ボーイングが発表した空軍向け次世代戦闘機の構想図。 (Boeing)
米空軍は次世代戦闘機開発事業の仕様を今夏に決定する。空軍調達トップが明らかにした。結果次第で事業の推進あるいは中止が決まる。
空軍は次世代戦闘機開発を大幅に方向転換する。次世代制空機(NGAD)と知られる同機は、空軍調達を統括するウィル・ローパーが「デジタルセンチュリーシリーズ」と呼んでいる。
昨年9月、ローパーは事業の最優先事項は調達戦略にあり、デジタルセンチュリーシリーズを技術的に実施可能なのかを実証することだとDefense Newsに対し説明。従来型開発手法より安価に実施できる構造の確保も必要と述べていた。
企画はほぼ完成したと、ローパーは今週火曜日にミッチェル航空宇宙研究所主催のイベントで述べた。
「NGADをデジタルセンチュリーシリーズに組み込んだ調達案が今夏に完成する。ここで大日程等は詳しく語れないが前例のない動きとなるのは確実だ」
デジタルセンチュリーシリーズは空軍が当初想定した第6世代戦闘機構想の侵攻制空機材(PCA)と大きく異なり、ネットワークでつないだ各種システムの一部として、無人機、センサー類、他機材を10年かけて試作化する構想だ。
デジタルセンチュリーシリーズの事業モデルでは新技術を応用した新型戦闘機を防衛産業複数社に数年で完成させる。空軍は契約企業を絞り込み、少数生産させ再び同じ工程を開始する。各社には新型機の設計製造の機会が常時保証される。全て実施しても5年とかからないとローパーは述べた。
昨年10月にはデイル・ホワイト大佐が高性能機材開発室長に任命され、NGADとあわせデジタルセンチュリーシリーズ調達構想を統括することんあった。同室は今年6月に戦闘機・高性能機材事業推進室に改組され、ホワイトは准将昇進が内定している。
空軍は2021年度予算に10億ドル要求し、NGAD事業を進める。前年の予算実績は9.05億ドルだった。だが、今後予算は増加の気配がある。
ローパーはデジタルセンチュリーシリーズで同機開発を進めた場合は既存手法より経費増を予想している。複数企業が同時並行で設計、試作機製作を短時間ですすめるためだ。ただし、機材の維持経費や回収経費は低く抑えられると見ている。.
調達効果が理論通りに実証されれば、議会も予算計上を認めるはずだ。
「機材の供用期間が重要な変数だ。何年だったらいいのか。数年ではないのは明らかだが30年でもいいのか。まずそこを検討している。同時に性能改修の規模も検討中だ。費用がどこまでかかるか、デジタル手法で簡素化できないか。その後、強力な戦闘機の年間経費を総合して算出し、デジタルセンチュリーシリーズが既存機種より経済的になるか見定める」
「そのとおりになら、大きな効果が出る。データを示し、『中国対抗機材』として単に優れているだけでなく、産業界の視点でも良い結果を出すからだ。従来型と同等あるいは安くなれば、同事業を強力に推進する」とローパーは述べた。■
この記事は以下を再構成したものです。
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