2018年7月17日火曜日

ドイツ空軍の惨状:ヨーロッパ最大の経済大国の軍事力がこれでいいのか


昨年あたりからドイツ軍の装備整備状況で芳しくないニュースが目立ちますが、病巣は前からあったのでしょうね。ヨーロッパの理想はいいのですが現実の脅威に対してしっかりとした対応はことばだけで力を入れていなかったのでしょう。政治の責任と言うより、耳に心地の良い話だけで満足し、現実に目をつぶってきた有権者に責任があるのでは。日本にとっても他山の石とすべきケースでは。

Germany's Air Force Is Dying a Slow Death ドイツ空軍はゆっくりと死に向かう

July 7, 2018  Topic: Security  Region: Europe  Blog Brand: The Buzz  Tags: GermanyAir ForcewarMilitaryDonald TrumpAir Force

ランプ大統領がめざす欧州各国に対する防衛負担増要求は失速する可能性がある。
ドイツの最新鋭戦闘機が飛行もままならない中で米軍が欧州から撤退すれば西側安全保障が目的の同盟関係は弱体化が避けられなくなる。
ドイツのスピーゲル誌の報道ではルフトヴァフェ・ドイツ空軍が保有するユーロファイター・タイフーン128機で大部分が飛行できない状態だという。
スピーゲルによれば作戦運用可能なのは10機しかない。ここからドイツがNATO内で防衛責任を果たせるのかとの疑問が生まれている。スピーゲルは「問題は複雑だ」と指摘している。
ユーロファイター全機は主翼上にセンサーを搭載し敵機や攻撃を探知しパイロットに警告することになっている。半年ほど前にセンサーポッド冷却が不十分と発覚した。自機防御の要といえる存在のため、この問題は作戦機材全てに波及し、運用可能機数が減った。
さらに「技術要員による不良ポッド交換には専用スペアパーツで冷却回路を密閉する必要がある。ただし、この対応は現在不可能となっている。メーカーが売却されてしまったためだ」とある。
タイフーンは初飛行が1994年で英国、ドイツ、イタリア、スペインの多国間協力で生まれた。ステルス戦闘機と言うよりは近接戦ドッグファイト戦闘機で上記四か国空軍で供用中だ。他にオーストリアは2020年に退役させるが、サウジアラビア肇湾岸数か国が発注している。
その中でドイツはタイフーンの作戦即応態勢でくるしんでいるとスピーゲルは報じる。「ルフトヴァッフェが把握する作戦可能機に自衛防御が機能しない機体も含まれている。訓練や演習ではこうした機体にダミーを主翼に搭載している。こうした機材はNATO管轄境界線近くでの空中監視活動のような現実ミッションには投入できない」とある。
報道通りならドイツには面倒な事態である。同時に米国にも問題となる。トランプ政権はヨーロッパに今より多い防衛負担を求めて米国頼みをやめさせようとしている。ヨーロッパは自らの手で防衛する必要を認識すべき時なのだ。
たしかに米軍も機材で問題を抱えている。直近ではB-1爆撃機が飛行停止となった。だがパイロットが酸素不足になるというF-22のような問題があっても別の機材多数が任務を引き継いでくれる。これに対しタイフーンはドイツ空軍力の中心だ。
ドイツはヨーロッパ経済の中心だが、長く続く軍事上の伝統の弱体化は明らかだ。もしドイツ空軍力が頼りにならないとしたらヨーロッパでだれが仕事をするのか。英国はフランスとともにヨーロッパの軍事強国だがブレグジットのため今後はヨーロッパ防衛への参画の度合いが減るはずだ。
ドイツはヨーロッパの要でありヨーロッパはロシアを抑え込む役目がある。米国にはヨーロッパ防衛から手を引くのは困難であり、たとえヨーロッパが自前の空軍力を維持できなくなってもそれは同じだ。空軍が飛ばないとヨーロッパは脅威に対応できず権益を守れなくなる。■
Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found onTwitter and Facebook .

Image: German Eurofighter. Wikimedia Commons

2018年7月16日月曜日

今回もリムパック演習にスパイ艦を派遣した中国

中国の身勝手な主張が次第に追い詰められていく展開になりそうです。既存秩序を乱そうとする新興勢力がどこまでなら許されるのか、どの段階で既存勢力の枠内に組み込まれるのでしょうか。習近平の中国は秩序破壊を公然と発言していますのでこのままでは米主導の体制との衝突は必至です。先ごろ台湾海峡を久しぶりに米駆逐艦が通行しましたが、中国は今のところ冷静なようです。今後、お互いに探り合いのような状況になるのでしょうか。広大な太平洋をめぐりパワーゲームが続きそうですね。では日本はどうするべきでしょうか。


Navy: Chinese Spy Ship Monitoring RIMPAC Exercise, Again 中国スパイ艦がリムパック演習を今回も監視中

July 13, 2018 2:52 PM • Updated: July 14, 2018 6:00 PM

中国AGI所属の東調級情報収集艦天王星Tianwangxing (853). 撮影時期不詳

国の情報収集艦一隻がハワイ沖合で米国主導のリムパック演習を監視中と米海軍関係者が13日金曜日にUSNI Newsに確認してくれた。

人民解放軍海軍(PLAN)の補助情報総局(AGI)所属の同艦はハワイ沖合の排他的経済水域(EEZ)で7月11日から活動中と米太平洋艦隊報道官チャーリー・ブラウン大佐がUSNI Newsに同日伝えている。

「同艦は米領海外に留まりリムパック演習の妨害はしないと予測している」「機密情報保護に考えられる対策すべてをとっている。同艦による演習への影響は出ていない」(ブラウン大佐)

同艦の存在を真っ先に伝えたのは木曜日のホノルル・スター-アドヴァタイザー紙だった。

「演習不参加国の艦船がいて演習が妨害されたらとても残念だ」とチリ海軍パブロ・ニーマン准将が同紙に語っていた。「船乗りたるものすべてプロとして行動してもらいたいものであり、こちらは今取り掛かっている仕事に専念し協調精神を育み演習の目的を達成したい」

オーストラリア報道ではオーストラリア海軍艦船がリムパックに向かう途中で中国AGIが追尾してきたという。追跡したのが今回ハワイ沖合に活動中の艦船と同一かは不明。

USNI Newsはハワイ沖合のAGI艦船は2014年のリムパックにも出現した東調Dongdiao級と見ている。2016年演習ではロシアの情報当局がハワイEEZから演習を監視していた。

PLANは今年のリムパックに招待をされず、AGIが現地に加わることは予想されていた。

2014年、2016年とつづけて米国は演習水域近くで中国、ロシア艦船を探知し、国連海洋法条約の枠内で活動していることを把握していた。

「当方は今後も航行および上空飛行の自由原則を堅持し国際法に従っていく」とブラウン大佐はUSNI Newsに語った。
.
ハワイ沖に留まる中国艦は逆に米海軍のプレゼンスを中国本土近くに展開することを正当化する効果を生むと米海軍大学校教授のアンドリュー・エリクソンがUSNI Newsに述べている。

「米国は中国に自分勝手な行動を許すべきではない。北京政府が何と言おうと、何をしようと、米軍は今後も国際法が許す範囲でいかなる場所でも作戦行動を続けていくべきだ。当然、南シナ海の水上、水中、上空を含み、世界の海洋コモンズで重要で地中海の1.5倍の広さがある現地で、いかなる国も一方的に領有宣言し他国のアクセスを制限する行動は許されてはならない」■

低コスト無人機XQ-58Aのフライトテストは今秋開始---無人ウイングマン誕生につながるのか

道路の自動運転(本当は自律運転でしょう)はなかなか実現しませんが、空の上は違います。有人機の数が減っていく中で無人機は増えそうで、有人機のウィングマンが無人機だけとなる事態がやってきそうですね。ソフトウェアのアップデートで戦力がどんどん上がるのであれば人間の経験や学習はどうなるのでしょうか。不安もありますね。

 

AFRL sets first flight date for XQ-58A

11 JULY, 2018
SOURCE: FLIGHTGLOBAL.COM
BY: STEPHEN TRIMBLE
WASHINGTON DC

期的な構想で航空戦を一変させる新型実証機のフライトテストが今秋に行われると米空軍研究実験部門(AFRL)司令のウィリアム・クーリー少将Maj Gen William Cooleyが発表した。
機体はXQ-58Aヴァルキリーで標的無人機メーカーのクラトスが制作した。同機はAFRLが進める「忠実なるウィングマン」 “Loyal Wingman”構想を体現し、低費用無人機で有人戦闘機の減少を補い戦闘能力を引き上げつつ空軍予算を食いつぶさない特徴がある。
クーリー少将は空軍協会主催のイベントでヴァルキリーにUSAF内部から「多大な関心が寄せられている」と述べた。
「基本的な考え方は戦闘航空機を非常に低いコストで作るため最新の製造技術を使い、コストを可能な限り低く抑えることだ」(クーリー少将)
AFRLはXQ-58Aを低費用消耗品扱い攻撃機材実証機low cost attritable strike demonstrator (LCASD) 事業の予算で作った。「消耗」の語を使ったのには意図がありAFRLは同無人機を一回限りの使用にしたくなかったのだ。このような装備が実戦配備されれば再利用していくが事故や敵の攻撃により喪失しても十分耐えられる水準の価格にするという意味だ。
この発想は高性能有人機のロッキード・マーティンF-22やF-35とだけではくこれまでの高性能だが高価格の無人航空戦闘機材の在り方とも対照的と言える。
AFRLではLCASDを忠実なるウィングマンとして作戦投入する構想をまとめつつあり、XQ-58Aも単独飛行するのではなく最初から有人戦闘機とペアで飛行テストを行う。
XQ-58Aの詳細は未公表だ。AFRLは同機の想像図を昨年に「画家によるコンセプト図」として公表していたが実機とはかけ離れていた。機体構造の詳細は不明だがAFRLは全長は9.14m (30ft)で翼幅は8.23 mと認めている。機内または主翼に272kg (600lb)のペイロードを搭載できるとAFRLは述べている。
2015年、2017年にAFRL予算でHave Raiderと呼ぶ実験を行っていた。ロッキードのスカンクワークスがF-16の制御系を完全自律操縦可能としたが、安全のためパイロットが搭乗していた。二回目のテストでは自律操縦F-16が新たに発生した脅威に人間の介入なしで対応していた。
USAFが忠実なるウィングマンの実現に向かうとすれば、一つの選択肢はたとえばF-16やB-1といった退役ずみ機材を活用し、コンピューターに手を加え自律操縦ソフトウェアを搭載し無人僚機として獣人機と組ませることが考えられる。だがAFRLはXQ-58Aで実証する内容で進めたいようだ。
「これまで進めてきた形で機体を製造するほうがよい。つまり低コスト消耗品扱い機体だ」(クーリー少将)■

2018年7月15日日曜日

F-35B搭載のUSSエセックスが沈黙のまま太平洋へ出動したのは中国へのメッセージ

The US Navy just quietly sent an F-35 aircraft carrier to the Pacific — and it signals a big change米海軍が沈黙のままF-35搭載空母を太平洋へ出動させたのは大きな変化のあらわれか


f 35bUSSアメリカ艦上で兵装満載のまま短距離離艦を始めるF-35B。 Lockheed Martin
  • 米海軍が小型空母USSエセックスを西太平洋に出動させた。米海兵隊所属のF-35B共用打撃戦闘機を搭載している。この事実は公表していない。
  • 米国はF-35展開を通常は大々的に宣伝するが、今回は沈黙を保っているのは大きな変更を意味するのだろう。
  • 米国には西太平洋に主要敵対国数か国があり、その動きへの対抗上今回は作戦運用を広報活動より優先したのだろう。



海軍がF-35配備の動きを宣伝してきた従来の慣行を破りジャンプジェット空母USSエセックスを西太平洋に同機満載し秘密のうちに派遣した。厄介な敵対国対策で米国の対応方法に変化が生まれることを示唆しているようだ。
USSワスプが今年先に米海兵隊所属F-35B部隊を搭載する初の小型空母になった際にはメディア報道があった。だがエセックスの出港では変化がみられ、海軍当局は出港後に事実発表したとUSNI Newsが報じた。
大小問わず空母含む主力艦を米海軍は世界各地に派遣しているが今回のような形の出動は以前に一回あったのみだ。
F-35は史上最高額の兵器システムとなったが費用の膨張や遅延で繰り返し批判を受けてきた。海兵隊運用のF-35Bは垂直着陸と短距離離陸が可能で、強襲揚陸艦で運用できる。AV-8Bに後退して対地対空攻撃ミッションを実施する。海軍用のF-35Cには拘束フックがついており空母着艦ができる
当然ながら米軍は最新ジェット機を見せつけることに熱心であり、ステルスと高性能センサー制御により航空戦を革命的に変えると豪語している。ただしこの広報活動を今回行わず作戦面を重視したようだ。
海軍としてはメディアが太平洋への艦船派遣について期待する内容を変えたかったのだと消息筋がUSNI Newsに語っている。
米軍は艦船派遣特に空母展開を数か月前から宣伝することが通常だが今回極秘のうちに事を進めたのはこの慣行に反する。

では米海軍は太平洋で何を隠そうとしているのか。

USS Ronald Reagan Navyルソン海峡を通過するUSSロナルド・レーガン(CVN 76) の飛行甲板。Mass Communication Specialist 3rd Class Ryan McFarlane/US Navy
米国には太平洋に主要敵対勢力がある。中国とやや規模は劣るが北朝鮮だ。
北朝鮮との対話が進行中でもあり、米国としては西太平洋への部隊展開について口を開きたくないのだろう。ことに次世代ステルスジェット機が展開すれば目立つ動きで北朝鮮を刺激することになる。
ただし米国に最大の脅威を与えているのは中国海軍であり、これが米海軍が沈黙を保った理由だろう。
日本に前方配備中の空母USSロナルド・レーガンが南シナ海を哨戒航行したが、米国はこの件を極力発表しなかった。Business Insiderは繰り返し本件のコメントを求めたが無視されたままだ。
米国は海軍を使い「航行の自由」作戦を展開している。基本的にある国が過剰な海洋領有権を主張した場合、米国は駆逐艦一隻を航行させその主張を認めていない意思を伝えている。
中国はこうしたパトロール航行を自国主権の侵害ととらえ排除しようとする。米国にとって中国の主張に対抗することが通常となり報道の価値がなくなる方が得策だ。一部には米国は中国の軍事力に対して報道なしでメッセージを伝えたかったのではないかとの見方がある。報道されると事態がエスカレートしかねないからだ。

これだけの規模の出動を広報せずに行い、米国は中国のコートにボールを打ち込む準備が出来ていると伝えたいのではないか。高性能軍事装備でにらみを利かせ報道発表の代わりに海軍部隊同士で事態に対処したいと考えたのではないか。■

2018年7月12日木曜日

このまま日本の防衛産業は弱体化していくのか

Japan Snubs Homegrown Weaponry to Buy From the U.S. 米国製武器購入を優先するあまり国内産業を冷遇する日本

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2018年7月11日 5:00 JST Updated on 2018年7月11日 15:18 JST
本の消費者が米国製自動車を大量に購入してドナルド・トランプが喜ぶ事態の実現する可能性は限りなく小さいが、安倍政権が防衛費を歴史的な規模に拡大していることから日米貿易で米大統領に大いに期待できる側面が生まれてきたと言えよう。
日本による米海外軍事販売制度を通じた調達は人件費除く日本の防衛費で今年は16%相当にまで拡大しており、2014年度から倍増になっている。これは公表データからブルームバーグが独自試算したものである。
更に高性能米製レーダー、ジェット戦闘機、ミサイル防衛装備を今後導入する予定があり米防衛産業界が数十億ドル単位の売上を期待する一方、日本側各社は今後もたいした売上増は期待できない。というのは規模の経済により国産技術が一層高価になっており、安倍政権としては費用対効果を追求せざるを得なくなっているためだ。
トランプ大統領は昨年11月の日本訪問で安倍首相に「大量の軍事装備」を米国から導入するよう迫った。日本は言われる前にすでに防衛支出を5.2兆円(470億ドル)と記録的な水準にひきあげており北朝鮮の核武装に対抗しようとしている。
トランプにとって不本意ながら日本は米国からの乗用車輸入は2017年で5.3億ドルにとどまる中で米国は日本製乗用車トラックを398億ドルも買っているのだ。軍事部門以外では日本は液化天然ガスなどエネルギー調達を増やす勢いだ。2017年で日本の米国からの最大の輸入品は農業製品、化学製品、機械類だった。
米製装備品が優先的に選択されているため日米両国の各部隊の共同運用が簡単になっているが、米製装備品を完成品で導入すれば国内部品メーカーの雇用にはつながらず、結局各社が撤退する結果となると三菱重工業執行役員の阿部直彦は見る。同社は日本最大の防衛事業契約企業で戦闘機、ヘリコプター、艦船、ミサイル他を製造する。.艦船の国内建造には外的脅威はさほどないが、航空機ではコストが大きな要素になっている。
.財務省からは国産輸送機C-2より性能は劣るが価格が半分以下のロッキード・マーティンC-130Jに切り替えるべきとの提言がでている。C-2は川崎重工業製で今年も2機が導入される。
日本は老朽化進むF-4の代替用にF-35A導入を急いでいる。国内メーカーにとって次の正念場はF-2後継機をどこで作るかだ。
.F-2生産は2011年に終了してたが、その前から部品メーカーに防衛事業から撤退の動きがでていた。住友電工は2007年に防衛省関連の事業を終了し、ヨコハマタイヤは航空機用タイヤの防衛省向け納入を終わらせている。2016年には防衛産業向け供給実績のある72社中52社が関係パーツメーカーが事業閉鎖したり供給をストップした事態に遭遇したと政府調査に回答している。
F-2退役は2030年から始まるが、三菱重工やIHI含む数社がX-2高度技術実証機を製造し、後継機の国産製造の可能性を示した。「国内産業の生き残りをかけて開発は国内主導で行わせてもらいたい」と三菱重工の阿部執行役員が報道陣に先月語っている
X-2が2016年に飛行試験に成功したことから国内産業に国内開発能力が十分にあることが証明されていると阿部は指摘。だが時事通信が3月に防衛省は国産開発はコスト高を理由に断念したと伝えていた。
小野寺五典防衛相はこうした報道内容を否定したものの防衛省は海外企業との共同開発を模索しているのは事実だ。ロイターは日本が欧米メーカーに情報提供を求めていると伝えている。
.与党自民党の一部には防衛予算は国内産業界の支援に使うべきとの意見もある。自民党国防部会長の若宮健嗣からは5月に国内企業支援により海外との競争力拡大を図ることが重要との認識が示されていた。
.同じ自民党から6月1日に安倍首相に対してさらなる防衛費増額を求める意見が提示された。日本の防衛費は国内総生産の1パーセント未満で、北大西洋条約機構加盟国の目標2%よりはるかに少ない。
コスト削減のため若宮は防衛装備品の輸出拡大で生産量を確保する必要があるとするが、今までのところ輸出の成功例は皆無に近い。

コスト以上に情報開示に厳しい制約が課せられていることが原因と指摘する声もある。防衛産業各社は「歯がゆい思いをしつつ努力してきたが限界に近づきつつある」という。■

2018年7月9日月曜日

米海軍駆逐艦が台湾海峡を通過航行(7月7日)



貿易摩擦、知的財産侵害、さらには北朝鮮やイランへの米方針への公然たる非追従、また国際秩序を塗り替える動きを隠さない(現状維持を変える勢力は危険な国家扱いとなります)中国に対し今年に入ってからの米政権の動きは急ピッチで厳しさを増していますね。貿易制裁で打撃を受けるのは中国ですが、我慢比べの様相を示してくるでしょう。台湾海峡は自国の領海とまさか中国は思っていないはずですが、しっぺ返しで日本の国際海峡に中国艦船が侵入する事態も考えられ、今後警戒態勢を強める必要がありますね。


Two U.S. Destroyers Sail Through Taiwan Strait 米駆逐艦二隻が台湾海峡を航行

July 7, 2018 6:56 PM

USS Benfold (DDG-65) and USS Mustin (DDG-89). US Navy Photo

海軍誘導ミサイル駆逐艦二隻が週末に台湾海峡を航行した。米国防関係者がUSNI Newsに土曜日にこの事実を確認した。

日本配備の駆逐艦USSマスティン (DDG-89)、USSベンフォールド (DDG-65)が現地時間7月7日に台湾海峡(巾110マイル)に進入した。

「米海軍艦船二隻は台湾海峡の国際海域を7月7日から8日にかけ通常の形で通行した」と太平洋艦隊広報官チャーリー・ブラウン大佐がUSNI Newsに土曜日伝えている。「米海軍艦船は南シナ海、東シナ海で長年にわたり航行しており、台湾海峡通過も行っている」

ブラウン大佐はこれ以上の詳細を明かしていない。台湾国防省は現地報道機関に対し米駆逐艦隊の行動を台湾政府把握していたと明らかにしている。

人民解放軍海軍が両艦の海峡航行に対し何らかの対応をしたのか関係者は明らかにしていない。南太平洋で行動する米艦船にはPLAN艦船の追尾監視が通常だ。中国政府の支配下にある環球時報から中国艦船が追尾したとのツィートが出ており、「米国は台湾海峡の緊張をあおっている」とし、「PLA海軍はこの事態を把握しつつ自制したと軍関係者が述べている」とある。

米艦船の台湾海峡航行は2017年7月以来となった。前年には日本配備のUSSジョン・S・マケイン(DDG-56) が同海峡に入った。米空母の航行では2007年のUSSキティー・ホーク(CV-63)が最後となっている。

今年6月にペンタゴンが定期的な艦船による台湾海峡通行の再開を検討しており、その狙いは台湾支持を目核にすることとロイターが伝えていた。中国は台湾周辺で軍事演習を今年になり強化しており、台湾は独立国でなく分離したままの国内省と中国は見ている。■

2018年7月8日日曜日

特報 ノースロップ・グラマンがF-3開発に食指を動かしている

急に出てきたニュースです。まさかF-22に負けた意趣返しでF-23がここで復活すればゾンビーのような話になりますが、さすがに当時から数十年たった設計案をそのままもってくることはないでしょう。ノースロップが果たしてどんな提案をしてくるかが注目されそうです。F-3は国産開発を断念したようですね。


Exclusive: Northrop Grumman angles for role in Japanese stealth fighter program - sourcesノースロップ・グラマンが日本の次期戦闘機事業参画を狙っていることが内部筋から判明



TOKYO (Reuters) - ノースロップ・グラマンが日本の新型戦闘機開発に関心を示しており、ロッキード・マーティンに戦闘機選定で敗れてほぼ30年たち今回も高性能ステルス戦闘機で雪辱を狙う。
「ノースロップは関心を示している」と今回の選定に詳しい日本筋が述べている。ノースロップは日本の求めに応じ情報開示しており、日本側防衛関係者とも初回の打ち合わせをすましているという。
.同社は次世代戦闘機F-3開発で同社として提供可能内容のメニューを日本に示したものの具体的な提案は出していないと関係筋が述べている。
同社が参入すればF-35ライトニングIIとF-22ラプターの両機を原型としたハイブリッド型ステルス機案を提示するロッキード・マーティンに正面から挑むことになる。F-22はノースロップのYF-23ブラックウィドウ実証機を破り1991年に米空軍の制式戦闘機に採用されている。
F-22輸出は禁じられており米空軍のみで供用中だが、日本はF-35計42機を発注している。この発注機数は増やされる見込みで空母運用に向いた垂直離着陸型がここに含まれる。
ノースロップ・グラマン社から今のところコメントは出ていない。
同社とロッキード・マーティンはともに機体技術の機密内容を日本へ提示する前に米政府承認を得る必要がある。
日本はボーイングへも提案を求めており、欧州の防衛企業からも共同事業含む提案を期待している。このうちBAEシステムズはタイフーン高高度迎撃機実現の中心企業で同社からは提供可能な技術リストが日本政府に開示されたと内部筋が明かしている。
海外の共同事業体が確保できれば日本としても開発コストが400億ドルといわれるなかで負担軽減につながり技術も入手でき、一から開発しなくても済む。
ただし日本政府としても日本国内企業各社にF-3で一定の関与を実現させたいとし、エイビオニクスや飛行制御系のハードウェアでの作業を想定しており、このうちエンジンではIHIが開発中だ。
F-3開発に参加する海外企業は三菱重工と共同作業することになる。三菱重工の戦闘機開発事例は20年前のF-2が最後でロッキード・マーティンとの共同事業だった。
三菱重工が手掛けている日本向けF-35組立ではノースロップ・グラマンも機体表皮など一定の関与をしている。またE-2ホークアイ早期警戒機、グローバルホーク無人機も日本が導入した同社製品だ。
ノースロップ・グラマンはB-2スピリットステルス爆撃機を製造したほか、新型B-21ステルス爆撃機を米空軍向けに開発中だ。同社製戦闘機で最後の機材はF-14トムキャットで米海軍では2006年に用途廃止されたがイラン空軍が供用中だ。
今のところ日本がF-3開発をいつ正式スタートするのか不明だ。日本側関係者は中国やロシアの領空侵入を防ぐために2030年代中頃の配備を期待している。
F-2開発に携わった技術陣で多くが定年退職をまもなく迎えることもあり、日本は一両年中にも事業開始させ必要な技能を活用したいとする。■

Reporting by Tim Kelly and Nobuhiro Kubo; Editing by Gerry Doyle

2018年7月6日金曜日

米海軍の次期CODとしてCMV-22導入が実現に向けて進展

Navy Buys First V-22 CODs as Part of $4.2B Award to Bell-Boeing米海軍がCOD用V-22導入へ 42憶ドル契約がベルボーイングに交付


July 2, 2018 7:05 PM • Updated: July 3, 2018 12:19 PM

Artist’s concept of CVM-22s in flight. Bell-Boeing Image


海軍がCMV-22初号機を購入し、オスプレイを42億ドルで改修し空母補給用機材(COD)として導入する事業が動き始めた。


改訂版契約でベル-ボーイングがCMV-22Bオスプレイ39機を生産し海軍に納入する。その他海兵隊向けにMV-22Bが14機、CV-22B一機が空軍向け、日本政府向けMV-22Bが4機生産される。

このうち米海軍向け機材は現行のC-2Aグレイハウンド・ターボプロップ輸送機27機の代替用だ。C-2は1960年代から海軍のCOD機材として投入されている。米海軍はグレイハウンド後継機としてオスプレイ導入を2015年に決めた。

今回の改修作業は2016年交付のベル-ボーイング向け総額151百万ドルに続くものでV-22のCOD任務運用に向けた改装検討は終わっており、今回は航続距離延長用の燃料タンク追加や高周波見通し線越え無線交信装置の整備が含まれる。

米海軍はオスプレイCODの初期作戦能力獲得を2021年、艦体運用開始を2020年代中頃と期待する。10年未満で空母に向かう補給品、郵便物、航空機エンジンの他訪問者含む人員がジェットコースターと逆の方向に感じるあの爆発するような衝撃、つまりグレイハウンドが拘束フックをつかむ際のショックを感じずに着艦できるようになる。逆にオスプレイが波にもまれる空母艦上に着艦するのが今後は普通となる。オスプレイ導入で空母打撃群のCOD活用方法も変わる。

「V-22導入で艦隊の運用能力が拡大する。空母に加え小型艦にも貨物人員の搬送が可能となるからだ」と海兵隊運用テスト評価第一飛行隊(VMX-1)司令(当時)のブレット・ハート中佐が2016年語っていた。「空母の飛行甲板があいて、その分だけ空母は作戦支援機材の運用を増やせる」■

The following is the full text of the corrected Department of Defense contract announcement:
Bell Boeing JPO, Amarillo, Texas, is awarded $4,191,533,822 for modification P00008 to convert the previously awarded V-22 tiltrotor aircraft advance acquisition contract (N00019-17-C-0015) to a fixed-price-incentive-fee multiyear contract. This contract provides for the manufacture and delivery of 39 CMV-22B aircraft for the Navy; 14 MV-22B aircraft for the Marine Corps; 1 CV-22B for the Air Force; and 4 MV-22B aircraft for the government of Japan. Work will be performed in: Fort Worth, Texas (30.08 percent); Ridley Park, Pennsylvania (15.22 percent); Amarillo, Texas (12.73 percent); Red Oak, Texas (3.33 percent); East Aurora, New York (2.55 percent); Park City, Utah (2.20 percent); McKinney, Texas (1.33 percent); Endicott, New York (1.15 percent); Denton, Texas (0.91 percent); Rockmart, Georgia (0.80 percent); Irvine, California (0.78 percent); Rome, New York (0.76 percent); Crestview, Florida (0.72 percent); Erie, Pennsylvania (0.66 percent); Dublin, California (0.62 percent); Rockford, Illinois (0.62 percent); Tempe, Arizona (0.57 percent); Los Angeles, California (0.57 percent); East Hartford, Connecticut (0.55 percent); Minden, Nebraska (0.50 percent); Hazelwood, Missouri (0.50 percent); and various other locations within the continental U.S. (18.93 percent); and outside the continental U.S. (3.92 percent), and is expected to be completed in November 2024. Fiscal 2017 aircraft procurement (Navy, Air Force, and Marine Corps); and fiscal 2018 aircraft procurement (Navy) funding in the amount of $1,113,956,972 will be obligated at time of award, none of which will expire at the end of the current fiscal year. This modification combines purchases for the Navy ($2,847,293,666; 67.9 percent); Marine Corps ($1,038,248,567; 24.8 percent); Air Force ($75,705,989; 1.8 percent); and the government of Japan ($230,285,600; 5.5 percent), under the Foreign Military Sales program. The Naval Air Systems Command, Patuxent River, Maryland, is the contracting activity.

2018年7月5日木曜日

中国海軍の大型駆逐艦055型二隻が同日に大連で進水

China launches two destroyers with tech similar to US Navy’s Aegis system

By: Andrew C. Jarocki 

Fireworks explode next to China's new domestically built 10,000-ton Type 055 destroyer during a launching ceremony at Jiangnan Shipyard in Shanghai, China, on June 28, 2017. (Wang Donghai/Xinhua via AP)

WASHINGTON ― 中国が7月3日に遼寧省大連で新型駆逐艦二隻を進水させていたことが現地報道から明らかになった。
今回の駆逐艦055型(排水量10千トン)は人民解放軍海軍がめざす大洋型海軍戦力整備の一部だ。各艦は長距離防空、対水上戦、対潜戦に対応する設計だ。
両艦には米海軍イージスシステムに類似した多機能フェイズドアレイレーダーがつき、中国が空母戦闘群を整備した際の随行艦になるものとみられる。

中国の外洋海軍の実現に向けた野望は公然たる事実だ。2012年11月に胡錦涛主席(当時)は人民大会堂で「海洋資源開発とともに中国は海洋大国になるべく国力整備していく」と述べていた。■