2024年8月28日水曜日

ウクライナのF-16戦闘機の電子戦システムは対ロシア戦で特別チューニングを受けていた―米空軍には実戦データを受け取る見返り(The War Zone)

 Before the Ukrainian Air Force received its first batch of F-16 Viper fighters, the U.S. Air Force helped optimize electronic warfare (EW) systems on those jets against Russian threats.  

Ukrainian Air Force




米国は、高度機密扱いの脅威ライブラリを使用し、ウクライナのF-16の生存確率を向上させたが、見返りとして情報を収集している



クライナあ空軍がF-16ヴァイパー戦闘機を初めて受け取る前に、米空軍は、ロシアの脅威から身を守るために、各機の電子戦(EW)システムの最適化を支援した。見返りにウクライナは実戦で収集したデータを米国にフィードバックし、両国およびその他の同盟国やパートナー国が利用できる電子戦能力のさらなる改良と改善に役立てる。


フロリダ州エグリン空軍基地の米空軍第68電子戦飛行隊(EWS)は、デンマークとノルウェーの同僚と協力して、再プログラミング作業を主導した。同飛行隊は、同軍の第350スペクトラム戦争航空団の一部。今月初め、ウクライナ空軍は、デンマークとオランダの機体を含む初期のF-16戦闘機の一部を披露した。これらの戦闘機には、自己防衛システムを統合した特殊パイロンが搭載されている。


執筆時点では、デンマークとオランダはベルギーとノルウェーとともに、今後数年間で合計約91機のF-16AM/BMをウクライナに送る予定だ。これらの航空機の一部は、他機のスペアパーツ取り用として使用される。また、ギリシャがさらに30機のF-16C/D派生型を追加提供する可能性があるという報道もある。


「デンマーク、ノルウェー、オランダからウクライナへのF-16の第三者移転により、新たな電子戦能力がウクライナの戦いに加わることになります」と、空軍は本日、第68電子戦飛行中隊の業務に関するリリースで発表した。電子戦能力の内容については言及されていないが、現在米国の在庫にはないものとの説明がある。


すでに述べたように、ウクライナが最初に導入したF-16の一部には、

ンマークの防衛請負業者テルマ社製パイロンが搭載されており、これはアプローチ警告センサーが内蔵されており、電子戦妨害装置や、フレアやチャフ用のディスペンサーを装着できる。このパイロンはジェット機の内部自己防衛システムと連携し、相乗効果を発揮する。注目すべきは、空軍は過去にF-16用の同様のパイロンベースのシステムを入手しているが、統合妨害装置については特に言及されていないことだ。


ウクライナのF-16にAIM-9ミサイル4発と自己防衛機能を備えたテルマパイロンが装備されている様子を示す注釈付きの画像。左下の挿入画像には、統合ヘルメットマウントキューイングシステム(JHMCS)を装着したパイロットの姿も見える。ウクライナ国防省撮影 テルマ社の各種パイロンとその機能を示す図。テルマ社


しかし、空軍によると、電子戦システムに不慣れであることと、「これらのEWシステムを航空機の納期に間に合うように最適化するのに必要な時間」が、第68EWSにとっての課題であった。

 「デンマークとノルウェーから提供されたデータに頼り、新しいプロセスとアプローチを通常のプロセスに適応させることで、チームはシステムを理解し、作業を開始することができました。システムを理解した後、第68電子戦群は再び通常の方法から逸脱し、メンバーを海外のパートナー国の研究所に派遣し、連合軍のチームメイトとともにシステムの開発とテストを共同で行いました」と空軍の発表資料には記載されている。「パートナー国と協力することで、第68EWSはウクライナ側が要求する独自の要素をテストおよび検証し、さらにすべての当事者による再プログラム化プロセスを改善することさえできました」。


「これは私たちの標準的な業務手順ではありません」と、本日のリリース文で「第68EWSディレクター」とされる匿名の人物は述べている。「チームが2週間でシステムを把握し、パートナーとともに現地入りして、史上最高のミッションデータファイルを開発したという事実は前代未聞であり、これはこの飛行隊と航空団の才能のおかげである」と述べている。


再プログラム化の詳細は明らかになっていないが、電子戦システムを最も効果的に機能させるには、内蔵の脅威ライブラリ内のデータを使用して波形を正確に検知、分類、対応できる必要がある。そのため、防空レーダーやその他の発信装置のオペレーターは、電子戦攻撃に対する脆弱性を軽減するために、異なる動作モードの切り替え、周波数の変更、その他のアクションによる出力シグネチャの変更といった戦術に長年頼ってきた。


また、電子戦システムは、進化する脅威に対応するために、データバンクを更新するために定期的に再プログラムする必要がある。米軍が利用可能な電子戦脅威ライブラリは、米軍にとって最大の利点のひとつだ。いわゆる認知電子戦能力の取り組みの一環として、米空軍およびその他の米軍部隊は、前方展開部隊や飛行中の航空機への迅速なアップグレードの適用能力を含め、再プログラミングプロセスのさまざまな側面を自動化し、その他の方法で高速化する取り組みも進めている。任務遂行中でもリアルタイムで自律的に適応できる電子戦システムは、このコンセプトにおける絶対的な「究極の目標」だ。


昨年、退役した空軍大佐のクレイグ・アンドルは、最後の任務が第388戦闘航空団の司令官であったが、現在のプロセスとその重要性について、特に関連性の高い逸話を『エアフォース・タイムズ』誌に語っている。当時、指揮下にあったF-35A統合打撃戦闘機は、ロシア近辺でパトロール飛行したヨーロッパへの配備任務から戻ったばかりであった。


「我々はSA-20を注視している。情報によると、そこにはSA-20があるということですが識別できません。なぜなら、そのSA-20は、おそらく、これまで見たことのない戦時予備モードで動作しているからです」と、アンドルは説明した。アンドルは、ロシア製の地対空ミサイルシステムS-300の特定バージョンについて、NATOの報告名称を使用した。


「F-35は、データを更新して再アップロードした部隊に、その物体を知らせました」と、エアフォース・タイムズ記事は付け加えている。「その後、NATOの航空機は、自分たちが何を見ているのか、また、それをどのように位置特定するのかを知りました」。


F-35の電子戦システムはすでに非常に強力であり、ウクライナの中古のF-16に搭載されている機能よりもはるかに優れており、電子情報を収集し、統合する優れた二次機能も備えている。このデータも極秘扱いであるため、米国政府が誰と共有できるか、また、どこでプログラミング作業を物理的に行うことができるかが制限されており、そのために第68電子戦航空団のような部隊が投入される。同飛行隊は、電子戦の再プログラミングの中心で、米空軍だけでなく、米軍全体、そして海外同盟国やパートナー国の支援においても中心的な役割を果たしている。


2022年現在、第350スペクトラム戦闘団は「40カ国以上の70以上のシステムを対象に、ミッションデータや再プログラム」を全般的に扱っていると、当時司令官であったジョシュ・コスロフ大佐は、その年のインタビューで本誌に語っている。


米国とウクライナの電子戦における協力関係は、ウクライナに納入されるF-16のシステムの再プログラム化で終わるものではない。「ウクライナが第68電子戦団の正式な外国向け軍事販売(FMS)案件として承認されたことで、同部隊はウクライナからのフィードバックに基づいて再プログラム化の能力を提供することになる」と、米空軍は本日発表した。「従来、FMS案件からのフィードバックは訓練環境から得られたものでしたが、今回の案件では戦闘で実証済みのデータが提供され、能力の向上が期待される」。


ウクライナのF-16戦闘機に関する多くの事柄と同様に、米国空軍による電子戦システムの再プログラム化によって、あらゆる脅威に対して完璧に機能するようになるわけではないことを強調しておくことが重要だ。それでも、これまでで最も活発な防空環境のひとつで活動しているウクライナ空軍にとって、F-16は生存能力において重要な優位性をもたらすだろう。


「電子戦ポッドを再プログラムしたF-16戦闘機1機だけでは単独で制空権を確保することはできないが、戦略的に重要な影響力を持つ目的を達成するために、一瞬の時間的余裕を確保できるかもしれない」と、本日発表された空軍のリリースで、名前の明かされていない第68EWS部長は付け加えた。「ほぼ同等の能力を持つ国同士の紛争について語る場合、スペクトラムの優位性を達成するには、すべての連合パートナーが同じ戦略に基づいて行動する必要がある。」



本誌が繰り返し指摘しているように、ウクライナ空軍とパイロットがF-16が提供する能力を完全に引き出すには、数年かかる。同時に、同機は、ソ連時代の戦闘機が提供していた以上の武器や電子戦システムなど、新しく改良された能力をウクライナ空軍にもたらす。ウクライナ・ヴァイパーに装備可能な、AGM-158 統合空対地スタンドオフ・ミサイル(JASSM)巡航ミサイルを含む可能性もある、スタンドオフ兵器の納入は、すでに視野に入っているかもしれない。また、F-16は、ロッキード・マーティンが最近発表したネットワーク対応型のシューターポッドなど、さまざまなポッド搭載能力も備えている。シューターポッドは、局地的な「キル・ウェブ」のハブとして機能し、ウクライナのニーズに理想的に適合するものとして、以前にも本誌が取り上げた。


F-16がウクライナにとって特効薬ではないとしても、米空軍が電子戦システムのプログラミングを支援し、ロシアの脅威に対し最大限の能力を発揮できるようにしたことは周知の事実だ。さらに収集されるデータと、ヴァイパーの自己防衛システムから得られるその他教訓は、両国にとって今後大きな恩恵をもたらすだろう。■


Electronic Warfare Systems On Ukraine’s F-16s Getting Specially Tuned To Russian Threats By USAF

The U.S. is using its highly classified threat library to improve the chances of survival for Ukraine's F-16 and to gather critical intel in return.

Joseph Trevithick

Posted on Aug 26, 2024 8:15 PM EDT


https://www.twz.com/air/electronic-warfare-systems-on-ukraines-f-16s-getting-specially-tuned-to-russian-threats-by-usaf


2024年8月27日火曜日

2024年8月26日PLA電子情報収集機が日本領空に 初めて侵入―Y-9Z機飛行の背景の北京の意図は不明。(The War Zone)

 



Japan reports that a Chinese Y-9Z surveillance aircraft violated its airspace in what it says is the first time such an incident has taken place.


本は、中国軍の偵察機が領空侵犯したと発表した。このような事件は初めてだという。この領空侵犯の報告は、南シナ海の広大な海域に対する中国の領有権主張や、東シナ海や台湾の地位をめぐる同様の紛争をめぐり、中国と周辺諸国との間で緊張状態が続いているさなかの出来事となった。

 日本の防衛省によると、中国軍のY-9偵察機が現地時間月曜日午前11時29分から11時31分までの間、日本の領空に一時的に侵入した。同省によると、情報収集機は東シナ海の無人島、丹生諸島上空を飛行していた。これらは九州南部の西に位置し、日本の領空内にあり、長崎県が管理している。

 日本の領空を離れた後も、Y-9は同海域にとどまり、団子島付近で旋回飛行を繰り返していたと防衛省は付け加えた。


本日発表された地図によると、Y-9偵察機が通過したとされるルートには、東シナ海の無人島、男女諸島上空の日本の領空をわずかながら通過した期間も含まれている。防衛省


 この侵犯行為を受け、航空自衛隊(JASDF)は西部航空隊から戦闘機を緊急発進させた。おそらくF-15Jイーグルだろう。防衛省によると、自衛隊機は「通知と警告の発出」を含む、中国機を追い払う措置を講じた。フレア発光やその他より攻撃的な警告措置がとられたとの報告はない。


 日本政府は外交ルートを通じ中国に「厳重な抗議」を行った。一方、外務省によると、岡野正孝外務副大臣は、東京の中国大使館高官を呼び出し、領空侵犯について抗議するとともに、今後同様の違反行為がないよう求めた。

 これまでのところ、中国外務省は、日本側からの抗議を本国に伝えると確認した以外、この事件についてコメントしていない。

 日本の防衛省はY-9の写真を公開したが、これが問題の航空機であるのか、あるいは過去の写真であるのかは不明である。しかし、この写真はY-9Z型機であり、Y-8GX-13という名称でも知られ、このタイプの最新型機である。

 電子情報収集(ELINT)を目的として装備され、おそらくその他の特殊任務にも使用されるY-9Zは、2017年後半に初めて衛星画像で確認された。

 Y-9Zの特徴は、胴体の各側面に沿って設置された2つの大型長方形アンテナで、これはELINTアレイを収容していると考えられている。楕円形のESMアンテナは尾翼上部に搭載されており、胴体中央部の上部にはSATCOMアンテナが搭載されている。前方胴体の下部には、合成開口レーダー(SAR)機能を提供する可能性がある別のアンテナアレイがある。胴体側面には「タオル掛け」タイプのアンテナが装備されており、心理戦作戦に使用される可能性がある。これは、米空軍のEC-130J コマンドソロが実施している作戦とほぼ同等のものだが、未確認情報である。これらを総合すると、Y-9Zは、特定の役割に特化する傾向にあった以前のY-8やY-9の開発と対照的に、特殊任務複数を遂行することを目的としているとの推測につながる。

 航空自衛隊は、自国の領空外で活動する中国軍用機には定期的に対応しているが、実際に領空内に侵入したのは今回が初めてであるとされる。少なくとも、このような事態が発生したことを東京が公式に認めたのは今回が初めてである。

 しかし、中国軍機が係争中の領空に侵入した事例は過去にもいくつかある。特に、東シナ海の尖閣諸島周辺でこうした事例が起きている。


 日本の外務省によると、尖閣諸島は「歴史的事実と国際法に基づき、紛れもなく日本の固有の領土の一部である」という。一方、中国は同諸島を自国の領土だと主張し、釣魚島と呼んでいる。

 2012年には、中国の海洋監視機が尖閣諸島の領空に侵入し、50年ぶりの出来事だったと言われている。

 2017年には、小型の中国製無人機が尖閣諸島の領空で飛行しているのが確認されている。

 今朝の侵入が偶発的なものだった可能性は残るが、日本の反応を試す意図的な動きだった可能性が高い。

 今日の事件は、アジア太平洋地域における中国と他国との間の最近の緊張関係の中で起こった。

 南シナ海では、ほぼ全域を中国が領有権を主張しているが、ここ最近、中国とフィリピンとの間で衝突が起こっている。昨日、中国海警局の船が放水砲を発射し、フィリピンの漁船を妨害し、体当たりしたことが報告された。これは、アジアの隣国間の最近の衝突である。

 この緊張状態の焦点となっているのは、フィリピンのパラワン島から西に約90マイル、中国本土から最も近い主要な陸地である海南島から約745マイルの地点にある無人環礁、サビナ礁だ。

 中国とフィリピンは、どちらかがサビナ礁を占拠しようとするのではないかという懸念から、沿岸警備隊の船舶をサビナ礁に配備している。 フィリピンは、中国が南シナ海の他の地域で行ったように、この島でも人工島の建設を計画しているのではないかと懸念している。

 台湾問題をめぐる北京の好戦的な姿勢や、東シナ海の尖閣諸島をめぐる事件と相まって、より広域的な地域における中国の軍事的野望に対する警戒感が強まっている。

 この懸念は米国とも共有されており、潜在的な中国の拡張に対するより効果的な防衛的防波堤の提供方法を模索する緩やかな同盟関係の形成を後押ししている。この方法で、日本は米国、オーストラリア、インドとともに、一般的に「クワッド」として知られる「4か国安全保障対話(QSD)」を結成した。


 日本はフィリピンとの軍事関係の拡大も目指しており、防衛装備の供与や相互の領土への部隊展開計画などが含まれている。

 一方、中国の長期的な計画に対する懸念から、日本と韓国は、長年にわたって領土問題で対立してきたにもかかわらず、少なくとも外交レベルでは距離を縮めてきた。

 特に日本は、戦後憲法で概説された一般的に平和主義的な立場から次第に離れ、防衛費を大幅に増額し、潜在的な中国の侵略に対する抑止力を提供しようと、長距離攻撃能力を重視するようになっている。

 この地域の動向はワシントンにも影響を及ぼしており、最近、政府高官は日本との軍事協力の強化を表明し、先月には、東アジアにおける米軍の指揮統制の強化が発表された。また、日本によるミサイル(ペイトリオット PAC-3 および AIM-120 AMRAAM)のライセンス生産も強化される。これは、米国政府高官が中国の軍事的脅威を「最大の戦略的課題」と表現していることと一致する。

 現時点では、中国軍Y-9が日本領空に侵入したという報道が異常なケースなのか、それとも、中国人民解放軍の新たなアプローチを示すものなのか、さらに広域的な地域における軍事活動に関し、北京がより積極的な姿勢を示しているのと一致するのかは不明である。■

  

Chinese Electronic Intelligence Plane Makes Unprecedented Incursion Into Japanese Airspace

Japan says this is the first time that a Chinese military aircraft has entered its territorial airspace unauthorized.

Thomas Newdick

Posted on Aug 26, 2024 2:49 PM EDT

https://www.twz.com/air/chinese-electronic-intelligence-plane-makes-unprecedented-incursion-into-japanese-airspace



2024年8月26日月曜日

米空軍は中国との交戦を事前テストするため、新たな大規模太平洋演習を25年に実施する (Defense One)

 



空軍は中国とのハイエンド紛争に備え、「再最適化」 “reoptimization”

の真っ最中だ


空軍は2025年夏に中国との潜在的な紛争における部隊の展開方法をテストする演習で、全米各地の部隊を太平洋に集結させる。 

 「来夏の演習を[20]25 REFORPACと呼んでいる。14日間にわたる演習では、アラスカ、ハワイ、グアム、アメリカ本土の部隊が一堂に会し、複雑な環境下での作戦を練習しながら、広大な距離を越えて作戦を支援することになる」と、オールヴィン空軍参謀総長が8月16日ハドソン研究所主催のイベントで語った。 

 この演習が思い起こさせるのは米国とNATOが冷戦時代に実施した演習「REFORGER(Return of Forces to Germany)」で、米国が西ドイツ防衛のため、大西洋を横断して大量の部隊を移動させ、あらかじめ配置された兵器を使用する練習をしていた。

 冷戦後、こうした訓練の必要性は低下し、空軍は中東での作戦を支援するため飛行隊単位での部隊展開に重点を移した。

 しかし、空軍は大国間競争を睨んだ「再最適化」計画の中で、このモデルから軸足を移し、各飛行隊が一緒に訓練し、展開するように再編成する予定だ。 

 この再編成の狙いは、オールヴィンの言う「断片的な」空軍の修正にある。空軍はこれまで現実的なシナリオで部隊展開の準備をする必要がある。 

 REFORPACは、米国がオーストラリアと実施している大規模な太平洋演習タリスマンセイバーの一部となる。 

 新たな配備モデルは、空軍が新たな最適化で展開中のの変更のひとつである。この取り組みが始まって半年が経過し、オールヴィンは、空軍この課題について迅速に着手していることに「驚いている」としながらも、もっと早く着手する用意があると語った。■


Air Force announces new Pacific exercise to test how it would fight China

The service is in the midst of a “reoptimization” effort to prepare for future high-end conflict.

By Audrey Decker

https://www.defenseone.com/threats/2024/08/air-force-announces-new-pacific-exercise-test-how-it-would-fight-against-china/398945/


太平洋での米海軍の空母展開がゼロに―南シナ海など中国の行動へ警戒が必要だ (Naval News)


240815-N-WV584-1036 シンガポール海峡(2024年8月15日) ニミッツ級空母のエイブラハム・リンカン(USS Abraham Lincoln、CVN 72)とフランク・J・ピーターセン・ジュニア(USS Frank J. Petersen Jr.、DDG 121)がシンガポール海峡を通過した。(米海軍撮影、報道担当海軍伍士ジョーイ・シッター)



エイブラハム・リンカン(CVN 72)が第5艦隊へ配備された。空母が最も必要とされるこの時期に太平洋に空母配備がない状態となった。


海軍は、中東で増強を続ける中、太平洋における空母の不足に直面している。西太平洋に重大な空白が生じている。

 USSエイブラハム・リンカンの出港は、USSロナルド・レーガン(CVN 76)の母港が横須賀からワシントン州ブレマートンに変更された時期と重なっている。ロナルド・レーガンの代替艦USSジョージ・ワシントン(CVN 73)は、現在もサンディエゴに停泊している。

 米海軍の他の太平洋配備空母は、入港中または整備期間中にある。太平洋に配備されている空母6隻のうち、USSカール・ヴィンソンは最近、環太平洋合同演習(RIMPAC 2024)に参加し、USSニミッツは最近、6か月間の計画された段階的な整備期間を完了し、USSロナルド・レーガンは最近、母港をキトサップ海軍基地に移し、USSジョージ・ワシントンはUSSロナルド・レーガンからの乗組員と装備の交換が完了するまでサンディエゴに留まる。


USS セオドア・ローズベルトとUSS アブラハム・リンカンは、中東における地域紛争の可能性が高まっているのを受け、第5艦隊作戦地域に配備されている。ローズベルトは配備から11ヶ月目に入ろうとしている。リンカンは、ロイド・オースティン国防長官が空母を中東に派遣するよう命令したことを受け、第7艦隊での配備を短縮した。

 今後少なくとも3週間は太平洋に米空母が不在となるため、海軍は、今週南シナ海でフィリピン沿岸警備隊の船と中国沿岸警備隊の船が衝突したように、対立や事件が頻繁に起こる地域において、重要な防衛の空白が生じる。

 来月末までに、次期前方展開空母として、USSジョージ・ワシントン(CVN 73)が第7艦隊の一員として横須賀に到着する見込みだ。■


No U.S. Navy Aircraft Carriers Deployed in the Pacific

The deployment of the USS Abraham Lincoln (CVN 72) from 7th Fleet to 5th Fleet has left the United States with no deployed carriers in the Pacific Ocean, at a time when they are needed most.

Carter Johnston  25 Aug 2024

https://www.navalnews.com/naval-news/2024/08/no-u-s-navy-aircraft-carriers-deployed-in-the-pacific/


2024年8月25日日曜日

書評冷戦時代の米戦略家ニッツェの伝記『アメリカの冷戦時の戦士ポール・ニッツェとローズベルトからレーガンまでの国家安全保障』(new york journal of books)

 


Image of America's Cold Warrior: Paul Nitze and National Security from Roosevelt to Reagan


書評 『アメリカの冷戦時の戦士ポール・ニッツェとローズベルトからレーガンまでの国家安全保障』

著者:ジェームズ・グラハム・ウィルソン 

発売日:2024年7月23日 

出版社/輸入元:コーネル大学出版局 ページ数:336ページ 

Amazonで購入可能

書評 フランシス・P・センパ


ョン・F・ケネディ大統領が冷戦の"長い黄昏の戦い"と呼んだ時期に、ポール・ニッツェPaul Henry Nitze (January 16, 1907 – October 19, 2004)が、アメリカの戦略家で最重要な一人であったことは間違いない。ニッツェは1950年、国務省の政策立案スタッフのディレクターとして、ソビエト帝国との冷戦を遂行するための米国の主要な青写真となったNSC-68作成を監督した。レーガン大統領時代末期には、軍備管理交渉の主任交渉官として、冷戦終結を告げる軍備管理協定の形成に主導的な役割を果たした。

 ジェームズ・グラハム・ウィルソンによる新しい伝記『America's Cold Warrior(アメリカの冷戦戦士)』は、ニッツェがこの世界的な対立の中で果たした中心的かつ偏在的な役割に焦点を当てている。 

 ウィルソンは米国務省の歴史学者であり、関連する政府公文書館、一次資料、二次資料、そしてニッツェ自身の自伝(2冊執筆済み)を掘り起こし、FDRからレーガンまですべての米大統領のために仕事をしたニッツェのキャリアをバランスよく評価している。

 その結果、20世紀後半における偉大な国家安全保障の "専門家"の一人であるニッツェについて、賞賛に値する、しかし無批判ではない肖像が出来上がった。

 "20世紀において、民主共和両党の政権で、ここまで長期にわたり重要政策に貢献したアメリカ人は他にない"とウィルソンは書いている。1930年代にウォール街で成功した後、ニッツェは1940年にワシントンに来て、ローズベルト政権の第二次世界大戦への準備と遂行を支援した。ニッツェは、学者や理論家と対照的な "行動する男"を常に尊敬し、その後50年間、国家安全保障のポストを繰り返し務めることでその一人となった。 

 ニッツェは、第二次世界大戦勃発前に選択兵役法に取り組み、ジョージ・マーシャル将軍のリーダーシップと人柄を賞賛するようになった。ニッツェは後に、国内の反戦感情に直面して政治的に勇気ある行動を取ろうとしなかったFDRのせいで、米国がいかに戦争に備えられなかったかを振り返った。真珠湾とフィリピンが日本軍に攻撃され、準備不足は敗北につながった。 

 戦時中のニッツェは経済戦局に勤務し、戦争努力に不可欠な戦略的金属や鉱物の調達を監督した。戦争末期には、戦略爆撃がドイツと日本の戦争経済に与えた影響を評価する戦略爆撃調査団に携わった。戦後、本を訪れ、広島と長崎の原爆の破壊的な余波を目の当たりにし、『太平洋戦争総括報告書』を執筆した。 

 ウィルソンは、ニッツェが第二次世界大戦の経験から得た主なものは、準備不足の愚かさであったと書いている。ニッツェは、日本が1930年代初頭に満州に侵攻し占領した時点で戦争準備をしておくべきだったと考えていた。(当時の陸軍参謀総長ダグラス・マッカーサーも同じ結論に達し、FDRに国防予算の増額を促したが無駄だった)。ニッツェは、弱さと準備不足が侵略を招くと考えた。ニッツェは、荒廃した西ヨーロッパ諸国に経済援助を行うマーシャル・プランの策定で大きな役割を果たした。この取り組みを監督したウィル・クレイトンは、ニッツェがアメリカ政府の中で「おそらく他の誰よりもマーシャル・プランについて知っていた」と述べている。1949年8月、ニッツェは生涯の友人であり同僚であったジョージ・F・ケナンから国務省政策企画部次長に指名され、ケナン、ロバート・オッペンハイマーらの反対を押し切って、米国の水爆開発を推進した。 

 ウィルソンは、水爆論争が「ニッツェを原子核戦略という、その後の彼のキャリアの大半を決定付けることになる分野に突き落とした」と述べている。しかし、トルーマン政権下での彼の最も重要な仕事は、NSC-68の起草であった。ニッツェはケナンの後任として政策企画幕僚長に就任していたが、ウィルソンは本書の全章を割いて、1975年まで機密扱いだったNSC-68の草案、内容、影響について詳しく述べている。  NSC-68は、冷戦を遂行するためのアメリカの地政学的青写真であった。NSC-68にはケナンの「封じ込め」概念も一部含まれていたが、ソ連体制の変化を促進するためアメリカの政策に攻撃的な性格を求めた。ウィルソンは言及していないが、ニッツェは友人で国務省の同僚チャールズ・バートン・マーシャルに、NSC-68の「主な知的刺激」はジェームズ・バーナムの著書『来るべき共産主義の打倒』だったと語ったことがある。バーナムは、封じ込めを受動的すぎると批判し、ソビエト共産主義体制を変化させるか破壊することを目的とした精神政治的攻撃戦略を推奨していた。 

 トルーマンは当初、通常兵器と核兵器の増強を含むNSC-68の政策提言を拒否していたが、朝鮮戦争の勃発がトルーマンを変えた。ニッツェは、平時の抑止力とは「戦時に勝つための手段を獲得すること」であると信じていた。ニッツェは、核兵器が冷戦の地政学を形成する上で重要な役割を果たすと考えていた。 

 アイゼンハワー次期政権はニッツェに常任職を設けなかったが、彼は政権のために相談に乗ったり、特別プロジェクトに参加したりした。ニッツェは、ソ連の侵略抑止に核兵器に頼りすぎると考えていたが、それでもアイゼンハワーの「大規模報復」ドクトリンを批判した。ニッツェは、米国にはより強固な通常兵器による抑止も必要であり、それはケネディ政権の「柔軟な対応」というドクトリンを先取りするものであった。ニッツェはケネディ政権に国際問題担当国防次官補として加わったが、ケネディの内通者になることはなかった。ニッツェはキューバ危機の際、いわゆるExComm委員会の委員を務めたが、その危機の教訓について上司のロバート・マクナマラと意見の相違があった。マクナマラは相互確証破壊(MAD)という戦略思想を推進し、超大国間の核パリティが安定を保証し核戦争を防ぐ最善の手段であるとした。ニッツェは、アメリカの圧倒的な戦略的優位によりソ連がキューバで手を引いたと考えていた。アメリカがベトナムで勝利できなかったことは、ウィルソンの言葉を借りれば、「アメリカの強さは安定をもたらし、アメリカの弱さは不安定をもたらす」とのニッツェの信念をさらに強固なものにした。

 軍備管理交渉官としてニクソン政権に参加したとき、ニッツェのアプローチはこの信念によって形作られた。そのため、ニクソンやキッシンジャーと対立することもあった。彼は、ニクソンの再選を助けるために、たとえ欠陥のある協定であっても軍備管理協定を結びたいと考えていた。しかしそれは、ソ連・中国と三角外交を続けていたニクソンやキッシンジャーにとっては不公平な話である。 

 ウィルソンは、ニッツェがミサイルの「スローウェイト」(弾道ミサイルのペイロードの有効重量の尺度)にこだわり核軍備管理交渉に臨んだことを指摘している。ニッツェは、ミサイルや核弾頭の単純な数よりも、それが重要だと考えていた。また、ソ連が署名された協定を守っているかの検証も重要だった。ニッツェは、ミサイル防衛を扱ったSALT IとABM条約の交渉に携わった。ジミー・カーターが大統領に就任し、ソ連とのSALT II協定締結に全力を挙げたとき、ニッツェは最も激しい批判者の一人となった。ニッツェによれば、SALT IIは、ソ連がSS-18のような重戦略ミサイルの優位性を維持することを可能にする。SS-18は、理論的には「先制攻撃」でわが国の陸上核抑止力の大部分を破壊する独立標的可能核弾頭(MIRVS)を10個も搭載している。ニッツェは「現在の危険に関する委員会」に参加し、1980年にロナルド・レーガンに投票した。その後、レーガン政権の軍備管理交渉官として、ジョージ・シュルツ国務長官やレーガンに直接接触し、ヨーロッパのミサイルに対処するINF条約の交渉に携わり、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領が締結したSTART条約の基礎を築いた。つまり、ニッツェのキャリアは冷戦を事実上終結させたのである。

 NSC-68は冷戦勝利の枠組みを作り上げ、1980年代後半から1990年代初頭にかけての軍備管理協定は冷戦終結の合図となった。■


Francis P. Sempa's most recent book is Somewhere in France, Somewhere in Germany: A Combat Soldier's Journey through the Second World War. He he has also contributed to other books as well as written numerous articles and book reviews on foreign policy and historical topics for leading publications. Mr. Sempa is Assistant U.S. Attorney for the Middle District of Pennsylvania. The views reported in this review are those of the reviewer and not those of the U.S. government.


America's Cold Warrior: Paul Nitze and National Security from Roosevelt to Reagan

new york journal of books

https://www.nyjournalofbooks.com/book-review/americas-cold-warrior-paul-nitze


MQ-25運用開始を想定し、空母ジョージ・H・W・ブッシュに専用完成設備が完成。MQ-25は初の無人空中給油任務に加え限定的な攻撃ISR任務も担う。(Breaking Defense/The War Zone)

 

米海軍がMQ-25運用を想定した初の空母管制室を完成し、MQ-25の運用開始に向け重要なマイルストーンとなった

GHWB Operates the MQ-25 Aircraft

USSジョージ・H・W・ブッシュ(CVN77)艦上で休むボーイングの無人航空機MQ-25。(米海軍撮影:Mass Communication Specialist 3rd Class Brandon Roberson)


海軍は次世代無人タンカーMQ-25Aスティングレイを運用・監視する乗組員用に新しい管制室の最初の空母設置を終えたと発表した。

海軍航空システム司令部によると、この新しいセクションは「無人航空戦センター」と名付けられ、USSジョージ・H・W・ブッシュ(CVN-77)艦上への設置を完了した。

「UAWCとして知られるCVN上の管制室には、完全運用可能で統合された最初の無人空母航空ミッション・コントロール・システム(UACS)MD-5E地上管制ステーション(GCS)を構成するソフトウェアとハードウェア・システムが含まれる。

リリースによると、「UAWCとして知られるCVNベースの管制室には、完全運用可能で統合された最初の無人空母航空ミッション管制システム(UMCS)MD-5E地上管制ステーション(GCS)を構成するソフトウェアとハードウェアシステムが含まれている」。UMCSはシステム・オブ・システム」であり、MD-5Eは「海軍によって開発され、ロッキード・マーチンのスカンクワークスのマルチドメイン・コンバット・システム(MDCX)、GCSの背後にあるパワー、および追加のサポート機器とハードウェアを含む」とリリースは続く。

無人空母航空プログラム・マネージャーであるダニエル・フチート少佐は、UAWCは、海軍がMQ-25や将来の共同戦闘機など無人航空機の運用で「基礎」を構成すると述べた。海軍は最終的に、ニミッツ級とフォード級のすべての空母にUAWCを追加する。

USSジョージ・H・W・ブッシュの新しいUAWC内部からの眺め。米海軍

以前に公開されたMD-5シリーズGCSの要素を示す写真。DODIG経由USN


ゼネラル・アトミクスのMQ-9用CGCS(Certifiable Ground Control Station)の写真。GA-ASI MD-5シリーズのGCSは、海軍の頓挫した無人空母発射空中偵察・攻撃(UCLASS)プログラムに隣接して、少なくとも2010年代初頭から開発されている。UCLASSは、MQ-25につながる空母搭載空中給油システム(CBARS)プログラムに取って代わられた。

MQ-25は、攻撃戦闘機に空中で燃料補給しながら、限定的な情報、監視、偵察能力を提供するもので、ボーイングが製造する。

海軍は数年前から、陸上施設を利用したMQ-25オペレーターの訓練パイプラインの確立に取り組んできた。スティングレイ自体の陸上および海上でのテストも進行中だ。2018年にボーイングがCBARS競作に勝利して以来、MQ-25プログラム全体は大幅な遅れとコスト増に苦しんできた。当初の目標は今年中にスティングレイの初期運用能力を達成することだったが、2026年に延期された。海軍は最終的に76機のタンカー無人偵察機をフル装備する計画だ。

ジョージ・H・W・ブッシュ(CVN-77)は来年早々、新しいコントロール・センターのテストに参加する。 

無人空母発射マルチロール飛行隊(VUQ)10の(パイロットが)空母から(コントロール・ステーションを)操作するのはこれが初めてだ」と、この取り組みを指揮する民間人ジョー・ネドーは言う。「彼らはCVN-77に搭載された実際の[地上管制ステーション]のハードウェアとソフトウェアを使用し、パックス・リバーの研究室から模擬飛行体と通信する」。■


Navy finishes first control room on aircraft carrier designed to operate MQ-25

By   Justin Katz

on August 16, 2024 at 12:22 PM

https://breakingdefense.com/2024/08/navy-finishes-new-section-on-cvn-77-designed-to-operate-mq-25-future-unmanned-aircraft/

Supercarrier USS George H.W. Bush Now Has First Of its Kind Drone Control Center

Joseph Trevithick

Posted on Aug 15, 2024 9:16 PM EDT


https://www.twz.com/air/supercarrier-uss-george-h-w-bush-now-has-first-of-its-kind-drone-control-center


米陸軍向け新型スパイ機HADES契約をSNCが獲得―米陸軍が独自に進めるISR構想は米空軍他より現実的な構成に映る(Breaking Defense/The War Zone)

 米陸軍向け新型スパイ機HADES契約をSNCが獲得


HADESの基本構成には、移動目標の追尾、ハイエンドの通信傍受、その他機能が含まれると米陸軍は語った


HADESはレーダー他センサーを搭載し、既存の陸軍ターボプロップISR機材の飛行性能を大幅に上回る


The U.S. Army has chosen the Sierra Nevada Corporation (SNC) to lead the conversion of Bombardier Global 6500 business jets into new High Accuracy Detection and Exploitation System (HADES) aircraft.  

Bombardier Defense via US Army


シエラネバダコーポレーション(Sierra Nevada Corporation、SNC)は、ビジネスジェット機を高性能偵察機に転用する米軍契約を獲得した。L3ハリス、レイドス、MAGエアロスペースの企業連合を抑えての獲得となったと、同軍は本日発表した。

 高精度探知・利用システム(HADES)プログラムで、SNCは今後、陸軍がターボプロップ機を段階的に退役させるのに伴い、ボンバルディア・グローバル6500型ビジネスジェット機に探知技術を統合し、空中での情報収集、監視、偵察任務を遂行させる。

A rendering of the L3Harris-Leidos-MAG Aerospace proposal for HADES. L3Harris


 HADESの能力を、既存のターボプロップ情報・監視・偵察(ISR)艦隊よりも、増え続ける防空の脅威、特に中国のようなニアピア・コンペティターとの将来のハイエンドの戦いで遭遇する可能性のある脅威に対して、より脆弱でなくするのに役立つと過去に発表している。

 HADESの深い感知能力は、少なくとも部分的にはレイセオンの先進合成開口レーダー・システム-2B(ASARS-2B)で提供される。アクティブ電子走査アレイ(AESA)ASARS-2Bの開発は、米空軍のスパイ機U-2ドラゴンレディのアップグレードとして始まった。

 ASARS-2Bは合成開口レーダー(SAR)画像を生成する。さらに、GMTI(Ground Moving Target Indicator)機能を搭載し、車両を見つけて追跡することができる。GMTIデータをSAR画像と組み合わせることで、さらに洗練された情報洞察を提供することができる。

 HADESのセンサー群の構成は現在のところ不明。陸軍の現在の固定翼情報・監視・偵察艦隊の乗員航空機は、各種レーダー、電気光学・赤外線カメラ、信号情報(SIGINT)システムを搭載している。

A generic example of GMTI tracks overlaid on top of a SAR image. Public Domain


 「HADESは、米陸軍が長年公約してきた空中ISR(情報、監視、偵察)変革戦略の要となるものです」と、情報担当副参謀総長(G-2)アンソニー・ヘイル中将は本日発表されたプレスリリースで述べた。「HADESにより、陸軍はより高く、より速く、より遠くまで飛行できるようになる。これは陸軍長官からの第一の作戦上の要請である『深い感知』に沿った有機的な能力をもたらす。

 HADESは、陸軍が持つマルチドメイン・センシング・システム(MDSS)ファミリーの大きなビジョンの一部で、高高度グライダーのようなドローンや成層圏で活動する気球など、非搭乗型プラットフォームが含まれる見込みだ。陸軍がHADESジェット機やその他の計画されたMDSS能力の納入をいつ開始するかは不明だ。

 「当社は本プログラムに真剣に投資し、全力を傾けるという重大な決断を下しました。そして、軍が達成したいビジョンに完全に、100パーセント賛同しました。そして、その方針が最終的に今日のHADESの受注という結果につながったのです」と、SNCのミッションソリューションおよびテクノロジー部門エグゼクティブ・バイスプレジデントであるティム・オーウィングスは本日、Breaking Defenseのインタビューで述べた。「ですから、この決定にこれ以上ないほど満足していますし、陸軍は素晴らしい選択をしたと信じています。

 SNCは、先に米空軍の生存可能な空中作戦センター(SAOC)(「ドゥームズデイ・プレーン」)プログラムの入札に成功し、数十億ドル規模事業としてボーイング747の改修契約を取得しており、「HADES」受注はさらに大きな勝利となった。

 SNCの受注は、同社の強みの反映だけでなく、国防総省が一流の防衛請負企業だけでなく、SNCのような中規模の非上場企業や従来とは異なる供給源にも目を向けようとする「意欲」の表れでもあると、オーウィングスは述べた。

 SNCは、メリーランド州ヘイガーズタウンにある自社施設で、HADES関連業務の大部分を実施する。同社は、この施設でHADES関連のRAPCON-X製品も開発している。ATHENA-Sと呼ばれる取り組みの一環として、SNCはボンバルディアGlobal6500を2機、「ISR-as-a-service」プラットフォームに転換する契約を獲得した。MAG AerospaceL3Harrisは、ATHENA-Rの取り組みのため、別の2機のGlobal6500の転用契約を個別に獲得している。SNCのミッションソリューションおよびオペレーション担当副社長のジョシュ・ウォルシュは、同社はATHENA-Sのエンジニアリングパッケージの「約90パーセント」をHADES用に再利用すると述べた。

 公式プレスリリースによると、SNCが最初に獲得したHADES契約の金額は9350万ドルだが、陸軍によると、12年間の無期限納入、無期限数量契約で、全体上限は9億9130万ドルになる。同軍は今年初め、プロトタイプとして使用するGlobal 6500を1機、さらに3年間に2機を追加購入するオプション付きでボンバルディアと契約した。このプログラムは最近、迅速なプロトタイプ作成のための取得努力の中間段階として承認された。

 Aviation Weekによると、陸軍は最終的に14機のHADES機を配備する計画だ。また、オウイングスは、このプログラムはヨーロッパやインド太平洋地域で海外軍事販売を生み出す可能性があると付け加えた。

 陸軍のISRタスクフォースのディレクターであるアンドリュー・エヴァンスは、最近『Breaking Defense』取材に対し、新しい統合契約が締結されれば、12~18ヶ月後には最初の機体が運用可能になるだろうと語った。エヴァンスによると、この航空機のベースライン構成の初期パッケージには、移動目標指示、ハイエンドの信号情報、その他の機能が含まれる。陸軍は、追加機能を取り付けるハードポイントを主翼に追加することにも関心を示している。


A graphic the Army previously released showing a notional “operational view” (OV) for how its planned MDSS system of systems, including crewed ISR aircraft like HADES at left, might be employed in conjunction with other assets. US Army


 空軍などの他軍は、ISR任務を宇宙や無人機にシフトしようとしているが、エバンスは、無人プラットフォームは妨害電波の影響を受けやすいなどの欠点があり、宇宙ベースのプラットフォームは高価になる可能性があると強調している。

 「このため、我々はリンクの依存性と、耐久性やペイロードのトレードオフなど、それらすべてのバランスを取らなければなりません。そして陸軍は、資産の混合が必要であると判断しました。すべて有人ではいけないし、すべて無人でもいけません。両方のシステムの価値と利点が必要なのです」。■

SNC wins Army contract for HADES spy plane

An Army official previously told Breaking Defense that a baseline HADES configuration will include moving target indication, high-end signals intelligence and other capabilities.

By   Michael Marrow

on August 22, 2024 at 3:43 PM

https://breakingdefense.com/2024/08/snc-wins-army-contract-for-hades-spy-plane/


Army’s HADES Surveillance Bizjet Program Moves Forward With Sierra Nevada Corp. Deal

The HADES jets will pack radars and other sensors and fly faster, further, and higher than the Army's existing turboprop intel planes.

Joseph Trevithick

Posted on Aug 22, 2024 9:07 PM EDT

PMhttps://www.twz.com/air/armys-hades-surveillance-bizjet-program-moves-forward-with-sierra-nevada-corp-deal