2017年7月7日金曜日

★★3Dプリンターを戦場に持ち込んだ米海兵隊の利用方法



Commandant of the Marine Corps Gen. Robert B. Neller, right, observes a 3D printer in the Central Command area of operations, June 18, 2017. (U.S. Marine Corps photo by Cpl. Samantha K. Braun)

海兵隊総監ロバート・B・ネラー大将(右)が3Dプリンターの作動状況を見ている。

中央軍任務地にて。 June 18, 2017. (U.S. Marine Corps photo by Cpl. Samantha K. Braun)


Marines Send 3D Printers to Combat Zone to Fix Gear Faster

米海兵隊が戦闘地帯に3Dプリンターを持ち込み装備修理を迅速に進めている

 POSTED BY: HOPE HODGE SECK JULY 5, 2017

  1. 各国共同でイスラム国戦闘員集団と対決する戦闘も三年になり、最前線は厳しい環境に置かれている。イラク、アフガニスタンとはちがい大規模な前線基地や大部隊はともに姿が見当たらない。この環境で米海兵隊が3Dプリンターを現場に持ち込み、新技術で補給活動を加速化し故障した装備を早く現場に戻そうとしている。
  2. 「3Dプリンターを戦闘地帯で使うのは海兵隊が初めてでしょう」とハワード・マロット中佐が述べる。海兵隊で付加製造、3Dプリントの実施で先端を走る中佐がMilitary.com取材に答えている。「特殊部隊ではプリンターを使っていますが、扱ったのは技術専門職でした。海兵隊は海兵隊員がプリンターを使っており、運用しながら訓練も行っています」
  3. 海兵隊関係者はプリンター設置先や設置数については語ってくれないが、マロット中佐は卓上サイズのマシンが中東各地に配備されており、海兵隊危機対応タスクフォースが使っていると紹介してくれた。ただし戦線の背後地に配備しているという。各軍も3Dプリント技術の軍事応用を模索しているが、海兵隊が同技術導入に一番熱心で実戦部隊の一般隊員にまで使用させている。2016年9月の海兵隊内メッセージで各部隊指揮官には運用中装備の修理部品製造で3Dプリント技術利用が認められた。
  4. マロット中佐によればこれまで3-Dプリンター40台が導入されており、需要は伸びる一方で今年秋には60ないし70台に増えると見ている。
  5. 戦闘地帯でプリンターを使うことで重要部品を素早く製造し、本国の集積地あるいは遠隔地にある国防兵站庁の物資集積場からの配送を待たなくてもよくなったとマイケル・デイナ中将(海兵隊物資集積補給副司令官)は述べている。
  6. 「プラスチック部品を使う無線機が故障したとしましょう。今は部品をブリントして無線機に使い機能を復活させています」とデイナ中将はMilitary.comに語ってくれた。「欲しい時に欲しい部品を文字通り数時間で手に入るようになりました。最悪でも数日です。従来は本国に在庫を照会するだけ数日数週間かかり、もっと長い場合もありました。このため新技術には魅力があります」
  7. 無線装置以外に海兵隊は81mm迫撃砲用特殊レンチ、添木など医療部材もプリントしているとマロット中佐は紹介してくれた。さらに可能性が広がりつつある。
  8. 6月には専門誌Defense Systemsが海兵隊が3Dプリンター製造の4軸回転翼式ドローン「ニブラー」を戦闘に投入する準備中と伝えている。
  9. 「いつも海兵隊員から優れた発想が出てきます。いつも革新的です。いままでは現場で製造する能力がなかったのですがね」とマロット中佐は述べた。「今や3Dプリント技術で海兵隊が頭の中の革新性を具体化する手段が生まれたわけです」
  10. 他方で海兵隊は付加製造技術で遠隔地補給処に頼らずに戦闘を続けさせられないか模索している。
  11. 「付加製造、3Dプリント技術はサプライチェーン肥大化を防ぐ効果を生む可能性があります。現在のサプライチェーンでは工場依存になっていますが、工場の場所は遠隔地の米国本国であるのが普通なのです」(ディナ中将)■

★★中国が開発成功したと自称するポンプジェット推進で潜水艦戦が一変する?



ポンプジェットは日本が受注に失敗したオーストラリア案件でも話題に出ましたね。今のところ日本では採用の動きがないようですが、この分野に詳しい方のコメントをお願いします。

Did China Just Create the "Holy Grail" Of Submarine Technologies?

中国は潜水艦技術の「至高の目標」を実現したのか

The National Interest Dave Majumdar
July 6, 2017

  1. 中国人民解放軍海軍(PLAN)が電動ポンプジェット推進方式潜水艦技術の開発に成功したと発表している。事実なら西側の潜水艦より静寂な潜航が実現することになる。
  2. 従来型のプロペラ式推進では機械的に駆動軸で回転力を得ているが、中国が新開発したと主張する縁推進方式では電動モーターを推進器側板に組み込む。
  3. 「縁推進方式ポンプジェットには円形電動モーターを側板内部に取り付ており、弁ローターを回転させてポンプジェットの空洞を作り推進力を得る」とサウスチャイナモーニングスターが報じている。
  4. 駆動軸がない潜水艦は静かになる。その分探知が難しくなる。中国は新型推進方式はキャビテーションを減らし、音響特性で探知されにくいと主張している。
  5. PLANのMa Weiming少将が「研究チームが世界をリードする技術を実現し、次世代原子力潜水艦に搭載する」と同紙で述べている。「我が国の技術は米国を凌駕し、米国より先に同技術を完成させた」と述べたと同紙は伝えた。
  6. 同少将は新型ポンプジェットはPLANの次期原子力潜水艦に搭載するとし、095型攻撃潜水艦、096型弾道ミサイル潜水艦を想定している。しかしながらPLANから新型艦がこの技術を搭載するとの発表はまだ出ていない。
  7. 米海軍はポンプジェット式推進技術をロサンジェルス級、シーウルフ級、ヴァージニア級の攻撃型潜水艦に搭載している。計画中のコロンビア級原子力弾道ミサイル潜水艦にも採用する。コロンビア級では統合発電推進方式で永久磁石により駆動軸を回転させる。
  8. 駆動軸のない推進方式は潜水艦推進力の至高の目標といってよい。米海軍関係者は中国の言い分はそのまま信用できないとする。
  9. 「関連記事は今朝目にしましたが、PLANの宣伝機関がまたやっているかというところですね」と語るのは海軍関連コンサルタント企業フェリーブリッジグループの常務ブライアン・マクグラスだ。
  10. だが事実なら潜水艦を巡る構図が全く変わってくる。「そうですね、本当ならね」とマクグラスは述べる。「現在こちらに有利になっている状況がPLANの新開発で押されているのは事実です。とはいえ米海軍潜水艦より静かな艦が登場するとは思えません」
  11. 中国が縁推進式のポンプジェットを本当に開発し作戦投入しても作動するのなら大きな開発成果になる。PLANが画期的な潜水艦技術を実用化し米国との差を埋めつつあることになる。ただし潜水艦の音響特性改良は推進方式だけで解決するものではなく、長期間にわたる試行錯誤があってこそPLANは米潜水艦の実力に追いつき追い越すことができるはずだ。■
Dave Majumdar is the defense editor of The National Interest. You can follow him on Twitter @DaveMajumdar.


2017年7月6日木曜日

北朝鮮ICBM初発射の分析と浮かび上がった課題



失敗を回避すべく最大限の配慮で初のICBM発射に成功し、責任者は命を失うことはなかったようです。記事が指摘するように初の発射で即兵器運用にはならないとしても、まさしく時間の問題になったようです。北朝鮮は自滅へのスイッチを入れたことになるのか、まだわかりませんが、終わりの始まりであることは明らかです。日本としては中距離弾道ミサイル多数があることに引き続き注意していく必要があります。

(Photo: Rodong Sinmun)

North Korea Finally Tests an ICBM 北朝鮮がついにICBM実験に踏み切った

BY: JOHN SCHILLING JULY 5, 2017
  1. 米国では独立記念日は壮大な花火ショーで祝うことが多いが、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射テストは想定外だ。だが金正恩がそれを実施し独立記念日祝いと言うが心配の種を増やしてくれた。北朝鮮中央通信が発射の映像を公開し、最大高度2,802キロまで達してから933キロ離れた海面に39分後に落下したとする。日米韓各国政府が発射の事実を認め、おおよその性能を確認した。事実なら米本土まで到達するミサイルになる。ここまで早く実現するとは予想していなかった。
  2. ただしこのミサイルが実際に米本土を正確かつ信頼性高く攻撃可能な兵器になるまでは一二年はかかりそうだ。とくに有事の際の発射の想定が必要だ。とりあえずは確実性に欠ける脅威対象だ。だが不確実でも米本土へ脅威が生まれ抑止力になるし、今回の脅威に対応した外交政治上の意味がすぐにでもあらわれるはずだ。
  3. 興味を惹かれるのはロシア国防省が最大高度はわずか510キロだったと発表したことだ。米太平洋軍の第一報では最大高度を2,500キロとしそこから射程距離を5,500キロと推定しICBMに分類した。初期報道で数字に不一致が見られるが、一番正確な数字がどれなのか判断できない。確かなことはいえないが、確実性が不足していることを考慮しても、高度2,500キロ超、飛翔時間37分超は正しいと言える。
  4. 最近の北朝鮮長距離ミサイルテスト同様に今回も「ロフテッド」軌道で近隣国を飛び越す飛翔を防ぎながら、高性能を試したとみられる。データが正しければ、ミサイルをもっと効率の良い軌道で発射すれば、6,700キロから8,000キロ先に到達するだろう。このうち6,700キロ推定を出したデイヴィッド・ライトは自身の推定には地球の自転効果を盛り込んでおらず、ミサイルを東方向に発射すればもっと高い性能の可能性があると述べている。もちろん米国は北朝鮮から東方向に位置する。北朝鮮から発射すれば米本土は無理としてもハワイ、アラスカは十分射程内に入る。
  5. 北朝鮮は火星-14ミサイルと称しているが、2015年末のパレードに現れた液体燃料方式のKN-14ミサイルと類似している。違う点はKN-14は第一段にエンジン複数を搭載しているが、今回のミサイルにはエンジンは一基のみで制御用にバーニヤ四枚がついていることだ。エンジン複数搭載モデルは初期のみで冷戦時のロシア製ハードウェアの数が限られているのだろう。新型の単独エンジンは先月テストされた火星-12(KN-17)のエンジンと酷似している。出現のタイミングを見ると火星-12を原型に火星-14技術を開発し政治的に失敗が許されない北朝鮮ICBMの初発射を確実に行うようにしたのだろう。
(Photo: Rodong Sinmun)

  1. もう一つ相違点がある。二段目と再突入部分形状に手が加えられている。KN-14原型の再突入部分を再設計したか空のペイロードフェアリング内に格納したのだろう。ペイロードフェアリングはミサイルの初期飛翔段階で空力性能の向上効果があり、性能を多少向上させる。ICBMのペイロードフェアリングは内部に複数弾頭あるいはデコイを搭載し、その他攻撃用装備も入れることがあるが、このミサイルは複数弾頭運用は不可能で、デコイも最小限しか搭載できない。
  2. また火星-14は平壌軍事パレードで見られたKN-14用運搬車両で移動されているようだが、発射は車両からではなく発射台からで、車両はミサイルを起立移動してから安全範囲に退避している。このため打ち上げに時間がかかるが、実験失敗の場合、高価かつ台数が限られる発射車両を喪失することがない。有事の際は車両から発射するだろう。同ミサイルが移動式であることにかわりなく、先制攻撃でも破壊は困難だ。
  3. 総合判断すると今回のミサイルは以前に存在が確認されたKN-14の派生型と見るのが妥当で完全新型ミサイルではない。KN-14、KN-17と共通のファミリーだろう。今回のテストは完全成功あるいは部分成功だったと見ている。だが北朝鮮が射程距離を延ばそうとしているのか不明だ。同国のプロパガンダが実際の攻撃計画を反映しても東海岸はもちろんサンディエゴ海軍基地含む地点にも到達不可能だ。
  4. 仮に部分成功だったとしても北朝鮮には課題が残る。ミサイルが予想通りに正確な角度を実現していない場合が想定される。ミサイルは軍港や市街地の攻撃でエンジンを正確に制御して停止させる必要があるので、これを試す必要があるのだ。ミサイルの燃料が想定より数秒早くなくなることはまれだがコースをはずれることはよくある。ICBM開発初期では再突入体の熱遮断性能が想定通りにいかないこともよくある。その場合はテストを繰り返し問題を修正する必要がある。北朝鮮はデコイや防御装備の搭載も想定するはずだが、テストも追加実施することになり、ミサイルの初期投入段階ではデコイ等は使えないかもしれない。
  5. テスト一回でミサイルの信頼性は判断できない。また実証が必要なのは信頼性だけではない。発射要員は短時間でミサイルを正確に発射する能力が必要で、有事の際には米韓のミサイルがくる前に発射する必要があるのだ。ミサイル運搬車両やその他支援装備でも事前に運用訓練をしておく必要があり、とくに危険な推進剤注入に十分慣熟しておく必要もある。ここで成功しても理想的な条件での成功であり、急に開戦したら実施できるとは限らない。
  6. だが北朝鮮がどの程度の信頼性を目指すのか不明だ。例として火星-14を今年末に戦闘投入するとしよう。テストで理想的な条件で作動しても実際にうまくいかないことがありうる。打ち上げに失敗すればミサイルは爆発するか、コースを外れ意味のない地点に命中する。だがそれでも都市破壊には十分であり、機動性があり発射前に排除するのは困難だろう。ただし北朝鮮がまず目指すのが抑止効果なら、これでも十分である。
  7. だが北朝鮮がこのミサイルを正確かつ高信頼度で運用する技術を習得し、必要な改修や性能向上を実現するには一年か二年しかかからないだろう。北朝鮮がICBM能力を獲得するのは2020年代はじめと予測していたが、同国は当方の想定とは別に動いているようだ。戦略、外交、政治の各面で深刻な意味がすぐにあらわれそうだ。例として今日からは米軍司令官は朝鮮半島の戦闘状況がハワイ、アラスカまで拡大することがないとは100%自信が持てなくなった。また米側の同盟国も新状況で域内の安定と防衛で米国が責任を果たさなくなるのではと危惧するはずだ。米国の政治指導層はどう対応すべきか考え出す必要がある。■

2017年7月5日水曜日

★★北朝鮮の動向を知りたければコブラボールをネットで追跡すればよい



ここまでちゃんとフォローしている人がいるんですね。すごいですね。でももっとすごいのはこれだけの機材装備を維持し、事前情報で警戒飛行をさせている米軍の存在ですね。ここまでの装備を自前で運用するより米軍に便宜を提供し情報をわけてもらうほうが実際的なのでしょうね。しかし日本もできるところからISR能力(機材プラス情報分析)を充実させていくべきでしょうね。

 

Wanna Know If A New North Korean Missile Test Is About To Take Place? Look For This U.S. Aircraft Online…

北朝鮮ミサイル実験の実施は米軍機の動きをオンラインで調べればよい

 Jul 04 2017
  1. 米RC-135Sコブラボールがミサイル発射の最終段階で弾道ミサイルを追尾する様子をオンラインで見られる。
  2. 7月4日早朝北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射に初めて成功した。
  3. ICBMはHwasong火星-14とされ、高度2,802キロに達したと国営朝鮮中央テレビ(KCTV)が伝えている。ミサイル発射地点はPanghyon方峴で朝鮮半島から東方向に930キロ飛翔した。
  4. 今回の発射も前回同様に米軍が監視し、空中、地上、海上の核装備を動員した。
  5. 米空軍はRC-135Sコブラボールミサイル追跡機を動員した。オファット空軍基地(ネブラスカ州オマハ郊外)所属の動機は第45偵察飛行隊が運用し弾道ミサイルの搭載する再突入体や弾頭の最終段階での追跡に投入される。強力なレーダーをコックピットすぐ後ろの機体右側に搭載している。また観測窓も右側にあり、赤外線や可視スペクトラムカメラで飛翔の最終段階での弾頭部分を記録する。コブラボールの右主翼は低反射性黒色塗料で包み撮影効果を上げている。
嘉手納を離陸するコブラボール May 31, 2016 (screengrab from YT video by okuchan2006)
  1. 横田空軍基地にコブラボールが二機 (61-2662、 61-2663) 配備されているのは驚くべきことではない。北朝鮮でミサイルテストの兆候があると同基地から同機が発進している。だが驚くべきことはこれだけ重要なRC-135Sをオンラインで飛行状況を追尾できることで、これは同機のモードSのADS-Bトランスポンダー信号をモニターできるためだ。
  2. 日本配備のRC-135Sの動きを観察すれば北朝鮮で何が起こっているのか、起ころうとしているのか理解できることになる。たとえば昨日のコブラボールが横田を離陸し空中にあったのは米情報機関が発射地点を探知しテストの監視に備えていたためだ。このため筆者はツィッターに以下投稿した。(ICBMテストの報道がその後出て確認された)
Won't be surprised if North Korea conducts a new test in the next hours. https://twitter.com/civmilair/status/881997369994301441 …
(北朝鮮がテストをあと数時間で実施しそうだ)
  1. 今回が初めてではない。単なる偶然の一致なのか。おそらく違う。コブラボールは頻繁に飛行しているわけではなく、飛行状況をオンラインで追尾すると北朝鮮のテストと一致している。
  2. 例をあげよう。
  3. 4月15日に北朝鮮が型式不詳の陸上配備ミサイルをシンポ海軍基地から発射した。RC-135Sはその時日本上空を飛行していた。
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Cobra Ball popped up again briefly.
Japan area... (コブラボールがまた短時間見つかった。日本だ)
US Air Force
RC-135S 61-2662
  1. 5月13日には北朝鮮が中距離弾道ミサイルを西海岸から発射した。発射高度は当時記録の2,100キロに達したが、コブラボールは空中で監視し情報収集にあたっていた。
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Mode-S detected. No position showing.  (モードSを探知。飛行地点は非表示)
Cobra Ball - Ballistic Missile detection a/c
🇺🇸 US Air Force
RC135S 61-2662
  1. 6月20日にはコブラボール一機とWC-135コンスタントフェニックス「核嗅覚機」が日本上空を飛行していた。その後、スパイ衛星により北朝鮮核実験施設で新たな活動が探知されている。
This might explain (confirm the reason behind) those Cobra Ball and Constant Phoenix aircraft tracked earlier @CivMilAir@aircraftspots https://twitter.com/barbarastarrcnn/status/877265895470624768 …
(これでコブラボール、コンスタントフェニックス機を追尾できた理由が説明できるね)
  1. 金正恩が次のテストの準備に入っているか知りたいときはコブラボールまたはコンスタントフェニックスが日本上空を飛んでいるか調べればよい。ADSB交信状態あるいは同機の動向を追っているツィッターアカウントをフォローすればよい。たとえば@CivMilAirはRC-135やWC-135のフライト状況を筆者に伝えてくれる友人だ。■

7月5日米韓両国がミサイル発射で北朝鮮ICBM発射に対抗


半島情勢がエスカレーションしてきました。ただし、この反応はどうなんでしょう。牙を見せたということでは意味があるとは思いますが。前日のミサイル発射を実施した北朝鮮は独立記念日を狙った確信犯であり、米軍の対応がこの程度と見て嘲笑するでしょうが、長い(短い?)導火線に自ら火をつけてしまったのではないでしょうか。同国が地図上から消える日が近づいてきたと思います。北朝鮮労働者を受け入れている国はまだあちこちにあるようです。


2017年7月5日、M270多連装ロケット発射装置でMGM-140陸軍戦術ミサイルを日本海に向けて発射する韓国-米国合同第二師団隷下第210野戦火砲旅団第18野戦砲撃連隊第一大隊。米韓両国は5日に合同演習を実施し北朝鮮のICBM発射テストに対応した。 U.S. ARMY PHOTO

US, S. Korea fire missiles in warning to North

米韓両国がミサイル発射で北朝鮮へ警告

 By KIM GAMEL | STARS AND STRIPESPublished: July 4, 2017

SEOUL, South Korea – 米韓両国は7月5日ミサイル数発を警告発射し、北朝鮮の大陸間弾道弾発射に対応した。
  1. レックス・ティラーソン国務長官が同日北朝鮮が打ち上げたミサイルをICBMであると確認したのを受けて発射されたもの。長官は米国、同盟国、協力国のみならず域内、世界規模で脅威が増加したと指摘。
  2. 米太平洋軍は初期評価で中距離弾道弾としていた。
  3. 第8陸軍の公式声明では両軍は韓国東沿岸沖合にミサイルを撃ち込んだと発表。
  4. 今回の発射は異例の形で、北朝鮮が前日発射したミサイルに直接関連させ「北朝鮮による安定に害を与え非合法の7月4日の行動に対抗するもの」としている。
  5. 米軍は特定の出来事に言及することを通常は避けており、合同軍事演習は防御を旨とすると主張してきた。
  6. 第8軍によると米陸軍の戦術ミサイルと韓国のHyunmoo(玄武)ミサイルが発射された。「迅速に展開し発射できた」とし、「遠距離を正確に攻撃できる能力により米韓同盟はいかなる天候条件でも常時重要目標を攻撃できる」
  7. 北朝鮮は4日、Hwasong火星-14ミサイルが金正恩委員長が見守る中で発射されたと発表。39分間飛翔し、最高高度は1,740マイルに達し、日本海に落下した。移動距離は580マイルと同国国営通信は伝えた。
  8. ミサイル実験はほぼ一か月振りで米韓両国の首脳がワシントンで初の会談を行った数日後のことだった。
  9. ティラーソン長官は国連安全保障理事会に対し一層強硬な対北朝鮮措置を求める意向と述べた。
  10. 「世界規模の脅威を食い止めるためには世界規模の行動が必要である」と声明文を発表し、北朝鮮労働者を受け入れる国は北朝鮮に経済軍事効果を提供し国連制裁措置に違反することで「危険な国家体制の支援、ほう助につながる」と警告。
  11. ティラーソン長官は米国は朝鮮半島非核化を平和的に希求しており、「核武装した北朝鮮は絶対に受け入れられない」と強調した。■

2017年7月4日火曜日

北朝鮮がICBM発射成功と発表、SM-3で日本は守れるのか


 

北朝鮮がICBMを完成させたといっていますが、今の段階ではアラスカに辛うじて飛ぶ程度でしょう。それでも米ミサイル防衛体制がいよいよ本土防衛を重視する方向に切り替えを迫られかねず、日本のミサイル防衛体制が一層注目されそうですね。


Can America's SM-3 Missile Protect Japan from North Korea? SM-3ミサイルで北朝鮮脅威から日本を守れるか


July 3, 2017

  1. 日本の自衛隊は通常の軍隊ではない。第二次大戦後の憲法で海外で戦闘行為を禁じているためだ。とはいえ日本が北朝鮮から脅かされるのは国内に米軍基地を抱えるためだが、そもそもは1998年にテポドン-1ミサイルが日本領空を横切り飛翔したことが出発点だ。
  2. その後も北朝鮮はミサイルテストを繰り返し、本日も行った。北朝鮮は米西海岸を直撃できる大陸間弾道弾の完成に向け作業中だが、すでに日本は北朝鮮の中距離弾道ミサイル(IRBM)の射程に入っている。発射後10分で日本本土を直撃するはずだ。
  3. 日本は独自の対抗策で北朝鮮ミサイルに対応している。PAC-3ペイトリオットミサイル地対空ミサイル部隊6個を展開し、駆逐艦4隻に長距離SM-3ミサイルを搭載している。ただしいずれも高速で高高度飛翔するIRBMに有効対応できるか未実証だ。マッハ4で飛ぶPAC-3の有効射程はわずか30キロで局地防衛手段でしかない。
  4. そこでSM-3の新型超長距離型を三菱重工レイセオンが共同開発中であり、IRBM発射後の加速段階や中間飛翔段階で迎撃を狙う。ただし残念ながら同ミサイルは迎撃テスト二回目で失敗し、弾道ミサイル防衛体制が未完成だと露呈している。それでも日本は陸上運用でSM-3を導入しミサイル艦を補おうとしている。
  5. スタンダードミサイル3は別名RIM-161で米海軍の駆逐艦巡洋艦でミサイル防衛ミッションの手段となっている。各艦は洋上の機動発射台となりイージス戦闘システム、各種ミサイルに対応する垂直発射管を搭載する。さらに弾道ミサイルに精密機能が加わり対艦兵器になる可能性が出てきたおり艦船防御用にも弾道ミサイル迎撃装備が使われそうだ。
  6. 三段式固体燃料ロケットで飛翔するSM-3を誘導するのはSPY-1レーダーでGPSと衛星航法からも支援を受ける。標的に近づくと軽量大気圏外発射体により運動エネルギーだけで飛来するミサイルを破壊し、爆発物は使わない。実弾発射テストでは70パーセントから80パーセントの成功率で中距離弾道ミサイルから分離した再突入部分にも対応している。なお衛星攻撃も可能。
  7. 日本はこんごう級駆逐艦4隻にイージス戦闘システムとSM-3ブロックIミサイルを搭載し、あたご級二隻のベイスライン9改修が完成すれば弾道ミサイル迎撃能力も備わる。ブロックIミサイルは最高速度マッハ10で有効射程380マイル(約610キロ)。
  8. 残念ながら6隻では日本本土を守りきれない。またブロックI迎撃体でミサイル弾頭部を確実に破壊する十分な運動エネルギーが確保できるか疑問視する声もある。
  9. 1999年に日米両国は大型長距離飛翔可能な新型SM-3の共同開発に合意した。2012年までにペンタゴンは15億㌦をつぎ込み、日本もほぼ同額を支出している。その結果生まれたSM-3ブロックIIAは以前の型とは第一段だけが同じだが米海軍マーク41垂直発射管システムに辛うじて入るほどの大きさになっている。
  10. ブロックIIAの最大射程は1,350マイル(約2,100キロ)、最大速度はマッハ15超となる。迎撃体が大型化し高度制御が可能となる。迎撃体に積む赤外線センサーが二色対応の高性能版となり、迎撃対象の目標やおとり、デブリを判別できる。
  11. 2017年2月3日にブロックIIAミサイルがUSSジョン・ポール・ジョーンズから発射され宇宙空間で弾道ミサイル迎撃に成功している。
  12. 残念ながら6月22日の第二回テストは失敗し、原因を調査中だ。
  13. 二回中一回失敗したからブロックIIAが役に立たないわけではない。だがミサイル迎撃がいかにむずかしいかあらためて教えてくれた格好だ。長射程性能を誇る地上配備中間段階迎撃防衛システムがアラスカ、カリフォーニアに配備されているが、試射でも不良率40パーセントになっており、原因は配線問題だという。また高価なミサイルのため試射多数を行えないのも事実だ。ブロックIIミサイルは単価20百万ドルを超えるといわれる。またテスト条件を実際の戦闘状況より都合よく設定していることは忘れてならない。システムが肝心な場面で作動しないとなれば懸念材料となるのは必至だ。
  14. それでもブロックIIのSM-3は短距離用のTHAADやペイトリオットPAC-3に比べれば射程、対応可能の双方で柔軟性がはるかにすぐれているが、ブロックIの試射実績と同様の成績の実証が条件だ。想定外だがSM-3で北米をねらうICBM迎撃にも使えそうだ。米本土の沖合にイージス艦を配備すれば迎撃態勢を強化できる。ブロックIIAミサイルは2018年にも配備が始まる予定でそれまでにテストで成功実績を増やす必要がある。
  15. ミサイル脅威の前に日本は防衛体制強化の検討中だ。今後就役する新型駆逐艦二隻にSM-3がミサイル防衛用に搭載される。日本も当初はTHAAD導入に向かう予測があった。短距離(120マイル程度といわれる)対応のTHAADはミサイルが地表に向かって飛翔する最終段階で対応を想定し、SM-3とPAC-3を補完する「第三陣」になると期待された。
  16. ただし北朝鮮が5月14日に発射したIRBM火星Hwasong12を受け稲田朋美防衛相は地上配備SM-3いわゆるイージスアショア取得に傾いていると明らかにした。イージス地上施設はSM-3発射に加えSPY-1Dレーダーで艦船とネットワークを形成し相互補完できる。米軍はイージスアショアをポーランドに導入中で、ブロックIIA迎撃ミサイル24発を展開する。ジャパンタイムズによればイージス陸上施設が二か所あれば日本全土をカバーでき、各712百万ドル(約8億円)とTHAADより大幅に安上がりとなる。
  17. 先週の報道では朝鮮半島の緊張が高まる中で日本政府はイージスアショアの早期導入を準備中だ。日本が地上、海上双方に迎撃ミサイルを多数配備すれば、米海軍でさえSM-3ブロックIミサイルを全イージス艦に一度に配備できない中、一発で命中保証ができなくてもミサイル多数を発射すれば迎撃が確実になる。弾道ミサイル防衛がどこまで信頼できるか不明というのは気が休まらない状況だが原因を探す必要がなければもっと良い。■
Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.
Image: Wikimedia Commons

中国に愛想をつかしてきたトランプ大統領の次の手は?


習近平が訪米で示した対応力・応用力のなさは驚くべきで、内弁慶タイプの指導者かと思ったほどでしたが、北朝鮮を巡り各方面の国内要素をはかりにかけて身動きが取れなくなっているのか、一度は約束しても最初から実施するつもりはないという確信犯なのでしょう。トランプ大統領もビジネス経験から中国人との付き合い方は体得しているはず。今後は現実を重視したアプローチに双方が収れんしていくでしょう。

 

Trump Cools on China 中国に冷静になってきたトランプ

The Trump administration is losing patience with Beijing and adopting a tougher policy. トランプ政権は北京に忍耐を失い、強硬政策をとりつつある
U.S. President Donald Trump welcomes Chinese President Xi Jinping at Mar-a-Lago state in Palm Beach, Florida, U.S., April 6, 2017.
The National Interest June 30, 2017


  1. トランプ政権が中国に忍耐心を失いつつある。先週は鉄鋼製品へ関税適用をちらつかせ北京へ衝突姿勢を示した。当初の対中国姿勢と真逆で、中国をパートナーととらえ北朝鮮問題の解決をめざすアプローチは過去のものとなった。
  2. 大統領選中のトランプは中国に厳しい姿勢だった。2016年5月のインディアナ州選挙集会では対中貿易赤字に触れ「このまま中国に勝手にさせておけない」と述べている。選挙運動中のトランプは当選の暁には中国を出し抜くと述べていた。「抜け目なく立ち回れば中国に勝てるはず」と2015年7月にサウスカロライナで述べていた。
  3. 大統領に就任するとトランプは北京と対立するより協調を優先した観があった。4月初めの習近平主席との会談後、トランプは北朝鮮問題、貿易問題共に一緒に解決できると楽観視していた。前向きな言葉と裏腹に選挙運動中の厳しい提言は棚に上げて、中国との協調関係作りを優先した。中国を通貨操作国と批判せずに北朝鮮問題で同国の支持取り付けを優先した。
  4. 北朝鮮問題解決を中国に期待すること自体が大きな賭けだ。中国は北朝鮮に実効力のある圧力をかけることに乗り気ではない。なぜなら北朝鮮現政権の存続に中国にとって戦略的な意味があるためだ。エリック・ゴメス(ケイト―研究所の国防外交政策専門家)は「北朝鮮はちょうどよい緩衝国として在韓米軍と中国国境の間に位置している」と述べている。安全保障上の関心から中国は北朝鮮の崩壊はおろか不安定化につながる動きをとりたくないのだ。
  5. さらにこれが正しくないとしても中国にはトランプが期待するような北朝鮮への影響力は実は有していない。ゴメスは「中国が金正恩を平和裏に米国の望む方向へ導く力があると信じるのは現実とかい離しすぎの見方だ」 2013年の金正恩の叔父で北京寄りの張成沢処刑は北朝鮮が最大の後援国に堂々と反抗する史背の表れに他ならない。中国は強い圧力をかけると裏目に出ると見ているのではないか。つまり北朝鮮が完全に制御不能になると中国は計算しているのだ。
  6. トランプ政権が望む形では中国が北朝鮮を扱えないと露呈すると、大統領は中国への失望を隠せなくなった。オットー・ウォーンビアの死亡を受けてトランプは中国の北朝鮮問題への支援ぶりについてツイッターに6月20日投稿している。翌日、レックス・ティラーソン国務長官も大統領に同じ感想を述べ、報道陣に中国は「外交的責任がありこれ以上のエスカレーションを回避したいのなら北朝鮮に経済外交上の圧力をもっとかけるべき」と報道陣に語っている。
  7. トランプ政権は非難と別に中国の神経を逆なですること疑いの余地のない手段も実施に移している。昨日財務省から中国企業一社、中国人二名が北朝鮮とつながりがあるとして制裁措置を適用した。さらに財務省の金融犯罪対応ネットワークが北朝鮮の外貨獲得を助けたとして中国の銀行一行に罰金を科すと述べた。直前に国務省から中国の人身売買取締まりが実効性を上げていないとし、中国が北朝鮮労働力を利用していることを決定の大きな背景とした。
  8. 現政権も前政権と同じく中国の域内ライバルと関係強化を狙っている。トランプのインド首相ナレンドラ・モディとの首脳会談の前に政権チームはMQ-9Bガーディアン無人機22機の売却を承認し、インド洋上の中国の動きを監視させるねらいがある。また中国を怒らせているのがトランプ政権による台湾への総額14億ドル武器売却だ。
  9. ただしトランプの地政学的な動きは武器販売にとどまっていない。モディ首相との共同記者会見でトランプはマラバール海軍演習に米国が日本とインドに加わると述べ、ティラーソン国務長官と同様に戦略的忍耐の段階は終わったと公言した。オーストラリア国立大の国家安全保障研究部門の主任研究員ディヴィッド・ブリュースターは同上海軍演習は「三カ国間の協調体制が強まり重要であることの実際的かつ象徴的な存在」だが「封じ込めをねらう演習」ではないと強調し、中国がこれ以上「ルールに基づく秩序を傷つけようとすればするほど三国の結束を強めるだけ」と警句を述べている。
  10. だが同時にトランプは中国との協調の可能性を放棄していない。楊潔チ国務委員との6月22日会合でトランプ大統領は一帯一路構想で中国への協力への関心を表明している。対中姿勢をがらりと変更した前歴のあるトランプが再度姿勢を変えてもおかしくない。ただし今のところ、新しい政策アプローチは明確な主張にとどまらず実際にトランプ政権が実行に移しているのはあきらかだ。■
Dimitri A. Simes is a reporter-intern at the National Interest.
Image: U.S. President Donald Trump welcomes Chinese President Xi Jinping at Mar-a-Lago state in Palm Beach, Florida, U.S., April 6, 2017. REUTERS/Carlos Barria.


2017年7月3日月曜日

★米上院18年度予算案(2):軽空母構想の実現を求める



上院の国防支出案の概略は先日お知らせしましたが、詳報で軽空母構想の実現に向けた施策が盛り込まれれていることが判明しましたのでお知らせします。軽空母といっても原型に想定しているアメリカ級でも45千トンという大きさですから往時の主力空母より大きいのですが、ねらいは海兵隊揚陸部隊の航空支援のようです。実現すれば大型空母はもっと大事な任務に専念できるのでしょう。まだ実現が決まったわけではないのですが、CVL呼称が復活するかもしれません。

F-35B ライトニングIIの四機編隊が強襲揚陸艦USSアメリカ(LHA-6)上空を通過している。 Nov. 20, 2016. US Navy Photo

 

Senate Armed Services Bill Directs Navy to Start a Preliminary Design Effort for a Light Carrier, Pluses Up Shipbuilding Totals Over Trump Budget

上院軍事委員会が海軍に軽空母の予備設計作業開始を求め、トランプ政権予算案規模を上回る建艦目標を提示

 By: Sam LaGrone
June 28, 2017 8:41 PM • Updated: June 28, 2017 9:07 PM


  1. 上院軍事委員会(SASC)が作成した2018年度国防支出認可法案(NDAA)ではペンタゴン要求を上回る艦船、航空機調達を求め、トランプ政権案より支出規模が200億ドル大きいことが判明した。
  2. 「6,400億ドル規模の国防予算で即応体制の不備、近代化、軍事優位性の減少といった問題を装備更新、増強で解決したい。今回の法案は近年議会で採択済みの一連の改革法を基礎にしている」と委員長ジョン・マケイン議員(共、アリゾナ)が声明を発表している。
  3. 「国防総省の組織改革、国防技術の革新、国防調達運用を通じ一連の重要課題に引き続き取り組みNDAAではわが第一線部隊に必要な装備、訓練、資源がゆきわたるよう改善し望ましい結果を得られるようにする」
  4. 海軍関係だけ見るとSASCは艦艇建造改修関連で50億ドルを上乗せし250億ドルとし、2018年度は13隻を調達するとし、ペンタゴンが提出した要求より5隻多い。アーレイ・バーク級誘導ミサイル駆逐艦一隻(55億ドル)、ヴァージニア級攻撃潜水艦(SSN-774)の事前調達費用(31億ドル)を含む。
  5. 上院案も下院提案と同様に駆逐艦、攻撃潜水艦を複数年度調達で建造する事業者の資材先行取得用予算を盛り込む。
サンアントニオ級(LPD-17)揚陸艦の12号艦フォート・ローダーデールの想像図 HII Image


  1. SASC案では10億ドルを揚陸艦一隻の追加調達に計上し、次世代LX(R)ドック型揚陸艦あるいはサンアントニオ級揚陸ドック型艦(LPD-17)のいずれかを想定。その他6.61億ドルで新型遠征海洋基地艦、2.5億ドルでT-ARCケーブル敷設艦一隻、5.09億ドルで揚陸艇8機の整備を求める。揚陸艇は政府要求より5機も多い。
  2. 発表に見当たらないのが沿海戦闘艦建造の言及だがSASCも大統領府原案と同様に2018年度に一隻の建造を求める方向に収束すると見られる。

  1. 航空関連ではF/A-18E/Fでのペンタゴン要求を倍増し19億ドルで調達する。SASCはさらにP-8Aを13機23億ドルで海兵隊仕様F-35B24機を29億ドル、海軍向けF-35Cに14億ドルを計上。
  2. SASC案で一番の特色は海軍向けに30百万ドルを計上し、軽空母の初期設計業務を開始させることだ。
  3. マケイン議員は130億ドルのフォード級超大型空母を一貫して批判して代替策の検討を求めてきた。軍事委員会が海軍に求めているのは軽空母が実際の戦闘場面で航空機材運用に耐えるのかを検討すること。

  1. 可能性が高いのはアメリカ級大型揚陸艦にカタパルト二基を加え航空機発艦能力を与えることで実現すれば第二次大戦時の飛行甲板がまっすぐな護衛空母に似てくる。求めるものは揚陸即応部隊にISR機材運用能力を付与し兵力投射効果を向上することだろうとブライアン・クラーク(戦略予算評価センターCBSAで海軍艦艇を専門とする研究員)がUSNI Newsに今年早々に語っていた。海軍も10万トン超の巨大空母の代替策を検討するとは公言していたが実際に真剣に検討している模様はなかった。
  2. SASCは艦艇、航空機でともに増強を訴えながら別事業で削減を提唱している。ジェラルド・R・フォード級空母三番艦エンタープライズ(CVN-80)建造はそのまま認めながらズムワルト級(DDG-1000)から1億ドル、アーレイ・バーク級(DDG-51)から2.25億ドルからそれぞれ回収するとしている。■