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なぜ米韓で意見が食い違うのか。韓国が主導権を奪回すればどうなるのか

原著者は大学の先生で政策立案者ではないのすが、こんなこと言われて韓国の人たちはどう思うでしょうね。 AllianceではなくPartnershipのことばをつかいアメリカとして韓国を価値共有する相手とは見ていないようですね。韓国があちら側に行っても怖くないということでしょうか。米韓で意見が全部同じである必要はないのですが、この通りになれば韓国は日米とは一線を画しチームにはなれないですね。もちろん中国にとっては好都合なのでしょうが。文大統領については親北派と日本は見ているので発言にいちいち目くじらを立てかねないのですが、構想力はあるようです。ただし方向性が間違っていると思いますが。ともかく今年は開戦を避けられそうですね。


5 Things South Korea Can Do to Wrest Control from Washington

ワシントンから主導権をねじり取るため韓国にできる5つのこと


朝鮮半島の地図を見れば米韓両国が予防戦争を巡り意見が異なる理由がわかる

U.S. President Donald Trump and South Korea's President Moon Jae-in hold a joint news conference at the Blue House in Seoul, South Korea November 7, 2017. REUTERS/Jonathan Ernst
The National Interest Rajan Menon December 21, 2017




国の文在寅大統領には会ったことがなく、その機会もないだろう。いつか機会があれば握手して調子のいいことだけお座なりにいうのだろう。大統領から外交政策の助言を求められることもないはずだ。韓国には外交専門家もたくさんおり、大統領はそちらの意見を求めるはずだ。最終的に同国の政策は自国で決めるべきだ。

朝鮮半島の危機が過熱する中で韓国内の友人や関係者へ会話を試みたところたくさんのことが分かったが、韓国政府がとるべき対応については自分の意見は述べないようにした。また言うべきでもない。韓国側は北朝鮮が核兵器を入手することで生まれる意味を筆者より詳しく理解しており、頼まれてもいないのに出しゃばるべきでもない。だが筆者の話し相手はそうやすやすと筆者を解放してくれず、「こちらは評価結果を見せたのだからわが方の状況に何をしてくれるのか正確に教えてほしい」と言われた。
そこで以下対応した:
ず、韓国には独自の戦略展望が必要であり、自国の戦略的意味付けに対応しても米国の希望をそのまま実現するものにすべきではない。以下詳しく解説しよう。韓国は大きな進歩を1950年代以降見せている。貧しい国だったが、今や豊かな社会になった。国民一人当たり所得は4万ドル近く、ニュージーランド、スペイン、オランダを抜き、日本・英国・フランスに近づいている。GDP1.93兆ドルの韓国経済は世界第14位でカナダを上回る。輸出総額は5120億ドルで世界五位で中国、米国、ドイツ、日本の下だ。
自動車、船舶、コンピューター、通信、高性能電子製品は手は原子力発電所まで韓国企業は西側市場で地歩を築いた。ストックホルム平和研究所によれば韓国の国防支出は372.7億ドル(2016年)で世界8位だった。ちなみに北朝鮮の国民総所得が327.6億ドルで韓国国防費より小さい。南北朝鮮の軍事バランスは複雑な様相を呈しており、開戦となればあまりにも不明な要素が多いのはクラウゼビッツが「摩擦」要因と呼んだものと同じだ。配備した兵器数で北が数的に優勢だと誤解しやすいが韓国の近代的で高性能な軍事力が北の旧式兵力に圧倒されるはずがない。米国の支援がなければ韓国が北に蹂躙されるとよく言われることへも疑問符がつく。
これだけ戦略的重みがあるのに安全保障となると韓国は米依存のままだ。国連軍の仕組みが朝鮮戦争時にできて、合同軍司令部が1978年に定まり韓国軍は米将官の指揮下におかれた。1994年に変更され韓国は平時の統率権を得た。ただし有事に指揮権は米国に戻る。
韓国はこの取り決めを廃止すべきだ。韓国は積極的に動いていないが、軍の統帥権は常時握るべきだ。米国の防衛姿勢が弱まることを恐れるあまり躊躇すべきではない。米軍が韓国に半世紀も駐留して(現在は28,500名)いるのは慈善目的ではない。歴代の米政権が一定の軍事プレゼンスが北東アジアにあることで国益に資すると判断しているからだ。この見方は変わることなく、特に中国軍事力の台頭を意識する必要があるが韓国が全部隊の統帥権を掌握しても韓国は米国との軍事協力体制を終わらせる必要はない。むしろ韓国は提携関係にもっと多く関与することになる。そうなると韓国は戦略思考で一層独自に考えざるを得なくなる。文大統領は戦時の軍掌握を目指しているが、不運な結末を迎えた朴槿恵前大統領も同様だった。そこでこの変更は十分可能と思われる。むしろ遅きに失しているのだ。
番目に、韓国政府は米国が北朝鮮の核戦力の完全配備を防ぐ目的で攻撃を始めた場合には支援しないと疑う余地なく明確にすべきだ。北朝鮮の核戦力開発には解決すべき技術課題がある。弾頭の小型化や大気圏再突入時の高温と振動に耐える構造設計等だ。予防戦争は韓国に破滅的結果をもたらすが北にも同様で、その評価は各方面が分析済みだ。外科手術的予防攻撃はファンタジーの世界と言ってよく、韓国は自国の将来を魔法的予想に賭けるべきではないだろう。
韓国はさらに先を目指すべきだ。自国領土、領海、領空を予防戦争の目的に使わせるべきではない。また米国との軍事演習も緊張高まる時期には再考してよい。北朝鮮は演習に怯えておらず、ましてや核やミサイルの進展を遅らせる効果は皆無だ。演習や軍事力行使は緊張を高める効果を生むだけだ。偶発事故や誤解の危険や技術誤作動が引き金となり危機的状況が戦争に発展しかねない。
朝鮮半島の地図を見ればワシントンとソウルで予防戦争を巡り見解が違う理由が分かる。ホワイトハウスの主が朝鮮半島情勢に驚くほど無知で、配下の国務長官の外交努力を無駄にし、いつの日か金正恩に会ってもよいと言いながら次には北朝鮮を「完全破壊する」と口にする大統領になった今は特に明白だ。ツイッター発言が一定していないことも韓国が予防戦争に頑として反対すべき理由になり、韓国はイベントの連続に流されるべきではない
番目に韓国は核兵器を容認しない政策を見直すべきだ。韓国も核兵器開発を1970年代に検討したが、機密解除となった米政府公文書によれば米国の圧力に屈したとある。同国が核不拡散条約に調印したのは1968年で批准は1975年だ。2004年に国際原子力エネルギー機関の追加議定書の実施に合意している。これら全部を不履行したら大変なことになる。だが戦略事情は変化している。韓国が北朝鮮の非核化をどれだけ熱望しても結果はひとつしかない。不可能だ。北朝鮮は貧しく友邦国もなく恐れ(今や中国に対しても)猜疑心を強めており、核兵器を米国からの攻撃の抑止手段と見ている。国営メディアや政府関係者は繰り返しムアマル・カダフィやサダム・フセインも核兵器さえ保有していればまだ生きているはずと主張している。金正恩にとって実戦投入可能な核兵器開発は最高優先事項だ。米軍の力の誇示、経済制裁、中国やロシアの舞台裏外交、トランプの脅かしや癇癪があっても金正恩の心は揺るがない。次のテストもすぐにでも行われると予測すべきだ。
北朝鮮核ミサイルで米本土を攻撃可能となれば米国に北朝鮮への報復ミサイルが何発あっても関係なくなる。韓国にとっても北朝鮮が実戦核戦力を整備すればゲームは戻れない道に入る。拡大核抑止力の概念も無用の存在になる。米国はソウルを守るためロサンジェルスを犠牲にできない。もちろん北朝鮮の核が本当に攻撃能力があるのかは議論の余地があるし、米国あるいは韓国への核攻撃が圧倒的な米反攻につながるかでも議論はあるだろうし、平壌も他の核保有国同様に非核保有国を脅かすのに核兵器は使えないことに気付くかもしれない。ソウルが平壌の核兵器に悩まされなくなれば韓国内の軍指導者や民間戦略専門家を納得させられなくなるだろう。
韓国が非核化政策を変換すれば大きな影響が生まれ、日本、中国、米国からの抗議を生み韓国に現状変更しないように圧力がかかるはずだ。政策変更は国内でも激しい論議を呼び、実際に韓国では核兵器保有の選択について議論がこれまでより強くなっているし、最近の世論調査では韓国民の60パーセントが核戦力整備に賛成している。文大統領はこの道には進まないと発言しているが、韓国は拡大抑止力を信頼しないのであれば核の選択肢を排除すべきでない。
番目に韓国は長期戦略で中国と関係強化すべきだ。南北を比較すれば中国には韓国の重要性の方が北朝鮮よりはるかに高く、中国と韓国の関係は日中間のような過去の負の歴史はない。中国が韓国と一層建設的な関係になればソウルは北京指導部が苛ついても平壌に対する立場が強まる。ソウルの新中国政策の効果は大きいはずだ。地域内の力のバランスにつながるためだ。中国はこの二十年間で軍事力を増強し米国が有事に北太平洋で兵力投射すれば相当の対価を支払わせる体制を整備している。このため中国が強力になれば韓国は敵対関係に巻き込まれるリスクを覚悟することになる。もうアメリカの保護は期待できない。米国と縁を切れば韓国には愚かな選択となるが、新しい力の地図を有利に使う立場になれる。このためには思考を塹壕状態から脱する必要がある。

短期的には韓国は米THAADにどこまでの防衛を期待するのかを決めつつ、対中関係の見返りに同装備の展開を取りやめるべきかも決心する必要がある。北朝鮮ミサイル攻撃に同装備がどこまで有効なのか、韓国が必要とするソウル首都圏の防衛に役立つのかを見極めることだ。同装備は迎撃ミサイル48発と高性能レーダーの攻勢で韓国南部星州に展開している。ミサイルに詳しいテオドール・パストル他がTHAADの実効性に疑問を呈しており、ソウルには参考になるだろう。
番目にソウルは半島での戦争リスクを減らす案を支援し、東北アジアの経済開発を促進する構想を推進し各国の経済自律を促し北朝鮮も参加させるべきだ。文大統領が発表したばかりの「平和と繁栄の半島」構想にはこの方向に通じるものがある。構想には各種の事業があり、韓国が北朝鮮の崩壊を望まず計画もせず再統一はあくまでも協力協調で進めると確認すること、「軍事信頼醸成」に向けた手順の実施、各国の投資で「三大経済ベルト地方」を創設し朝鮮半島、中国、ロシアをむすぶことが含まれる。構想が一般的な内容なのは認めなくてはいけないし平壌を説得して核兵器開発を中止させるのが非現実的なのは確かだが、文大統領は賛辞を受けてしかるべきだ。韓国独自で構想をまとめたからだ。さらにトランプの目指す方向とは違う点が新鮮に見える。トランプは脅迫を主にし戦争も辞さない姿勢で、中国も米国からのご褒美で非核化した北朝鮮の出現を期待しているように見える。
上5つの視点では韓国が自ら選択し進路を独自に決める前提で、同国が達成した経済軍事力をその背景とする。出発点としてソウルはワシントンに対して韓国の国益と米国の国益がどこが同じでどこが異なるのか明確に示し、「レッドライン」はどこなのかも示し、大胆な構想で自国でしっかり運営していける自信も示し、もはや乗せられるだけの存在ではないと主張したらどうか。これだけは明確だ。ソウルは今まで通りの運営はもうできない。あまりにも多くの状況が変化している。さらに多くの変化がこれからやってくるのだ。■
Rajan Menon is an Anne and Bernard Spitzer Professor of International Relations at the Powell School, City College of New York/City University of New York. He is also a senior research scholar at Columbia University’s Saltzman Institute of War and Peace Studies, and author of The Conceit of Humanitarian Intervention.
Image: U.S. President Donald Trump and South Korea's President Moon Jae-in hold a joint news conference at the Blue House in Seoul, South Korea November 7, 2017. Reuters/Jonathan Ernst

コメント

  1. 感情的な好き嫌いではなく、軍事的経済的に次代のあるべきアライアンス(同盟以外も含む)の形を想定したとき、無能な働き者ほど我々の陣営に不必要なものは他にありません。
    もはや安全保障が一国のみで立ち行かなくなる時代にあって、無能な味方ほど大きなリスクは他にありません。
    とはいえ現状のままならば韓国はこちら側にいてもらわねばならないのは確かですが、逆に前線の後退を許容しうる情勢の変化、或いは前線の後退がもはや大きな戦略的後退ではないとされ得るだけの技術・戦術の発達を契機として、最も近いステークホルダーである日本が主導して韓国を我々のアライアンスから排除しはじめるという選択も、将来において充分考え得るのではないかと考えています。
    ただし、こういった可能性は最悪の事態であるということは言うまでもなく、韓国政府及び世論が正常化し、我々の生存に関してリスク要因ではなく不可欠だと判断されるような存在になって貰うことが最良であるとは思いますが。
    個人的には極左民族主義の文大統領よりも、保守派であり日本とも個人的な関係が深かった朴前大統領の躓きが残念でした。

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