Lockheed Martin
秘密裏に進められていた米空軍のNGADプログラムで
最終候補がいつの間にか2社に絞られていた
米空軍向け次世代航空優勢(NGAD)ステルス第6世代有人戦術ジェットの競合は、2つの元請負または請負業者チームに絞られていると伝えられている。興味をそそられるのは、現在3機以上のNGAD実証機が存在していることだ。これらの最新情報は、『Defense & Aerospace Report』が最近配信したポッドキャストから得た。
ポッドキャストでは、Defense & Aerospace Reportの編集長兼ホストのヴァゴ・ムラディアンと、The Defense Concepts OrganizationのディレクターでTeal GroupのシニアアナリストであるJ.J.ガートラーが話している。
ポッドキャストでは、NGADの中心となる有人第6世代戦闘機をNGADと呼んでいるが、この名称のプログラムは、もともと高度自律性を有する先進的無人機の開発に焦点を当てた取り組みや、新型ジェットエンジン、武装、電子戦スイート、センサー、ネットワーキング・エコシステム、戦闘管理能力なども含む、より広範なイニシアチブであることに注目すべきだ。
『Defense & Aerospace Report』は、匿名の「(NGAD)プログラム関係者」を引用し、NGADの実証機が3機あるということは、一時は元請け企業3社またはチーム3つが関与していたが、その後2つに絞られたことを示していると結論づけている。ポッドキャストではまた、候補としてボーイング、ロッキード・マーチン、ノースロップ・グラマンが挙げられており、米国の戦闘機メーカーの重鎮として、3社が常に競合の主役になると予想されていたとしている。
空軍は以前、選ばれたNGAD戦闘機の最終決定を2024年に予定と確認していたが、具体的な時期について詳細は明らかにしていない。
全体として、2つのチームがNGADの有人戦闘機の要素で競争していることは、まったく驚くべきことではない。今日のF-35ステルス・ジェットにつながった共用打撃戦闘機プログラムでも、ボーイングとロッキード・マーチンの設計2案が競合した。1980年代にさかのぼれば、先進戦術戦闘機プログラムでロッキード・マーチンがノースロップ・グラマンと競合し、前者がF-22ラプターの製造に選ばれた。
しかし、これまでのところ、空軍はNGADに参加する元請け企業の詳細や、共同で提案に取り組む可能性のあるチーム編成については発表していない。
これまでの戦闘機競作と対照的に、NGADは依然として秘密のベールに包まれたままだが、先月、空軍はプログラムの技術・製造・開発(EMD)段階に関する機密契約の募集要項を公開した。「この契約募集の公示は、F-22の将来の後継機としてNGADに期待される要件を産業界に提供する情報源選定プロセスを正式に開始するものである。「NGADプラットフォームの技術的およびプログラム的な詳細に関するこれ以上の情報は、運用上および技術上の利点を保護するため機密扱いとする」。
「NGAD取得戦略では、迅速かつ革新的な戦闘能力を提供すべく産業基盤を活性化し、拡大する」とプレスリリースにある。「この戦略は、空軍の最近の取得事例で学んだ教訓を取り入れ、オープン・アーキテクチャ標準を活用する。このアプローチにより、政府はライフサイクルを通じて競争を最大化し、より大きく、より迅速な産業基盤を提供し、保守・維持コストを大幅に削減できる」。
昨年6月、フランク・ケンドール空軍長官は、NGAD戦闘機がEMD段階に入ったと述べたが、同プログラムの成熟度に関する監察総監の調査が発表されたとも述べていた。長官は昨年9月、正式にそのマイルストーンに到達していないことを明らかにした。
しかし、少なくとも1機の実証機が、NGADとしてすでに数年間飛行していることは判明している。Defense & Aerospace Reportのポッドキャストが言及した3機の実証機については、言及された3機すべてが飛行実証用なのか、有人仕様なのか否か、静止試験用なのかは不明だ。また、実証機は、量産型NGAD戦闘機に使用されることを意図した機体設計ソリューションの代用として使用されるのではなく、サブシステムや技術を探求するために使用される、伝統的な意味でのテストベッドに近いものである可能性もある。
ノースロップ・グラマンの2021年の広告に登場した想定NGAD戦闘機の前部胴体。ノースロップ・グラマン/YouTubeスクリーンショット
ケンドール長官は、NGADへの進化を説明する際、複数形で「Xプレーン」について公然と語っている。実証機(2020年に公開されたものを含む)は、そうした努力の産物である可能性がある。同時に、各種の関連試験でサロゲートとして使用される可能性のある、1つまたは複数の既存機材の使用も除外できない。例えば、F-22がこの目的に使用されている。
しかし、文脈からすると、こうした機材はサロゲートではなく、実際に目的を持って作られた実証機である可能性が高い。
NGADをめぐり予想される勝者総取りの決着については、すでに非常に熱い戦いが繰り広げられているプログラムであるにもかかわらず、利害関係を高めるだけだ。結局のところ、勝者として登場するジェット機が、戦闘機タイプのカテゴリーにおけるアメリカ最後の高度な有人戦術機になる可能性もある。
ケンドールによれば、NGAD戦闘機についてわかっていることは少ないが、これは非常に能力が高く、非常に高価なものになることは間違いない。
これらのジェット機はそれぞれ、ブロードバンド・ステルス、高度な電子機器、その他の「スペクトル」戦争能力など、エキゾチックな機能やサブシステムのホストが詰め込まれていると予想されている。性能面では、特にアジア太平洋地域における将来の紛争に適用できるように航続距離とペイロード能力に重点を置くだろう。
ケンドール長官の昨年発表によれば、NGADを受注した企業は、約200機を製造することになる。ケンドール長官は同時に有人仕様ジェット機と同時運用できるよう調整された無人機「コラボレイティブ・コンバット・エアクラフト(CCA)」を少なくとも1000機取得する予定だと述べている。これらの数字は、空軍のF-35Aステルス戦闘機300機との運用できることも織り込んでおり、もちろん、まだ多数の要因に基づき変更される可能性がある。
とはいえ、NGAD戦闘機の契約で手ぶらで退場することになりそうな2社にも、NGADプログラムの幅広い性質のおかげにより、すべてが無になったわけではない。
CCAプログラムは別として、NGADとより広範な航空戦力をサポートするために、さまざまなタイプの無人機数百機、あるいは数千機を空軍が発注する可能性がある。
さらに、NGAD戦闘機に搭載される各種システムやサブシステムがあり、どの企業がプライムに選ばれるかにかかわらず、多様な規模の請負業者が関与することになる。また、敗退した候補の一方または両方が、選定版の戦闘機の生産に関わる可能性さえある。たとえば、ノースロップ・グラマンはF-35プログラムで重要な役割を果たしており、3種類のJSFで共通のセンターバレルを製造している。
だが、いずれの企業がNGAD戦闘機でプライム・コントラクターの座を射止めても、課題は山積みだ。
まず、次の30年代の早い時期にNGAD戦闘機を運用開始させたいとする空軍の野望だ。EMDフェーズ契約が来年のいつまでか予定されていないことを念頭に置けば、1機以上のデモンストレーターが飛行しても、非常に圧縮されたスケジュールとなる。
空軍はまた、F-35に悪影響を与えた「不正取得」を回避すると主張している。とりわけ当初からしっかりとした設計を行い、それに関するデータの少なくともかなりの部分を米国政府が所有するよう望んでいる。これは、将来のアップグレードやスパイラル開発を迅速化し、ジェット機、特にそのソフトウェア・バックボーンの維持と進化を請負業者1社に独占させないため必要と考えられている。
NGADのもう一つの要因は、米海軍が別に進めている別プログラムとの関係だ。同じくNGADと呼ばれる海軍プログラムも、F/A-XXとして知られる有人第6世代戦闘機が中心だ。海軍は有人戦闘機に必要なものについて明確な要求を持っており、海軍は独自プログラムに多額の投資を行っている。この2つのプログラムには少なくとも数点のクロスオーバーがあることは分かっているが、空軍プログラムにおける請負業者の成功が、海軍の独自バージョンの選択にどの程度影響するかは分からない。それでも、海軍が有人NGAD機を独自に選ぶという事実は、米空軍入札の敗者でも海軍の入札に勝てる可能性があることを意味する。
米海軍向け第六世代ステルス戦闘機のレンダリング。Boeing
空軍のNGAD戦闘機計画に勢いがあるのは明らかだ。その結果は、今後何十年も活躍し、NGAD事業の目玉となる最新鋭戦術戦闘機を開発・製造することだ。■
Next Generation Air Dominance Fighter Program Involves Three Demonstrators: Report
BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED JUN 23, 2023 1:23 PM EDT
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