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主張 バイデン政権のまずい外交政策で、米国の世界覇権の予想より早く衰退しており、しかも加速中だ。

 


Joe Biden. Image Credit: Creative Commons.

Former Vice President of the United States Joe Biden speaking with attendees at the 2019 Iowa Democratic Wing Ding at Surf Ballroom in Clear Lake, Iowa. By Gage Skidmore.



ワシントンの覇権が永遠に続くわけではないことは明らかで、ジョー・バイデンはそれを早く実現させたに過ぎない



1990年代にチャールズ・クラウトハマーがアメリカの「一極集中の瞬間」という言葉を作ったときでさえ、ワシントンの覇権が永遠に続くわけではないのは明らかだった。


結局のところ、「瞬間」であった。しかし、ジョー・バイデン政権の極めて不器用な外交政策のおかげで、米国の世界覇権の必然的な衰退は予想より早く訪れ、そのペースはより速くなっている。


政権の失策の代表格は、ロシアとウクライナの戦争への対応だ。米国と北大西洋条約機構(NATO)加盟国は直ちに、一連の経済制裁でロシアを孤立させようとし、バイデンの外交政策チームは、この取り組みに世界中の支持が得られると考えた。


しかし、NATOと東アジアの安全保障に依存する国々を除けば、ロシアへの制裁やウクライナへの軍事援助に積極的な政府は皆無だと判明した。


ジョー・バイデン政権は、国連総会でクレムリンの侵略を非難する純粋に象徴的な投票が可決されたことを指摘することで、この大失敗を隠そうと試みている。だがか弱く、説得力がない議論だ。


ジョー・バイデン:ドルを弱体化させた男

制裁措置に加え、ワシントンはロシア政府が米国に保有するドル建て資産を差し押さえた。この措置は、米国にとって、長期的に悲惨な影響を及ぼす可能性を含む、不快な反撃を引き起こした。政権の第一目標はロシア・ルーブルを弱体化させることで、この政策は短期的には有効に思われた。ロシア・ウクライナ戦争が始まって数週間後、バイデンは自ら「ルーブルは『瓦礫』になった」と豪語した。その主張は今日、空しく響く。ルーブルは数週間で価値を取り戻し、今では国際舞台で最も強い通貨の一つになっている。


ロシアのドル資産差し押さえは、その目的からして失敗であったばかりか、世界各国を不安に陥れている。ドルを武器にすることは外国政府を心配させるのは当然である。実際、米国の敵対国でない国々でさえも、警戒する理由がある。トランプ政権末期の数カ月間、米国は、イラク指導者が米国に駐留軍の撤退を求めることを検討しているという理由だけで、米国内のイラク政府資産を差し押さえると脅した。米国当局はこの脅しを実行に移さなかったが、バイデン政権はロシアにこれを行った。


ワシントンのいじめ行為によって、複数国が他の通貨で貿易協定を結び、世界の基軸通貨であるドルへの依存を弱めた。米国指導者たちは、世界中の政府や民間企業にとって安全で信頼できる価値貯蔵手段としてのドルの役割を維持しながら、他方でドルを他国への政策武器として使用することは不可能であることを目の当たりにしている。


恫喝の不発

ジョー・バイデンとその側近は、ロシア・ウクライナ戦争でワシントンのリードに従わない世界の動きに反応している。ここ数週間、米国の政策立案者は、モスクワとの貿易を続ける南アフリカに経済的なペナルティを課すことをほのめかしている。5月中旬には、駐南アフリカ米国大使が、同国がロシアに武器を密かに提供していると具体的に非難した。2022年10月、バイデンは、サウジアラビアが原油減産を行い、世界価格を高く維持し、間接的にロシアを援助しているとして、個人的に「結果を出せ」と脅した。政権幹部は、ウクライナとロシアの紛争に関して仲介役を果たす北京の努力は歓迎しないとの強いシグナルを発している。それ以前に、ワシントンはインドに対し、ウクライナ紛争が続く中でロシアとの緊密な関係を続けることは、深刻なリスクを伴うと明言している。しかし、こうした威嚇的な試みは功を奏していない。


ウクライナ以外でも、米国の覇権が揺らいでいることを、政権幹部は感じているようだ。ワシントンの強い反対にもかかわらず、サウジアラビアと湾岸諸国はダマスカス、テヘランの両方と和解を模索している。サウジアラビアがイランと国交回復し、シリアがアラブ連盟に復帰したことは、新しい政治環境を示す重要なシグナルとなった。


西半球でも、米国の覇権は失われつつある。ベネズエラのマルクス主義政権(ニコラス・マドゥロ政権)を放逐したいワシントンの試みは、まぎれもなく崩壊の兆しを見せている。5月29日、マドゥロはブラジルを訪れ、シルビオ・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領と非常に友好的な首脳会談を行った。この会談について、ブルームバーグがその重要性を正確に評価している。マドゥロ訪問は、「昨年ブラジルとコロンビアで左派が選挙で勝利した後、ベネズエラ政府に対する雪解けが進んでいる最新の証拠だ」という。メキシコは、ウクライナから麻薬戦争に至るまで、様々な問題でワシントンに公然と反抗している。


アメリカの一極集中は衰退の運命にあった。冷戦の最後の10年間でさえ、世界は経済的に多極化していた。ワシントンの主要同盟国、特にフランスと西ドイツは、経済と安全保障の問題で破天荒な傾向を示していた。米国の唯一の戦略的ライバルだったソビエト連邦が崩壊したことで、米国の政治的・軍事的覇権は新たな息吹を得た。


しかし、その寿命は尽きつつある。友好的な国も、もはやワシントンの政策にレミングのように従おうとはしない。ワシントンの敵対国、特にロシア、中国、イランは、世界情勢における米国の支配力を弱めるため、かつてないほどの協力関係を築いている。しかし、バイデン政権の多方面にわたる行動の手抜きが、このプロセスを加速し、激化させている。■


Joe Biden Has Truly Made America Weaker - 19FortyFive

By

Ted Galen Carpenter


Ted Galen Carpenter is a contributing editor to 19FortyFive, a senior fellow at the Randolph Bourne Institute, and a senior fellow at the Libertarian Institute. He also served in various policy positions for 37 years at the Cato Institute. Dr. Carpenter is the author of 13 books and more than 1,200 articles on international affairs. His latest book is Unreliable Watchdog: The News Media and U.S. Foreign Policy (2022).

WRITTEN BYTed Galen Carpenter


コメント

  1. ぼたんのちから2023年6月21日 8:57

    現実を直視できず、劣化したリベラルの考え方を信奉する老いぼれバイデン政権が、世界の流れを制御できないのは、当たり前かもしれない。当然、軍事・外交戦略も記事のように失敗の連続に見える。そもそも米国が世界の動きに対し主導権を握るため、影響力を行使し、積極的に関与することは、対テロ戦争の敗北で出来なくなってしまった。
    バイデンの最も重大な失敗は、ウクライナ戦争を抑止できず、さらに不当な侵略行為を行うロシアを崩壊の瀬戸際まで追い込めなかったことなのかもしれない。そのためには一時的にせよ、ロシア抑止にCCP中国に関与させるべきだったのかもしれない。そうなれば習の態度もロシアに厳しいものになっていただろう。習は、おだてりゃ、木に登るかも。
    バイデン政権は、結果として、ロシアの戦争抑止に真剣でなかった。経済制裁での脅しは無視され易い、弱々しい手段に見える。バイデン政権は、むしろロシアを戦争に引きずり込み、二度と大規模な戦争を起こせない弱体化した状態にしたかったのかもしれない。
    米国は、現在過渡期であり、新たな帝国主義を確立する過程にあるようだ。それがどのようなものになるか、もしかするとウクライナ戦争方法が示しているのかもしれない。
    そして、米国に代わる世界覇権を獲得したい習、及びCCP中国は、己のみすぼらしい姿から目を背け、その願望を表にさらけ出すようになっているが、まるで滅亡前の中華帝国とその皇帝の有様のように見える。
    このような帝国の有り様は、自己を過信し、軍事的冒険を行うかもしれない危険な状態にある。その暴発を防ぐには、やはりドルの流れを止めて、早期の経済崩壊を促すのがベストかも知れない。そして、この制裁は、ロシアよりも遥かに効果が出ることは間違いない。

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