2020年6月9日火曜日

F-35は戦闘機よりもセンサーノードとして真価を発揮する



航ミサイルが脆弱な標的複数に飛翔してくる。飛行中のF-35が探知し、各地のレーダー施設が一斉に警戒体制を強める。F-35が標的情報を地上の米陸軍ペイトリオット迎撃ミサイル部隊に伝え、ミサイルを撃破し脅威は取り除かれた。

このような戦闘形態ではセンサーノード複数が標的を追尾しながら各ドメインで情報を共有することになる。これが陸軍が目指す統合戦闘指揮命令システム Integrated Battle Command System(IBCS)である。

IBCSとはノースロップ・グラマンが開発中のレーダー/センサーノードのネットワーク集合体で空中、地上、海上の各作戦環境に対応した新しい防空体制となる。

「IBCSは各種センサーをつないだ防空システムです。現状ではペイトリオットはペイトリオット用レーダー、THAADの場合はTPY-2THAADレーダーを使っています。つまり各装備別にレーダーがありますが、IBCSでは各種センサーをつなぎ防空体制を構築します」とジョン・マレイ大将(陸軍将来装備整備本部長)がインタビューで答えている。

ノースロップが公開した報告書ではIBCSの実証試験でF-35がセンサーを作動させ、標的データを取得、追尾、共有し地上レーダーと連携し、統合防空体制が連続追尾して最適の防空装備を選択し脅威を排除できたとある。ホワイトサンズミサイル試射場(ニューメキシコ州)の上空でF-35がミサイル二基を追尾し、自機のセンサーデータを海兵隊のTPS-59レーダー、陸軍のセンティネル、ペイトリオット地上配備装備にそれぞれ送ったという。

「センサーのひとつが失探したが他のセンサーがICBS統合火器管制ネットワークで捕捉した。兵装担当員は両ミサイルの高度、進路変更を逐次把握でき、各画面に情報が表示された」

F-35ではこのように利用から大きな意味が生まれる。多用途戦闘機を空対地攻撃機でなく空中センサーノードとして使うのだ。分散開口システムDASで機体全周で電子光学式センサーデータを得られる。データは整理統合され「センサー融合」機能と呼ぶ機内搭載のコンピュータ処理でパイロットに提示される。F-35にはDASと合わせ電子光学標的捕捉装備も搭載されており、「ミッションデータファイル」と呼ぶ脅威データーベースで照合する。つまり、実戦でF-35は長距離センサーで敵を探知し、データを敵装備データベースに送り込むと、接近してくる敵の種類が即座に把握できる。ここに大きな作戦上の意味があり、F-35から地上配備レーダーや防空装備に水平線の向こうにあるうちから敵攻撃を警告できる。

マレイ大将から統合火器管制ネットワークから大きな戦略的な意義が陸軍に生まれ、マルチドメイン作戦が実現すると説明があった。長距離兵器に加え敵の対艦対地攻撃が協調された形で実施されると全く新しい形の脅威となる。そこでF-35に近辺を飛ぶ無人機や衛星を加え、敵の追尾情報をネットワークで水上艦や地上部隊に伝える。陸軍上層部からは「砲撃部隊には標的が地上だろうと水上だろうと違いはない」との発言があり、地上配備部隊で対水上、対地、あるいは対空攻撃のいずれも可能となることを意味している。

「マルチドメイン作戦構想からエアランド戦闘(冷戦時の対空対地攻撃教義)に代わる新しい教義が生まれる。構想はあくまでも構想であり、作戦実施に関連する未実現の装備もある。今のペースで技術が進歩していけば、今から将来に備えておく必要がある。準備しないと、手遅れになるし、対応できなくなる」とマレイ大将は語った。■

この記事は以下を再構成したものです


Kris Osborn is the new Defense Editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.
Image: Reuters.

2020年6月8日月曜日

北朝鮮はOH-6民生型多数を25年前から密輸で入手----北朝鮮禁輸措置が必要な理由




クダネル・ダグラスの偵察ヘリコプター100機近くが米国との戦争状態が未終結の国に持ち込まれ同社は裏をかかれた思いだった。

2013年7月27日、金正恩が見守る前を装甲歩兵輸送車両や戦車が行進し、米国との血なまぐさい戦争終結を祝っていた。そこに米国製MD 500Eヘリコプター4機が低空通過した。この時初めて米製ヘリコプター87機が北朝鮮に密輸入されていたことが明らかになった。しかも25年以上前に。

MD 500は米陸軍が採用したOH-6カイユース軽観測ヘリコプターの民生型で陸軍は1960年代から運用している。「空飛ぶ卵」の愛称がつくすっきりした外形の同機は負傷者搬送、輸送ヘリ護衛、偵察任務はては地上部隊への軽火力支援でミニガンやロケットポッドを搭載するなど各種任務に投入された。非常に安価で1962年にわずか2万ドルで納入され、機動性に優れ、小型形状を活かし、他のヘリコプターでは運用不可能な場所に着陸できた。

ただし、敵火力を大量に浴びヴィエトナム戦では1,400機投入されたOH-6Aの842機を喪失した。その後進化したMH-6、AH-6「リトルバード」特殊作戦用ミニガンシップはアフリカ、中東で米軍が使用している。

話は1980年代に遡る。マクダネル・ダグラスに102機の発注が届いた。発注元は西ドイツの輸出業者デルタ-アヴィア航空機でクルト・ベーレンスが経営者だった。1983年から1985年にかけ米企業アソシエイテッドインダストリーズがデルタ-アヴィア向けに86機のMD 500D、E型、ヒューズ300(二人乗り小型機)一機を6回に分け、日本、ナイジェリア、ポルトガル、スペインへ輸出した。

しかし1985年2月に、米商務省は輸出仕向地に虚偽申告がを見つけた。例えばロッテルダムでおろされた15機はソ連貨物船プロロコフに移動された。同船は北朝鮮でヘリコプターを荷揚げした。同様に日本に到着した貨物船から香港で2機が北朝鮮貨物船に転送された。そしてアソシエイテッド・インダストリーズを経営するセムラー兄弟がデルタ-アヴィアの大株主だと判明した。

結局87機が北朝鮮の手に渡ったが、残る15機は差し押さえられ、セムラー兄弟は北朝鮮禁輸措置を破った容疑で訴追された。デルタ-アヴィアはダミー企業で、取引完了で10百万ドルが手渡される約束だったと判明した。またロンドンの保険代理店が本件に絡み、スイスの銀行口座で資金洗浄されていた。

マクダネル・ダグラスはだまされ米国と交戦状態を解除していない国家に偵察ヘリコプター100機近くを送ってしまった。ただし、セムラー兄弟は罪を認める代わりに軽微な懲罰をうけただけで、ベーレンスからヘリコプターの仕向地について虚偽情報を受けていたと主張。支払った罰金は兄弟が手にした報酬よりはるかに低い金額だった。ベーレンスに至ってはMD 500は軍用機ではないので禁輸対象にあたらないとの疑わしい主張も陳述した始末だった。

その後、CIAがこの密輸取引に気づいていたと判明した。全体を取り仕切ったは北朝鮮のベルリン大使館付武官で西ドイツ内のソ連企業を表向き使用していた。ただしCIAは民間刑事当局に本件を通知しなかった。大使館を盗聴した事実が明るみに出るのを恐れたためだ。

北朝鮮はがMD 500をなぜ求めたのか。民生型には高度技術や特殊軍用装備はつかず、北朝鮮どころかソ連もこうした装備を喉から手が出るほど欲しがったはずだ。

民生型と軍用型MD 500を合法的に入手した国は多数ある。なんといっても低価格が魅力であり、ガンポッドやロケットを搭載すれば軍で使用できる。そうした国のひとつが南朝鮮で、大韓航空はライセンス生産でMD 500を270機以上同国の陸軍、空軍向けに納入した。

そうしてみると北朝鮮がMD 500を入手したのは南朝鮮の標識をつけ軍事境界線から侵入する狙いがあるためだろう。奇襲攻撃や工作員の潜入で破壊工作をするためか。北朝鮮は特殊作戦部隊に20万名と世界最大規模の隊員がいると述べており、ここまでの規模は世界にない。南と開戦となれば、北はトンネル、潜水艦、モーターボートの他ヘリコプターで隊員数千名を南に潜り込ませ、混乱とパニックを巻き起こすだろう。事実、全斗煥大統領(当時)は潜入を容易にしたと米国へ不満を表明していた。

北朝鮮はMD 500機材を長年に渡り温存しており、稼働状態を維持するべく部品確保に苦労しているはずだ。2013年に機体を公開したが、2016年の元山航空ショーにも4機が登場していた。

平壌で目撃されたMD 500は対戦車ミサイル4発を搭載し、旧式のロシア製マリュートカ-P(NATO呼称AT-3 サガーC)の国産化装備で、有線誘導による半自動攻撃手段だ。AT-3の旧型は1973年のヨム・キッパー戦(第4時中東戦争)でイスラエルのパットン戦車を血祭りに上げ一躍その名を知られた。つまり北朝鮮は小型ヘリコプターでお手軽な対戦車攻撃も想定しているのか。

ダミー企業を使う装備品密輸は北朝鮮だけの専売特許ではない。イランは米国でF-14トムキャット用の部品を買い集めている。1992年には英国がダミー企業を立ち上げ、モロッコ向けT-80戦車数台をロシアから単価5百万ドルという高価格で購入し、英国で解体評価したのち米国に移動した。近年では2015年に米国市民アレクサンダー・ブラジニコフが逮捕されている。アイルランド、ラトビア、パナマ、他五カ国のダミー企業を使い、65百万ドル相当の電子製品をロシア国防省、情報機関、核開発事業に密輸したためだ。

だがこうした事例も新品ヘリコプター87機を米国から入手した北朝鮮の前では色があせる。■

この記事は以下を再構成したものです。

June 7, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: North KoreaMilitaryTechnologyWorldU.S.History

How North Korea Got It's Hands On 87 U.S. MD 500 Helicopters

Pyongyang is not the only nation to attempt such shenanigans using shell companies.


気になる展開:中印国境事態の緊張が高まっている



  • 中国が最新装備を展開しているのは戦力をインドに示威する狙いもあるとの説明がある。
  • 西部では未決着の国境線をめぐり両国で摩擦が広がっている。東側のドクラムで2017年に対立があった。

印間の緊張が高まっている。両国が国境地帯に兵力を集結させているが、中国人民解放軍(PLA)は高性能装備の高地テスト、訓練の機会ととらえているようだ。

両国が動員中の部隊規模で公表数字はないが、報道を総合するとPLAはチベット高原用に改装したジェット戦闘機部隊など高性能兵装システム数点を動員している。

インド陸軍も国境地帯近くのレー地方に駐屯する歩兵師団から数個連隊を国境地帯に移動させ兵力を増強している。

香港在住の軍事専門家Liang Guoliang によれば中国は少なくとも複合武装旅団9個に高地訓練済み歩兵部隊、砲兵隊、防空部隊、航空隊、化学核電子戦専門要員をインドとの国境紛争に備えるチベット軍区に派遣した。

India China Disputed Borders
REUTERS GRAPHICS/REUTERS

国境地帯ではここ数ヶ月に渡り緊張が高まっており、両国の部隊が素手で殴り合ったり、投石の事態が発生していた。

両国の国境紛争は2017年に高まり、インド軍とPLAの対立は中国がドクラムで道路建設を進めて強まっている。

ドクラムでのにらみ合いを受けPLAは兵力を増強し、15式戦車、Z-20軍用ヘリ、GJ-2攻撃用無人機、PCL-181高性能車載迫撃砲をチベットに送り込んだと中国共産党の宣伝媒体の環球時報が伝えている。

衛星画像では中国軍はチベットのNagari Gunsa航空基地から多用途戦闘機J-16を運用しているのがわかった。 

「J-16は通常訓練で同基地に展開していたようだが、情勢悪化で現地に残ったのだろう」と軍事観測筋が述べている。「インド空軍が国境地帯に多数の機体を展開し、PLAはJ-16の投入が必要と判断したようだ。同機はインドのSu-30MKIの性能を上回る」

India China border Arunachal Pradesh
インド中国国境地帯でインド側に立つ看板。インド北東ブのアルナチャル・プラデシュ州ブムラ。November 11, 2009. REUTERS/Adnan Abidi

北京の軍事専門家Zhou Chenmingによれば2017年の映像と今週の映像を公開しているのはインド軍に対しPLAの戦力増強を伝える意図があるという。「中国は性能向上型新装備を次々に投入し、Z-20ヘリコプター、J-10C、J-11など海抜5千メートルのチベット高原で訓練や試験してきた。

「PLAに戦力誇示の狙いがあるが、インド軍と直接対決の意図はない、というのは中国はインドを真の敵国とみなしていないからだ。ただし、米国はインドをインド太平洋戦略に組み入れ中国の台頭に対抗させようとしている」

中国インドの国境線は3,488 kmに及び、PLAは70千名部隊を展開し、インドは40万名を維持している。

ただし、ニューデリーのシンクタンク、オブザーバー研究財団の国防アナリスト、ラジェスワリ・ラジャゴパランによれば実際にインドが展開しているのは225千名以下だという。

「MIT専門家の最新試算では中国の西部戦域司令部に230千から250千名が配備されている」とし、PLAでチベット・新疆地区防衛に当たる同司令部について言及している。「注目したいのはインド軍の多くは中国と対峙するよりも治安維持目的で駐屯していることだ。インド軍は国境地帯には集結しておらず、地形条件が悪く部隊移動もままならない」

Liangによれば国境地帯に展開する中国軍は通常は40千名未満だ隣接する青海省、甘粛省、はては必要に迫られれば新疆や四川省から増派部隊を送り込むという。

デリーの軍事解説者ラジブ・チャトゥヴェディは両国間の緊張の根源に中国が国境地帯付近でインフラ工事を増やしていることにインドが警戒していることがあるという。

「中国のインフラは大規模で最新鋭だ。中国は戦略的アクセスの開発、改良を続けているが、インドも国境地帯へのアクセス改善をめざしており、国境地帯のインフラ改良に中国の了承は不要だ」■

この記事は以下を再構成したものです。

China is showing off its military hardware during its latest border showdown with India

 



2020年6月7日日曜日

給油機の脆弱性を解決するステルス新型給油機構想で有効な策はどれか



国はステルス戦闘機、ステルス爆撃機、ステルスミサイル、ステルススパイ無人機に巨額予算を投じ整備してきた。ステルス給油機となるとやりすぎだろうか。

ステルス給油機構想は奇想天外と呼べない。F-35、F-22のステルス戦闘機の航続距離が短いためだ。

F-35の戦闘行動半径600から800マイルは通常型戦闘機のスーパーホーネットやF-16に比べ悪くない。だが非ステルス機は燃料増槽を付け飛ぶが、F-35にステルス性能を損なう外部タンクは搭載できない。

ステルス、非ステルス戦闘機の航続距離が短く問題となるのは空母や航空基地が敵の弾道/巡航ミサイルの射程内に入る場合だ。高性能戦闘機が脆弱性を露呈するのは地上(あるいは艦上)であり、超大国間戦闘となれば、ミサイルの雨が前方基地に降るのは必至で、地上で機体が損傷を受けるのは簡単に想像できよう。

幸い米軍戦闘機は空中給油が使える。だが給油機は遠く離れた地点にとどまる必要があるし、超長距離空対空ミサイルによる撃墜リスクも増えてきた。ロシアのR-37の有効射程は250マイルだ。ロシア、中国のステルス機が給油機やレーダー機材を標的にするはずだ。給油機を排除すれば、太平洋戦域で戦闘機の有効性を否定できる。

敵防空網の突破を狙うステルス戦闘機でこのジレンマは深刻だ。敵防空圏から数百マイル離れた地点で通常型給油機を待機させても、レーダー探知され敵戦闘機の餌食になる。

そこで給油機でもレーダー断面積を減らせば問題が解決される。とはいえ、ステルス戦闘機並みの低視認性は必要ない。

米空軍は新型KC-46Aペガサス給油機(原型ボーイング767)の179機調達を進め、KC-135、KC-10給油機合計400機は順次退役させる。航空機動軍団の当初案は通常型に近い給油機KC-Yを2024年ごろ、その後ステルス給油機KC-Zを取得するものだった。

だが空軍はKC-Yのかわりに性能向上型KC-46を取得し、KC-Zの調達開始を2035年に前倒しすることとした。

KC-Z提案は数案あり、各案ともに相当奇抜な機体形状を示してる。ロッキードは他社よりステルス性能を重視する姿勢を示していた。同社は高バイパス比ターボファンを主翼上に搭載し、レーダー断面積を減らすねらいも示した。

ただし、提案は完全な全翼機形状ではなく、「ブレンデッドウィンボディ」に近く、「ハイブリッドウィングボディ」形状で、純粋な全翼機形状ではないが、胴体部分を大きく確保することができる。

全翼機だと主翼曲面形状で揚力発生が有利となり、「無限面」特徴でレーダー波を反射する鋭角がないためレーダー断面積が低くなる。ただし、給油機は貨物輸送にも投入されるので、ステルス給油機でも貨物搭載部分を確保する必要があるし、貨物取扱用の扉も必要だ。純粋な全翼機形状ではこの機能が確保できずハイブリッドとなったわけだ。

ステルス輸送機として特殊部隊を敵後方に送り込む役目も期待できる。また敵の長距離対空ミサイル射程内の前方基地へ物資補給にも使える。ただし、貨物輸送にも投入可能なステルス給油機では空中給油専用の全翼機形状なみのステルス性能は期待できない。

ステルス給油機運用を経済的に実現する際でレーダー波吸収剤(RAM)の表面処理が障害となる。戦闘機のRAMは運航経費を大幅に増やし、整備面でも負担だ。給油機の場合は年間飛行時間が長く、経費負担増になるのは必至だ。そのため経済合理性の高いRAMが必要とされる。B-2ステルス爆撃機では毎時169千ドルの経費が発生している。

空軍には将来の給油機で生存性を高める着想があり、アクティブ防御手段として飛来するミサイルを撃破するためレーザー利用も提案されている。次世代レーダー妨害装置では認知知能技術の応用で敵レーダー周波数に合わせ、給油機の所在を判別できなくする。また次世代給油機に自動化を広く採用し、乗員数を減らし給油スピードを高める構想もある。

ただし、航空機動軍団には海軍の艦載無人給油機MQ-25を参考に小型無人かつ自律運航の機体を使う抜本的に新しい構想もある。

ステルス無人給油機は「分散型」給油構想にぴったりで、無人機多数が大型の通常型給油機「母機」から給油を受けてから制空権を未確保の空域に移動してステルス戦闘機向けの給油を行う。ただし、この構想は非ステルス母機が敵に排除されれば破綻する。そのためステルス、非ステルスの給油機多数を多層構造にする提案がある。

もっと単純かつ安価な解決策がでてきた。短距離運用の制約がある戦闘機のかわりに、長距離性能を有するB-21ステルス爆撃機あるいは将来登場する侵攻制空戦闘機を投入し、スタンドオフミサイルの利用を増やす、長距離無人UCAVステルス戦闘機材を投入することである。■

この記事は以下を再構成したものです。

June 6, 2020  Topic: Technology  Region: Americas  Blog Brand: The Reboot  Tags: KC-ZStealthStealth TankerTankersU.S. Air ForceF-22F-35


2020年6月6日土曜日

歴史に残らなかった機体16 ノースアメリカンB-45トーネード



航空戦力がナチドイツ、日本帝国の打破に重要な役目を果たした事実は否定できない。だが米爆撃機で主力のB-17、B-24は大戦末期に陳腐化は否めず、当時最新鋭のB-29でさえ原設計は米国参戦前だった。

1944年にドイツのジェット推進航空機の脅威が出現すると、米陸軍航空隊はジェット爆撃機の設計競作を求めた。だが成果が出る前に大戦が終結した。予算の大幅縮小で開発が遅れたが、ソ連と緊張が高まると、ジェット爆撃機開発の必要が痛感された。

ノースアメリカン・エイビエーションB-45トーネードは1947年3月に初飛行し、数々の初の記録を打ち立てた。

初の4発ジェット爆撃機、初の量産ジェット爆撃機で、初の核搭載ジェット爆撃機、初のジェット多発偵察機、かつ初の空中給油機となった。
ノースアメリカンは142機のB-45を生産し、うち10機は長距離型のB-45Cで翼端燃料タンクを付けた。また33機は偵察用RB-45Cで高高度飛行と空中給油に対応した。

武装は軽微で.50口径機関銃2門を尾部に装着するのみだが、爆弾22千ポンドを搭載し軽爆撃機だった。動力はジェネラル・エレクトリックJ47の4基で推力は各6千ポンドだった。最高速度は570mphで戦闘半径は1千マイル、最大高度は37,500フィートだった。
1950年代初頭の米国核抑止力で重要な機材だったが、ボーイングB-47ストラトジェットに交代した。B-45は朝鮮戦争に投入され、爆撃機としての真価を発揮し、また高高度偵察機としてMiG戦闘機を振り切った。

B-45、RB-45Cともに戦略空軍に1959年まで供用された。このうち47爆撃飛行団(軽)のB-45、19戦術偵察飛行隊のRB-45、さらに同機を運用した英空軍特殊任務飛行隊はイングランドのRAFスカルソープ基地に展開していた。英空軍が運用したRB-45は鉄のカーテン内部に侵入し極秘ミッションを実行した。

冷戦初期には重要視された同機も現在は3機がオハイオ州デイトンの米空軍国立博物館に残るのみである。■


この記事は以下を再構成したものです。


June 5, 2020  Topic: History  Blog Brand: The Buzz  Tags: World War IIHistoryMilitaryDefenseB-45 Tornado
The North American Aviation B-45, which made its first flight in March 1947, achieved a slew of firsts.

AFRL:無人戦闘機対有人戦闘機の模擬空戦が来年7月に実施される

空軍が開発中の新型無人機は空対空戦で有人機を撃破する能力が目標で、無人機対有人機の模擬空戦が2021年7月に予定されている。
ペンタゴンの統合人工知能センターを率いるジャック・シャナハン中将は空軍研究本部(AFRL)が現行戦闘機に匹敵する画期的な無人機開発に取り掛かっていると明らかにした。▶「来年の初飛行に向け奮闘中で....マシンがヒトに勝つだろう」とシャナハン中将は6月4日開催のミッチェル研究所の航空宇宙研究イベントで語った。「そのとおりになればすごいことになる」
AFRLはAI応用の無人戦闘機開発を2018年開始し、18ヶ月以内の完成を目指している。Inside Defenseは2018年5月に機械学習技術をF-16のような最先端と言えない機材に導入し、F-35やF-22に対決させる構想を紹介していた。▶「最優秀パイロットには数千時間の経験値がある。さらにその能力を強化するシステムがあり、数百万時間相当の訓練効果を与えるシステムがあったらどうなるか。ヒトが考えるよりも早く決定できるシステムで戦術自動操縦を実現したらどうなるか」(AFRL)
目論見通りなら空軍のその他AI応用システムにも導入できそうだ。スカイボーグ・ウィングマン無人機構想がその頂点で、整備から戦闘立案に至るまでAIと機械学習アルゴリズムが広く導入できる。
今回のAFRLの事業には今年初めに巻き起こった自律飛行無人機が有人機に勝てるとのイーロン・マスク発言でまき起こった論争を思わせるものがある。▶「無人戦闘機は遠隔操縦されるが自律運航性能で機体制御を拡張する」「F-35は対抗できないだろう」(マスク)
ただし、シャナハン中将はこうした先進技術で全部解決にはならないと釘をさしている。自動運転技術の開発で得られた教訓に軍は注意を払うべきだという。▶数十億ドル規模の投資をしているものの「レベル4の完全自動運転車はまだ走っていない」とし、「自動車業界から軍は数十年分相当の経験を活用できる」と発言した。■

この記事は以下を再構成したものです。

Air Force to Test Fighter Drone Against Human Pilot

Air Force to Test Fighter Drone Against Human Pilot

June 4, 2020 | By Rachel S. Cohen


2020年6月2日火曜日

黒海、オホーツク海とロシア周辺部を飛行したB-1Bの示したメッセージとは....

  • UKRAINIAN MINISTRY OF DEFENSE

空軍はB-1Bボーンズ編隊が黒海でAGM-158C長距離対艦ミサイルLRASMの発射訓練をしたと発表。B-1は供用期間の終わりが近づいてきたが、特に太平洋で水上艦攻撃への投入が期待されている。今回の訓練でヨーロッパでも緊急事態対応に同機が有益な存在になると示した格好で、黒海ではロシア海軍の存在が厄介になっている中、クレムリンにメッセージを送ったと言える。
第28爆撃航空団所属のB-1B2機はエルスワース空軍基地(サウスダコタ)を離陸し、長距離爆撃任務部隊ミッションを2020年5月29日実施し、NATO加盟国他ヨーロッパ協力国所属の各種機材と訓練を展開した。ウクライナはSu-27フランカー、MiG-29フルクラム戦闘機部隊を派遣し、トルコのKC-135Rから空中給油を受けた。ともに米空軍のボーン部隊に初の実施となった。在欧州米空軍(USAFE)は6月1日に対艦攻撃訓練を発表したが、どちらの機体がLRASMを搭載していたのかは明示していない。
空軍はアンダーセン空軍基地(グアム)での常時爆撃機プレゼンスを2020年4月に中止し、16年続いた一回六ヶ月のB-1B、B-52のアンダーセン基地配備に終止符を打った。かわってダイナミック戦力配備方針を打ち出し、敵の予測を超えた予告なし短期間配備で敵の作戦立案を危うくする。
B-1Bが注目されているのは、外部パイロンも活用し搭載量を増やす構想があるためだ。同時に爆撃機が再び注目されており、中でもLRASM搭載のボーンズでの海上作戦支援に期待が集まっている。
UKRAINIAN MINISTRY OF DEFENSE
B-1B爆撃機2機にウクライナ空軍のSu-27フランカー前方とMiG-29フルクラム後方が随行し、黒海上空を飛行した。2020年5月29日。

「LRASMが外洋、沿海双方で米海軍の作戦アクセス維持に重要な役割を果たすのは長距離でも標的捕捉能力があるから」とUSAFEの603航空作戦センター・爆撃機任務部隊ミッション立案責任者ティモシー・アルブレクト中佐が5月29日の黒海フライトについて語っている。「海上脅威が増加し、接近阻止領域拒否をめざす装備品が出現しているが、ステルス対艦巡航ミサイルで攻撃機はリスクを減らし敵防空体制に侵入しこれを制圧できる」
B-1BでAGM-158Cの搭載が2018年12月に可能となった。LRASMはAGM-158共用対艦スタンドオフミサイル(JASSM)ファミリーから生まれた。今年4月に空軍はグアムでB-1BにJASSM実弾を搭載する作業を写真公開し、中国に明白なシグナルを送ったばかりだ。
対艦ミサイル搭載の爆撃機編隊が飛行したと空軍がわざわざ発表したのはロシアの黒海艦隊へもメッセージを送るためだろう。黒海は有事に対艦ミサイルが飛び交う戦場になる。
B-1Bの黒海への派遣、ウクライナ機との訓練は明白なシグナルを送る。2014年にロシアはウクライナのクリミア半島部分を不法占拠し、海軍基地を確保し、さらにウクライナ東部のドンバス地区の分離派を公然と支援しはじめた。クリミアでのロシア軍プレゼンスは増加し、戦闘機材、長距離地対空ミサイル、対艦ミサイル部隊の増強が目立っている。5月29日のミッションでもロシアのフランカー編隊が同地区からボーンズを迎撃してきた。
RUSSIAN MINISTRY OF DEFENSE

ロシア参謀本部の主作戦局長セルゲイ・ルゾコイ上級大将は6月1日報道陣向け説明で5月29日のB-1B爆撃機編隊の動向を解説した。地図ではB-1Bの飛行経路とロシア長距離ミサイル部隊の位置も示されていた。

NATO加盟国ルーマニア、ブルガリアも5月29日の爆撃機任務部隊ミッションに自国機材を派遣したことから、空中発射対艦ミサイル兵器が重要な存在だとわかる。B-1B各機がJASSM24発を搭載でき、LRASMも同様と思われる。ロシア黒海艦隊は水上艦艇50隻程度、潜水艦5-6隻が配備されるに過ぎない。ボーンズ数機で各艦艇すべてを始末できる。
USAF
ルーマニアのF-16Cヴァイパーが黒海地区上空をB-1B編隊と飛んだ。5月29日。

遠隔地から飛来するB-1Bがスタンドオフ対艦攻撃をロシアの高密度統合防空バブルの外から行えば大きな意義がある。米本土から飛行し、作戦を実行できる能力があればヨーロッパ内の各基地への依存度が減る。各基地も攻撃の前に脆弱性を露呈するはずだからだ。
LRASMは自律航行能力があり、GPS利用の誘導システムと双方向データリンクが妨害された場合への対処を講じている。またステルス性を活かし敵防空体制をくぐり抜ける。最終段階で赤外線画像シーカーを稼働させる。これも電子戦妨害措置の影響を受けない。
活発な動きを示す米爆撃機にロシアが警戒心を示すのは当然と言える。6月1日の説明会でもロシア国防省は米空軍力の動き、NATO演習を非難し、各国が5月にバレンツ海で行った対水上艦攻撃演習を挑発行為とまで述べた。「冷戦終結後で初、かつドイツ戦勝75周年の前夜にNATO海軍部隊がバレンツ海で演習した」とルゾコイ上級大将は注意喚起した。「演習ではロシア領海内の標的の攻撃のほか、ロシア弾道ミサイルの迎撃も対象にしていた。こちらから見れば、挑発行為でバレンツ海への米艦艇進入も直前まで通達はなかった」
RUSSIAN MINISTRY OF DEFENSE
5月のバレンツ海でのNATO演習についてルゾコイ上級大将が巨大な地図を背景に説明し、NATO及びロシアの艦船航空機の動きを示した。

ルゾコイ上級大将は5月29日のB-1B黒海上空飛行もとりあげ、ロシア国境線周辺部ヨーロッパ、太平洋での米爆撃機の活動がここ数ヶ月活発になっていると指摘。5月21日にはオホーツク海上空に米爆撃機一機が侵入する前例のない事態もあり、三方向がロシア領のため米軍機は同地区での飛行は避けていた。
米空軍は新しい形でB-1Bや爆撃機任務部隊ミッションによる戦闘航空投射を太平洋地区で実施してきたが、ヨーロッパでもロシアを狙い同様の活動規模を拡大したと言える。■
 この記事は以下を再構成したものです

Air Force Reveals B-1Bs Were Practicing Decapitating Russia's Black Sea Fleet Last Week

Russia has decried that mission, as well as other American and NATO exercises around its borders in recent months, as provocative.


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