2015年10月6日火曜日

★ロッキード>ファイバーレーザー生産ライン稼働へ レーザー兵器で大きな進展



最近レーザー関連の話題が多いのですが、やはり大きな進展があったのですね。技術優位性をてこに国防力の維持を図る第三相殺戦略でもレーザー兵器は大きな意味を持ってきます。当然神経をいらだたせるのは数で勝負の中国ですから技術習得に必死になっているでしょう。あるいはレーザー兵器そのものを利用不可能にする国際的運動を起こしかねませんね。戦争法案などと大衆を惑わす言葉のテクニックもありますので気を許すことはできません。

Lockheed Launches Laser Production Line; Bets On Fiber Tech

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on October 05, 2015 at 5:11 PM

A target truck disabled by Lockheed's ATHENA laserロッキードのATHENAレーザー実験の標的にされたピックアップトラック
CRYSTAL CITY: 世界最大の防衛企業が実戦用レーザー兵器の実用化に向けて大きく前進する。ロッキード・マーティンは光ファイバーモジュールの生産を数週間で開始する。モジュールの組み合わせで各種兵器が完成する。生産は米陸軍向け60キロワット級ロケット弾迎撃用システム試作品から始まる。だが規模・出力の拡大は容易で同社は将来は沿岸戦闘艦、AC-130ガンシップ、F-15さらにF-35への搭載を想定している。
  1. 「生産施設をテストし、拡張に備えます」とロッキードで業務開発にあたるレイン・マキニーは記者に語っている。「これはテスト生産施設で、最適化の試験設備で、効率化の追求であり、迅速な対応を試す場所です。もし、緊急需要が生まれた場合を想定してですね」「投資規模は申し上げられませんが、社内でも非常に大きな存在であることは確かですね」
  2. 狙いは生産量よりも出力増だ。ファイバーレーザーとは小型モジュール多数を使い低出力レーザー多数を生み出す技術だ。レーザーを光ファイバーケーブルを通過させ「スペクトラム光線集合」ユニットに導き数十数百の低出力レザー光線を一本の強力なレーザーに集約する。出力を上げるにはモジュール数を増やせば良い。ただし電源と冷却を考慮する必要はあるが、一個一個のモジュールは小型で冷却は単一で大きなレーザー発生装置より簡単に行える。これまでのレーザーでは過熱現象が問題であった。過熱によりレーザー光線が歪むためだ。
  3. 「当社の60kW仕様は簡単に100 kW以上に拡大できる設計です。単にファイバーの数を増やせば良いのですが、今のところ発注元は60しか注文していませんので」とロッキード上席研究員ロブ・アフザルは述べる。「設計上は有利です。レーザー本数を10、20、50、100と自由に変更できますから」
  4. モジュール多数によるレーザー光線は、単一集中発生器に比べてレーザーの質でも安定するとマキニーは強調する。仮にモジュール数個が作動しなくても出力低下は数%にとどまるが、集中装置だと兵器としては作動不能となる。
  5. ファイバーレーザーは製造が従来型より容易だ。古典的なレーザーには「クリーンルームとPhD科学者が寄り添い作動テストすること」が必要だったとアフザルは言う。「各ユニットは単独設計で単品生産してシステムに組んでいました」
  6. 「これに対してファイバーの生産は電子産業の現場に近い。生産現場も密閉されていません。技術者がシステムを組みますが、博士号は要りません。生産量も増減が自由です」
  7. 名前の由来になっているファイバーだが民生用光ファイバーと同じ種類である。つまりロッキードは民間技術の成果と効率性を利用できる。中核部品は民生仕様をそのまま使える。
  8. ただし民生用ファイバーレーザーでいいというわけではないとアフザルは念を押した。米海軍の試験レーザー装置がペルシア湾に配備されているが、装置は既存部品を使い30キロワットを実現した。中身は商用ファイバーレーザー6本でそれぞれ同じ標的を照射するが、6本は一本に集約されないので効果が限定的だ。有効射程を伸ばし出力を上げるにはレーザー集約が不可欠だが、そのためには商用レーザーの仕様では不十分だとアフザルは述べた。.
  9. まず商用レーザーでは軍用のような重量軽減・出力増の想定がない。このためロッキードはモジュールそのものを社内開発せざるを得なかった。その鍵は効率だ。効率を高くするためには入力を減らし、冷却も簡単にする必要がある。システムも小さくなる。
  10. これまでのレーザーの効率は10パーセント程度だった。つまり100キロワットなら光線は10 kWで残りの90 kWは排熱になる。最新技術ではこれを35パーセントに引き上げることで 35 kW相当の光線を得る。だがロッキードは40パーセントにできるという。たかが40パーセントというかも知れないが皆さんの乗る自動車でも15から30パーセントしか利用していない。
  11. 「この技術には興奮を呼ぶものがあります」とアフザルは同社のファイバー・レーザーを語る。レーザー兵器を実用化する長年の夢が実現しようとしているのだ。このため同社は生産施設への投資を進めていると言う。現時点の目標は「単に科学技術の成果としてではなく、当社が生産し、納入し、実現できる能力を有することを示したい」のだという。■


2015年10月5日月曜日

シリア>米ロで「衝突回避」の話し合い ただし結論出ず


ロシアの軍事行動に米側はイライラしているようですが、さらにロシアからロシア作戦空域からの米軍撤退を求めてきており米側が呆れているのが現時点の状況のようです。情報の伝え方が違うので米側、ロシア側の発表をよく吟味して聞かないと実態が見えてきませんね。

Russia, US Open Deconfliction Talks

By Aaron Mehta4:29 p.m. EDT October 1, 2015
http://www.defensenews.com/story/defense/policy-budget/warfare/2015/10/01/russia-us-open-deconfliction-talks/73160726/
WASHINGTON — ロシア軍用機がシリア空爆を開始した翌日に米軍はロシア軍と航空作戦での衝突回避策で協議を始めたが、解決策がいつできあがるのか、そもそも結論が出るのか不明だ。.
  1. ペンタゴン報道官ピーター・クックは10月1日に両軍代表が一時間ほど事故防止策を協議したと発表したが、米主導の対ISIS作戦で空域が混み合う中でロシアが作戦のピッチを上げている。
  2. 国防次官補代理(国際安全保障問題担当)エリッサ・スロトキンがロシア側と安全な飛行の確保策で意見を交換している。
  3. クック報道官はロシアからの提案の詳細を話していないが、米側としては国際的な飛行安全規則を乗員が順守すること、プロらしく交信を打倒な範囲かつ積極的に使い、不必要な対立を招くような行為は回避することを期待しているという。
  4. 「その一つの手段が緊急時には国際周波数を使うことだが、どの言語を使うべきか」が検討課題のひとつとクックは紹介。
  5. ジョン・マケイン上院議員(共、アリゾナ)(上院軍事委員会委員長)は話し合い自体をロシアの行動を受けて行い「惨めな弁解で弱々しく反応したもの」とこけおろしている。
  6. 「このことから疑念が生まれる。われわれはロシアの航空作戦との『衝突回避』を求めているのだろうか。ロシアは米国が訓練した反乱勢力を狙い撃ちしているのだ。われわれが『衝突回避』しようというのはロシアの航空作戦で罪のない民間人、女こどもの命が奪われることなのだろうか。ロシアの航空作戦と『衝突回避』することでアサド政権を温存させて、内戦を長引かせることにならないか」とマケイン議員は声明文を発表した。”
  7. 「『衝突回避』とはオーウェル式婉曲表現であり、現政権はロシアのシリアでの役割拡大を受け入れてしまったのだ。その結果としてアサドは政権の座にとどまり、シリア国民を残酷に処分しつづけることになる」
  8. 協議が行われたのはロシアが空爆開始して24時間以上後のことで、有志連合軍機がロシア軍機の飛ぶ空域に入る可能性が出現している。
  9. 双方の作戦が続くとその可能性も高くなっている。そのため時間が大きな要素だが、次回の話し合いは未定だ。
  10. クック報道官は数日以内に次回が実現する「可能性」があると認めたが、今のところ予定はない。
  11. スロトキン次官補代理は今回の協議は前日にアシュ・カーター国防長官が懸念を示したロシア空爆地点問題を取り上げたためと説明している。ペンタゴンによればロシア空爆はISISが実効支配していない地点を対象にしている。
  12. クック報道官もカーター長官による前日の声明文と同様にロシアはISIS支配地区を空爆すべきだと主張したが、ロシア空爆の対象人物や目標そのものの詳細を述べることは一切拒否した。■

2015年10月2日金曜日

★F-35>航空優勢を今後30年確保できる優秀な機体だと太鼓判を押すペンタゴン



すごい、ここまでの自信があるとは。しかしソフトウェア改修だけでトップクラスの性能を確保できるのでしょうかね。機体構造など物理的な条件から30年間もトップを維持できるのか疑問です。またその機体構造の特徴から搭載できる火力が制限されてしまうので、今後も重装備の攻撃用機体として今一番使い勝手の良いF-15EやF/A-18E/Fは重要な存在では。そうなるとF-35は切り込み部隊というところなのではないでしょうか。

 Pentagon Sees F-35 Having Air Superiority For 30 Years

Sep 23, 2015 Amy Butler | Aerospace Daily & Defense Report
F-35: Lockheed Martin
FORT WORTH —ロッキード・マーティンのF-35共用打撃戦闘機は中国、ロシアはじめ各国も新技術を導入してきても、航空優勢を今後20年ないし30年にわたり維持できると開発関係者が主張している。、
7月にはF-16との模擬空中戦に敗れたとリークがあったが、今回のクリストファー・ボグデン中将発言ははかつてない大胆なものだ。「比較対象が存在しない。この機は世界中のいかなる機体に勝てる。今日明日どころか20年、30年先でも変わらない」
F-35が想定する敵機としてロシアの第五世代機スホイT-50( PAK FA)と対戦したらどうなるかとの質問にボグデン中将はJSFが「ドッグファイトに優れている。9Gで機体を引き、旋回できる。だがもともとドッグファイト用の設計ではない。2機が有視界範囲で交戦すればF-35は交戦地点に到達する前からいろいろ優れた特徴を発揮できる。敵機の素性はずっと前から把握できるはずで、敵がこちらを認識するより前になる。ドッグファイトはすぐ終わるだろう。もしドッグファイトになればの話だが」
ボグデン発言と平行してペンタゴンの調達トップ、フランク・ケンドールが初のノルウェー向けF-35Aの除幕式で発言している。古典的なドッグファイトは「もう時代遅れ」だという。「現在開発中のいかなる戦闘機もこの機体に勝てないと見ている」
ではF-35の戦闘優位性をどう維持していくのか。性能改修の継続実施が鍵で次に登場する予定のブロック4が大きな節目だ。当初は二回予定だった改修は4回になっており、第一回目は2019年に実施する。改修内容は固まっていないが、「数ヶ月で」最終案が出るとケンドール副長官は述べた。
「ブロック4では実現したい内容が多々あり、複雑になる。開発パートナー各国からは特定の武装の搭載希望があり、電子戦能力でも増強の希望があるなど内容は多様だ。各内容の実現にむて努力中だ。 ブロック4は数回に分けて実施し、もっとも効率のよい効果的な方法を探っていく」■



防衛省>そうりゅう級潜水艦のオーストラリア国内建造を認める提案書を作成中


Japan prepares 'Australia-build' programme for Future Submarines

Jon Grevatt, Bangkok - IHS Jane's Defence Weekly
30 September 2015

防衛省(MoD)はオーストラリア政府向け潜水艦建造案を準備中で、オーストラリア海軍(RAN)から選定されればそうりゅう級潜水艦のオーストラリア国内建造を認めるとMoD広報がIHS Jane’sに10月1日に確認している。
同広報官によればオーストラリア国内建造案はMoDが準備中の3案の一つで、2016年に契約先をオーストラリア政府が絞り込むという。
10月1日にMoD広報官は「オーストラリア政府は①オーストラリア国内建造、②日本国内建造 ③オーストラリアと日本で建造分担 の三案を検討するよう求めている」と語った。■


F-15は新型EW装備で2040年代以降も運用可能へ


F-15も息の長い機体になりそうです。機齢50年を超える機体になった場合、構造的に大丈夫なのでしょうか。電子戦装備は防御性を重視した内容のようですが、ステルス性に関心を奪われるあまり攻撃能力が減少してしまうF-35を補完する機体として運用する構想のようですね。

Boeing, BAE Will Develop EW Suite For F-15

By Lara Seligman2:54 p.m. EDT October 1, 2015
WASHINGTON — 米空軍はボーイングを主契約企業に選定し、新型完全デジタル方式の電子戦装備をF-15に搭載する。BAEシステムズが開発にあたる。
ボーイングが10月1日発表した声明文ではEPAWSS(イーグル・パッシブ・アクティブ警戒残存システム)により脅威対象に対応してF-15乗員を守ることをめざす。空軍保有のF-15CおよびF-15E合計400機に搭載し、旧式化した戦術電子戦装備(1980年代より使用)を置き換える。
EPAWSS事業は40億ドル規模。
「今日そして明日の戦闘には最新のジャミング、目標捕捉、赤外線探知、高性能のおとり能力が必要」とマイク・ギボンズ(グローバルストライクF-15担当副社長)は声明文で語る。「EPAWSSでF-15は2040年代の先まで有効性を維持できる」
ボーイングはBAEシステムズをEPAWSS開発担当企業に選定した。BAEシステムズが10月1日に発表した声明文ではEPAWSSを高性能電子戦能力を実現し、F-15の「拡大成長可能性」を開くものと表現。同システムにより機体の防御能力が格段に向上し、高性能電子対抗手段、レーダー警報、チャフとフレアの能力アップで実現する。
「完全デジタル化で空軍は次世代電子戦能力をF-15CおよびF-15Eに搭載し、現在および将来の脅威対象に有効に対応できる」とブライアン・ウォルターズ(BAEシステムズの電子戦ソリューションズ部長)■

中国>大連で建造中なのは空母なのか




Satellite Images May Show China’s First Domestic Aircraft Carrier

by BRENDAN MCGARRY on OCTOBER 1, 2015
http://defensetech.org/2015/10/01/satellite-images-may-show-chinas-first-domestic-aircraft-carrier/
Airbus Defence and Space imagery shows the unidentified Dalian hull progressing through construction. (Image courtesy CNES | Airbus DS | IHS)
(上 エアバスディフェンスアンドスペースイミジェリが発表した大連で建造中の正体不明の船体の様子)
民間衛星写真で中国初の国産空母の建造状況が判明した。
エアバスディフェンスが9月22日に撮影し、IHSジェーンズが10月1日に発表したもので、建造場所は大連だという。
同じ造船所の乾ドックが遼寧(CV-16)の改修作業にも使われている。遼寧はソ連時代のクズネツォフ級空母で中国がウクライナから購入している。
船体の存在は3月10日撮影の衛星写真で初めて明らかになっていたが、「建造が相当進んでいる」とIHSジェーンズは説明している。
「上部構造の完成度が低いため、大連で建造中の艦が『001A』と呼ばれる初の空母なのか断言できないが、仮に001Aでないとすれば、新型揚陸強襲艦あるいはヘリコプター空母の可能性も出てくる。建造の進捗が比較的遅いことから商船ではなく軍艦であることがわかる」
中国海軍艦艇数隻がアラスカ沖に初めて出没している。これは北京で大規模軍事パレードを実施したのと同じ州のことで、抗日戦争勝利70周年を祝いながら中国が世界規模での軍事大国になろうと目論んでいることをあらためて明らかにした。
ペンタゴンは中国戦闘機が「危険な」接近飛行を米軍情報収集機に対してアジア太平洋地区で行った事を認めている。これはJH-7戦闘爆撃機(NATOコードはフラウンダー)の2機編隊でRC-135から500フィート以内を黄海上空で飛行している。■


2015年9月24日木曜日

T-X>テキストロン・エアランドはスコーピオン改修案を断念した模様


T-Xで米空軍は相当の高性能機を求めているようです。T-38の正常進化なのかもしれませんが、予算が厳しい中でそこまでの高等練習機が必要なのでしょうか。有事には軽戦闘機として投入可能な機体が本当は必要なのでは。その意味でスコーピオンには期待していたのですが、製造元もT-Xには新規設計機でないと太刀打ちできないとわかったようです。

Textron AirLand Considers Clean-Sheet T-X Offering

By Aaron Mehta 3:32 p.m. EDT September 21, 2015

Textron AirLand Scorpion(Photo: Textron AirLand)
WASHINGTON —テキストロン・エアランドが米空軍向けに次世代練習機案を提出する場合は完全新設計機とし既存のスコーピオンの改修案にはならないと同社幹部がDefense Newsに語った。
  1. 社長ビル・アンダーソンは先週の取材でスコーピオンはISR・攻撃兼用の機体であり、「T-X候補にできない」と軍の要求性能を念頭に語っており、同社としてT-X受注には「新設計機が必要」と述べた。
  2. これは一年前の方針からの変更だ。同社はスコーピオン改修で競合に勝てると考えていた。改修案では主翼を小型化しつつ強化し、空力特性も改良し、エンジン推力を増加させるとしていた。
  3. T-X事業で空軍はT-38後継機として350機を調達する。契約企業は2017年下半期に決める予定だ。
  4. T-Xの要求内容がどれだけ変わったかを見るには、同社の軍用事業開発担当副社長スティーブン・バークの発言に注目されたい。
  5. 「空軍は未知数の機体には全く興味を示しておりません。当社としては実際に飛行可能な機体を訓練用途の目標に合わせます」
  6. その後ノースロップ・グラマン主導のチームはホーク練習機を基にする案を中止し、完全新型機開発に切り替えた。一方、ジェネラルダイナミクスアレニア・エアルマッキM-346練習機を原型とするT-100提案で主契約企業を断念した。
  7. 今度はテキストロンが新型機案に切り替わろうとしている。
  8. アンダーソンは「空軍の最新要求は高性能機を求めている。スコーピオンは多用途機だがISR・攻撃用途に特化しており、要求内容を検討してみたところ同機の改修では追いつかないことがわかった」としている。
  9. ただし同社が新型機設計に踏み切るとしてもスコーピオンで得た製造設計上の「教訓」が参考になるとアンダーソンは言う。ただし同社がこのまま競作に残るかは最終要求内容次第だという。
  10. 「教訓をもとに新型機をT-X候補として売り込むとしても、空軍が要求内容の最終版を固めて予算手当もつけてからの話でしょう。当社としてこのままT-X競合に残る決定をするのは今の段階では困難です
  11. 「事業に関心を払っているのは事実です。会合はすべて出席しており、進展を都度追っています。空軍からも情報開示の要望が多々あり、空軍とは率直な意見交換をしています」
  12. スコーピオンはもともとISR機として設計しているが、軽攻撃用途にも転用できる。同社によればスコーピオンの一時間当たり運行コストは3千ドルで、モジュラー化したペイロード運用を想定しているという。
  13. スコーピオン試作機の累計飛行時間は500時間を超え、テキストロンは二号機の製造を始めようと準備中だ。二号機にはパイロットや技術陣のフィードバックを反映した設計変更として着陸装置の重量軽減化や主翼形状を変更するとアンダーソンは言う。
  14. 「現行設計をさらに洗練させるものです。普通の人にはどこがちがうのかわからないでしょうね」
  15. 一方で同社は引き続きスコーピオン最初の導入先を模索している。アンダーソンは具体的な国名は話さないが、前向きな感触が得られたといっている。
  16. 購入に手を挙げる動きがないまま、スコーピオン開発をどこまで自社負担で続けるのか聞かれてアンダーソンは現在の状況に「非常に満足している」とだけ答えた。
  17. 「時間はかかりますよ。テキストロンは生産仕様の機体製造を真剣に考えており、事業に自信を持っていることのあかしです」■



2015年9月23日水曜日

中国>黄海上空でRC-135へ異常接近飛行を習主席訪米直前に行っていた



今回の事件が跳ね上がりパイロットの突発的な行動だったのか、背景に習主席に対する示威行動の意図があるのか、解放軍は党の軍隊と言われますが、主席に対する不満がたまっているのか、訪米を直前にこの問題が明らかになったことで米中双方でいろいろな観測が飛び交うでしょうね。実態は国際規則など無関係と考える解放軍の価値観が原因と思いますが。

Rivet Joint Crew Reports ‘Unsafe’ Move By Chinese Jet; McCain Weighs In

By COLIN CLARK on September 22, 2015 at 6:02 PM

Aircraft of Offutt's HistoryRC-135 Rivet Joint
WASHINGTON: 中国のJH-7を操縦するパイロットがRC-135リヴェットジョイントに接近し「危険な」操縦を9月15日に行ったことが判明した。ペンタゴンはこれを認めた。習金平主席訪米を明日に控え、当該パイロットが中国主権を守ったとして称賛されるのか、または習主席訪米を台無しにしかねないと処分されるのか注目される。
JH-7の二機編隊はリヴェットジョイントを追尾していた。「インシデントは黄海上空、山東半島から80マイルほどの地点で発生。中国機のとった行動はRC-135乗員から危険行為と受け止められた。空中衝突の可能性はなかったが、該当機は危険飛行を行ったとの報告が入った」とペンタゴン報道官ピーター・クックが記者会見で述べた。問題の中国機はRC-135から500フィート未満の距離で通過飛行しているという。
習主席が発表した30万名に上る兵員削減に対する不満が軍内部に高まっているとのうわさ、南シナ海で中国が大規模な土木工事を行っていること、軍事演習がこれまでにまして威力を誇示していることから、問題のパイロットが功績を認められたく行動したのではないかとの見方がある。
米中軍事関係報道では第一人者ビル・ガーツが今回の接近飛行を初めて報道している。
ガーツはペンタゴン関係者二名が今回の事件を「危険かつ無責任な迎撃行為で2014年にあわや空中衝突しかけたJ-11戦闘機と海軍P-8哨戒機の南シナ海事件と似ている」と評しているのを伝えた。J-11はP-8から50フィート地点を通過飛行している。さらにガーツは「中国機はRC-135の機首を横切った」と報じたが、ペンタゴン報道官ビル・アーバン中佐は電子メールでその事実はないと伝えている。「現時点では一部メディアが伝えるような空中衝突に近かったとの証拠はない」
ジョン・マケイン上院議員はオバマ政権が中国が構築中の「島嶼」に正面から反対していないと追及しているが、本日午後に声明文を発表し、今回の事件を「中国がアジア太平洋地区で強硬な姿勢を続けられると付け上がっていることのあらわれ」だと述べた。マケイン議員は上院軍事委員会委員長であり、「今回の事件は空対空対応の規則作りの交渉が続く中に発生し、習主席の訪米前週に発生していることから中国の真意ならびにオバマ政権による対応にさらなる疑念を抱かせる」とした。
アーバン中佐は習主席のワシントン公式訪問を不必要に複雑化させたくないペンタゴンの意図を反映し、「米軍は中華人民共和国(PRC)の実働部隊との間のリスク低減を大幅に実現している。二国間の信頼醸成策(CBMs)は部隊間の相互作用を狙ったものであり、この効果の証明でもある」と述べ、「PRC側の行動に改善効果が特に安全とプロ意識の面で見られるのはわが法の航空機への対応で明らか」と付け加えている。同じ文言はこの二年間、政府高官が繰り返し発言しているのだが。■

なお、最初に報じたガーツ記者の記事は下のリンクでご覧いただけます。

★南シナ海、中国の人工島建設問題>米軍は12カイリ以内の航行飛行をしていなかった



また上院軍事委員会のやり取りの紹介です。質問する側も答える側も真剣に言語で対応する姿勢には感服させられます。日本の国会議員の質を嘆く前に日本社会の言語空間がどれだけ貧しいかよく考えたほうがいいのではないでしょうか。さらに言えば、この問題は日本の国会ではまったくとりあげられていないのでしょうか。既成事実の積み上げという中国の作戦になにも打つ手がないというのもおかしな話ですね。

US Hasn’t Challenged Chinese ‘Islands’ Since 2012

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on September 17, 2015 at 2:20 PM

CSIS image中国が完成を急ぐフィアリークロス環礁の航空基地(CSIS image)
CAPITOL HILL: 米国防関係者は本日、中国が進める南シナ海の人工島建設について少なくともこの三年間は主権問題で異議を直接唱えていないとを認めた。米軍機が人工島上空を飛行しておらず艦船も12カイリ以内を航行したのは2012年が最後だという。
アシュ・カーター国防長官が今月になって威勢のよい発言をしたが実は空虚なことばではないのかとの疑義が生まれそうだ。長官は中国が主張する問題個所でも「国際法の許す限りで飛行、航行、作戦実施を続ける」と発言していた。習金平主席の訪米も今月に控え、発言の中身が注目されていた。
12カイリ問題は特に重要だ。中国は新たに造成した「島嶼」から領海を主張するはずだ。米側の主張は水没するサンゴ礁の上に人工構造物を造成しても法的な権利を周囲の水域あるいは空域に主張する根拠はないとする。中国側は南シナ海全体を自国領海だと主張しており、悪名高い「九段線」を根拠としているが、米側は相手にしていない。
ジョン・マケイン上院議員の中国に人工島の建造、運用を許してはならないという見解には党派を超えた支持が集まっており、今朝は同議員との応酬が大きな見せ場になった。
「わがほうは当該地を航行、飛行を毎日のように繰り返し実施しています」とデイビッド・シア国防次官補(アジア太平洋地区安全保障問題)は発言し、「航行の自由」を守るための作戦を4月から展開していると述べた。
「だが埋立地から12カイリ以内では運用していませんね」とマケイン議員は問いただした
「航行の自由作戦を実施しています...」とシアは口を開いたが、「埋立地点から12カイリ以内に入ったのか」とすかさずマケインが遮った。
「最近は埋立地から12カイリ以内には入っておりません」とシアは認めた。
では最後に入ったのはいつか、とマケインは問いただした。
やや間をおいてからシアは「12カイリ以内での航行の自由の作戦は2012年実施が最後だったと思います」と回答した。
「2012年ね、三年前ですな」とマケインは厳しい表情で口を開いた。
民主党の軍事委員会ジャック・リード議員の質問に対し太平洋軍司令官ハリー・ハリス大将は中国が主張する陸塊上空の「通過飛行も実施していない」と認めた。
中国の人工建造物は力の均衡にも影響を生じている。中国は浚渫により海軍艦艇を運用可能な港湾設備を建設中のほか、3,000メートル超の滑走路複数もけ整備中で、スペースシャトル除くいかなる機体も運用できるようになるとハリス大将は上院で語っている。
米国が各島嶼の12カイリ以内を航行・飛行して法的な主張に異議を唱えないと、中国は自国主権を堂々と主張して紛糾を抱える戦略海域を手中に入れるだろう。「12カイリ原則を守れば、事実上主権を認めることになり、中国の主張に暗に組することになる」とマケインは本日の審議を振り返ってコメントした。
だが米軍が接近すれば中国はこれを米側の挑戦状だと受け止めそうだ。さらにアヘン戦争以来176年にわたり国家的なトラウマに苦しむ中国が危険な反応に踏み切らない保証はない。主権が侵されたと考えれば過激な策に走るかもしれない。米側は中国とは軍同士のつながりを維持することで緊張が増大しないよう努めてきたが、それでも米側政策担当者には島嶼問題にエスカレーションなしでどう対応すべきか自信がなくなっている。当然のことながら該当地で堂々と挑戦的態度を示すためには注意深く行動しても危険な衝突は起こりうるし、死亡者も発生するだろう。
シアは中国が一方的に主権主張する該当地の航行・飛行は選択肢の一つにすぎないとし、実際には実施できない選択肢だという。「航行の自由作戦は広義の対策手段のひとつにすぎません。事態が進展していけば航行の自由作戦以外の選択肢も検討対象に入ります」
「太平洋軍は選択肢を用意しており、軍事含む広範な選択肢を長官に提示済みです。指示あれば実施できる体制にあります」とハリス大将は述べている。
なるほど、だがどの選択肢を取るべきと考えているのか、とダン・サリバン上院議員は問いただした。「貴官の職責から言って12カイリ以内の航行あるいは飛行をすべきと考えますか」
これに対しハリス大将は政策決定の権限は国防長官にあり最終的には大統領であると答えたうえで、個人の意見として「南シナ海で航行の自由は海上、上空の双方で行使すべきです。中国が主張する島嶼は島ではありません」と述べた。
「12カイリ以内でですか」とサリバンは尋ねた。
「場合によりけりです。もし....」
サリバンはそれを遮り、中国が建設中のフィアリクロス環礁上の滑走路写真を示した。「ここではどうでしょうか」
「ここは対象です」とハリス大将は答えた。
このままでは軍事脅威が生まれると同提督は発言した。中国が建設工事を進めれば「ミサイル発射、第5世代戦闘機運用、偵察監視活動の拠点になる」と議員を前に説明し、「中国は事実上の南シナ海の支配を戦闘時除き確立してしまう」と述べた。
ただし交戦になれば「これらは容易に攻撃できます」と語った。
「中国は非常に新しい装備を配置し運用能力が増大していますが、こちらは技術上の優位性をほぼ全域で確立しています」とハリス大将は述べた。「わが軍の能力からすれば中国に勝利することは十分可能と自信を持っています。ただしこの事態が発生しないよう祈りますが」
「とはいえ、技術優位性の維持は必要です。向こう側も進歩しているからです」とハリス大将は続けた。具体的には第五世代機のF-22やF-35の配備とともに既存の第四世代機F-15、F-16、F-18の性能改修も必要だ。既存機種を多数相当長く運用する必要があるためだという。
「質的にはわがほうが有利です。練度はこちらのほうが高く、装備の性能も高い。ただし量が有利になることもあります」
中国軍装備が近代化とともに増強されていくことから「中国の軍備増強のペースに対してわが方が予算強制削減を引き続き受けていることに憂慮せざるを得ません」とハリス大将は述べ、予算管理法による支出上限に触れた。「2020年代に入るときわめて現実の問題になりかねません」■



2015年9月22日火曜日

★シリア>米国による戦闘員養成戦略は失敗?



オバマ政権が外交上数々の失敗をしていることは歴史家の評価を待たずとも明らかで、次期政権にこのままの状態の世界を任せようというのは承服できません。また官邸が都合の良い解決策を軍に任せて責任をとらないというのも認められませんね。ただし、上院という言論プラス調査の府でこの事件も事実が解明されていくでしょう。日本の上院にあたる参議院で暴力沙汰が世界に示されたのとは好対照ですね。


Was Syrian Train-and-Equip Effort Always a 'Mission Impossible'?

By Joe Gould 11:50 a.m. EDT September 21, 2015
WASHINGTON —オバマ大統領が米議会にシリア穏健派の訓練、機材を与えイスラム国に対抗させる策の承認を求めて1年が経過したが、軍高官は総額500百万ドルの事業は穴だらけだと認めた。
  1. イスラム国の撃滅のためにも現地反乱勢力による反抗がなければ国内治安情勢の回復が望めないとペンタゴンは主張してきた。原案では今年末までにシリア人4,500名を訓練するはずだった。
  2. ロイド・オースティン大将(米中央軍司令官)は米国の訓練を受けたシリア戦闘員で残っているのは5名だけと明かし、事業の再構築が必要だと認めた。またペンタゴン監査官が事業の進展ぶりを意図的に好調に見せるべく情報評価に手が加えられたとの内部告発の調査をしていることも明らかにした。
  3. 構想ではアサド政権ではなくシリア反乱分子を集結させようとしてきたが、見直しか継続かを問われそうだ。
  4. 「ホワイトハウスが考え出した訓練・供与案は最初から実施不可能だった」と語るのはフレデリック・ホフ(オバマ政権で前シリア問題上級顧問)だ。ホフは現在大西洋協議会に所属。「愛国的な反乱分子を募りISILにだけ交戦させようというのはいかにもホワイトハウスらしい発想だが現実と全く乖離している」
  5. 上院軍事委員会で9月16日にオースティン大将は三か月前は60名だった訓練ずみ戦闘員で何人が残っているのか問われた。
  6. 「極めて少数です。戦闘可能なのは4,5名です」
  7. クリスティン・ウォーマス国防次官(政策担当)は「100名から120名の」追加戦闘員がトルコ国内で訓練中だと証言した。これに対しクレア・マクカスキル上院議員(民、ミズーリ)は「希望的観測をあてにしているわけですね」と感想を述べていた。
  8. 20日にはシリア人75名が米国支援のもと訓練を受けトルコ国境からシリア北部に侵入したとの報道が入っていた。
  9. 「アンカラで訓練を受けた75名が18日から19日にかけてアレッポ地方に移動した」とシリア人権監視台を率いるラミ・アブデル・ラーマンがAFPに語っていた。
  10. 反乱分子を束ねるDivision 30の報道官ハッサン・ムスタファが同上報道を確認している。同組織がトルコ国内で二か月の訓練を行ってから実戦に送り出しているという。
  11. ワシントンではそれに先立ち開催された議会公聴会が同事業を失策と決めつけ再評価を求めている。
  12. 「米国が訓練したシリア戦闘員が4、5名しか残っていないなんで冗談にしか聞こえない」とケリー・アヨッテ上院議員(共、ニューハンプシャーは発言。
  13. 「本案件は完全な失敗と認めるべきだ」とジェフ・セッションズ上院議員(共、アリゾナ)は語る。「そうなってほしくなかったが、事実だ。失敗に対応する時期を逸している」
  14. 事実があきらかになるとホワイトハウスは一線を画そうとしている。ジョン・アーネスト報道官からはオバマ大統領は最初から疑わしいとみていたと論評。推進派は「シリア国内の決定打になる」との声が出ていたと氏名を特定せず紹介している。ペンタゴンと政策決定層は困難な課題と認めたうえで「必要な変更を行う」と述べた。
  15. 「批判的な筋からは具体的な選択肢としてシリアの難しい課題すべてに対処すべきとの提言があります。現政権としてはこうなるとはそもそも想定しておらず、批判派にぜひお答えいただきたいものです」(同報道官).
  16. アーネストはオースティン大将が公聴会で示した誠実さを讃え、ペンタゴン報道官ピーター・クックも同様にアシュ・カーター国防長官が同大将に「全幅の信頼を置いている」と語った。
  17. 公聴会ではジョン・マケイン委員長(共、アリゾナ)がオースティン大将に対してシリア含む域内情勢で意図的に楽観的な評価をしていたのではないかと追及している
  18. オースティンは今月初めにマーティン・デンプシー大将(統合参謀本部議長)から出たイスラム国との戦闘はこう着状態に入ったとの発言へはコメントを避けつつ、「戦闘状態の初期では失敗はつきもの。幸い、イラク・シリアで課題は多い中、チャンスはあり、このチャンスを生かせば必ずや良い結果がすぐに出てくることを確信している」と述べた。
  19. マケイン上院議員は何年も続く戦闘の行方から威勢の良い評価は幻想にすぎないとみているようだ。「大将が話されているとおりなら何十万人もの難民がヨーロッパにあふれてシリア国内ですでに死者が25間人になっているのもすべて順調だということになりますな」
  20. その発言を受けてオースティン大将は国防総省監査総官が「情報の取り扱い」で内部捜査をしていると自ら発言した。
  21. マケイン議員からは委員会も独自調査をするとの発言が出た。結果次第ではペンタゴンの信用度が影響を受け、軍事活動への国民の支持も揺らぎかねない。
  22. オースティン大将は情報機関に働きかけて有利な状況を作ろうとした事実はないと発言。また「配下の各部署で率直かつ正確な情報評価を」期待すると述べた。
  23. シリア向け訓練・装備供与がトラブル続きであることは同委員会も承知している。7月にはカーター長官も事業がうまくいっていないと認めていた。ペンタゴン関係者はその後一貫して何がどこまで難航しているのか明らかにしていない。
  24. カーター長官はくりかえし戦闘員は60名いると発言しており、「期待より少ない」のは審査が厳しいせいだとしていた。実際の志願者は数千名いたが60名に絞り込んだのだという。
  25. ニューヨークタイムズは7月末に訓練生は米支援を受けるDivision 30とともにトルコ国境付近からヌスラ戦線(アルカイダ系)により拉致されたと報道している。
  26. 米関係者はこの報道に論評を拒否しているが、少数のシリア戦闘員をシリア北部の反乱部隊に合流させられないか検討していた。
  27. マッカスキル上院議員はオースティン発言を受けてこれまで予算500百万ドルを使っているが、来年度に600百万ドルの要求が出ているのはどういうことなのかとの疑問を呈している。イスラム国に対抗する戦闘員を急増させる戦略が必要だと考える。「500百万ドルかけて数十名しか養成できないとはどういうことなのか」
  28. ただし、同議員も米側と一緒に戦うシリア戦闘員がイスラム国の格好の標的になることを認め、イスラム国の宣伝能力の高さを念頭に置いている。「相手の術中にはまってはいけない」
  29. 専門家からはあらためて同事業の前提条件の妥当性だけでなくオバマ政権が本当にイスラム国を撃滅しようと真剣に考えているのかとの疑問が噴出している。
  30. ホフは政権内にいたこともあり、慎重すぎる戦闘員養成策に難があるとみる。米国が訓練した戦闘員が敵側に流れる失態を回避したいとの思いが背景にあるという。「第二次大戦のフランスでレジスタンス構成員にこんな選考手続きをしていたらどうでしょうか。小銃一丁も提供できなかったでしょう」
  31. 対外関係協議会の主任研究員マイカー・ゼンコーは今回の事態をピッグス湾事件になぞらえる。ジョン・F・ケネディー大統領が実施を途中で断念した1961年のキューバ侵攻作戦のことだ。
  32. 中東研究センター所長のジョシュア・ランディスはそもそも訓練・装備供与がシリアの現実と乖離していると指摘し、米国が期待する穏健な戦闘員など存在しない、また有力な勢力はアサド政権あるいはアルカイダ系の集団のいずれかしかないという。「訓練・供与はこうあってほしい願望にすぎない。これを信望してきたのは現政権が重要だと考えてきたからだ」
  33. ランディスの見方をすればオバマ政権はイスラム国の撃滅に取り組む代わりに次の政権に対応を任せ、封じ込めるだけを考えていることになる。
  34. 「机上の空論から政治課題として現実になったことが誤りの始まり」のだとランディスは言う。■


速報>シリアにロシアが軍用機28機を展開中と判明



US Officials: Russia Deploys 28 Combat Planes In Syria

Agence France-Presse3:29 p.m. EDT September 21, 2015
SYRIA-RUSSIA-CONFLICT(Photo: Syrian Arab News Agency via AFP)

ロシアがシリア国内に戦闘航空機を28機展開中と米関係者が21日に述べ、ロシアがシリアで軍事プレゼンスを増大させていることが裏付けられた。
「西部のラタキアの基地に戦闘機、爆撃機計28機が配備中」と米政府関係者はAFPに匿名を条件で明かしている。
別の米政府関係者も匿名を条件でこの数字を裏付けた。同基地に20機の戦闘用航空機、輸送用ヘリコプターが展開しているという
同関係者はロシアがシリア上空で無人機を運用しているとも述べたが、詳細は語らなかった。

2015年9月20日日曜日

★★★ファイターギャップを埋める役割が期待されるF-15C



もともと二番手のF-35にすべてを期待することは不可能です。F-15は優秀な機体ですが、経年変化には勝てません。当面F-Xが登場しない以上(航空史で主力戦闘機の空白時期が発生するのは異例)、F-15を機体強化しても徹底的に使いこなすしか手がないのではないでしょうか。

Fighter Gap Forces Questions On USAF F-15C Plans

Sep 17, 2015 Amy Butler | Aviation Week & Space Technology

米空軍F-15Cの退役日程が示されていないのは同機の将来が明るいこと証拠だ。
  1. ボーイングは改修提案を繰り返している。以前の案サイレント・イーグルは失敗しているが。
  2. 空軍所属機は退役予定日を予定も含め記録するのが通例だ。だがF-15Cの場合は興味深い。当初はF-22で全機更改の予定だった。だがF-22の高コストで当時のロバート・ゲイツ国防長官は生産打ち切りの決定を2009年に下し、生産は187機で止まった。予定は350機の整備予定だった。そこでF-15C部隊は想定より長く供用されることになり、F-22の後継機種(次世代制空戦闘機Next-Generation Air Dominance aircraftの名称がついている)が就役するまで飛行することになった。
  3. 「次期制空戦闘機の生産は2030年代以降で、少数配備のまま2040年代に入るるはず」と ボーイングでF-15事業を担当するマイク・ギボンズMike Gibbons副社長は言う。
  4. 空軍関係者はまだ「ギャップ」が生じるとまでは言い切っていないが、戦闘機数の不足は明らかだ。空対空ミッションで計画立案に影響が出る。10年前には「ハイ・ロー」ミックスでF-22が制空任務全般を、F-35が多用途任務機として制空、敵防空網破壊、近接航空支援を担当する想定だった。F-35の空対空戦闘能力は限定的で第一線の制空戦闘機ではない。
ボーイングが提案するF-15C改良では空対空ミサイルを満載する点で、以前のステルス性追求と好対照だ。Boeing Concept.
  1. 空軍参謀総長マーク・ウォルシュ大将によればF-22の機材数が少ないことから、F-15Cの長期利用ならびにF-35の制空任務投入を検討しているという。ただもともとその想定で設計していない機体とを本人も認める。ウォルシュ大将は空軍協会の航空宇宙会議の席上で語っている。「F-22導入が打ち切りとなってから補完対策が必要となった。とりあえずはF-15Cに期待し、F-35もF-22の機能を肩代わりできるはずだが、そのかわり同機の本来任務が実施できなくなる」
  2. ハーバート・カーライル大将(空中戦闘軍団司令官)もこれは難題と認める。F-15Cを飛行可能状態に維持するには高価な改修作業が必須であり、機材は酷使されている。耐久性試験結果から一部機材で縦通材の追加、主翼桁、主翼の交換が必要と判明した。これだけでも「数十億ドル規模と大将は記者団に語っている。.
  3. ウェルシュも空軍が新型機をあらたなローエンド機材として導入するのが理想的だという。ただし予算がないという。
  4. ボーイングはF-15C部隊の各種改修案を作成中で防空体制の変化に対応できるという。この案は「F-15 2040C」の名称で、失敗に終わった「サイレント・イーグル」構想に続くものだ。サイレント・イーグルは2009年に発表され、レーダー断面積を小さくし、一体型燃料タンク(CFT)の採用により兵装類を機内に格納、尾翼を斜めに取り付け、特殊塗装でレーダー特徴を抑えようとした。ボーイングによればサイレント・イーグルはイスラエルと韓国をねらったが、米空軍の採用も視野に入れていたという。結局どこもとびつかなかった。
  5. そこで2040Cではステルス化ではなく重武装化を狙う。「CFTで実現した長距離性能を無駄にしたくないですし、仮にこれを犠牲にしても機体内部に搭載する兵装は犠牲にしたくありません」(ギボンズ)
  6. これが実現すればF-15での支援任務の幅が広がる。F-22に敵防空網突破させ、データをF-15に中継し、F-15は安全地点から各種兵器を投下する作戦構想だ。この実現にはF-15の兵装搭載量を増加させ、通信装置の更新が必要だが、2040Cで実現する。
  7. 2040Cのオプションの一つがCFTに空対空ミサイルを外装でそれぞれ4発搭載することだ。これで空対空ミサイルが合計16発になる。もう一案はフライ・バイ・ワイヤ機体制御を導入する前提で空対空ミサイルをさらに外装するものだ。CFTはF-15Eストライク・イーグル各機で導入済みだが、E型は制空任務に投入されることは少ない。
  8. 空対空ミサイル16発の搭載は『アッパーエンド」の要求で、各種シナリオを空軍が検討しているとギボンスは述べる。「世界各地に展開するわが軍に対して敵が有利な立場になる場合がありうるのです。なぜなら敵は機体を定位置に配置し、近くの基地から運航してくれば、数で圧倒できるわけで、迅速に相当の機数を飛行させるはずです」
  9. F-22との交信能力はこの作戦構想で必要不可欠な要素だ。空軍は第5から第4へと呼ぶ通信機能でF-22からF-15C/Dへの通信中継能力を重視している。
  10. 空軍のタロン・ヘイトポッドはこの先駆け的存在だ。今秋にテストがはじまるが、生産は少数で需要に追いつかない。ただし空軍は第5から第4への通信能力を全機に搭載する予定だ。問題はF-22にF-15Cの間で安全に通信のやり取りができないことだ。高性能化する敵防空網によりF-15は一層手前までしか飛行できなくなっており、F-22だけが飛行する可能性が高い。問題はF-22が搭載できる兵装が少ないことで、目標を捕捉し特定するとF-15が攻撃ミサイルを発射する想定になっていることだ。長距離赤外線探査追跡(IRST)機能を搭載したF-15は逆に前方のF-22に標的情報を送付することができる。
  11. 2040Cでは長距離IRSTセンサーも想定している。これはタロン・ヘイトの一部でかねてからレーダー回避性能がある機材を長距離から探知する能力がF-15Cには求められてきた。ギボンスによればパッシブ、アクティブ双方で残存性の向上も実現するという。.  
  12. このため改良型AN/APG-63 高性能電子スキャンアレイレーダーの搭載が必要だ。ボーイングもイーグルパッシブ・アクティブ両用警戒残存システム Eagle Passive/Active Warning and Survivability System (Epawss)を開発中で総額76億ドルとなる。これは1970年代技術の戦術電子戦システムに代わるものだ。
  13. ギボンスによれば Epawss の契約企業発表が近づいており、その後およそ一年かけて技術成熟化を図る。開発はその後5年かけて行う。最終的にEpawssの第一線配備は2020年代中頃になる。この時期は2040C改修の実施完了時期と一致するという。
  14. 平行してボーイングは機体の疲労試験を実施中で機体寿命の延長が可能かを見極める。C型は9,000時間の認証がおりているとロバート・ズウィッチ(空軍F-15期待寿命管理センター主管)は言う。
  15. 空軍からボーイングに追加疲労試験を2機で実施の指示が出ており、一機は33,000時間経過機、もう一機は 13,500時間経過機だ。飛行時間が少ない機体を仔細に調べて2040仕様に改装可能か見極める。ただし、比較的機齢が高いと機体構造にてを入れる必要があり、ミッションシステムは古い機体から改修して利用する。製造年が古い機体は2040年までに累計飛行時間が2万の大台を超える。
  16. なお米空軍が運用中のF-15Cは合計213機。■