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ウクライナ東部は水路や塹壕線が多く、M60 AVLBにうってつけの場所だ
冷戦時代のM60パットン戦車の派生版、装甲橋りょう設置型(AVLB)が、ウクライナ向け4億ドルの軍事支援パッケージの一部になると、米国当局が今月初めに発表した。
同車両は、ソ連のT-55やT-62戦車と戦うために設計された古典的なアメリカ戦車で重装甲用の折りたたみ式ブリッジを展開し、水路を渡り、塹壕線を通過できるので手ごわい。AVLBは、227mm砲ロケット弾、155mmおよび105mm砲弾、自動小銃弾薬などと、ウクライナ向け装備品に加わる。
アメリカ海兵隊と陸軍は、近年、M60 AVLBをより先進的なM1エイブラムス戦車ベースの設計に置き換えることを進めている。パットンは老朽化が進んでいるとはいえ、60年以上前の登場以来、22カ国の軍隊に立派に貢献してきた。
M60パットンの歴史
朝鮮戦争が始まると、アメリカは主力戦車(MBT)がソ連の装甲車両に大きく遅れをとっていることに気づいた。1951年に生産開始したM47パットンは、生産上の問題から朝鮮戦争で活躍することはなかった。
アメリカ陸軍はこの戦車の初期設計を高く評価せず、1年後にM48パットンが導入された。そこで、問題の多いM48に代わる戦車として、T95計画が構想された。その後、M60シリーズは進化を遂げ、1960年に正式就役した。新型砲塔、耐久性の高い装甲、新しい弾薬収納システムを備えたM60は、質の高い主力戦車とみなされた。
イスラエルが初めてM60を戦闘に使用
M60パットンが初めてイスラエルで戦闘を行ったのは1973年のヨム・キプール戦争で、「マガチ6」の指定で整備された。この戦争では、イスラエル軍は約1,400台のシリア戦車を相手にし、60万人以上のエジプト兵がイスラエルの北と南の国境に立ち並んでいました。
イスラエルは戦闘初日に100両の戦車を失った。パットンは砲塔が高いので、対戦車ミサイルの標的になりやすい。米国は、この紛争でM60MBTが果たした役割を精査し、パットンを強力な戦車にするため進歩が必要であることを認識してた。
レイセオンやジェネラル・ダイナミクス・ランド・システムズなど防衛大手は、長年にわたりパットンを大幅に改良してきた。
実際、砂漠の嵐作戦では、当時アメリカの主力戦車はM1エイブラムスだったが、米海兵隊とサウジアラビアの機甲部隊はパットンを有効に活用した。敵戦車100両を撃破し、パットンは1両しか失っていない。
パットンがウクライナで活躍した理由
M60パットンは1990年代後半に州兵部隊から退役したが、現在も世界17カ国でアップグレードされ使用されている。今回のウクライナ軍事支援に、パットンAVLBが含まれていることは、ウクライナ防衛に大きく貢献する可能性がある。ウクライナ東部には水路や塹壕線が多く、M60 AVLBにとって難所だ。
さらに、ウクライナの田舎の大部分は、この1年間の戦争で大きく被害を受けた。M60 AVLBは、重装甲車や戦車を通すのに十分な装備を持つ。
パットンの供与は、エイブラムスMBTやその他西側諸国の先進戦車の搬入を補完するものでもある。■
M60 Patton AVLBs Heading to Ukraine and Ready for the Challenge - Warrior Maven
By Maya Carlin, Warrior Contributor, Weapons
Maya Carlin is a Senior Editor with 19FortyFive. She is also an analyst with the Center for Security Policy and a former Anna Sobol Levy Fellow at IDC Herzliya in Israel. She has by-lines in many publications, including The National Interest, Jerusalem Post, and Times of Israel.
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