スキップしてメイン コンテンツに移動

ウクライナが求める西側戦闘機の提供で欧州で動き。デンマークのF-16の動きに注目。その他オーストラリアF/A-18余剰機やグリペンなど。水面下で実現に向け加速中の様子。

 Denmark to consider sending F-16s to Ukraine.

Danish Armed Forces


F-35A計画の加速とウクライナへのF-16パイロット訓練の開始により、デンマークからのヴァイパー寄贈の実現が近づいた




ンマーク政府は、ウクライナ空軍がF-16ヴァイパー戦闘機の操縦訓練を開始する動きを見せたことから、F-16戦闘機をウクライナ空軍に譲渡するかを積極的に検討する。▼また、現行のF-16AM/BMの最後の1機を2025年までに退役させる計画を発表しており、これらの航空機の一部をウクライナに送る道を開く一助となる。デンマークのトロエルス・ルンド・ポウルセン国防相代理は公共放送DRとのインタビューで、ウクライナへのF-16の派遣について語った。▼発言はウクライナのパイロットにF-16や他のより近代的な西側の戦闘機を操縦できるよう訓練するNATO主導の取り組みが、ここ数カ月で具体化してきたことを示している。


A Royal Danish Air Force F-16AM Viper. <em>S1 Bryan Underwood/Royal Canadian Navy</em>

デンマーク空軍のF-16AMヴァイパー。S1ブライアン・アンダーウッド/カナダ海軍


DRによると、「我々は、ウクライナ人パイロットの訓練とさらなる教育の取り組みを始めるステップを踏んだ」とルンド・ポールセンは語った。▼「デンマークのF-16をウクライナに具体的に寄贈すべきかどうか...また、その数はどうあるべきかを検討する」という。▼デンマーク空軍は、約43機のF-16AM/BMヴァイパーを保有しているが、ステルス性の高いF-35A統合打撃戦闘機への置き換えが決まっている。▼デンマークのヴァイパーが保管されているかは不明だが、もしそうだとすれば、ウクライナに寄贈するためこれらの戦闘機を整備する必要があるだろう。▼デンマーク国防省の当初の目標は、2027年までに機種変換を完了させることだったが、現在は2025年に早めたという。▼デンマーク当局は当初、ヴァイパーを2024年から2025年にかけて退役させる予定だったが、昨年のロシアによるウクライナへの全面侵攻を受け、就役期間を延長すると決定していた。


DRとのインタビューで、ポールセン大臣代理は、少なくとも自国のF-16の一部を2025年以前にウクライナに移転することは必ずしも妨げにならないと述べた。▼「事前に決定できないという意味ではない」と彼は言った。「しかし、(F-16AM/BM)は、(少なくとも)2024年までデンマークにいることになる」。▼フランスの『ル・フィガロ』紙によれば、4月にルンド・ポールセンは、ウクライナにF-16を派遣するかどうかの決断は「夏前」になると示唆していたことは目に値する。▼しかし、『ル・フィガロ』紙によると、今回の発言は、F16戦闘機の輸送ではなく、その時期に決定されるパイロット訓練プログラムについて述べたものなのか、疑問が残る。▼「デンマークは単独でこれを行うつもりはない。「デンマークは単独でこれを行うつもりはない。そして、この件に関してアメリカとも対話しなければならないだろう」。▼それ以来、ベルギー、オランダ、ポーランド、ルーマニア、イギリス、そしてデンマークが、F-16を操縦するウクライナ人パイロットを訓練する意向を表明している。▼イギリスを除いて、これらの国は現在ヴァイパーを運用している。▼ルーマニアが多国籍プログラムの拠点となる可能性が浮上している。▼ウクライナ当局は、元オーストラリア空軍のF/A-18A/Bホーネットの取得を決定する可能性があるため、その状態を別途評価している。


スウェーデンもまた、グリペンC/D戦闘機を中心とした訓練に着手している。▼フランスは、ウクライナのパイロットがより近代的な西側の戦闘機を操縦できるように訓練することに前向きであることを示している。▼ウクライナのF-16に関しては、ウクライナのパイロットや地上要員がF-16の飛行と維持に十分な準備ができるようになるまでに、どれだけの時間が必要なのかが論点になりそうだ。▼ルンド・ポールセンはDRでの最近の発言で、ウクライナのパイロットがヴァイパーの操縦を適切に訓練するには6カ月から8カ月かかるという、米政府も共有する西側の長年の評価を繰り返した。▼今年初めにリークされた米空軍の報告書によれば、経験豊富な2人のウクライナ人パイロットの基本評価では、4カ月以内にヴァイパーを操作する比較的初歩的な能力を獲得できるとされていた。▼この評価は、ベルギー、ブルガリア、デンマーク、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、オランダ、イギリスと共有されていたようだ。▼The War Zoneが過去に概説したように、将来ウクライナのF-16部隊が複数ソースからの機体で構成される可能性は高い。▼デンマークのジェット機を譲渡する可能性についての新たな話は、オランダ当局が最近、少なくともウクライナのパイロット訓練努力を支援するため、数十機のヴァイパーを再び利用できるようになったことを強調したことに顕著だ。▼これらのF-16は、オランダで退役した機体の一部であったが、米国の「赤い空」の敵対請負業者であるドラケン社への売却計画が大幅に縮小されたことで、多くの機体の将来が不透明になっている。


ウクライナ政府関係者はもちろん、できるだけ早くF-16を入手するよう働きかけており、その主な理由は、F-16によって防空能力が大幅に向上するからだと主張している。▼ウクライナのあるMiG-29パイロットは、コールサインのJuiceで公に知られているが、旧型ヴァイパーでもアクティブ・レーダー誘導AIM-120アドバンスト中距離空対空ミサイル(AMRAAM)を発射できることは、ウクライナ空軍にとって、既存のソ連設計の戦闘機が採用できる空対空ミサイルよりも特に大きな恩恵になると、何度もWar Zoneに語っている。▼いずれにせよ、デンマークのルンド・ポウルセン国防相代理の最新発言は、複数のNATO加盟国がウクライナへのF-16の派遣で決定に近づいていることを示す証拠となった。▼ルンド・ポウルセン国防相の発言は、デンマークのF-16AM/BMの一部を、ヴァイパーが退役し始める来年あたりに譲渡する可能性を残している。


とはいえ、F-16がいつウクライナに配備されるかはまだわからない。■



Denmark Accelerating F-16 Retirement, Could Benefit Ukraine


BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED JUN 26, 2023 2:27 PM EDT

THE WAR ZONE


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...