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米海軍の中国空母攻撃策と中国の空母キラーは実戦で効果を上げられるのか

 

This Is the Navy's Master Plan to Kill China's Aircraft Carriers

これが中国空母を沈めるための米海軍マスタープランだ
December 15, 2017

国は「空母キラー」を延々と喧伝するつもりなのか。とくにDF-21D、DF-26の各弾道対艦ミサイル(ASBM)を人民解放軍(PLA)は接近阻止領域拒否(A2/AD)防衛体制の要として米海軍の原子力空母(CVN)を狙うとしている。
 中国は有力な聴衆を確保している。ペンタゴンで中国軍事力予測を延々と作業する一派が中国軍事力評価年報であたかも事実のようにPLAがDF-21Dで中国沿岸から900カイリ先で「空母含む水上艦攻撃が可能」と書いている。
 背筋が寒くなる。だが米海軍にも空母キラーがある。正確に言えば艦船キラーだ。空母を沈めたり機能喪失するのが可能なら小型艦でも同じ結果を得られる。冷戦後の平穏な時代は終わり対艦兵器の増備、性能向上、威力は着々と進んでいる。どちらの側の空母キラーが勝利を収めるかは戦闘がどこで発生するかで変わる。
 空母キラーのイメージが西側で強烈なのは理解できる。中国ロケット部隊が米海軍の誇りを沈めればアジア域内の同盟国を助ける米国の狙いも沈む。PLAが世界史に残る戦勝記録を艦船や航空機をまったく使わずに達成すればもっと悪いの。ASBM発射キーを回せばそれですべて、というわけである。
 そうかもしれない。射程距離など技術詳細にこだわる必要がどこにあるのか。まず、DF-21Dの900マイルと言われる射程距離は空母艦載機の行動半径を上回る。空母部隊はこのためアジアの戦場に到着しても攻撃を受けてしまう。また北京軍事パレードでお披露目されたDF-26は射程が1,800マイルから2,500マイルに伸びたといわれる。
 技術が進歩すればPLAの弾道ミサイルは米国や同盟国の水上艦艇をアジアの第二列島線以内どこでも狙るようになる。DF-26が言われるとおりなら列島線以遠にもASBMが届くことになる。
グアム東方面を航行中の艦船を中国沿岸から攻撃するのはグリーンランド東方を巡行する艦船をワシントンDCのミサイル陣地で攻撃するようなものだ。そうなれば空母部隊がグアムに向けてハワイや米西海岸から向かうこと自体が危険になり、グアム、日本他西太平洋各地の海上交通はミサイル攻撃の影に包まれる。
 だがPLAがDF-21Dを外洋に向けた試射をしていない事実に注目だ。配備5年以上で一回も発射していない。DF-26に至っては戦闘想定の発射もない。平時で完成度が低い兵器は有事には大きな失望の種となる。
 それでも中国技術陣が本当にASBMを実戦化していれば有効な装備になるだろう。米軍は中国ASBMへの対抗手段があると豪語している。本当にそうだろうか。条約に縛られて米国はDF-21DやDF-26に匹敵する中距離弾道ミサイルの開発はできない。条約を破棄しても艦船攻撃用ミサイルを一から開発すれば装備展開まで数十年かかるだろう。
 とはいえ米海軍に対策がないわけではない。では米海軍は敵空母を戦闘時にどのように攻撃するつもりなのだろうか。
 筆者はニューポートの海軍大学校でその答えをこう述べている。場合に依存する。
 まず対戦場所に依存する。空母まで投入する艦隊対決は広大な海域で発生する。当然中国本土から離れてASBMの有効射程からも外れて、巡航ミサイル、攻撃機など不沈空母中国からの運用はできない。
 これは艦隊同士の対決の場合で火力、勇気、戦術、活力が等しい意味を持つ。このうち最後の要素でPLA指揮官が地上配備兵装を投入してくる。だが同時に米海軍も同盟国海軍部隊とともに対決するはずで、日本、韓国、オーストラリアが近海域で戦闘に加わる。また中国と同様に同盟各国が陸上装備で海軍兵力を補助するはずだ。
端的に言って両陣営の目指す戦術領域が食い違っている。
潜水艦戦が米国の目指す外洋での戦闘で重要になる。原子力推進攻撃潜水艦(SSN)の米ヴァージニア級、ロサンジェルス級は外洋の中心で海上交通を遮断する。あるいはA2/AD防衛体制を潜り抜けて敵艦を襲うだろう。その対象に空母も当然入る。
 SSNが米海軍作戦で奮闘するだろう。このため議会がSSN戦力規模を現在の53隻から2029年に41隻に縮小するの許したのは明らかな誤りだ。23パーセント戦力減となれば中国が原子力、通常型双方で増強している中(2020年に78隻)さらにロシアも潜水艦部隊を強化する中で好対照だ。
米潜水艦部隊は空母キラーになる。現状ではPLA海軍には空母は一隻しかない。旧ソ連の空母を改装した遼寧で、今後も練習空母のままだろう。遼寧を改良した二号艦の建造が続いている。
中国が二番艦を完成させれば初の国産空母になり、ちょうどニューポートニューズシップビルディングが米国初の超大型空母USSフォレスタルを完成させたのと同じ意味が生まれる。フォレスタルも通常動力で遼寧とほぼ同じ大きさだ。だがフォレスタル建造には三年しかかかっていない。
 PLA海軍が空母任務部隊の海上運用で知見を得て進歩したとしよう。その場合、新造空母は円滑に艦隊運用に移され、中国の外洋艦隊に加わる。仮定の外洋での衝突は2020年ごろに発生する想定だ。
 2020年、空母航空戦力は今と同様に米海軍の空母キラーだ。米国の原子力空母CVNは85機を搭載する。将来登場する中国空母の搭載機数予測はばらつくがここでは多めの固定翼機、ヘリコプターあわせて50機としておく。つまり控えめに言っても米CVNはPLA海軍空母より70パーセント強力だと言える。
また同様に米中の搭載機材でも米側の機体の方が中国機より強力だ。将来のPLA海軍空母も遼寧と同じスキージャンプ発進方式になるようだ。この方式では機体重量が制限されるため料や兵装の搭載量も限られ中国機は発艦にも時間がかかる。
 だが米CVNは重装備の戦闘攻撃機を蒸気あるいは電磁式カタパルトで発進させる。燃料を多く詰めれば航続距離も飛行時間も長くなる。
 例としてF-18E/Fスーパーホーネット戦闘攻撃機は400カイリ先を攻撃目標とし、兵装投下後はさらに長く飛行可能だ。中国のJ-15艦載機の宣伝される飛行距離と一見大差がないが展開機数が多いため有利になるのは米側だ。
さらに2020年までに開発中の対艦兵器が実戦化され米装備の一部となるだろう。現在の米海軍の主要対艦兵器は1970年代のハープーン巡航ミサイルのみで射程は60マイル超だ。これに対し最新のPLA海軍ミサイルのYJ-18は290カイリを誇る。
 これに対し米側兵器開発部門は射程距離の不足を補おうと懸命になっている。ハープーンのメーカーであるボーイングは射程を倍増させる。ペンタゴンの戦略戦力室はSM-6艦対空ミサイルを対艦攻撃ミッションに転用し射程範囲を二倍三倍に伸ばす。米海軍はトマホーク巡航ミサイルの対艦型を試射し、冷戦時の長距離攻撃能力を復活させようとしている。新型長距離対艦ミサイルが開発中だ。
 では米海軍は新兵器をどう活用するだろうか。「分散威力」構想で海軍は火力を艦隊の各艦から発揮させて目標に集中させるとしている。つまり艦艇多数に対艦ミサイルを搭載し、さらに新技術の電磁レイルガンや艦載レーザーを展開しようとしている。
米海軍は空母キラー兵器を一種類に限定するつもりはない。多数を搭載する。潜水艦、航空作戦を組合わせ水上戦は刷新されて米海軍は大洋上での交戦力を有効に発揮するだろう。これが2020年までに実現する。問題は大洋上での米中海軍対決が一番可能性が低いシナリオになることだ。太平洋の真ん中で対決することに意味があるのか。PLA海軍が沿岸戦力の範囲外に出かけていけば自ら優位性を捨てることになる。
 PLAの接近阻止装備が有効な範囲で戦闘が発生する可能性が高い。列島線の範囲こそ中国が最大の関心を示す場所だ。航行の自由を保障し、アジア同盟国の安全保障の後ろ盾たる米国も海上強国としての地位を守ろうとの決意は固い。米中の論争が行き詰まれば海空での武力衝突の発生はありうる。
 実行して極端な結果になれば大変なことになる。アジア本体近くまで米軍が展開すればA2/ADの防衛体制の強固な部分を横断する機会が増える。開戦初日から空母キラーASBMが西太平洋に次々に発射されるはずで戦域内の米艦船や西進中の部隊に浴びせられる。
 沖合の警戒ラインだけでは足りず、沿海部にも対艦兵器が動員されるだろう。ASBMだけの場合や巡航ミサイルとミサイル搭載機の組み合せが中国沿海部に出現する。原子力空母は巨大と言っても滑走路としては小さい存在で、陸上基地の航空機やミサイル母機と対決することにになる。A2/ADは米艦長には実に嫌になる戦術作戦上の難題になるだろう。
 PLA海軍は太平洋の西側に留まる限りは太平洋の真ん中やインド洋あるいはもっと遠隔地にいるよりも安全でいられる。簡単に言うとPLA海軍とは現代版の要塞艦隊fortress fleetであり、沿岸配備による防衛網内にとどまる限り安全だ。艦の火力に加え援軍が期待できるので戦力で優勢な敵軍に対抗できる。
 ただし要塞艦隊が外洋に出れば悲惨な運命に直面することが多い。防衛の傘がなくなるからだ。本国近くで沿岸の火力支援が得られる範囲で機能を発揮する。中国の狙いははこれだ。
 歴史を概観すれば要塞艦隊構想のはじまりは地味なものだったとわかる。海洋権力を研究したアルフレッド・セイヤー・マハンがこのことばでロシア海軍指揮官が要塞砲の射程内にとどまり優勢な敵から自らを守ったことを指した。艦隊は要塞の前衛部隊になり、砲門数での不利を要塞の砲兵部隊で補った。
要塞艦隊の記述をするマハンの頭の中には旅順港があり、ロシア戦隊が母港にしていたが日露戦争(1904-1905年)で東郷平八郎提督率いる帝国日本海軍(IJN)の連合艦隊と対決を避け港内に留まり要塞砲の下で安全を確保していた。
 防備隊の砲火の範囲内では旅順港戦隊は安全だったが逆に戦果はほとんど上げていない。東郷司令官はロシア側が1904年8月に外洋で戦闘を挑みこれを簡単に殲滅した。おなじことが1905年5月に発生し、連合艦隊はバルチック艦隊と対馬海峡で対決したのだった。
 ロシア艦隊はIJN部隊を数の上で劣勢にしていた。だがその時に旅順港砲兵隊が数百マイル先から命中させられていたらどうなっていたか。ここからマハンの要塞艦隊の論法が拡大した。長距離支援が有効ならロシア艦隊が勝利をおさめていたかもしれない。劣勢な側でも勝てるのだ。
 そのまま今日に当てはまるものではない。要塞中国には航空基地が各地にあり移動式対艦兵器で数百マイル先の海上を狙える。それでも外洋では米海軍が優勢だ。沿岸戦力の増派を受けられない場所で艦隊対艦隊の交戦なら米国に有利だが、あくまでも仮説であり両国海軍が開かれた海域ではなく閉じられたアジア近海で対決する可能性が高いためどちらともいえない。
 海軍は大洋での大規模海戦に最適化しているだがその発生の可能性は最も低い。では一番可能性が高く最も危険なシナリオでの勝者はどちらか。マハンの時代から相当たち空母キラー手段で要塞艦隊の有効性が明らかになりそうだ。またこの状況が中国には都合がよい。■
James Holmes is Professor of Strategy at the Naval War College and coauthor of Red Star over the Pacific.
The views voiced here are his alone.

This first appeared in 2016.

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