2022年6月13日月曜日

オーストラリア前国防相の爆弾発言でAUKUSの行方に黄信号。原子力潜水艦が登場するのは2040年代?労働党政権が見直しをかける可能性も。

 VIRGINIA_CLASS_SSN

 

ピーター・ダットンが2030年までに米国製潜水艦2隻を購入する計画が存在していたと発言し、物議を醸している

 

 

ーストラリアの前国防相は、2030年までに米ヴァージニア級原子力攻撃型潜水艦2隻を取得する計画が前政権にあったと発言した。この暴露でオーストラリア政府関係者が動揺し、国内開発の新型原子力潜水艦(SSN)の購入構想を含む、米国および英国との新しいパートナーシップ「AUKUS」が頓挫しないか懸念が出てきた。供用中のコリンズ級ディーゼル電気潜水艦の後継艦を探すオーストラリアの複雑なプロセスで最新の進展となった。オーストラリアは、フランス設計の新型通常動力型アタック級潜水艦契約から離脱している。

 ピーター・ダットン前国防相(自由党党首)は、昨日オーストラリア紙に寄稿し、自身の主張を展開した。ダットンは、米国がヴァージニア級 SSN 2隻を 2020年代末までに供給すると期待していたと書き、「米国がその方向で促進しただろう」と見ている。

 

オーストラリア、イプスウィッチのアンバーリー豪空軍基地で行われたメダル授与式でスピーチするピーター・ダットン。 Photo by Dan Peled/Getty Images

 

 ダットンは、先月の選挙で勝利し政権を率いる労働党を批判し、前連立政権が残っていれば、ヴァージニア級取得を「7~8月頃に発表できる立場だったかもしれない」と主張した。その後、ラジオ局で「労働党がAUKUSや潜水艦事案から手を引こうとすれば国益に反し本当に心配だ」と述べた。

 ダットンの内容では、前政権がヴァージニア級潜水艦の購入を計画していたのか、リースする計画なのかは不明だ。ダットンは昨年、米原子力潜水艦をリースするのは暫定的に能力を獲得する方法であり、間違いなく可能だと述べた。これは、オーストラリアのトニー・アボット元首相を含む他の人々も公然と提唱していた。

 ダットンは、原子力潜水艦の代わりに、労働党政権は現在、通常動力艦をより多く取得しようとしていると主張し、各艦は現地建造されるようだとした。

 

2019年2月、西オーストラリア州コックバーン湾を通過中のコリンズ級潜水艦HMAS Collins、HMAS Farncomb、HMAS Dechaineux、HMAS Sheeanが隊列を組んで航行した。Australian Department of Defense

 

 前国防相の言葉は、政府関係者やアナリストから不評を買っているが、主な理由は、オーストラリアが新しい潜水艦をどこから調達するか、公には未決定のためだ。

 ダットンの論説は、リチャード・マールズRichard Marles新国防相が初の国産原子力潜水艦を、2038年までに建造するとした前政権の見込みは楽観的すぎると指摘したことに続くものだ。「現実には2040年代半ばに納入される可能性が高いというのが前政権退陣時での大方の予想だったと思う」と、マールズは今週初め、オーストラリアの新聞「シドニー・モーニング・ヘラルド」と「エイジ」に語った。

 「このギャップをどう埋めるかを考えねばならない。それしか言えない。方法について私は心を開いている」とマールズは付け加えた。

 アジア太平洋地域の安全保障環境、特に急速に増大する中国の脅威に目を向け、オーストラリア政府は昨年、フランスのナバル・グループとのSEA1000契約で、アタック級潜水艦12隻を調達する計画を破棄した。2007年に始まった契約は、スケジュールの遅れとコスト膨張に悩まされていた。こうした問題を背景に、オーストラリア政府当局は新原潜計画の発表に先立ち、既存のコリンズ級潜水艦の延命計画を明らかにしていた。

 オーストラリア政府がアタック級を捨て、新たに原子力潜水艦を保有する決定をしたのは予想外だったが、同国の国家安全保障上での優先事項と地理的位置に照らせば、多くの点で理に適う。原子力潜水艦は、航続距離、潜水時間、速度、全体的な耐久性において、空気独立推進システムを備えた先進的な通常動力艦と比較しても、追加的な利点を多数提供する。しかし、原子力はコストが高く、原子力推進システムには大規模ンフラと産業基盤が必要となる。

 昨年9月に発表された新型SSN取得のスケジュールには、英米両政府が豪州の取得に向けた「最適な道筋」を探るため1年半の期間が設けられている。その間に、英アスチュート級の派生型、米ヴァージニア級、米海軍のSSN(X)、あるいは全く別の設計のいずれかを選択する予想があった。

 

空母打撃群21(CSG21)展開中の空母HMSクイーン・エリザベスを背景にイギリス海軍アストゥート級潜水艦が浮上航行したCrown Copyright

 

 オーストラリア政府関係者が懸念するのは、ダットンがこうした意思決定プロセスを覆し、AUKUSパートナーシップの整合性を損ねる可能性だ。安全保障条約は、3国間の広範な軍事協力を想定している。特に、ヴァージニア級の取得について米国と秘密裏に協議していたようなので、英国との関係が脅かされる可能性が懸念される。

 オーストラリア放送協会(ABC)は、匿名を条件にAUKUS関係者数名に話を聞いたところ、ダットンによる暴露の影響を懸念しているとした。

 ひとりの関係者は、ダットン発言は、オーストラリア、アメリカ、イギリスがコリンズ級の後継艦で年内に共同発表する計画を「台無しにした」と述べた。

 同関係者は付け加え、オーストラリア海軍にヴァージニア級新型艦船2隻を提供することが困難であることを強調している。米国向けヴァージニア級潜水艦は、コネチカット州グロトンのジェネラル・ダイナミクス・エレクトリック・ボートと、ヴァージニア州ニューポートニュースのハンティントン・インガルス・インダストリーズ2社の造船所で建造されている。

 

建造中のヴァージニア級潜水艦「USSデラウェア」。 U.S. Navy

 

 オーストラリア戦略政策研究所の主任研究員マーカス・ヘリヤーMarcus Hellyerも同様に、ガーディアン・オーストラリア紙に、ダットンは現実を反映しない「アイデアやコンセプトを打ち出した」と批判している。ヘリヤーはさらに、「こんな計画があるはずがない。米政府もオーストラリアも、誰も同意していないのだから」と述べた。

 ダットン発言は、AUKUSのパートナーシップに悪影響を及ぼす可能性があるだけでなく、コリンズ級に代わるプロジェクト全体を遅らせる効果が心配されている。ダットン自身は、現在の「ディーゼル電気潜水艦は、2035年以降、南シナ海で中国に対抗できなくなる」と発言しており、原子力推進の有能な後継艦調達が優先事項となっている。

 南シナ海での中国の軍事活動は、オーストラリアで特にホットな話題である。先週も中国のJ-16フランカー戦闘機がオーストラリアのP-8Aポセイドン哨戒機にチャフを放出し、オーストラリア当局が「危険な行動」だと述べたばかりだ。

 

オーストラリア空軍のP-8Aポセイドン海上哨戒機。 Australian Department of Defense

 

 マールズ国防相兼副首相は記者団に対し、「南シナ海の軍事化が進むのを見たくない」と述べた。「この海はオーストラリアと深くつながり、貿易が行われている」。

 オーストラリアのSSN調達計画で、イギリスがどこに位置づけられるのか、イギリスがプログラムの一部になる道があるのか、正確には不明だ。オーストラリアがアタック級を廃棄し原潜を採用する計画を発表した直後、イギリスはイギリス海軍の現在のアスチュート級SSNに代わる次世代原子力潜水艦計画に着手したと宣言した。新計画は現在、潜水艦核代替計画(SSNR)と呼ばれ、少なくとも英豪両国に合わせた全く新しい原子力設計、あるいはSSNRのサブクラスに豪州向け機能を盛り込む可能性があると考えられていた。

 西オーストラリア大学のピーター・ディーン教授Dr. Peter Dean(防衛学)は ABC にこう語っている。「英国は自国潜水艦が選択肢から外れる可能性を知って嬉しくないだろうし、米議会や国防総省などでも、可能性を示す記事を読んで非常に興味を持った人がたくさんいるはずだ」。

 労働党の公式路線について、ダットン発言を受けて、マールズ国防相兼副首相が次のように述べている。「このような暴挙は国益を損なう。この発言はAUKUS合意を損なう」。

 マールズは、コリンズ級に代わり取得するSSNは未決定と繰り返し、「すべての選択肢がテーブルの上に残っている」と述べた。

 

5月23日、オーストラリア・キャンベラで就任式を終えたペニー・ウォン外相、ジム・チャルマーズ財務相、アンソニー・アルバネーゼ首相、リチャード・マールズ副首相。Photo by David Gray/Getty Images

 

 オーストラリア国防総省は、今回の動きについてコメントを出していない。しかし、新型原子力潜水艦導入という野心的な計画で、ねじれがさらに生じる可能性は高い観がある。中国の脅威が高まる中、コリンズ級は老朽化する一方だ。政治的な対立がなくても、SSNのように複雑で特殊な艦の建造、導入は、必要なインフラ整備は言うまでもなく、一筋縄でいかない。■

 

 

Australia Was Poised To Get Virginia Class Nuclear Submarines Says Former Defense Minister

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BYJOSEPH TREVITHICK, THOMAS NEWDICKJUN 10, 2022 2:33 PM

THE WAR ZONE

 


Know Your Enemy: シャングリラ対話で中国国防相は驚くべき発言をしていた。

  

   

China's Defence Minister Wei Fenghe speaks at the Shangri-La Dialogue summit in Singapore on June 12, 2022. Photo: AFP

2022年6月12日、シンガポールで開催されたシャングリラ対話サミットで講演する中国の魏鳳和国防相。  Photo: AFP

 

 ご注意 以下の記事はCCPの息がかかった環球時報英語版からのご紹介で、文中の意見等は当ブログのものではありません。赤字部分等は当ブログがつけたものです。

 

 

国軍は、中国から台湾を分断しようとする勢力と最後まで戦うと、中国の国防部長は日曜日にシャングリラ対話でスピーチした。中国アナリストからは、これは中国が米国に送った最も強い警告との声が出ている。米国はたびたび台湾問題を利用し中国を挑発し、台湾の分離主義当局を刺激し地域内の安全保障状況を悪化させてきたからだ。

 

 

中国国務委員兼国防相の魏鳳和Wei Fenghe は日曜日、シンガポールで開催された第19回シャングリラ対話で、地域秩序に関する中国のビジョンについて演説した。台湾問題について、ウェイは、台湾は中国の一部であり、台湾問題は中国の内政問題であると述べた。「中国は必ずや統一を実現する」。

 

トランプ政権からバイデン政権まで、米国は台湾問題を一貫して利用し、台湾分離主義当局を扇動し、外交的プレゼンスを獲得ずみで世界が認めた一国主義に挑戦し、武器売却を増やし、軍艦を送り近海に入り、統一プロセスを妨害するなど、中国封じ込め戦略に利用している。一方、米国の一部議員や高官、下院議長までもが同島を訪問あるいは訪問を計画しており、分離主義者に誤ったシグナルを送り、中米関係の政治的基盤に挑戦している。

 

これらのことから、中国は明確な警告を米国に送る必要があると考え、米国が警告を無視し危険な動きを続ける、あるいはレッドラインを超えても、台湾問題を明確に解決する用意があり、プロセスが平和的であろうと武力的であろうと構わないと言うのが中国の態度だと専門家は指摘している。

 

中国大陸は、台湾海峡両岸の人民のため、平和的統一を求める努力を最大限続けているが、米国と台湾当局が平和的統一の希望を完全に破壊した場合、中国は力による問題解決を躊躇しないと分析されている。  

 

ウェイは、敵対勢力に警告を発した以外に、アジア太平洋の平和を持続的かつ断ち切れないものにする方法について、中国側の見解を紹介した。「未来を共有するアジア太平洋共同体の構築」は、アジア諸国のブロック間軍事対立を扇動する米国のインド太平洋戦略に対抗するイニシアチブだ。アナリストによれば、米国には中国を取り巻く戦略的環境を形成する能力はないが、中国には地域を統合し、共に発展させる能力がある

 

シャングリラ対話の中国軍代表団のメンバーでもある人民解放軍軍事科学院元副院長の何磊He Leiは、環球時報に対し、「ウェイ部長の発言は、重要問題に対する原則的かつ確固たる中国の姿勢と態度を示し、米国と西側同盟国からの非難と中傷にも応えた」と指摘した。

 

「発言はまた、地域諸国の懸念や質問に効果的に応えた」と述べ、Weiがスピーチを終えたとき、聴衆は暖かい拍手を送ったが、土曜日にロイド・オースティン国防長官のスピーチが終わったとき、聴衆は礼儀上わずかな拍手で応えただけだったと指摘した。

 

「中国国防相の演説へ聴衆が高い認知度を示している」と指摘した。 

 

統一は間違いない

 

統一は中華民族の大義であり、誰にもいかなる力にも止められない歴史の流れだ。「平和的統一は中国国民の最大の願いであり、最大限の誠意を持って、そのため最大の努力をする。今も平和的統一を実現するために最大の誠意を持って努力している」とウェイは述べた。

 

ご注意 この記事は環球時報の報道をそのままお伝えしています。記事内の意見、評価はブログオーナーのものではありません。

 

中国を分裂させようと「台湾独立」を追求する者には、良い結果とならない。民進党は、大陸と台湾がともに中国だという現状を変えようとし、1992年コンセンサスを認めず、「独立」を段階的に追求し、反中の海外団体の手先として行動しているのであり、主人に利用され捨てられるだけだとウェイは指摘した。

 

専門家によれば、中国の国防部長は、情勢悪化の責任は誰にあるのか、数十年にわたり両岸交流と地域の平和を保証してきた政治的合意を放棄し、現状を振り出しにもどしたのは誰なのか国際社会に伝えようとしているのだという。

 

中国のアナリストは、台湾海峡の状況悪化で中国を非難する勢力は、盲目あるいは盲目のふりをして、大陸を挑発する分離主義者の民進党当局を容認または支持し、中国の主権を守ろうとする大陸の努力を一方的に批判しているだけだと指摘した。

 

「誰かが台湾を中国から引き離そうとするならば、躊躇なく戦う。どんな犠牲を払ってでも戦う。最後の最後まで戦う。これが中国にとって唯一の選択だ」とウェイは言った。外国の干渉は失敗に終わる運命、とウェイは警告した。

 

「『台湾独立』を求める人たちとその背後にいる勢力に、ここにはっきりと言いたい。台湾独立の追求は行き止まりであり、妄想だ。外国の支援を求めてもうまくいかないし、絶対に考えてはいけない!」。

 

歴史の歯車は回っている。誰も中国統一への道を止められない。主権と領土を守る中国軍の強い決意、確固たる意志、強力な能力を過小評価してはならないとウェイは述べた。

 

厦門大学台湾研究所の李飛教授は、「米国とその傀儡民進党当局、および日本など一部の同盟国は、今回の警告発言だけで台湾海峡の状況への干渉をやめることはないだろうし、緊張は続く」「台湾問題で中国と最終対決すれば、結果は明らかであるのを知らせることが重要である」と指摘した。

 

「多少の代償は払うが必要なら武力で統一する、最終的に台湾問題は徹底的に解決できる。中国が現在出しているシグナルは、統一は不可避であり、米国が負ける運命にある中国との対決を避けるため正しい選択をするよう米国に知らせることだ」(李)。

 

環境を整える

 

中国国防部長は、敵対勢力への警告に加え、持続可能な平和と発展を地域で実現する中国の考えと計画についても説明した。

 

ウェイは、世界は歴史上稀に見る危機に直面しており、進むべき道は多国間主義を堅持・実践し、未来を共有する共同体を構築することだと述べた。

 

「中国の発展は止められない。中国の発展は他国にとって脅威ではない。それどころか、世界の平和と発展に大きく寄与している」。

 

アナリストによれば、地域における中国の最大の利点はその発展で、それにより中国は近隣諸国や地域のほとんどの国、たとえ中国と紛争を抱える国々と利益を共有でき、地域諸国は中国を敵視する外部勢力の要求に応えたがらない、それは各国の具体的利益に反するからだ、という。

 

米国は多くを約束するが、ほとんどリップサービスであり、プロパガンダマシンで「中国脅威論」を広めている。しかし、米国にとって最大の問題は、アジア太平洋諸国の発展を助ける便宜を提供する能力がないことだと、北京在住の国際関係の上級専門家は匿名条件で述べた。

 

「米国が得意なのは、小国を嘘で脅し、地域紛争や摩擦を利用し緊張を煽り、米国製武器を小国に買わせ、強大な隣国相手に無意味で高価で愚かな対立をさせ、最悪なのは損失分をワシントンが払わないことだ」と述べた。「フィリピンなど多くの国はとっくの昔に教訓を学んでおり、この手口は通用しなくなる」。

 

アジア太平洋地域は世界で最も活気に満ち有望な経済原動力であると指摘した上で、ウェイは、永続的な平和を享受し、すべての人々に安全を提供する、未来を共有するアジア太平洋共同体の構築という明るい展望に努力するよう各国に促した。

 

中国社会科学院で国際関係と米国研究の専門家Lü Xiangは「十分なパワーと強さ、域内諸国から最大の支持を有する国のみが、地域の戦略的環境を形成できる」が「アジア太平洋地域では、米国はその任にあらず、中国こそこれが可能な国だ」と述べた。■

 

Chinese defense chief sends 'strongest warning' to US on Taiwan question; 'Indo-Pacific strategy will fail to divide region' - Global Times

By Yang Sheng and Liu Xuanzun

Published: Jun 12, 2022 11:29 PM

 

コメント 中国、ロシア、北朝鮮他を専用に扱うKnow Your Enemy(仮題)を近日中に別ブログとして立ち上げますのでご期待ください。


食糧危機を回避すべく、ウクライナ港湾からの穀物搬送を早く再開すべきだ。そのため国連主導の護衛部隊を創設すべきで、トルコが重要な立場になる

 

オデーサで船積みされる穀物。2021年8月。 gCaptain


シアの黒海港湾封鎖により、ウクライナから小麦の出荷ができず、このまま戦争が続くと、ウクライナ小麦に依存する各国で在庫が減っていく。飢饉の可能性もある。重大な人道的危機を回避するためにも、状況を解決する必要があると誰もが認めるところだ。ただ、その方法が問題だ。

 戦争がもたらす長期的影響は、さまざまな形で現れる。ウクライナの穀物危機は、北アフリカや中東を中心に世界規模の食糧危機を引き起こす可能性があり、メディアをにぎわせている。ロシア軍艦がオデーサ、チョルノモルスクなど黒海の港湾を閉鎖しているため、穀物は非効率な陸路輸送を余儀なくされている。ウクライナの穀物輸9割が輸送できない状態だ。

 FAO(国連食糧農業機関)の推計によると、ウクライナ港湾地区には穀物2500万トンがサイロ保管されている。これが世界の食糧供給に深刻な影響を及ぼしている。穀物価格は史上最高値に達した。ウクライナの港の開放が不可欠な理由を説明する必要はないだろう。


ロシアによる封鎖を解除するには


Is there a solution to lift Russia's blockade at Black Sea to transport Ukrainian grain?

沈没直前の巡洋艦モスクヴァ


 戦争が始まると、ロシア黒海艦隊が黒海北部の支配権を握った。同艦隊は今回の戦争で二つの重要な役割を果たしている。ウクライナを遮断する禁輸措置、水上艦と潜水艦から陸上攻撃ミサイル「カリブル」を発射しての陸上部隊を支援だ。

 ロシア艦隊がウクライナ沿岸付近で独自に行動したのは、ウクライナが巡洋艦モスクワを対艦ミサイル「ネプチューン」2発で沈没させるまでであった。黒海艦隊は旗艦を失ったトラウマに加え、「面防空」能力も失った。その結果、ウクライナはスネーク島付近でTB2バイラクタル武装無人偵察機でロシア巡視船数隻を攻撃した。これらの損失により、オデーサ沖のロシア海軍の活動は劇的に減少した。

 また、モスクワ喪失は、ロシア艦隊の対艦ミサイル防衛に問題があることを明らかにした。ウクライナは、デンマークから陸上型ハープーン、英国からブリムストーン、スウェーデンからRBS-17(またはロボット17)の各ミサイルを調達し、多層構造の地上防衛を構築した。この強化により、ウクライナはこの地域に75カイリにわたるA2/AD(Anti Access/Area Denial)ゾーンを形成し、ロシア軍に直接の脅威を与えるまでになった。


 米国や欧州諸国はウクライナにの武器やシステム多数を供給しているが、封鎖を破る手段としては対艦ミサイルしかないようだ。対艦ミサイルはロシア艦隊への抑止力になるが、同海域の安全を確保するには不十分かもしれない。なぜなら、対艦ミサイルで交戦不能のロシア潜水艦が活動しており、ロシア水上艦は遠距離から船舶を探知し交戦が可能だからだ。

 封鎖を解除し、ウクライナの穀物輸送に航路を開放するには、さらなる対策が必要となる。


NATOが航路を再開できるか?

Is there a solution to lift Russia's blockade at Black Sea to transport Ukrainian grain?

黒海で開催されたシーブリーズ2021演習でのNATO SNMG2部隊の写真(NATO MARCOM撮影)。


ロシア・ウクライナ戦争における最悪のシナリオは、ロシアとNATOのホットコンタクトだ。NATO各国はウクライナを支援しているが、双方は核保有国間で望ましくないエスカレーションが起こらないよう、微妙なバランスを保っている。NATOとロシアのホットコンタクトが発生した場合、エスカレーションがどこに向かうかを評価は困難となる。

 NATO艦艇がウクライナ港から穀物を運ぶ貨物船を護衛したり、同地域の機雷を除去することについては、以下の問題を考慮する必要がある。

  • 第一の問題は、モントルー条約だ。トルコは同条約に基づき、海峡の軍艦通行を禁止している。ロシアはNATOを紛争の一部ととらえており、この動きを条約違反と見なしすだろう。

  • NATOの護衛艦に対するロシアの態度を評価するのは難しい。ロシアの同意なしに封鎖を突破すれば、ロシアは抑止力を喪失することとなる。予測不可能なプーチン大統領は、エスカレートしNATOへの攻撃命令を出しかねない。

  • 商船が安全に航行できるよう、オデーサ沖の機雷を除去しなければならない。しかし、相互不信のため、同海域でMCM作戦を展開するのは不安なようだ。第一に、誰が機雷を敷設したのか不明である(機雷の正確な位置を提供すべき)、第二に、機雷が浮遊している可能性があること(機雷除去作戦を行うアセットは浮遊機雷の脅威を受ける)、最後にMCM活動の性質上、ロシアの同意なしにMCM活動を行えないこと、がある。

 一方、機雷除去で水陸両用作戦へのオデーサの防御力が低下する可能性があるため、ウクライナはロシアの保証を得ずに同地域の全ての機雷除去に反対する可能性がある。


Is there a solution to lift Russia's blockade at Black Sea to transport Ukrainian grain?

浮遊式地雷を無力化するルーマニアのEOD要員



 フランス大統領府は金曜日、オデーサ封鎖を解除する「作戦」に参加する用意があると宣言したと報じられた。


外交が最良の手段

プーチンが食糧危機を武器として利用しているのは明らかだ。ロシアは、封鎖による穀物不足を交渉カードとみなしている。一方、前述したように、ロシアの同意なしに作戦を実行すると、NATOとロシア間で望ましくないエスカレーションが起こる可能性がある。従って、この危機を解決するためには、相互の合意が必要なのだ。

 国連がこの危機を克服できるかもしれない。世界各地の紛争と同様に、国連海上護衛部隊は、中立的な各国の海軍部隊で編成される。ロシアが安全保障上の懸念を感じないように、国連は商船に武器携行させていないと保証し、ロシア艦も国連部隊に参加できる。護衛部隊は、2つのサブグループで構成される。穀物を運ぶ商船を守る護衛部隊と、ウクライナ港湾に安全回廊を開くMCM部隊だ。


東地中海で訓練を行うUNIFIL海上任務部隊(UNIFIL撮影)。(UNIFIL photo)


 この部隊の司令部所在地で最も賢明な選択はトルコだろう。トルコはNATO加盟国であるだけでなく、ロシアやウクライナと良好な関係を保っている。特筆すべきは、トルコが戦争終結交渉を主催し、首脳(エルドアン、プーチン)間の電話外交でひまわり油危機を解決したことだ。したがって、トルコの提督が各国混成の護衛部隊とMCM部隊を率いて航路を開けば、双方に歓迎されるだろう。トルコ海軍は同様の部隊を率いた経験があり、この任務を遂行する十分な能力を有しているし、トルコは両当事国との関係に加え、地域的な優位性もある。

 原因はどうであれ、今回の事態は人道危機であると全員が認識すべきだ。飢餓を防ぐため必要な対応を、すべての国が行わなければならない。この危機は戦争と切り離して処理されるべきで、ウクライナの穀物を海上輸送するため海軍部隊を可及的速やかに創設するべきだ。同部隊には当事者双方の承認が必要で、外交が解決策を提供に最良の手段であることがわかる。■


Ukrainian grain: How to Lift Russia's Black Sea Blockade? - Naval News

Tayfun Ozberk  12 Jun 2022

 

AUTHORS

Posted by : Tayfun Ozberk

Tayfun Ozberk is a former naval officer who is expert in Above Water Warfare especially in Littoral Waters. He has a Bachelor Degree in Computer Science. After serving the Turkish Navy for 16 years, he started writing articles for several media. Tayfun also offers analysis services on global naval strategies. He's based in Mersin, Turkey.


ウクライナ戦の最新状況(現地時間6月12日現在) ウクライナ軍の損失増大、ロシア軍は逆に戦死者発生が減ってきた

 

英国国防省による6月12日時点の戦場の様子。(英国国防省)


シアの侵攻開始から109日。日曜日、セベロドネツクは、両陣営の激戦が続き、再び注目の的となった。


セベロドネツク攻防戦

ウクライナ軍はセベロドネツクの工業地帯に追い込まれ、市の約3分の1を支配している。両軍の激しい路上戦闘により、セベロドネツクは瓦礫の山と化した。

 一方、ウクライナ南部ではウクライナ軍が反攻を再開し、ウクライナ軍はケルソン北西部に進出した。

 「ロシア軍はセベロドネツク地区で地上攻撃を続けているが、6月11日現在、ウクライナの防衛隊が同市の工業地帯を掌握している。ロシア軍はスロビャンスクへの進軍を再開するため、イジュムの南西と南東の集落への攻撃を継続した」と戦争研究所は評価した。

ロシア軍犠牲者

ウクライナ軍は毎日、ロシア軍に与えたとする犠牲者数を発表している。発表の数字は公式の数字だが、個別検証されたものではない。

 しかし、西側の情報機関の評価や独立した報道は、ウクライナの主張する死傷者数をある程度裏付けている。例えば、オープンソースの情報調査ページ「オリックス」は、600両以上のロシア戦車の破壊または拿捕を目視で確認しており、この発言は英国国防省によって再確認されている。

 ウクライナのその他主張の多くでも、同様に独立した検証がある。米国防総省はロシア軍が戦車1,000両以上含むあらゆるタイプの戦闘車両、戦闘機やヘリコプター数十機のを喪失しているのを認めた。

 さらに、西側情報機関を引用した最近の報告によると、ロシア軍はこれまでの戦争で最大2万人の死者を出している。戦争の霧や、現場にいなければ正確な数字を確認するのが難しい他の要因を調整すると、西側の公式数字はウクライナの主張にかなり近い。

日曜日現在、ウクライナ国防省が主張するロシアの死傷者数は次の通り。


  • 戦死32,150人(負傷者、捕虜はその3倍程度)

  • 装甲兵員輸送車3,484

  • 車両および燃料タンク2,455

  • 戦車1,430

  • 大砲715

  • 戦術的無人航空機システム582機

  • 戦闘機、攻撃機、輸送機 212

  • 多連装ロケットシステム(MLRS)226

  • 攻撃・輸送用ヘリコプター178

  • 巡航ミサイル125

  • 対空砲台96

  • 架橋装置などの特殊装備53

  • ボートおよびカッター13

  • 移動式弾道ミサイル「イスカンダル」4


 この数週間、ドンバス地方での継続的な圧力と攻撃作戦にもかかわらず、ロシアの犠牲者の割合は大幅に減速している。このことは、2つのことを示唆している。1つ、ロシア軍の指揮官が攻撃作戦に慎重になっている、2つ、ウクライナ軍が戦闘力や弾薬を使い果たしつつある。最近の現地報告によると、ともに事実で、戦闘疲労が双方に及んでいるようだ。

 ウクライナ軍はセベロドネツク周辺からの撤退に力を入れており、これもロシア軍の死傷率が鈍化した理由かもしれない。

 ここ数週間、ロシア軍の死傷者が最多だったのは、スロビャンスク、クリビイリヒ、ザポリジャー地区だった。日が経つにつれ、激しい戦闘はスロビャンスクの南東バフムト方面、ウクライナの重要都市セベロドネツク、ライマン周辺に移行していった。

 その後、ウクライナ軍の反攻により、犠牲者多数が発生したのは、ヨーロッパ最大級の原子力発電所があるザポリジャー地区と再び西に移動した。

 日曜日、ウクライナ軍がセベロドネツク近郊で最多の死傷者を出したのは、過去数週間に及ぶ同地域での激戦を反映している。

 ロシア軍の新たな東部攻勢の目的は、ドネツクとルハンスクの親ロシア派の離脱地域を完全支配し、これらの地域と占領下のクリミアに陸上回廊を作り維持することと表明している。■



Your tactical update on Ukraine (June 12) - Sandboxx

Stavros Atlamazoglou | June 12, 2022

Stavros Atlamazoglou

Greek Army veteran (National service with 575th Marines Battalion and Army HQ). Johns Hopkins University. You will usually find him on the top of a mountain admiring the view and wondering how he got there.

 


2022年6月12日日曜日

ウクライナ戦から最初に得られた知見:統合防空ミサイル防衛体制への教訓

 Neptune Anti-Ship Missile

  ネプチューン対艦ミサイルImage Credit: Creative Commons.

 

シアとウクライナの死闘が新局面を迎えているが、米国と同盟国・同志国はこの熱い戦いから得られた重要かつ新しい洞察に耳を傾けるべきだ。100日以上にわたる激戦の後、米国と同盟国の統合防空ミサイル防衛(IAMD)に対する明確かつ説得力のある見解が明らかになってきた。ミサイルと無人航空機(UAS)双方に対抗するIAMDの有効性は、今回の紛争における重要要素で、発射側と防御側の競争は進化し続けている。この力学と得られる重要な教訓を明確に理解することは、米国と同盟国が欧州、インド太平洋、その他世界各地で作戦アプローチを強化・修正しながら、能力整備し能力不足を緩和するため不可欠だ。ただし、今回はオープンソース情報で得た初期の洞察と予備的な教訓であるため、詳細な評価とより完全なデータからの洞察と修正が今後予想される。

 

 

ミサイルの脅威とIAMD

ロシア=ウクライナ紛争では、大量のミサイルやUASによる攻撃例が確認されている。ロシアは弾道ミサイル(主に短距離弾道ミサイル(SRBM))、巡航ミサイル、極超音速ミサイル、空中発射弾道ミサイルの合計2,100発以上を発射している(2022年5月25日現在)。さらに、各種プロファイルを持つミサイルと補完的な能力(例えば、サイバーやUAS)を投入した大規模かつ複雑な一斉発射が、同時またはほぼ同時にターゲットを攻撃するため使用されている状況には懸念すべき理由がある。

 使用されたミサイル種類の決定的な内訳はまだない。戦前のロシアのSRBM用TEL(Transportable Erector Launcher)の在庫から、TELの大部分(約150基)はイスカンダル(NATO名称イスカンダルMまたはSS-26ストーンなど)用の可能性が高い。イスカンダル砲台はSRBMと巡航ミサイル双方を発射できるが、大半はSRBM用だろう。ロシアの巡航ミサイルは、地上(TELを使用)、爆撃機や戦闘機による空中発射、水上艦や潜水艦による海上発射が可能だ。このため、紛争前のSRBMミサイルの発射台数、初期のミサイル攻撃やミサイル攻撃報告(主に巡航ミサイル攻撃と思われる)に基づき、ウクライナに発射されたロシアのミサイルの60%以上が、各種の巡航ミサイルであった可能性が高い。ロシアが発射した巡航ミサイルは、100日目までに120発と約1割が撃墜されている(ウクライナ政府関係者)との報告から、1000発を超えているとの見方もある。

 以前の報告では、巡航ミサイルが高い比率で目標に命中していないとされていたが、最近の米北方軍司令官グレン・ヴァンヘルク大将General Glen VanHercの証言で、この点に疑問が持たれている。 ウクライナは巡航ミサイル撃墜に一定の成果を上げているが、発射元(あるいは「射手」)を攻撃する能力がない。ミサイル(「矢」)を1発ずつ撃ち落とすことは、対ロシアIAMDの長期戦略として効果的ではない。発射場、発射装置、関連機器(レーダー、BMC2など)の破壊に成功すれば、もっとインパクトがあり、民間人、軍人、重要資産を防護できる。

 米国と同盟国(欧州をはじめ世界各国)が学ぶべき重要な教訓は、適切なIAMD能力だけでは不十分であることだ。IAMDシステムは、十分な規模を獲得し、紛争が始まる前に十分な態勢を整え、攻撃から保護されるべきだ。健全な態勢を整えるには、資産の分散、冗長性のある指示や警告に基づく分散、保護が必要だ。IAMD資産(S-300、PAC-3、THAADなど)の保護には、硬化シェルターやカモフラージュ-コンシールメント-ディセプション(CCD)などの受動的防御手段、対UASや巡航ミサイル防衛などの能動的防御、発射直後の反撃能力、敵発射機に対する報復攻撃能力などが必要である。イスラエルのミサイル防衛計画の父であるウジ・ラビン博士 Dr. Uzi Rabinによると、ウクライナ軍は初期に「S-300ランチャー22基と他の短距離地上配備型航空防衛(GBAD)砲台17基を失った」。 Jane’sのオープンソースのバトル・ダメージ・アセスメント(BDA)では、ウクライナのIAMD資産の防御力が相当低かったのを、受動的能動的両面で示しており、ラビン博士の報告書もこれを検証し、「効果的な防御がないため、ウクライナの空軍基地、物流センター、弾薬庫はロシアの深部攻撃用精密巡航ミサイルに大きく晒された」と述べている。

 

教訓と今後の方向性

ウクライナの能動的な防空・ミサイル防衛は、ロシアの脅威と航空戦力に対し、多くの専門家が戦前に考えていた以上の成果を上げたようだ。原因をロシアの失敗とウクライナの成功に求めてる専門家が多いが、まだ確定していない。とはいえ、紛争初期の数週間で、IAMDシステムと主要航空基地を失ったにもかかわらず、ウクライナ全土の既成事実づくりを阻止する点でウクライナ側の成功が重要要素だったようだ。

 米国、同盟国・同志国は、今回の紛争の終了後も、IAMDの教訓を分析する必要がある。分析から、IAMD資産の受動的防衛と、UAS、巡航ミサイル、弾道ミサイルに対する複合的かつ能動的防衛に関する勧告が出る。発射システムを軽減または排除するため、JP 3-01に規定されているような残存装備からの発射および攻撃作戦のための強化されたアプローチと、報復攻撃能力を開発する必要がある。さらに、この紛争におけるUASと対UASの相互作用、IAMD資産防衛の意味について包括的評価が必要だ。

 

 

 ロシア・ウクライナ紛争は、米国、同盟国・同志国のIAMDへのアプローチ、特に巡航ミサイルと UASに対する能力格差が大きいことを露呈している。米国および同盟国の各軍は、現在のところ、短期解決策をほとんど提供していない。例えば、米陸軍の間接火器防護能力増分2-迎撃ブロック1(IFPC 2-I)は、巡航ミサイル防衛能力や能力を実戦配備しておらず、米国外での配備やプレゼンスに何年もかかっている。対UASでは、米陸軍はIM-SHORADを記録的な速さで配備し、機動低速小型無人航空機統合防衛システム(M-LIDS)など新しい対UASシステムを採用しており、陸軍長距離持続センサー(ALPS)など重要センサーの開発も大きく前進している。その他IAMD能力にも同じような緊急性を促すべきだ。さらに、IFPC 2-I の遅延による能力ギャップを埋めるために、米海兵隊のアイアンドーム、戦略能力局(SCO)の超高速地上兵器システム、国家最新鋭地対空ミサイルシステム、日本の陸上自衛隊の中SAM、指向エナジーソリューションなど、他の選択肢も検討する必要がある。最後に、フランス製ミストラルがロシア巡航ミサイル撃破に成功したなど、携帯型防空システムの報告も少なくない。こうした技術革新も分析すべきであり、米国、同盟国・同志国のため、より専門的なシステムが実戦配備されるまでのつなぎとして追求すべきものもある。

 米国、同盟国・同志国が欧州とインド太平洋における防衛能力を強化するためには、完全統合された戦闘管理指揮統制(BMC2)も開発、実戦配備せねばならない。BMC2は、弾道、巡航、UASの脅威に対する防空とミサイル防衛を統合するよう設計とし、各軍およびパートナー国の統合を含める必要がある。MDAは弾道ミサイル防衛分野で成功を収めており、複数のミサイル脅威に対する地域的な防衛設計をサポートするアーキテクチャの開発で大きな進展を遂げている。MDAは、米国欧州司令部(EUCOM)、米国インド太平洋司令部(INDOPACOM)、国土安全保障省の支援を進めている。進行中の開発は、JADC2(Joint All-Domain Command and Control)の構想を最も具現化したものと言えるそうだ。C-sUASと従来の航空・ミサイル防衛(AMD)をBMC2で接続し、各軍や同盟国を完全統合するため、さらに作業が必要だ。

 

Kalibr Cruise Missile

カリブル巡航ミサイルを発射するロシア艦Image Credit: Creative Commons.

 

限定的ながらウクライナでの能動的防空・ミサイル防衛の成功は、特に巡航ミサイル防衛と対UASのため、IAMDを大規模展開する強力な根拠となる。米国では、対UAS 能力の成功の道筋がいくつか見えてきているようだ。しかし、巡航ミサイル防衛については、本国、EUCOMやINDOPACOMのいずれでも進展がなく、米国具体的な行動はまだないままだし、BMC2による統合・合同IAMD資産を主要同盟国同志国と統合する重要性にも気づいていない。■

 

Integrated Air and Missile Defense: Early Lessons from the Russia-Ukraine War - 19FortyFive

ByCarl Rehberg

 

About the Author: Dr. Carl Rehberg is a Non-resident Senior Fellow at the Center for Strategic and Budgetary Assessments. Carl was founder and director of the Headquarters Air Force Asia-Pacific Cell, which played a pivotal role in the development of Air Force strategy, force development, planning, analysis and warfighting concepts supporting initiatives related to Asia-Pacific and the DoD Third Offset Strategy. Carl spearheaded the establishment of the China Aerospace Studies Institute (CASI) and led the development of innovative concepts and capability proposals to improve DoD’s joint resiliency and integrated air and missile defenses. Prior to this assignment, he was the Assistant Associate Director for AF Strategic Planning and Director, Analysis Division in the AF QDR organization, leading multiple assessments of future capabilities and force structure.