
Aviatonweekが独立記念日のお休みで配信が遅れていますので、代わりの記事をご紹介します。
Ex-F-22 engineer to sue Lockheed for stealth design
flightglobal.com 6月30日
F-117とB-2開発に参加したステルス技術者がロッキード・マーティンに対してF-22のステルス被覆に明らかに欠陥があるにもかかわらずその事実を秘匿しているとして訴訟を起こす。
【訴状内容】 ロッキードに1999年に解雇されたダロル・オルセンは連邦地裁カリフォルニア支部に訴訟手続きを求めている。オルセンの要求は解雇前の現状復帰と利子を含む給与相当分の支払い。また、ロッキードに対しては合衆国政府に対し発注済F-22合計183機に各50百万ドルの支払いを求めている。この金額は同社がごまかしたステルス性能に相当するとの主張。オルセンは同社に1979年入社後、スカンクワークスでF-117の複合材料の開発に従事したと訴状にある。1990年にノースロップに転籍しB-2の飛行テスト業務を担当。1995年にロッキードに戻り、F-22のステルス性能実現確保のため同社の材料・加工エンジニアリンググループ(ジョージア州マリエッタ)に参加した。
【F-22ステルス被膜の構造】オルセンの訴状によるとF-22は三層の被膜でレーダー特性を減衰させる設計という。一番下の被膜が機体表面を覆うと同時に第二層との接着を助ける。第二層は銀とポリウレタンを混合した伝導性のある被膜でレーダー波を発信源に跳ね返す効果がある。最上層の特性に熱発生を抑えることがあり、レーダー発見の危険性を下げる効果がある。「これら被膜の効果が低いと同機のその他ステルス効果が無効になる」と訴状が記述している。
【ロッキードの対応】オルセンによるとロッキードは米空軍にステルス被膜効果を誤って伝えたという。オルセンの上司は米空軍との会議で発言しないよう指示した。ロッキードが問題解決の成功を祝って開催した偽りの表彰式にも参加を拒否。また同社は米空軍の検査にも偽装工作を行ったと主張している。オルセンの解雇理由は「業務指示への不服従」となっている。ロッキードからのコメントは出ていない。
【実際に発生している事故】 2008年3月にF-22の一機二十台破損が発生している。同機エンジンナセル内部のステルス被膜の一部が剥離しF119エンジン(プラットアンドホイットニー製)に吸い込まれた。同年11月にジョン・ヤング国防次官(当時 調達・技術開発・装備担当)がF-22のステルス性に懸念ありと報道陣に伝えている。
コメント:どこまでが真実なのか、解雇されたエンジニアが今になって訴訟を起こすのはなぜなのか。公訴が認められれば事実関係を明らかにしなくてはなりませんが、情報公開が公共の利益にかなうのかどうか。看過できない事態に発展する可能性もありますが、これはエイプリルフールではありません。
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