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F-35は戦闘機よりもセンサーノードとして真価を発揮する



航ミサイルが脆弱な標的複数に飛翔してくる。飛行中のF-35が探知し、各地のレーダー施設が一斉に警戒体制を強める。F-35が標的情報を地上の米陸軍ペイトリオット迎撃ミサイル部隊に伝え、ミサイルを撃破し脅威は取り除かれた。

このような戦闘形態ではセンサーノード複数が標的を追尾しながら各ドメインで情報を共有することになる。これが陸軍が目指す統合戦闘指揮命令システム Integrated Battle Command System(IBCS)である。

IBCSとはノースロップ・グラマンが開発中のレーダー/センサーノードのネットワーク集合体で空中、地上、海上の各作戦環境に対応した新しい防空体制となる。

「IBCSは各種センサーをつないだ防空システムです。現状ではペイトリオットはペイトリオット用レーダー、THAADの場合はTPY-2THAADレーダーを使っています。つまり各装備別にレーダーがありますが、IBCSでは各種センサーをつなぎ防空体制を構築します」とジョン・マレイ大将(陸軍将来装備整備本部長)がインタビューで答えている。

ノースロップが公開した報告書ではIBCSの実証試験でF-35がセンサーを作動させ、標的データを取得、追尾、共有し地上レーダーと連携し、統合防空体制が連続追尾して最適の防空装備を選択し脅威を排除できたとある。ホワイトサンズミサイル試射場(ニューメキシコ州)の上空でF-35がミサイル二基を追尾し、自機のセンサーデータを海兵隊のTPS-59レーダー、陸軍のセンティネル、ペイトリオット地上配備装備にそれぞれ送ったという。

「センサーのひとつが失探したが他のセンサーがICBS統合火器管制ネットワークで捕捉した。兵装担当員は両ミサイルの高度、進路変更を逐次把握でき、各画面に情報が表示された」

F-35ではこのように利用から大きな意味が生まれる。多用途戦闘機を空対地攻撃機でなく空中センサーノードとして使うのだ。分散開口システムDASで機体全周で電子光学式センサーデータを得られる。データは整理統合され「センサー融合」機能と呼ぶ機内搭載のコンピュータ処理でパイロットに提示される。F-35にはDASと合わせ電子光学標的捕捉装備も搭載されており、「ミッションデータファイル」と呼ぶ脅威データーベースで照合する。つまり、実戦でF-35は長距離センサーで敵を探知し、データを敵装備データベースに送り込むと、接近してくる敵の種類が即座に把握できる。ここに大きな作戦上の意味があり、F-35から地上配備レーダーや防空装備に水平線の向こうにあるうちから敵攻撃を警告できる。

マレイ大将から統合火器管制ネットワークから大きな戦略的な意義が陸軍に生まれ、マルチドメイン作戦が実現すると説明があった。長距離兵器に加え敵の対艦対地攻撃が協調された形で実施されると全く新しい形の脅威となる。そこでF-35に近辺を飛ぶ無人機や衛星を加え、敵の追尾情報をネットワークで水上艦や地上部隊に伝える。陸軍上層部からは「砲撃部隊には標的が地上だろうと水上だろうと違いはない」との発言があり、地上配備部隊で対水上、対地、あるいは対空攻撃のいずれも可能となることを意味している。

「マルチドメイン作戦構想からエアランド戦闘(冷戦時の対空対地攻撃教義)に代わる新しい教義が生まれる。構想はあくまでも構想であり、作戦実施に関連する未実現の装備もある。今のペースで技術が進歩していけば、今から将来に備えておく必要がある。準備しないと、手遅れになるし、対応できなくなる」とマレイ大将は語った。■

この記事は以下を再構成したものです


Kris Osborn is the new Defense Editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.
Image: Reuters.

コメント

  1. 問題は、いつ飛んでくるかわからないミサイルを警戒するため「だけ」に常時滞空させるには、F-35のコストは大きすぎる点ですな。

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