うーん、これもすごいです。イスラエルの技術力というか根気。これでは周囲の各国がかないっこありません。人様が捨てた中に宝を見つけるようなものですね。日本のF-15C/Dでも同じアプローチで有益な活用ができないでしょうか。納税者にも優しい選択になりますね。イスラエルから学ぶものはまだまだ多いように思えます。
Israel Is Treating America's Throwaway F-15D
Eagles As New Found Treasure
イスラエルが米国廃棄のF-15Dを再整備し活用する
The surplus two-seat F-15s will become key pieces
in Israel's long-range air combat capability.
複座型F-15がイスラエルの長距離航空戦力のカギ
を握る
イスラエル空軍が米州軍航空隊が用途廃止したF-15D9機の再生に取り組んでいる。機体は第173戦闘飛行隊がオレゴン州クラマスフォールズで使っていた。機体はイスラエル向け援助の一環としてオバマ政権下で寄贈された。まずIAFが複座型イーグルしかも1970年代末製造の機材を希望したことが奇妙である。だが各機がイスラエル空軍で果たす役割はUSAF時代と全く違う。F-15DはIAFで最も柔軟かつ強力な戦闘機戦力になっている。
イスラエルはF-15EがUSAFに就役する前からF-15を長距離攻撃機材として注目していた。現地では「バズ」と呼ぶ同機は国産エイビオニクス、兵装、サブシステムや構造強化で「イスラエル化」されている。
MINOZIG/WIKICOMMONS
F-15D バズ編隊には「ファストパック」と呼ぶ一体型燃料タンク(各750ガロン)以外
に外部610ガロンタンク二基を搭載する。
IAFのD型バズ各機は制空、攻撃、偵察、指揮統制ネットワークと各種任務に投入されており、長距離攻撃支援にもあたる。イスラエル空軍がC型D型をとくに重宝するのは機体価格がF-15Iストライクイーグルより安いことに加え同様に「ファストパック」一体型燃料タンク搭載で飛行距離を延ばしミッションの変化に対応できるからだ。
IAFも余剰F-15「ステーションワゴン」に予算を重点投入するとは想定してなかったらしい。
「USANGが用途廃止した機体で予備部品取り用だった。だがIAFの物資局技術部門が可能性に気付いたのは複座F-15戦闘機に一体型燃料タンク(CFT)搭載が可能なことでここから「バズ」への変換が始まった。
第一段階として四機をイスラエル仕様に変更していIAFで供用する。第二段階は残る5機を変換し、単座「バズ」5機を代わりに用途廃止する」
複座バズをイスラエルの最前線部隊に増備しながら消耗した単座型を退役させることが狙いだ。イスラエル空軍整備陣がF-15DD型で最初に製造されたロット「D6」ブロックに取り組むのははじめてで文字通りでたくさん学ぶ対象があり、一機完成させるのになんと170日をかける。
IAF
交換や改良の対象部品で点数が多いため、機体の当初の状況と変更内容を逐一記録させながらIAF地上要員に機体の整備運用方法を学ばせている。
バズ整備の経験がある民間業者も同席している。テルノフAFBの整備隊のモティ・シュピンドラーMotti Shpindler兵曹長が以下述べている。
「運用面と離れても今回のプロジェクトにはプロとして大きな意味がある。プロジェクトに参加する技術員は『バズ』を広く研究し機体に誰よりも詳しくなる...ここまで大々的に深くかかわれる機会はない」
「今回のような機会はいままでなく、IAF要員に生きた経験となる...機体を分解して新たな性能の装備を搭載してイスラエル仕様バズ機にした。機能上は新型バズと同様になり、一部には現行機材にはない性能もついている」
AP
硬化掩体壕に入るF-15D バズ
課題の一つとして最古参のF-15Dは以前から何度も改修を受けているが記録が完全でなくIAFが国産同様のバズ仕様に変えるため最初から作業する必要があることがある。そのため作業の多くが証拠捜査のようで現状を把握してから作業を開始する必要がある。
以下は筆者がイスラエルのバズ各機について以前記したものである。
IAFはバズ各機の国内改修を決定したのは多分に費用の問題があり独自のサブシステムの搭載が必要なためだ。バズ2000事業と呼ばれる再生作業でIAFのバズ各機に共通コックピットを与えるがこれですべてではない...
...バイソン4短距離空対空ミサイルとエルビット製DASHヘルメットが導入されパイロットは交戦がはるかに容易になり、視線を向けるだけでミサイル発射が可能となった。F-15では初めてで、USAFのF-15でヘルメット搭載標的システムとAIM-9Xサイドワインダーが実用化するより10年は早かった...
...改良点の多くはF-15Iからの流用で一部はバズジェット特有でレーダーはAIM-120AMRAAM発射可能なものに変更される。新型スロットル・スティック設定が導入され、多機能画面が前後席に追加された。データリンク機能が強化され通信装備が性能向上されて搭載されている。新型電子戦装備が導入後相当たつ機材に新型ミッションコンピュータが搭載され航法装置にはGPSが投入されている。冷却機能も引き上げて、すべての作動のため機内配線を全部やり直したがこれだけでも相当の作業だ...
...イスラエルが再生したバズ機はかつてない威力を有している。GPS誘導兵器はJDAM含めピンポイント攻撃を全天候下で可能とし、固定目標の攻撃に面倒な光学誘導兵器を不要とした。またスタンドオフ兵器の運用もこれまで通り行い、イスラエルではスタンドオフ兵器すべてを自国内で調達できることが異なる。バズの速度、航続距離、安定度により大型偵察ポッドをぶら下げれば戦術偵察機として理想的なのは以前と変わらない。
バズにも後から加わったF-15IやF-16I同様の航続距離性能があるので前方配備ネットワーク中継、指揮統制拠点として投入し戦場状況をデータリンクで結び入手し衛星で遠距離のイスラエル軍司令部に送ることができる。あるいは逆に情報収集内容をF-15Dに送ることも可能だ。バズは情報を衛星送受信ができない味方攻撃部隊に配信できる。
広帯域衛星通信の改修でF-15DにはR2-D2のような衛星通信ドームがついている....
...敵地の「ダウンタウン」に攻撃装備を付けて乗り込むのはこれまでの指揮統制機材には無理な注文だったが、バズなら可能だ。他任務をこなしつつこれが実施できる。また制空任務こそ同機が元来想定する内容でイスラエル空軍は50対0の圧倒的戦果を誇っている。
バズには追加アップグレードで予算を投入される予定だ。改修内容にはレーダー交換、電子戦能力向上、新型兵装の導入やコックピットディスプレイの更改がある。機体構造の強化もここに含まれF-15C/Dを元にしたバス部隊はさらに20年間の飛行が可能となる...
...F-15C/Dバズにアクティブ電子スキャンアレイレーダーがつけば、さらに戦力増強効果が生まれる。長距離での状況把握に役立ち、低空巡航ミサイルやステルス目標の防空にも役立つほか、新しい電子攻撃手段にもなる。
F-15C/D型のASEAレーダーで得る情報はデータリンクでF-35にも共有され敵攻撃を回避し、電磁エネルギーを放出せずに敵を攻撃できるようになる...
USAF
IAFではF-35Iなど新型機も登場するが、旧式化したF-16Aを用途廃止する一方でF-15には手を入れてかけがえのない機材として運用する。一方で米空軍に残るF-15C/Dの今後は不明のままだ。
再生F-15Dの第一陣は先行事例として1月に飛行開始しる。フライトテストに成功すればイスラエルで、さらに世界で最強のF-15として戦力化する。■
contact the author: Tyler@thedrive.com
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。