2022年11月22日火曜日

オスプレイのギアボックス問題に真剣に取り組む米空軍。傍観する海兵隊、海軍、陸上自衛隊

 

 

  • 空軍は新型ギアボックス・アセンブリの導入を検討

  • 海兵隊、海軍、日本は米空軍に追随していない

 

 ル・ボーイングV-22オスプレイで、運用側はギアボックス内で起こる現象を回避しようとしてきた。スプラグクラッチsprag clutchが滑ると、エンジンにダメージを与え、飛行の安全性に影響を及ぼす可能性がある。

 8月中旬、米空軍特殊作戦司令部(AFSOC)は、CV-22をノルウェー遠隔地に不時着させた。この事件を受け、AFSOC司令官ジム・スライフ中将Lt. Gen. Jim Slifeは、「スプラグクラッチ現象が同機を不時着させたのなら、他の事故も引き起こす可能性があるのではないか」と問いかけている。また、この問題への理解が深まるにつれ、たとえ滑りの根本原因が不明でも、安全性を向上させる暫定的な措置は可能なのだろうか?

「8月の飛行停止では、クラッチが固く結合していたことが原因で大惨事になったことはないと強調した」とスライフ中将はアビエーション・ウィークに語っている。「しかし、これは深刻な現象で、AFSOCは、機体を操縦するクルーの技量によって、致命的な事故にならずにすんだこれらの出来事をいくつも経験してきた」。

 問題の中心は、ロールス・ロイスAE 1107Cエンジンとプロペラをつなぐ部品であるプロペラギアボックスのスプラグクラッチ部品にある。AFSOCは最近、CV-22の62件の重大な事故について、機密扱いの調査報告書と一般公開報告書の両方を精査した。専門家と法律顧問のグループは、ハードクラッチ現象が事故の一因であったかどうかを見極めるため、利用可能なデータを徹底的に調べた。V-22プログラムオフィスは、海軍と海兵隊とともに、墜落事故の歴史を調べ、この問題で墜落事故の疑問に答えられるかを確認した。

 その結果、スライフ中将等によれば、現在判明していることに基づいて「重大な」変更となるような知見は皆無であったという。だからといって、クラッチの硬すぎる結合が事故と関係がなかったとは言えない。ただ、新しい調査から得られる情報によって、既存の調査が実質的に変更されることはないということであり、調査を再開する極めて稀な対策をとってもメリットはない、とスライフ中将は言う。

 AFSOCは、ハードクラッチの噛み合わせが原因でV-22を着陸させた唯一の司令部で、この問題を軽減するために機体に変更を加える可能性を検討中の唯一の司令部でもある。ハード・クラッチ接続時に剪断されるプロモーター・ギアボックスの主要コンポーネントの再生産を検討し、新しいインナーレースとアウターレース、スプラグクラッチを備えるものとして、ベル=ボーイングと検討しているという。スライフ中将によると、司令部は、交換を進めた場合の部隊への全体的な影響を判断しながら、最終決定を下すとという。V-22プログラム・オフィスは、AFSOCを支持するとの声明を発表した。海兵隊海軍が追随するか不明だ。

 

物議を醸した墜落事故

2010年4月、アフガニスタンで4人が死亡、16人が負傷した墜落事故は、AFSOCの歴史で最悪の事故で、見直しを決定する原動力となった。この事故は、当時の司令部が調査官を公式に非難するなど、調査をめぐり論争がよく知られるようになった。

 空軍の公式見解である事故調査委員会(AIB)報告書では、エンジン全体や飛行データ記録装置などの重要な証拠が紛失または破壊されていたため、主原因を特定できなかった。報告書は、エンジンの出力低下が潜在的な要因であるとし、地上マークと近くのA-10からのビデオでエンジン劣化と 「異常なエンジン反応」を示したと述べている。分析によると、機体が荒れた路面にローリング着陸を試み、プロペラ速度が低かったと当時のAIB主査ドナルド・ハーベル准将は書いている。

 しかし、当時のAFSOCはハーベルの調査結果に同意せず、エンジンのパワーロスは事故の主要因ではないとの声明を発表した。また当時の航空総隊は、エンジン出力の低下は墜落の主要因ではないとする声明を発表し、パイロットの責任とした。

 ハーベルは報告書が発表された直後に退官したが、その後、墜落事故、AIBのプロセス、司令部の対応について本を執筆した。その本「Rotors in the Sand」には、「My Unofficial Opinion of What Really Happened」という章があり、ギアボックス問題が原因だったと主張している。オスプレイの降下中に左エンジンのコンプレッサーストールが発生し、フライトエンジニアが重量軽減のために燃料を投棄したと書かれている。乗員は突然のエンジン出力低下に圧倒され、パイロットは急降下を逆転させようとフルパワーまで推力を上げた。この失速で右エンジンのトルクが急上昇し、プロペラギアボックスクラッチが破損し、エンジンが破壊された。

 

CV-22’s proprotor

 

米空軍はCV-22のプロップローター部分のギアボックスの交換の是非を検討中。ギアボックスが未解決問題の根本原因とみている。 Credit: Staff Sgt. Christopher Callaway/U.S. Air Force

 

「乗員はパワーロスの状況を引き起こした原因について何も知らなかった」とハーベルは書いている。「クラッチの故障については、手順もなければ、フライトマニュアルにも書かれていなかった。しかし、右エンジンに取り付けられたドライブシャフトとギアボックス部品に関する「注意事項」をエンジン計器に掲示しておくべきだった」。

 オスプレイの墜落後に回収されたエンジンをロールス・ロイスが分析した結果、墜落時にエンジンは稼働していたことが分かった。ハーベルも同意見だ。「エンジンは動いていたが、プロペラギアボックスのクラッチが壊れていた。異常な低出力で作動していた」。この事件は、その後のオスプレイ墜落事故に関する報道で言及されたが、調査は再調査されなかった。ハーベルは2020年に死亡した。

 スライフ中将は、この墜落事故と、その2年後にフロリダ州ハールバート・フィールドで起きた、機体は破壊されたものの死者は出なかった別の事故は、いまだに謎のままだと言う。この2つの事故は、中将にとって個人的にも身近な出来事だった。アフガニスタン事故では、長年の友人であるジェームズ・ラッキー上級曹長が死亡し、スライフは葬儀に出席し弔辞を述べた。ハールバートでは、墜落事故当時、彼は航空団司令だった。

 「私がチームに問いかけ、答えさせたのは、次のようなことでした。以前の委員会の調査結果や結論は、スプラグクラッチの滑りとそれに続くハードクラッチ現象について理解していなかったと思われるが新たな知見が、重大な変化をもたらすだろうか?

「そして返ってきた答えは、ハードクラッチ締結で現在わかっていることによって変わるような、以前のの調査結果や結論はないというものでした」。

 「それは、ハードクラッチ係合が過去の事故のいずれにも存在しなかったということではなく、その現象に対する我々の理解によって、調査結果や結論そのものが大きく変わることはなかっただろうということなのです」。

 アフガニスタンの墜落事故では、事件の再調査能力は限られていた。証拠がほとんどなかった。機体は破壊され、墜落現場は対応した地上部隊がデータレコーダを回収できなかったために荒らされた。副操縦士は最初の調査で墜落時を思い出せないと言っていたが、AFSOCチームは当時の証言に注目した。スライフ中将によると、当時のハーベルの正式な報告書は、原因不明の機械故障が原因であると結論付けていた。クラッチが固く結ばれていたことについて現在わかっていることは、「その結論を支持も否定もしないことだ」とスライフ中将は言う。

 「そのことが、あの事故につながった一連の出来事の一部だったのだろうか」と彼は問いかける。「可能性はあるが、それを示唆する証拠はない。そのため、調査再開を正当化するものではありませんでした」。

 

根本原因を探る

海兵隊は、少なくとも2010年以来、この問題を知っていると言っていうが、V-22オペレータは誰もクラッチ締結が問題の根本原因を理解できていない。8月に空軍が不時着陸させたときも、海兵隊と海軍は飛行を続け、航空機乗務員は回避方法を知っていると述べていた。この問題は、V-22の飛行の安全性に影響を及ぼす可能性のあるカテゴリー1の欠陥13点の1つである。プログラムオフィスは、他の欠陥の特定を拒否した。

 スライフ中将によると、AFSOCクルーは、リスクコントロールの一環として、戦術的な離着陸操作でパワーのかけ方を調整する手続きの変更など、飛行方法を変えてきたという。

 この問題を調査するため、データ収集が進行中だ。オスプレイのクラッチが硬くなった場合、クラッチはベル=ボーイングに送られ、素材が調査され、長期的な修正方法が決定される。

 「そもそもなぜクラッチが滑るのか、根本原因を特定し、それが何であれ解決しなければならないことは分かっている」とスライフ中将は言う。「クラッチが根本原因なのかはわかりません。しかし、クラッチが滑っていることは分かっているのだから、その根本原因を突き止めなければならない」。

 短期的には、AFSOCはクラッチが硬くなる事故に先立ち、インプットクイルアセンブリ input quill assembliesの交換を検討している。「その間に、滑りの原因となる部品を交換できるだろうか?[クラッチ内部の細かい部分やスプラグそのもの、クラッチのインナーレースやアウターレースなどです」とスライフ中将は言います。「滑る可能性のあるクラッチに十分な時間がかかるのを避けるために、時間ごとで部品を交換するのは可能でしょうか」。

 AFSOCは、ベル=ボーイングと協力し、この取り組みを行っている。そのため、AFSOCとプログラムオフィスは、新コンポーネントを構築する業界のスケジュールを理解し、オスプレイ全機種への取り付けを計画しようとしているため、すぐに解決できるものではない。司令部は、新型部品が納入され、部隊全体に組み込むのに約半年かかると見積もっている。ベル=ボーイングは、製造スケジュールを明らかにしておらず、質問はプログラム・オフィスに 照会してほしいという。

 海兵隊とプログラムオフィスは、AFSOCの進展に伴い、海兵隊、海軍、陸上自衛隊が追随するかを決定すると声明にある。

 スライフ中将は、2010年2012年の事件との関連と、本人のキャリア初期の経験が、8月のCV-22全機の飛行中止の決断とAFSOCのオスプレイ計画の進め方を形作ったと言う。

 「キャリアの初期、1993年のモガディシュ(ソマリア)の戦いは、個人的に知る人たちが初めて戦闘で殺された時だった」と振り返る。「大きな傷跡を残しました。私はリーダーとして、自分が誰かに頼んだことを振り返って、機会があれば何かを変えたいと思うようなことは決してしたくありません。だから、今回は私にとってのモガディシュ・テストのようなものだ」。

 もし、ノルウェー事件の後、飛行隊が飛行を続け、その後、飛行士が死亡する事件が起こり、その後の調査でハードクラッチ係合が一因だとわかれば、彼は自分の決定を振り返り、問題の根本原因を突き止めるためにできることはすべてやったのかと問うだろうと、スライフは言う。

 「友人の埋葬はもうしたくない。インプットクイル内部で起こっている現象を完全に理解していないとしても、今は以前より良い場所にいると思います」。■

 

Gearbox Issue’s Root Cause Elusive As USAF Investigates V-22 Crashes | Aviation Week Network

Brian Everstine November 16, 2022


2022年11月21日月曜日

H-20への疑問高まる。メンツのためむりやりB-21対抗策として張子の虎を中国が公開する可能性。

 

H-20 Stealth Bomber. Image Credit: Artist Rendering Chinese Internet.

 

防総省高官は、中国の新型ステルス爆撃機H-20が「まもなく」発表される可能性があるのか懐疑的だ。サウスチャイナ・モーニングポストが「軍事関係者」を引用して報じたところによると、近いうちに米軍に脅威になるという。実際、米国防総省当局者は、長期的に同爆撃機が懸念対象になると対象になると見ているが、少なくとも19FortyFiveに語った米国防当局者は、中国の新しいステルス爆撃機で今後数年間のアジアの戦略的バランスが変わることはないと主張している。

 

 

H-20ステルス爆撃機へのペンタゴンの意見

我々は、中国がテスト、デビュー、再びテストし、これまでの主要「ステルス」航空ハードウェアで生産するのに時間がどれだけかかった忘れがちだ。J-20ステルス戦闘機の例をあげあげ、米国防総省高官は、説明している。「そう、中国は、何年も前から話題になっているH-20ステルス爆撃機を一般にまもなく公開する可能性は大いにある。しかし、戦闘配備を整えるのはまた別の話だ。それは何年も先の話だ」。

 別の国防総省高官も同じ考えだ。「中国はステルス技術の開発と配備に関して、米国とロシアを真似る夢を持っている。ステルス爆撃機があれば、空軍はより強力になるので、彼らはステルス爆撃機を持つと思う。しかし、アジアでの現状を変えるにはかなりの年月がかかるため、誇大宣伝には慎重であるべきだ」。

 

中国の言い分

最近の報道では、来月公開デビューするB-21レイダー・ステルス爆撃機への対抗策されるH-20ステルス爆撃機が、「まもなく登場する」と主張している。サウスチャイナ・モーニングポストの報道は、一人の「軍関係者」に基づいており、奇妙なことに、他の識別情報は引用されていない。この謎の関係者は、「同機は導入の準備ができており、適切なタイミングを選ぶだけの問題だ」と説明している。

 

専門家:H-20には疑問が多い

19FortyFiveがH-20についてコメントを求めた専門家は、国防総省報告書に引用された5,200マイルの航続距離と、通常攻撃と核精密攻撃に使用できること以上に、このステルス爆撃機についてほとんどわかっていることはないという事実を指摘している。「現時点では、H-20について経験に基づき推測はできる。しかし、我々が知りたいのは、中国が爆撃機を何機作るつもりなのか、アメリカとの同盟国がアジア全域で運用する探知能力に対してステルス性があるのか、古いB-2スピリッツや新しいB-21と比べどれだけ進歩しているのかということだ」と、19FortyFiveに日本の情報部員が説明してくれた。「これらの重要な詳細が判明するまで、我々は推測を続けることになるだろう。しかし、いくつかの答えを得るでしょう - 多分かなり近いうちに」。

 

中国のH-20ステルス爆撃機のアーティスト・レンダリング。画像出典:中国のインターネット。

 

B-21発表への反動か?

一部専門家は、米空軍が12月2日に新型ステルス爆撃機B-21レイダーを発表するのを指摘し、中国はH-20を活用して、自国軍が空において技術的にアメリカに追いつき、追い越すことができるというシナリオを維持したいと考えているという。日本の防衛省幹部は、「中国のメディアで何年も噂されていたH-20が突然デビューする準備が整ったという報道は、かなり奇妙です。出遅れたくないというのが私の直感だ」と説明する。「12月2日以前のある朝、中国がH-20を見せてきても、驚かないだろう。少しもショックを受けないだろう」。■

 

China's H-20 Stealth Bomber "Years" Away From Becoming Threat: U.S. Defense Officials - 19FortyFive

ByHarry Kazianis

 

WRITTEN BYHarry Kazianis

Harry J. Kazianis (@Grecianformula) serves as President and CEO of Rogue States Project, a bipartisan national security think tank. He has held senior positions at the Center for the National Interest, the Heritage Foundation, the Potomac Foundation, and many other think tanks and academic institutions focused on defense issues. He served on the Russia task force for U.S. Presidental Candidate Senator Ted Cruz, and in a similar task force in the John Hay Initiative. His ideas have been published in the New York Times, Washington Post, Wall Street Journal, Newsweek, CNN, CNBC, and many other outlets across the political spectrum. He holds a graduate degree focusing on International Relations from Harvard University and is the author of the book The Tao of A2/AD, a study of Chinese military modernization. Kazianis also has a background in defense journalism, having served as Editor-In-Chief at The Diplomat and Executive Editor for the National Interest.


2022年11月20日日曜日

中国のグレーゾーン対応のほうが台湾武力侵攻より可能性が高い。新常態を狙う中国に対し、台湾を日米は守れるのか。

 

 

グレーゾーン措置の法的曖昧さと組織的制約の低さのため、本格侵攻より戦争に至らない措置の方が可能性が高い

 

 

国共産党の憲章で初めて、台湾独立を目指す分離主義者に対抗し、抑止する意向が明記された。改正版は、2017年の第19回全国代表大会で採択されていた中国国内のあらゆる集団の結束を強化することを掲げた文言より積極的な姿勢で、「国家統一を促進する」ことを掲げている。しかし、第20回全国代表大会の文言には目新しさはない。2005年3月、第10回全国代表大会は「分離独立防止法」を制定し、第8条で、中華人民共和国が以下の場合に「非平和的手段およびその他の必要な措置を講じ...」と明記されている。

 「台湾独立」派がいかなる名目、いかなる手段で台湾の中国からの離脱の事実を引き起こし、台湾の中国からの離脱を伴う重大事件が発生し、または平和的統一の可能性が完全に失われた場合、中華人民共和国は「非平和的手段およびその他の必要な措置を講じなければならない」と規定している。

 中国共産党の憲法改正は、1982年以来、党大会のたび行われてきた。改正は、中国共産党が今後5年間に目指す政策の方向性を示しているが、今回の反独立条項の追加は、「分離独立法」の3条件のいずれかが近い将来該当する可能性があると中国共産党が考えているのか疑問視するものだ。

 中国の領有権主張にもかかわらず、台湾と澎湖、そして金門と馬祖の沖合諸島は中華民国の自治体として存在している。1971年以来、PRCが侵略しようとしたことは一度もない。しかし、今後5年間は、台湾の国際的地位の不確実性を利用し、国際法のレトリックと組み合わせ、グレーゾーン活動、すなわち戦争によらない手段を強化し、外国の干渉を抑止し、台湾に中国の平和的統一案を受け入れるよう圧力をかけていくだろう。

 

ニューノーマル(新常態)を求める中国

台湾住民の意識は、両岸の戦争は将来起こりうるかどうかわからない問題であり、また世界経済の相互依存のためありえないことだと軽視する傾向が多い。つまり、戦争がどのように勃発するかについては、中国がいずれ本格侵攻を開始するだろうが、それがいつになるのか、あるいは現状が維持されるのか、でコンセンサスが得られていないのが一般的な認識である。しかし、このような二元的な考え方は、全面侵略の選択肢が軍事的にも政治的にも実現不可能な場合、戦争以外の手段が中国にとって目的を達成するための手段であることを無視している。

 国内的には、習近平は本格的な侵攻の前に、時間、政治局常務委員会と中央軍事委員会の内部調整、人民解放軍の戦闘能力という3要素を考慮しなければならない。もし習近平に時間がなければ、全面侵攻で一挙に記録を塗り替えようとする衝動に駆られる。しかし、敗北した場合のリスクも指数関数的に高くなる。幸い、習近平は中国共産党総書記に3期目まで就任し、時間的制約は緩和された。

 第二に、台湾有事の決定権は国家安全委員会にあるが、計画・実行の最終責任者は中共である。台湾有事の際、習近平は、核心委員会-中共間の指揮系統を滞りなく合理化する必要がある。まさに、第20回全国代表大会後の習近平の新将軍は、李上福大将Gen. Li Shangfu(電子・サイバー・宇宙戦の専門家)や、台湾関連作戦を含む中国東部戦区司令官何偉東大将Gen. He Weidongの昇進を通じ、この前提条件の差が縮まった。しかし、中国の将官にはアメリカの将官と異なり、戦闘経験のある者は少ない。このことは、習近平が台湾侵攻の準備を万全に整えているかを判断する際に、考慮されることになる。

 第三に、台湾への攻撃を実行できるかも未解決の問題だ。大規模な揚陸侵攻で最も顕著で積極的な作戦構想は、航空・海上での優位性が前提の複雑な作戦だ。北京が台湾シナリオで信頼できる軍事オプションを採用する前に、中国共産党が軍隊を機械化し、情報化し、知能化することが必要となる。これは2027年以降に実現すると予想される。さらに、台湾有事の際に米国が介入する可能性や、ベトナムやインドとの国境紛争が続いていることも、中国共産党の資源と人員に大きな制約を与えている。

 習近平がもはや時間的猶予がないと認めれば、自らの地位を傷つける内外の反発を招く理由はない。さらに、軍事的な失敗が中国の大幅な弱体化や台湾の正式な独立宣言といった予期せぬ結果をもたらす可能性という他の2つの変数の未熟さに賭ける必要もない。したがって、習近平にとって現実的な解決策は、PCS-CMSの指揮系統の再編とPLA近代化を進め、現状を中国に有利に塗り替えることにある。現時点d根は習近平の台湾戦略では、戦争によらない措置が軍事的に最良の選択肢である。

 台湾は独立宣言をしておらず、現在は中華民国政府が代表を務めているため、台湾の国家としての存在が不透明であることは、中国による強制措置の合法性にも影響を及ぼす。中国共産党は、1979年(中華民国が米国と国交正常化した時)に中華民国領土を対象に軍事行動をすべて停止したが、両者間に公式な休戦協定は存在しない。正式な平和的解決なしに、中華民国と中国の武力紛争は1947年から今日まで続いていると、中国側は主張できる。また、休戦ラインが合意されていない以上、台湾の領空や領海を侵犯しても、国際法違反には当たらないという議論もある。台湾周辺空域の実効支配に挑戦するプロセスはすでに始まっている。最近、人民解放軍空軍の軍用機が、台湾と中国の事実上の境界線である台湾海峡の中央線を通過した。

中国による国際法違反の重大性に応じ、対策のピラミッドが描かれる可能性がある。国際社会の対応としては、中国がどのような行動を取るか、その合法性や受容性次第で変わる。以下では、中国共産党が採用しうる戦争によらないさまざまな手段を、深刻さの順に挙げてみた。中国共産党がピラミッドを下るにつれて、自らの内戦シナリオに有利なように現状を変化させることが理想的だ。

 

 

台湾の国際的地位の曖昧さと中国代表権の重複を、中国は台湾への支援の正当性を損なうため利用することができる。広く認知された国家ではなく、事実上の領土の台湾が国際法で保護されるかという不確実性は、台湾の国家性をめぐる議論と絡み合う。より厳格な措置を採用することに伴い、中国のレトリックは国内の法執行から、中国内戦を背景とした軍事作戦に移行するだろう。ピラミッドの頂点に位置するのは、台湾が国家として承認されれば戦争行為とみなし、実施される全面海上封鎖だ。中国が国連安全保障理事会(UNSC)の拒否権を持つ以上、このシナリオで国連安保理が機能するとは考えにくい。したがって、本稿で取り上げる国際的な対応は、第三国による対抗措置や介入に焦点を当てる。

 

戦争一歩手前のPRC措置の合法性

中国は台湾とその周辺海域を自国領土とみなしているため、国連海洋法条約(UNCLOS)に基づき、中国の漁業や海洋環境の保護を口実に台湾の排他的経済水域(EEZ)内で海洋権力を行使し、圧力を高める可能性がある。最近、中国が「台湾海峡は国際水路ではない」と発言しているのは、この主張を使う意欲が再び高まっていることを示している。台湾には国家承認がないため、台北は国際海洋法裁判所(ITLOS)を利用し拘束された船員や船舶の解放を確保できない。1987年から1989年まで米国旗を掲げていたクウェートの石油タンカーにならい、台湾の船舶を外国籍に変更することも一つの方法だ。この場合、台湾船舶に対する管轄権と管理権の行使を含む「真のつながり」を確立する意思が他国にあることが前提となる。

 その後、中国が公海上で台湾や外国の船舶を停止、捜索、臨検し、密輸品を押収する可能性がある。禁制品の定義は、中華民国の支配地域向けの戦略物資であると中華人民共和国が広く解釈できる。台湾向けの外国船も、臨検のために中国港湾に迂回させられる可能性がある。このような作戦の合法性は、両岸の紛争は「内戦」であり、中国には外国が「中国の合法的政府」に対して「反逆者」(それが中華民国であれ台湾の分離主義者であれ)を武装させるのを阻止する権利があるとの前提に立つ。国際司法裁判所(ICJ)は、有名なニカラグア事案で、ニカラグア内戦中に米国がコントラに資金提供したことは、不法な内政干渉に当たると判断した。反政府武装勢力の武装と訓練は、不法な武力行使になる可能性もある。中国は、台湾に対するいかなる措置も、外国の不法な内政干渉に対抗するためのものであると主張するのは間違いないだろう。中国政府は、伝統的に第三国から好意的に受け入れられてきた不干渉原則を用いることで、地域的・国際的な言説を形成することができる。

 もし、中国が台湾海域の中立的な海運を妨害すれば、日本と韓国に深刻な影響が生じる。拘束された船舶と乗組員の旗国として、ITLOSに迅速な解放を申請できる。その他場合、台湾の国体や領海・排他的経済水域の保全能力が司法手続の中心的な問題になることは間違いない。このような論争的な問題に対して、どの国際裁判所や法廷も喜んで判決を下すか、はなはだ疑問だ。また、仮に台湾に有利な判決が出ても、中国が南シナ海仲裁結果のように判決をボイコットする可能性がある。南シナ海では、中国の過大な領有権主張に対して、米国は航行の自由(FON)作戦を実施した。FON作戦は、米国の地域同盟国の参加を得て、台湾周辺の主要水域を通過するすべての国の権利行使を確保する正当な方法となっている。

 その他主権国家への全面的な海上封鎖は、非合法だと広く認識されている。台湾は海上封鎖を侵略行為とみなし、国連憲章第51条に基づく固有の自衛権を行使するのは間違いないが、台湾の国際的地位が不確かであることから、PLAは海上封鎖が進行中の中国内戦の一環で行われた行動だと主張するだろう。内戦中の海上封鎖の合法性については、激しい論争がある。封鎖は国際武力紛争においてのみ合法であると主張されることが多いが、「内戦が国際的な武力紛争と同様の高い強度を持つ」場合に発生する交戦性の認定の例外があると主張する者もいる。台湾海峡を挟んだ紛争は、この閾値を満たす可能性が非常に高い。ただし、飢餓犯罪を構成する全面海上封鎖の可能性は排除できない。この点、台湾はローマ条約第12条3項に基づき、国際刑事裁判所に刑事司法権を委譲し、国際犯罪の遂行を調査・裁定することが可能である。

 台湾は基礎的な生活物資を大きく輸入に依存している。本格封鎖となった場合、台湾住民への救援物資の自由通行を確保するために、外国の支援が必要となる。国連安保理が第7章に基づく「強制措置」を承認しない場合(中国の拒否権により不可能だ)、NATOはコソボ介入を「人道的介入」として正当化したが、このドクトリンは国家や学者によって広く論議されている。仮に人道的介入が正当な武力行使として認められても、その適用には広範な人権侵害が必要となる。中国に対する直接的な武力行使に比べれば、人道的輸送船団の護衛や機雷除去は、台湾への人道的救済を行うため必要かつ適切な手段だと正当化しやすい。 最後に、過去に独立したばかりの共産主義国家が、自決権に外国の支援を求める権利と受ける権利を加えることを強く主張していたことを忘れてはならない。もし、中国がそのような権利を台湾の人々に否定するならば、それは第三世界の立場と矛盾するように写るだろう。もちろん、中国が台湾の「人民性」を認めることはないだろうが、国際的対応の合法性についての議論の焦点を「台湾人」の人道的側面や必要性に向けることができれば、台湾の国家性をめぐる困難は回避されるであろう。

 

結論

台湾の地位が不確定であることを利用し、中国が戦争以外の方法で台北に圧力をかけ、北京の「統一」案を受け入れさせる可能性がある。また、台湾の国家的地位の不在は、国際対応の正当性を損なう。「グレーゾーン措置」の法的曖昧さは、組織的制約の低さと相まり、全面的な揚陸侵攻よりも戦争に至らない措置の可能性を高めている。国際社会が中国のシナリオと正当化に対抗できる一つの方法として、焦点を「国家権」からずらし、将来を強制されることなく決定する自由を含む台湾「人」のニーズ、願い、権利を強調することである。■

 

Short of War: Is the World Ready to Defend Taiwan? | The National Interest

by Sze Hong Lam Wei Azim Hung

November 12, 2022  

Topic: China-Taiwan Relations  Region: Asia  Tags: China-Taiwan WarTaiwanInvasion Of TaiwanRepublic Of TaiwanUNCLOSTaiwan IndependenceNaval Blockade

 

Sze Hong Lam is an internal Ph.D. candidate at the Grotius Center of International Legal Studies of Leiden University. He had formerly interned at the Legal Office of the Organisation for the Prohibition of Chemical Weapons (OPCW) and the Office of the Prosecutor of the United Nations International Residual Mechanism for Criminal Tribunals (IRMCT). He has written in the areas of international humanitarian law, international criminal law, the history of international law, and on the right to self-determination.

Wei Azim Hung is a part-time Research Assistant at the Institute of Sociology, Academia Sinica. He graduated International Studies, cum laude, from Leiden University and researches on uncovering the relationship between state discourse and nationalism.

Image: Reuters.


ウクライナに冬がやってきた。ウクライナ戦の最新状況現地時間11月19日現在

 


Via Twitter


今週の降雪で、交戦両側にとり残酷になりかねないウクライナの冬が初めて姿を見せた

 

クライナに冬が到来した。夏の青々とした草原は消え去り、秋の黄金色の野原は急速に色あせ、戦車の跡や新しいクレーターが雪の白さに埋もれようとしている。

ウクライナのT-64BV戦車2両が移動する映像で、気温がさらに下がるとどうなるか見当をつけることができる。薄暗い曇り空の下、雪に覆われた2台の大型戦車が転がっていく。雪に覆われた地形は美しいが、そこで戦う人々には容赦がない。

米国がウクライナに寄贈した旧アフガン空軍のMi-17の1機と、オランダから寄贈のYPR-765 APCも霜に覆われて登場した。雪は、戦争初期のハルキウ郊外でのロシア人犠牲者の冷厳なイメージを想起させる。

前線から離れたウクライナ各地では、さらなる試練をもたらす。ウクライナの大手エナジー会社DTEKの代表Maksym Tymchenkoは、すでに生命維持装置の頼りの電力供給に過度の負担をかけないよう、国民は冬が来る前に国外に出る準備をすべきだとまで述べている。

解放されたばかりのケルソンも同様で、電力や水といった基本的なインフラの多くが、戦闘や焦土作戦でダメージを受けたままだ。

最新情報

サンクトペテルブルグ郊外でガスパイプラインが大爆発

土曜日の朝、ロシアのサンクトペテルブルク郊外のレニングラード州で、天然ガスのパイプラインと思われる大きな爆発が発生した。

爆発の原因は不明で、死傷者は報告されていない。産業事故は起こるものだが、ロシアがウクライナのエナジーインフラを攻撃し続け、今秋に発生したNordStreamパイプラインの破壊工作が疑われる状況を考えれば、注視しておく必要がある。

スナク英首相がキーウ訪問

リシ・スナク英国首相は、土曜日雪が降るキーウでヴォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談した。

BBC報道によると、2人は、イラン無人機の脅威が続く中、それに対抗するため125門の対空砲、レーダー、電子戦システムなど英国の新援助パッケージを協議したという。また両名はキーウで鹵獲・破壊されたロシア装備品の展示場を訪れ、スナク首相はウクライナの爆弾探知犬ジャックラッセルテリアと対面した。

スナック首相は、ボリス・ジョンソン元首相が首都に続き、ウクライナ首都を訪問した2人目となった。また、ゼレンスキー大統領は、ロシアが正式に戦争終結の交渉を求めていないことを確認した上で、今回の訪問を受け入れた。

ケルソンで地雷撤去続く

ケルソン地方からは、ウクライナ兵が対戦車地雷を間近で除去している映像が入っている。戦車攻撃用の地雷を爆発させる前に、兵士が爆薬を装備している。

ウクライナのM1224 MaxxPro地雷除去待ち伏せ防護車(MRAP)の残骸が示すように、この作業は危険だ。エンジンと前車軸の前部はすべて吹き飛ばされたが、乗員室は設計通りほぼ無傷で残った。

ケルソン駅に初列車到着

2月24日のロシア軍の攻撃以来初めて、ウクライナ列車がケルソン駅に到着し、多くの群衆が装飾された車両を歓迎した。キーウ地下鉄をはじめ、機材を運ぶ東西の重要路線であるウクライナ鉄道は、ロシアの猛攻にもかかわらず、驚くほどの回復力を示している。

黒海に関しては、キンバーン湾の狭い砂州をウクライナが攻撃したとの噂があったが、土曜日に被害の写真が公開され、一部は真実であることが判明した。水陸両用車による上陸作戦の報告は根拠がないが、半島の建物を誰かが砲撃したのは事実のようだ。

ケルソンを奪還したウクライナは、クリミア含む残りの占領地の解放を約束し、いつ、どこで次の行動を起こすのかと、世界は考えている。ウクライナのハブリロフ国防副大臣は、2022年末までにクリミアを奪還できると主張したが、その後、ウクライナ政府はこの楽観的な主張を撤回した。

クリミア橋復旧作業続く

損傷したクリミア橋の工事は続いており、作業員がプレハブの橋脚を所定位置に取り付けているのが見受けられる。10月8日の攻撃で橋が破壊され、半島とロシアを結ぶ重要な橋の通行は制限されたままだ。

前線上空では、ウクライナのMiG-29フルクラムとされる機体がAGM-88 HARMを発射する映像が公開された。このミサイルは発射後、ロフト状に飛行し射程距離を伸ばし、レーダーを探知して照準を合わせる能力がある。ウクライナがフルクラムのHARM能力を急速に向上させている。

マイクロドローンなど西側提供の装備品

身近なところでは、ウクライナのマイクロドローン「ブラック・ホーネット」の写真もある。ウクライナは、イギリスとノルウェー経由で、この小型監視ドローンを何機か装備している。

冬の戦闘に備える

ウクライナ軍は、前線近くの驚くほど住みやすい掘っ立て小屋の兵舎の動画をツイートした。兵士が自主的に建てたとされるこの兵舎には、照明、2段ベッド、無線LANルーターが完備されている。凍てつく悪夢の中での戦いには、このような居心地の良い、暖かい寝床に大きな価値があるはずだ。

バフムト町の近くにも、寒さが厳しく中で、戦況を思い起こさせるものがある。ロシア軍戦死者がクレーター内に散乱している。モスクワはこの地域のウクライナ戦線に攻撃を続けている。

R・スチュワートも「参戦」

ロックンロールの殿堂入りしたロッド・スチュワートは今週、青と黄色を身にまとい、ウクライナへの賛辞を込め英国ツアーを開始した。■

 

Ukraine Situation Report: The Winter War Has Arrived | The Drive

BYSTETSON PAYNE|PUBLISHED NOV 19, 2022 4:01 PM

THE WAR ZONE

 


2022年11月19日土曜日

最新鋭USSジェラルド・フォードはじめ空母5隻を各方面に同時展開中のNATOのねらいはロシアだ。

 

USN

 

 

NATOは、空母5隻の展開中で、海軍部隊の大規模な協調作戦を実施する能力を誇示していると述べている

 

 

海軍の最新鋭スーパーキャリア、USSジェラルド・R・フォード含むNATO加盟4カ国の空母5隻が、護衛艦多数と、現在ヨーロッパ周辺の水域を航行中だ。NATOは、同時配備が、将来の大規模紛争で想定される主要な海軍資産の別個活動を調整する手順の実証として貴重な機会になっていると述べている。

 もちろん、このような事態は、ロシアがウクライナで続けている戦争に鑑み、NATOが戦力態勢を強化し続ける中で生じたものだ。今週、ウクライナとポーランドの国境をミサイルが誤って通過し、NATO加盟国ポーランドの農場で2人が死亡したことで、紛争が近隣諸国に波及する可能性への長年の懸念が現実現実になった。

 NATOの空母運用については、本日時点では、米海軍のフォードが11月14日に初入港したイギリスとワイト島の間にあるソレント海峡(両端がイギリス海峡に繋がっている)に停泊したままだ。同空母には、F/A-18E/Fスーパーホーネット戦闘機、EA-18Gグローラー電子戦ジェット、E-2ホークアイ空中早期警戒管制機、C-2グレイハウンド空母搭載機(COD)、MH-60RとSシーホークヘリコプターなど飛行隊が乗組んでいる。

 タイコンデロガ級巡洋艦USSノーマンディNormandy、アーレイ・バーク級駆逐艦3隻、米国沿岸警備隊のレジェンド級国家安全保障カッターUSCGCハミルトン Hamiltonを含むフォード打撃群のその他艦は、各種ニュース記事によると、現在同地域の別の場所にいるようだ。

 フォードは、海軍に正式に引き渡された後、技術的な問題に悩まされていたが、今や、最初の正式な作戦展開中だ。同空母は10月に母港バージニア州ノーフォーク海軍基地を出港した。

 米海軍のニミッツ級空母USSジョージ・H・W・ブッシュは、「米国、同盟国、パートナーの利益を守る」使命を掲げ、予定ずみ展開としてアドリア海で別行動をとっている。ブッシュ打撃群は、CVW7(フォードのCVW8とほぼ同じ編成)と、タイコンデロガ級巡洋艦USSレイテガルフ、アーレイ・バーク級駆逐艦4隻で構成されている。

 ブッシュは8月に現地に到着し、USSハリー・S・トルーマンを支援した。トルーマン空母打撃群は、2月のロシアのウクライナへの全面侵攻を受け、欧州海域での展開が延長されていた。

 2022年10月、ブッシュ空母打撃群はネプチューン・ストライク22.2演習で、NATOの管理下に置かれた。トルーマン打撃群は、1月以前のネプチューン・ストライクの反復でNATO管理下で運用され、冷戦終結後、同盟がアメリカ空母を直接指揮統制するのは初めてだった。

 また、米海軍の空母打撃群には通常、潜水艦が含まれるが、その配置は通常発表されない。フォードとブッシュ両打撃群でも同じかは別として、ここ数ヶ月、ヨーロッパ周辺でのアメリカ潜水艦の活動は顕著だった。

 また、今月初めには、イギリスが空母HMSクイーン・エリザベスを北海に派遣し、表向きは演習を行っている。しかし、この派遣は、ウクライナ戦争を含む現在の出来事を踏まて欧州の安全確保に焦点を当てた、より広範な英国軍の作戦「Op Achillean」の一部でもある。

 現在、クイーン・エリザベスと共に行動している護衛艦が何であるかは、すぐには明らかにならない。しかし、英海軍は、ステルス性の高いF-35B統合戦闘機とマーリンおよびワイルドキャット・ヘリコプターが、今回の展開のために同艦に搭載されていると発表している。

 イタリア空母ITSカヴールは、今も地中海で活動しているようだ。F-35Bのほか、AV-8ハリアージャンプジェットやAW101ヘリコプターを搭載できる同空母は、NATOや欧州連合(EU)の部隊も参加するマーレ・アペルト22-2演習に参加し、10月初めに母港のタラントから出発していた。その際、イタリア海軍が公開した写真によると、少なくともオリゾンテ級駆逐艦「ITS Caio Duilio」とベルガミニ級駆逐艦「Luigi Rizzo」が、常設NATO海上群2(SNMG2)の各種同盟軍艦と空母に随伴していたようだ。しかし、現在、どのような艦がカヴールと一緒に航行しているかは不明。

 今週初め、フランス海軍は、同国唯一の空母「シャルル・ド・ゴール」が母港トゥーロンを離れたと発表した。同空母打撃群は、フランス当局が「海上におけるフランスの目に見える存在感の維持」に焦点を当てたと説明するミッション・アンタレスに参加する。

 現在わかっているところでは、シャルル・ド・ゴールのアンタレス展開は、同空母と他のフランス軍および同盟軍が東地中海で活動し、紅海やインド洋でも活動する可能性がある。同空母の航空団には、ラファールM戦闘機、NH90カイマンとAS365ドーファンヘリコプター、E-2ホークアイ空中早期警戒管制機などが含まれる。また、陸上配備のアトランチック2型哨戒機もサポーする。同空母の護衛には、ホライズン級駆逐艦とアキテーヌ級フリゲート、潜水艦を含むフランス海軍と同盟国の艦艇が付く。

 NATOは、空母配備はいずれも大規模な連携活動の一環ではないと強調しているものの、5つの攻撃隊が同時に活動することは、海上戦力の重要な誇示と見なさないわけにはいかない。さらに、NATOは、各部隊が一度にヨーロッパ周辺で活動することは、将来、実際の紛争やその他の大規模かつ不測の事態において、海軍作戦をどのように調整するかを試す絶好の機会と考えている。

 NATOのプレスリリースによると、空母5隻と付随する打撃群が欧州を中心に活動していることについて、「各国部隊は各自の任務で活動しているが、高度な協力は同盟国の集団防衛に向けた結束を示している」と述べている。「この出来事は、連合国が大西洋地域全体で信頼できる戦闘力を調整する機会を提供し、NATOの結束と相互運用性を示すものである」。

 NATO連合海上軍司令官のキース・ブラウント英海軍中将Royal Navy Vice Admiral Keith Blountは声明で、「NATOは日常的に、複数の国際海上資産を同時調整することで結束力を発揮している」と述べた。「この機会は、欧州大西洋地域の安定と安全に対する我々の鉄壁のコミットメントならびに集団能力の強さを示すものだ。

「我々の作戦区域内に空母5隻があることは、防空、領域横断的な協力、海陸統合へのアプローチを強化するさらなる機会を提供する」と付け加えた。

 ウクライナ紛争で地政学的な摩擦が高まる欧州で、NATOの空母部隊の実力が発揮されている。■

 

 

 

Five NATO Aircraft Carriers Are Currently Operating In European Waters

BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED NOV 17, 2022 7:55 PM

THE WAR ZONE