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V-22オスプレイの生産はこのままだと2025-26年で終了。米三軍での運用面で有用性が再認識サれる一方、海外調達は振るわず、導入したのは日本だけだ。

 

Defense Dept. photo



年、陸軍がブラックホークの後継機としてベル・テキストロンのティルトローターV-280を選定し、アナリスト多数は、海兵隊と特殊作戦司令部が先行運用し、海軍が導入したV-22オスプレイの波瀾に満ちた歴史を考えれば、陸軍がティルトローター機体に賭けることに驚きを示した。



V-22は2055年まで飛行するとされているが、1990年代初頭に試作機5機中2機が墜落して以来、人命事故数件が発生している。「V-22事故」で検索すると、Wikipediaの "Accidents and incidents involving the V-22 Osprey "というページがヒットするし。オスプレイの墜落事故のその他悲惨な映像も見つかる。


しかし、オスプレイは徐々にその翼を広げ、現在では海兵隊で最も目につきやすく、頼りになるプラットフォームとなっている。


「V-22がCH-46後継機として登場したときから、V-22はとても魅力的でした」と、V-22共同プログラム・マネージャーブライアン・テイラー海兵隊大佐Col. Brian Taylorは言う。「当初は従来型中型ヘリコプターの役割で使用されていましたが、同機の能力が明らかになると、役割やミッションが信じられないほど拡大するのを目の当たりにしてきました」。


しかし議会からさらなるアクションがないと国防総省は2023年予算でV-22調達を終了し、2026年に最後の数機が納入されれば、生産ラインは停止される。


海兵隊が同機の新たな任務を模索し続ける中、生産ライン終了の可能性が出てきた。当初、V-22に期待されていたのは、部隊や装備、兵站を海上基地から目的地まで長距離移動させる突撃支援だったと、テイラー大佐は述べている。


「空中ネットワークなど新しいアプリケーションが視野に入ってきた、プラットフォームの航続距離と速度は本当に素晴らしいテンプレートまたはキャンバスとなります。将来の海兵隊がV-22を使用して、部隊設計を可能にするため際に助けとなる」と大佐は続けた。


V-22は、海兵隊がインド太平洋を中心とした海上作戦のために組織と装備を整える計画であるフォースデザイン2030で想定する分散型作戦に不可欠である、と大佐は言う。


各軍では、海兵隊のMV-22に360機、海軍のCMV-22が48機、空軍特殊作戦司令部でCV-22 56機が必要とされている。


「最終的にすべての航空機を完全に現場で運用するのが目標だ」「我々が体得してきた方法にかなり自信を持っており、海上から運用ができる。前方に展開地点からの運用も可能です。やっと本領を発揮し始めたところです」(テイラー大佐)。


しかし、その歩みは2月にV-22統合計画室が特殊作戦部隊のCV-22を飛行停止させ、ハードクラッチアセンブリのインプットクイルを交換したことで中断された。当時、海兵隊の広報担当者はハードクラッチ問題は2010年時点で判明していたと指摘していた。


テイラー大佐によると、影響を受けた航空機の修理プロセスは予定より早く進んでいる。当初は2024年までかかると予想されていたが、現在は2023年晩夏か初秋になるという。


「入力クイルは年間10個ほど作っていたのですが、今年は200個を超える生産になりました。このような増産がまさにアメリカの産業基盤のユニークな点だと思います」。


2026年に生産ラインが予定通り停止した場合、部品の生産量を迅速に増やす能力が今後不可欠となる。


航空機を維持・保守するため、各軍は62,000点もの部品を調達し続ける必要がある、とテイラー大佐は述べている。V-22プログラムオフィスとベル、ボーイングは、生産時の一貫した需要シグナルは出ないかもしれないが、部品に対する継続的なニーズがあると各サプライヤーに何年も伝えてきた。


「このような議論が、今、我々と国防物流機関のパートナーとの間で進行中で、維持契約でこの需要シグナルを業界が確認できるようにしています」。


「エレクトロニクスの陳腐化は、航空機の技術的な課題です」とテイラーは付け加えた。「私たちは21世紀の航空機に乗っていますが、エレクトロニクスの世界で物事が変化する速度は、一般的な航空機の変化よりもかなり速いのです」。


製造元のベルにとって、機体の維持は最優先事項だと、ベル・フライトのV-22副社長兼プログラム・ディレクターのカート・フラー Kurt Fullerは言う。同社は、同機の主要なアップグレードを提供し続け、労働力とサプライチェーン一部をアクティブに保つと述べている。


主要なプロジェクトの1つは、航空機のメンテナンスに関する長年の現場データに基づいたナセルのアップグレードとフラーは言う。


「データをもとに、構造以外に配線の設計も改善できます。空軍で実際に行っていることは、機体をアマリロに戻し、新しい生産型V-22の最終組み立てを行うアマリロで機体を新型ナセルでアップグレードし、工場から再び飛行させるのです」。


これにより、ベルは機体の即応性を高めつつ、人的資本が維持できるとフラーは言う。


それでも、生産終了で課題が生まれるとフラーは言う。「特殊な単品部品は入手が難しくなります」「当社は、サプライヤー500社にまたがる27,000人以上の従業員の産業基盤を持っており、一部は、修理やスペアパーツのサポートでまだ必要となるでしょう」「しかし、その産業基盤の大部分は、必ずしも一般的にスペアや修理を行う部品を提供するわけではない」。


しかし、対処するメカニズムが別にあると、ティールグループのシニアアナリスト、J.J.ガートラーJ.J. Gertlerは言う。


「一般的に、このような場合、調達終了時に、生産ラインの閉鎖でメーカーに発生する費用として操業停止費用の請求が行われますが、将来のための部品在庫の確保を含まるのです。


「もうひとつは、サステイナビリティのほとんどが、下請け会社から供給されているということです」と、ガートラーは続ける。「ベルやボーイングのものではありません。つまり、持続可能性を維持するため、V-22の生産ラインをオープンにしておくことは問題ではないのです」。


とはいえ、メーカー各社は生産ラインを稼働させ続ける理由があると信じている。ボーイングの広報担当者は、電子メールで「生産ラインを延長するあらゆる選択肢を模索している」と述べた。「私たちは、ビジネスと顧客のニーズに対応することに集中しています」。


海軍の空母艦載輸送機としてC-2グレイハウンドを徐々に置き換え中のCMV-22を、海軍はもっと欲しがるかもしれないとベルは考えており、オスプレイは同軍のミッションニーズをもっとカバーできると見ている。


 フラーは、「海軍と研究を行い、海軍も単独で研究を行いました。しかし、当社の研究では、インド太平洋地域における争奪戦のロジスティクスや分散型海上作戦、そしてそのような地域でカバーする必要のある海洋の広さをサポートするためプログラムが50%以上増加すると示すことができます」。


ベルは、数十年前に定義されたプログラム・オブ・レコードの航空機の数がまだ有効であることを確認するために、各軍および議会メンバーと密接に協力している。「このプログラムをさらに拡張することを期待して、その努力を続けているのです」とフラーは語った。


テイラーは、海軍がオスプレイの3回目の配備に向けて、オスプレイの能力を実感しているところである点に同意した。


「C-2後継機としてだけでなく、オスプレイが海軍にもたらすあらゆる能力を検討し始めている」。


しかし、海兵隊の約18万人の海兵隊の兵力で360機を想定しているのと同様に、海軍の48機のV-22はより大きな計画に基づいている。


「我々は全体的な海軍、海兵隊、空軍チームの一部であるため、航空機のすべてが各軍によって割り当てられた部隊構造の内部に収まる必要がある」 と彼は言った。


フラーは、海軍が、あるいは議会が、これ以上オスプレイを欲しがらないなら、一巻の終わりで、日本の調達以外に、同機に外国の買い手はない、と指摘した。


「何年か前から数カ国が興味を示していたが、生産ラインを維持できるだけの具体的なものはない」。


生産停止は、ベルよりボーイングに大きな打撃になりそうだ、とガートラーは言う。


「V-22製造と同じ工場で製造されるV-280で陸軍契約を獲得したばかりのベルには未来がある」と言う。「問題は、ボーイングと、ボーイングが同機生産の一部を担当するペンシルバニア州リドレーパークはどうなるのか、ということだ」。


そして、ベルは陸軍の未来長距離強襲機プログラムとしてV-280生産を進める立場にあるが、そのタイミングと生産は1対1の置き換えにはならない、とフラーは言う。


「ティルトローター以外では、V-22とV-280の間に共通性があまりありません。だから、V-22から多くの道具を再利用してV-280を作るという問題ではないのです」「V-280が本格生産に入る少し前に、V-22ラインがこの最後の機体をロールオフする予測なので、受注の観点からは、2つのラインのタイミングは、我々が望むような理想的なものではありません」。


V-280が生産に入ると海兵隊が注目するだろう、とテイラー大佐は言う。


「V-22と別の設計のV-280に大きな関心を寄せています」とテイラー大佐は言う。「陸軍とベルが同機のプログラムを進めていく中で、海兵隊が興味を持ち、どんな教訓を得ることができるのか、V-22に応用できるのか、あるいは将来的に他の装備に応用できるのか、見守っていくつもりです」。


ガートラーは、V-22の生産を延長する可能性がある方程式に、最後の変数があると指摘している。「議会は、軍が要求しない、あるいは必要としないものを予算計上する傾向がある」。「とはいえ、今年の予算状況は厳しく、不確実性が高いので、生産ラインを延長するのは普通より難しいかもしれません」。


議会や国防アナリストが、少なくとも2024年の一部について予期しているのは、暫定予算決議の扱いだ。


「その場合、V-22プログラムFTTeas支出は2023年レベルで固定されることになる」とガートラーは述べた。「資金をどのように使うのかが注目される。なぜなら、その資金は、いらないと言っているV-22を買うためにしか使えないからだ」。■


V-22 Production Winds Down As Deployments Ramp Up

6/13/2023

By Sean Carberry


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