2018年7月4日水曜日

ヘリコプター空母「かが」が南シナ海、インド洋へ派遣される


Exclusive: Japanese helicopter carrier to tour South China Sea, Indian Ocean for two months 特報 日本がヘリコプター空母を南シナ海、インド洋を二か月にわたり派遣


本が大型ヘリコプター空母一隻を南シナ海及びインド洋に昨年に続き今年も派遣する。戦略的に重要な同海域で日本のプレゼンスを強化する狙いがあると日本側関係者が説明している。
「自由で開かれたインド太平洋の強化に向けた日本の取り組みの一環だ」と関係者は述べ、今回の航海は9月から二か月に及ぶという。
派遣されるのは「かが」(全長248メートル)でインドネシア、インド、スリランカを歴訪すると匿名日本筋が述べる。護衛艦一隻が随行し、地域内の各国海軍部隊と現地で演習を行うという。
日本は姉妹艦「いずも」を昨年派遣しており、やはり南シナ海やインド洋を航行した。
海上自衛隊広報からは今後の作戦運用についてコメントできないとする。
日本が同方面海域で存在感を強めているのは中国の軍事プレゼンスが同海域で強まっていることへ米国とともに懸念を強めているためで、同海域の通商航路の確保が日米両国に不可欠なためだ。
中国は平和的な意図しかないと説明する一方で環礁等を埋め立てて基地に改造している。
米国は航行の自由を維持すべく海空で定期的な哨戒活動を実施している。5月にはハワイの太平洋軍司令部をインド太平洋軍と改称し、日本、オーストラリア含むより広範な地域戦略として西太平洋からインド洋までを管轄区域とした。
日本が米国による南シナ海の航行の自由作戦に参加しないのは中国を刺激して東シナ海で中国の軍事プレゼンスが強まるのを恐れるためだ。日中両国は日本が尖閣、中国が釣魚と呼ぶ無人島しょをめぐり対立している。

緊張が高まる南シナ海・インド洋

米国が台湾の自立を支援するのではとの疑念から習近平は訪中したジム・マティス国防長官に中国は平和を希求する一方で祖先から受けついだ領土は「たとえ一インチでさえも」手放さないと豪語していた。
マレーシア、ヴィエトナム、フィリピン、ブルネイの各国も南シナ海内で領有権を主張しており、漁業資源のみならず石油ガスの鉱脈も有望だ。台湾も同様に主張するが日本は全く主張していない。
インド洋では中国とインドの緊張が高まっているのは中国がモルディブでプレゼンスを高めていることで、長年にわたりインドが同国と政治安全保障面でつながりを維持してきたもののこのたび中国の一帯一路構想で中国と調印し、中国がアジアを横断しその先に繋がる通商輸送路の確保に乗り出したためだ。
同地域内でこれまでより広い役割を希求する安倍晋三首相率いる日本は戦後の平和主義憲法の成約から自由となり艦船航空機兵員を海外ミッションに派遣できるようになった。
「かが」は帝国海軍当時の空母に匹敵する大きさの艦容を誇りながら区分上では駆逐艦で現行憲法に違反しないとする。
呉が母港の「かが」は昨年3月に就役したばかりで対潜戦が主任務だ。南シナ海、インド洋に直近では揚陸輸送艦「おおすみ」が二か月にわたる航海をしている。■

2018年7月3日火曜日

日本がイージスアショア用高性能レーダー導入を決める

すみません当方は新聞を読まないので以下の記事はすでに報道ずみかもしれません。一つ言えることは今後中国が裏からイージスアショア反対運動を操ることで「住民運動」はじめ国会論戦でも野党議員の動きに要注意ですね。

Exclusive: Japan to buy advanced U.S. radar for missile defense system特報:日本が米製高性能レーダーをミサイル防衛用に購


TOKYO (Reuters) - 日本が来週にも(注 原記事は6月29日初出)米製高性能レーダー導入を決めミサイル防衛体制の実効力を高めつつ、米国との貿易摩擦を緩和しつつ北朝鮮や中国に対する備えを固めることが判明した。
日本政府関係者はイージスアショアについて「巨額の導入案件となりトランプ大統領によい贈り物になる」と述べている。
日本は早ければイージスアショア施設二か所向けにレーダー導入を決めるはずで2023年の稼働を目指す。この購入が8月に予定される次年度予算要求に入るとロイターは三か所の取材源から理解している。
選択候補としてレイセオンのSPY-6、ロッキード・マーティンの長距離判別レーダー(LRDR)があると消息筋が説明している。そもそも日本がイージスアショア導入を決めた時点でSPY-6を想定していたが、米側が同レーダー供与に難色を示している。
日本の予算要求はシンガポールで6月12日開かれた米朝首脳会談後に緊張が緩和する中で進められる。
日本側防衛当局は依然として北朝鮮を差し迫った危機と見ているが、中国の軍事力増強の方が長期的には深刻な脅威ととらえている。
人民解放軍ロケット軍は日本まで到達可能な弾道ミサイル数百発を管理下に置き、日本のミサイル防衛体制は世界有数の規模に整備されている。
日本側防衛関係者の試算はイージスアショアの二個施設導入を20億ドルとしている。さらにSPY-6あるいはLRDRまで含めれば総費用は軽く二倍に増えるとの見方がある。高性能レーダーは既存イージスシステムより数倍遠くの探知能力がある。
性能向上は当然のことながら高い出費を伴うが、トランプ大統領が望む米製軍事装備輸出拡大に沿うものだ。
トランプ大統領は昨年11月の訪日をきっかけに日本へ圧力を加え鉄鋼製品への関税引き上げ、自動車輸入への課徴金適用はじめ二国間貿易交渉を進めたいとしている。
6月の共同記者会見でトランプ大統領は安倍首相が「数百億ドル相当の追加製品購入」を約束したと発表した。
安倍首相は9月の国連総会で再度トランプ大統領と会見すると見られると日本政府関係者は説明したが、会談内容の推定は拒んだ。

レイセオンかロッキードか

レイセオンは三菱重工と共同でイージスアショア用のSM-3ブロックIIAミサイルを開発している。ロッキード・マーティンが主契約社だ。

SPY-6レーダーは米海軍のイージス装備艦艇向けに開発されており、LRDRは米国の地上配備中間過程防衛ミサイル迎撃システムと2020年までに統合される見込みだ。
ともに高性能レーダーであり日本は長距離迎撃ミサイルと併用して将来の中国ミサイルの脅威にも十分対応できるはずだ。
日本は5万名近くの米軍関係者を駐留させており、米海兵隊・海軍では世界最大の海外配備場所となっているが、北朝鮮が核兵器及び弾道ミサイルを永久に廃棄する明確な証拠が出るまでは現在の姿勢を崩さないとしている。
「イージスアショアは日本に必要であり導入を進めていく」と日本政府筋は述べている。
Reporting by Tim Kelly and Nobuhiro Kubo; additional reporting by Linda Sieg; Editing by Gerry Doyle

C-130供用期間は80年間に:米空軍の改修策の内容

記事を見ると現行J型でもすでに機体強化策が必要な機体が生まれそうですが、H型(航空自衛隊)さらに中古のR型(海上自衛隊)を運用中の日本も無関心ではいられない内容ですね。機体が頑丈なハーキュリーズもB-52やKC-135とならび「超高齢」機材の仲間入りするのでしょうか。



Massive Overhaul to Keep Classic Air Force C-130 Flying for 80 years into 2030s

米空軍はC-130を80年間供用し2030年代まで飛ばすべく大幅改修を実施




By Kris Osborn - Warrior Maven
空軍は実戦で実証済みの1950年代製ロッキード・マーティンC-130を2030年代まで運用する予定でその先でも稼働させるべく多段階の技術改修を実施し、兵員輸送や戦闘支援ミッションを今後も展開したいとする。
同機は初飛行の1950年代以降に数多くの技術改良や性能向上策を受けているが、供用期間が80年超となるのが空軍案からわかる。
空軍は新型プロペラ、無線交信装置、タッチスクリーン表示のグラスコックピット、デジタルエイビオニクス、衝突回避技術の採用に加え強化型「ウィングボックス」を同機に導入する。
中でも機体強度が重要で「センターウィングボックス」を交換・強化するという。
「C-130のセンターウィングボックス交換では現行機で耐用年数がなくなってきたものから対応します。旧型C-130で交換作業がはじまっており、C-130Jでも飛行時間に応じ今後実施します」と空軍広報官エミリー・グラボウスキ少佐が本誌に語ってくれた。
またC-130で保守点検改修を実施する際に機体状況の評価を行い、機体が供用期間で一定に達するとウィングボックスを交換しているという。
同機が実際の運用で受ける疲労摩耗状態は高度や運用の個別状況で異なるので個別評価が必要になる。低空飛行を続けると機体の負担が三倍四倍になるという。
エイビオニクス近代化には8.33無線交信装置があり、コックピット内のボイスレコーダーとデジタルデータレコーダーが付く。また空中衝突回避技術が進歩したことで安全性も高まる。
C-130は低空飛行性能のほか、より過酷な環境での稼働に耐え、悪天候下でも運用できる特徴がある。プロペラ方式のためエンジンにデブリなど飛行中のトラブルが少ない。
これに対しC-17の運用条件の幅は狭く、滑走路も長く整備されていることが条件だ。飛行中にデブリ他でエンジンに損傷が発生する可能性もあるが、C-130なら低空運用で高リスク戦闘状況での投入も可能だ。厳しい状況を「ホット」戦闘地帯と呼ぶがC-130は物資投下、補給輸送の他兵員投下まで幅広く行ってきた。
そこで空軍はC-130に導入ずみの流体力学応用のプロペラ制御を電動プロペラ制御方式Electronic Propeller Control System (EPCS)に変更する。
「エンジンはT-56の3.5、プロペラ8枚としEPCSを導入することは運用テスト中で評価をフロリダ州エグリン空軍基地で行っています。これまで個別の改良として試験してきましたが今や統合して運用上の効果があるかを検討しています」(グラボウスキ少佐)
州軍協会がまとめた論文では電動プロペラ制御方式への変更で以下の利点を伝えている。
「EPCSで加速反応時間が短縮されて安全性が向上しつつスロットルとの反応時間の差から生れた事故が回避できる。現在のプロペラ制御技術は1950年代のもので保守コストを押し上げている」と2015年に議会に向けて書かれたC-130推進系改修を訴えるペーパーにある。
加速性能が上がれば戦術面でも効果が生まれる。操縦性が高い機体は敵の対空ミサイル攻撃にうまく対応できるからだ。
EPCSのメーカーであるハミルトン・スタンダードは「EPCSはデジタルコンピューター方式のソフトウェアを使い信頼性が向上し精密な操作が実現します。EPCSはこの50年間で生まれたプロペラ制御技術の進歩を具体化したものです」と説明。
1999年にユナイテッドテクノロジーズによる米特許申請電子式プロペラ制御装置があり、プロペラのブレードで「ピッチアングル」制御を実現するとある。スロットルからの加速反応性が高まり、プロペラ制御部とブレードの連結性が最適化される。ピッチアングルの安定度は機体の水平軸-垂直軸間の角度で測り、機体性能の実現と飛行の安定性に不可欠な要素だ。
「同装置でプロペラの機械式入力および機体からの入力を電子信号に変換し、電子制御する。同装置は電子油圧サーボ弁で電子制御の指示を油圧や流体変化に受信・変換する」と同特許の要約説明にある。■


2018年7月2日月曜日

大西洋横断飛行に挑戦するMQ-9Bスカイガーディアン

MQ-9B SkyGuardian to Highlight Endurance With Trans-Atlantic Flight MQ-9Bスカイガーディアンが大西洋横断飛行で長時間飛行性能を実証へ


General Atomics’ MQ-9B SkyGuardian (Photo: General Atomics Aeronautical)
General Atomics’ MQ-9B SkyGuardian (Photo: General Atomics Aeronautical)

Military.com 26 Jun 2018 By Oriana Pawlyk

高度飛行用MQ-9Bスカイガーディアン無人機が初の大西洋横断飛行に挑戦する。これは7月のロイヤルインターナショナル・エアタトゥーに参加するためとメーカーのジェネラルアトミックスが発表した。

同社によれば遠隔操縦機(RPA)のスカイガーディアンは同社のノースダコタ州グランドフォークス飛行テスト施設から英国フェフォードRAF基地へ飛行する。

「RPA長距離飛行で新標準を示したい」と同社CEOリンデン・ブルーLinden Blueが述べている。

「RAF100周年に当社としてRAFのイノーベーションの戦闘を走る姿をこのフライトで祝いたい」

MQ-BとはジェネラルアトミックスのプレデターB型の派生機で海洋情報収集・監視偵察型のシーガーディアンの最新型だ。RAFはスカイガーディアンを導入予定と同社発表にある。

スカイガーディアンは最近のテストで連続48時間フライトに成功し、予定の40時間を上回った。

MQ-1プレデターやMQ-9リーパーとの比較ではMQ-9Bの時速は240マイルで損傷や悪天候に耐える設計となっており、飛行制御ソフトが一層強化されたのが特徴だ。

その一環でバードストライクや落雷でも飛行可能だ。

同機は英国航空当局や米連邦航空局の要求水準に合致しており、今後はNATO標準型式証明取得をめざす。

「型式証明取得は衝突回避システムの強化とともにあらゆる民間空域での無制限飛行に道をひらくことになります」と同社は発表している。■

-- Oriana Pawlyk can be reached at oriana.pawlyk@military.com. Follow her on Twitter at @oriana0214.

2018年7月1日日曜日

★C-2のELINT改造機体が入間基地に飛来(6月26日)

C-2運用が始まったとたんに電子偵察機型が登場したのはISR機材の整備がそれだけ待ったなしということの裏返しでしょう。本ブログがかねてから主張しているISR機能の重要性がわかりますね。

Footage Of Japan’s New Kawasaki C-2 ELINT Variant Operating From Iruma Air Base Emerges

C-2ELINT改装機が入間基地へ飛来


Jun 27 2018 -


崎C-2電子偵察用改装機材「RC-2」の入間基地での運用をとらえた画像を入手した。



C-2戦術輸送機を原型とした同機では機首、尾翼上部に改装の他機体下部に各種アンテナがみられる。機体番号18-1202の同機が2018年2月から航空自衛隊飛行開発実験団および川崎重工工場がある岐阜基地でタキシーテスト、飛行テストをしている様子が目撃されていた。C-2ELINT機は老朽化してきたYS-11EBと交代する


C-2 ELINT試験機18-1202. フェアリングが追加されていることがわかる。このスクリーンショットでは機体下部の各種アンテナは見えない。 (Modified screenshot from video below).


6月26日、「RC-2]が入間基地に飛来した。同基地にNAMC製YS-11EB電子偵察飛行隊が本拠を置く。


このC-2改装機の実態は不明だ。ELINT/COMINT(電子情報収集・通信情報収集)機材と思われるが遠距離で信号を集めデータを加工し分類し発信地点を把握して情報をその他機材へ提供共有する機能があるはずだ。各国のスパイ機同様だろう。
C-2ELINTに交代するのがNAMC製YS-1EBだ。(Credit: Toshi Aoki – JP Spotters)


注目すべきは入間基地への初の移動がADS-B/Mode-Sトランスポンダーで追尾されたことだ。本誌の友人@CivMilAirが同機の岐阜基地から入間基地への6月26日フライト情報を入手したので次に示す。
The part of track showing the C-2 ELINT on its way to Iruma Air Base. (Credit: @CivMilAir)
Top image: screenshot from @amuro1415 video on Twitter.

トランスポンダーは途中から作動させたのでしょうか。YS-11EBはエンジン、プロペラを大幅改造していますね。

2018年6月26日火曜日

KC-46Aの米空軍向け引き渡し開始時期がやっと決まった

難航してきたKC-46Aですがまず18機の納入でめどがつきました。残りの機材は別途契約ですが、全機そろうのに相当時間がかかりそうです。技術の向上でKC-135のようなはらばいのクルーによるブーム操作の職人芸は不要となり、コックピットから給油を操作できるのはすごいですね。気になる自衛隊向け機材ですが経費負担が想定外のボーイングはいったい日本向け価格をどうはじいてくるのでしょうか。高い買い物にならなければいいのですが.....

Aerospace Daily & Defense Report

USAF, Boeing Agree To KC-46A Tanker Delivery Schedule 米空軍、ボーイングがKC-46A給油機引渡し日程で合意形成

Jun 20, 2018Jen DiMascio | Aerospace Daily & Defense Report

KC-46A: Boeing

空軍とボーイングはKC-46A給油機の引渡し開始時期を2018年10月とすることで合意した。
この合意で次はアイゼンハワー時代のKC-135給油機に交代する機体が二十年を経て登場することになる。
ここまで来るまでこと自体が同機事業の特徴そのものだ。単純と思われたにもかかわらずもっと困難だと判明したのは民生用に大量生産生産された機体に給油能力を付与することだった。
米政府は2001年9月11日にペンタゴンや世界貿易センターへのテロ攻撃直後に新型給油機導入を表明。だが35億ドルで18機を生産する契約がボーイングに交付されたのは2011年のことだった。
「空軍はボーイングのKC-46Aチームと共同で作業し第一期分18機の納入予定で合意に至りました。運用型KC-46A一号機は2018年10月に納入され、残る17機は2019年4月までに納入を完了します」と空軍次官マシュー・ドノヴァン Matthew Donovan が発表。「KC-46Aのフライトテストはほぼ完了していますが重要な仕事が残っています。空軍はKC-46Aの納入開始に期待しつつボーイングと事業の加速化を図ります」
ボーイングも同じ感触だ。同社はKC-46約30機の生産に入っており、納入開始を待つ状態だ。
「当社も引き渡しに非常に興奮している」とボーイング・ディフェンススペースアンドセキュリティ社長リーアン・カレット Leanne Caret が述べている。
毎月三機の納入ペースは空軍想定とほぼ同じだ。
だがここまでの道は険しかった。ボーイングは税引き前30億ドルを自社負担をしている。固定価格制契約で政府に超過支出を発生させない仕組みのためだ。それでも日程遅れの発生は止められなかった。米会計検査院によれば当初の開発契約でボーイングはこの18機を2017年8月納期で引き渡すはずだった。
日程遅延に加えボーイングと空軍は技術をめぐり対立し、遠隔画像装備のセンサーで操縦席から給油を行うのだがこれも対立の種となった。空軍は給油ブームが一定の飛行条件で被給油機の機体表面に接触し削る現象に憂慮した。ボーイングは軍の要求水準に合致と主張。4月になりボーイングは初号機納入までにソフトウェア改良すると合意した。
作業は進行中でボーイングと空軍担当事務局は欠陥解消を目指している。「ボーイング開発の遠隔画像視認システムのソフトウェア改良作業は開始されたところでボーイングとKC-46A推進室は追加飛行テストで現在の設計内容が軍用用途に耐えるかを見極める」と空軍は述べている。「ボーイングの研究部門によるテストでは機体中央のドローグシステム改良も続けている。改良内容の飛行テストでの検証は2018年9月開始となる」
今回の教訓を尋ねられたカレットは「双方に明らかな教訓が生まれた」と述べ、ここまで複雑な内容のため関係者全員が同じ内容を理解する必要があると述べた。

「ここまで難易度の高い事業を進めると時間経過とともに関係者間の関係が気まずくなることがあります。とくに今回は長期にわたる事業となりました」とカレットは述べ、「ボーイングだけでなくほかの事業者にとってもこのような事態は異例ではありません。単純に困難な内容でした。双方がこの機体を戦闘部門が使う事態を想定し思いを共有しました。そして困難な要素を除去して行ってはじめて視野が広がったのです。そこまでが大変でしたがその後は解決はずっと楽になりました」■

2018年6月25日月曜日

イラン攻撃の準備に入ったイスラエル、変わる中東の勢力地図



Israel Spends With Eye On Iran Strikes In Shifting Mideast イラン攻撃を視野にイスラエルの装備増強は中東情勢の変化が背景



By ARIE EGOZIon June 21, 2018 at 2:47 PM


Israeli rampage missile


スラエル軍が新型装備調達に動いており、イラン攻撃の想定とみられる。イランが核兵器開発を再開した場合を想定しているようだ。
すでにイスラエルは20億ドル以上を投じてイラン攻撃準備に入っていると伝えられる。
イスラエルのショッピングリストには新型空中給油機のほか新型兵器にランページRampageミサイルがあり、イスラエル軍事工業企業体(IMI)とイスラエル航空宇宙工業(IAI)が発表したばかりの長距離強襲ミサイルで両社の共同開発だ。
ランページはイスラエル空軍F-35が発射する想定だが同空軍の他機種ほとんどでも運用可能だ。両社によればランページは指揮命令所、空軍基地、整備施設、インフラなど高性能対空装備の防御をうける重要施設攻撃に最適化されている。
IAI、IMI両社によればランページの自重は570キロで全長4.7メートル、射程は150キロという。
イスラエル国防相アヴィゴドール・リーバーマンAvigdor Liebermanからは米国のイラン核合意脱退直後にイランは合意に残るのではとの発言があった。
「イランは綱渡りをしており脅迫まがいの言動も出ているが、合意そのものを反故にすることはないのではないか。というのもイランには激しい攻撃を受けることが分かっておりその場合イラン経済そのものが立ち行かなくなるからだ」
ただしだからと言ってイスラエルがイランの脅威を黙ってみているつもりはないという。「イラン対策の選択肢を下げたことはない。すべての選択肢はテーブルの上にある」
イスラエルが新兵器導入を決めたのはトランプ大統領が核合意脱退を決めたのがきっかけだが、そもそもイスラエルが攻撃力増強をめざす背景には中東の戦略地図再編がある。
イラン、サウジアラビアがこれまで長期にわたりイラクからシリアにかけて覇権をめぐり秘密のうちに戦闘を繰り広げていることが知られ、範囲はレバノンからイエメンにもひろがっている。
トランプ大統領はサウジアラビア支援を公言しイランの影響力封じ込めを狙う。サウジはトランプのイラン核合意脱退を称賛している。サウジからすれば合意は意味のない紙きれにすぎない。イスラエルも同じ見解だ。
イスラエル国防省で軍事情報研究部門に勤めた経験のあるエイモス・ジリード Amos Gilead はBreaking Defenseにイランはトランプの脅かしに屈しないと語る。「核合意はイラン側に有利に働き、あと十年もすれば核兵器保有が現実になります」
米国のイラン核合意脱退でどんな影響がシリア情勢にでるのか。イランはシリアに戦闘要員多数を送り込んでいる。
「イスラエルはイランがシリアに足場を築くのを容認できません。ロシアもシリアへの過度の影響力をイランに持たせないのが得策とみています」(ジリード)
ではイスラエルとロシアが協調してイランのシリア国内での勢力増強を食い止められるのかとジリードに尋ねてみた。「イスラエルからロシアにシリア国内のイラン軍攻撃予定を事前に教えることはありません。ロシアは信用できません」
だがイスラエルはイランを核兵器の観点以外にイスラエル-シリア国境での軍事力増強も重視している。
IDF(イスラエル国防軍)はイランのシリア派遣部隊への攻撃を繰り返している。イラン輸送機が貨物を下した直後に攻撃することもある。
一方でイスラエル情報部は欧米各国がイランに騙されているとの主張を裏付ける情報を集めるのに躍起のようだ。
その中で未確認報道がクウェート日刊紙アル・ジャリダに掲載されイスラエルのF-35戦闘機がイラン領空に侵入したという。
イランは同報道を否定したが、数日後にアリ・ハメネイAli Khamenei 最高指導者はファルザド・エスマイリ准将Brig. Gen. Farzad Esmaili をイラン防空軍司令から更迭している。アリレザ・サバヒ・ファルド准将Brig. Gen. Alireza Sabahi Fardが新司令官に就任し、最高指導者はファルド司令官は同国中央部にあるファタム・アルアンビアKhatam al-Anbia防空基地で指揮をとると発表している。
米軍はイスラエル国内基地各地に軍事物資の集積を増やしている。米軍がイスラエルに軍事装備を搬入できるのは米対外援助法で戦闘予備集積を同盟国内に置くことを認める特別条項があるからだ。同条項によれば装備品は世界各地に展開する米軍部隊が使用する一方、緊急時には集積地の国も使えるとある。もともとこの条項は韓国が米軍装備で北朝鮮奇襲攻撃に対応することを想定していた。
エイモス・ジリードによれば米軍装備品のイスラエル国内集積の狙いは米軍部隊による使用のみという。「これ以外の使途はワシントンが都度決める必要がある」とのことだ。
イスラエルと米国はイランがイランがシリア国内で攻撃を受けていることの報復で地域内軍事同盟関係国や代理勢力を使うのではないかとの点で評価が一致している。
イラン最大の成果はレバノンのヒズボラ勢力で「同国内に別の国を作った」がシリア内線で大打撃を受けているのも事実だ。苦境に立ったシリアのバシャ・アサド大統領を助けることでヒズボラは戦闘員数百名を失っている。
エイモス・ジリードによればヒズボラはレバノンからイスラエルへ発射できるロケット弾120千発がありながら抑止されている状態だという。「シリア、レバノン国内のイスラエル情報部員はヒズボラがイラン製ロケットで長距離精密攻撃能力を得るのを防ごうとしている」のだという。
中東問題に詳しいイスラエル専門家モデチャイ・ケダーMordechai Kedarによれば仮にロシアが本当にシリアからイランを追い出せばイランには大きな敗北になるという。「イランはシリアにプレゼンスを築こうと大金を投じていますが、共和国防衛隊隊員数百名がすでに戦死するという代償を払っています」
ケダーによればアサド政権の維持でロシア、米国の目標は共通しているという。「ロシアはアサドがいなければシリアが混とんとなるばかりか手が付けられない状態になるとわかっているので苦い薬も飲まざるを得ないのです」
イランはトランプ大統領の強硬策を払いのけているが、本当に自国を取り巻く脅威に目をつむれるのか。
「無理ですね。トランプはオバマと違い真剣でありイランもそのことがわかっています」(ケダー)
イエメンも同時にイランの影響力の点で見逃すことが出来ない国だ。
イエメンでイランが支援するフーシ運動はサウジが支援する政府を2015年3月に転覆させ北部地方を支援している。さらにサウジアラビアに100発以上のミサイルを発射している。
ミサイルの標的はサウジ首都でありイエメン国境近くの主要石油製造施設だ。さらにサウジの石油タンカーも狙う。
米国とサウジ主導の多国籍軍がイエメン内戦への介入を2015年に開始し、イランのフーシ向けミサイル供与を非難しているが、イランはこれを否定。
サウジ主導の多国籍軍はイエメン国内に空襲数千回をこの三年で実施し、病院学校等が被害を受け民間人数百名の犠牲が生まれているもののサウジは軍事勝利に近づけない。
サウジ政府は軍人民間人で同国国民数百名がフーシの攻撃で生命を落としたと発表。フーシは迫撃砲のほか短距離ミサイルで攻撃している。
ケダーによればイランの狙いはサウジアラビアの粉砕にあり、オバマ政権はサウジの動向は全く配慮していなかったという。今やホワイトハウスの主は交代し物事は全く違う対処を受けている、という。■