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米空軍長官の杞憂は宇宙と予算

What If We Lost GPS? That's One Thing Worrying the Air Force Secretary  

GPSが使えなくなる事態も心配する空軍長官


Newly sworn Secretary of the Air Force Heather Wilson thanks family, friends and colleagues during her ceremonial oath of office as the 24th secretary, at the Pentagon event, May 16, 2017. (U.S. Air Force photo/Wayne A. Clark)
ヘザー・ウィルソンは2017年5月16日に第24代空軍長官に就任した。 (U.S. Air Force photo/Wayne A. Clark)
The Los Angeles Times 21 Dec 2017 By Samantha Masunaga


宇宙空間が米産業界、米軍双方で重要度を上げている。
打ち上げコスト低下と技術小型化で従来より多くの国や企業が宇宙を目指しており、宇宙は早晩「人類活動の共通舞台」になると空軍長官ヘザー・ウィルソンは見ており、地上では米軍が道を拓いたGPS技術の産業利用が増えている。
GPS衛星を管理運営するのは米空軍であり、次世代の衛星群も企画中だ。GPS機能は民間にも提供されている。
「空軍首脳部はセンサーと武器をネットワーク化すれば空軍戦力は増大すると考えている」とローレン・トンプソン(レキシントン研究所軍事アナリスト)は解説している。「宇宙により地表の観測や見通し線を越えた通信で大きな利点が生まれる」
本紙はウィルソン長官に取材機会を得た。長官はロサンジェルス空軍基地(宇宙ミサイルシステムズセンター)で空軍にとって宇宙の意義とは何かを語った。以は発言をまとめた。

宇宙はもはや平和な場所ではない

かつて宇宙空間は無害な場所で自由に観測したり報告できていた。今は違う。2007年に中国が対衛星兵器を打ち上げ軌道上の衛星を破壊する能力を実証した。中国はそこでとどまらずロシアも打ち上げた衛星を他衛星修理用と説明しているが、問題はどこの衛星を修理しようというのかだ。
我が国は宇宙関連で世界最強国だが同時に宇宙に大きく依存している。敵勢力や敵に回りそうな国はこの事を理解している。そこで今ある能力を防御しながら攻撃を受けても機能維持できるようにしたい。言ってみれば大きな温室を先に建てたところに石が新発明されてきたので防衛にまわるようなものだ。

「GPSがなくても行動できるか」

軍事ミッションで宇宙に依存しないものはない。軍事だけでもない。GPS信号がある前提の産業が多数存在する。
GPS III衛星の提案要請を発出する。次世代衛星であり、迅速に調達したい。新型衛星は強靭にしジャミングや妨害に強くする。
空軍としてGPSがなくても行動できるようにしたい。GPSがあって当前にしているが、妨害されれば国の経済にも大きな打撃が生まれる。
GPS衛星だけではない。北朝鮮のミサイルテストのテレビ報道は米空軍が探知しているのではない。ミサイル発射の探知能力や軍の指揮命令通信機能が妨害されれば緊張が高まる中で大変なことになる。これまではこのような事態は想定の必要がなかった。

国防予算がなかったら「大変なこと」になる

国防予算で上限措置は撤廃の必要がある。国防予算認可法があり同時に継続決議の適用も受けている。
過去10年間で9回も同じ状況になっており年度当初に継続決議の影響を受けている。昨年度並みの活動を維持しているが強制削減措置は残っている。強制削減をそのまま残せば空軍は大変なことになる。ここまで大規模に展開中の組織なので影響は壊滅的だ。
議会には国防予算上限措置の撤廃をしたうえで予算をいただきたい、と言うのが今から1月中頃までの予算面での優先事項だ。また空軍の即応体制を回復する上でも国防予算認可法で空軍の人員構成を4千名増員したいし、全般的に装備近代化と即応態勢の整備で待ったなしの事項に手を付けたい。■
--This article is written by Samantha Masunaga from The Los Angeles Timesand was legally licensed via the
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