2019年2月25日月曜日

中国が南シナ海で有事想定の総合演習を一ヶ月にわたり実施した

沖縄では赤土がどうのこうのという話もでていましたが、史上最大規模と言って良い南シナ海での自然環境破壊についてなぜあれだけ沖縄の自然にうるさいみなさんは黙ったままなのでしょう。不思議な話です。今回の演習で注目されるのはロケット軍の動きで、核部隊と通常型部隊を分ける動きのようにも見えます。

China just finished a month of unannounced drills in the South China Sea to test its wartime command system 中国が一ヶ月に及ぶ無通告演習を南シナ海で終了し有事の指揮統制システムをチェックした


Liu Zhen,

China's Harbin (112) guided missile destroyer takes part in a week-long China-Russia navy exercise誘導ミサイル駆逐艦ハルビンHarbin. AP Photo
  • 中国が海軍、空軍、ミサイル部隊による各種演習を南シナ海・西太平洋で展開した
  • .一ヶ月に及ぶ演習では実弾発射も実行した
  • 演習では予めシナリオを準備せず、事前通告もなく有事を意識している
中国が南シナ海で一ヶ月に及ぶ演習を展開し、海軍、空軍、ミサイル部隊を動員した。
軍事観測筋によれば演習では人民解放軍は指揮統制システムをテストし、南シナ海方面でのミサイル防衛を強化する狙いがあったという。
同海域は世界有数の通商航海路であり中国、ヴィエトナム、フィリピン、台湾、マレーシア、ブルネイの領有権主張が入り交じる。
演習には中国最新鋭艦も加わったと南海艦隊が声明を出し、誘導ミサイルフリゲート运城Yuncheng、揚陸ドック型輸送艦長白山Changbaishan、補給艦洪湖Honghuを指している。

実戦を再現した今回の演習では事前シナリオを使わず予告もださず、指揮命令はずべて実戦時の手順に沿って行ったと発表されている。
.演習では敵艦船の前進阻止、強行救助活動、実弾発射も行った。
34日にわたり展開された今回の演習は1月16日開始され、共同部隊は20回の演習を展開した。
.PLAに近い筋によればロケット軍は通信部隊を派遣し今回の演習でミサイル防衛が盛り込まれたことに対応した。また南シナ海で中国が実効支配する諸島の駐留部隊も演習に参加した。
「ロケット軍はHQ-9対空ミサイル、YJ対艦ミサイルをウッディ島の恒久施設に展開したいのだ」と匿名の消息筋が語る。
Woody Island South China Sea南シナ海ウッディ島 Reuters

ウッディ島はパラセル諸島の中で最大の大きさがあり、台湾やヴィエトナムも領有を主張するが中国が実効支配中だ。
PLAはかねてからウッディ島にミサイル陣地を構築したほか、スプラトリー諸島でも人工島を構築した。衛星画像では以前はミサイル発射台が各島に見られたが、その後撤去されている。
「中国が南シナ海に攻撃兵器を配備しないのは米国が偵察飛行を頻繁に行っているから」と同上筋は述べる。
香港在住の軍事アナリストSong Zhongpingによれば今回の演習はPLAがロケット軍の通常戦術部隊を南シナ海方面を統括する南方戦域司令部に統合させるのが目的だと見る。またPLAは指揮命令機能の改善を2015年に着手したという
「ロケット軍の核ミサイル部隊は中央軍事委員会の直轄だが通常型ミサイル部隊は有事には戦域司令部が指揮する構造だ」「今回の演習では合同部隊の指揮統制の有効性を確認する目的があったと見るべきだ」(Song)■

Additional reporting by Minnie Chan

2019年2月24日日曜日

F-15XとF-35の投入は最強の組み合わせになり相互補完で敵を排除する 



Killer Combo: The Stealth F-35 and New F-15X Joining Forces in the Sky ステルスF-35と新型F-15Xの合同部隊は空の殺人者になる

The ultimate dynamic duo? Could this happen? 究極の組み合わせになるのか。実現するのか。
February 23, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-35F-15XU.S. Air ForceAir CombatAir War


1月に今年のレッドフラッグ演習が始まり、USAF以外にも協力国部隊が現実を反映した空対空戦闘シナリオ各種に投入された。
同演習は「可能な限り現実に即した空対空戦闘」と理解され空対空戦術や技量の錬成機会としてUSAF搭乗員の役に立っている。F-35A戦闘機部隊も一部参加した。
注目されるのは今年のレッドフラッグでは従来以上に「厳しい」環境を想定し米国が完全な航空優勢を維持できない想定で、超大国あるいは大国相手の航空戦で最新の防空機材、防空装備を想定して展開した。
F-35はそのような環境を想定して生まれた機材だがどう活躍したのだろうか。
388戦闘航空団の広報資料に片鱗が伺える。F-35Aは旧型機を上回る活躍をしていたとある。
もっともはっきりした事例を388の作戦グループ指揮官が口にしている。F-35養成課程を出たばかりの若手パイロットが大規模ジャミングの中で敵を探知できたのに3千時間のベテランパイロットはできなかった。このパイロットは第4世代機を飛ばしていた。
作戦上の理由から詳細内容は不明だがF-35A搭載のEOTSあるいはDAS標的照準装備がレーダーをジャミングして探知されずに進んで来た敵を視覚的に探知した。
F-35が編隊の「目」となったと広報資料で強調しているが、F-35搭載のレーダーや光学センサーが最高性能を有することを考えるとそのとおりなのだろう。F-35にはネットワークとデータリンク機能もあり他機のセンサー信号を管理し戦闘状況を明確に整理できるのだ。その内容の「絵」を他機に伝達できる。
だが空軍が調達し始めたF-15Xにどんな意味があるのだろうか。
レッドフラッグでF-35Aが活躍した事実はF-15Xや類似事業には余り意味がない。F-35Aは戦闘機として真価を実証した形だが、F-15Xには別任務が与えられるのだ。
いずれにせよ、F-35AのEOTS装備がF-15Xの調達に意味があるのを実証した形で、同機には「リージョンポッド」が搭載される。F-15XではF-35を上回る最大22本の空対空ミサイルを搭載するという。
将来の戦闘ではF-35Aが敵に接近し探知捕捉した情報をF-15Xに送り、同機が安全な距離からミサイルを発射するだろう。F-15XとF-35Aで相互補完しながら厳しい環境での作戦運用をめざすはずだ。
F-35がこれまでのレッドフラッグで優秀な成績を残していることに注目すべきだ。2017年のキルレシオは15:1だったという。今回の演習でこれまでより厳しい条件になったのは米軍が訓練想定を変更したためだがF-35はそれでも優秀な実績を残している。■

Charlie Gao studied political and computer science at Grinnell College and is a frequent commentator on defense and national-security issues.

中国は大型ステルス爆撃機H-20以外に超音速中型戦闘爆撃機JH-XXを本当に開発しているのか

かつてのソ連同様に西側は限られた情報からともすれば存在しない中国の機体を想定し振り回されがちですが、今回取り上げたJH-XXについてはどうでしょうか。時間が解決してくれそうな気がしますが、実現すれば厄介な存在になりそうですね。


Picture This: China's Air Force Having 2 Deadly Stealth Bombers 中国空軍がステルス爆撃機二型式を並行開発しているのか

It may just happen. 可能性はある
February 20, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTechnologyWeaponsWarChina


2018年1月、DIAから出た中国軍事力年次報告書の次のくだりが国防関連インターネットウェブサイトでちょっとした衝撃を生んだ。
「PLAAFは新型中距離及び長距離ステルス爆撃機を開発中で地域内及びグローバル標的の攻撃を狙っている。ステルス技術が新型機開発の中心で2025年には初期作戦能力を獲得すると見られる」.
爆撃機が二型式で、うち制式名称不詳の「戦術爆撃機」は高解像度のアクティブ電子スキャンアレイレーダー、精密誘導爆弾、長距離空対空ミサイルを搭載するとある。
ここ数年で中国が遷音速長距離大型戦略爆撃機H-20の開発中であると明確になってきた。2018年に中国政府がその存在の一部を仄めかした全翼機形状の同機は米B-2スピリットと性能面でも類似し、西安航空機が製造元と判明した。同社は旧式H-6戦略爆撃機やY-20輸送機のメーカーでもある。
だがステルスの「戦術」あるいは「中型」爆撃機は新しい内容だ。戦闘爆撃機JH-XXとして中国国内で西安のライバル企業瀋陽航空機が提案している機体のようだが、同機は一度選定でH-20の前に敗退している。瀋陽は戦闘機製造で知名度が高くJ-31ステルス戦闘機は輸出あるいは中国海軍空母で運用されそうだ。
JH-XXの姿は2013年にリークされた。そして2018年5月に中国の航空雑誌航空知識Aviation Knowledgeが概念図を表紙にし、全長30メートル、ターボファン双発、尾翼に角度がつくところはノースロップのYF-23ブラック・ウィドウに似ており、大型爆弾倉のほか機体側面にウェポンベイがあり長距離空対空ミサイルを搭載する。この想像図が刺激となって模型やファンアートが大量に出てきた。(1980年代に『F-19ステルス戦闘機』の想像図がでたが実際のF-117ステルスジェットと共通点が皆無に近かったことを思い出す)
DIAがJH-XXを実際に開発中の機体と見る理由がはっきししない。 The Diplomatのリック・ジョーがDIA報告書の前にJH-XXの記事を書いたが開発については懐疑的だ。
「DIA報告でPLAの中型爆撃機の存在を『確認した』とあるが、昨年に筆者が記事を書いて以来情報は変わってない。『分かる範囲ではJH-XXは実際に開発されているわけでない』と書いた」
「DIA報告は一般国民が知らない極秘情報がもとなのだろうが報告書を見ると確度は低く疑わしいと見ている」とし、「公開情報や一般情報でJH-XXについて触れたものを真剣すぎる形で取り上げたのではないか」
JH-XXが実際に開発中なのかはもう少し待ち証拠となる情報を待つほうがよいようだ。
ではPLAがステルス爆撃機二機種を発注する理由は何か。JH-XXは設計上の妥協と無縁のようだ。H-20ではペイロード、航続距離、ステルスを確保する代わりに速力が犠牲になった。同機の想定は探知されずに敵空域に侵入することが基本で迎撃戦闘機やミサイルが来ても退避する操縦性はない。航続距離5千マイルで太平洋地区全域を攻撃範囲に入れ、空中給油や長距離射程ミサイル搭載の予測がある。
JH-XXでは航続距離は900ないし1500マイルと短く、ペイロードもH-20より小さいが速度はマッハ2程度と速い。ただし、そのスピードだと機体表面のレーダー吸収剤が溶融する。そのためJH-XXは目標近くでは急加速するはずで、スピードとステルスが組み合わさり防衛側は対応時間が十分に確保できない。
H-20の長距離飛行性能と大ペイロードをPLAは有益に活用できるが、JH-XXでは強固な防空体制への突破能力が実現しPLAは別の形で重宝するはずだ。
米国とオーストラリア空軍はF-111アードヴァーク域内爆撃機をかつて運用し、ステルスを除けばミッション内容はよく似ている。さらに2000年代初頭にペンタゴンはラプター爆撃機型の採用を検討したこともあり、YF-23も候補だったが結局B-21レイダー戦略ステルス爆撃機が実現した経緯がある。The Driveのタイラー・ロゴウェイとジョセフ・トレヴィシックはJH-XX構想の出自は技術文献を入手した中国ハッカーだろうと見ている。
JH-XXの高速性能は空対空ミサイルでヒット・アンド・ラン戦法をかけ脆弱な支援機材の攻撃に最適だろう。あるいは敵爆撃機の迎撃にも投入できる。JH-XXではドッグファイトは不向きだが、ステルス、スピード、ペイロードを生かして視程外距離での空対空ミサイル攻撃には十分活用できるはずだ。
もうひとつJH-XXで注目すべきは海上標的の攻撃だ。PLA海軍航空隊はJH-7「飛豹」超音速攻撃爆撃機250機を運用中だ。ステルス性能は皆無のため長距離対艦ミサイルと電子戦で対抗するしかない。ステルス戦闘爆撃機ならもっと接近でき、標的艦には防空対応の余裕が減る。ステルスを活かしJH-XXは電子戦機材あるいはスパイ機としても活用できる。海軍関係に詳しいロバート・ファーレイはJH-XXは空母搭載も想定すると見ている。
JH-XXが本当に開発中であれば、より多くの噂や写真が出てくるはずだ。それまでは超音速ステルス爆撃機の開発は疑問のままだが、模型メーカーや国防ライターがいろいろ予測を出してくるだろう。■
Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring .

2019年2月23日土曜日

M1エイブラムズ主力戦車誕生の背景と現状、今後の戦力整備について

このブログでは陸上装備はどうしても後回しになり、戦車についてもとても知識が豊富と言えないのですがこの記事を読むと戦車自体の性能はもちろんですが重要なのは運用する砲弾の性能だとわかります。


Is America's M1 Abrams Tank Hopelessly Obsolete? 

M1エイブラムズ戦車はどうしようもないほど旧式化しているのか

We have an answer.
February 12, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: M1 AbramsTanksAmericaRussiaChina



1970年代のNATO戦車部隊の欧州での状況は暗かった。次世代主力戦車開発をドイツと米国で共同で進めるMBT-70は挫折し、一方でソ連の新世代戦車が第一線に姿を表し始めていた。

米陸軍と同盟国部隊の主力戦車は老朽化したM60や同世代の戦車で機密解除のCIA文書は悲観的な表現にあふれていた。ソ連戦車は数の上でも技術面でも優れていた。

MBT-70構想が挫折したことを受け米議会は陸軍に対し新型戦車開発を厳格な予算管理、納期管理のもとで開始するよう求めた。開発構想文書(DCP)が1972年に作られ、1973年に承認された。DCPでは比較優位製の検討、タービンエンジンとディーゼルエンジンの実証結果や技術開発の同時並行進行を述べていた。

新型戦車にはXM1の名称がつき装甲と兵装の目的では最新の技術を導入することだった。米陸軍は英国が開発したチョバム装甲を採用した。

次世代の英国式110mm戦車砲とドイツ製120mm戦車砲の採用も検討対象だったが、ドイツ砲はXM1の開発完了までに完成しないと判明した。そのためXM1では120mm砲搭載を想定した設計だが105mmM68A1砲を搭載し、これはM60パットン戦車と同じ装備だ。

XM1は量産に入りM1エイブラムズの制式名称が1981年2月についた。タービンエンジンを搭載しチョバム複合材装甲、M68A1 105mm主砲を採用した。機動性、防御力のいずれも優れていたが、105mm主砲で東側の敵戦車に対して十分なのか。

M1エイブラムズのM68A1105mm主砲は装甲貫徹用にフィン安定版付きのサボ砲弾(APFSDS) 各種を発射できた。とくに対戦車用に優秀なのがM774APFSDS弾だがM735砲弾が一般的に運用されM774は1980年代通じ増産された。1983年にはM833に交替されたが各戦車に配布されたのは1985年まで待つ必要があった。M735砲弾はタングステン製で、M774とM833は劣化ウラン弾だ。

ロシアはM735、M774、M833の貫徹力をそれぞれ~250mm、~375mm、~500mmとしているが米側はやや楽観的にM774で400mm、M833は500mm超としている。M774はT-62、T-72基本型、T-64なら正面から撃破できることになる。M833はさらに高性能でT-72基本型とT-64Aに対峙できる。

だがもっと一般的なM735ではそこまでの性能はない。CIAの推定ではM735の命中撃破率はT-72基本型に前方から対決して20%だがM774だと50-70%だった。
だがM1エイブラムズの配備が始まるとソ連も最新鋭のT-64B、T-72A、T-80を配備してきた。複合装甲材を採用したため従来のT-72基本型やT-64と比べれば撃破ははるかに難しくなった。

M833なら新型戦車でも貫徹命中できると見られたが確実ではなかった。CIA文書ではT-80はM833を運用するM1より優位と見ていた。T-72Bの就航は1984年でM1にとって事態が困難になった。T-72Aより装甲が厚くなった。

それでも米陸軍はその先を見ていた。1981年3月に生産ラインからM1原型が完成しておりMIE1の呼称がつき、ドイツ製120mm砲の簡略版を搭載しM256の正式名となった。装甲を改良し、核生物化学防護装備を採用しエンジンまわりも改良した。

M1E1はさらに1984年にM1A1となり、量産一号車は1985年12月に完成した。M1エイブラムズ基本型の生産はその年のはじめに終了した。

新型120mm主砲を搭載したエイブラムズは敵に十分対応できる火力をついに獲得し、新型APFSDS弾M829を採用し、540-550mmの貫徹力があるとの推定があった。その後M829A1にかわり700mm貫徹力があるとされ、120mm主砲はさらなる性能向上の余地を示していた。

M829A1は砂漠の嵐作戦でその実力を発揮し、T-55やT-72Mをいとも簡単に撃破した。イラク軍相手では貫徹力と威力を示したがソ連のT-80UやT-72B Obr相手では撃破は無理と見られた。

その結果、陸軍はM829A2、M829A3 の開発に進み、長距離での貫徹力や大型ERA相手の効果拡大を目指した。M829A3弾が現在もM1A1やM1A2エイブラムズ戦車で広く採用されており、世界各地の戦車の大部分を撃破可能と言われ、T-72B3やT-90Aもここに含むとされる。

だが2018年に次世代戦車が出現した。新型T-90MとT-80BVMで装甲を改良しAPFSDS発射弾にも有効といわれる。T-14アルマータの装甲とアクティブ防御背装備の組み合わせはさらに効果を上げているという。

そこで米側の対応は新型M829A4で、新型重装備ERAも撃破可能と言われるが、詳しい作動原理は不明だ。M829A4には弾薬データリンクがつき、予め砲弾をプログラムし「スマート」運用が可能と言われる。

M1エイブラムズは長寿を誇る戦車となり、1985年の初登場を皮切りに120mm砲で世界で最も威力のある戦車となった。このまま今後もその地位を守れるのか、あるいは将来の敵に対応しさらに火力を増強するのか今後も注目される。■

Information about the Abrams’s development taken from M1 Abrams Main Battle Tank 1982-1992 by Steve Zaloga and Peter Sarson and M1 Abrams in action by Jim Mesko.
Charlie Gao studied Political and Computer Science at Grinnell College and is a frequent commentator on defense and national security issues.

2019年2月22日金曜日

★F-35生産工場を視察してわかったこと

いいな、オズボーン氏はフォートワース工場を視察できたんですね。F-35についてはいろいろ言いたいこともありますが、量産がペースに乗ってきたのは認めざるを得ません。西側の防衛を今後30年に渡り支える機材ですから問題は早期のうちに解決してもらいたいものです。もう一つはソフトウェアのアップグレード等でいつまで、どこまでF-35が威力を保持できるかですね。その意味では機体生産は一部にすぎず、長い目で活躍ぶりを注視する必要があると思います。




I Went to an F-35 Stealth Fighter 'Factory': Here's What I Saw  F-35生産工場視察で目に入ってきたもの



An amazing site. 驚くべき場所だ
February 14, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-35MilitaryTechnologyWorldStealth
テキサス州フォートワースにて---機体胴体部品、エンジン、その他各種パイプ、電子部品、エイビオニクスがここ狭しと積み重なるロッキード・マーティンのフォートワース工場はさながら小都市の趣があり、技術要員多数が寄ってたかって機体の生産の各段階に取り組んでいる。
主翼が垂直に吊るされ、パイプや各種ワイヤが機内内部にはりめぐらされ、小型部品多数が接続を待つ。一マイルも伸びる組立ラインに作業員、技術要員が忙しく出入りしている。ほぼ完成した機体は薄い緑色の外観だ。「ほぼ完成の」機体は気温湿度を管理したハンガーに運ばれ最終塗装の灰色を施される。
製造工程を見ていると各型の違いが嫌でも目に入る。F-35Cが一番大きく翼幅が伸び、尾翼も拡大しており空母着艦に備えている。F-35Aには25mm機関砲がステルス性を考慮して機体に一体化しているのがわかる。F-35Bは開発陣によれば価格、技術内容ともに一番上をいく機体だ。
F-35Bでは「リフトファン」が機体中央の前方、パイロットのすぐ後ろにつき垂直方向で強力な推力を生むのが特徴だ。
リフトファンが下方方向に推力を生み「ホバリング」や垂直着陸が可能となる。F-35Bは胴体上部に四角いドアがパイロット後方、リフトファン上にあり下方への空気の流れを最大化する。技術陣によれば推力は音速飛行が可能なほど大きく四段階で実現するという。エアダクトが機首両側にありエンジンに空気を送り込む。空気は圧縮されてからガス点火されることで制御された形の燃焼を発生させ、炎は後方へ排出される。ここで生まれた力により速力、機体制御、加速が実現する。
F-35Bのエンジンはロールスロイス製で説明資料によれば「STOVL実現のためが機体上部の空気の流れに垂直方向にリフトファン部品が作動する」とあり、同社によればリフトファンは向かい風最大288mphに有効だという。
F-35のステルス技術
ステルスは低視認性の意味で特殊な製造技術がすべてといってよい。詳しい技術内容は当然ながら安全保障上の理由から非公開だが公開情報でF-35のステルスを説明している資料から詳細な特徴が垣間見える。
機体外部は縫い目がなく外部構造は敵レーダーに見つけにくくなっており極秘の複合材料でレーダー波を吸収する。兵装は内部搭載で敵探知を逃れる。ステルス塗装では表面に電磁波を反射する機能がよく言及されている。
カーボン素材がステルスに有効なのはよく知られている。2016年にスミソニアン航空宇宙博物館が発表した論文では2008年にノースロップ・グラマン技術陣が1943年製のドイツのホルテン229試作機にステルス性能の原型があったのか検証したとある。同機は技術問題に苦しみテスト飛行も失敗し戦闘に投入されなかったが機体に用いた接着剤、木製素材他と「全翼機」型式がステルスだったのではと多くが考えるのは当然だ。調査の結果、カーボン状の素材が見つかり「スミソニアン博物館所蔵のホルテン229を調査したところカーボンブラックあるいはチャコールに近い物質が接着剤で混合され前縁部分に塗布されていた」とある。
F-35にどんな素材が組み合わされているか不明だが、低視認性、残存製、軽量化の一方で速力と操縦性を両立するための考慮があるのは間違いない。機体表面がなめらかなのも工学技術の応用だろう。
「ヒンジ、ボルト、ファスナー、パネルはそれぞれ密閉されておりステルスが実現している」とロッキード・マーティン所属のF-35パイロットのビリー・フリンがWarror Mavenに語っている。
敵レーダーの電子信号が反響して戻るには特定の構造が必要だ。機体表面がその特徴と別の構造ならば電磁的に信号を返さない。返ってくる信号がなければレーダーは対象機の姿を把握できない。電子信号やレーダー発信は光速での移動が知られている。光速は一定速度なので移動距離が把握できコンピュータは距離を正確に計算し対象の形状や速力も把握できる。
「レーダー、アンテナや燃料タンクといった突出部は全部隠しています。これで探知されずに弱みを握られません」(フリン)
フリンの説明ではF-35のステルス技術の源泉は湾岸戦争に投入されたF-117ナイトホークだという。「F-117でアンテナを機体に埋め込む技術を実用化しF-22にも応用されている」という。
F-35のセンサーは機体表面に一体化されており、その分敵レーダーで探知が難しいとフリンはいう。
熱排出の特徴を減らすことがステルスで重要だ。実現方法は各種あり、エンジンを機体内部に埋め込み熱排出を減らすこともある。F-35では小型冷却チューブが主翼下から胴体に走りエイビオニクスや電装装備の排熱を放散する設計だ。これでオーバーヒートを回避し温度管理も行う。温度管理もステルス性能の維持に役立つ。パイプ内を移動する燃料でも冷却効果が生まれると技術陣は説明している。
「ステルス性能を最大限生かし敵防空網を突破する。第四世代機は外側を飛ぶだけだがこちらは内部に入り近接航空支援任務を実施できる」とフリンは述べ、「センサー機能により小火器の有効範囲の外を飛べる」という。
ロッキードはこれまで360機以上を納入し、世界各地の16箇所の基地に機材が展開している。生産規模は米国や各国の需要の伸びに呼応して拡大しているとロッキードのF-35担当開発責任者エドワード・スミスがWarror Maven取材で説明してくれた。
スミスによれば当初のパートナー8カ国に日本、韓国、イスラエル、ベルギーが加わり製造開発が続いているという。「A型で機体単価80百万ドル未満にする目標へ着実に向かっている」(スミス)■
Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army - Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has a Masters in Comparative Literature from Columbia University.
This first appeared in Warrior Maven here.

進展する無人艦システムで今度は米西海岸ハワイ往復航海に成功!

これも無人艦USV技術の進展を示すニュースです。記事にあるように現在のところは補助任務に投入して有人艦の任務を楽にすることが想定されていますが、ゆくゆくは自律運航で海域防衛や対地攻撃に投入される日が来るのではないでしょうか。この技術も今後注目していくべきでしょう。


A Navy Ship Sailed to Hawaii and Back With No One on Board

海軍艦艇がハワイ往復航海を無人で行った
The Sea Hunter, a 132-foot-long self-driving ship, made history by traveling from San Diego to Hawaii's Pearl Harbor and back again without sailors aboard to guide its way. DARPA photo
シーハンターは全長132フィートの自立航行艦でサンディエゴからハワイ・パールハーバーまで無人で往復航行に成功し歴史を作った。DARPA photo
15 Feb 2019
Military.com | By Gina Harkins

長132フィートの小型艦が歴史を作った。サンディエゴからハワイ真珠湾まで往復航行を無人航行したのだ。
自律型三胴構造のシーハンターは対潜対機雷戦用に開発され、1月にサンディエゴからパールハーバーまで航行に成功したとNaval Newsがまっさきに報道した。
随行艦乗員が電気系統、推進機関の点検に短期間乗り込んだとシーハンターを設計建造したレイドスLeidosが発表しているが航行は大部分が無人だった。
「今回の試験航行には米海軍に自律運航技術が開発段階から試験段階に進んでおり、さらに高度の作戦試験に向かいつつあることを示す意義があります」とレイドスの防衛部門社長ジェリー・ファセイノが述べている。
海軍研究本部(ONR)が今回のハワイ往復航行を実施したが安全保障上の理由から取材に一切答えていない。
レイドスで海洋システムを担当するダン・ブリンツィンホファーはシーハンターに代表される自律運航艦は既存艦船を置き換えるのではなく、大型艦乗員に複雑な任務にあてる時間を捻出するのが目的と述べている。
「自律運航艦は『退屈危険かつ汚い』仕事を中心にし、世界各地に投入したい。たとえば自律運航艦で海中測定調査をさせれば有人艦を他任務にあてられる」(ブリンツィンホファー)
シーハンターの就役は2016年で関係者は米海洋作戦運の構図を一変させると話していた。航法ツールと自動監視装置を組み合わせ安全に他の船舶の横を通り、いかなる天候や交通状況でも昼夜を問わず航行可能だ。
.国防高等研究プロジェクト庁が設計と建造を指導し、ONRと組み公海上の試験を行っている。
2018年初頭にONRへ完全移管され、以後「安全保障上で機微な内容の研究」に投入されている。
Sea Hunter USV Reaches New Autonomy Milestone
DARPA photo.

レイドスはシーハンター二号艇の建造中とブリンツィンホファーは認めた。同社は43百万ドル相当の契約が交付され、二号艇ではシーハンターの性能を引き上げるという。
-- Gina Harkins can be reached at gina.harkins@military.com. Follow her on Twitter @ginaaharkins.