだ。制裁と軍事力は抑止効果をねらう戦略でも有効だが、平壌に非核化を無理強いする政策から離れたほうが賢明な選択だ。■

2017年12月30日土曜日

ロシアも北朝鮮へ石油密輸していた:抜け道をどう埋めて制裁措置の効果を実現できるか


これだけ抜け道があることがわかると国連制裁の実効性確保には海上臨検を行うしかないですね。また衛星画像で悪いことをしてもバレルことが世界に示され中国、ロシアはバツが悪いでしょうね。中国の言い分は香港船籍だからということでしょうか。都合の良い一国二制度ですね。





Russian tankers are reportedly smuggling fuel to North Korea with ship-to-ship transfers
ロシアのタンカーが北朝鮮に公海上で船舶間移送で石油製品を密輸していた


  • ロシアのタンカーが北朝鮮に少なくとも三回にわたり燃料を供給した
  • 北朝鮮への密輸が海上での荷物受け渡しになったのは北朝鮮船舶がロシア港へ直行し貨物を運ぶ形からの変化だ
  • ロシア外務省、ロシア税関当局はコメントを拒否




North Korea

米財務省発表の画像で船舶間の移送がわかる。US Treasury



  • Guy Faulconbridge, Jonathan Saul, Polina Nikolskaya, Reuters



LONDON/MOSCOW - ロシア船籍のタンカーが北朝鮮へ数か月で少なくとも三回にわたり海上で原油を供給したと西欧安全保障筋が明らかにした。
原油あるいは石油製品をロシアが販売するのは国連制裁措置の違反と同筋は指摘。ロシアは世界第二位の石油輸出国と同時に安全保障理事会の常任理事国である。
10月、11月に発生した海上移送はロシアから北朝鮮への密輸が海上での受け渡しに変化していることを示している。ロイターは9月に北朝鮮船舶がロシアに直行していると伝えていた。
別の取材源はロシアと北朝鮮の海上燃料取引を確認し、ロシアの国家関与は認められないとも述べた。
ともに海軍情報部発の情報と衛星画像でロシア極東部を出港した船舶を確認しているがこれ以上の詳細内容は極秘事項として明らかにしてくれなかった。
本件についてロシア外務省、ロシア税関当局に照会したがコメントを拒んでいる。該当船舶の船主の一社は事実を否定している。
この報道は中国が12月29日に米大統領ドナルド・トランプの批判に対して北朝鮮への石油製品の不法な供給を否定したのと並行して出てきた。
北朝鮮は国内経済運営で輸入燃料に依存せざるを得す、ICBMや核開発の推進でも石油は必要だ。
「問題の船舶数隻はロシア極東部から北朝鮮へ石油を密輸した」と最初の取材源が語っている。
ロイターは独自に対象船舶が北朝鮮に本当に燃料を移送したのか、ロシアが国家として関与したのか、何隻のロシア船舶が関係したのかを調べられなかった。また燃料密輸の規模も不明だ。
船舶衛星位置情報を調べると取材源が指摘した船名のロシア船舶で異常な動きがあるとReuters Eikonで判明した。トランスポンダーを切り位置探知を逃れている。
安全保障筋によればロシア船籍のタンカー、ヴィチャーズ Vityaz が北朝鮮船舶に洋上で燃料を移送している船舶のひとつだという。
ヴィチャーズはウラジオストック近くのスラヴヤンカ港を10月15日に石油1,600トンを搭載して出港したのがロシア港湾局の書類で確認できた。
同船の代理店からロシア国家港湾管理局への提出書類では目的地は日本海で操業中の漁船団とある。航行情報から同船がトランスポンダーを数日間切って航行したことがわかる。
欧州の安全保障筋によれば同船は北朝鮮船籍の油槽船Sam Ma2に公海上で積み荷移送を10月に行ったという。
Sam Ma2もトランスポンダーを出港時の8月から切ったままのためロイターはこの裏付けが取れなかった。
ロシア船主は北朝鮮船との接触を否定しているが同時に漁船への燃料補給も承知していないと語っている。同船はウラジオストックのAlisa Ltd.の所有で、同社役員のヤロスラブ・ギュックYaroslav Gukは同船と北朝鮮船の接触はないと述べている。
「絶対にない。そんなことをすればとても危険だ」と電話でロイターに伝えてきた。ただし次回取材を試みるとギュックは同船は北朝鮮船と接触した事実はないとだけ述べそれ以上の質問に答えなかった。代理店のEast Coast Ltd.もコメントを拒否している。
別のロシア船籍二隻も同様の航海を10月11月にスラヴヤンカ、ナホトカ両港から出発し途中でトランスポンダーを切っているのが確認できた。
ロイターは9月に少なくとも8隻の北朝鮮船がロシアから燃料を積み自国に向かったと報じており、申告上は別の目的地だったのは米関係者に言わせれば制裁逃れの常套手段だ。
極東でのロシア海運に詳しい筋は北朝鮮船舶はロシア極東港湾部での石油積み出しを中止しているが海上での船舶間移送により石油を輸送していると述べ、漁船も利用しているという。
中国は12月29日に北朝鮮への不法石油販売の報道を否定した。トランプが中国へ不快感をあらわにしていた。
米国から国連安全保障理事会に禁制品を北朝鮮へ運んだ船舶10隻のブラックリスト化提案があったことがロイタ―が確認している。
該当船舶は「不正な船舶間移送で精製済み石油製品を北朝鮮船舶へ渡した、あるいは不正に北朝鮮産石炭を別の国に輸送した」と米国が同提案内で述べている。■

★104対0 F-15の無敵実績に挑戦する東側主張に真実があるのか



104 to 0: The F-15 Eagle Is The Fighter No Air Force Can Beat

104対0 F-15イーグルにはどの国の空軍もかなわない (前編)
December 29, 2017

ボーイングおよび米空軍の公式発表ではF-15イーグルの空戦実績は104対0で一機も喪失していない。だが敵側勢力から同機を撃墜したとの主張が数例出ている。
だがその内容には撃墜の証拠がないことが共通している。
最初の事例は1978年でイラク第39戦闘機隊所属のMiG-23MSがイスラエルのF-15をイラク西部で撃墜したとするがいまだに何の物証が示されていない。
次のF-15撃墜とされる1981年春の事例はよく知られている。話は多少異なるがすべてロシア側報道機関が伝えている。
一番広く流れている内容では1981年2月13日にイスラエルF-15編隊がシリアのMiG-25P編隊を待ち伏せし一機を撃墜したが、シリアが今度は待ち伏せをかけ同年1月29日にMiG-25PがR-40/AA-6エイクリッド空対空ミサイルを25マイル先から発射しF-15一機を撃墜したことになっている。
ただこの話には難がある。シリアもロシアも共にレーダー記録や残骸の物証を示していない。またシリア空軍はMiG-25Pは受領していない。シリアが入手したのはMiG-25PDS迎撃型二機だけでMiG-25Pではない。
MiG-25PDSは輸出用劣化型フォックスバットと評されることが多いが、実は初期型より装備が充実していた。スメルチ2AレーダーがMiG-25Pに搭載されていたが、PDSでは赤外線探知追尾装備、レーダー警告受信機、チャフ・フレアディスペンサーも搭載していた。
そこで「シリアのMiG-25P」との表記そのものに記事の信ぴょう性を疑わせるものがある。
さらにイスラエルが1981年2月にフォックスバットを撃墜したがMiG-25R偵察型でレバノン上空を単機飛行中だった。この撃墜が重要なのはロシア側の説明と対照的にシリアがMiG-25PDSが単機飛行中にF-15を返り討ちにしたと発表していることだ。
シリア側の発表ではMiG-25PDSがMiG-25Rのふりをしてベイルート方向へ航空高速飛行をしていた。イスラエルF-15の8機編隊が迎撃に向かうとシリア機はR-40ミサイル二発を編隊長に向け発射した。それぞれ37マイル、31マイル離れた地点からとAIM-7Fスパローミサイルの射程外で、イスラエル装備でこれが当時最大射程の空対空ミサイルだった。
シリア軍によればミサイルが命中したF-15は海中に墜落。パイロットは射出したようだ。この同じ出来事をイスラエルはF-15がスパローミサイルでMiG-25を撃墜したとしている。
1982年6月9日午後の事例はよく知られれている。シリアのMiG-21がF-15DにR-60/AA-8ミサイル一発を命中させた。イスラエルパイロットは損傷を受けた機体を基地に緊急着陸した。機体はその後修復された。
当時流布された事例には再考の余地がある。1982年7月3日、シリアMiG-21の8機編隊がイスラエルF-15、ミラージュIIICJあるいはクフィール各4機とベイルート上空で対決した。シリア側は自軍4機喪失を認めつつ、イーグル一機の撃墜を主
張した。
イスラエル側に当日の空戦を伝えるものがないのだが、この交戦には地上で目撃者十数名がレバノン報道も広く伝えていた。
ロシア文献ではイスラエルF-15撃墜事例が少なくとも3例ありすべて1983年発生とある。シリアのMiG-23MLが10月4日に二機のF-15を、12月4日にも1機を撃墜したと主張している。ロシア側の説明にシリア側パイロットの名前はおろか、三事例をうらづける証拠は示されていない。
(後半に続く)

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