China's New J-16D Aircraft Might Have a Terrifying New Military Capability
中国の新型J-16Dの強力な能力は要注意
November 30, 2017
米海軍のEA-18Gグラウラー電子攻撃機はジャミング任務に特化した数少ない機材のひとつでジャミングに加え友軍機に向けられるミサイルを誘導するレーダーの破壊も行うはずだ。このミッションはSEAD(敵防空網制圧)と呼ばれる。今日の空軍作戦で味方の損耗を防げるかはSEADの成否にかかっているといってよい。
- グラウラーはF-18スーパーホーネット戦闘機から派生し、以前の電子戦機より高速で操縦性、兵装も強化しており、援護する友軍機の速度に追随でき敵防空網に従来より接近できる
- 中国空軍は海外の役に立つ考えを堂々とコピーしておきながら「中国の特性」を加味したと述べることが多い。そのため自分たちもグラウラーを作っても不思議ではない。
- 問題の機体は複座の瀋陽J-16 Red Eagle 攻撃戦闘機で、これもロシアのスホイSu-30MKKフランカーのコピーだ。ロシア原型からエイビオニクスが改良されアクティブ電子スキャンアレイレーダー(AESA)の搭載が特徴だ。中国は信頼性高いジェットエンジン国産化に依然苦労しているが、電子製品では成功しており、民生技術を流用しているのだろう。
- J-16DのDは電子の頭文字で初飛行は2015年12月18日だった。
- J-16Dは30mm機関砲、赤外線センサーを外し、ドッグファイトは想定外だ。かわりにアンテナ多数と機体一体型電子戦アレイがついた。レドームは高性能AESAレーダー搭載を想定しているのだろう。重要なのは翼端に付いた電子戦用ポッドでEA-18GグラウラーのALQ-218電子支援ポッドと類似している。レーダー周波数を解明し、発信源をつきとめるのが役割だ。この情報をジャミングにも使い、攻撃にも役立てる。
- PLAAFは新型機説明会を開かないので、わかっているのはこれですべてである。次は役割を推測してみよう。
- J-16Dはジャミングと対レーダー攻撃を想定して機体を準備し、ジャミングポッド二三個を主翼と機体下に取付け、ジャミングポッド自体にもAESA技術を導入しているだろう。
- ハードポイント12個が残り武装搭載に使える。中国には対レーダーミサイル(ARM)が三種あり、かなりの距離から 敵レーダーをホーミングできるはずだ。CM-103ミサイルは射程62マイルで176ポンド弾頭で艦艇・地上レーダーを破壊する。ロシアKh-31Pを国産化したミサイルはYJ-91と呼ぶ。さらにPL-12空対空ミサイルからLD-10ARMミサイルが生まれた。J-16Dは他の兵装も搭載し戦闘に臨むだろう。
- 中国は他の戦闘爆撃機でも電子戦装備を搭載しており、国産複座のJH-7Flying Leopardは240機ほどがPLA空軍および海軍で運用中だ。同機の最高速度はマッハ1.75で長距離運用が可能で兵装20千ポンドを搭載し、対レーダーミサイルも含む。原型のJH-7と改良型JH-7Aがジャミングポッドを搭載する写真が出回っている。ただし、同機の電子戦能力は専用機より劣るだろう。
- ジャミング支援には別の機材もある。大型で鈍足だがY-8GX、Y-9GX輸送機に戦術ジャマー他電子戦装備を搭載しており、HD-6電子戦機はH-6爆撃機が原型だ。山東Xianglong “Soaring Dragon” 無人機にも戦術ジャミング能力がつく可能性がある。
- 艦載版のJ-16Dの可能性もある。J-15 Flying Shark 戦闘機が001型空母二隻に搭載されているが、これもフランカーの流れをくむ機体で複座型に改装したJ-15SDと同様の発展は可能に思える。ただしJ-15のペイロードが低いのが制約だ。これは中国空母のスキージャンプ式発艦による制約でもある。いずれにせよJ-16Dがどこまでどこまで発展するかは見えない。.
- 接近阻止領域拒否戦略でミサイルを利用している中国は敵の防空網にどう対処するだろうか。もちろんSEAD機は台湾作戦や可能性は低いが日本との交戦に投入されるはずだ。ただし電子戦機の主な想定対象は米海軍水上艦艇で、SM-2、SM-6、シースパロウ対空ミサイルが飛び交う環境である。米、日、韓の稼働中各国に加えまもなくオーストラリア海軍もイージス戦闘システムを稼働させる。
- 例を挙げよう。中国記事ではJH-7をYJ-91対レーダーミサイルと電子戦装備で武装すればイージス艦も「悪夢」に落とせるとしている。もちろんレーダージャミングのボタンを押すだけで勝利は手に入らないが、攻撃側がミサイル、航空機で飽和攻撃をかければ防御能力を圧倒するはずだ。
- 中国側は海外の戦役事例に関心はないようだ。ただし、太平洋の軍事バランスを変えるのが同国の狙いだ。J-16Dのような機体は人民解放軍が特殊用途機の整備に力を入れて、あらゆる局面で優勢な航空戦力の実現をめざす証だ。まさしくこれは米軍の目指す方向と同じである。■
Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.
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