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日本のイージス・アショア導入は中止になったわけではない

本がイージス・アショア導入の2番目の予定地でも作業を止めたことで米国がめざす太平洋ミサイル防衛ネットワークの構築が打撃を受ける。
6月15日に河野太郎防衛相が突如発表し、発射後のロケット筐体を近隣住宅地に落下させない方策を米政府・ロッキード・マーティン双方が提示できなかったためと説明。▶イージス・アショアは秋田県、山口県の各陸上自衛隊基地に設置の予定だった。▶「費用と日程を考慮の上、イージス・アショア導入を停止した」と河野防衛相は述べたが日本は2年前に導入決定していた。「当面はイージス艦で対応する」
事業規模21億ドルの同装備導入は今回の発表前からもたつきを示しており、秋田では現地の反対の声を受けて導入は白紙に戻すと日本政府は述べ、2025年の同時稼働開始は危うくなっていた。▶今回、二番目の設置場所でも作業が止まり、事業再開となっても目標達成は不可能だ。
ロッキード・マーティン広報は「当社は米ミサイル防衛庁(MDA)、日本防衛省と緊密に動き、イージス・アショア装備の実現を予定通り予算内で目指す。日本政府の懸念を解消したい」と声明を発表した。▶日本政府は今後も続け候補地を模索する。条件のひとつが人口密度が低い地点をみつけることだが、評価作業がいつ完了するか不明だ。
問題が浮上したのはSM-3ブロックIIAミサイルのソフトウェア改良が不十分と判明したためだ。▶構想ではブースター分離方法を変え破片等が住宅地に落下させないはずだった。▶SM-3ブロックIIAは日米共同開発事業で河野防衛相は日本は10億ドル近くを開発に支出ずみとも発言した。▶両国は同ミサイルの試験で協力しており、日本には2021年にイージス駆逐艦8隻体制を求め、うち4隻にSM-3ブロックIIA運用能力を付与する。
「日本の想定脅威が米国政府の考えとずれている証拠だ」と新アメリカ安全保障センターのアナリスト、エリック・ソーヤーズが述べた。▶「戦略面で見れば海上自衛隊の中心任務はミサイル防衛となる。数に限りがあるイージス艦を待機させ本土防空任務に投入するのでは得策と言えない。日本に最善の策は固定陸上ミサイル防衛基地の活用であり、艦船は別任務にあてることだ」(ソーヤーズ)
今回の日本政府の決定はイージス・アショアの世界展開を後退させる別の要素になった▶MDAはポーランドで建設中のイージス・アショアで工程の遅れを認め、完工時期を2年遅らせる。▶このため2021年に追加費用96百万ドルが発生する。ポーランドでの遅れによりイランの中距離弾道ミサイルの追尾迎撃を目指すヨーロッパの対応能力に影響が生まれ、ルーマニア国内の別の基地と合わせ多重的防護措置の実現も遅れる。▶これに対しMDA広報官マーク・ライトは米陸軍工兵隊とMDAがポーランドで努力中で「運用能力の開始」は2022年より先送りしないと述べたが、詳細には触れていない。■
この記事は以下を再構成したものです。

on June 15, 2020 at 1:31 PM

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