2022年6月3日金曜日

海上自衛隊部隊がインド太平洋に4カ月間展開し、RIMPAC2022含み各国との演習を実施。各国もハワイに向け艦艇を移動中。

 

2019年のインド太平洋配備で、マレーシアのポートクラン・クルーズター

 

上自衛隊艦艇4隻が今月下旬に日本本国を出発し、インド太平洋地域全域に4カ月間展開すると、防衛省が発表した。

 

 

 2022年インド太平洋地域派遣(IPD2022)に海上自衛隊の艦船3隻、潜水艦1隻、固定翼機3機が6月13日から10月28日まで参加する。

 今回の派遣には目的が2つある。防衛省発表では、「共同訓練を通じ海上自衛隊の戦術能力を向上させ、インド太平洋地域のパートナーパートナー国海軍との協力を強化すること、第二に派遣を通じ地域の平和と安定に貢献し、パートナー国との相互理解と関係を強化すること」とある。

 海上自衛隊は2019年より毎年、IPD派遣を行っている。今年は、ヘリコプター3機を搭載したヘリ空母JSいずも(DDH-183)と駆逐艦JSたかなみ(DD-110)が加わる。第二水上部隊には、駆逐艦JSきりさめ(DD-104)を含む。潜水艦の名称は不明。

 P-1哨戒機、UP-3Dオライオン電子情報訓練機、US-2捜索救助水上機の3機と支援要員がIPD22関係国に派遣される。陸上自衛隊も部隊を派遣する。

 IPD22は、オーストラリア、フィジー、フランス領ニューカレドニア、インド、パラオ、パプアニューギニア、フィリピン、ソロモン諸島、トンガ、米国、バヌアツ、ベトナムに寄港する。ニュースリリースによると、IPD22は環太平洋2022(RIMPAC2022)含む6演習に加わる。パシフィック・パートナーシップ2022、日米豪韓合同演習パシフィック・バンガード22、日印共同訓練(JIMEX)、オーストラリア海軍多国間訓練カカドゥ2022、米豪主催の多国間演習海上訓練活動(MTA)サマサマ/MTAルンバス2022だ。リリースは各演習の参加部隊を特定していない。

 米第3艦隊の火曜日の報道発表では、RIMPAC2022は6月29日から8月4日までハワイ諸島と南カリフォーニア近くで行われ「26カ国、水上艦38隻、潜水艦4隻の、9カ国の陸上部隊、航空機170機以上、約25000人の人員」が参加するとある。

 参加国の艦艇がハワイに向けて出発しており、韓国海軍では揚陸ヘリコプター艦ROKS馬羅島Marado(LPH-6112)、駆逐艦ROKS世宗大王 Sejong the Great(DDG-991)とROKS文武大王 Munmu the Great(DDH-976)が火曜日に済州海軍基地から出港した。潜水艦申乭石Shin Dolseok(SS-082)とP-3海上哨戒機も参加する。月曜日、マレーシア海軍のコルベットKD Lekir(FSG26)は、RMN Lumut 海軍基地からハワイに向けて出港した。

 Lekir 艦長 Asri Dasman 中佐は土曜日のインタビューで、同艦はリムパック 2022 で、沈没演習(SINKEX)に参加し、MM40 Exocet 対艦ミサイルを発射すると述べた。

 サマサマ、ルンバス両演習は、フィリピン、オーストラリア、日本、フランス、英国、米国が参加する多国間演習だ。日程は未発表。カカドゥ2022演習は、9月12日から9月25日まで、オーストラリア北の海域で展開する。■

 

Japan Announces Indo-Pacific Warship Deployment Ahead of US-led RIMPAC Exercise - USNI News

By: Dzirhan Mahadzir

June 1, 2022 3:31 PM


About Dzirhan Mahadzir

Dzirhan Mahadzir is a freelance defense journalist and analyst based in Kuala Lumpur Malaysia. Among the publications he has written for and currently writes for since 1998 includes Defence Review Asia, Jane’s Defence Weekly, Navy International, International Defence Review, Asian Defence Journal, Defence Helicopter, Asian Military Review and the Asia-Pacific Defence Reporter.


プーチンの病状悪化で権力闘争、クーデター等ロシアの不安定化は不可避に。独裁者に振り回される世界の悲劇。

 Putin

Credit: Russian State Media.

 

国の情報機関から聞いた。プーチン大統領は「進行性がん」の治療を受けている。

 

 

 米スパイ機関はロシアのウクライナ侵攻を正確に予言していたので、この評価を否定する理由はない。

 だが、プーチンの病気の意味は別だ。

 プーチンの病は、本人をさらに不道徳に、狂信的に、暴力的にするかもしれないし、しないかもしれない。プーチンはすぐに死ぬかもしれないし、死なないかもしれない。病気のため、ロシアを率いる能力が低下するかもしれないし、しないかもしれない。

 確実に言えることは、ロシアのエリート層は本人の病気を知っており、権力闘争が勃発している、あるいは間もなく勃発することだ。プーチン後継者が誰になるかが、エリート層の行動と選択に否応なく影響を与える。

 また、プーチンが構築してきたシステムを維持しながらプーチンを交代させるのは非常に困難とも分かっている。ロシアはファシスト国家であり、プーチンはそのスポーク、ひいては車輪を維持するハブだ。プーチン退陣が間近に迫ってきた今、ファシスト政権は根底から揺るがされるだろう。ナチス・ドイツはアドルフ・ヒトラー抜きには考えられなかった。同様に、ファシスト・イタリアはその団結と存在をベニート・ムッソリーニに依存した。

 プーチンは20年以上を使い、民主制度を解体し、高度なまでに中央集権的かつ個人主義的な独裁体制に取って代えた。プーチンを男性的な活力の体現者と示すことでカルトを表現している。プーチンの肉体的な強さは、ロシアの強さの象徴だった。したがって、プーチンの衰えはロシアの衰退を意味する。

 プーチンの取り巻きは、プーチンと同じく活力、カリスマ性、人気を持つ独裁者に交代させるか(年齢や肉体的魅力を考えれば不可能か)、または弱い人間でも支配しやすいようにシステムをいじくり回すしかない。それも難しい。プーチン体制は、独裁の論理に従い「適合」する首尾一貫した制度で構成されているからだ。全体の安定性を損なわず、一部だけ入れ替えるのは難しい。

 プーチンの後継者は、レーニンやスターリンのように、強硬派と穏健派に分かれるだろう。政治・経済が比較的安定している通常の状況ならば、一騎打ちになる。しかし、現在のロシアの状況は、正常ではない。欧米の経済制裁で経済が落ち込んでいる。ウクライナ戦争は、ロシアの勝利で終わらないとほぼ確定している。

 このような状況下では、改革に着手し、戦争を終わらせ、西側諸国との関係を修復する穏健派が有利になるのは言うまでもない。プーチンの同志はこれを承知で次の手を考えているのだろう。強硬派は、プーチンが政権を維持し、経済と戦争の悪化が進行すれば、自らの可能性が低くなると理解しているだろう。3月に米国の情報機関がプーチン暗殺を断言したように、クーデターが不可避になっている。

 クレムリンで権力闘争が起きれば、遠大な領域を管理するモスクワの能力は低下を免れない。特に、歴史と資源に恵まれた非ロシア圏の各地方で自治権拡大を求める声が強まるはずだ。クレムリンの状況が深刻なまで悪化すれば、独立を試みる動きもあり得る。

 どのようなシナリオであれ、権力闘争の勝者が誰であれ、プーチンの支配がいつまで続くのであれ、西側諸国はロシアでの出来事を変えることはできない。プーチンと現状を支持したくなる誘惑は、ソ連崩壊前夜のゴルバチョフと現状維持の誘惑と同じように、今や、強くなっている。しかし、西側が何をしても、ロシア内部の緊張に対しては無視できる程度の影響しか与えられないだろう。

 米国で現実的に対応できることは、権力闘争に備え、ロシアがすぐ非常に不安定な場所になる認識で、ロシアの不安定化の矢面に立たされる近隣諸国との連携強化だろう。■

 

Vladimir Putin Was Treated for 'Advanced Cancer': What Happens if He Dies? - 19FortyFive

ByAlexander Motyl

 

Dr. Alexander Motyl, now a 1945 Contributing Editor, is a professor of political science at Rutgers-Newark. A specialist on Ukraine, Russia, and the USSR, and on nationalism, revolutions, empires, and theory, he is the author of 10 books of nonfiction, including Pidsumky imperii (2009); Puti imperii (2004); Imperial Ends: The Decay, Collapse, and Revival of Empires (2001); Revolutions, Nations, Empires: Conceptual Limits and Theoretical Possibilities (1999); Dilemmas of Independence: Ukraine after Totalitarianism (1993); and The Turn to the Right: The Ideological Origins and Development of Ukrainian Nationalism, 1919–1929 (1980); the editor of 15 volumes, including The Encyclopedia of Nationalism (2000) and The Holodomor Reader (2012); and a contributor of dozens of articles to academic and policy journals, newspaper op-ed pages, and magazines. He also has a weekly blog, “Ukraine’s Orange Blues.”


2022年6月2日木曜日

これはひどい。クレムリンが受取り拒否し、ロシア軍戦死者の死体でウクライナの冷凍保管庫がいっぱいになっている。戦闘の実相は国民に知らせない方針か。

 Ukrainian workers load dead bodies of Russian soldiers onto  cold-storage train trucks

ウクライナ鉄道職員がロシア兵の遺体を冷凍貯蔵に移動している Ukrainian rail network

  • ウクライナ鉄道トップが、ウクライナは 「ロシアがウクライナ捕虜向けより高い厚遇をロシア兵の死体に与えている」と発言

  • ウクライナ鉄道はロシア戦死者の死体を保存する様子をビデオで公開した

  • ビデオは、ロシアが遺体送還に消極的との報道に言及している


下のウクライナ鉄道会社トップが、同国は「ロシアが生きたウクライナ人を扱うより丁寧に死んだロシア人を扱っている」と主張している。

 国営ウクライナ鉄道のCEOアレクサンドル・カミーシンAlexander Kamyshinは、Twitterに動画投稿し、ウクライナがロシア軍戦死者の遺体を保存している様子を説明した。

 「人道法に基づき、ウクライナは母親や妻に引き渡すため遺体を保存している」と動画で語っている。

 動画ではウクライナ鉄道は、冷蔵トラックに何百体もの遺体を保存している、と伝えている。

 ウクライナ鉄道は、「カーゴ200」をロシアに送り返す準備ができていると、ビデオで言っている。

 「カーゴ200」とは、戦死者輸送を指すソ連軍のコードだ。「貴国の『カーゴ200』は待機中です」と映像の最後にテキストが出る。


Ukraine Rail workers handle corpse of Russian solider

ロシア兵の遺体を扱うウクライナ鉄道職員 Ukraine Rail


 ビデオでは、ロシアが戦死兵の遺体を送り返すのを嫌がるとの報道に触れている。

 「ロシア司令官は遺体搬送しようとしていない」とビデオで主張している。

 「ロシアはパニックを避け、補償金支払いを避けるために、損失の実態を家族から隠している」と、映像中での文章は述べている。


Ukrainian rail mortuary workers show Russian military identification card

ウクライナ鉄道職員が戦死したロシア兵の身分証明書を見せている Ukraine railways


 ウクライナのイリーナ・ベレシュチュクIryna Vereshchu副首相は、ロシアが遺体受け入れを拒否しているのは、軍事損失の規模を否定したいからだとガーディアンに語っている。

 犠牲者の本当の数をごまかすため、ロシアは死傷した兵士を密かにベラルーシに運んでいると、Insiderは報じた。

 Insiderはウクライナの主張として、引き取り手のないロシア兵の死体7000体以上を国内の死体安置所で保管していると報じた。

 ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領はロシアが遺体送還を拒否していることに触れ、死んだペット以下の敬意しか、戦死兵に与えていないとクレムリンを批判したとガーディアンは伝えている。■

Russia's war dead abandoned by the Kremlin are piling up in Ukraine's refrigerated train trucks, video shows

Joshua Zitser


米国がMQ-1Cのウクライナ供与も検討。HIMARSなど高性能砲撃装備と相まってウクライナ軍の劣勢を挽回できるのか注目。

 MQ1C Gray Eagle Ukraine

US Army

 

MQ-1Cは、電子戦支援、攻撃、監視などでTB-2を大きく上回る能力をウクライナに提供する。

 

イターによると、バイデン政権はウクライナに7億ドルの軍事援助をする一方で、ロシア軍を攻撃するためMQ-1Cグレイ・イーグルの売却も検討している。大統領は売却案を数日以内に議会へ通知し、その後公表するようだ。

 

 

 2月以来、ウクライナではトルコ製バイラクターTB2を筆頭に、武装・非武装の無人航空機の利用が目立つ。しかし、MQ-1Cグレイ・イーグルで、ウクライナはTB2を超える性能のハイエンド無人機システムを入手できる。MQ-1Cは強力なセンサーと、レーダーや電子戦システムなど外部ポッドを搭載できる。最も重要なのは、グレイ・イーグルが最大4発のAGM-114ヘルファイア空対地ミサイルを搭載できることだ。TB-2はトルコ製MAM-Lミサイルを搭載するが、その重量48ポンドはヘルファイアの約半分だ。

 

A U.S. Army MQ-1C Gray Eagle with B company, 229th Aviation Regiment known as "Flying Tigers" goes through preflight checks at the Air Combat Element landing strip, Marine Corps Air Ground Combat Center (MCAGCC), Twentynine Palms, Calif., Nov. 7, 2019. The Flying Tigers are supporting U.S. Army Special Operation Soldiers with 3rd Battalion, 3rd Special Forces Group (Airborne) with intelligence, surveillance, target acquisition, and reconnaissance during their tactical recovery of aircraft personnel training. (U.S. Marine Corps photo by Cpl. William Chockey)

米陸軍のMQ-1Cグレイ・イーグル。カリフォルニア州トゥエンティナインパームスの海兵隊航空地上戦闘センター(MCAGCC)(Cpl. William Chockey)

 

グレイ・イーグルはジェネラルアトミックス製のMQ-1プレデターの発展型で、MQ-1と大型MQ-9 リーパーの中間的な性能・能力の機材だ。翼幅は56フィート、離陸総重量は3,600ポンド、または4,200ポンド。最高速度150ノットで飛行し、高度25,000フィートに到達し、27時間以上滞空できる。米陸軍のファクトシートによると、ER仕様のグレイ・イーグルは40時間以上滞空可能だ。

 

MQ-1Cに拡張EO/IRペイロードを搭載し、広域空中偵察に順ずる任務を遂行できる。 US Army

 

 ロイターによると、ウクライナ向けグレイ・イーグルの売却案は、ペンタゴンで数週間前から議論されてきた。通常、外国向け軍事売却は米国の資金提供でも、国務省の事前承認が必要となる。もう一つの可能性は、アメリカ空軍やCIAが保有する余剰のMQ-1プレデターをウクライナに譲渡することだ。無人機技術の輸出は米国で規制が厳しく、緊急事態の中でMQ-1Cのウクライナ供与にどのような影響を及ぼすかは不明だ。

 議会が売却を阻止できても、ウクライナへ一層の高度兵器の供与を支持する声はある。米国政府は、ウクライナの防衛装備と、NATOとロシア間の緊張をエスカレートさせかねない攻撃能力の間の細い一線を歩いている。ウクライナに供給されるHIMARSシステム誘導砲も論議を呼んだ。

 

 

アラスカ州フォートウェインライトで離陸前のMQ-1Cグレーイーグル。U.S. Army photo by Staff Sgt. Sean Brady

 

 グレイ・イーグルのニュースは、バイデン政権がウクライナ向け7億ドル相当の追加安全保障支援策を発表した当日に流れた。新規軍事援助には、少なくとも4基のM142高機動ロケット砲システム(HIMARS)も含まれている。

 コリン・カールDr. Colin Kahl国防次官(政策担当)によれば、ウクライナ軍は装備品がウクライナに送られる前に、HIMARSで3週間訓練する。高機動ロケット砲システムは、約43マイルの射程距離内の標的を攻撃できる誘導弾と共に届けられる予想でジョー・バイデン大統領がウクライナ供用を決めれば迅速に届けられるようヨーロッパに配置ずみの装備が対象に想定される。

 The War Zoneは、長距離砲が有効な武器となる現在の紛争で、HIMARSと227mm誘導多連装ロケットシステム(GMLRS)ロケットがウクライナ軍に提供する相対的利益と限界について詳述してきた。カール次官は、ロシアの奥深くまで攻撃することができない誘導ロケットを選んでパッケージに入れたとを確認した。

 新しい支援パッケージは、2021年8月以来、ウクライナ向けとして国防総省の在庫から11回目の払い出しとなる米国製装備であり、「今日の戦いのための重要なウクライナのニーズに合わせて作られている」とペンタゴンは声明で述べている。

ドンバス地方でロシアの機械化された戦争マシーンにウクライナ軍が徐々に劣勢になる中、以下の装備がウクライナに流れ始める。ウクライナ側が積極的に反撃する南部でも役立つ可能性がある。

HIMARSランチャーと未公表の弾薬のほか、最新パッケージには以下が含まれる。

 

  • 対砲兵レーダー5基

  • 航空監視レーダー2基

  • ジャベリン対戦車誘導弾(ATGM)1,000発とコマンド発射ユニット50個。

  • 型式不明の対人兵器6,000個。

  • 155mm砲弾15,000発。

  • Mi-17ヘリコプター4機

  • 戦術車15台

  • 予備部品と装備品


 

 トッド・ブレセール Todd Breasseale国防副次官補(メディア担当)によると、米国はバイデン政権は2月24日のロシアの無謀な侵攻以来、約53億ドルの安全保障支援をウクライナにコミットしている。さらに、2014年以降、米国はウクライナへの安全保障支援に73億ドル以上を投じている。

 これに先立ちバイデン大統領は、ロシアの侵略に対し、米国は「ウクライナに自衛用の武器や装備を提供し続ける」と述べた。

 

A M142 High Mobility Artillery Rocket System at Bornholm, Denmark, for exercises in May. U.S. Army photo by Capt. Angelo Mejia

5月の演習でデンマークのボーンホルムに展開したM142高機動ロケット砲システム。U.S. Army photo by Capt. Angelo Mejia

 

 「米国議会で超党派の圧倒的な支持で可決されたウクライナ向け追加資金により、米国はウクライナに、ロシアの攻撃を撃退するため効果的に使える武器を提供し続けることができます」と、バイデン大統領は新規援助パッケージを発表する声明で述べている。「今回の新規パッケージは、ロシアの進撃から自国領土を守るために、HIMARSを含む新しい能力と先進的な武器でウクライナを武装させる。ウクライナの自由への戦いを支援するために、歴史的な支援を行うことで米国が世界をリードしていきます」

 M142は1台でロケット弾6発を搭載したポッドを1つ搭載する。数分以内に展開、発射、移動が可能で、敵軍が対砲撃目標にするのは困難だ。

 HIMARSで誘導ロケット弾を発射すれば、ウクライナ砲兵部隊は、4月中旬に承認された前回の支援パッケージで供与済み155ミリ榴弾砲M777の約2倍の射程距離で目標と交戦できる。ウクライナ政府は、この武器でロシア国内を攻撃しないと保証している、とカール次官は述べた。国防総省は、ウクライナ国内のロシア軍への攻撃は、攻撃行為ではなく、侵略者に対する自衛行為と考えている。

 国防総省は、今回の大統領令の軍事装備のリストを作成するにあたり、東部で進行中のロシア攻勢に注目し、数百マイル先を攻撃できる長距離砲は不要と判断したと、カールは言う。HIMARSがあれば、ウクライナ軍は「どんな目標にも」正確に対応できる。

 ウクライナ戦に、より長距離の大砲や高度な攻撃能力を持つシステムを送り込むNATO加盟国はアメリカだけではない。ドイツは、IRIS-T誘導弾防空システム(間違いなく最も先進的な地対空兵器システムの一つ)と、自国の在庫からMARS II多連装ロケットランチャーを4基派遣すると発表した。このうちMARS IIは、米国製M270多連装ロケット砲をドイツ向けに改良したもので、最大12発のロケットを搭載できるロケットランチャーだ。M30やM31といった誘導ロケット弾を含みHIMARSと同じ種類の弾薬を発射できる。

 ウクライナは、ロシアを自国から追い出し、2014年のロシアによるクリミア併合以前の国境を取り戻すことを最終目標に掲げている。ドンバス地方東部が主戦場となっている現在、欧米が提供するロケット砲は、目標達成のため決定的な役割を果たす可能性がある。MQ-1Cとともにウクライナ軍が切望する近接射撃/航空支援も提供できそうだ。■

 

US Plans To Sell Ukraine Armed MQ-1C Gray Eagle Drones: Report


 

BY

DAN PARSONS,TYLER ROGOWAY

JUN 1, 2022 6:21 PM

THE WAR ZONE

 


ウクライナへHIMARS, Mi-8ヘリ含む7億ドル追加装備品供与を決定。米国の支援は回を重ねるほど高度装備品が増えている。

 US M142 High Mobility Artillery Rocket System (HIMARS) launchers fire salvoes during the "African Lion" military exercise in the Grier Labouihi region in southeastern Morocco on June 9, 2021.

M142高機動ロケット砲撃システムHigh Mobility Artillery Rocket System (HIMARS) が「アフリカのライオン」演習で一斉砲撃を実行した。モロッコ南東部にて。June 9, 2021. FADEL SENNA / AFP

 

防総省の最高政策責任者が6月1日に語ったところによると、アメリカはヨーロッパに 高機動ロケット砲撃装備High Mobility Artillery Rocket System4基を送り、数週間以内でウクライナ軍が運用できるよう訓練する。

 

 

 HIMARSは、バイデン政権がウクライナに行った7億ドル援助の一部で、ウクライナ侵攻から約100日となった今、ロシア軍を撃退するためのものである。

 米国当局は、プーチンがロシア国内から攻撃してきたとしても、今回供与の兵器がロシア国内に向け使われないとウクライナ側が約束してから、HIMARS送付を同意した。

 しかし、ウクライナ国内のロシア軍に対する使用は制限されない、と政策担当国防次官コリン・カールColin Kahl,は言う。

「同国には主権国家として自国領土を守る権利がある」「この戦争を始めたのはロシアだ」。

 ウクライナは、2014年にロシアが奪った領土の奪回で戦うこともできる、とカールは言った。

 「例えば、ウクライナ軍がケルソンに押し寄せたとします。もし接触線に沿ってドンバスに押し戻せば、我々はそれを防衛的と見なす」。

 HIMARSの射程距離は約43マイルで、現在の大砲の射程距離より長くなる。

 バイデン政権は、新しく安全保障支援パッケージを発表するたびに、先進的兵器を送ることに積極的になっている。ジョー・バイデン大統領は、本日の支援発表の中で、HIMARSはロシア攻撃を撃退する「新しい能力と高度な武器となる」と述べた。

 毎回の新装備供与で、政権はロシアのエスカレーションを誘発するか検討してきた。カールは、ウクライナ国内の地上戦で使用できる中距離HIMARS弾を提供すると決定したが、「何百キロも離れた空域から巡航ミサイルを発射するロシア爆撃機の撃退には役立たない」と述べた。

 国防総省は、ウクライナ軍がHIMARSシステムのに訓練に3週間かかると見積もっている。カールは、米国は追加HIMARSを送る可能性を匂わせた。

 今回の7億ドルのパッケージには、対砲兵レーダー5、航空監視レーダー2、ジャベリン対戦車兵器1000、ジャベリン指揮発射ユニット50、その他の対装甲兵器6000、榴弾砲用155ミリ砲弾1万5000発、ミ17ヘリコプター4、戦術車15、予備部品が含まれる。■

 

 

Latest Ukraine Arms Package Includes HIMARS, Mi-17s, and Thousands of Artillery Rounds

https://www.defenseone.com/policy/2022/06/latest-ukraine-arms-package-includes-himars-mi-17s-and-thousands-artillery-rounds/367620/

BY TARA COPP

SENIOR PENTAGON REPORTER, DEFENSE ONE

JUNE 1, 2022


ミッドウェー海戦から80年。特集①戦闘の総括

  

USS Enterprise

1942年5月26日、米空母 USS エンタープライズ (CV-6)が真珠湾に入港した。珊瑚海海戦の直後で同艦は続けてミッドウェイ海戦に加わった。 

 

ミッドウェー海戦がなぜ重要なのか

6月4日は、第二次世界大戦の太平洋戦争の転換点であり、史上最も決定的な海戦の一つミッドウェー海戦の80周年記念日だ。1999年、当時の海軍作戦部長ジェイ・L・ジョンソン大将は、2000年の記念行事から6月4日を海軍の誕生日10月13日のと同じ意味を持たせると発表したほど、同海戦は決定的な意味を持つ。「年に2回、海軍として一時停止し、誇るべき遺産を振り返り、伝統と歴史への新たな認識をすべての人に植え付ける」とジョンソン大将は述べた。 

 ウォルター・ロードのベストセラー『Incredible Victory』からゴードン・W・プランジの『Miracle at Midway』まで、同海戦について書かれた優れた書籍が数多くあるのを考えれば、この壮大な戦いをわずか1000字のコラムで正しく伝えることは難しいが、試してみよう。 

 

 

勝利への序曲

ミッドウェイは、日本海軍へのアメリカの最初の勝利ではない。その1カ月前に行われた珊瑚海海戦は、日本軍のポートモレスビー侵攻を阻止し、軽空母「祥鳳」を沈めた点で、アメリカにとって戦略的勝利であった。しかし、これらの成果が重要であったとしても、ミッドウェー海戦の大きさにはかなわない。

 日本海軍のミッドウェイ計画は、珊瑚海での戦略的失敗の前に進められていた。1942年4月16日、数ヶ月に及ぶ議論の末に、山本五十六連合艦隊司令官は、夏のミッドウェイとアリューシャン方面の戦略について参謀本部を説得同意させた。山本長官の考えでは、ミッドウェー島を占領すれば、日本は中央太平洋の難攻不落の東側防壁の背後でアジア政策の追求が可能となる。目玉は、アラスカへのフェイントとミッドウェイ侵攻であった。この大胆な計画が成功すれば、少なくとも1年間はアメリカ太平洋艦隊を事実上排除でき、将来のアメリカの攻撃を警告する前線基地が手に入るはずだった。

 その2日後、伝説的なドーリットル東京空襲が行われた。アメリカ国民の士気が大いに高まっただけでなく、日本側もミッドウェイへの攻撃予定日を前倒した。賽は投げられた。

 

ミッドウェー海戦の始まり

真珠湾攻撃と同様、ミッドウェー海戦でもアメリカ軍が先制攻撃を行った。6月4日早朝、夜間飛行中のPBYカタリナ4機が、ミッドウェー北西の日本軍輸送船を攻撃した。PBYの1機が艦隊のタンカー「あけぼの丸」を魚雷攻撃した。ミッドウェー島への攻撃は現地時間同日午前6時30分に本格的に始まり、愛知D3A「バル」空母艦上爆撃機(99艦爆)と中島B5N「ケイト」魚雷機(97艦攻)が、零戦に護衛され島の施設を爆撃した。

 米海兵隊のブリュースターF2AバッファローとグラマンF4Fワイルドキャット戦闘機は26機中17機を失う惨憺たる結果になったが、日本軍は基地施設にわずかな損害を与えただけであった。日本海軍は迎撃してきたバッファローとワイルドキャットに4機のケイトと1機の零戦を失い、さらに3機を基地防衛側の対空砲火で失った。

 

空母対空母の戦い

空母対空母の戦いは、アメリカ側にとってうまくいかなかった。午前9時30分から10時30分に、ダグラスTBDデバステーター魚雷爆撃機隊が、エンタープライズ、ホーネット、ヨークタウンの米空母3隻から発進した。デバステーターは日本海軍の空母に一発も命中させれず、日本軍の戦闘機と艦砲射撃で全滅した。ホーネットは雷撃機をすべて失い、ジョージ・ゲイ少尉(後の中佐)が唯一の生存者となった。 

 デバステーター隊の犠牲は無駄にならなかった。日本海軍の空母は、米海軍のダグラスSBDドーントレス急降下爆撃機による追撃を受け、赤城、加賀、蒼龍に地獄の雨を降らせた。ドーントレスの1000ポンド爆弾の効果は、日本空母がミッドウェー島再攻撃のため飛行甲板上に艦載機を並べていたためさらに悪化し、航空兵器と航空燃料の連鎖反応という地獄を引き起こした。3隻の空母はすぐに沈没してしまうが、「飛龍」は最初の猛攻を生き延びた。

 飛龍は、急降下爆撃機「ヴァル」と魚雷爆撃機「ケイト」によって、ヨークタウンに総員退艦命令を出すほどの損害を与え、一定の復讐をした。しかし、ヨークタウンは一命を取り留め基地へ回航途中の6月6日、日本海軍の潜水艦「伊168」の魚雷で救助活動中の駆逐艦「ハムマン」とあわせ沈められた。

 6月4日午後5時頃、エンタープライズのドーントレス隊が飛龍に致命的な傷を与えた。海軍は戦闘の最終日である6月6日に、エンタープライズとホーネットのSBDで重巡洋艦三隈を沈め、重巡洋艦最上を激しく損傷させ、とどめの侮辱を加えた。

 

最終結果

すべて終わった段階で、日本は貴重な空母4隻と重巡1隻、航空機248機、3,057人を失った。アメリカ側は、空母1隻、駆逐艦1隻、航空機150機、死亡307人(うち3人は捕虜として処刑)を失った。最も重要なことは、日本の空母打撃部隊の壊滅により、山本はミッドウェー侵攻計画を断念せざるを得なくなり、日本艦隊は西方へ退却を開始したことだ。

 当1945サイトはミッドウェー海戦のシリーズを続ける。戦いに参加した機材について考察し、潜水艦USSノーチラスがアメリカの勝利に偶然(あるいは不注意に)貢献した背景を説明する。乞うご期待。■

 

The Battle Of Midway Was 80 Years Ago: It Must Be Remembered

https://www.19fortyfive.com/2022/06/battle-of-midway-80-years-later/

 

ByChristian Orr

 

Christian D. Orr is a former Air Force officer, Federal law enforcement officer, and private military contractor (with assignments worked in Iraq, the United Arab Emirates, Kosovo, Japan, Germany, and the Pentagon).  Chris holds a B.A. in International Relations from the University of Southern California (USC) and an M.A. in Intelligence Studies (concentration in Terrorism Studies) from American Military University (AMU).  He has also been published in The Daily Torch and The Journal of Intelligence and Cyber Security. Last but not least, Mr. Orr is a Companion of the Order of the Naval Order of the United States (NOUS).

In this article:Battle of Midway, Battle of Midway Anniversary, Imperial Japan, World War II, WWII History