2023年6月24日土曜日

インドがアルテミス協定に調印した意義。アルテミス協定は月だけでなく、火星さらに小惑星帯も視野に入れ、将来の宇宙資源採掘も想定した多国間協定だ。

 


Official State Visit Of Indian Prime Minister Modi To The U.S.

2023年6月22日、ワシントンDCのホワイトハウスの執務室で会談するジョー・バイデン米大統領(右)とインドのナレンドラ・モディ首相。(写真:Anna Moneymaker/Getty Images)



インドがアルテミス協定に調印、中国との宇宙開発競争で米国との関係強化か 


インドによるアルテミス協定遵守は、中国の民間・軍事宇宙活動の拡大と、国際舞台でのソフト・パワーとしての宇宙利用への対抗を支援するために同盟国を結集しようとする米国の努力を後押しするものである。



ワシントン -月、火星、潜在的に鉱物資源の豊富な小惑星の探査と開発のための規範を設定するアルテミス協定Artemis Accordsに インドが署名した。

 「インドが協定署名することは、協定とアルテミス計画にとって変革の瞬間である」と、協定の交渉の多くを担当した元NASA職員のマイク・ゴールドはブレイキング・ディフェンスに語った。

 今回の署名は、インドのナレンドラ・モディ首相とジョー・バイデン米大統領が本日午後の記者会見で正式発表した。この協定は、水曜日に始まったモディによる初のワシントン公式訪問で結ばれた協定の一部だ。

 「アルテミス協定への参加が決定したことで、両国は宇宙協力で大きな飛躍を遂げた。インドとアメリカのパートナーシップにとって、空さえも限界ではない」とモディは語った。

 モディはバイデンと今朝会談し、明日は国家宇宙会議の議長を務めるカマラ・ハリス副大統領と、軍事宇宙活動に関する国際行動規範の確立をバイデン政権が主導するアントニー・ブリンケン国務長官との昼食会に出席する。

 特に、ニューデリーがこの協定を遵守することは、中国による民間および軍事宇宙活動の拡大や、国際舞台でのソフト・パワーの手段としての宇宙利用に対抗するため、同盟国を結集させたいアメリカの努力を後押しするものだと、政府関係者や専門家は述べている。インドは長い間、中国を地政学上の重要なライバルとみなしてきた。例えば、2007年には米国、オーストラリア、日本とともに、通称「四極安全保障対話(Quad)」に参加した。

 インドがアルテミス協定に署名したことは、「クアドのようなプラットフォームの中でインドができることを前進させるものです。以前のクアド声明では、クアドパートナーは宇宙空間のための世界的なルールの面で互いに協力するとしていましたが、これはインドがクアド声明で署名した立場を具体的に行動に移したものです」と、ニューデリーにあるオブザーバー・リサーチャー財団の安全保障・戦略・技術センターのラジェスワリ・ピライ・ラジャゴパラン所長は電子メールで説明した。

 セキュアワールド財団のワシントン事務所長であるビクトリア・サムソンは、この動きは「中国ではなく、アメリカの月へのアプローチへの一歩であり、意義深い」と述べた。「宇宙は長く、ソフトパワーのアウトリーチとして利用されてきたが、率直に言って、中国は最近その点で優れている。アルテミス協定は、アメリカによるソフトパワーの働きかけの一形態でもある」。

 インドも中国同様に宇宙での実力とパワーの強化を急いでおり、軍備を増強し、野心的な民間探査計画を打ち出している。インドは対衛星ミサイルの実験を行った国の小さなクラブに属しており、2019年にプリブティ弾道ミサイルの改良版で試験衛星を破壊したミッション・シャクリットで、アメリカ、ロシア、中国に加わった。

 「インドはすでに月と火星の探査を進めている。したがって、インドが協定の原則にコミットすることは、全人類が享受できる宇宙における平和で透明性のある協力的な未来というアルテミスのビジョンの達成に向けた重要な前進だ」とゴールは述べた。

 ニューデリーは長い間、アメリカやロシアとの宇宙政策上の強い結びつきを避け軍民双方の宇宙開発努力で独立性を堅持していることで有名だった。

 「これは大変な進展だ!インドは長い間、自らを地政学的なライバル関係に対する重要な対抗軸と見なしてきた」(サムソン)。

 さらに、インドは国際宇宙政策を具体化する自発的な協定を警戒し、代わりに世界の宇宙活動を管理する国際法の制定を支持している。例えば、ニューデリーは長年、ジュネーブ軍縮会議で、宇宙の兵器化を防ぐため法的拘束力のある条約を交渉するよう主張してきた。

 インドのタクシャシラ研究所のアナリストで、防衛・宇宙技術・政策を研究するプラナフ・サティヤナートは、「アルテミス協定への署名は、インドが国際宇宙条約や交渉を管理してきた方法と一線を画すものであり、実に大きな意味を持つ」とツイートした。「インドは、民間および軍事関連の宇宙活動の両方について、法的拘束力のある文書を明確に好んでいる」。

 インドがこの協定に署名し27カ国目となったが、米国政府関係者は、各国が軌道上の不動産(月の周辺を含む二重星雲空間)や、将来的には水や戦略的鉱物などの資源へのアクセスをめぐって奔走する中で、宇宙における将来の紛争の可能性を減らすワシントンの包括的戦略における重要な要素であると考えている。

 エクアドルは水曜日、同国大使館での調印式で、同協定に署名した。

 「インドとエクアドルは共に、アルテミス協定の幅広さを示している。アルテミス協定は、世界の多様性と、平和のうちに星へ果敢に向かう決意を燃料としている」とゴールドは語った。■



India signs Artemis Accords, tightening ties with US in space race with China: Sources - Breaking Defense

By   THERESA HITCHENS

on June 22, 2023 at 12:39 PM


<追加しました>クレムリンに反旗を翻すに至ったプリゴジンは本当にモスクワへ進軍するのか。謀殺されてしまうのか。

 Wagner leader Yevgeny Prigozhin says he will march on Moscow after claiming his troops were attacked by Russian forces.

Wagner screencap


自軍部隊がロシア軍に攻撃されたとし、ワグネル主導者エフゲニー・プリゴージンはモスクワへ進軍すると発言



グネル傭兵グループの首領エフゲニー・プリゴジンとロシアの軍部および政治指導部との間の長年にわたる口論は、金曜日にクーデターの可能性につながる可能性も秘めた展開を見せた。

 プリゴジンは自身のテレグラム・チャンネルに投稿した音声記録で、配下の部隊がロシア軍に攻撃されたと主張し、モスクワへの進軍を脅している。

 ロシア国防省は、プリゴジンを攻撃したといういかなる声明も「真実ではなく、情報提供による挑発」であり、ウクライナとの戦争は続いていると主張した。一方、ロシアの公式通信社RIAノーボスチはテレグラム・チャンネルでクレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は、ウラジーミル・ロシア大統領が「プーチンはプリゴジンの周囲で展開中の状況を認識しており、必要な措置をすべてとっている」と伝えた。

 プリゴジンは生き残ることができるかは疑問視されており、現在、ロシア当局の最重要ターゲットとなっている。

 国家反テロ委員会によると、エフゲニー・プリゴージンに代わって流布された疑惑には根拠がないという。「該当発言に関連し、ロシア連邦保安庁は武装反乱を呼びかけたとの事実で刑事事件とした。本委員会は、違法行為を直ちに停止するよう要求する」。

 部隊で死傷者が発生した攻撃を受け、プーチンの元『料理長』でワグネルのボスは、モスクワに進軍すると公言した。

 「ワグネル民間軍事会社の指揮評議会は決定に達した」とプリゴジンはテレグラム・チャンネルで金曜日配信の音声メッセージで語った。「国の軍事指導部が行っている悪事を止めなければならない。彼らは兵士の命を軽視している......それゆえ、今日、我々の仲間を殺した者たち、何万、何十万というロシア兵の命を奪った者たちは罰せられるだろう。

「我々は2万5千人で、なぜこのような混乱が国内で起きているのかを解明する」とプリゴジンは言った。「この数字は戦術的予備軍だが、望む者は皆、我々に加われ。我々はこの不名誉を終わらせなければならない」。

 プリゴジンは、「誰も抵抗しないように。抵抗する者は脅威とみなし、我々の行く手を阻む検問所や頭上の航空機を含め、直ちに排除する。冷静さを保ち、挑発に屈せず、家にとどまり、できれば我々のルート沿いの通りに出ないよう、すべての人にお願いする。終えたら、我々は前線に戻り、祖国を守る」。

 プリゴジンは、今日、ロシア軍に隊員多数が殺害されたと主張した。

 「PMCワグネルのキャンプにミサイル攻撃が行われた。「犠牲者が多数出た。目撃者によると、攻撃は後方から、つまりロシア国防省の軍隊が行った」。

 しかし、ロシアの宣伝担当者には、この攻撃はすでに沸騰している鍋をかき混ぜるためウクライナかその同盟国が行ったのではないかと指摘する者もいる。

 いずれにせよ、この攻撃は、プリゴジンが同日中に、ロシアは戦争に負けていると述べ、セルゲイ・ショイグ国防相とヴァレリー・ゲラシモフ・ロシア陸軍参謀総長が自国民に対して「ジェノサイド(大量虐殺)」を行っていると非難した後に行われたとされている。

 「現地の現実として、本日現在、ロシア軍はケルソンとザポリツィア方面で後退している」とプリゴジンは述べた。「ウクライナ軍はロシア軍を押している」。

 ゲラシモフとショイグは、「ロシア国民の大量虐殺、何万人ものロシア国民の殺害、ロシア領土の敵への譲渡の責任を負うべきだ」とプリゴジンは言った。「しかも、領土譲渡は、ロシア国民の殺害やジェノサイドと同様、意図的なものだ。ショイグは国家ぐるみでジェノサイドを行っている」。

 プリゴジンは、戦争は偽りの口実で始まったと述べた。

 「2022年2月24日に開始された最初の全面侵攻は、『愚か者』と 『堕落者』の集団が計画したもので、彼らは軍隊を『裸足でキーウに向かって 』送り込んだのだ」。

 ショイグは「臆病にもオフィスに座ったまま、初日の終わりには、なぜ何千発ものミサイルが費やされ、適切な情報もなく、何も持たずに発射され、どこにも行かなかったのか、不思議に思っていた」。

 さらにプリゴジンは、「戦争の最初の数日間で、ショイグはロシア兵数千人を殺した。彼は軍隊の中で最も戦闘能力の高い部分を破壊した。軍隊に戦闘能力の高い部分はほとんど消滅した。

 いわゆるドネツク人民共和国で影響力のある元軍指導者で、イーゴリ・ストレルコフの名前でも知られているイーゴリ・ガーキンは、自身のテレグラム・チャンネルで、プリゴジン氏のメッセージは、「本物なら......まさに反乱とクーデターだ」と述べた。

 モスクワ時間金曜夜遅く現在、ガーキンによれば、ワグネル軍が実際に動き出した兆候はないという。

 「これまでのところ、ワグナー軍とモスクワ管区の衝突に関する情報は入ってきていない。「情報筋は、どこにも隊列などは観測していない」。

 ロストフ地方では、「治安部隊の全部隊が厳戒態勢を敷いているが、今のところすべて静かだ。プリゴジンがクーデターを予告したが、ワグネル自身はクーデターに参加するつもりはないことを期待したい」。

 これは極めて不安定で、急速に進展している状況である。続報が入り次第、お伝えする。■


(以下追加です)

更新:午前4時19分(米国東部時間)

プーチンが自らの命令や意図を明らかにし、この局面で重要なことがいくつかある:

誰が誰と戦うのか?ロシアの正規軍は仲間のロシア人を殺すのか?連邦保安局は戦うのか?誰がプリゴージンに加わるのか?長引けば長引くほど、プーチンにとっては不利になる。これからの数時間が歴史的かつ重要なものになるだろう。

プリゴジンは以前から、自分の命運が尽きたことを知っていたのだろう。数ヶ月前から、本人発言が日に日に不利になっていくのを見てきた。情勢報告でも毎日のように取り上げた。数週間前からこれをやると脅していた。脅しが大げさなものでなかったことは分かっている。彼は今、失うものは何もなく、拠点に加え私兵も背後に控えている。ロストンを奪取する前に彼を止めなかったクレムリンは大失敗だったが、ロシアの時限的な標的設定、監視、阻止における明白な限界に基づけば、驚くべきことではない。これらは、侵攻が始まって以来、我々が強調してきた問題である。

そして、上層部の分裂の可能性という問題もある。このチャンスはロシアの権力構造の中で他の者たちがつかむのだろうか?治安機関はどうなるのか?プーチンの飼い犬がプーチンに反旗を翻し、プーチンを攻撃するのは、非常に、非常にまずい。

外国勢力はどのようにこのチャンスをつかむだろうか?理想とは程遠いが、巨大な亀裂であり、利用できる。ウクライナについてはどうだろうか?繰り返しになるが、ウクライナの危機が長引けば長引くほど、敵対勢力がこの危機を利用する機会は増えるだろう。

最後に、戦場はどうなるのか。ワグネルが離反したと知ったロシア軍(その多くは強制的に従軍させられた)はどうするだろうか?士気や戦意はどうなるのか?もっと重要なことは、重要な戦場でワグネル部隊を何千人も失うことの意味だ。ウクライナはそれをどう利用するのか?

これらは、今後の重大な疑問のいくつかにすぎない。

更新:午前3時46分(東部標準時)

プーチンは国民に向け、プリゴジンと彼のワグネル部隊による行為は反乱と反逆であり、厳しく対処すると述べた。

プーチンは、「ロシアは今日、ネオナチとその手先の侵略を撃退するという、未来にとって最も困難な戦争に直面している。われわれに対して、西側の軍事、経済、情報の全機軸が向けられている」と述べた。「繰り返すが、いかなる内部反乱も、われわれの国家、国家としてのわれわれに対する致命的な脅威である。それは、われわれの国家、われわれの国民に対する攻撃だ。そのような脅威から祖国を守る行動は、残忍なものになるだろう。意識的に裏切りの道を歩んだ者、武力反乱を準備した者、恐喝やテロ行為の道を歩んだ者は、避けられない罰を受けることになる」。

ワグネルの反応は明快だ。プリゴジンとプーチンの長年の関係は明らかに終わった。そして、このような発言が意味することは明らかにひとつだ: 内戦だ。


Wagner Boss Declares War On Russian Defense Ministry | The Drive


BYHOWARD ALTMAN|PUBLISHED JUN 23, 2023 5:42 PM EDT

THE WAR ZONE


2023年6月23日金曜日

ウクライナがサーブ・グリペンの調達に前向きになっているとスウェーデンは見ており、パイロット訓練を提供する。F-16よりもウクライナの国情に合っている機体との評価もある。

 Ukrainian pilots and other personnel to train on Swedish Gripen fighter jets.

USAF


グリペンの「運用評価」を希望したウクライナは同機取得に関心ありとスウェーデンが見ている



ウェーデン政府はこのたび、ウクライナのパイロットと地上職員にJAS-39グリペン戦闘機の運用・保守の訓練を提供すると正式発表した。ウクライナが同型機の「運用評価」を希望していることに対応するもので、ウクライナが同型機の取得に関心があることを示唆している。

 スウェーデンの最高行政機関であるRegeringskanslietは、本日未明、ウクライナへの新たな軍事援助に関するプレスリリースで、グリペン訓練計画について詳述した。ウクライナ当局は、近代的な西側戦闘機の保有を強く望んでいる。これまでは、主に米国製F-16バイパー戦闘機の調達に集中していたが、他機種も積極的に検討中だ。


A pair of Swedish Gripen C fighter jets at the RIAT 2016 air show in the United Kingdom. <em>Airwolfhound via Wikimedia</em>イギリスで開催されたRIAT 2016の航空ショーに登場したスウェーデンのグリペンC戦闘機2機ペア。Airwolfhound via Wikimedia(エアウルフハウンド・ヴィア・ウィキメディア)


「JAS-39グリペンに関するウクライナのパイロットと関連要員向けのオリエンテーション訓練を任務としています」。リリースの機械翻訳でこのように書かれている。「ウクライナ軍からは、近代的な戦闘機システムによるウクライナ防空の強化が最も緊急な対策であるため、JAS-39を運用評価したいという要望が表明されている」。

 また、スウェーデン政府は今回、追加の武器システムやその他の資材を購入する資金として、イギリスの基金であるInternational Fund for UkraineとNATO Ukraine Comprehensive Assistance Package Trust Fundに数百万ドルを拠出すると約束した。

 さらに、スウェーデン軍は、ポーランド、ルーマニア、スロバキアを拠点に、すでにウクライナに送っているシステムを支援するロジスティクス・ネットワークの構築を支援する。このネットワークは、ウクライナ軍がRBS 70人乗り防空システム(MANPADS)、CV90歩兵戦闘車(スウェーデンではStridsfordon 90)、Leopard 2戦車(スウェーデンではStridsvagn 122)、Archer自走155mm榴弾砲を維持するため使われる。ウクライナに送られたスウェーデンのCV90を示すとされる写真が昨日出てきたばかりだ。

 しかし、グリペンが今回の発表で最も重要な部分である。昨年からThe War Zoneは、現世代のグリペンC/D型もウクライナに良い選択肢になり得ることを強調してきた:

「もう一つの選択肢、そしておそらく最も良いのは、スウェーデンの余剰JAS-39C/Dグリペンマルチロール戦闘機だ。軽量・中量級の同戦闘機は、優れた効率性と信頼性を念頭に置いて作られている。戦時中、徴兵された地上隊員の小さなチームが茂みの中で取り回し、車道や荒れた野原から飛行する想定で設計されている。戦時中の非常に過酷な持続的条件下、特に寒冷地での分散運用は、文字通り同機で想定した条件だ」。

 「搭載する単発F404派生エンジン(ボルボによるライセンス生産)は、他の選択肢に比べて燃料消費が低く、同機は複数国で利用可能な幅広い武装を運用できる。オールマイティな性能、最新のレーダーとエイビオニクスを備え、サイズも小さいので視覚的に発見しにくい」。

 「グリペンは、スウェーデン設計ということで、米国やNATOでの供給・支援がやや難しいものの、ウクライナの戦闘ドクトリンに実によく適している。他のNATO加盟国でもこのタイプを運用している。スウェーデンが現時点で何機を手放せるのかという問題もある」。

 グリペンはまた、米国のAIM-120 Advanced Medium Range Air-to-Air Missile (AMRAAM)や欧州のMeteorのような最新の欧米の目視外距離空対空ミサイルを発射する能力を有しており、ウクライナ軍が特に興味を持っていると言われる。ウクライナのMiG-29フルクラム戦闘機パイロット(Juiceというコールサイン)は、西側の新型戦闘機を獲得する主な利点として、AIM-120含むアクティブレーダー誘導空対空兵器を効果的に使用できることがあると、過去のインタビューでThe War Zoneに語っている。

 とはいえ、スウェーデンの提供する訓練が、少なくとも当初はどの程度充実したものになるのか、まだ不明だ。先月、スウェーデンのパル・ヨンソン国防相は、ウクライナ軍パイロットにグリペンの操縦訓練を行う可能性を協議中だと明らかにした。しかし、プログラムの最終目標は非常に曖昧で、ウクライナへの戦闘機の実際の納入につながるかどうかにでも、一方的な示唆はなかった。

 ヨンソンは5月25日、スウェーデンのテレビ局TV4とのインタビューで、「例えば、試験飛行やシミュレーターの使用、グリペンシステムの一部である広範な地上システムについての学習などが考えられる」と述べ、ウクライナに戦闘機を譲渡する計画はないと付け加えていた。

 スウェーデン国防相は、「我々は今、自国領土を守るためにグリペンが必要だが、ウクライナにグリペンのテストさせるために開放している」と述べた。「これは、他の国々が行っていることと同じです」。

 5月、NATO加盟国多数が、多国籍連合の一員として、ウクライナ軍パイロットにF-16の操縦を訓練する計画を発表した。ウクライナがヴァイパーを実際に受領し始める時期については、発表はまだ出てない。オランダ空軍のF-16AM/BMは、米国の民間業者であるドラーケンへの売却が大幅に縮小され、入手可能になったばかりだ。

 スウェーデン空軍は、現在グリペンC/Dを約94機保有している。スウェーデン空軍は、新しいE/F型に置き換える作業を行っているが、現在のところ、2030年代までその実現は見込めないとしている。

 他の多くの国もグリペンを運用しているが、概して保有機数が少ない。チェコとハンガリーの空軍は、サーブからジェット機をリースしているに過ぎない。イギリスのエンパイア・テストパイロット・スクールも、リースしたグリペンを飛ばしている。

A leased Gripen D in Czech service. <em>Milan Nykodym via Wikimedia</em>

チェコで使用されているリース機のグリペンD。Milan Nykodym via Wikimedia


 もちろん、既存のグリペンの運航国が一部機体を譲渡することを必ずしもありえないわけではないし、特に他国から安全保障が別途保証された場合はなおさらだ。米国やNATOの他の加盟国は、ウクライナへの高性能兵器システムの納入を促進するため、特定国の防衛能力を補う措置を講じたり、少なくともそうすることを検討したりした例がある。この文脈でスウェーデンがNATO加盟を積極的に推進中で、今年初めに発表された北欧防空同盟にすでに参加していることに注目する価値がある。

A Swedish Gripen C, at left, flies together with a Norwegian F-16 Viper, at bottom right, and a Finnish F/A-18 Hornet, at top right. <em>Finnish Air Force</em>

左のスウェーデンのグリペンCは、右下のノルウェーのF-16バイパー、右上のフィンランドのF/A-18ホーネットと一緒に飛行しています。フィンランド空軍


 サーブは、グリペンの新規契約獲得に向けた努力の一環として、リースオプションの提案も日常的に行っており、ウクライナの導入でもう一つの可能性になるかもしれない。ウクライナへのグリペンの販売やリースは、ウクライナの外国パートナーから全部または一部資金を調達しプロセスを加速させることも可能だ。

 ウクライナ政府は、F-16を超える、より近代的な西側戦闘機を獲得す選択肢を模索していることは確かだ。The War Zoneは今週、ウクライナ当局がオーストラリアのカウンターパートと積極連携し、元オーストラリア空軍のF/A-18ホーネット数十機が自国ニーズに合うかどうかを調査中という公式確認を最初に得た。

 もちろん、ウクライナ向けグリペン構想が、少なくとも短期的には、せいぜい願望的なものに終わる可能性は残っている。ウクライナ軍パイロットや地上要員がグリペンをどれだけ早く実戦投入できるかを判断するためには、初歩的な訓練でも役に立つ可能性がある。今年初め、米軍は2人のウクライナ人パイロットのF-16操縦への一般的な適性について、まさにそのような基礎評価を実施した。

 つまり、スウェーデンが自国の機体を縮小しない限り、当面はグリペンの出番はなさそうで、ウクライナ向けの訓練プログラムは、将来の販売に向けた基礎固めに重点を置いているようだ。これは、ウクライナが将来的に西側諸国の戦闘機オペレーターになる可能性が非常に高い現実の現れで、サーブのような企業にとっては、特に長期的に有利な提案となる可能性がある。その意味で関係をこれから構築することは理にかなう。

 いずれにせよ、スウェーデン政府は、ウクライナ要員向けのグリペンの初期訓練プログラムを進めることを正式に発表した。■


Ukrainian Fighter Pilots Will Get Training On Sweden’s JAS-39 Gripen


BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED JUN 16, 2023 4:29 PM EDT

THE WAR ZONE




2023年6月22日木曜日

AUKUSの現状について米連邦議会に背景説明する議会調査局レポートが公表されました。その要旨をご紹介。

 


以下は、2023年6月20日付の米国議会調査局の報告書「AUKUS Pillar 2」の抜粋。

報告書より

AUKUSのピラー2とは、AUKUS安全保障条約の下、米国、英国、豪州が「先進能力」の開発と実戦配備のため実施する一連の協力活動を指す。現在までのところ、ピラー2活動は、作業部会によって3カ国政府間で調整されている。現在、8つの作業部会が活動しており、うち6つは技術分野を、残りの2つは広範な機能分野を扱っている。現在の作業部会は以下の通り:

  • 海中能力

  • 量子技術

  • 人工知能と自律性

  • 高度サイバー

  • 極超音速および対人能力

  • 電子戦;

  • イノベーション

情報共有

上記作業部会の活動は、参加各国政府のより広範な地域的・世界的防衛戦略と密接に結びついており、一部議員やその他の利害関係者の大きな注目を集めている。本報告書では、AUKUSピラー2の成り立ち、役割、実施について説明し、議会が検討すべき潜在的な問題を特定・分析する。特に議会が直面する可能性のある問題は以下の通りである:

現在の米国の国防輸出管理体制(防衛品や防衛サービスの輸出を管理する法律、規制、政策)は、AUKUS のピラー2の活動の実施にどのような影響を及ぼす可能性があるのか。米国議会が、米国企業が英国やオーストラリアの企業に規制品やサービスを提供するスピードや容易さを改善したい場合、どのような選択肢があるのか。

議会は、AUKUS のピラー2 の管理と実施について、どこまで効果的な監視を行うことができるか?議会はどのような基準、指標、考慮事項を用いて、ピラー2の活動の進捗と効果を評価することができるか?■

Report to Congress on AUKUS Progress - USNI News

June 21, 2023 10:57 AM





2023年6月21日水曜日

主張 プーチンのロシアの歪んだ視点は実は敗北をきれいに見せるための詭弁なのである


Russian President Vladimir Putin attends the Collective Security Treaty Organisation (CSTO) summit at the Kremlin in Moscow, Russia May 16, 2022. Sputnik/Sergei Guneev/Pool via REUTERS ATTENTION EDITORS - THIS IMAGE WAS PROVIDED BY A THIRD PARTY./File Photo

Russian President Vladimir Putin attends the Collective Security Treaty Organisation (CSTO) summit at the Kremlin in Moscow, Russia May 16, 2022. Sputnik/Sergei Guneev/Pool via REUTERS ATTENTION EDITORS - THIS IMAGE WAS PROVIDED BY A THIRD PARTY./File Photo


ーチンと戦友たちが、戦争がうまくいっていないことを知っていると想像してほしい。絶え間ない威勢のよさにもかかわらず、そうでないわけがない。そして、この混乱から抜け出す優雅な方法を探していると想像してほしい。そこで、勝利を宣言して、それを漸減の根拠とするのはどうか。




ロシアの独裁者ウラジーミル・プーチンが2022年2月24日に2度目のウクライナ侵攻を開始したのは、2つの目標があったことを思い出してほしい: ウクライナの "非武装化 "と "脱ナチス化 "だ。


ウクライナはロシアにとって軍事的には全く脅威でなく、ウクライナのナチスの数は片手の指で数えられるほどであったため、どちらの目標も馬鹿げていた。▼ウクライナを軍事的に脅し、権威主義、排外主義、血に飢えた独裁者、カルト・オブ・パーソナリティといったファシスト政権の特徴をすべて取り入れたのがプーチンのロシアであったため、どちらの目標も特に馬鹿げていた。▼プーチンのドミトリー・ペスコフ報道官が朗報を発表した: ウクライナは非武装化された!以下はペスコフの正確な発言。▼「特別軍事作戦が始まった当時、ウクライナは激しく軍国主義化されていた。そして、昨日プーチンが言ったように、ウクライナを非武装化することがタスクの1つだった。このタスクはほぼ完了した。ウクライナは武器を使うことが少なくなっている。そしてますます、西側諸国が供給する兵器システムを使うようになっている」。▼ペスコフの発言は、非武装化について驚くほど奇妙な解釈だ。▼確かに、ウクライナはソ連時代の装備や弾薬の多くを使い切った。▼同じように、ラムシュタイン・グループの50カ国以上から、はるかに効果的で近代的な、NATOと互換性のある兵器システムを受け取っている。▼ウクライナが反攻に成功したと思われる今、これがどのように非武装化につながるのかは不明だ。▼同じ論理で、フィンランドが加盟し、東側に誰もいなくなったからNATOの拡大が止まったとペスコフは主張できる。▼一方、ペスコフの非論理は完全に理にかなっている。▼クレムリンが主張するように、ロシアがウクライナを攻撃したことはなく、爆弾が市民に降り注いだこともなく、カホフカ・ダムの爆発は狂ったウクライナ人の仕業で、ブチャ大虐殺はなかったし、そうだ、プーチンは真の民主主義者なので、妄想と現実を入れ替えることをなぜ続けないのか?


もちろん、単なるバカ騒ぎではないかもしれない。▼プーチンとその戦友たちが戦争がうまくいっていないことを知っているとしよう、そうでないわけがない。▼そして、この状況を打開するためのエレガントな方法を探しているとする。▼そこで、勝利を宣言して、それを漸減の根拠とするのはどうだろう。▼プーチンとその共同経営者にとっては、それはあまりに巧妙すぎるかもしれない。▼あるいは、1777年にサミュエル・ジョンソンが言ったように、"Depend on it, Sir, when a man knows he is to hanged in a fortnight, it concentrates his mind wonderfully"(2週間後に絞首刑になると知ったら、男は心を見事に集中させる)。■


Putin's 'Big Lie' Might Be a Scheme to Exit the Ukraine War - 19FortyFive

By

Alexander Motyl


A 19FortyFive Contributing Editor, Dr. Alexander Motyl is a professor of political science at Rutgers-Newark. A specialist on Ukraine, Russia, and the USSR, and on nationalism, revolutions, empires, and theory, he is the author of 10 books. 



2023年6月20日火曜日

主張 バイデン政権のまずい外交政策で、米国の世界覇権の予想より早く衰退しており、しかも加速中だ。

 


Joe Biden. Image Credit: Creative Commons.

Former Vice President of the United States Joe Biden speaking with attendees at the 2019 Iowa Democratic Wing Ding at Surf Ballroom in Clear Lake, Iowa. By Gage Skidmore.



ワシントンの覇権が永遠に続くわけではないことは明らかで、ジョー・バイデンはそれを早く実現させたに過ぎない



1990年代にチャールズ・クラウトハマーがアメリカの「一極集中の瞬間」という言葉を作ったときでさえ、ワシントンの覇権が永遠に続くわけではないのは明らかだった。


結局のところ、「瞬間」であった。しかし、ジョー・バイデン政権の極めて不器用な外交政策のおかげで、米国の世界覇権の必然的な衰退は予想より早く訪れ、そのペースはより速くなっている。


政権の失策の代表格は、ロシアとウクライナの戦争への対応だ。米国と北大西洋条約機構(NATO)加盟国は直ちに、一連の経済制裁でロシアを孤立させようとし、バイデンの外交政策チームは、この取り組みに世界中の支持が得られると考えた。


しかし、NATOと東アジアの安全保障に依存する国々を除けば、ロシアへの制裁やウクライナへの軍事援助に積極的な政府は皆無だと判明した。


ジョー・バイデン政権は、国連総会でクレムリンの侵略を非難する純粋に象徴的な投票が可決されたことを指摘することで、この大失敗を隠そうと試みている。だがか弱く、説得力がない議論だ。


ジョー・バイデン:ドルを弱体化させた男

制裁措置に加え、ワシントンはロシア政府が米国に保有するドル建て資産を差し押さえた。この措置は、米国にとって、長期的に悲惨な影響を及ぼす可能性を含む、不快な反撃を引き起こした。政権の第一目標はロシア・ルーブルを弱体化させることで、この政策は短期的には有効に思われた。ロシア・ウクライナ戦争が始まって数週間後、バイデンは自ら「ルーブルは『瓦礫』になった」と豪語した。その主張は今日、空しく響く。ルーブルは数週間で価値を取り戻し、今では国際舞台で最も強い通貨の一つになっている。


ロシアのドル資産差し押さえは、その目的からして失敗であったばかりか、世界各国を不安に陥れている。ドルを武器にすることは外国政府を心配させるのは当然である。実際、米国の敵対国でない国々でさえも、警戒する理由がある。トランプ政権末期の数カ月間、米国は、イラク指導者が米国に駐留軍の撤退を求めることを検討しているという理由だけで、米国内のイラク政府資産を差し押さえると脅した。米国当局はこの脅しを実行に移さなかったが、バイデン政権はロシアにこれを行った。


ワシントンのいじめ行為によって、複数国が他の通貨で貿易協定を結び、世界の基軸通貨であるドルへの依存を弱めた。米国指導者たちは、世界中の政府や民間企業にとって安全で信頼できる価値貯蔵手段としてのドルの役割を維持しながら、他方でドルを他国への政策武器として使用することは不可能であることを目の当たりにしている。


恫喝の不発

ジョー・バイデンとその側近は、ロシア・ウクライナ戦争でワシントンのリードに従わない世界の動きに反応している。ここ数週間、米国の政策立案者は、モスクワとの貿易を続ける南アフリカに経済的なペナルティを課すことをほのめかしている。5月中旬には、駐南アフリカ米国大使が、同国がロシアに武器を密かに提供していると具体的に非難した。2022年10月、バイデンは、サウジアラビアが原油減産を行い、世界価格を高く維持し、間接的にロシアを援助しているとして、個人的に「結果を出せ」と脅した。政権幹部は、ウクライナとロシアの紛争に関して仲介役を果たす北京の努力は歓迎しないとの強いシグナルを発している。それ以前に、ワシントンはインドに対し、ウクライナ紛争が続く中でロシアとの緊密な関係を続けることは、深刻なリスクを伴うと明言している。しかし、こうした威嚇的な試みは功を奏していない。


ウクライナ以外でも、米国の覇権が揺らいでいることを、政権幹部は感じているようだ。ワシントンの強い反対にもかかわらず、サウジアラビアと湾岸諸国はダマスカス、テヘランの両方と和解を模索している。サウジアラビアがイランと国交回復し、シリアがアラブ連盟に復帰したことは、新しい政治環境を示す重要なシグナルとなった。


西半球でも、米国の覇権は失われつつある。ベネズエラのマルクス主義政権(ニコラス・マドゥロ政権)を放逐したいワシントンの試みは、まぎれもなく崩壊の兆しを見せている。5月29日、マドゥロはブラジルを訪れ、シルビオ・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領と非常に友好的な首脳会談を行った。この会談について、ブルームバーグがその重要性を正確に評価している。マドゥロ訪問は、「昨年ブラジルとコロンビアで左派が選挙で勝利した後、ベネズエラ政府に対する雪解けが進んでいる最新の証拠だ」という。メキシコは、ウクライナから麻薬戦争に至るまで、様々な問題でワシントンに公然と反抗している。


アメリカの一極集中は衰退の運命にあった。冷戦の最後の10年間でさえ、世界は経済的に多極化していた。ワシントンの主要同盟国、特にフランスと西ドイツは、経済と安全保障の問題で破天荒な傾向を示していた。米国の唯一の戦略的ライバルだったソビエト連邦が崩壊したことで、米国の政治的・軍事的覇権は新たな息吹を得た。


しかし、その寿命は尽きつつある。友好的な国も、もはやワシントンの政策にレミングのように従おうとはしない。ワシントンの敵対国、特にロシア、中国、イランは、世界情勢における米国の支配力を弱めるため、かつてないほどの協力関係を築いている。しかし、バイデン政権の多方面にわたる行動の手抜きが、このプロセスを加速し、激化させている。■


Joe Biden Has Truly Made America Weaker - 19FortyFive

By

Ted Galen Carpenter


Ted Galen Carpenter is a contributing editor to 19FortyFive, a senior fellow at the Randolph Bourne Institute, and a senior fellow at the Libertarian Institute. He also served in various policy positions for 37 years at the Cato Institute. Dr. Carpenter is the author of 13 books and more than 1,200 articles on international affairs. His latest book is Unreliable Watchdog: The News Media and U.S. Foreign Policy (2022).

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