2024年3月21日木曜日

スペースXの極秘衛星コンステレーションはISRのゲームを一変させる。中国ははやくも抗議の声をあげているのがその真価の証明だ。

 ロシアや中国が重要なアセットを狙い撃ちするような対抗手段を整備するなら、標的となる装備を多数分散させればよいわけで、これでレジリエンスが実現する一方、攻撃側はこれまでの投資が無駄になるという構図です。中共がスパイ衛星網整備だと抗議の声を早くも上げているのもこうした計算があるからでしょう。The War Zone記事のご紹介です。


<em>DARPA</em>

DARPA


センサー多数を搭載した衛星多数によるコンステレーションが前例のない戦略的・戦術的な監視能力を世界規模で提供する


国家偵察局(NRO)は、地上作戦を支援するために下方の目標を追跡することに特に重点を置く、情報収集衛星のコンステレーションをSpaceXから取得すると伝えられている。このプロジェクトの詳細はまだ非常に限られているが、宇宙軍が以前、スペースXがNROとの契約を得たとされるのと同じ頃に初めて公にした、極秘の宇宙配備のレーダー監視プログラムで語ったことと明らかな類似点がある。もしこの計画が我々が考えているようなものであれば、戦術的・戦略的な宇宙ベースのセンシングに革命をもたらす可能性がある。

 週末にロイター通信が、この契約に詳しい5人の匿名の情報筋の話を引用し報じたところによると、スペースXの政府向け事業部門であるスターシールドは、NROから2021年に受注した18億ドルの契約に基づいて、新しい地球低軌道(LEO)スパイ衛星の開発に取り組んできた。ウォール・ストリート・ジャーナルは2月にこの契約の存在に関する記事を掲載したが、NROの名前は出さず、契約の業務範囲について具体的な詳細を示していなかった。

 本稿執筆時点では、SpaceXもCEOイーロン・マスクも、ロイターの記事に直接反応したり、詳細についてコメントしていないようだ。ロイター通信によると、NROはアメリカのリモートセンシング情報部門として機能する米軍組織で、1992年までその存在自体が公に認められていなかったほどの秘密組織である。

 SpaceNewsによると、「LEO技術を活用するため調達方法を変更した」とNROのトロイ・マインクTroy Meink主席副局長は月曜日のSatellite 2024会議での講演で述べた。「最優先事項は、最小限のリスクで要件を満たすことだ」。

 新しいコンステレーション、あるいは少なくともその初期セグメントが、まだ運用されていない場合、情報収集をいつ開始するかは明らかではない。ロイター通信によると、スペースXはNROとの正式契約前の2020年から、関連するプロトタイプ衛星を打ち上げており、「軌道上の物体に関する米政府のデータベースには、スペースXのミッションで、同社も政府も認めていない衛星が配備されている」という。

 なぜスペースXがこのコンステレーションを国防総省に提供することになったかというと、同社はこの分野のパイオニアであり、現時点で経験豊富な唯一の請負業者だからだ。

 スターシールド事業部門が公に発表されたのは2022年のことで、最初の契約は宇宙ベースの通信サービスで、翌年に宇宙軍からもたらされた。米陸軍も、スターシールドが提供する通信機能を公に評価している。米軍はまた、スペースXの商用スターリンク宇宙通信サービスを過去に何度もテストしている。

 ロイター通信が報じたNRO向け業務について、SpaceXのスターシーリ土のウェブサイトは現在、3つの主要分野の1つとして「地球観測」を挙げている。他の2つは「通信」と「ホスティングされたペイロード」である。

 スターリンクはすでにエンドツーエンドのユーザーデータ暗号化を提供している。スターシールドのサイトによれば、「スターシールドは、機密扱いペイロードをホストし、データを安全に処理するために、追加の高保証暗号機能を使用しており、最も要求の厳しい政府の要件を満たしています」とある。スターリンクの衛星間レーザー通信端末は、現在軌道上で大規模に運用されている唯一の通信レーザーで、パートナー衛星に統合してスターシールドネットワークに組み込まれる。

 レーザーベースの通信システムは、大量の情報を素早く送信することができ、また、電子戦の妨害電波にも強く、安全性が高い。

 NROがSpaceXから取得すると報じられている衛星の具体的な能力についての詳細は乏しい。ロイターは、「地上ターゲットを追跡し、データを米情報機関や軍関係者と共有する」ことができ、「群として運用できる地球画像機能を搭載する」と報じている。

 ロイター記事からは、衛星がどのような「画像」を撮影するように設計されているのか不明だ。このことは、ここで説明されているような種類の情報製品が、本当に広範な宇宙ベースの地上監視能力の一部なのかどうかという疑問を投げかけることになる。また、地球低軌道から撮影された従来の電気光学や赤外線画像は、大規模な地上でのリアルタイム追跡にあまり使われていない。

 2021年5月、当時宇宙軍のトップであったジェイ・レイモンド大将(退役)Gen. Jay Raymondは、宇宙軍が「宇宙からのGMTI(Ground Moving Target Indicator)を構築中」であり、機密プログラムの一環として「その能力を提供できるよう積極的に取り組んでいる」と明かした。宇宙軍はその後、この特定の宇宙ベースのGMTI能力の開発は、空軍迅速能力開発室(RCO)の2018年プロジェクトにさかのぼることができるとBreaking Defenseに語った。

 GMTIとは、地上の移動ターゲットと静止したターゲットを識別し、移動ターゲットを時間経過とともに追跡することができる。今日私たちが知っているGMTIは、冷戦後期の国防総省のPave Mover構想から生まれたものである。GMTIを搭載したレーダーは、通常、合成開口レーダー(SAR)画像も提供できる。雲、煙、埃の中や夜間でも、非常に詳細な画像のような地上マップをキャプチャできる。

 GMTIの能力は年々著しく向上しており、特にアクティブ電子走査アレイ(AESA)レーダーの導入と処理能力の向上により、ハードウェアははるかにコンパクトになった。GMTIとSARを組み合わせることで、収集されるコンテキストデータがはるかに大きくなる。これらの機能は非常に高感度になり、これらのモードの組み合わせにより、GMTIがどのようなターゲットを拾っているか自動識別と分類を行うことさえ可能となっている。


A SAR image of C-130s on a ramp.

A SAR image of C-130s on a ramp.


 2021年以来、宇宙軍を含む空軍省は、E-8C統合監視目標攻撃レーダーシステム(JSTARS)戦場監視管理航空機の後継装備の重要な要素として、宇宙ベースのGMTI能力を提示してきた。E-8はペーブ・ムーバー計画の主要成果であった。当時、米空軍関係者は、宇宙ベースの能力が実際に存在するのかどうか、あるいは当時存在しなかったとしてもいつ存在する可能性があるのかについては明言しなかった。空軍は来年にも最後のE-8Cを退役させる予定である。

 E-8退役で失われる能力の一部は、紛争空域に侵入できるものを含む分散型空中プラットフォームに向かうだろうが、大部分は宇宙に向かうだろう。そのため、成熟しつつあるGMTIコンステレーションは、E-8Cが退役するこのタイミングと理にかなっている。宇宙ベースのGMTIプログラムがどの程度成功するかは、将来の高度な空中GMTI/SAR監視プログラムにも影響を与える可能性がある。

 NROはこれまで戦略レベルのインテリジェンスに重点を置いており、宇宙ベースのGMTIが特に関連するような戦術作戦を支援することはない。NROと宇宙軍はまた、それぞれの情報・監視・偵察(ISR)責任の所在を明確にしようとここ何年にわたり取り組んできた。この能力の獲得と実戦配備に関して、両者が協力するとしても驚くべきことではない。また、NROがスペースXから取得をめざすコンステレーションが、複数のISRタスクを実行できるセンサー・スイートを搭載している可能性も大いにある。

 空軍の2025会計年度予算要求が先週発表されたのを前に、3月初めに本誌などが出席した円卓会議で、フランク・ケンドール空軍長官は「パススルーの中身について詳しくは言えないが、こう言っておきたい。宇宙には、諜報活動にも軍事利用にも価値のあるデュアルユースの能力がある。このためパススルーには宇宙軍にも有益なものも含まれると申し上げておく」。

 ここでいう「パススルー」とは、空軍予算のうち、他機関に直接支払われるもののことで、一般的には機密プログラム用であり、これも公に認められていないことが多い。NROは、何十年も、公に活動することができなかったため、この点で歴史的に空軍と非常に緊密な関係にある。


GMTI tracks overlaid on a SAR image. (Public Domain)

GMTI tracks overlaid on a SAR image. (Public Domain)


 GMTIとSARが可能となる大規模な衛星ネットワークは、戦略的な意味で大きな助けとなる可能性がある。これらの資産やその他の戦略的な動きを持続的に追跡することは、国防総省が何十年も切望してきた戦略的監視で究極の実現となると言ってよい。大規模なコンステレーションがあれば、軌道上のリソースを一定量このミッションに割り当てることができる。

 スペースXがNRO向けに製造中とされる衛星の正確な能力、運用開始時期、これが宇宙軍のGMTI計画と関連しているかどうかにかかわらず、コンステレーション・コンセプトの利点は明らかだ。歴史的に、スパイ衛星の最大の限界として、一度に必要な場所に行くことができないことと、再作業のスピードが比較的遅いことがあった。また、従来のスパイ衛星の動きは予測可能であり、スパイ衛星を監視する手段を持つ国は、スパイ衛星が上空にいる時間に合わせ活動を綿密に調整することができる。

 一方で地球低軌道上のスパイ衛星は、収集できる情報の種類や文脈に制限がある。一刻を争う作戦を支援したり、戦場のすぐ近くにいる部隊にオンデマンドの追加情報源を提供するのは難しいかもしれない。ロイター報道によれば、NROがスペースXから新しい分散型コンステレーションを購入する背景には、地上での戦術的な作戦をサポートすることが大きな原動力となっている。

 対照的に、大規模な分散型コンステレーションは、地球の広大な範囲を同時監視する能力を持ち、コンステレーションの規模にもよるが、少なくともシームレスに継続監視ができる。これにより、相手が興味のある活動を隠すことは不可能ではないにせよ、困難になる可能性がある。非常に低い再訪問率、あるいは再訪問率を完全になくすことで、地球低軌道からその場所を継続して「ストリーミング」カバーする可能性さえ開けるだろう。これは、地上の動きをリアルタイムで追跡する永続的なGMTIカバレッジで不可欠なものであり、実際に兵器をその軌跡に誘導できるほどの忠実度を持つ。より限定的な同意ではあるが、空中追跡も機能する可能性がある。E-3セントリー空中警戒管制システム(AWACS)も、E-7ウェッジテイルとともに、部分的には宇宙ベースの機能に取って代わられるだろう。

 これは別のタイプのシステムで、おそらく追跡を行うエキゾチックな機能を備えた広範囲の光学/赤外線イメージングを実行するものである可能性が高いが中身は不明だ。

 いずれにせよ、ここでは宇宙からの全方位、あるいはそれに近いターゲティングと監視の可能性について話している。

 特に機械学習や人工知能(AI)技術の利用によって可能になる、より優れた共同作業能力は、関心のあるターゲットや異常をはるかに速く発見するのに役立つだろう。これはまた、より自律的な収集、タスク/リタスク、その他の能力への扉を開く可能性もある。シームレスなカバレッジが必要な関心エリアでは、人間のデコンフリクトやオペレーターによる直接指示さえ不要となり、自動的に必要な軌道に追加衛星をリタスクさせることができる。

 データ収集では、機械学習とAIが、大規模な分散型コンステレーションが収集する膨大な量のデータを解析するのに役立つ鍵となるだろう。この能力はすでに実証ずみで、米軍は継続的な開発に積極的に投資している。

 NRO副長官のクリストファー・ポバック宇宙軍少将Maj. Gen. Christopher Povakは、昨年、SpaceNewsによると、「我々のアーキテクチャの拡散と多様化は、カバレッジの拡大、より大きな容量と回復力、よりタイムリーなデータ配信を提供する」と述べた。

 衛星数百機で構成するコンステレーションは、敵対的な攻撃に対する耐性もはるかに高い。米国の敵対国や潜在的な敵対国、特に中国とロシアは、さまざまな対衛星システムを実戦配備しており、さらに高度な能力を開発し続けている。

 米軍はすでに、弾道ミサイルや極超音速兵器に対する早期警戒など、さまざまな任務を支援し、将来の攻撃時にアクセスを確保するため不可欠と見なす、その他分散型コンステレーションに公的に取り組んでいる。また、さらなる弾力性を提供するために、米当局は衛星画像の調達に関しても、民間宇宙企業との協力関係の拡大を模索している。しかし、インテリジェンス・コンステレーションを完全にアメリカ政府の管理下に置くことで、特定の民間業者との問題によるアクセスへの潜在的な脅威を排除できる。スペースXとマスクCEOは、ウクライナ紛争に関連し、スターリンクの利用がどのように許可され、また許可されなかったかについて批判に直面している。独自のコンステレーションを持つことで、この変数は方程式から取り除かれる。

 同時に、分散型コンステレーションへのこのような公的な注目は、競合他社が新たな、そして議論を呼ぶ衛星対抗策を模索することを促しているように見える。今年初め、ロシアが核兵器を使って一度に大量の衛星を無効化または破壊する宇宙ベースの対衛星システムを研究しているとの情報をアメリカ政府が入手していることが明らかになった。

 以前から、中国軍も大規模なコンステレーションへの攻撃手段として核兵器の使用を検討しているとの指摘があった。また、人民解放軍に関連する中国の研究者は、ウクライナで進行中の戦争からの観察に基づき、スペースXの既存のStarlinkコンステレーションがもたらす潜在的な脅威について懸念を表明している。

 「今日、我々のコンステレーションは穏やかな環境に最適化されていると言える。そして、これらの脅威が増大しているのを見るにつけ、次世代の回復力のあるコンステレーションを開発するまで、現行のコンステレーションを保護し、防衛しなければならない」と、スティーブン・ホワイティング米宇宙軍大将Gen. Stephen Whitingは2月の上院軍事委員会公聴会で語った。「その作業は、次世代の弾力性のある装備を配備するため進行中である。「最も懸念されるのは、中国がわれわれとわれわれの宇宙依存を臨床的に研究し、われわれのアーキテクチャーがどのようなものかを正確に把握し、現在、そのアーキテクチャーを危険にさらすシステムを急速に構築していることだ」とホワイティングは付け加えた。

 中国は、宇宙空間での情報収集能力の拡大も急ピッチで進めている。ロイター通信は本日、人民解放軍に関連する中国の国営メディアやソーシャルメディアのアカウントが、スペースXとNROの契約に関するニュースを特に声高に非難していると報じた。

 全体として、NRO向けの新しい巨大なスパイ衛星コンステレーションでスペースXの仕事の規模、範囲、進捗状況については、宇宙ベースのGMTI能力を実現する努力との関係も含め、疑問が残ったままだ。同時に、このような宇宙ベースの分散型情報能力は、理にかなっているだけでなく、ゲームを変える影響を与え、脅威の増大に直面する中、ますます不可欠になっている。■


If SpaceX's Secret Constellation Is What We Think It Is, It's Game Changing


BYJOSEPH TREVITHICK, TYLER ROGOWAY|PUBLISHED MAR 20, 2024 4:44 PM EDT

SPACENEWS & FEATURES







2024年3月20日水曜日

紅海で主要作戦3つが同時並行中で、各国の思惑が工作している交錯する中、地元の主要国は静観し、中国もこっそりプレゼンスを示している...日本は傍観するだけ?

紅海でここまで多様な作戦が展開していることは驚きですが、各国の思惑が錯綜しているのが原因ですね、とくに米英と欧州各国の思惑の違いが気になります。また中国がなんらかの形でフーシ、さらにイランから攻撃を受けない保証を受けているとすれば、なぜ中国が軍事プレゼンスを維持しているのか、疑問の声を挙げなくてはなりません。Breaking Defense記事からお伝えします。


プロパティ・ガーディアン作戦からアスピデス作戦まで、紅海では数十カ国が軍事的に活動中だ



2023年11月、イエメンを拠点とする反政府武装組織フーシ派は、ハマスのイスラエル攻撃と協調し、民間船舶に対するミサイル、ドローン、さらには無人水上艦船の攻撃を開始した。

 フーシ派は正式名称をアンサール・アラー(「神の支持者」)といい、紅海航路を危険にさらすことで、世界の海上貿易の約15%を担う重要な経済水路を攻撃した。船舶は苦渋の選択を迫られた: スエズ運河-紅海-バブ・エル・マンデブ海峡のルートを致命的な事件の脅威にさらされつつ航行するか、ジブラルタルと喜望峰を経由しアフリカを一周するルートを取るか。


 このジレンマに対応するため、多くの国々が自国艦艇をこの海峡に派遣した。しかし、すべてが協力しているわけではない。

 実際、プロスペリティ・ガーディアン、アスピデス、ポセイドン・アーチャーといった名称の軍事ミッションが重複しており、誰が担当し、ミッションの最終目標が何なのかによって、数十カ国が参加したりしなかったりしている。

 今のところ、分断された努力は部分的にせよ機能している。「商業船舶は、10月7日以前のレベルには達していないものの、通常予想される商船往来の70%程度は観測されている」と、ある米国防当局者は本誌に語った。

 しかし、同じ戦略水路で軍用艦船多数が航行しているため、事態は混乱している。少し前には、味方の攻撃でアメリカの無人偵察機が危うく破壊されそうになったほどだ。

 作戦の混乱を解きほぐすために、ここでは誰がそこで何をしているのか、そしてなぜなのかを紹介する:


プロスペリティ・ガーディアン作戦

ロイド・オースティン米国防長官が12月に発表した「プロスペリティ・ガーディアン作戦」は、米国、英国、バーレーン、カナダ、フランス、イタリア、オランダ、ノルウェー、セーシェル、スペインの10カ国による「海上連合軍傘下の多国間安全保障イニシアティブ」である。

 その3日後、国防総省のパット・ライダー報道官は、20カ国がこのイニシアティブを支持すると述べた。1月9日にはシンガポールとスリランカが作戦に参加した。

 プロスペリティ・ガーディアンの重要な特質は、フーシのミサイルやドローンをし空から打ち落とす、完全な防衛的性質にある。次の作戦との対比が示すように、多くの外国がこの作戦に参加した理由のひとつは、この点にあるようだ。


ポセイドン・アーチャー作戦

一方で米英両国は積極的なアプローチをとった。「ポセイドン・アーチャー作戦」と名付けられたこの2カ国は、オーストラリア、バーレーン、カナダ、オランダの支援を得て、1月11日からイエメンのフーシ派の拠点に対する一連の軍事攻撃を開始した。その後の攻撃には他国からの「支援」も含まれているが、米英はその支援の内容については明らかにしていない。

 今回の作戦は、一部国で物議を醸しており、米国と友好的なヨーロッパ諸国から公的な支持を得られなかったことは注目に値する。ロシアとイランは予想通り攻撃を非難し、中国は「イエメンへの攻撃は施設の破壊に止まらず、地域の緊張をさらにエスカレートさせた」と述べた。

 ジョー・バイデン米大統領は、最初の攻撃がフーシ派の攻撃を止められなかったことを認めたが、米政府高官は攻撃姿勢を擁護している。

国防総省のピート・グエン報道官は、「フーシ派武装勢力は11月19日以来、米海軍と商業船舶を99回攻撃・威嚇している」と本誌に語った。

 グエンによれば、アメリカは44回の「自衛攻撃」に加え、「パートナーとともに」1月11日、1月22日、2月3日、2月24日に「4回の複合攻撃」を行ったという。

 同報道官は、「複合攻撃と自衛攻撃によリ、150基以上のミサイルと発射装置、さらに貯蔵・支援建物、UAV貯蔵建物、通信建物、地下貯蔵施設、UAV地上局が破壊された」と述べた。


EUNAVFOR アスピデス作戦

2月19日、欧州理事会は、米国主導の取り組みに反旗を翻すかのように、紅海における独自の多国籍防衛作戦を発表した: EUNAVFORアスピデス作戦である。

 EUは「アスピデス作戦は、2023年10月以降、フーシ派による多数の攻撃が国際商業船舶を標的にしている海域におけるEU海軍のプレゼンスを確保する」と述べた。「志を同じくする国際的パートナーとの緊密な協力の下、アスピデスは、海洋安全保障を守り、特に商船や商業船の航行の自由を確保することに貢献する。その防衛的任務の中で、この作戦は海上状況認識を提供し、船舶に随行し、海上で起こりうる多領域の攻撃から船舶を保護する」。

 この作戦には、米同盟国であるベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、スペインも参加している: なぜ、すでに確立されているアメリカ主導のプロスペリティ・ガーディアンに参加しないのか?

 近東・南アジア安全保障研究センターのデビッド・デ・ロッシュ准教授は以前、本誌取材に対し、「EUは軍事分野において、アメリカ主導のNATOと一線を画す独自のアイデンティティを確立しようとしている」と語った。

 同様に、ワシントンを拠点とするシンクタンク、アトランティック・カウンシルによれば、「欧州数カ国はプロスペリティ・ガーディアンと協力を続けているが、EUの作戦は、米国が主導するフーシ派に対する作戦からの離脱を示すものとして設定されたものだ」。

 また、米国のリーダーシップがなければ、欧州諸国は効果的な活動ができるかもしれないとも述べている。「欧州の現在のアプローチは地域のパートナーにとって真価があるかもしれない。アデン湾周辺に長年にわたって海軍、軍事、外交的プレゼンスを持つ欧州には、地域プレーヤーにもっと包括的に関与する資格と正当性がある」。

 しかし、ドイツのフリゲート艦が米国のMQ-9B無人偵察機に誤って2発のミサイルを撃ち込んだ事件が2月下旬にあり、ばらばらな任務実行の危険性が明らかになった。

 米国防高官は「2月27日に紅海で米国のMQ-9無人航空機が標的にされたことを確認している。「UAVは被害を受けず、任務を継続した。米中央司令部はEUおよびアスピデス作戦と緊密に連携し、今回の事態に至った状況を調査し、空域の安全なデコンフリクションを確保している。プロスペリティ・ガーディアン作戦とアスピデス作戦は、航行の自由を確保するため、互いに協力しつつ活動を続けている」。

 今週の時点で、同高官は本誌に対し、2つの作戦間で他に誤報が発生した事例は追跡していないと断言した。

 「我々は、OPG(オペレーション・プロスペリティ・ガーディアン)とアスピデスの紅海における防衛作戦を確実に調整するために、EUとアスピデス指導部と緊密に連携している。以前にも別の作戦でこのようなことをしてきたし、志を同じくする国同士として、協力し、うまく連携していく」と述べた。


湾岸諸国はどこにいるのか?

この地域に外国船が流入する中、前述の作戦に公然と積極的に参加している湾岸諸国は1カ国だけだ:プロスペリティ・ガーディアンのバーレーンである。

 紅海の問題、特にフーシ派の脅威は、サウジアラビア王国(KSA)とアラブ首長国連邦(UAE)に直接影響を与えるが、両国とも安全保障任務には参加していない。2つの君主制国家は公にはコメントしていないが、アナリストが今年初めに本誌に語ったところによれば、ガザでの戦争でイスラエルを支援していると見られたくないからであろう。

 バーレーンの戦略アナリスト、ユスフ・ムバラクは、「現代のアメリカの外交政策と最近の防衛連合やイニシアチブは、KSAやUAEのような湾岸の歴史的な主要同盟国の国家安全保障上の利益を優先順位に置き、地域のライバルやその代理人を優先している」と本誌に語った。


そして中国

米国防当局者によれば、商業海上交通を確保するため、常時4隻から8隻の米軍主導の連合軍艦船がこの地域にいるという。しかし、この地域にいる大国は米国だけではない。

 中国国営メディアは、人民解放軍海軍が第46戦隊を中東に派遣し、「アデン湾とソマリア沖で第45戦隊から護衛任務を引き継いだ」と報じている。

 「この海域が国際貿易にとっていかに重要であるかを考えれば、基本的にすべての国が紅海の安全保障に既得権益を持っている。中国も例外ではない」と、米国を拠点とするコンサルティング会社Gulf State Analyticsのジョルジオ・カフィエロ最高経営責任者(CEO)は本誌に語った。

 中国はアメリカの覇権主義を支持したくないからだ。また、プロスペリティ・ガーディアンに参加することは、ガザ紛争でイスラエルを支援するという点で、「中国がアメリカと足並みを揃えているというメッセージを発信する」危険性があるという。

 「指導部は、アラブ・イスラム世界、そしてより広くはグローバル・サウスに対して、中国はパレスチナの大義の擁護者であるという物語を伝えようと強く望んでいる。(フーシ派が)海上攻撃を仕掛けてこないという意味で、中国の船舶は免責されているようだ。従って北京は、フーシ派がこれ以上破壊的な行動に出ることを抑止する点で、西側諸国と協力する大きな動機があるわけではない」とカフィエロは語った。■



Crowded waters: Who's doing what in the international hotspot of the Red Sea - Breaking Defense

By   AGNES HELOU

on March 18, 2024 at 7:33 AM


ノースロップ・グラマン、月面鉄道の構想を練る---月の商業開発、宇宙軍の将来の活動を視野に入れているのか

 裏金問題や破廉恥パーティなどスケールの小さい問題に日本の庶民は関心を奪われていますが、こんな大きなスケールの構想を立てているのが米国であり、とくに自由な発想を許されるDARPAです。月面を覆う細かい粒子が金属を摩耗させるため、振動や噴射を伴わない輸送手段として「鉄道」といっても相当異なる形態となるでしょうね

Full Beaver Moon In El Salvador

The Beaver moon is seen from the historic center on November 27, 2023 in San Salvador, El Salvador. (Photo by APHOTOGRAFIA/Getty Images)


ノースロップ・グラマンによれば、月面鉄道網は、月面全域で人員、物資、商業活動用の資源を輸送することが可能となる

ースロップ・グラマンは本日、国防総省の包括的10年にわたる月面アーキテクチャ(LunA-10)能力研究の一環として、「月面鉄道」のコンセプト研究をDARPAに提供すると発表した。

同社はプレスリリースで、「想定される月面鉄道ネットワークは、月面を横断する商業ベンチャー向けに人員、物資、資源を輸送でき、米国と国際パートナーの宇宙経済に貢献する」と述べている。

DARPAは、12月に14社のベンダーに対して、二重星雲空間や月面での商業活動を含む、実用的な月経済を創出するため必要な技術に関する各種研究の契約を交付した。DARPAは、この取り組みの予算や個々の契約の規模を明らかにしていない。

この研究イニシアチブは、バイデン政権が2022年11月に発表した「国家月周回衛星科学技術戦略」の発展形で、月周辺および月面における「科学、探査、経済開発活動の推進」のための政府全体戦略の構築を目的としている。国防総省はこの戦略策定において重要な役割を担っており、そのためこの戦略には、月周辺での宇宙状況認識や、軌道上で迅速かつ効率的な操縦を必要とする「動的宇宙活動」など、宇宙軍が将来に向けて優先的に取り組むべき事項が数多く反映されている。

ノースロップ・グラマンのリリースによれば、月面列車に関する研究は以下のようなものである:

  • 月面鉄道ネットワークの構築に必要なインターフェースとリソースの定義

  • 予見可能なコスト、技術的リスク、ロジスティック・リスクの重要リストの作成

  • 完全稼働する月鉄道システムのコンセプト設計とアーキテクチャのプロトタイプ、デモンストレーション、分析の特定

  • 整地と基礎の準備、軌道の配置と整列、接合と仕上げ、検査、保守と修理を含む、ロボットによるシステムの建設と運用のコンセプトを探求する。

2021年にNASAは、磁気浮上式(マグレブ)車両を使用した月面鉄道の実現可能性調査にも資金を提供した。このコンセプトは、NASAのジェット推進研究所とSRIインターナショナルの科学者によって開発され、"FLOAT - Flexible Levitation on a Track "と呼ばれた。

これは、月のレゴリスを構成する微細だが研磨性が高い粒子による問題を回避するために設計された、フィルムベースの軌道上をホバリングする自律型ロボット車両を想定していた。研究では、このアイデアは実現可能だが、克服すべき課題が数多くあることが示された。これまでのところ、NASAはこのアイデアをさらに開発するための資金を提供していない。■

Northrop Grumman to conceptualize Moon trains for DARPA

By   THERESA HITCHENS

on March 19, 2024 at 1:46 PM

https://breakingdefense.com/2024/03/northrop-grumman-to-conceptualize-moon-trains-for-darpa/


フーシ攻撃の様子をアデン湾上の米空母アイク航空団に見る。

 フーシによる海上交通妨害は一向に止む気配がなく、米海軍はじめ有志国部隊は毎日高いテンポの作戦展開を迫られているようです。海上交通にこれだけ依存している日本が未だにこの問題を深刻にとらえていないのが不思議です。The War Zone記事からのご紹介です。


Drone kill marks on F/A-18E Super Hornet from the USS Dwight D. EisenhowerUSN

海軍スーパーホーネットがフーシ派ドローン撃墜の印をつける

フーシの無人機を数カ月にわたり撃墜した海軍のF/A-18E/F飛行隊は、その功績を機体に刻印している

デン湾に数カ月にわたり駐留しているスーパーキャリア、USSドワイト・D・アイゼンハワー(通称IKE)搭載び米海軍のF/A-18E/Fスーパーホーネットに、フーシの無人機撃墜を示すキルマークが施されている。長い伝統を持つ同様のマーキングが、この地域で同様の脅威を一掃した艦艇にステンシルされているが、作戦に参加している戦闘機にこのようなマーキングが施されているのは、少なくとも私たちにとっては新しいことだ。

本誌は、この地域での危機が5カ月間にわたり加速するなか、スーパーホーネットがフーシ無人機と交戦を開始したことをいち早く報じた。その後、無人機撃墜は日常茶飯事となり、他国の戦闘機も撃墜している。


3月5日、紅海でニミッツ級空母USSドワイト・D・アイゼンハワー(CVN69)の飛行作戦中、打撃戦闘機隊(VFA)105の「ガンスリンガー」に所属するF/A-18Eスーパーホーネットの発進を合図する船員たち。ドワイト・D・アイゼンハワー空母打撃群は、中東地域の海上安全保障と安定を支援するため、米第5艦隊作戦地域に配備されている。(米海軍公式写真)

米海軍は「IKE」での作戦の様子を伝える映像を公開した。VFA-131「ワイルドキャッツ」のF/A-18Eスーパーホーネットの1機が、フーシの無人機のシルエットと爆弾のシルエットをつけているのが写っている。後者は対地攻撃ミッションの成功を象徴している。ドローンのシルエットは、一般的に、フーシ派がここ何年も使用している一方向攻撃ドローンのSammadファミリーのように見える。

イエメンの武装勢力が発射した無人機を撃墜するだけでなく、米英軍は関連する軍事目標を攻撃している。防空システム、武器貯蔵所、司令部などだ。しかし、ほぼ絶え間ない武器投下の大部分は、発射準備中の無人機やミサイルなど、一刻を争う標的に集中している。この困難な任務の多くは、IKEの航空団に委ねられている。

BBCの最新レポートでは、IKEに搭載された別のスーパーホーネットのドローンキルマークの画像と、空母が同地域で対応している進行中の危機についての詳細も掲載されている。

記事は、作戦区域を通過する他の海上交通を保護するIKEと4隻の米海軍水上戦闘艦を指揮するデイブ・ロウ大佐の言葉を引用している。大佐は、この作戦は「危険なもの」であり、米海軍の資産に対する直接的かつ永続的な脅威は、いつ何時でも発砲される可能性があるという点で、第二次世界大戦以来、最も危険であると述べている。

BBCもキル・マーキングに注目し、こう報じた:「コックピットの側面には、投下した爆弾、破壊したレーダー基地、空から撃墜した無人機のシルエットが描かれている。すでに300発以上の爆弾やミサイルを発射している」。

一ヶ月前、米海軍は、フーシの無人機や巡航ミサイル、弾道ミサイル攻撃を受けながら、水上戦闘機が地対空ミサイルのスタンダード・シリーズを100発以上発射したと発表した。F/A-18E/Fが無人機撃墜に使っているものについては、AIM-120が最も成功していることが証明されているが、AIM-9Xもドローン対応に使うことができる。銃の使用は、このような小型で動きの遅い標的に対しては、はるかに困難で潜在的に危険な提案である。

一発50万ドル、高くても数百万ドルもするミサイルを、数千ドルの無人機を撃墜するために使用することの高い代償と、このような作戦がミサイル在庫に与える影響については、これまで詳しく述べてきた。海軍は現在、議会に対し、フーシの猛攻への対抗で消耗した兵器の補充に必要な資金を、補正予算案以外と別に提供するよう求めている。

IKEの航空団司令官であるミゲス少将は、BBCの取材に対し、バブ・エル・マンデブ海峡と周辺におけるフーシ派の航行妨害作戦の背後に誰がいるのかを明らかにした: 

「フーシを支援しているのはイランだ。武器や技術だけでなく、標的の情報提供や支援も行っている。根源はイランからだ」。

海軍で2番目の古参現空母IKEが、いつまでこの地域の対フーシ作戦の拠点として現場に留まるのか定かではない。同艦は2023年10月14日にノーフォークを出港した。

この地域の危機がすぐに解決される兆しはなく、IKEは5ヶ月間、少なくとも当分の間、非常に高いテンポの作戦を迫られている。■

Navy Super Hornets Are Now Wearing Houthi Drone Kill Marks

BYTYLER ROGOWAY|PUBLISHED MAR 19, 2024 5:49 PM EDT




2024年3月19日火曜日

中国J-35の海軍仕様機の新たな画像が流出。空母整備と並行してPLANが同機を運用するつもりなのか。

 しばらく鳴りを潜めていたJ-35ですが、空母搭載を想定してPLANはゆっくりとテストを進めているようです。F-35との類似性がとかく指摘される同機ですが、双発の機体は海軍運用では好まれるでしょうが、その性能は未知数です。The War Zoneの分析記事を御覧ください。


A prototype J-35 stealth flghter in flightChinese internet via X/Twitter


中国のJ-35海軍ステルス戦闘機の新しい画像


海軍仕様のJ-35が、中国の最初の2隻の航空母艦と3隻目の航空母艦で運用される可能性が示唆される中で画像が公開された


近の画像は、中国の空母ベースの瀋陽J-35ステルス戦闘機の3番目の飛行プロトタイプの可能性のある機体を示している。J-35は最終的に、中国の就役中の空母2隻、001型遼寧と002型山東、そしてまもなく出航する003型福建を含む、カタパルトとアレスターギアを装備した将来の空母から運用される可能性があるとの指摘が高まっていることを受けて、航空機を下側からとらえた新しい画像が公開された。

 画像はもともと、3月初めに中国のマイクロブログサイト「微博(ウェイボー)」に投稿されたもので、その後広く共有されるようになった。正確な撮影日は不明だが、中国軍用航空ブログのHui Tongは、テスト飛行を終えた航空機が遼寧省の瀋陽飛機公司に近づくところを撮影したものだと指摘している。同ブログは、これが3機目のJ-35ではないかと推測しているが、現時点で確認できない。


 画像ではJ-35の底面が見える。これまでの写真から、J-35の表面は全体的に非常に滑らかであることが分かっている。機体後部には、ほぼ標準的な排気ノズルが写っている。J-35のノズルには鋸歯状の花びらがあることが分かっているが、この記事の一番上にある拡大画像では、花びらが滑らかになっているように見える。このジェット機は、ステルス戦闘機で低視認性を必要としない場合に一般的であり、また密集した空域を飛行する際の課題にもなり得るように、腹部にボルトオン・ルネーブルグレンズ(レーダー反射板)を装着しているように見える。このスタイルと配置は、F-22やそれに続くJ-20に見られるものに似ている。J-35の着陸装置は、空母運用のためのツインノーズホイールとF-35Cと同様の一般的なレイアウトを特徴としている。

 陸上型の瀋陽FC-31を海軍仕様にしたもので、J-35の最初の試作機は2021年10月に初飛行した。2機目のJ-35試作機である350003は、その後2022年7月に目撃され、低視認性のグレーの戦術塗装が施されていた。3機目が2023年9月に飛行しているところを撮影されたとの憶測もあったが、当時我々が指摘したように、画像から、その機体海軍仕様のJ-35なのか、それとも陸上ベースのFC-31の亜種なのかを確認するのは困難だった。

 J-35の登場は、長い間、人民解放軍海軍(PLAN)が将来の運用をめざすカタパルト支援離陸・回収(CATOBAR)空母と密接に関連していると考えられていた。

 一時期、中国はJ-15戦闘機を遼寧と山東の両空母で運用することに固執するだろうと広く思われていた。福建のような、より能力の高いCATOBAR空母は、J-35やJ-15のCATOBARバージョン、その他の航空機やドローンを含む航空団を運用する。

しかし、これはもはや事実ではないかもしれない。先月初めに中国から流れた画像では、空母がドック入りしている間に遼寧にJ-35のモックアップが搭載されていた。そして2月後半には、空母がさらなる整備後の試験のために出港する際、J-15のモックアップの隣に同機が写っている、さらなる画像が現れた。

 遼寧と山東からJ-35が定期的に運用される可能性は、多くのオブザーバーには予想外だったかもしれないが、これは理にかなっているように思われると、長年の中国航空宇宙アナリストで本誌寄稿者であるアンドレアス・ルプレヒトは強調している: 「私の意見では、(J-35が遼寧と山東に加わることは)完全に理にかなっている」と強調する。「福建」が準備が整う前に、特に作戦空母として、PLANは甲板上と空中でのJ-35の訓練に多くの時間を費やす必要がある。カタパルトがないために訓練が制限されても、PLANは多くの飛行時間と多くの経験を得ることができる。

 STOBAR空母でJ-35を実際に運用するには、いくつかの欠点があることに留意すべきである。回収はSTOBAR空母でもCATOBAR空母でも同じだが、J-35は遼寧と山東の艦首のスキージャンプ台を利用して発進しなければならない。そのため、将来のCATOBAR空母からの発進する場合と比べて、武器や燃料などの積載量を減らして発艦しなければならない。福建は、従来型の蒸気式カタパルトではなく、先進的な電磁式航空機発射システム(EMALS)タイプのカタパルトを採用している。

 新型カタパルトが中国の就役中の空母にもたらす全体的なメリットは大きい。J-35は、その低視認性とともに、多くの先進的なセンサーや非常に高性能な武器とともに、アクティブ電子スキャン・アレイ(AESA)レーダーを搭載すると想定されている。何よりも、福建の準備が完全に整う前に、機体を海上運用し、大きな教訓が得られるだろう。

 これは興味深いことではあるが、推測の域を出ない。J-35がSTOBAR運用に適さないと判明するかもしれないし、開発スケジュールが福建を待つ方が良いということになるかもしれない。その成り行きを見守る必要がある。■



New Images Of China's J-35 Naval Stealth Fighter, Could Depict Third Example

New Images Of China’s J-35 Naval Stealth Fighter, Could Depict Third Example

The images come amid indications that the navalized fighter could operate aboard China’s first two aircraft carriers, as well as its third.

BYOLIVER PARKEN|PUBLISHED MAR 13, 2024 9:10 PM EDT

AIRNEWS & FEATURESSEA


英国防相の乗機が電子攻撃でGPSが一時利用不能となった。民間航空機も巻き込む無責任なロシアの行為は糾弾されるべきだ。

 GPSの脆弱性が目立ってきており、より強靭なシステムの運用は待ったなしでしょう。あるいはもう存在しているのかもしれません。ロシアはあらゆる手段を講じてでも西側の脆弱性をついてきます。The War Zone記事からのご紹介です。この事件は民間航空にとっても大きな脅威ですね。




英国国防相はポーランドからの帰国中、ロシアのカリーニングラード飛び地近くを飛行していた


国当局は、グラント・シャップスGrant Shapps英国国防相が乗った英空軍のダッソー900LXビジネスジェットが最近、ロシアのカリーニングラード飛び地付近を飛行中にGPS妨害に遭ったことを確認した。ロシアはヨーロッパをはじめ、世界各地で電子攻撃を行っており、民間機、軍用機(乗員なしのシステムも含む)、船舶に影響を与えていることが知られている。しかし、英空軍機が特別に意図された標的だったのか、それとも、この地域では珍しくないGPS妨害作戦が集中的に行われた地域を通過しただけなのかは定かではない。

 『タイムズ・オブ・ロンドン』が電子戦攻撃を最初に報じたのは、シャップス大臣がポーランド北東部のオルジシュを訪問した後の3月13日のことだった。同国防長官は、ポーランド国防省のウラディスワフ・コジニアク=カミシュ国防相と軍事訓練場で会談し、冷戦後最大のNATO軍事演習である「ステッドファスト・ディフェンダー24」に参加中のポーランド軍とイギリス軍と一緒に行動した。

 シャップス大臣は訓練場でのスピーチで、「より危険な世界」を踏まえ、英国は国防費を現在の国内総生産(GDP)比2.27%から3%に引き上げるべきだと訴えた。ウクライナ紛争については、プーチン大統領について、「これを解決するために必要なことは、彼が東に戻り、2年前に侵略に踏み切った民主国家から出て行くことだ。それがこの事態を収束させる方法だ」。

 3月13日発言にとどまらず、シャップスは広くイギリスとヨーロッパでロシアがもたらす脅威についてオープンに発言してきた。

 ダッソー900LXは、RAFでエンボイIV CC Mk1の呼称で軍高官と外交官を世界各地に輸送する任務を担い、合計14人の乗客を乗せることができる。RAFは2機運用している。軍所有だが、民間登録されている。4月1日から完全に軍登録で運用されるようになる。

 英首相リシ・スナクの報道官は『ガーディアン』紙に、ダッソー900LXが英国に戻る途中、ロシアのカリーニングラード付近で障害が発生したことを確認した。

 スナク政権の広報担当者は、「ポーランドから戻る途中、カリーニングラード近辺を飛行した際、一時的にGPS(全地球測位システム)が妨害された」と述べた。地理的に大ロシアから切り離された、バルト海に面した非常に戦略的なロシアの飛び地カリーニングラードは、主要軍事拠点で、オルジシュから200マイル(約8.6キロ)以内の場所に位置している。

 攻撃を受け、GPS接続は約30分間妨害され、機体位置を特定するため代替手段を使用しなければならなかった。GPSは正確な航空ナビゲーションのため広く利用されているが、航空機にはGPSが失われた場合の冗長システムがあり、乗務員は他の手段でナビゲートするよう訓練されている。機内の乗客も一時的にインターネット接続を失った。しかし、同上広報担当者は、これが "航空機の安全を脅かすものではなかった "と指摘した。

 シャップス代表団の一員でもあったテレグラフ紙の防衛担当編集者ダニエル・シェリダンによれば、同機に対する最初の、表向きはより短時間の電子戦攻撃は、3月13日の朝、オルジシュに向かう途中のカリーニングラード近辺を飛行中に経験されたという。

 記事の冒頭で述べたように、GPSジャミングは広い範囲で実行可能だ。そのため、シャップスの乗機が特別に狙われたかどうかを確実に確認することは困難で、英国は証拠を提示していない。それでも、飛行経路はロシアのレーダーで容易に追跡できただろうし、飛行追跡サイトでも確認できたはずだ。

 また、オープンソースの情報アナリスト、マーカス・ヨンソンによれば、同日、この地域で多数の航空機(約511機)が妨害されたている。ヨンソンはまた、ジャマーが個々の航空機を標的にしたものである可能性についても疑問を呈している。

 攻撃の正確な発生源を完全に特定することはできないが、「ロシア領であるカリーニングラード近郊で航空機がGPS妨害に遭うのは珍しいことではない」と同上広報担当者は指摘する。カリーニングラードは重度に軍事化されており、報告によると、複数の既知の、そして強く疑われる固定電子戦サイトがある。

 また、ロシアは携帯型、車両搭載型の電子戦システムも多数保有している。これらはGPS信号を妨害できるだけでなく、偽情報を発信することもできる。これにはGPS信号の「なりすまし」も含まれ、航空機が意図したコースから外れる可能性がある。これはGPS妨害よりも狡猾で、乗組員が異なる場所にいると信じ込まされる可能性があるため、より危険である。

 電子戦の専門家で本誌寄稿者であるトーマス・ウィジントン博士は『タイムズ』紙に、「表向き、ロシアがやろうとしていることは、主に配備、基地、兵力集中、さらにはロシア国内の戦略目標を衛星航法誘導兵器から守るため、これらの地域で自国の資産を守ることだ」と語っている。

 もちろん、RAFは過去にも同様の電子戦攻撃を経験している。おそらくロシアが仕組んだものだろうが、航空機のGPSナビゲーション・システムを妨害しようとしたのだ。以前お伝えしたように、地中海東部のキプロスにあるアクロティリ空軍から飛び立った輸送機は、そのような攻撃に対処を迫られた。英国軍用機以外にも、ロシアは近年、敵対国に対して数々の電子戦攻撃を行っており、特に米軍機を巻き込んでいる。

 3月13日、ダッソー900LXの機内で直ちに危険にさらされた者はいなかったようだが、この事件が潜在的に危険でなかったとは言えない。英国政治と欧州政治におけるシャップスの知名度を考えると、この事件はロシアの電子戦攻撃をめぐる安全保障上の懸念に再び光を当てたことになる。

 問題は、ロシアの行動が航空を妨害することによって、潜在的な標的を守る以上の結果をもたらしていることだ。別の防衛関係者も同様に、このような攻撃は「民間航空機に不必要なリスクを与え、人々の命を危険にさらす可能性がある」と同紙に語った。「言い訳はできないし、ロシア側としては無責任極まりない」。

 今回の事件は、ロシアの電子戦能力の高さと、GPS接続を執拗に妨害する姿勢に注目させる結果となった。■





GPS Jamming Of U.K. Defense Secretary's Jet Highlights Russia's Regional EW Activities

BYOLIVER PARKEN|PUBLISHED MAR 17, 2024 3:35 PM EDT

NEWS & FEATURESLAND