2021年10月3日日曜日

米海兵隊F-35Bの運用テストを開始した海自は、英海軍とも協力関係深化をめざす。将来日米英で艦、機材の相互利用体制が生まれそう。警戒する中国は国内反対勢力に火をつけ、集団安保反対の論調を張らないか。

海上自衛隊は今後も「ヘリコプター護衛艦」の名称を使うのでしょうか。米海軍でも強襲揚陸艦を空母として利用しても揚陸艦のままの呼称なのであながちこれが間違いとはいえないのですが。


第一期改修後のいずも youtubeより

 

 

海兵隊のF-35Bが海上自衛隊のいずも(DDH-183)に搭載される。海兵隊機材で日本は自国発注のF-35Bの導入前運用を試すことになる。とくに今回はいずも改装後の運用能力を試す。

 

防衛省発表では海兵隊機材は10月3日から7日まで艦上運用される。固定翼機の空母運用は日本では第二次大戦終了後初めてとなる。いずも(排水量24千トン)はこれに先立ち岩国基地へ回航されていた。

いずもには海兵第一航空団海兵航空集団12の機材が搭載される。同集団には飛行隊二つがあり、うち海兵戦闘攻撃飛行隊121(VMFA-121)「グリーンナイツ」が2012年11月にF-35Bを配備され、初期戦闘能力(IOC)を2015年に獲得しており、岩国基地には2017年1月に移動してきた。同飛行隊は海上でのライトニングII運用の経験も重ねており、2018年3月に強襲揚陸艦USSワスプ(LHD-1)にF-35B6機を展開している。

 

2020年10月に岩国基地にVMFA-242「バッツ」が加わり、今年9月にIOCを宣言した。

 

このうちVMFA-121の機材がいずもに搭載される。海兵隊では同様に英海軍空母HMSクイーン・エリザべス、イタリア海軍空母カヴール(写真下)でもF-35B運用を行ってきた。

 

いずもは2隻ある同級の一番艦ヘリコプター空母として建造され、当初は回転翼機専用艦となっていた。ただし、発注時から固定翼機運用も想定しており、二隻は第二次大戦後の日本で最大規模の艦となった。

 

今年夏、いずも飛行甲板の改装が完了し、同艦はF-35B運用に対応可能となった。中でも耐熱塗装によりF-35Bの推力偏向型エンジンの高温排気に対応するほか、照明設備も変更された。

 

ただしF-35Bの運用をねらった今回の改修に続き、さらに飛行甲板の改装が控え、末端の形状で四角形になる。内部もF-35B用の補給物資、整備作業を念頭に改良される。また航空燃料、弾薬類の貯蔵区画を加える。

 

いずも級にスキージャンプ方式の離陸用ランプをつけるのではとの観測があった。英、伊両海軍艦にはこれがついている。だがこれは実現しないようだ。また後方エレベーターと格納庫スペースはF-35Bの移動に対応しているようだ。いずもの飛行甲板長からSTOVL機運用には制約がつくようで、海兵隊機では軽武装の上、極めて短い発艦を求められそうだ。

 

最終的に同艦には共用精密誘導着艦システムJoint Precision Approach and Landing System (JPALS)が導入される。JPALSは固定翼機、ヘリコプターのアプローチ、着艦を支援し、すでに米海軍で大きな効果を上げている。

 

一連の改修がいずもで完了するのは2026年の予定だ。二号艦かがも同様の改装を受ければ、海上自衛隊でF-35B運用に対応する艦艇が二隻そろうことになる。通常の整備や訓練のサイクルを考慮しても作戦能力が大幅に増強される。整備は5年周期で行うのが通常だ。

 

日本のF-35整備計画では157機導入し、うち42機をF-35Bとする。これまでのところうち8機の契約が成立しており、宮崎県新田原基地への導入は2024年度に行われる。令和4年度予算要求にさらに4機調達予算が計上された。F-35Bは航空自衛隊が運用する。

 

 

いずも級空母に米海兵隊機が定期的に搭載される可能性がある。これは英海軍艦艇に英軍保有機がそろうまで海兵隊機を搭載するのと並行する。ただ、英国が当初予定通りのF-35B導入できるか不透明な中で、海兵隊機搭載は長引く可能性も出てきた。

 

日本が海兵隊の「ライトニング空母」構想を参考にする可能性もあろう。これは強襲揚陸艦にライトニング戦闘機を搭載するもので、いずももこの構想の影響を受けているといえる。

 

米軍との共同作戦体制を敷く日本は英国とも同様の動きをめざし、英国がアジア太平洋に戦略中心を移動させるのに対応する。両国でF-35Bが供用されれば、英軍機が日本艦から、あるいはその逆の状況が生まれてもおかしくない。

 

日本が固定翼機運用空母を実用化することは中国人民解放軍海軍の増強に対抗する意味があり、中国の空母、強襲揚陸艦部隊の著しい拡充が視野にある。海上自衛隊に任務部隊が生まれれば、艦載F-35Bによるスタンドオフ対艦ミサイル攻撃能力も実現し、徳に揚陸部隊の迎撃に有効となろう。

 

F-35Bの艦載運用により有事の際に運用面で柔軟性と生存性が増強され、陸上基地の脆弱性を相殺できる。F-35B搭載艦が尖閣諸島付近に展開すれば、日本領土への兵力投射を困難にできる。

 

これまで日本では憲法の理念を受けて防衛を旨としてきたため、固定翼機を運用し、攻撃的性格の兵装を運用する空母の取得は困難とされてきた。いずも級各艦が「ヘリコプター駆逐艦」の区分となっているのはまさしくこのためである。ただし、中国や北朝鮮の脅威の高まりを念頭に、考え方にも変化が生まれており、将来はF-35Bが日本の空母から普通に運用される日が来れば、新しい防衛上の現実のシンボルとされよう。■

 

Marine Corps F-35s Are About To Be The First Fighters To Fly From A Japanese Carrier Since WWII

Next week, F-35B stealth fighters are due to go aboard the newly modified Japanese carrier Izumo for the first time.

BY THOMAS NEWDICK OCTOBER 1, 2021

2021年10月2日土曜日

AWACS機E-3の廃止がいよいよ迫ってきた。米空軍はE-7ウェッジテイルに注目するが、本命は宇宙配備レーダー衛星群の整備だ。



E-3 セントリーが「タッチアンドゴー」訓練をしている。963空中指揮統制飛行隊の機体。ヒル空軍基地(ユタ)で、2021年8月31日。963飛行隊はアジャイルコンバット演習でヒルAFBに移動してきた。(U.S. Air Force photo by R. Nial Bradshaw).

 

 

空軍の最重要機材は民間エアラインでの運用が終了して久しく、今や老朽化し維持が困難になっている。航空戦闘軍団トップが記者団に明かした。E-3空中早期警戒指揮統制機(AWACS)の原型ボーイング707は米エアラインでの旅客輸送を1983年に終了しており、世界でもイランのサハエアラインズ機が2019年に墜落し運用中の機体は皆無となった。

 

その高機齢707が米軍に重要戦闘情報を提供している。直径30フィートのレーダード-ムを機体上部につけたE-3AWACSは敵味方の機体・艦艇を追尾しながら、地上司令官に情報通信を提供し続ける。だが老兵E-3の運用継続にこれまで以上の手間がかかっている。

 

「だから世界で707を運用するエアラインは皆無なのだ」と航空戦闘軍団司令マーク・ケリー大将が空軍協会主催カンファレンスで語った。ケリー説明では707に搭載するTF33エンジンが難題なのだという。

 

1957年に原型が飛行した707同様にTF33エンジンも相当古く、1959年に初めて飛行に用いられている。AWACSの登場は1975年だ。機体運航を継続できているのは奇跡に近いと同大将は述べた。

 

整備陣が尽力するものの、2011年以来、同機では稼働率目標を達成したことがないと、2020年の米会計検査院(GAO)報告にある。原因の一つに交換部品の在庫がないことがあるという。

 

「規模が少量すぎて部品メーカーも製造再開したくない関係者が言っている。さらにE-3エンジン部品もサプライチェーンが『冷え切り』民間業者での製造も止まったままだ」とGAOはまとめている。

 

ケリー大将もこの点で同じ見解だと席上で述べた。

 

「部品手当に苦労している。6,800機も運航中の737と対照的だ。737部品は各地にあり、フランクフルトでもどこでも要員を派遣すれば手当可能だ」

 

The Air Force flies these planes daily. Here’s why civilian airlines won’tオーストラリア空軍のE-7Aウェッジテイル、イラク上空。 April 2, 2020. (U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Daniel Snider)

 

 

E-3のほかにも米空軍には長年活躍する機体がある。なかでもB-52ストラトフォートレス爆撃機では最後の完成機は1962年製で、空軍は2050年代までは同機を稼働させるべく、26億ドルで76機にロールスロイス新型エンジンに換装させる。だがE-3には同様の対応はなく、代替策が浮上してきた。

 

ボーイング737の初飛行は1967年で現在も新型機が製造中で、パーツ供給は707より堅固かつベースが広い。米軍でも737は輸送機として空軍が、支援機として海軍が供用している。同機にE-3を交代させる案がある。実際にE-7Aウェッジテイルは737原型の早期警戒統制機で王立オーストラリア空軍が10年近く運用しており、米国でも導入の動きがある。

 

「E-7により空の状況把握が進めば第五世代戦闘機の威力を増強させ、第四世代機はより長く威力を発揮できるようになる」とケリーは見ている。

 

米空軍でE-7を待望するのはケリー大将だけではない。太平洋空軍司令のケネス・ウィルスバック大将もウェッジテイルの早期導入を提唱している。E-7はより新しい機材でスペアパーツ供給でも心配はなく、小型で燃料消費効率も優れながら、E-3のレーダーより進んだレーダーを搭載する。

 

ケリー大将のボス、空軍参謀総長チャールズ・「CQ」ブラウン大将も耳を傾けているようだ。ブラウンからは空軍は「内部検討」をE-7に対して行っており、運用中のオーストラリア、英国と連絡を密にしている。


ただし、米空軍がウェッジテイル導入を決めたとしても、同機はつなぎにすぎず、空軍は宇宙空間での移動目標追尾監視システムの導入をめざしている。

 

宇宙軍トップ、ジョン「ジェイ」レイモンド大将からレーダー衛星群で地上移動目標の追尾をし、空中待機機より広い探知範囲を実現する構想が5月に発表された。レイモンド構想では地上目標の追尾のみを対象にしていたが、ブラウンは空中の監視も可能だと説明している。

 

宇宙配備装備の稼働までは時間がかかりそうだ。またE-7の正式採用の話がいつ出てくるのかも見えない。だがE-3の残り稼働期間はいよいよ終わりが見えてきたようだ。■

 

The Air Force flies these planes daily. Here's why civilian airlines won't


"There’s a reason why zero, exactly zero, airlines on the planet operate the 707."

BY DAVID ROZA | UPDATED SEP 28, 2021 9:26 AM

 

2021年10月1日金曜日

オーストラリア海軍の目指す原子力潜水艦はどう実現するのか。現実的な5案を比較してみた。



 

 

オーストラリアが原子力潜水艦取得をめざしているが、どんな選択肢があるのだろうか。以下五つが浮上している。

 

オーストラリアが原子力推進方式潜水艦建造をめざすと9月15日発表するや、その内容の観測が盛んとなった。AUKUSは18カ月かけを検討する。

 

発表後に出てきた情報は少ない。当然疑問が残る。オーストラリア海軍(RAN)が取得する原子力潜水艦はどんな型になるのか。

 

まず、同艦が英国あるいは米国設計となるのは確実なようだ。そこで、以下5案が想定される。

 

最初に来るのが米海軍、英海軍の既存設計の流用で、(1)ヴァージニア級 (2)アスチュート級、そのあとに次世代艦として(3)SSN(X)と(4)SSN(R)がある。最後に(5)として英米の既存技術の応用案がある。

 

英米技術の流用を最小限にした国産設計案がより大胆な選択となる。あるいは次世代艦として三国で同時建造する案もある。ただし、ともに現時点では可能性は低い。

 

その他としてフランスやインドの設計案を採用する選択肢もある。中古潜水艦の導入はどうか。あるいは旧型弾道ミサイル潜水艦(SSBNs) を攻撃型潜水艦に転用する構想はどうか。ただ今回の発表内容からはこうした選択肢はかけ離れており、今回はその可能性について言及しないこととする。

 

1. ヴァージニア級 – 信頼性実証済みの米製攻撃型潜水艦

筆頭に来るのが米海軍のヴァージニア級だ。性能面、装備の共通化が大きな利点で、米海軍としても乗員訓練や運航支援で協力を惜しまないはずだ。 Mk.48 ADCAP魚雷など米製装備品はすでにオーストラリア海軍が導入済みだ。

 

また垂直発射管システム(VLS)でトマホーク巡航ミサイルの運用が可能となる。オーストラリアはすでに同ミサイル取得に動いているが、水上艦搭載を想定している。ヴァージニア級への搭載は自然だろう。

 

ヴァージニア級のVLSにトマホークを搭載しないのなら宝の持ち腐れだ。VLSは現行のブロック-IV艦で12本だが、ブロック-Vでは40本に増える。ブロック-IVで十分に見える。ただし、ブロック-Vではその他性能も向上している。

 

ヴァージニア級案の課題はオーストラリア国内建造立ち上げのコストだろう。オーストラリアが米国建造艦をそのまま取得する案も取りざたされているが、共同声明では読み取れない。米国内建造所ではすでにヴァージニア級建造予定が入っており、あらたに建造施設をオーストラリアに準備することになる。

 

2. アスチュート級

 

英海軍アスチュート級は大まかに言ってヴァージニア級に相当する。艦体の大きさや性能が似通っているが、RANに魅力となる側面もある。まず、ヴァージニア級と異なり、建造用の工具類がそろっていることだ。英海軍建造の最終艦HMSアジンコートは数年後に完成する。そうなると製造用工具類はそのままオーストラリアへ搬送すればよく、費用時間面で節約効果が大きい。

 

さらにアスチュート級の運用は少ない乗員で可能だ。現行コリンズ級より大型だが長距離運用が可能となりながら、ヴァージニア級より運航乗員数は減る。(アスチュート級は98-109名、ヴァージニア級は135名程度、コリンズ級は58名)

 

アスチュート級の課題は原子炉だ。現行のPWR2原子炉は生産が終了している。新型PWR3あるいは米製原子炉を搭載できるが、事態が複雑となる。

 

オーストラリアがアスチュート級を採用すればRANのニーズに合わせる改修も必要だ。その内容としてソナーや米製兵装を搭載し、コリンズ級以後の動きにあわせることがあろう。トマホークは魚雷発射管で運用できる。

 

新世代のSSN(R)で新技術の採用が想定され、次の二つの選択肢になる。

 

3 & 4. 次世代攻撃型潜水艦

 

すでに始まっているSSN(X)、 SSN(R)双方の開発にオーストラリアが参画すれば一気に原子力潜水艦最先端の艦運用が可能となる。改良点には推進系、ソナー、ステルス、量子コンピュータ、無人水中機の搭載などがある。

 

開発を進める英米両国としては開発コスト負担を期待できればメリットがある。もちろん課題は時間枠だ。オーストラリアが必要とする新型艦は2040年代に就役している必要があり、コリンズ級はどう見ても2048年には退役している。SSN(X) 、SSN(R)開発は2030年代に入り本格化する。新型装備品の開発では時間通りに進まないことが多く、ましてや別の国が入り要求内容の追加があればなおさらだ。

 

一つ議題に上がっていないのが極超音速ミサイルだ。米海軍はこの装備導入に向かっており、英海軍も同様だろう。将来装備の運用はどちらの案で可能となるのか。

 

次世代艦は大型化に向かうと予想される。理由の一つに新型推進技術とステルス性能の向上がある。だが、潜水艦建造では大型艦は高くなるのが通常だ。

 

5. オーストラリア国産艦

 

自国設計ならオーストラリアは自国ニーズに対応できる。当然ながら英米の技術を採用する。その結果生まれるのは小型で低価格の艦だがRANは原子力推進の利点を享受できる。

 

もちろん、この選択肢のリスクが最大となる。艦艇設計人材がもともと少ないままで設計を進めることになる。この点は上記の選択肢でも共通するが、完全国産設計案で顕著だ。オーストラリアがSSN(X) や SSN(R)事業の技術陣を引き抜くことが可能だろうか。

 

今後の見通し

いずれにせよ、原子力潜水艦をオーストラリア国内で建造するには長期間の工期が必要だ。その間にコリンズ級は改修し運用を続けるのだろう。

 

RANは米海軍、あるいは英海軍艦のリースも検討するかもしれない。ロサンジェルス級、トラファルガー級艦で今後退役が予定されているものがある。核燃料がまだ残っており数年は運用可能だ。あるいは港湾に係留したまま訓練艦にもできる。あるいは英米艦にRANの潜水艦要員が乗り込む状況が普通になるかもしれない。

 

一歩下がって俯瞰すれば、RANにとって本事業は大規模になる。ただAUKUS協力関係により技術利用が可能となっているのが幸運な面だ。

 

最大の危険は作業工程にある。いずれの艦も優秀で悪い選択にならない。だが優柔不断、あいまいさを残したままだと遅延につながる。

 

RANの動向とは別に原子力潜水艦取得を目指す国が増えるだろう。さらにAUKUS潜水艦整備の狙いである中国はオーストラリアの挑戦を前に手を緩めることはないはずだ。■


The 5 Main Options For Australia's AUKUS Nuclear Submarine Deal

H I Sutton  29 Sep 2021

 

 

ヘッドラインニュース10月1日号続き(いずものF-35B運用実証、日英海軍協力、インド空軍Su-30が訪日し戦闘訓練を展開、中国無人機多数展示の珠海ショー)

 

ヘッドラインニュース10月1日号つづき

編集の都合上、最新ニュース以外も入ります。ご了承ください。★は後日、フル記事を掲載予定の注目記事です。


 

いずものF-35B運用実証が来週から

防衛省

防衛省は9月30日プレスリリースを発出し、いずもで10月3日から7日にかけ、太平洋上で米海兵隊機材を使い、F-35Bの運用検証を行うと発表した。同艦は現在、岩国海兵隊航空基地沖合にあり、海兵隊基地司令が同艦を訪問した。

 

 

日英海軍協力が深化へ

NAVALNEWS

日英両国はRAA相互アクセス合意を巡り交渉中で、二国間防衛協力の強化をめざしている。英国の太平洋シフトと日本の立ち位置が合致する。合意が成立すれば、両国は演習、訓練を定期実施できるようになる。

 

 

新型無人機各種が登場、珠海航空ショー

Defense News

貴州航空工業の WZ-7高高度長距離無人機の展示が注目される。WZは無人偵察機の意味。単発エンジンはロシア製を原型とする国産のようだ。大型の同機はRQ-4に匹敵する存在のようだ。またWZ-8超音速無人機も展示されている。ロケット二基を搭載し、宇宙空間近くで運用し、H-6N爆撃機から発射する。さらにGJ-11ステルス戦闘攻撃機のモックアップが注目を集めている。

 

★インド空軍Su-30が日本で空戦訓練を展開する

The Warzone

航空自衛隊はインド空軍Su-30を日本へ招き、空中戦闘訓練

を行う。もともと2020年、21年に予定していたがコロナウィルスのため順延されていた。両国は今年末までの実施で合意している。航空自衛隊にとってロシア、中国も供用するSu-30実機の操縦性等を直接体験できる意義は大きい。クアッドに加わる両国は航空基地の共用も実施する可能性もある。


2021年9月30日木曜日

ヘッドラインニュース10月1日号(米海兵隊新型ミサイル、ドイツへP-8A、B-21、オホーツク海上空のB-52、オーストラリア原潜の選択肢、KC-135を20機連続離陸させた演習)

 

ヘッドラインニュース10月1日号

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米海兵隊の新型対艦攻撃ミサイルNMESIS

Breaking Defense

海兵隊がForce Design 2030構想で高優先度をつける対艦ミサイルがNavy Marine Expeditionary Ship Interdiction System NMESISだ。8月にハワイ・カウアイ島沖合で実証を行い、退役艦艇に命中させたほか、C-130での輸送、積み下ろしも試した。10月にはキャンプペンドルトン駐留部隊にNMESISが配備される。その中身は既存装備品の組み合わせで、そのため迅速に実用化が可能となった。ミサイルはコングスバーグ製で共用軽戦術車両に乗せた。太平よに展開するのはもちろん中国が念頭だ。

 

 

ドイツ向けP-8生産の契約が成立

Defense News

ボーイングはドイツ海軍向けにP-8Aの5機生産を開始する。米海軍との契約が成立した。ドイツはP-3Cの代替機を早急に必要な事態になっている。米政府の積算で5機のポセイドン機体価格は11億ドルで、ここに諸費用を加え16億ドルとなる。ドイツ向け機材引き渡しは2024年開始とボーイングは発表している。

 

 

空軍参謀総長:B-21の公開は特別イベントになる

Defense One

ブラウン空軍参謀総長は試作型5機が同時に製造中のB-21レイダーについて、一般へのお披露目はB-2スピリットの際とは異なる形にすると述べた。B-2は初飛行の六カ月前にあたる1988年に初公開されていた。B-21は初飛行を2022年に行う予定のままだ。

 

 

北方領土付近でB-52にロシア戦闘機編隊が接近

Military.com

9月26日B-52H一機がオホーツク海上空択捉島近くでロシアSu-35S三機編隊によりインターセプトされた。太平洋空軍はB-52の所属、飛行目的地等を明らかにしていない。B-52はロシア領空に侵入しておらず、ロシア戦闘機編隊は同機をエスコートした。択捉島ではロシア軍が武装強化し、今夏に実弾演習も行っていた。あらたに対艦ミサイル、S-300対空ミサイルが同島に設置されている。

 

★オーストラリア原潜の選択肢とは

Naval News

AUKUSの枠組みでオーストラリアが調達する原子力推進攻撃型潜水艦の選択肢を大胆に予想した。①ヴァージニア級 ②アスチュート級 ➂④新型SSN ⑤オーストラリア国産設計艦となったが、その他英米艦のリース案も考えられる。

 

KC-135の20機を発進させる演習を実施か

The Warzone

9月29日フェアチャイルド空軍基地所属のKC-135で20機が連続離陸し、米国北部の各地に展開した。即応体制の演習と思われるが、20機が連続離陸したの初めてだ。今回離陸したKC-135で最新の機材でも60年前の製造だ。今回はMITO(最短間隔離陸)を試したとみられるが、冷戦時に実施されていたのと同じ方法だ。

 

 


北朝鮮の極超音速ミサイルの正体を推理する。

 A picture North Korean state media released of a weapon called the Hwasong-8, which it claimed carries a hypersonic boost-glide vehicle.

NORTH KOREAN STATE MEDIA

 

 

朝鮮が新型弾道ミサイルに「切り離し式極超音滑空体弾頭」をつけ発射に成功したと発表した。同国が公表した写真は一点のみで上に掲載した。火星-8と呼称し、分析が困難になっているが、今回の発射は南北朝鮮が新型ミサイルを相互に公開する中で新たな装備となった。

 

北朝鮮国営メディアは同ミサイルを「戦略兵器」と呼称しているが、通常は核兵器搭載装備のことを指し、北朝鮮のMupyong Ri から9月27日早朝に発射された。直後に北朝鮮国連大使Kim Songが年次総会で演説し、ミサイル発射は同国の「正当な権利」であると主張した。

 

南朝鮮の聯合通信は今回のミサイルは新型で、制御可能な再突入体を用いている可能性に触れている。「ソウル筋ではミサイルは200キロ以上飛翔し、高度は60㎞に達したとみており、これまで北朝鮮が発射してきたミサイルと異なる飛翔特徴を示したとしている」(聯合通信)

 

ミサイル発射時点で南朝鮮空軍のE-737ピースアイ空中早期警戒統制機が同国中部上空を飛行していたい。同機搭載の高性能アクティブ電子スキャンアレイレーダーがミサイルを追尾し、遠隔データを集めていたはずだ。

 

北朝鮮が火星-8の写真として唯一公表した写真では輪郭しか判明しないが、弾頭部分はかなり大きく、フィンがついていおり、なんらかの飛翔制御機能を示唆している。画像解析の専門家が弾頭部分の解明を目指したが結論は出ていない。もちろん、公表画像が編集されている可能性もある。

 

仮に写真が本物なら、形状から中国のDF-17極超音速滑空体に極めて類似している。あるいは大型制御可能再突入体MaRVかもしれない。

CHINA MILITARY

中国はDF-17モックアップを2019年の軍事パレードに動員した。

 

無動力でブースト後滑空する飛行体ではロケットブースターで適性高度速度を実現してから滑空体を切り離しマッハ5以上の極超音速で標的に向かう。高度の制御性を確立するため大気圏内での飛翔となる。

 

速度、制御性、飛翔特徴を実現し、極超音速兵器は防空側には追尾、迎撃が課題となる。さらに高性能MaRVが加わると通常の弾道ミサイル対応と全く異なる。まず、防空側の対応時間が問題となる。

GAO

通常の弾道ミサイルと極超音速ブースト滑空体の飛翔経路の違い。

 

MaRVも同じ機能があるが、一般に制御の自由度は低くなり、弾道軌道を中間段階でとることが多い。最終段階では「イルカ状」あるいは「スキップ=グライド」で急に上昇し、「ステップ」で下降軌道に変更する。これにより弾頭は不規則な飛翔経路をとりつつ、修正を加えながら飛翔距離を拡大し、迎撃を困難とする。

CHINESE INTERNET

中国の短距離対艦弾道ミサイルでのイルカに似た飛翔経路、スキップーグライドの飛翔パターン。

 

今回の火星-8が搭載した飛翔体がこの通りの機能を発揮したのかは不明だ。最も基本的な極超音速ブースト滑空体でも複雑なシステムとなり、北朝鮮では対応できないはずだ。

 

画像では火星-8の一段目ロケットモーターの構造がわかり、中央に大型ノズルがあり、周囲に小型ノズル多数がついている。火星シリーズのミサイルは液体燃料方式で共通している。北朝鮮国営通信では改良型「燃料カプセル」を採用し、飛翔が安定したと伝えており、燃焼時間が伸びているのかもしれない。液体ロケット燃料は不安定で腐食性が高いので取り扱いは危険で、燃焼時間も制約される。また発射前に燃料を注入するため、運用の柔軟度が低くなり、敵攻撃に対し脆弱となる。

 

今回の火星-8用ロケットモーターに似た構造が火星-12中距離弾道ミサイル(IRBM)、火星-14大陸間弾道ミサイル(ICBM)に見られる点が興味深い。ここから火星-8の第一段が各ミサイルと関係している可能性が浮上する。またMupyong Riは火星-14の試射(2017年)が行われた場所でもある。

 

 

火星-12あるいは-14はともに大型弾頭を打ち上げる性能がある。また北朝鮮は通常はペイロード重量のため射程距離を犠牲にしてきたことにも注意が必要だ。それは同国の主敵たる南朝鮮が近い距離にあるためで、言い換えれば中距離ミサイルは大型ペイロードへ換装できることになる。そのためミサイル各種でペイロードの大型化が注目される。

 

火星-8の正確な姿がどうであれ、また今回のテストが成功裏に終わったのかとは別に、北朝鮮が巡航ミサイルやその他新型ミサイルとともにミサイル技術を誇示したのは事実だ。ピョンヤンとしては各種装備を開発し南朝鮮及び米軍の防空ミサイル防衛網を突破するのを目標に今回は極超音速ブースト滑空体あるいは大型MaRVにより戦力拡充を狙っているのだろう。

 

火星-8の発射は南北朝鮮間の武器開発レースの最新の出来事となった。今回のテストと同日に南朝鮮報道機関から韓国防衛開発庁(ADD)が新型弾道ミサイルに6トンの弾頭でテストし、さらに7-8トン弾頭開発を目指していると報じた。ここ二週間で北朝鮮も新型地上発射型長距離巡航ミサイル、鉄道貨車発射式弾道ミサイルを試射している。南朝鮮からは高性能ミサイル開発として潜水艦発射式弾道ミサイル、地上発射式弾道ミサイル、超高速対艦巡航ミサイルが公開されている。

 

北朝鮮がこれまでと同様の動きを示せば、今回の新兵器について公式発表や画像が公表されるはずで、同装備品の性能を推測する材料が出てくることを期待したい。朝鮮半島をめぐる最近の情勢を考えれば、南からもミサイル関連情報の公表があるだろう。■

 

North Korea Claims To Have Tested A Hypersonic Missile

 

The only image supposedly from the launch shows what appears to be a big finned nose section on a large rocket booster.

BY JOSEPH TREVITHICK SEPTEMBER 28, 2021

 


2021年9月29日水曜日

ヘッドラインニュース9月30日号 <極超音速ミサイルをめぐる話題x3、アルゼンチンがJF-17をパキスタンから調達か>

 

ヘッドラインニュース9月30日号

編集の都合上、最新ニュース以外も入ります。ご了承ください。★は後日、フル記事を掲載予定の注目記事です。


 

北朝鮮が極超音速ミサイル発射実験に成功と主張

The Warzone

北朝鮮は新型弾道ミサイルを打ち上げ、「極超音速滑空体を切り離した」と発表した。同国は写真一枚のみ公表し、同ミサイルを火星-8と説明している。この数週間で南北朝鮮でミサイル開発をめぐる競争が激化しているところで新型ミサイルが登場した格好だ。(この記事は別途ご紹介します)

 

ボーイングが極超音速ミサイル用パイロンをB-1に追加し来年からテスト開始

Alert 5-Abilne Reporter News

ボーイングはB-1に極超音速ミサイル運用能力を付与する改装作業を行う。ミサイル二発を運用可能とする「負荷適応型モジュラー」構造のパイロンを追加する。滑空型、空気吸い込み式双方の極超音速ミサイル運用を想定しているという。

Graphic: Boeing

 

DARPAがスクラムジェット方式極超音速ミサイル発射に成功

AVIATIONWEEK

レイセオンの空気吸い込み式極超音速ミサイルが先週飛翔実験に成功していたことが判明した。Darpaが主導し開発を進める空気吸い込み式ミサイルは2020年代後半に米豪両国で実用化を目指す新型巡航ミサイルの出発点となる。レイセオンはノースロップ・グラマン製作のスクラムジェットを統合した。マッハ5の速度達成は2013年のX-51(ボーイング/エアロジェット・ロケットダイン共作)以来となった。

 

 

アルゼンチンが取得めざすJF-17を英国の妨害なしで同国に納入できる?

Defense News

これまで各種戦闘機の調達が実現してこなかったのは英国の妨害によるものだが、今度ばかりは英国の手も及ばないかもしれない。アルゼンチンは22年度予算に664百万ドルを計上しJF-17計12機をパキスタンから導入する。ただし、アルゼンチン当局は慎重だ。これまでもミラージュF-1M、クフィールの導入話があったが、英国の拒否にあい実現しなかった。だがJF-17では英国も影響力を行使できない。

 

 

 

 


2021年9月28日火曜日

米軍は超小型原子炉開発をここまで進めている。背景に膨大な電力需要があるのだが、前方への原子炉配備には懸念の声もある。原子炉だけでは電力供給できないので、超小型でもシステムとしては大掛かりになるはず。

 

米国防総省が実用化を目指す超小型原子炉の開発状況をAPが伝えているので紹介します。


国防総省は高性能移動式超小型原子炉の試作型をアイダホ国立研究施設内に設置する。


国防総省は環境インパクト調査案へのパブリックコメント募集を開始した。超小型炉の出力は1-5メガワットだが、電力需要は今後増大する想定だ。


「安全、小型かつ移動可能な原子炉により需要増大に応えつつ、カーボンフリーのエナジー源はDoDの燃料ニーズを増加させないまま、遠隔地や過酷な環境下での作戦展開を可能とする」(国防総省)


環境インパクト原案ではジョー・バイデン大統領が1月27日に出した大統領命令で国家安全保障で気候変動を優先事項とするよう求めていることを超小型原子炉推進の理由としている。代替策として風力や太陽光があるが、設置場所、天候条件等で制約がありながら、需要に応えるため大量設置が必要となると原案は指摘している。


国防総省によれば米軍の年間の総電力使用量は30テラワット時で毎日10百万ガロン(37.9百万リットル)の燃料を消費している。各基地にディーゼル発電機を設置するのは運用上で制約を生む。また電動車両の増加により電力需要は今後拡大すると予測している。同省では無人機、レーダーなど新装備品がエナジー消費を増やすとも指摘する。30テラワット時とは小国の年間電力需要を上回る規模だ。


環境インパクト分析で各地の電力網依存を減らす必要を訴えているのは自然災害、サイバー攻撃、国内テロ活動や保全体制の不備で停電が長期化するリスクを回避するためだ。


アイダホ国立研究施設はエナジー省の890平方マイル(2,305平方キロ)におよぶ敷地内にあり、高地砂漠地帯で近隣都市アイダホフォールズから50マイル離れている。試作炉のテスト運転はすべてここで行われる。


国防総省は最終環境インパクト評価と開発の可否決定は2022年早々に行いたいとしている。承認されれば、アイダホで試験の準備をし、三年以内に超小型炉を製造・試験する。


超小型炉の設計は二案あり、ともに初期段階にあるため国防総省は詳細面を明らかにできないものの、ともに高温ガス冷却式で濃縮ウランを燃料の原子炉だという。


高温に耐える濃縮ウラン燃料により「設計が簡略化しながら安全性を担保できる」との記述が環境インパクト原案にある。


国防総省によれば超小型炉は搬送後3日以内に電力供給が可能となり、運転終了後7日以内で撤去し移動可能となる。■


US Military Eyes Prototype Mobile Nuclear Reactor in Idaho

24 Sep 2021

Associated Press | By Keith Ridler



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