Gen. Charles Brown
新空軍参謀総長チャールズ・ブラウン大将は太平洋地区で経験を積んでおり、これが空軍のみならず国防長官周辺にも貴重な財産となるはずだ。国防総省は仮想敵国をこれまでのロシアから中国へ変更しているといわれる。
「中国が脅威だと改めて伝えている」と内部筋はブラウンが太平洋空軍司令だったことに触れている。上院はブラウン人事を98対0で承認した。▶「戦士であり指導者として深い知見をインド太平洋地区で有している。歴史上重要なこの時期に空軍参謀総長に就任したのは完璧な人事だ」とミッチェル研究所で空軍戦力の専門家であるマーク・ガンジンガーが評した。
ブラウンは空軍入隊は1984年で戦闘機パイロットとして受勲した。2018年にPACAFトップに就任したが当時から中国を「確実に増強している脅威」と評していた。▶共同作戦の意義を深く理解しており、空軍を共同運用に適応させてきたと別の評がある。▶「共同作戦の意義をどの司令官より深く理解していると思う。空軍組織内を変革し、効率と効果を重視した形で共同作戦に適合させていくだろう」と同上筋は評す。
初の黒人参謀総長を迎える空軍だが、ブラウン人事が上院で全会一致で承認されたことも強いメッセージを送ったと見ている。時あたかも人種間で騒擾状態が広がっている。今回の騒動は5月25日にジョージ・フロイドがミネアポリス警察の手で死亡したのがきっかけだ。▶興味を惹かれるのはブラウンの父はヴィエトナム戦に若輩士官として参戦しており、その時期にも社会は人種対立をめぐり不安定となっていた。▶ブラウンはツイッターに感動的な映像を掲載し、フロイドの死と自身の人種偏見について語っている。「人種問題を考えると自分自身の経験では単純に自由と平等を祝えない」という。▶米軍は全体としては全国平均より遥かに人種的に多様な構成になっている。国勢調査では人口の13%がアフリカ系国民だが、DoD統計の2018年版では現役隊員の17%が黒人である。ただし将校は9%に過ぎない。
複数筋からブラウンは多数が尊敬する人物との声がある。「本人に背景説明したことがある者...によれば好奇心豊かで知性的で質問を返してくるが威圧的な態度はない」▶「空軍、宇宙軍のみならず各軍の諸氏とともにブラウン大将、シャリーン夫人に祝辞を送りたい」と空軍長官バーバラ・バレットは声明文を発表。「ゴールドフェイン大将並びにドーン夫人が任期中の4年で示した輝かしい業績の伝統を守っていくブラウン大将の卓越した指導力、作戦経験、世界規模の知見は空軍の近代化とともに今後の国家安全保障上の課題に対応しわが国の防衛に不可欠だと自ら証明するだろう」
ブラウンは前任者と同様の最上位の優先事項に取り組むものと見られる。つまり全ドメイン指揮統制機能の開発で各センサーと各発射装置を各軍全体で接続し5つのドメイン全部でこれを実現することだ。陸、海、空、宇宙、サイバー空間だ。▶ゴールドフェインは全ドメイン指揮統制機能を強く主張し、高性能戦闘管理システムの開発を進めていた。
▶ただし、上院審問会に先立ち、ブラウン大将はこの問題をめぐり空軍の役割を検討する機能の立ち上げにゴールドフェインよりも前向きであると述べていた。ブラウンは宇宙軍創設に触れ、各軍で長距離打撃戦力や基地防衛能力の整備で重複があり、役割検討は有益だと述べた。
「ブラウン大将は画期的な指導力を発揮し今日複雑さを増している戦略環境を明確に理解できる人物だ」と宇宙作戦部長ジェイ・レイモンド大将Chief of Space Operations, Gen. Jay Raymondが空軍省で声明を発表した。「本人は各ドメインを通じた指導力の発揮の重要さをはっきりと理解しており、戦闘場面となる宇宙でとくにこの意義は大きい。ブラウン大将の任命承認にわくわくしている。これ以上のチームメイトはいない」
ブラウンは8月6日式典で正式にゴールドフェインの後任として就任する。▶「ブラウン大将は真っ正直な人物....経験、能力、熱情があり、偉大な空軍参謀総長になれる。正しい時期に正しい人事となった」とミッチェル研究所長デイヴィッド・デプチュラも感想を述べている。■
この記事は以下を再構成したものです。
CQ Brown Brings Pacific Focus; Keen Interest In Joint Ops
Gen. Brown co-wrote an article in Air and Space Power Journal pressing for better integration of Air Components into Combatant Command operations.
on June 10, 2020 at 4:01 AM
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