- 開発調達コストは7.1%減とペンタゴンがまとめた
- 長期間にわたる供用、維持コストは7.8%増との試算
ロッキード・マーティンF-35の機体価格に低下の兆しが見えてきた。開発調達費用の最新試算は7.1%減の3,978億ドルになった。
ただし議会、納税者は手放しで喜べない。66年間の運用維持総費用は1.182兆ドルとペンタゴンの昨年試算から7.8%上昇している。国防総省のF-35事業評価からBloomberg Newsがまとめた。
F-35事業管理室による調達費用低下試算は朗報の一つで、その他にも納期順守率の向上、パイロットの生命を脅かしかねない欠陥の解決、ソフトウェア不良の解決などがある。
報告書はまだ公表されていないが、F-35の海外販売見込を合計809機とし、昨年の764機から増加。
各種改良が進むF-35は国防予算削減の波から守られそうだ。Covid-19大量流行で連邦予算赤字は急増し、ペンタゴンも予算規模は2025年まで増加できる状況でないと見ている。
F-35の今後の予算見通しでは、2022年度の94機調達予定を9機削減するとある。94機調達は2023年度2024年度とし、2025年度は96機と見込む。2021年度要求が79機から拡大る。F-35で米軍向けと同盟国向け需要が3,200機の試算があり、このうち500機が引き渡し済みだ。空軍は計1,763機調達を目指し、米軍向け2,456機の中心となっている。
報告書作成の昨年12月時点でウィルスは大量流行していなかった。ロッキードは先週、Coovid-19の影響でF-35生産が一時的に減速と発表し、今年納入予定の141機で最大24機に遅延発生の可能性を明らかにした。
ペンタゴン評価ではロッキード及び協力企業のデータで年間生産実績をもとに製造機数を見直しており、調達費用を下げていることがわかる。F-35の米空軍向けA型の「フライアウェイ単価」は12.1百万ドル下がり、57.4百万ドルになった。ただし、エンジンは含まない。海兵隊向けB型は80百万ドルが72.1百万ドルになり、海軍のC型は79.5百万ドルから72.3百万ドルになった。
ただしこれで2077年までの供用期間中に発生する1兆ドルが減るわけではない。今後の見通しについて2019年3月、国防長官代行だったパトリック・シャナハンは「DoD史上最大の事業規模となり、機体維持経費は核兵器近代化事業とほぼ同額」と述べていた。■
この記事は以下を再構成したものです。
2020年5月29日 17:00 JST
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