2018年8月17日金曜日

★中国が米軍に勝利できない理由

Analysis: Why China Would Lose a War Against America 中国が米軍に勝てない理由

Analysis: Why China Would Lose a War Against America
By Harry J. Kazianis, The National Interest


中両国で開戦となれば地獄が地上に出現する。第三次世界大戦の引き金になるやもしれない。核の応酬となれば死者は百万単位ではなく十億単位になるかもしれない。世界最大の経済規模を誇る両国の直接対決で世界経済は破滅に直面するはずだ。ただしこれが現実になるかは米中関係の対立点に依存する。ISIS、ウクライナ、シリアなどそれに比べれば取るに足らない程度の問題だ。米中関係が平和のまま進むかあるいは逆に向かうかが現在の最大の課題であると言ってもも過言ではない。
中国が有事に米軍・同盟国軍にどんな損害を与えるかをまとめた資料に目を通した。これまで20年に及ぶ大規模投資でPRCは三流軍事力保有国から世界第二位の軍事大国に登り上がっている。また装備では接近阻止領域拒否(A2AD)を念頭に置いている。中国は米国との戦争が発生した場合を想定し軍事力を整備しているようだ。近年の中国のモットーは「備えよ」だ。
同資料では有事における中国の課題を検討しているが非常に広範かつトップダウン形式で検討している。筆者はこれに対してシナリオ形式の分析に目を通した。中国には対米戦に投入可能な装備がたしかにあるが、大部分は極めて基本的な装備だ。PRCが史上最大の軍事大国と戦争状態に入れば恐るべき威力を発揮する米国装備を体験する事になる。本稿では中国が対米戦の戦場で敗退する理由を列挙したい。
たしかに中国は高性能兵器をソーセージを作るように生産している。空母キラーミサイル、空母群を建造中であり、第5世代戦闘機があり、原子力推進及び極めて静粛なディーゼル推進潜水艦、無人機、機雷などがある。
すべて優秀に見える。ただし紙の上で。
米国と開戦となれば中国はこれらの兵器を活用できるだろうか。疑問点は極めて単純である。そう、中国は強大な兵力目指して各種装備を開発導入している。ただし、兵員はすべての装備を戦争状態の圧力の中で使いこなせるのだろうか。世界最高の軍隊でも装備を使いこなせなければ勝利は収められないことは容易に想像がつく。
ソフト面(軍事演習や即応体制)の実態には驚くべきものがある。2012年夏の演習では戦略軍部隊が弾頭部を地下退避壕内で取り扱うストレスから15日間の演習期間通じて映画大会やカラオケパーティーにふけっていた。第9日目には「芸能兵」(PLA独特の用語で歌や踊りをする女性のこと)が招かれホームシックの兵員を慰める必要が生まれた。
こんな指摘もある。
​近年は一大宣伝活動で中国を軍事大国だと世界中に吹聴しているが、実は中国には職業軍人がいないことを世界はしばしば見落としがちである。米国、日本、韓国、台湾他地域内大国の軍事組織と異なり、PLAは職業軍人の組織ではない。むしろ、「党の軍隊」であり中国共産党(CCP)の武装組織である。実際にPLAの幹部は党員であり各部隊には政治将校が配属され、党の統制を維持している。同様にPLAの重大決定事項は党が決めるものであり、大きな影響を与えているのが政治将校であり、現場関係者ではない。
ではこうした事情のもとで対米開戦となり爆弾が落ちる中で迅速な意思決定が可能だろうか。中国は課題を理解しているのか。上記の2012年演習事例は例外的な出来事だったとしてもPLAが「党の軍隊」だというのは極めて重い事実だ。アメリカとの戦争でここからどんな意味を持ってくるだろうか。
中国軍は「統合作戦運用」を実施できるか
今日の軍事作戦では「共同運用」が威力を発揮する。情報共有しつつ、各部隊の戦闘を調整しながら多様な局面(空、海、宇宙、サイバー、陸上)で展開するのが軍事目標の実現では最善の方法だし、究極の戦力増強効果を生む。このため米国はじめ強国は相当の時間労力の他資源をここに投入している。
中国もこの目標に向け努力している。ただし強力な敵すなわち米国に対してどこまで効果的に統合運用を展開できるだろうか。多くは懐疑的だ。RANDコーポレーションは「中国の不完全な軍事近代化」と題する報告書で中国の共同作戦展開について疑義を隠そうともしない。
中国国内の戦略思考家の中にも統合共同作戦を望ましい形で展開する能力が不足していると認識する傾向があり、中国が直面する問題の第一は兵力投射能力にあり、陸上国境を遠く離れた地点ではまだ実施できない。また中国筋にはPLAの欠点として統合運用体制の欠如を上げる向きがあり、中国軍と米国はじめその他先進国の軍事組織の間に相当の乖離があることを示唆している。
また同報告書では訓練について言及しており、筆者が先に述べた点と重なる。
PLA文献から訓練体制が一貫して不十分であることがわかるが、従来よりも現実的な演習内容を試み、PLAの作戦能力を引き上げようとしているのも事実だ。さらに文献から戦闘支援体制の課題が一貫してあること、戦闘支援部隊の機能についても兵站面出欠点が度々指摘されている他、整備能力もその他刊行物で取り上げられている。
中国軍にイノベーションは期待できるのか
軍事技術面では先進性が鍵となる。米国は常時新しい防衛技術を生み出している。長期的展望での中国の課題はどこまで技術面で追随できるかだ。具体的には中国に先端軍事装備を国産開発する能力はあるのか。長期的展望、つまり10年20年の範囲で見れば対米戦争で中国にとってこれが最大の課題だろう。
中国が他国の装備を「借りて」自前装備を作ってきたのは周知のとおりだ。ものまねコピーというがリヴァースエンジニアリングが必要で簡単ではない。まずい形のコピーでは中国が戦場で困ることになる。次の十年で中国は国産開発で軍事ハードウェアを手に入れる必要がある。その例がジェットエンジンで現在の中国の精密度の水準では製造はおぼつかない。中国がイノベーションを維持し、他国より先をめざせば戦闘で成果が出てくる。果たして中国にこの課題が実現できるのかは時がたたないとわからない。
中国は1979年以降は本格戦闘の経験がない
最善の方法は実際に現場に移動し、実施することだ。しかも大量に。中国の課題とはウォーゲームよりも実際の戦闘を経験してこそ学習曲線が機能することだ。中国の最後の大規模戦闘は1979年にヴィエトナムと戦った一ヶ月しかない。
35年前の戦闘事例では対米戦の勝利はおぼつかない。実戦経験の欠如から別の課題が生まれる。中国との戦闘となれば米国に有利な状況が生まれる。米国がこの25年間に経験した戦役はA2AD戦ではなく、米軍は新装備を戦場で実際に試し、欠陥を直してきたのであり将来の戦闘に備え調整も行ってきた。例としてF-22をシリアに派遣する必要はなかったのだが戦場で運用経験を積むことに意味がある。これが中国にはない米国が有利な点だ。
米国は本当に優位なのか
問題解決で最良の方法は多様な角度から問題を見つめ直すことであり、シナリオだけ見ていてもだめだ。相手の本当の弱点はなにか。決意を持って望む敵に対抗する相手のことを実際の場面で考える必要がある。

中国の抱える課題が今後中長期的に米国を相手に戦闘した場合についてまわるのだ。それにとどまらず中国の大きなジレンマもある。つまり(紙の上だけで)軍事組織を整備してアメリカに対抗できるない。中国にこれが不可能と言っているのではない。中国は米軍・同盟国軍に大損害を戦闘で与えられるはずで、状況次第でその被害も変わる。つまり、今の所米国は頭一つ先を走っているといいたい。■

C-5Mスーパーギャラクシーは2040年代まで供用される

After 17 years of upgrades, the Air Force's biggest plane is ready to stay in the air for decades 17年に及ぶ改修を受けた空軍最大の機材は今後数十年供用される


C-5M Super Galaxy airlifter tankerパリ航空ショーで C-5Mスーパーギャラクシーの機内見学に列を作る来場者。 June 25, 2011. (AP Photo/Francois Mori)
  • ロッキード・マーティンが米空軍最大の機材C-5Mスーパーギャラクシー52機の改修作業を完了した
  • 改修の目玉は強力な新型エンジン
  • 改修は2001年に始まり同機は2040年代まで供用される

ッキード・マーティンによればC-5Mスーパーギャラクシー改修作業の最終52号機が空軍に引き渡され、ほぼ20年近くの空軍最大機の近代化改修が完了した。
同社が空軍向けの信頼性・改修プログラムReliability and Re-engineering Program (RERP) を開始したのは2001年のことで改修でC-5Mスーパーギャラクシー一号機は2009年2月9日に納入された。
以後17年に渡りC-5B49機、C-5C2機、C-5A1機が改修を受けたとロッキードは発表。改修で各機の供用期間は2040年代まで伸びると同社は述べている。
C-5 C-5M Super Galaxy Air Force landingドーヴァー空軍基地に着陸するC-5Mスーパーギャラクシー。 April 4, 2016. (US Air Force photo/Roland Balik)
70点に及ぶ作業で信頼性、効率性、整備性、稼働率をあげることをめざし、機体、機内環境装置、油圧空気圧系統、降着装置、飛行制御装置が変更された。
なかでもエンジンが強力になり、ジェネラル・エレクトリックTF-39を同社のF-138に換装した。新型エンジンは騒音が下がり、C-5Mは貨物搭載量が増えながら離陸距離は短くなった。
ロッキードは広報資料で「C-5Mスーパーギャラクシーは真の意味でグローバル戦略空輸機になった」と述べている。RERP改修で「推力が22%増え、離陸距離が短縮化され、上昇率は58%伸びた」とあり、改修でC-5Mの燃料効率が上がり、空中給油機の支援の出番が減ったとある。
C-5M Super Galaxy October 6, 2014. (US Air Force photo/Staff Sgt. Jeremy Bowcock)
C-5は全高65フィート、全長247フィート、翼幅223フィートで120千ポンド貨物を5,500マイル先に運べる。これはデラウェア州ドーヴァー空軍基地からトルコのインチリク基地への距離に等しい。しかも空中給油なしで。無貨物状態なら8,000マイル超を飛べる。
同機は標準パレット36枚までと兵員81名を、あるいは各種装備(戦車、ヘリコプター、潜航艇、装置、食料、救難品)を運べる。
米空軍にC-5A一号機が納入されたのは1970年で、1989年までにC-5A76機に50機のC-5Bが加わった。C-5Cは二機ありスペースシャトルの大型貨物コンテナー運搬用に1989年に納入された。
C-5近代化改修は1998年に企画されRERPが2001年に始まり、52機を2018年までに納入する目論見だった。残るC-5各機は2017年9月までに退役の予定だった。
だがC-5の前に行政手続きと運用両面で問題が立ちふさがっている。
予算強制削減のため、C-5の一部が予備機材扱いになっており、空軍の機材であるものの乗員も運用予算もない状態になった。2017年早々に空軍としては予備機扱いのうち少なくとも8機を第一線利用機材に変更したいとの発言も出ていた。
「機材を取り戻したい。現実の世界で問題が発生しており運搬能力が必要だし、保証がほしい」と航空機動軍団司令官(当時)カールトン・エヴァーハート大将が述べていた。
US Air Force C-5M Super GalaxyA C-5M Super Galaxy taxis down the flight line before takeoff at Dover Air Force Base, Delaware, August 17, 2015, US. Air Force/Roland Balik
その後、C-5で整備問題が発生し飛行が停止された。
2017年7月には航空機動軍団がドーヴァー基地配備のC-5の18機(12機現役、6機予備)を飛行停止にした。これは機首降着装置で60日で二回も作動不良が発生したためだった。その後措置は拡大され空軍の56機全機の飛行運用を停止し、保守整備状況を評価した。
問題はボールスクリューの組付けにあり、降着装置の伸展、引き込みがうまくできなかったのだ。ただし該当部品の製造は終わっており、空軍はディヴィス-モンタン空軍基地の「墓場」で保存中の機材から部品を回収した。
今年はじめに機首の降着装置で問題が再発し、空軍予備部隊所属のC-5Mがサンアントニオ-ラックランド共用基地への着陸時に完全に降着装置が伸展できなくなった。同機は機首から胴体着陸し滑走路の四分の三を横滑りした。事故原因は不明だったが機内の乗員11名は全員無事だった。

コメント:飛行機の墓場から部品改修ですか。ボールスクリューは3Dプリンターで製造できないのでしょうか。ボーイングはロッキードに超大型輸送機競合で破れ、その後に747が生まれたのでしたね。民間向けジャンボはもはや姿を見るのが難しくなっていますが、C-5は2040年代まで活躍するのですね。エンジン換装の効果は大きいようです。今後も供用するとしても補完するC-17も生産が終わっており、早晩次世代戦略輸送機の開発が必要になりそうです。

2018年8月16日木曜日

トルコへF-35は引き渡さない、トランプの決定と米トルコ関係の今後

Trump Blocks Fighter Jet Transfer Amid Deepening U.S.-Turkey Rift 米トルコ関係が荒れる中、トランプがジェット戦闘機引き渡しをストップへ

The decision is a blow to Ankara but could also complicate matters for Washington. 今回の決定はトルコに打撃だが、米国にも事態の複雑化につながる可能性も

BY LARA SELIGMAN | AUGUST 13, 2018, 6:08 PM


U.S. President Donald Trump speaks with Alan B. Norman, director and chief test pilot, and Marillyn A. Hewson, the chairman, president, and chief executive officer of Lockheed Martin, next to an F-35 at the White House on July 23. (Photo by Brendan Smialowski / AFP)
7月23日、ホワイトハウスへ持ち込まれたF-35の横でロッキード・マーティン会長兼社長兼CEOマリリン・ヒューソン、同社主任テストパイロット・アラン・B・ノーマンと話すドナルド・トランプ大統領(Photo by Brendan Smialowski / AFP)

ナルド・トランプ大統領が署名した国防政策法案ではトルコ向けのF-35計100機引き渡しを凍結する内容が含まれ、トルコでの米人宣教師拘束をめぐり悪化した両国の関係を反映したものになっている。


今回の決定はトルコ政府にさらに手痛い結果になる。トルコはトルコ産アルミ・鉄鋼製品に対する関税二倍増というトランプ決定で打撃を受けていた。トルコは今後10年かけて同型機導入を計画し、世界三位のF-35運用国になるはずだった。


ただし今回の措置で米国にも問題が複雑になる。同機の主要部品でトルコ企業も参画しており、国防総省推定ではトルコ企業を締め出し新たに信頼に足る部品メーカーを探すのに二年かかるとする。一方でF-35のエンジン補修作業のヨーロッパでのハブはトルコ北部のエスキシェヒルEskisehirだ。


トルコは米宣教師アンドリュー・ブランソンを約二年前から投獄している。軍事クーデターが失敗した後の大規模検挙の一環だった。トルコ政府はブランソン(トルコ在住20年間)はクーデター実行犯とつながりがあると主張。


トランプ政権は交渉で緊張緩和とブランソン解放を働きかけると見られる。だが交渉は先月物別れに終わったという。


トランプ自身は米トルコ関係醸成に配慮してきたが、裏切られたと感じ報復を目指しているとアナリスト陣は見る。


「トランプはトルコとの関係改善を目指して自身も相当力を注いでいた」とアトランティックカウンシルでトルコ情勢に詳しいアーロン・スタインは解説する。「だが今はトルコ側が合意を破ったと感じ、米国は最後通牒を出さんばかりの姿勢だ」


在ワシントン・トルコ大使館は今回の決定への言及を避けているが、トルコ大統領レジェップ・タイイップ・エルドアンはニューヨーク・タイムズへ寄稿しトランプによるトルコへの懲罰的行動は最終的に米国で逆作用を生むと警告。


「世界に悪がはびこる今、トルコへの一方的措置を米国が取れば両国間の長年に渡る同盟関係は逆に米国の利権と安全に悪影響を与えかねない」「一方的措置の流れを食い止め相互尊重を取り戻すことため我が国は別の友邦国同盟国を模索せざるを得ない」


これまでのところトルコ側に悪影響が出ている。トランプによる貿易課徴金値上げはトルコ製アルミ・鉄鋼製品を狙い、トランプはツイッターでこの措置を発表し、結果としてトルコ製品は米国内市場で姿を消し、トルコ・リラは先週金曜日に新たな底値をつけた。「この段階で事態がこうなったのは望ましくないが、大統領に別の選択肢がない」とリンゼー・グラム上院議員はツイッター投稿している。
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だがジェイムズ・マティス国防長官含め米政府高官にはトルコをF-35事業から締め出す措置に警句を示している。
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トルコは地政学上も重要なパートナーでありNATOの屋台骨でもある。さらに南部のインジルリク航空基地がイスラム国作戦含む中東方面への主要拠点だ。また米B61核爆弾の集積地としてヨーロッパでの核抑止力の重要要素だ。トルコはシリア再建でも西側の重要なパートナーであり、ロシアやイランが内戦で分断された同国を狙う中で無視できない存在だ。


F-35のトルコ向け販売が特に物議の的であるのは同国が高性能ロシア製S-400対空ミサイルの導入も目指しているためだ。関係者によればS-400をF-35やNATO防空網に組み入れると厳重に守ってきた米はじめ同盟側の軍事機密が漏れる可能性があるという。


「残念ながら今は両国指導者のエゴが前面に出ており、それだけ状況の修復が難しくなっています」とレキシントン研究所アナリストのローレン・トンプソンが説明する。同研究書はシンクタンクとしてロッキード・マーティンはじめ国防産業企業から資金提供を受けている。
トランプの署名で成立した法案には7,170億ドルで国防政策を実現する内容が盛り込まれトルコには抽象的だが、今後の議会審議で具体的内容が追加される可能性がある。


法案でトルコ向けF-35売却の凍結はペンタゴンが影響評価報告書を提出するまでとあり、とくにインジルリク航空基地での米軍作戦を意識しつつ米トルコ関係を全般的に俯瞰している。議会にはペンタゴンに対してトルコのS-400装備購入を再考させるよう求める動きもある。


国防歳出法原案の追加条項では戦闘機売却関連の予算措置を禁じており、原案は今後数週間以内に上程されるとみられる。


コメント:トルコがどこに向かうのか予断を許さない状況ですが、米国としてもみすみすロシアやイランに有利な状況を作りたくないはず。今回のF-35引き渡し拒否も永続的な措置ではなく、あくまでも条件つきですが、もともとトルコは最初からF-35共同開発国であり、ここにきて同国が排除されれば事業全体の進捗が狂いますから、水面下で両国は関係修復を図り、シンボルとしてF-35はトルコに引き渡されると見ています。ただしS-400は厄介な存在ですね。トルコが本当に同ミサイルを導入してもネットワーク接続を許されないのであれば意味がありませんし、サンプルを米国が入手して技術調査をするのでは。あくまでも推測ですが。

軍用機への転用は? ボーイングが極超音速旅客機構想を発表。

Hypersonic airliner "may not be as hard as people think": Boeing CTO 

超音速旅客機は「みなさんが考えるほど困難ではない」とボーイングCTOが語る


Boeing

10 AUGUST, 2018
SOURCE: FLIGHTGLOBAL.COM
BY: STEPHEN TRIMBLE
WASHINGTON DC

超音速旅客輸送はサイエンスフィクションとされることが多く、実現可能と見る向きは少ない。だがボーイングはその実現に向け動いており、しかも真剣だ。
「実際には考えられているほど実現は困難ではないかも」とボーイング最高技術責任者グレッグ・ヒスロップGreg Hyslopは、すかさず「難しいのは事実」といい添えた。
同社は極超音速旅客機構想を6月26日発表し、7月のファーンボロ航空ショーでも再度お披露目している。
超音速飛行の選択肢さえ2003年以来消えた業界で極超音速飛行を20-30年以内に実現させる提案は野心的と愚行の中間といえよう。
だがボーイングはスピード、素材、推進機関の組み合わせを見つけ、マッハ5で飛行可能な航空機は技術的に実現可能であり、商業的に利益を上げる事態が2040年頃に生まれると主張する。
さらに超音速飛行につきものの問題の解決方法も見つかったと同社は言う。M5.0程度で巡航する機体は高度90から95千フィートを飛ぶ。乗客は宇宙服を着用せず完全密閉された予圧客室に座る。そこで何らかの予圧が破られる事態が発生すれば大変なことになる。
「その事態は承知しており、対応を考えてみました」とボーイング上席技術研究員で極超音速技術の主任研究をつとめるケヴィン・ボウカットKevin Bowcuttが述べる。「全く新しい方法で客室内予圧を維持します」ボウカットはこれ以上詳しく説明してくれなかったが、減圧問題に技術的解決策があるとのことだ。
ボーイング構想の最高速度はマッハ5で極超音速の定義にあうが、それが理由ではない。ボーイングの解析では現在入手可能な機体構造、推進手段、燃料技術の限界はM5.0だという。
「現在使える技術や設計ツールで実現可能です。新規投資は不要です」(ボウカット)
一例がエンジンだ。M6.0機では超音速燃焼用のラムジェット(別名「スクラムジェット」のエンジンが必要だが、長年の研究開発にもかかわらず技術は成熟化していない。M5.0機ならその他の推進方法が使えるとボウカットは言う。
空気取り入れ式エンジンを搭載した歴代の有人機で最速機体はロッキード・マーティンSR-71Aでマッハ3.2をプラットアンドホイットニーJ58に基で実現した。同エンジンはターボラムジェットと呼ぶ特殊構造でM2まではターボジェットとして、その後は圧縮機からの空気をダクト誘導アフターバーナーへ送った。ラムジェットと構造が似た構造だ。
ボーイングの極超音速旅客機もターボラムジェット方式でJ58に手を入れたものを使うとボウカットは述べる。M2超で燃焼器の周囲に空気の一部を誘導するが、ボーイングでは高速度でエンジンコア周辺の空気の流れ全部をバイパスするのだろう。
ボウカットは極超音速機に詳しい。「X-51の父」と呼ばれる本人は1995年に同機を設計し、その後空軍研究開発本部が資金提供した。X-51ではJP-7燃料を使い、SR-71Aで使ったケロシン系の組成は同じだが燃焼系と冷却系の双方で用いる。ごく超音速旅客機はM5.0超の飛行は想定しないため、JP-7は不要とボウカットは述べる。標準ジェット-A燃料、液体メタンやそれらの複合燃料が民間機に使えそうだという。
またボーイングがM5.0を選んだのは機体構造材料の単純化のためだ。熱吸収式の特殊素材としてセラミック複合材やチタン合金が今日でも機体やエンジンに使われており表面温度は600°C (1,100°F)まで耐える。
M5.0だとM0.8程度で飛行する今日の旅客機の625%の速度となるとボウカットは説明。高速になればそれだけ困難な点があり、得られる成果も減る。たとえばM6.0機はボーイング構想より速力が2割しか伸びないが、チタンではなくニッケルが必要となりターボジェットではなく実証がまだのスクラムジェットが必要となる。
スピードが6倍になれば超音速旅客機の商業的価値も増える。
ヒスロップは極超音速飛行を超音速機のブリティッシュエアロスペース/エアロスパシアルのコンコードと比較する。コンコードは大西洋横断飛行を一日で二回こなし、クルーはそのまま乗務した。ただしブリティッシュ・エアウェイズエール・フランスともにこの利点を活用しなかった。これに対して極超音速旅客機は大西洋横断を一日四五回クルー交代なしで行えるという。機体の活用度を理由にエアラインは超音速飛行に超音速飛行より魅力を感じるはずという。
「これで経済面で意味が出る」とヒスロップは言う。「同じ機体を何回使えるかが経済性の鍵で高速飛行に可能性があり、大きな魅力の源になるかもしれません」■

コメント ボーイング発表の構造図では客室窓が見えますが極超音速機に窓が必要なのでしょうか。JALも出資して超音速機開発が進んでいると言われますが一気に極超音速機へ向かうのでしょうか。当然軍用機への転用も考えられますね。

2018年8月15日水曜日

CNN報道への反論から見える中国のねじまがった解釈と考え方

環球時報の原文を英訳したとのことですが、中国の考え方がよく分かる記事です。「盗人猛々しい」とはまさにこのことではないですか。航行の自由という概念がなければ当の中国も経済活動を維持できなくなります。自国に都合の悪い事実報道はシャットアウトしてねじまがった信念と「愛国心」で権力基盤の危機を乗り越える動きがこれからの中国で顕著になりそうですね。面白いので記事をそのまま日本語にしてみました。 

Former defense spokesman: US military and CNN jointly make show in S. China Sea 元国防省報道官「米軍とCNNは結託して南シナ海でショーを演出した」

Source
Editor
Huang Panyue


CNNブレイキング・ニュースは8月10日に米軍機にCNN記者が同情し南シナ海上空を飛行中に中国軍から6回にわたり警告を受けたと報じた。
ただし中国国防省(NMD)報道官を務めたYang Yujun(現中国传媒大学学長)によればこれは臨時ニュースでなく米軍とCNNが演出したショーだという。
CNN報道では飛行中に乗員が6回にわたり中国軍から警告を受け、中国領土上空から退去を求めてきたという。「直ちに立ち去り誤解を避けよ」と中国軍が述べている。
「前回CNNが米海軍機に同乗し南シナ海上空を飛んだ2015年9月にも中国軍が警告を発してきた」とCNNは伝えている。「それ以来中国による人工島構築は一層早いペースで進んできた」
これに対しYang Yujunは米軍が南シナ海上空で米報道機関と挑発行動に出たのは中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国が南シナ海における行動規範(COC)を巡る交渉で一定の進捗を見た中でのことと指摘する。「米国が南シナ海状況をめちゃくちゃにしようとしているのは明らかでCOCも台無しにして中国と南シナ海周辺国の関係を壊そうとしている」
報道で出た「米軍機への中国軍からの警告六回」についてYangは「米側には中国の出方はわかっていたはず。どの主権国家でも国境を守る沿岸防衛部隊は同じ行動を取り、もっと厳しい対応をすることがある」
「米軍機は招待されて中国領空内を飛行したのではないので、中国として警告を出して何が悪いのか。中国機がハワイ上空を飛行したら米軍はどんな対応をするのか」
Yangはトランプ大統領が「国民の敵」と呼んだCNNが「フェイクニュース」で知られていることを指摘しつつ、それでも米軍がCNNを指名し南シナ海の緊張を高めていると指摘。米軍は自国大統領の気持ちを考慮していないのだろうか。■

Disclaimer: The author is Guo Yuandan and Liu Yang, reporters with the Global Times. The article is translated from Chinese into English by the China Military online. The information, ideas or opinions appearing in this article are those of the author from the Global Times and do not reflect the views of eng.chinamil.com.cn. Chinamil.com.cn does not assume any responsibility or liability for the same. If the article carries photographs or images, we do not vouch for their authenticity.

中国の大型駆逐艦055型の狙いは? 米海軍は同大綱するのか


8月になると平和の合唱が日本で始まりますが平和とは祈って実現するものではなく、残念ながら暴力(を使わないこと)で実現しているのが現状で各国とも技術の進化に合わせ装備を更新しています。これが現状であり、兵力がなければ平和が実現するという空想は実現しないと覚えておくべきでしょう

Could China's New Destroyer 'Sink' the Navy?No need to worry? 中国新型駆逐艦は米海軍を「沈め」られるのか。心配する必要があるのか

August 13, 2018  by Robert Farley

国の新型055型駆逐艦への対抗策は米国にあるのか。その必要性はあるのだろうか。
7月3日に大連で大型新造艦二隻が浸水し、報道では同型艦24隻を建造するとある。アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦を上回る大型VLS発射管を備えている。
米海軍では巡洋艦が老朽化しており、大型巡洋艦建造を真剣に米国も検討すべきだろうか。
055型駆逐艦は大型艦で排水量は13千トンを上回りそうで垂直発射管(VLS)は112セルあり、さらに130ミリ砲、各種センサー類、防御装備を搭載する。ズムワルト級駆逐艦を除けば世界最大級の戦闘艦だ。建造隻数予想は最小6隻、最大24隻とあるがPLANでのはたらきぶりで変わるだろう。
米国の反応
米国でタイコンデロガ級の後継巡洋艦の開発が遅れている。同級は055型より小型だ。ズムワルト級DDG-1000は三隻で終わり、055型と同様の機能はない。オバマ政権でCG(X)建造計画が中止されたのは費用試算が過大になったためで海軍はアーレイ・バーク級の追加建造で対応し弾道ミサイル防衛機能を搭載する。しかしアーレイ・バーク級フライトIII以外に米海軍に大型艦の建造計画は長期的に存在しない。当面はFFG(X)建造が米海軍調達活動の中心で沿海域戦闘艦の短所が露呈したことでLCSとアーレイ・バーク級の中をつなぐ艦となることを期待されている。
だがタイコンデロガ級は耐用年数が切れる時期に近づきつつあり、DDG-51級の初期建造艦で同じ状況だ。一部にLPD-17の艦体を利用した巡洋艦構想があり、エネルギーの大規模生産、モジュラー化、各種装備の搭載を主張する向きがある。ただしLPD-17は大型だが低速で空母戦闘群と行動をとれない。既存のズムワルト級をもとに巡洋艦的艦船の建造を主張する向きもある。だが海軍は大型水上艦艇の将来で決定を下していない。
ニーズは?
だが中国艦に匹敵する新型艦のニーズは実はないに等しい。米海軍の現行巡洋艦、駆逐艦は055型と同じ任務をこなしている。ただし055型がVLSセルで上回る。また艦船が単独で戦う時代は終わっている。
米中で開戦となれば米海軍は空、水上、水中で各種装備を展開しPLAN最大級の艦船を追尾破壊するだろう。055型でVLSセルが増えセンサーも搭載されたためPLANの実戦能力が高まったのは疑いないが、中国は空母除けば米海軍の個別艦船をねらうことはない。同様に米海軍も055型撃破を潜水艦や空中発射巡航ミサイルでねらっても水上艦から狙うことはない。そうなると問題は「米国は055型に対抗できるか」であり「どの艦体を使えば055型と同じ性能を一番簡単に実現できるか」ではない。技術面で各種進展があり(VLS、発電容量、センサー能力、さらにレイルガンやレーザー)、ふたたび艦の大きさが議題になるはずだ。055型はこうした新技術の恩恵を実現すべく中国が考えたものであり、米ズムワルト級に匹敵する存在だ。ただし残念なのは中国艦のほうがこれから長期に渡り活躍する成功作になりそうなのに対して米側艦はそうではないことだ。
まとめ
そこで「055型に対応策は米国に必要なのか」との問いへの簡単な答えは「中期的には不要」だが、詳しく答えれば次世代大型艦艇の設計建造で方針を固める必要が米海軍にある、となる。タイコンデロガ級の老朽化はまったなしで新型大型艦のニーズでギャップが広がるが、大型艦は055型と直接交戦する必要はない。中国は大型艦ならではの効率を求めたのであり、中核技術の伸展が背景にある。米海軍も技術進歩の成果を活用すべきであり、055型と直接対抗しないとしても長期建造計画を真剣に検討すべきだ。■

Robert Farley, a frequent contributor to the National Interest, is author of The Battleship Book . He serves as a senior lecturer at the Patterson School of Diplomacy and International Commerce at the University of Kentucky