この主張のとおりなら悪の存在と共存しなければならないのでしょうか。北朝鮮に核兵力維持を認めることが耐えられないというメンタリティでは生きていけなくなります。幸いトランプには米外交政策の特徴の宣教師的な価値観の一環性がないので状況に応じうまく対応していくかもしれません。ただし北朝鮮核兵器の流出は困るので同国は実質上封じ込められたままになると思いますが、いつ我慢できずに暴れだすかもしれません。その場合、都度攻撃を受けるのであれば、準戦争状態が長く続くことになりますね。国連による飛行禁止区域措置や海上通行禁止措置も可能でしょうが、必ず抜け道を見つけるでしょう。日本としては鬱陶しい状況ではありますが、ソ連の核兵器脅威を受け止めざるを得なかった米国の60年代のように冷戦のメンタリティが必要となりそうですね。
Explained: Why America’s North Korea Strategy Is Failing
米国の対北朝鮮戦略が失速している理由
December 26, 2017
米国の北朝鮮戦略は失速しかけている。
トランプ政権のいう「最大限の圧力」となる強硬な経済措置と軍事姿勢をもってしても北朝鮮のミサイル、核戦力整備に減速の兆しがない。トランプが大統領就任した2017年1月以降に平壌はICBM二種類、中距離弾道ミサイルでは一種類、固体燃料式の潜水艦搭載用ミサイル一種類の発射テストに成功したのに加え最大規模の核装置の爆発にも成功した。トランプ政権は一貫して北朝鮮には圧力で対抗するとしながら圧力の結果で北の行動に変化があるかは検証していない。
米国の対北朝鮮戦略での問題点は非現実的な目的が設定されていることだ。ワシントンが求めるのは完全かつ実証可能で不可逆的な核戦力解体であり、平壌がその目的に近づいて初めて交渉に応じるとする。
現時点の米戦略では非現実的目標を追い求めつつ攻撃姿勢を隠さないことを政策の前提にしているのでワシントンは金正恩を屈服させ核保有がとてつもなく高負担で割が合わなくさセル必要がある。ただし金正恩が核兵器を自らの権力基盤存続に必要ととらえているため、核兵器保有コストがいかに高くても甘受するつもりなのは明白だ。戦争一歩手前のまま、北朝鮮にこれ以上の負担をさせ金正恩に核放棄を迫るのは実質的に不可能になっている。核兵器保有は金正恩の頭の中では生死がかかった問題になっているからだ。
トランプ政権の新制裁措置で新兵器開発は減速をせまられるし、現行兵器の製造も同様に減速するが、この方向性では非核化目標に近づかない。圧力を増やすことは金正恩に核放棄を求めるためだが逆に核兵器への執着を強める結果になる。さらに北朝鮮の核兵力はまだ小規模で早期警戒体制や指揮命令系統が貧弱なため、金正恩は武力衝突の初期段階で核兵器投入をためらわず攻撃的な姿勢を示しそうだ。第二次攻撃能力がない北朝鮮にとって米攻撃を食い止める最善策は核兵器投入をちらつかせることで米国による政権崩壊が現実にならないようにすることである。
ワシントンは非核化という達成不可能な目標は脇に置いて、かわりに北朝鮮を核先制攻撃に踏み込ませない抑止を中心とすべきだ。こちらの目標の方が実施上は容易だが戦略上はいくつかの理由で賢明だ。
まず、無理強いと違い、抑止効果の方は防衛的性格が強く現状体制の維持に中心をおくため無理やり変化を求めるより実施は楽だ。
二番目に、米国の大目的が北朝鮮の核兵器投入を食い止めることなら、米国は北朝鮮核戦力への予防的軍事行動を強調すべきではない。北朝鮮を無理やり武装解体させるとの脅しは危機の不安定度を助長しかねず、金正恩に「今使わなければ敗ける」と思わせる状況が生まれるため抑止効果で非生産的でとなる。
三番目に非核化目標を放棄すれば米国に柔軟に北朝鮮へ対応できる可能性が特に外交面で生まれる。つまるところ、米国に非核化しか受け入れられないなら平壌にはワシントンとの交渉ができない。
「最大限の圧力」で北朝鮮を非核化するねらいは成功しない。かわりに米国は北朝鮮に核兵器を使わせないことに注力すべきだ。制裁と軍事力は抑止効果をねらう戦略でも有効だが、平壌に非核化を無理強いする政策から離れたほうが賢明な選択だ。■
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。