2026年6月23日火曜日

カナダの次期潜水艦建造を巡り韓国・ドイツが争っているが、売り込みが雇用や産業育成に焦点を当てながら、同国の安全保障における新型潜水艦の意義が注目されないのはおかしい

 

カナダの潜水艦建造をめぐり2カ国が争っているが同国の安全保障上で潜水艦の意義を問う者はほとんどないという事実

Two Countries Are Battling to Build Canada’s Submarines. Almost No One Is Asking What the Subs Are For

入札企業は2社に絞られ、決定は数週間以内に下され、600億ドル商談が迫っている。にもかかわらず、カナダ向け次期潜水艦をめぐる大きな議論は、潜水艦は北極海、北太平洋、北大西洋での任務に耐えなければならない事実にもかかわらず工場や雇用に焦点が当てられたままだ。

https://nationalsecurityjournal.org/two-countries-are-battling-to-build-canadas-submarines-almost-no-one-is-asking-what-the-subs-are-for/


Victoria-Class Submarine Canadian Navy Photo

ヴィクトリア級潜水艦 カナダ海軍写真

カナダはヴィクトリア級潜水艦の更新について長年にわたり議論してきたため、同計画が実際に実現するかもしれないという事実を忘れがちだ。カナダ哨戒潜水艦プロジェクトは、当初25案の参加表明が殺到する混戦状態から始まり、現在はドイツの212CD型と韓国のKSS-IIIという2つの有力候補に絞られた。両者の正式な提案書はすでにオタワの手に渡っている。マーク・カーニー首相は6月末までに優先調達先を決定する意向であると述べたが、契約自体の締結はそれより後になると見込まれている。

カナダの大型潜水艦選定

カナダ海軍の長距離哨戒潜水艦HMCSヴィクトリア(SSK 876)が、寄港および定期整備のためキトサップ・バンゴー海軍基地に到着した。ヴィクトリアがバンゴーを訪れるのは2004年以来初めてである。(米海軍写真:エド・アーリー中尉/公開)

ヴィクトリア級潜水艦 カナダ海軍。画像クレジット:クリエイティブ・コモンズ。

この競合は、単なる海軍調達以上のものとなっている。ドイツはボリス・ピストリウス国防相をオタワに派遣し自国の提案をアピールさせ、納入を早める措置さえ打ち出している。韓国は、造船をはるかに超えた広範な産業パッケージに提案を盛り込んだ。カナダからすれば、これは重大な戦略的・政治的決定となっている。

それだけでも、オタワのベテランたちを少し疑心暗鬼にさせるには十分だ。カナダ政府は以前も防衛調達を発表してきた。延期したり、計画を見直したり、世界が変化していく中で静かに棚上げにしてきたこともある。

それでも、今回の案件は進展しているようだ。

この件をめぐる議論は、お馴染みの展開を見せている。ある入札案はある種の産業機会を約束し、別の案は異なる機会を約束する。雇用、地域開発、製造パートナーシップ、技術移転についての議論がある。どれも珍しいことではない。600億ドル近くを支出しようとしている政府が、そうした問題を完全に無視するとなれば、むしろ奇妙なことだ。

奇妙なのは、潜水艦の実際の用途についてはほとんど時間が割かれていないことだ。

地政学的な状況は不変だ

数年前まで遠征作戦や、世界的な責任を負う中堅国であるという大まかな概念を軸に、カナダの防衛議論を耳にすることもまだあった。そうした表現の一部は今も残っているが、それは主に、政府が古い習慣を捨て去るのに時間がかかるためだ。

しかし、その表現はもはや地政学的な現実に基づいていない。

カナダの真の戦略的課題は、かつて思われていたよりはるかに身近な場所に存在している。北太平洋が重要であるのは、そこが主要国間の競争が北米に及ぶ場所だからだ。北極圏が重要であるのは、政治的には未解決のままであるにもかかわらず、アクセスが容易になってきたからだ。北大西洋が重要であるのは、欧州と北米が依然としてインフラや海上交通路によって結びつけられているが、それらが突然再び脆弱に見え始めているからだ。

こうした状況で潜水艦は特異な位置を占めている。多くの場合、潜水艦が価値を持つのは、誰にも見られないからである。それらは敵対勢力の計画を複雑にし、情報を収集し、不確実性を高コストにする。

北太平洋、北極、北大西洋で本格的に活動しようとする国は、艦隊を選定する際、まずそこから始めるべきである。

だからといって、自動的にドイツの212CD型や韓国のKSS-IIIが候補になるわけではない。この点については、誠意を持って議論の余地がある。しかし、議論の焦点は、それらの海域が課す作戦上の要求にあるべきだ。カナダの地理的条件による任務を遂行できない潜水艦は、その周辺のパッケージがいかに魅力的であろうと、間違った選択である。

本来ならもっと注目されるべきなのに、あまり注目されていない別の側面がこの決定にある。潜水艦の購入は、非常に長い期間にわたって特定のビジネス慣行に定着することを意味する。乗組員は、艦を建造した人々から学ぶ。改修は慣れ親しんだ場所で行われる。物資供給の仕組みは独自の勢いを帯びていく。カナダはすでに戦略的な活動の多くを北大西洋に向けており、ドイツの提案はその世界観にすんなりと適合する。一方、韓国の提案は、その活動の一部を、世界の防衛市場へ精力的に進出しているインド太平洋地域のパートナーへと引き寄せることになるだろう。

これらだけでは議論の決着にはならないが、オタワが次世代潜水艦の設計以上のものを選んでいることを意味している。

政治は別のものを求める

国防調達担当国務長官のスティーブン・フール氏は今年初め、カナダへの経済的利益が決定の原動力になると述べた。政治家がここまで直接的に物事を語ることは稀であるため、この発言は注目を集めた。

それはまた、古い政治的現実を反映していた。

大規模な調達案件は、最初の装備が就役するはるか前から勝者と敗者を生み出す。州政府は注目する。労働組合は注目する。産業界は注目する。国会議員たちは、工場がどこに建設され、どこに建設されないかを注視する。

韓国の提案は、造船そのものを超えた、印象的な産業パートナーシップのネットワークを築き上げている。ドイツ側も独自の経済的メリットを提示している。それが真剣な競合他社のやり方だ。彼らは顧客が抱いていると思われる優先事項に応えるのである。

それ自体に何ら問題はない。産業能力は国家の力の一部であり、複雑なシステムを自国で製造できない国は、やがて戦略的依存の限界に直面することになる。

しかし、経済的利益を重要な考慮事項として扱うことと、それを中心的な要素として扱うことには違いがある。

潜水艦が実戦で生き残れるかを決める資質は、政治的な発表として表現するのが難しい。それらは特に写真映えするものではない。地域の投資額として簡単に換算することもできない。誰かがその艦を北へ進め、本来の目的を果たすことを信頼して任せる時になって初めて、その真価が明らかになるのだ。

カナダの政治には現実的な側面が常にあった。政府は数値化を好む。雇用は数えられる。新施設も数えられる。しかし、氷下での航続能力は売り込みが難しい。

おそらく、それが民主主義政治なのだろう。

永続する決断

オタワが最終候補でいずれかを選べば、それほど大きな間違いにはならないと推測したくなる誘惑がある。どちらも優れた設計だ。どちらも先進工業国からの提案だ。どちらも現状に比べて大幅な改善をもたらすだろう。

そのすべてが真実である可能性はある。

しかしリスクは別のところにある。

政府は、そうではないと認めると政治的問題を招くため、産業パッケージと運用要件が同じ方向を指していると、徐々に自らを納得させてしまう可能性がある。そうなれば、軍事的な論理は経済的な論理に合わせるため静かに調整されてしまう。

それが起こるために、誰かが無謀な決定を下す必要はない。誰かが軍事的な助言を無視する必要もない。より大きな政治的な議論が、別の問題を中心に回っているだけで十分なのだ。

また、カナダの防衛政策には、時間がたっぷりあると想定する習慣がある。優先供給業者が発表されることもある。交渉は続く。内閣は交代する。貿易紛争が介入する。弁護士が関与する。案件は進行中でも年月は過ぎていく。

カナダが更新しようとしている潜水艦は、そうした政治的なリズムには特に関心がない。

今後10年のどこかで、この国は自らが実際に何を購入することを決めたのかを思い知らされるだろう。産業面と運用面の議論が、最初から同じ答えを指し示していたことが判明するかもしれない。あるいは、そうではないかもしれない。

オタワがそれを整理している間も、北の海域や両海岸の海域の重要性が薄れることはない。それらはこの競争が始まる前から存在しており、雇用や投資に関する見出しが消え去った後も、ずっとそこにあり続けるだろう。■

著者について:アンドルー・レイサム博士

アンドルー・レイサムは、ミネソタ州セントポールにあるマカレスター大学の国際関係学および政治理論の教授である。

武器輸出国としての韓国の存在感―安価で納期が短い韓国製兵器の輸出に水を差すのは日本になるのか

 

トランプが同盟国への武器供与にうんざりする中、韓国がその役割を引き受けている

Trump Is Tired of Arming Allies. This Country Is Stepping Up

世界舞台から米国が撤退するのは韓国にとって好機である。

https://www.politico.com/news/magazine/2026/06/20/south-korea-weapons-dealer-trump-00959559

「米国はもはや、世界を守る責任を負い続けることはできない」と大統領は説く。「自由の防衛は、米国だけの問題ではなく、すべての人々の問題だ」と、彼はホワイトハウスでの演説で述べた。「そして、それはとりわけ、自由が脅かされている人々自身の責任である。」

まるでトランプ流の演説そのものに感じられるこの言葉は、1969年にリチャード・ニクソンによって述べられたものだ。

ドナルド・トランプが欧州に対する米国の安全保障上の約束を縮小し、欧州を不安に陥れるずっと前から、ニクソンはアジアで同じことを行っていた。それらのビジョンが交差したことは世界を震撼させたが、同時に新たな可能性も生み出した――韓国が世界舞台で主要な武器輸出国となる道を開くこともそこに含まれていた。

韓国の武器ビジネスの台頭は、ベトナム戦争時にさかのぼる。長年にわたりこの紛争に泥沼化を感じていたニクソンは、アジアの同盟国が米軍に依存するのではなく、自らの防衛にもっと大きな責任を負う必要があると判断した。

ニクソン・ドクトリンはアジア全土に波紋を広げたが、韓国はとりわけ強い不安に襲われた。約2万人の米兵が朝鮮半島から撤退したら、韓国がまもなく見捨てられるのではないかという懸念が生じたのである。終結から20年も経っていない朝鮮戦争の記憶は、人々の心にまだ生々しかった。米国からの軍事支援がなくなれば、どうすればよいのか?

韓国の答えは「自力での防衛体制の構築」だった。ソウルを16年近くにわたり統治した物議を醸した独裁者朴正煕(パク・チョンヒ)大統領は、自立した国防の必要性を唱え始めた。韓国は防衛産業に巨額資金を投じ、外国製兵器の生産ライセンス権を取得し、場合によってはリバースエンジニアリングで外国技術を自国向けに改良していった。

1969年8月21日、サンフランシスコのプレシディオで行われた式典に出席するため、左から韓国の朴正煕(パク・チョンヒ)大統領、韓国のユク・ヨンス大統領夫人、パット・ニクソン大統領夫人、リチャード・ニクソン大統領が到着した。| ジェリー・テルファー/サンフランシスコ・クロニクル(AP通信経由)

すぐに、韓国は自国軍を強化するだけでなく、海外輸出してかなりの利益を得ることのできる高性能兵器を開発した。それ以来、韓国は世界第9位の武器輸出国となった。そして現在、トランプ政権がNATOへの安全保障上のコミットメントを縮小すべきか議論する中、韓国は順位をさらに上げようとしている。武器移転に関するデータを収集するストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によれば、世界で最も急成長している武器輸出国の一つが韓国である。

韓国最大の防衛企業4社――ハンファグループ、現代ロテム、LIGネク1、韓国航空宇宙産業――の予想合計売上高は、2026年に約370億ドルに達すると見込まれており、2021年比で約4倍に跳ね上がる見通しだ。特に注目すべきは、韓国が欧州のNATO加盟国に対する第2位の供給国となり、米国に次ぐ地位を確立した点である。

世界規模での韓国防衛産業の拡大は、地政学的に大変動が起きている時期に重なっており、野心的な韓国にとって、国際情勢においてより大きな役割を果たす機会となっている。

ウクライナとイランで勃発した大規模な戦争2つにより、緊急かつ差し迫った需要が武器に生じている。各国は、これらの戦争で同盟国を支援したり、自国の前線を防衛したりするために武器を購入しているだけでなく、広範囲にわたる不安定な状況下でさらなる紛争に備えて備蓄を進めている国も多い。

トランプ政権下で米国が国際舞台から後退したのも、韓国の武器メーカーに好機を生み出した。条約の破棄、高額な関税、あるいは個人的な侮辱など、トランプ政権の対応に、長年の米国の同盟国の多くが反発している。また、トランプ氏はNATO加盟国に対し、防衛費の増額を迫り、いざという時には米国はもはや支援しないと脅している。このことだけでも同盟国を不安にさせ、危機的状況における米国の信頼性に疑問を抱かせている。

こうした状況すべてが、世界的な武器市場に根本的な不確実性をもたらしており、韓国はこれを活用する態勢を整えている。「米国は10年前ほど頼りにならなくなっている」と、カーネギー国際平和財団の上級研究員イ・チュンミンは指摘する。

供給面での問題もある。米国が再び中東での戦争に巻き込まれているため、米国防衛産業の生産の多くはイラン紛争に向けられる可能性が高い。これにより、すでに逼迫しているサプライチェーンにさらに負担がかかり、他の顧客は優先順位を下げられることになる。

戦争や関係悪化に象徴される世界的な不安定さは、世界にとっては悪いことかもしれない。しかし、韓国のビジネスにとって好都合だ。

トランプの冷遇を背景に、欧州はとりわけ熱心な買い手となってきた。韓国が防衛供給国として台頭した背景に、ポーランド向け武器販売がある。この提携関係は、ソウル(韓国)の軍需産業が持つ強みをすべて体現している。

この関係は、2022年にロシアがウクライナに侵攻した後、特に重要なものとなった。それは、ロシアと国境を接する各国にとって存亡の危機となる瞬間だった。もしウクライナが陥落すれば、次にクレムリンの標的となる国がどこか、誰にも分からなかったからだ。キーウを迅速に支援するため、ポーランド含む東欧諸国は、ウクライナ軍がすでに操作方法を熟知していたソ連時代の戦車を即座に供与した。その見返りとして、彼らは西側の同盟国、特にドイツが、代替装備を迅速に提供し、ウクライナへのさらなる支援を行うことで援助に駆けつけることを期待していた。しかし、ドイツの初期対応は慎重さと躊躇に特徴づけられ、地域全体に不満が広がった。

その空白を埋めたのが韓国で、不安を抱える東欧諸国政府にとって、信頼できる代替供給国として台頭した。ポーランドは韓国の最大の顧客となり、K2戦車、ロケット発射装置、榴弾砲などを含む137億ドルの武器取引に署名した。

2024年11月21日、昌原(チャンウォン)にあるハンファ・エアロスペースで、韓国技術者がK-30W「チュンホ」30mm車載対空砲の作業を行っている。| チョン・ヨンジェ/AFP via Getty Images

「ワルシャワが韓国の防衛調達に目を向けた背景には、ウクライナ戦争に対するドイツの当初対応への深い失望がある。この感情はNATOの東部戦線全体に共通している」と、ポーランド国際問題研究所の上級アナリスト、オスカー・ピエトレヴィッチは述べる。「軍事援助の提供に躊躇したベルリンの姿勢や、ソ連時代の装甲車を寄贈した同盟国への『レオパード』戦車の代替供給の遅れが、大きな信頼の溝を生み出し、韓国はこの空白をうまく埋めたのだ。」

韓国兵器がワルシャワの注目を集めたのには理由があるが、最も重要なのは迅速な納入だ。おそらく、「bbali-bbali」(「急げ、急げ」という意味の有名な韓国語)という文化に根ざした社会にとって、スピード重視は避けられないことなのだろう。」

しかし、効率性への重視は、北朝鮮からの絶え間ない脅威によりすでにフル稼働状態にあった防衛産業にも支えられていた。朝鮮半島は今のところ紛争がないとはいえ、両国間で平和条約は締結されておらず、技術的には依然として戦争状態にある。その結果、韓国の主要防衛企業は生産ラインを稼働させ続けており、その準備態勢は今日の地政学的危機の中で価値を実証している。

「当初は北朝鮮への備えでしたが、現在は万全の態勢が整っており、世界中の顧客にソリューションを提供する用意があります」と、韓国国会傘下の防衛シンクタンク「セキュリティ・マネジメント・インスティテュート」のキム・ジュヒョン所長は述べる。

北朝鮮との潜在的な戦闘に備えた準備は、コスト削減にも寄与している。武器は、海外バイヤーの需要に加え、国内需要を満たすため大規模に製造されているためだ。国内のサプライチェーン、低い人件費と生産コスト、そして国家の支援が相まって、低価格の維持に寄与している。これは、軍隊の近代化を迅速かつ大規模に進めようとする資金繰りに苦しむ政府にとって、特に魅力的な利点である。

韓国の防衛産業のもう一つの魅力的な特徴とは技術移転と現地生産を積極的に提供しようとする姿勢だ。これらは、従来の欧米の防衛輸出国では期待が難しい二つのメリットである。

韓国にとってのデメリットは明らかだ。元の供給元への長期的な依存度を低下させ、最終的には将来の競争相手になる可能性だ。実際、韓国で急成長中の防衛産業は、まさにそのような技術移転の産物である。外国製兵器(多くは米国製)のライセンス生産は、1970年代から始まる韓国兵器産業の重要な構成要素であった。

しかし、韓国の防衛企業は、市場で存在感を示すために、現地生産拠点を構築し、他国と技術を共有する意欲を持ち続けている。これは、長年の地政学的同盟関係が弱まる中、より自立した体制を築こうとしている中堅国にとって特に魅力的な提案で、ポーランドがソウルとの協定締結を決めた主な理由でもある。

「それがポーランドの経験です。米国やドイツ、その他の欧州諸国と協定を結んできたにもかかわらず……防衛産業協力の面では何も得られていません。実際、わが国の防衛産業は強化されなかったのです」と前出のピエトレヴィチは語る。ワルシャワの期待は、韓国の防衛企業による技術移転と現地生産が、国内の防衛産業を活性化させ、雇用を創出し、整備拠点を地域内で確立することにある。

また、韓国企業は、顧客ニーズに応じて製品をカスタマイズする柔軟性でも支持を集めている。例えば、エジプトが韓国ハンファ・エアロスペースに寄せた異例の要望がある。「陸上の標的を砲撃するために設計された榴弾砲を、海上で移動する艦艇を攻撃できるように改造することは可能か?」というものであった。

これは砲兵兵器としては型破りな使用法であり、韓国のK9自走榴弾砲に対してそのような改造が行われたことはかつてなかった。しかし、これによりエジプトは、対艦専用ミサイルの備蓄が不要となり、多額の費用を節約できる。

2024年11月21日、韓国・昌原(チャンウォン)にあるハンファ・エアロスペースの工場に、30mm砲弾がずらりと並んでいる。| チョン・ヨンジェ/AFP via Getty Images

ハンファは提案を受け入れた。改造されたシステムは試験に成功し、エジプトには新たな沿岸防衛の選択肢が、ソウルにはもう一つの強力なセールスポイントがもたらされた。エジプトは2022年、17億ドルの契約で数百門の同兵器を購入した。

韓国の防衛企業から購入する際、しばしば見過ごされがちな利点の一つは、政治的な負の遺産がないことだ――これは、近年の主要な武器輸出国のいくつかが抱えている問題である。多くの欧州人はトランプ政権を好んでおらず、中国やロシアのような敵対国からの購入は考えられない。また、イスラエルの評判はガザでの戦争によって傷ついている。

「『なぜ韓国から武器を買うのか』と疑問を呈する人は誰もいないだろう」と、キングス・カレッジ・ロンドンの国際関係学教授であり、朝鮮半島に関する著書を数冊執筆しているラモン・パチェコ・パルドは語る。

韓国への信頼度も、政治的な強みで――特に、需要に追いつくのに苦戦し、出荷を遅らせている米国と比較すればなおさらだ。

「こうした装備は非常に高価だ」と、バイデン政権の国防総省調達担当次官補であるカーラ・アバークロンビーは言う。「各国議会が支出を承認しており、国内政治の観点から見れば、目に見えないものに数十億ドルもの予算を数年間も割り当てたことになります。それを政治的に正当化するのは困難になります。」

スピード、手頃な価格、手厚い技術移転、カスタマイズ、そして政治的要因――これらすべての要素が相まって、韓国は参入が困難とされてきた市場で地位を確立することに成功した。

韓国の課題は、今後どこへ向かうかということだ。

同国は野心的で、2030年までに世界第4位の武器輸出国になることを目指している。それは険しい道のりだが、韓国兵器は最近、イラン戦争を通じて良い評判を得ている。LIG Nex1社が製造した防空システム「チョングンII」は、今回の戦争まで実戦での実績がなかったが、アラブ首長国連邦(UAE)で標的としたミサイルやドローン30発のうち29発を撃墜したと報じられている。これは、韓国の兵器が手頃な価格ながら効果的であることを世界に示すシグナルとなった。

しかし、課題も明らかだ。なかでも定評のある競合他社に影を落とされている点だ。韓国の戦車や防空システムは絶賛されているものの、主要な収益源である航空機や大型艦艇は、まだ世界の注目を集めていない。

韓国側は、ハンファ・オーシャンがカナダと締結を目指している600億ドルの潜水艦契約でこの状況を変えたいと考えている。実現すれば、オタワにとって史上最大の軍事調達契約となる。しかし、韓国は、NATO加盟国向けに長年にわたり潜水艦を製造してきた実績を持つドイツのティッセンクルップ・マリン・システムズという手強いライバルと対峙している。カナダは6月下旬に落札企業を発表する見込みであり――つまり、韓国政府とハンファにはオタワへの働きかけを行う時間がまだ少し残されている――が、SMIのキム社長によれば、その可能性はますます低くなっているようだ。

「数百年にわたる経験と評判を持つ欧州のサプライヤーに比べ、我々は信頼できるプレイヤーとして十分に受け入れられていないため、我々にとって大きなハードルとなるだろう」とキムは語る。

2023年9月15日、昌原(チャンウォン)にあるハンファ・エアロスペースの工場で、K-9自走榴弾砲の作業にあたる韓国の技術者たち。| チョン・ヨンジェ/AFP via Getty Images

また、欧州で「戦略的自律」への動きが強まっている。これは、欧州以外の防衛サプライヤーへ依存を減らし、欧州独自の防衛産業を強化したいという意向である。この考えは、欧州の安全保障に対する米国の関与をめぐる不確実性の高まりへの対応で浮上した可能性もあるが、「地元調達」を推進し、欧州内の防衛市場を強化しようとする動きは、長期的には間違いなく韓国に影響を与える。

「韓国が欧州のNATO市場に参入したことで、確立されていた市場の力学が大きく乱された」とピエトレヴィッチは述べる。「これに対抗し、統一された欧州防衛市場を育成するため、EUの財政措置……は、欧州の請負業者を優先しつつ、第三国の関与を制限するよう設計されている。」

さらに、日本に関する問題もある。数十年にわたり、日本は戦後の平和憲法の下で、実戦用兵器の輸出を事実上禁止してきた。しかし、4月に高市早苗首相が規制を解除すると発表し、同盟国への先進兵器販売へ道が開かれたことで、状況は一変した。東京もゼロからのスタートではない。日本企業はすでに米国と共同で高度な兵器システムを生産しており、一例として、三菱重工業がロッキード・マーティン社からライセンスを受けて製造したミサイル迎撃システム「ペイトリオットPAC-3」が挙げられる。また、日本は東南アジアともすでに強固な関係を築いており――フィリピンが東京の最初の顧客となる可能性が高い――これにより、同地域における韓国の利益が侵食されることになるだろう。

しかし、重要なのは、2030年までに韓国が実際に世界の武器貿易における既存の巨頭たちをどれだけ追い抜くかということではないかもしれない。目標そのものが目的を果たしており、さらに重要なのは、将来の買い手にメッセージを発信している点だ。

「自国の産業界、そして当然ながら他国に対しても、この分野への投資と輸出を継続する計画であり、我々は信頼でき安定した供給者であり続けることを伝えているのです」とパチェコ・パルドは述べ、「それこそが顧客が聞きたいと想う言葉なのです」と付け加えた。■

キャサリン・キムは『POLITICO Magazine』の記者である。

米陸軍も対中戦を想定して「マルチドメイン司令部」を新設し、地上部隊をサイバー・電子戦やドローン大量運用で支援を図る

 

米陸軍が「援護部隊」司令部を太平洋地域に新設

Army forms new command to create a ‘covering force’ in the Pacific


第7歩兵師団と第1マルチドメイン・タスクフォースを単一司令部に統合する。

https://taskandpurpose.com/news/army-7th-infantry-multi-domain-pacific/

A Soldier assigned to 7th Infantry Division (Multi-Domain Command - Pacific) switches their patch from the 1st Multi-Domain Task Force patch to the 7th ID (MDC-PAC) patch during a redesignation ceremony at Joint Base Lewis-McChord, Wash., June 18, 2026. The redesignation honors the Bayonet Division’s legacy while establishing 7th ID (MDC-PAC) as the Army’s newest theater-enabling command, built to integrate maneuver, fires, air defense, cyber, space, electronic warfare, intelligence, unmanned systems, sustainment, and command and control in support of the Joint Force across the Pacific. (U.S. Army photo by Sgt. Taylor Zacherl) 第1マルチドメイン・タスクフォースのパッチから、第7歩兵師団マルチドメイン・コマンド-太平洋のパッチに交換する兵士。米陸軍提供写真(撮影:テイラー・ザケリ軍曹)。

陸軍は新たな種類の部隊を正式に創設し、兵士数千人を「マルチドメイン司令部」の隷下にに移管した。

木曜日、米陸軍は第1マルチドメイン・タスクフォースと第7歩兵師団を統合し、「第7歩兵師団マルチドメイン司令部-太平洋」を正式に創設した。新しい司令部は、その種の組織として初めてのものであり、地上部隊に、サイバー戦や電子戦、そして大規模なドローンの運用を含む現代の戦術に焦点を当てた比較的新しい編成を組み合わせたものとなる。

この動きは、陸軍全体の変革イニシアチブの一環で、ジョイント・ベース・ルイス=マッコードに本部を置くこの新司令部の指揮下に約12,000名が配属される。

今週のトップニュース

先月、副司令官トッド・バロウズ大佐は、新司令部を「自立型」の組織で、掩護部隊と同様に運用されると説明していた。偵察および対偵察任務を統合し、電子戦やサイバー攻撃、砲兵火力によって敵陣地を攻撃し、主力合同部隊のため進路を確保することになる。

第7歩兵師団のストライカー旅団戦闘チーム2個を、タスクフォースの長距離砲兵およびサイバー戦能力と統合する。その一環で、陸軍が「クロスドメイン・コンタクト・レイヤー(Cross-Domain Contact Layer)」と呼ぶ概念が採用され、脅威を迅速に追跡・特定し、排除する。

「クロス・ドメイン・コンタクト・レイヤー構想を通じて、当師団は無人水上艇、長距離の片道攻撃型ドローン、発射型兵器などの能力を駆使し、敵のアクセス拒否/領域拒否(A2/AD)ネットワークを突破する」と、同司令部の指揮官バーナード・J・ハリントン少将Maj. Gen. Bernard J. Harringtonは述べた。「電波を発するすべてのレーダー、信号を送信するすべてのノード、指揮を執るすべての司令部に対し、我々は連合パートナーや同盟国と共に、継続的に脅威を与え続けることを目指す。」

TWZが報じたように、これにはドローンも関与する。大量のドローンだ。ハリントン少将は記者団に対し、同司令部の戦略には、遠隔操作システム数種類を「大量投入して、潜在的な敵対システムを圧倒する」ことが含まれていると語った。

第1マルチドメイン・タスクフォースは当初2017年に発足した。2021年には欧州に第2部隊が、さらに第3部隊が設立された。第3部隊は、5月に数件の展開計画が中止された影響を受けた部隊である。ドイツとの外交上の対立を受け、国防総省は、同国で第2マルチドメイン・タスクフォースに合流する予定だった野戦砲兵連隊の展開を中止した

木曜日の式典で、太平洋陸軍司令官のロナルド・クラーク大将 Gen. Ronald Clarkは、この新編部隊が太平洋地域全域の部隊を支援できる能力を有していると指摘した。再編は、軍全体が太平洋における存在感を再構築する中で行われており、一部部隊を移動させ、グアムを強化し、前方展開部隊を支援する新技術を配備している。■

ニコラス・スレイトン

寄稿編集者

ニコラス・スレイトンは、『Task & Purpose』の寄稿編集者である。速報ニュースの取材に加え、歴史、難破船、そして軍による未確認異常現象(旧称:UFO)の調査についても執筆している。

2026年6月22日月曜日

これでは勝てない―F-47単価3億ドル、超高性能だがごく少数の装備しか生産しない防衛産業に慣れきった米国はイラン戦争の消耗戦・低価格装備の群れから本気で教訓を学ばねばならない(再掲載)

 

NGAD Fighter

NGAD戦闘機のモックアップ。画像提供:クリエイティブ・コモンズ。

F-47は1機3億ドル、B-21は7億ドル以上――戦争を勝ち取るのは精巧な装備より数と弾薬量だとイラン戦争が示している

The F-47 Will Cost $300 Million Each and the B-21 Over $700 Million — but the Iran War Showed Mass and Munitions Win Wars, Not Exquisite Planes


米国はF-47やB-21レイダーといった精巧な少数の機体に数十億ドルを注ぎ込んでいる。しかし、イラン戦争とウクライナ戦争が教訓を明らかにしている。プラットフォームが戦争の勝敗を決定づける要因にならなくなった。重要なのはネットワーク――ドローン、弾薬、産業基盤――で、まさにその点で米国は遅れをとっている

https://www.19fortyfive.com/2026/06/the-f-47-will-cost-300-million-each-and-the-b-21-over-700-million-but-the-iran-war-showed-mass-and-munitions-win-wars-not-exquisite-planes/



ラン戦争が証明した:F-47とB-21レイダーでは米国の空軍力を救えない – 1世紀以上にわたり、軍事力はプラットフォームによって測られてきた。戦艦が海上の覇権を決定し、戦車が陸上戦を支配し、空母が海を越えて戦力を投射した。各国の空軍は、個々のシステムにおける技術的優位性が戦争の勝敗を決定すると信じ、より高度な戦闘機や爆撃機の開発を競い合ってきた。

その時代は終わった。

イラン戦争とウクライナ戦争双方から得られる大きな教訓は、戦闘機が時代遅れになったとか、爆撃機が役目を終えたということではない。また、ドローンが有人機を完全に置き換えたということでもない。むしろ、これらの紛争ははるかに重要な事実を明らかにしている。個々のプラットフォームはもはや戦争の中心に位置していないということだ。

今、重要なのはネットワークだ。

ドローン、ミサイル、有人機、電子戦(EW)、サイバー能力、センサー、そして産業生産を首尾一貫した全体として最も効果的に統合できる軍が勝利する。長期にわたる消耗戦を通じネットワークを維持できる側が勝つ。 損失を補充できず、弾薬を大量製造できず、システムを十分に迅速に適応させられない側は、個々のプラットフォームがどれほど先進的であっても敗北する。

イランはこの現実を理解していた。中国もまた、理解しつつある。しかし、米国は依然として旧来の思考様式に囚われたままであり、現代の戦争に実際に必要とされる産業・技術のエコシステムを軽視し、ごく少数の「極上の」航空機に巨額資金を注ぎ込んでいる。

B-21やF-47のような「極上の」システムに対する米国の信頼

F-22 ラプターF-35 ライトニング IIB-2 スピリット長距離ステルス爆撃機と後継機であるB-21レイダー。大々的に宣伝されているF-47、第6世代の次世代制空権確保(NGAD)戦闘機。これらは、ワシントンが「超大国」の「超」を体現するものだと信じているシステムである。高価な「高高度終末段階防衛(THAAD)」発射装置や、それ以上に高価なシステムなど、洗練された防空システムに対するワシントンの執着についても同様だ。そして、米国が戦争遂行のために依存するようになった高価なシステムは、それだけではない。

ビジネスと産業の課題:F-47とB-21の問題点

しかし、非対称かつ産業規模の消耗戦が繰り広げられる時代において、次世代の高価なシステムを少数保有するだけでは、イランや中国といったライバルが戦闘において米軍に仕掛けてくる攻撃を阻止するには不十分だ。大量生産され、手頃な価格で、使い捨て可能かつ交換可能な兵器システムこそが、こうした戦争を戦う手段となる。

米空軍が開発中のシステムは、F-47とB-21レイダーの2つである。一方、F-47のコストは一機3億ドルと見込まれており、米空軍は今後20年間で200機から300機の導入を計画している。さらに、F-47がイランのような敵対勢力に前回のテヘランとの激戦においてF-35の機群が達成した以上の、望ましい戦略的効果をもたらすという証拠はほとんどない。

B-21レイダーは、工学的な観点からは優れた機体ではあるものの、依然として問題を抱えている。B-2スピリット長距離ステルス爆撃機の後継機として1機あたりのコストは7億~7億3000万ドルと見込まれている。空軍は少なくとも100機の導入を希望している。実際に国防総省は真に作戦実行可能とするためには300機近くが必要であると評価している。

真のボトルネックは産業生産能力だ

国防総省の計画担当者は、視程外(BVR)で戦闘を行い、敵の防空網をステルスで突破する能力が不可欠であるため、こうした精巧なプラットフォームが必要だと想定している。

だがこれらの評価はいずれも誤りである。最近のイラン戦争を例に考えてみよう。確かに、ウクライナ戦争と同様に、BVR戦が空戦の大部分を占めた。しかし、BVR戦を成功させるためには、精密誘導型スタンドオフ弾薬が大量に必要となる。

問題は、米国がステルス機や爆撃機が足りないので、将来の戦争では高価かつ複雑な新システムを必要としているという点にあるのではない。真の問題は、F-47やB-21レイダーが想定する戦争に必要な遠距離攻撃兵器を、米国の防衛産業基盤が完全に量産できていないことにある。

にもかかわらず、米国の老朽化した防衛産業基盤を真に強化するためのプログラムよりも、こうした空想的な戦闘機や爆撃機のプロジェクトにはるかに多くの資金が投入されているのが現状だ。

米国の計画には、新しい戦争のあり方におけるもう一つの要素が完全に欠けている。ドローンだ。無人システムは、これらすべての現代の戦場における決定的な特徴である。米国には、次々と投入されるドローンが必要であるだけでなく、有人機が「忠実なるウィングマン」ドローン編隊を展開・管理する能力も求められている。

確かに、F-47やB-21は有人・無人連携(MUMT)のために開発されている。しかし、米国はすでにF-22やF-35といった先進的な戦闘機を保有している。2つの新たな無駄遣いプロジェクトの代わりに、すでに持っているものを強化すべきだ!

間違った戦争用の間違った軍隊

イランはミサイルとドローンの群れで米国を打ち負かした。米国は、100日余りの戦闘で主要兵器システムの重要な備蓄を使い果たし、その枯渇も一因となって停戦を要請せざるを得なくなった。

B-21やF-47など必要ない。必要なのはドローン、ミサイル、極超音速兵器、そして低コストの防空システムだ。

しかし、国防総省は新型プラットフォームへの執着を断ち切れないようだ。そして、米国の防衛関連企業は、納税者の血税から法外な利益を得られる限り、国防総省や議会に「奇跡の兵器」という幻想を売りつけている。

しかし現実世界では、イランのような中規模大国が米国を翻弄している。なぜなら、米軍は間違った世紀で間違った戦争を戦う想定をしているからだ。■

著者について:ブランドン・J・ワイチャート

ブランドン・J・ワイチャートは、19FortyFive.comの国家安全保障担当シニアエディターである。また、Substack上の『The Weichert Brief』の運営も担当している。ワイチャートは、Rumbleで『National Security Talk』のホストも務めている。著書には4冊のベストセラー国家安全保障関連書籍があり、最新作は『A Disaster of Our Own Making: How the West Lost Ukraine』(エンカウンター・ブックス)である。Twitter/Xで@WeTheBrandonをフォローしよう。