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イージス・アショア事業で日米の認識の差が深刻な問題に発展しないか心配です

米ミサイル防衛庁(MDA)、日本の防衛省(MoD)、米海軍が見守る中、
USSジョン・ボール・ジョーンズ(DDG-53)がハワイ西の沖合でスタンダード
ミサイル-3(SM-3)ブロックIIAの初発射に成功した。2月3日 MDA photo.

国軍部はスタンダードミサイル3ブロックIIA弾道ミサイル迎撃手段の開発は完了し、生産に移る状態と認識している。共同開発国の日本が陸上配備弾道ミサイル防衛施設で方向転換しても影響は出ないという。


日本はイージス・アショアBMD施設2箇所を設置する計画だった。今週に入り日本政府はSM-3ブロックIIAのロケットブースターが陸上に安全に落下し一般市民に損害を与えないと確信できないため計画を再考すると発表。


共同通信は「防衛省はロケットブースターは演習場付近に落下すると2018年8月から説明しており、付近住民の生命に危害がないとしてきた。だが米国との協議から近隣自治体の安全は保証できず、ソフトウェア改良のみでは技術課題が解決できないとの結論に至った」と伝えた。


USNI Newsはロケットブースター問題はSM-3ブロックIIA限定ではなく、イージス・アショアで運用する装備で共通の問題と認識している。


ミサイル防衛庁長官ジョン・ヒル海軍中将のSM-3ブロックIIAへの自信は十分だ。


「日本政府が問題提起したが、当方は日本と密接に連絡しながら懸念内容の解決に努力する」とイージス・アショアに言及した。


「SM-3共同開発とは別問題だ。有償海外援助の別問題だ。開発は完了している。SM-3ブロックIIAは生産段階に移る。あくまでも別問題だ。イージス・アショアで威力が強化される。日本側と協力の上、事業再開に向かいたい」


二箇所新設の計画が頓挫したことから地域大でBMD体制へ影響が出るかを問われ、ヒル長官は「日本政府に別の選択肢も近く生まれると見ている。また、くりかえすが、一時停止であり、一部に懸念もあるが日本と協力しつつ実現をめざす。米国防衛の観点では....日本が建設すればわが国が利用し、建設しないならわが国として別の選択肢をさがすだけだ」


ただし長官はイージス・アショアの決定は日本政府のものとしてこれ以上の質問に対応しなかった。


イージス・アショアで最初に完工したルーマニアではSM-3ブロックIBミサイルを供用中だ。ポーランド施設は新型IIAを使う。スタンダードミサイルのメーカー、レイセオンは以下説明している。


「ブロックIIAはヨーロッパ向けミサイル防衛装備の中心である。ポーランドに展開し欧州向け段階別適応型アプローチ事業のフェイズ3が完成する」「日本との協力では、レイセオン・ミサイル&ディフェンスが次世代のSM-3ブロックIIA迎撃弾を開発中である。同型は特徴が2つある。ロケットモーターが大型化し、弾道ミサイルの脅威から広範囲を守り、大型弾頭にも対応できる。迎撃ミサイルの運動性弾頭は大型化され、探査・識別・捕捉・追尾の各機能が充実し、今後登場する高性能脅威にも対応する」■



この記事は以下を再構成したものです。

MDA Director Says SM-3 Block IIA Ready for Production, Unrelated to Japan's Decision to Back Out of Aegis Ashore



June 19, 2020 12:24 PM • Updated: June 19, 2020 6:25 PM


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コメント

  1. ぼたんのちから2020年6月22日 0:15

    今回、秋田、山口でのイージス・アショア配備は中止となったが、イージス・アショア配備を見直し、配備地の変更を行うことになるのだろう。配備計画は、様々な問題を含み、最も大きな問題は、対北朝鮮に特化し過ぎていることだろう。
    近年、中国の脅威が高まっているが、中国の中距離弾道ミサイルは台湾を対象とするより長い射程を持つミサイルが多く、これらの内相当数は日本を目標としているだろう。南シナ海を越えて飛来する弾道ミサイルに対し、計画されていたイージス・アショアの配置は必ずしも適切でない。よって新たな配備地は、より南西寄りになると推測する。
    また、配備中止の理由の一つにブースターの落下があるが、これはミサイルの設置位置はイージス・アショアの近くである必要はなく、理由に成り難い。
    むしろ、ミサイルの陸上配備は最少にして、VLSの多くを移動式コンテナ型式にすべきとも考える。そうなれば状況に応じて、輸送艦等の甲板上に積載して展開できるであろうし、タンカー形式の専用艦ならば、多くのVLSを積載できるだろう。また、民間船にも積載可能となるだろうし、港湾に陸揚げすればそのまま発射基地になる。迎撃ミサイルは、陸上・海上イージスや統合指揮所からコントロールされる。
    この方式は多くの利点を生むはずだ。

    返信削除
    返信
    1. イージスアショアのVLSはネットに写真があるのでご覧になった方がいいですよ。とても車載出来るような大きさではないです。

      アショアのシステムの設計も発令所とレーダー、ミサイルサイトはそれぞれ分離分散して配置する設計です。

      あと南シナ海を超えるミサイルを日本から撃ち落とすのどうやっても不可能だと思うのですが。東シナ海と南シナ海勘違いしてませんか?

      削除
    2. ぼたんのちから2020年6月22日 21:59

      車載でなく、艦載をイメージしてます。
      南シナ海は東シナ海に訂正です。

      削除
    3. ぼたんのちから2020年6月22日 22:49

      さらに返信
      コンテナ型式のVLSとは、セルを束ねたもので、例えば12本のセルをパッケージにしたものを想像します。これは艦船専用です。イージス艦の48セルなら、4個のコンテナを装着します。
      運用の例は、甲板上に直立させ、簡単な発射装置を付けて、実際の発射、指令、誘導は、陸上・海上のイージス等から行うようにします。これは飛躍的な戦力増大になります。
      このようなコンテナ化は米軍でも研究されているでしょう。
      かつて太平洋軍司令官であったハリス氏は、VLSのミサイル再充填の効率の悪さを嘆いていました。コンテナ化は、再充填効率の改善ばかりでなく、広い海域・地域の十分な数のミサイル展開の可能性を持っています。

      削除
  2. 結局、原子力潜水艦にSM−3積んで発射するのが一番使い勝手が良いような気がしますが、、、、

    返信削除

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