2023年4月23日日曜日

黒海にRQ-170含め米軍ISR機材が多数展開している模様。ロシアの動きを把握していることがウクライナ軍善戦の理由?

 



USAF via FOIA



機密文書は、黒海地域でRQ-170や各種偵察機が運用されている詳細を提供している



洩した米軍文書によると、RQ-170ステルス無人機「センチネル」は、ウクライナのクリミア半島や黒海地域占領中のロシア軍関連の情報を収集するため、2022年9月以降、少なくとも9回出撃した可能性があるという。もし事実なら、レイスWraithsの愛称もある同無人機が、米軍が公式に存在を認めて15年近く経った今も秘密のベールに包まれたまま、運用され続けていることを示す貴重な情報となる。

 フランス語ウェブサイトZone Militaireは、マサチューセッツ州空軍のジャック・ダグラス・テイシェイラ1等兵がネットに流出させた文書から、問題の文書を最初に報道した。2022年9月から2023年2月まで黒海地域における米国とNATOの情報収集・監視・偵察(ISR)の詳細が記載されている。同期間中のRQ-170の飛行データに加え、米空軍RQ-4グローバルホークとRQ-9リーパーのドローン出撃状況、さらに英国のRC-135Wリベットジョイント、フランスのミラージュ2000、NATOグローバルホークによる活動についてもデータが提供されている。フランスが同地域でミラージュ2000戦闘機に外部偵察ポッドを搭載しISR任務で使用していることも、これまで明らかにされていなかった。

 ウクライナやロシア国内のロシア軍がこうしたISR飛行の対象であるとは明示されていないが、添付地図には、占領下のクリミア半島沖で確立した飛行経路が示されている。同文書で言及された航空機が実際にウクライナやロシアを上空飛行したと示されているわけではない。しかし、ロシア軍が2022年2月にウクライナ全面侵攻を開始する以前から、ロシア周辺では米欧による航空ISR活動が顕著に活発化していた。米国政府も、ウクライナ側との情報共有が盛んであることを公言している。

 なお、The War Zoneは、RQ-170飛行に言及した文書の真偽を  確定的かつ独自に検証できなかった。テイシェイラが流出させた資料の少なくとも一部は、加工されたものに見える。ISR関連文書が正当なものならば、RQ-170の飛行が同地域でまだ続いているのか、どこから行われているのかは不明のままだ。

 同文書について問い合わせしたところ、同地域の最高司令部である在欧米空軍(USAFE)の広報担当は、「政策と作戦上のセキュリティの問題として、ISR資産の運用上の詳細についてコメントしない」と述べている。「しかし、日常的なISR飛行は、米国、連合国、協力国のさまざまな目標をサポートしています」。

 The War Zoneは、国防長官室にも連絡を取っている。問題の文書は、統合参謀本部内のJ-32として知られるISRオフィスが作成したと表示されている。

 とはいえ、米軍がこのような状況でRQ-170を投入し、黒海上空の国際空域でスタンドオフ・レンジからISR出撃するのには、それなりの理由がある。空軍は、同無人機を合計20~30機保有していると言われる。第30偵察飛行隊と第44偵察飛行隊が運用していることを確認しているに過ぎない。主な活動拠点はネバダ州のクリーチ空軍基地だが、他の場所でも運用されたことがある。




2017年、カリフォルニア州のバンデンバーグ空軍基地から飛び立ったテスト構成のRQ-170 Sentinel。Matthew C. Hartman


RQ-170含むステルス機は、発見される可能性が低い情報収集ツールとなる。非ステルス性のISR機は、相手にとって発見や追跡が容易であり、相手はその知識に基づいて、活動を隠したり変え、さらに即座の措置を取る。

 そのため、RQ-170は、敵軍の配置、作戦手順、その他の活動に関する機微情報を収集している可能性がある。センチネルは、合成開口画像と地上移動目標表示機能を備えたアクティブ電子走査アレイレーダー、電気光学センサーボール、電子情報スイートなど、多くのセンサーを搭載できることが判明している。

 もちろん、センチネルはレーダーから完全に見えないわけではなく、ステルス機も同じですが、監視対象となるターゲットに近づいて飛行できる。その結果、収集した情報の質をさらに向上させ、発見されずにそこに留まることができれば、別次元の情報を提供できる。

 また、RQ-170のステルス機能は、敵から機体を守るのにも役立つ。ロシアはウクライナへの全面侵攻を開始する前から、クリミアに堅牢なレーダーを搭載した長距離地対空ミサイルシステムS-300とS-400を追加するなど、防空能力を大幅に強化していた。

 同地域のリスク計算が大きく変化したことも、RQ-170の配備を促したかもしれない。流出文書の時間軸は、2022年9月にロシアのSu-27フランカーと英国のRC-135Wが関わった事件と一致している。リーク文書中の別の文書では、追加二次報告とともに、ロシアのパイロットの1人がコミュニケーションミスによりリベットジョイントを撃墜しようとしたが、幸い失敗に終わったと述べている。ミサイルの誤作動がその場を救った。

 3月にロシアのSu-27に衝突された米空軍のMQ-9が失われたことは、この地域における非常に深刻な状況を浮き彫りにしている。フランカー2機がリーパーを迎撃し、衝突前に燃料を投下するなど何度も接近した。米軍が「無謀で、環境的に不健全で、プロフェッショナルでない」と評した。

 興味深いことに、文書の地図には、米空軍とNATOのグローバルホーク、英国のリベットジョイント、フランスのミラージュの「典型的な」飛行経路が記されているが、RQ-170とMQ-9の飛行経路は記されていない。また、「SECDEF Directed Standoff」と書かれた行があるが、これはロイド・オースティン国防長官の指示によるスタンドオフISR出撃の可能性がある。

 黒海上空でのRQ-170の飛行については、機密資産がロシアに回収されるリスクを考えると、国防長官レベルの承認が必要であることは確かであろう。ロシア当局は、3月に同地域で墜落したリーパーから機密機器を回収したと主張しているが、米軍は同機損失による作戦上の安全への脅威は限定的であると繰り返し主張している。

 The War Zoneは以前、情報公開法を通じ入手した機密解除された記録の情報に基づいて、特にセンチネル配備に関連するリスク評価プロセスについて報告した。そのうちの1機は、2011年にイランで墜落し捕獲された。ロシアと中国が、ほぼ無傷のRQ-170を詳しく調べることができたのは確実だ。

 MQ-9の一部とはいえ、出撃にSECDEF承認が必要であることが不思議だ。しかし、リーパーが機密性の高いミッションに投入されていることは知られており、時には米軍の秘密組織である統合特殊作戦司令部(JSOC)や中央情報局(CIA)の支援のもとで使用されることがある。これは、より脅威の高い環境での作戦を支援するために、空軍が妥当性を確保するため模索してきた、無人機のスタンドオフ能力の向上を反映している可能性もある。

 とはいえ、黒海でのISRミッションにRQ-170が使用されている可能性は、今回のリーク文書で明らかになった中でも、はるかに興味深い。センチネルが過去に使用されたとされる場所は、イラン上空、パキスタンでのオサマ・ビン・ラディン殺害につながる襲撃の支援、朝鮮半島周辺、グアムよりの西太平洋の地域など、多くない。

 今回の文書が正確ならば、RQ-170の運用歴史に黒海が加わることになる。■



RQ-170 Sentinel Stealth Drones May Have Flown Sorties Off Crimea


BY HOWARD ALTMAN, JOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED APR 20, 2023 7:50 PM EDT

THE WAR ZONE



スーダンに自衛隊派遣。メディアの8割が不正確な報道*。機種名表記で。なぜあらためないのか。メディアの姿勢に疑問。(*当ブログ調べ)

 スーダンの邦人避難に向け自衛隊がC-130をまずジブチに派遣すべく小牧基地から出発させました。KC-767、C-2も派遣します。そこでいつものメディアチェックを行いました。機種の形式を正確に伝えているのははたしてどこでしょうか。


毎日新聞

21日午後2時45分ごろ、資機材や隊員を乗せた空自のC130輸送機1機が小牧基地を離陸した。


NHKニュー

21日午後3時前に愛知県の小牧基地を出発した航空自衛隊のC130輸送機1機が、午後5時半すぎ経由地の那覇空港に着陸しました。


時事通信

C130C2の複数の輸送機が週内にも日本を出発し、準備を急ぐ。


FNNプライムオンライン

日本人を退避させるため、日本時間の21日に日本を出発した自衛隊のC-130輸送機は、22日にもジブチに到着する予定。


産経新聞

先行して21日に出発しているC130輸送機1機に続く第2陣となる。


朝日新聞

自衛隊部隊を乗せた航空自衛隊C130輸送機1機が21日、小牧基地愛知県小牧市)からアフリカ東部ジブチへ向けて出発した。


日刊スポーツ

防衛省は22日、航空自衛隊のC2輸送機とKC767空中給油輸送機1機ずつが21日夜から22日未明にかけて、日本国内を出発したと明らかにした


共同通信

防衛省は22日、航空自衛隊のC2輸送機、KC767空中給油輸送機1機ずつの出発準備を進めた


日本経済新聞

100人弱を運べる輸送機「C130」が空自の小牧基地(愛知県小牧市)をたった。最大乗員数115人の輸送機「C2」や、210人弱が同乗できる空中給油・輸送機「KC767」も準備が整い次第、出発する。


テレ朝ニュース

午後3時前に小牧基地を出発したのは、陸上自衛隊と航空自衛隊の隊員らで構成される部隊を乗せたC130輸送機です。


東京新聞(中日新聞)

アフリカ東部ジブチに向け同日午後にも航空自衛隊小牧基地(愛知県小牧市)からC130輸送機1機が出発すると明らかにした。C2輸送機、KC767空中給油輸送機各1機も準備ができ次第出発する


乗りものニュース

(写真キャプション)航空自衛隊のC-130H輸送機(画像:航空自衛隊)。


神戸新聞

輸送機はC130など3機程度となる見込みで、近く国内の自衛隊基地を出発する。


以上13のメディア報道で正しく機種名を伝えているのは2つのみ。正解率は15%でしたので8割は誤った情報を伝えたわけです。防衛省が報道向けに資料や発表を伝える際にはC-130などと表記しているのに、「勝手に」メディアが「縦書き」の習慣からC130にしているわけです。しかし、横組みのネット記事配信でもそのままにしているのは、そもそも機種名を正しく表記するつもりがないことを示しています。それを開き直るようでは自ら正確さを追求する姿勢を放棄していると読者は受け止め、メディアは信頼感を失うばかりでしょう。


2023年4月22日土曜日

次期高性能給油・輸送機構想に新興企業がBWBコンセプトで挑戦! 航空業界に新しい風が吹く?

 今回はターミナル1(民間機、新技術)、ターミナル2(軍用機)共通記事です。




ノースロップ・グラマンと組みJetZeroからZ-5が米空軍が求める大型高性能給油機・輸送機実証事業に提案されている。Credit: JetZero


  • ボーイングとエアバスに挑む新興企業が登場

  • Z-5デモ機が飛行テストに向かう

  • ピボットギアコンセプトが、新しいブレンドウィングボディの鍵


主翼胴体一体型機の時代がついに到来したのだろうか。カリフォーニアの新興企業ジェットゼロJetZeroはそう考え、中型の商用および軍用タンカー・輸送市場をターゲットにしたマルチミッションデザインを発表した。


1980年代後半にコンセプトとして登場し研究されてきたブレンデッドウィングボディ(BWB)は、有望な性能予測にもかかわらず、支持を得られなかった。ジェットゼロは、持続可能な中型旅客機を求める市場と、同じサイズの先進的なタンカー・輸送機を求める米空軍に同時対応し、BWBにとってかつてない市場需要ができたと述べている。

BWBコンセプトは、機体構造と空気力学を融合させ、重量と抵抗を減らしながら、胴体を揚力に貢献させる。ハイブリッドウィングボディとも呼ばれ、通常無尾翼で、従来のチューブアンドウィングデザインに比べ、湿潤面積、摩擦抵抗、形状抵抗が小さくなるため、高効率の構成となる。また、BWBは、上面に搭載されたエンジンの騒音のほとんどが機体が遮蔽されるため、現在の旅客機よりも静かな機体となる。

ジェットゼロのZ-5は、Zシリーズ最初の機体で、航続距離5,000nmと乗客最大250に最適化したデザインとなっている。全複合材製機体は、広いシングルデッキと高アスペクト比の主翼を備える。そのため、翼幅はエアバスA330と同じ200フィート近くだが、機体長はボーイング767よりも短い。この大きさにもかかわらず、ジェットゼロはこの中型機について、「767など現行機と比較して、重量は約半分、必要な動力は半分になる」と述べている。



Z-5はボーイング767より短く、エアバスA330に近い翼幅。Credit:JetZero

2030年代の就航を目指すジェットゼロの事業計画で重要となるのは、軽量化と出力要件の低減で、Z-5はCFM Leap 1やPratt & Whitney PW1100Gといった既存の単通路用エンジンの派生型を使用できる設計だ。また、機体には従来型システムが搭載され、開発を簡素化し、コストとリスクを低減できると同社は説明している。

Z-5は、2020年にプロジェクトが棚上げされるまでボーイングが研究していた新中型機(NMA)の市場を狙う。ボーイングは2030年代半ばの就航を目指し、従来型構成でNMAクラス航空機の低レベル研究を復活させたものの、メーカー自身が認めるように、新製品の実現はまだ数年先の話だ。

エアバスも、2030年代半ばにZEROe構想で研究した水素燃料コンセプトの1つで200席のBWBはあるものの、NMAカテゴリーの新型機開発からは何年も離れている。A321XLRは、A321neoの長距離バージョンで、最大220人を乗せ4,700kmを飛行する設計で2024年に就航する予定だ。

しかし、Z-5開発の短期的な足掛かりとなるプログラムは、米国国防総省が計画している、将来型タンカーおよび輸送機として評価を受けるBWB実証機だ。当初目標は、試作機のデジタルデザインを開発し、実証機の初期耐空性および試験計画を行い、最終的に「認証および試験用の大型試作機を製造する」ことだと空軍は述べている。

ジェットゼロは、3月末に245百万ドルの費用負担で提案書を提出しており、NASA支援対象のサブスケール実証機の飛行テストが今年中の予定であることから、同社はコンセプトを公表する時期が来たと判断した。

ジェットゼロの共同創業者であるトム・オリアリーは、「概念設計が完了し、インキュベーション段階から実証段階に移行することがマイルストーンとなる」と語る。「このコンセプト・デザインは、既存の単通路用エンジンと燃料消費量と排出量を50%削減し、タンカーとして実用化でき、市場の中間的なギャップを埋める混合翼体の開発につながりました。

「空軍の目標は、タンカーに転用可能な商用BWBの能力を実証すること」とオリアリーは続けた。「当社は、空軍の提案書と合わせ提出した、製造やミッションシステム含む供給ベース各社から支持の手紙をもらっています」。

Z-5は、燃料効率の高さから、最大距離のミッションでボーイングKC-46タンカーの最大2倍の燃料を運べる、とJetZeroは主張。また、同機は、現行の空港インフラを利用できる設計だ。空軍は今年半ばまでに採択案を選定し、2027年に実証飛行を開始する。

米空軍は昨年、最初の募集を発表時に、BWBは「能力向上と温室効果ガス排出削減の両面で、将来の米空軍機にとって唯一最もインパクトのある技術機会」と述べている。貨物機、タンカー、爆撃機などをBWBに変更すれば、現在の燃料価格で、年間燃料費を10億ドル削減できるという。

Z-5は、業界にとってセレンディピティな時期に登場したと、元エアバス・アメリカおよびインターナショナル・エアロ・エンジンのCEOで、ジェットゼロの諮問委員会メンバーでもあるバリー・エクレストンは言う。「環境、空軍、NASAからの追い風に加え、技術面での追い風もあり、以前は実現不可能だったことが可能になりました。ボーイングやエアバスがこの分野で何も新しいことをやっていない事実と照らし合わせると、『ここで何もしないでいるわけにはいかない』となるんです。業界はそれを必要としている。もし、現行製品より30〜50%良くなるとわかっているのなら、なぜやらないのでしょうか?」と言う。

ジェットゼロは、NASAの持続可能な飛行実証機(SFD)プログラムの初期段階2021年の契約で、翼幅23フィート、12.5%のサブスケールBWB実証機の飛行テストを準備中だ。この機体は、内部容積を最大化し、機体の回転を補助する斬新なランディングギア設計を主要な特徴とするZシリーズの評価に使用される。SFDの主契約は、1月にボーイングが受注した「Transonic Truss-Braced Wing」コンセプトの737サイズのデモンストレーターの開発です。

マクドネル・ダグラス時代のBWB経験者であり、ジェットゼロの共同設立者兼最高技術責任者であるマーク・ペイジが開発した「ピボットギア」コンセプトは、BWB設計が直面する重要課題である低速ピッチ制御と揚力性能を改善する。ジェットゼロの前身であるDzyne Technologies社が提案したBWB旅客機「Ascent 1000」で設計されたもので、ノーズランディングギアを前方に、メインギアを後方に移動し客室後方の未使用の内部容積に収める。

離陸時には、ノーズギアが数フィート伸び迎え角が約6度大きくなり、BWBのボディ自体が揚力を発生させ「エレボンの効果を増幅させる」(JetZero社)という。ポンプやアクチュエーターを不要とするパッシブ制御により、Z-5はピッチ姿勢に早く到達できる。これにより、離陸速度を遅くでき、離陸時の高推力要求を減らせる。また、前縁のハイリフトスラットが不要になり、後縁フラップのサイズも小さくできる。


高アスペクト比の主翼と埋め込み式のトップマウントエンジンに加え、中型機のZ-5はサイドエキジットとスカイライトウィンドウを備える。Credit: JetZero

Z-5は、従来のBWBコンセプトで批判された乗客の出入りや乗り心地、客室一部に窓がないことに対応するため、前方部にサイドウィンドウ、メインと後方部にスカイライトウィンドウを備える。内寸は公表されていませんが、エアバスA380に近い客室幅と乗り心地が期待される。Z-5では、従来型の客室レイアウトに比べ、前方および後方の出口に素早くアクセスできるアセント1000原則を採用する


Z-5のシングルデッキ構成に加え、一次構造の複合材料の進歩により、非円形の胴体内に圧力構造を実現する設計課題が解消されたとジェットゼロは述べている。当初の設計では、持続可能航空燃料に従来型タンクをベースにしていたが、BWB構成では、液体水素燃料タンクを将来的に搭載する内部容積が十分に確保されているという。

ジェットゼロは、産業開発計画の一環として、「民間資金への働きかけと潜在的なプログラムパートナーとの関わりを同時開始する」と述べている。タンカー実証機の提案では、BWB構成に似た全翼機で設計・製造経験を持つ唯一の機体メーカー、ノースロップ・グラマンがこれに含まれる。

電動垂直離着陸機の新興企業ベータ・テクノロジーズBeta TechnologiesのCEOだったオリアリーは、「空軍のBWB実証機プログラムでの採択に当社は有利な立場にあると思っています」と語る。「BWBの開発に、産業パートナー多数に協力を仰いでいます。概念設計をするためには、あらゆる供給源と協力する必要がありました。だから、何でも相談したんです。『それはおかしい、一緒にやらない』と言った会社はありません。サプライベースのトップからボトムまで、全員です」。

「最大の戦いの一つは、もちろん、ボーイングとエアバスがそうならないよう必死に努力することです」とエクレストンは、競争的側面について指摘します。「私たちがボーイングやエアバスを出し抜けるほど賢いとは言いませんが、多くのパートナーを得て、真の信頼を得ています」。■

JetZero Unveils Midmarket Airliner And Air Force Tanker BWB Plan | Aviation Week Network

Guy Norris Graham Warwick April 21, 2023


ヘリコプター駆逐艦「かが」のF-35B運用空母改修工事の進展に注目。

 JSかがの改修工事第一期が完了しました。海上自衛隊ではDestroyerを一貫して護衛艦と称していますが、当ブログでは駆逐艦としています。ストレートに表現する事が重要ですね。The War Zone記事からのご紹介で、報道内容をまず御覧ください。



Photo credit: @betafujihara via Twitter.

改装工事ドックを離れたJSかががF-35B空母へむけ大きな一歩を踏み出した



しい画像は、日本のいずも級JSかが(DDH-184)「ヘリコプター搭載駆逐艦」の大きく変更された艦首を示している。同艦は改修工事中のドックから出たところでで、海上自衛隊(JMSDF)のF-35B統合打撃戦闘機母艦をめざす。

広島県呉市のドックからタグボートで離脱する同艦の写真がネット上に出回り始めた。Naval Newsによると、「かが」の最初の改修は、艦首部の形状変更と甲板への耐熱コーティング含むものだった。次の改修では、艦体のバランス調整と構造補強を行い、2024年3月までに完了する。

「かが」をF-35B空母にする作業は2027年初頭まで続く見込みだと、USNI Newsは述べている。JSかがは2015年進水し、2017年に就役した。

今年4月に撮影されたものと2022年末に撮影された画像を比べると、艦首が根本的に変化したことが明らかだ。短距離離離着陸(STOL)可能なF-35B用に最適化されたことにより、大幅に幅が広くなっている。さらに、これまで艦の前方にあったファランクス20mm近接武器システム(CIWS)が撤去され、F-35B発艦に対応し、飛行操作のデッキスペースを確保したと思われる。

日本政府は2隻のいずも型空母を改造しF-35Bを運用に改装することを2018年決定した。日本政府関係者による否定にもかかわらず、これらの野望は長い間抱えられていたのはThe War Zoneが以前論じたとおりだった。

両艦の改造作業は、2段階に分かれる。Naval Newsによると、「かが」の第一段階改造は、艦首部形状の変更と飛行甲板への耐熱コーティングの施行を含む。この作業は2023年3月に完了する予定でしたが、耐熱コーティングがどの程度施されているかは、現在のところ不明だ。その後、艦体の再調整が始まり、2024年3月までに完了する。2027年には、「かが」のSTOVL能力運用への移行で必要な作業がすべて完了する。

1号艦JSいずもは第一段階改修を2021年に完了した。2015年就役の同艦はこれまで、F-35Bの排気に対応する耐熱飛行甲板、照明や甲板標識の変更などを受けた。2025年3月開始の第2期改修では、「いずも」の飛行甲板は「かが」のように四角い形状に変更される。また、「いずも」改修は2027年までに終了する。最近、レイセオンは、JPALS(Joint Precision Approach and Landing System)を「いずも」に納入すると発表した。JPALSが組み込まれると全天候・全地形での誘導をF-35Bに提供する。

「いずも」は米海兵隊F-35Bによる概念実証試験を2021年後半に実施済みだ。試験では、飛行甲板が未改造であるため、米海兵隊F-35Bは短い離陸を行った。

海兵隊F-35Bによる試験が示唆するように、「いずも」級は、F-35Bを使用するその他同盟国との相互運用性を高めることがねらう改造が行われている。これには米国だけでなく、シンガポールも含まれる。日本同様、韓国も以前は独島クラスの水陸両用強襲揚陸艦(上陸用プラットフォーム・ヘリコプター(LPH)に分類される)をF-35B空母に改造する計画があった。しかし、最近、潜水艦調達を優先して予算が削減され、F-35Bを調達する韓国側のコミットメントも疑問視されている。

日本は、F-35Bへの将来のコミットメントを考慮し、いずも級を改修する選択とした。ロッキード・マーティンによれば、航空自衛隊は、F-35A戦闘機105機と最大42機のF-35B戦闘機からなる147機の調達計画を策定している。このうち未納入のF-35Bは、いずも級に搭載される。

海上戦力の優先順位における変更、および日本の最近の防衛費増加は、最近の中国の海軍能力の増大との関連で、より広範な緊張の中で生まれたものだ。The War Zoneが以前指摘したように、日本は東シナ海で係争中の尖閣諸島の防衛に特に関心がある。尖閣諸島は、潜在的な紛争の際に脆弱となる可能性が高く、その保護には、いずも級空母から発艦されるF-35Bが有効だ。また、中国も空母保有数を増やしている。同国は2022年に003型空母を、2019年に初の075型揚陸ヘリコプタードック水陸両用強襲艦を進水させたところだ。

いずも級を本格的空母に変えることは、何よりも、日本が防衛的な軍事態勢を堅持することから、兵力投射とそれに伴う地政学的上の変化の象徴かもしれない。■


Japan's Converted F-35B Carrier Leaves Dock Sporting New Bow

BYOLIVER PARKEN|PUBLISHED APR 21, 2023 6:01 PM EDT

THE WAR ZONE


  • オリジナル版読者の声(ピンボケな発言はご容赦ください)


  • Dtoecutter

  • アヒルのように見え、アヒルのように歩けば、それはアヒルである!

  • それは航空母艦です。真珠湾攻撃を行った第二次世界大戦当時の空母よりも大きい。

    • badbadleroybrow

    • でも、同じ素晴らしい艦名を使って!日本との転戦を嬉しく思う。加賀の第二次世界大戦バージョンは、旗艦として中国沖で過ごすこともありました。だから、全体の経験を得ることができる。

      • Watching YouTube Exclusively Through AdBlock

      • そう、日本人は真珠湾を爆撃したいと願う遺伝子を持っているのだから。日本人とはそういうものなんだ。ドイツ人が世界大戦を起こすのと同じだ。文化的、人種的なステレオタイプを不快にさせる「いつもの容疑者」リストには、もっと多くのものがある。


  • Spock Puppet

  • きれいな外観の艦だ。真珠湾を攻撃した空母の1隻の名前を付けたのは変だろうか?この艦が合同演習でハワイを訪れることはあるのだろうか?


    • badbadleroybrow

    • 45 minutes ago

    • 歴史的な艦名ですが、私たちの船や他の多くの艦船と同じように、さらにさかのぼります。でも、なんだかかっこいいですね。


    • Spursfan10

    • ミッドウェーに近づかない限り、同艦は大丈夫です。

      • Spock Puppet

      • 笑 ミッドウェイを調べてみました。googleストリートビューでいけるよ。試しに見てみてください。そして、鳥を確認するs.

    • Eng Phil

    • 花のつぼみという意味の名前です。歴史ある名です。


  • Donald_SkBalls

  • もし彼らがWakeから300マイル西にいれば、我々はクールだ...。

  • 財務省のt-bill負債では、日本が現金支払を期待しているわけではありませんよね?(LAより西に住んでいる人に聞いてみただけなんだけどね)。


  • Full Frontal

  • 韓国はまた考えを変えて、以前の提案よりもさらに大きなCVXを倍増させようとしているようです。

  • https://www.navalnews.com/naval-news/2023/03/south-korea-eyeing-larger-aircraft-carrier-for-its-cvx-program/

  • 日本の建造する艦船は、いつも清らかで、目的を持っているように見えます。不思議だ...



2023年4月21日金曜日

T-7レッドホーク練習機の生産移行が大幅に遅れている点について---ボーイングの開発がなぜかいつもトラブル続き

 


ーイングT-7レッドホーク高等練習機では、2018年に同社が初期契約を獲得して6年半後の2025年2月まで、低率初期生産決定の準備が整わないだろう。




 「マイルストーンC」の初期生産決定の新しい日付は、2022年後半の予想より14カ月遅れ、原因のひとつは射出座席の安全性に対する懸念だ。米空軍によれば、これらの問題やその他の問題は現在解決済み、あるいは近日中に解決される予定という。

 最初の生産仕様機の引き渡しは、早くても2025年12月になると、空軍は述べている。当初は2024年の予定で、最近では2026年に期待されていた初期運用能力(IOC)を、この遅延がどれだけ押し戻すかは不明だ。

 いずれにせよ、T-7の遅延の波及効果として、空軍がT-7の後継機とする60年前のT-38練習機のさらなる寿命延長に投資せざるを得なくなる可能性がある。空軍は、エイビオニクスのアップグレードとともに、同機のペーサー・クラシックIIIの構造変更に、24年度も1億2530万ドルをつぎ込む。

 空軍は少なくともT-7Aレッドホーク351機のと高忠実度シミュレーター46機のを購入する予定だ。米空軍の新しい「リフォージ」戦闘機パイロット訓練計画で合計が増える可能性がある。ボーイングの契約では、最大475機を購入することになっている。

 空軍とボーイングは、T-7の「改良と最近のテストが安全で効果的な脱出システムを実現したと確信している」と、空軍の広報担当者は述べている。

 昨年の計画文書では、2024年度のT-7生産に3億2100万ドルを費やすとあったが、空軍は最近の予算要求で2024年度のT-7生産資金をゼロにした。

 「マイルストーンCが2025年2月に移動した」ため、調達資金は「低率初期生産向けの予算は24年度は不要」という。マイルストーンCでは、国防次官(取得・維持担当)が、プログラムがEMDからの撤退基準を満たし、生産準備ができたかどうかを判断する。


射出座席の懸念点と開発日程の見直し

遅れの主原因は、射出座席試験で指摘された懸念だ。空軍関係者によると、ボーイングの脱出システムはパラシュート開傘時に危険な減速を示し、パイロットのバイザーがちぎれ脳震盪を起こす可能性があるという。しかし、業界関係者は、米空軍のクラッシュダミーは不適切に計測されており、不正確な結果を示唆すると指摘している。情報筋によると、USAFはデータの一部を再検討しているという。

 2018年の最初の契約では、ボーイングは2023年に最初の生産機5機を納品することになっていた。そのほとんどは現在完了しているが、開発飛行テストは座席問題で滞っており、現在は9月に開始の見込みであると空軍の広報担当者は述べた。ボーイングは先週、開発テストは 「今年の夏 」に開始の見込みと述べていた。

 ボーイングは昨年、射出座席トが最小・最軽量のパイロットだと期待通りに機能しない問題に遭遇した。T-7は、様々な体格のパイロットに対応できるように設計された最初の米空軍機である。これまでの練習機や戦闘機の射出装置は、狭い範囲の体格にのみ対応し、特に小柄な女性など、多くの学生パイロット候補を排除していた。

 空軍の調達担当幹部アンドリュー・ハンターAndrew Hunterは、3月の予算証言で、同座席を使った最近のソリテストによって、射出問題は解決に向かっていると確信したと述べた。

 「シートのロジックをマイナーチェンジしたことで、システムリスクを減らし、パイロットの安全性を高めている」と広報担当者は説明している。さらに、「空軍とボーイングは、2023年を通して射出座席の性能を調査し、さらなる強化点を特定しており、ボーイングは試験結果をもとに、座席を安全な製品として認定するため必要な変更を通知する」と説明している。

 サプライチェーン問題もT-7の遅れの原因になっていると空軍は述べています。

 「23年度大統領予算に先立ち、空軍とボーイングは開発上の発見とCOVID-19世界的流行に一部起因するT-7A『レッドホーク』プログラムへのスケジュール影響を認識した」と、米空軍広報担当者は述べている。

 2022年6月、USAFとボーイングは「これまでのすべてのスケジュール遅延の総合敵な影響を評価するために、スケジュールの再設定作業を開始した。「地上(テスト)、飛行前テスト、ハードウェア資格の課題、欠陥を迅速に修正できない請負業者、下請けの初期設計遅延、空力的不安定性を発見した3件、脱出システム資格の遅延、サプライヤー重要部品の欠落などが挙げられる」と説明した。

 「徹底的な」スケジュールリスク評価の結果として、「T-7推進室は、2025年2月という新しい『マイルストーンC』日付を推奨し、変更の最終調整を待っている」と広報担当者は述べている。

 空軍は、失われた時間を取り戻すためテストを加速させるつもりはない。空軍とボーイングは「より積極的な飛行試験で遅れを克服できるとは考えていない」と広報担当者は述べている。計画されている飛行試験スケジュールは、「これまでの成功に基づいた積極的なものである」という。

 ボーイングは、空軍が「生産関連」と呼ぶ最初の2機のT-7「T1」と「T2」を、同社のミズーリ州セントルイス施設で飛ばしているが、空軍パイロットは、シートやその他の問題が解決されるまで、試験目的でEMD前のジェットを飛ばすことは許可されない。


デジタルで大幅な日程短縮、コスト低下のはずだったが

 米空軍によると、T-7の最初の3機の技術・製造開発(EMD)機が完成し、さらに2機が製造の最終段階にあるという。この5機で 「飛行試験には十分でしょう」。

 空軍上層部は、T-7Aを、主要なシステムをどのように購入するかの今後の道しるべになると指摘している。ボーイングとパートナーであるスウェーデンのサーブは、T-7プロトタイプのデジタル設計から初飛行までを3年で行い、胴体部と翼部の嵌合はシミング無しで行われた。90億ドルのT-7契約は、この空軍の見積もり想定を約100億ドル下回り、T-Xコンテストでボーイングの競争相手をはるかに下回ると判断された。同社関係者は、デジタルアプローチにより、同社の入札価格は現実的なものとなり、低評価を免れたと述べている。■


Why USAF's New T-7 Trainer Won't Start Production for 2 More Years

April 14, 2023 | By John A. Tirpak