2018年3月30日金曜日

中国空母二号艦の海上公試近づく---首をかしげたくなる中国一般国民の考え方

これによれば中国国内の世論はかなり野蛮ですね。台湾は中国の一部で簡単に武陵併合できると本気で信じ込んでいます。新空母が「台湾」となれば本当に危険な事態で、日本ものほほんとしていられない事態が急にやってくるかもしれません。記事元は環球時報英語版ですから中国共産党の本流の考え方が示されているのでしょうね。中国では建造中は艦名がないまますすめるのでしょうか。変わった慣行です。韓国は平気で人名を戦闘艦にも付けていますが、さすがに中国では命名規則を確立して管理しているようですね。


China’s first domestically made aircraft carrier prepares for sea trial中国初の国産建造空母の海上公試近づく



月曜日に撮影された遼寧省大連での中国初の国産建造空母。 Photo: IC
By Yang Sheng Source:Global Times Published: 2018/3/27 18:58:39


中国初の国産建造空母001A型艦は初の海上公試の準備に入った。台湾問題の解決のためにも中国国民の同艦への期待が高いことが艦名をめぐる意見からうかがえる。

二号艦の現状

大連造船工業(DSIC)の造船現場(遼寧省大連)で撮影された同艦の写真がオンライン上で流布しており、艤装中の足場はすべて除去され、フェイズドアレイレーダーが搭載されたのがわかる。

「艤装関連の設備をすべて取り除き、主機関を初めて始動させた。2018年は中国国民を驚かせてみたい」とDSIC会長 Liu Zhengは中国中央テレビのウェブサイトcctv.comで3月13日に述べている。

同会長は001A型艦建造の総合責任者であり、人民代表会議全国政協の構成員として全人代・全国政協会議開催中にcctv.comへ以下述べている。

「001A型艦は海上公試開始が準備できつつあり、実行日時は天候と海洋状況に左右されます。4月23日がPLA海軍の海軍記念日(1949年)なので当然考慮されているでしょう」と北京在住の海軍関係専門家 Li JieがGlobal Timesに27日語っている。

「海上公試は通常6から12か月かかり、終わればPLANへ引き渡されます。そうなると2018年末に海軍艦艇として就役する可能性が高い」とテレビの軍事評論家Song Zhongpingが解説している。

なぜこんなに早く建造できるのか

001A型艦は2017年4月26日に大連で進水している。艤装工事は一年未満で完成したことになる。

001A号艦の建造は空母建造史上最速でわずか2年で進水にこぎつけた。重要なのは艦体から装備品まですべてが国産ということだとLiuが指摘する。

「国内建造の仕上がりは世界クラスになりました。たとえば飛行甲板の水平度ものばらつきは4パーセントを上回らず、3パーセント以内に仕上げています」

艦名はどうなるか

全人代・全国政協会議の期間中に浙江省Zhejiang Province台州市 Taizhouの全人代代表Yuan Maorongから新空母艦名を"Wei Wen"韋溫とする提案が出た。三国時代の武将で台湾に初めて到達した人物として歴史に名を残している。

Yuan代表はWei Wenと命名すれば台湾が中国の一部である歴史的事実をあらためて示し、海峡関係の発展につながると述べた。

艦名をめぐる議論はソーシャルメディアでも広がりを見せており、中国ネティズンに「台湾」を支持するものが多数あり、一方で清朝で台湾を奪回した提督"Shi Lang"施琅を推すものもある。

「中国国民に台湾問題解決を望む声が高いことの反映でしょう。初の国産空母はこの目的達成への強い決意と能力の象徴で台湾独立派へは強い警告を与えます」とLiは解説している。

ただし同空母は台湾を標的としていないと北京の匿名軍事筋は語る。その説明では中国が軍事手段で台湾問題を解決すると決定すればPLAは完全に任務遂行する能力があり、空母がなくても可能なので001A型艦の任務は別だというのだ。

「PLANには大型艦の命名規則があり空母もここに含まれます。一般に省や都市名称を使います」(Song)

「一号艦遼寧は訓練とともにデータ収集を目的としましたが、001A型艦は中国初の戦闘用空母となりますので艦名は特別なものになります。人名の採用は不可能です。中国で人名がつくのは科学調査船のみですから」と匿名軍事筋は解説してくれた。■

2018年3月29日木曜日

★沖縄で空戦技能の腕を上げるF-35Aパイロットたち

見かけと違ってF-35Aは相当の空対空戦能力があるようです。しかも訓練をつむ米空軍パイロットにとっては燃料不足でろくに訓練もできない北朝鮮空軍戦闘機など相手にもならないでしょう。航空自衛隊も先行して米F-35Aと対戦して同機の知見を積んでいる途中なのでしょう。ともに頼もしいことではあります。



Reporting from Kadena Air Base

How is the F-35 improving its dogfighting skills in Japan? F-35は日本でどこまでドッグファイトの腕をあげているのか---嘉手納基地に配備中のF-35A実戦部隊の様子を見てみよう

By: Valerie Insinna 


An F-35A from Hill Air Force Base's 34th Fighter Squadron sits on the ramp at Kadena Air Base, Japan. (Jeff Martin/Staff)
嘉手納航空基地にヒル空軍基地から移動したF-35A(第34戦闘機飛行隊)が翼を休めている (Jeff Martin/Staff)
KADENA AIR BASE, Japan, and WASHINGTON —F-35はドッグファイト性能不足がずっと批判対象にされている。
だが嘉手納航空基地の頭上でF-35はそんな批判は誤りと証明している。
.昨年10月に要員300名がF-35A12機とともにユタ州ヒル空軍基地から日本へ移動し、米空軍初のアジア太平洋地区でのF-35展開となった。その後、パイロットはF-35の空対空戦訓練に中心をおいているが、対地攻撃能力で知られる同機としては珍しいことだ。
嘉手納基地は466平方マイルと小ぶりの基地で周囲は太平洋に面しF-35部隊の空戦訓練に最適と第34戦闘飛行隊のライアン・ファンタシア大尉が述べている。「空域が全部洋上なので下を見ても何も見えないのが難易度を高めます。さらにここにはイーグル隊がいます」と大尉は嘉手納のF-15C/Dイーグル二個飛行隊に言及した。
F-35A隊はF-15C/Dと毎月二三回から毎週二三日のペースで訓練していると大尉はDefense Newsに語ってくれた。F-15は嘉手納基地の米空軍第44、第67戦闘飛行隊だったり航空自衛隊所属機だったりする。
「楽しんでいますよ」とファンタシア大尉は1月にF-35基本訓練課程を終えたばかりの新米パイロットとして語る。ファンタシアはじめ5名の「Bコース」修了生はF-35で操縦を始めた最初の組でF-22やF-16等他機経験がない。
新米パイロットはヒル基地ではF-35操縦経験のあるパイロットから学び、嘉手納ではF-15パイロットからも学んでいるわけで、戦術訓練と過去40年余りに蓄積された戦術を体得する途中だ。
「訓練ではこちらの強みを生かしています。各機の性能を生かした柔軟なシナリオを使っており、うまく行く場合もあり勉強になる場合も多いです」(ファンタシア大尉)
直近のフライトでファンタシアは一対一の空戦で基本戦闘操縦を試した。ハイG旋回、急上昇や高迎え角機動で有利な位置につきながら接近戦に臨んだ。
ファンタシアはF-35、F-15のいずれが相手だったのか口にしていないが、第四世代戦闘機はドッグファイトでは侮れない相手だ。
F-15Cは空軍主力戦闘機の座を長年にわたり保持しその期間は1970年代から2005年に第五世代機F-22の配備がはじまるまでだった。信じがたいほどの空戦記録で喪失記録が一機もない。
F-35も同機に対しては良好な記録を出していない。2015年にWar Is Boringが入手した5ページにおよぶF-35テストパイロットの手記ではF-16に対して主導権を握られなかったとある。このパイロットはF-35が低速すぎ操縦性も劣りF-16に捕まっても逃げられずF-16撃墜は困難と記していた。
国防総省はてテストに投入したの初期機材で飛行性能限界は5.5Gまで制限されていたとF-35を弁護した。ミッションシステムやステルス塗装やヘルメットディスプレイが作動しておらずF-35の特性が使えない状態だったが今ではすべて普通に使用可能だ。
嘉手納基地のF-35部隊は2月に最新の3Fソフトウェアを搭載され、戦闘能力が完全化されており、飛行性能も9G上限まで可能となった。だがその前から空対空模擬戦では改良がみられ、2017年初頭のレッドフラッグ演習では20対1の撃墜比率を達成していた。
嘉手納の第44戦闘飛行隊のF-15パイロット、ブロック・マクジヒー大尉はF-35について「極めて高性能」な空対空戦闘機だと2月にDefense News取材で述べていた。
「姿が見えない機体の周りを暗くなって飛ぶと怖い思いをします。各機のパイロットは腕がたち、状況認識が極めて高く、敵でなくてよかったと思わされます」
マクジヒー大尉はF-35と同じ第五世代戦闘機のF-22ラプターを比較してくれた。ともにステルス機で長距離では探知が非常に難しい。だが接近戦となればF-15はF-22やF-35相手に全く違う様相を示せるという。戦術内容を敵に明らかにすることを避け大尉は詳細に触れなかった。
「F-22の旋回能力はすごいですが、F-35の旋回はちょっと違います。基本戦闘操縦に注意して対応する必要があります」
ではF-15はF-35とのドッグファイトに勝てるのか。
「時々は勝てますね」とマクジヒーは述べ、空対空戦で負けるのは全機種共通だと付け加えた。

「原因に機体とパイロットの双方があります。ここには腕のいいパイロットがおり、攻撃をかけて勝利する可能性は高い。機体を熟知したパイロットに高い技能があればどんな機種を飛ばしても強力な存在になります」(マクジヒー)■

2018年3月28日水曜日

★ロッキードのCFR小型核融合炉が米特許を取得-----人類の生活を一変させる可能性と疑問

うーんあれから4年ですか。ロッキードが画期的な小型核融合技術を鳴り物入りで公表していました。今回は特許取得まで行きましたが、記事でも指摘しているとおり特許成立と技術の実現は別の話ですが、本当に実現すればロッキード株式に投資すべきでしょう。(当方は損失の責任は有しません) 日本ではそもそも原子力の原理が分かっていないまま感情で排斥する傾向が3/11以降定着しており、その根源は「穢れ」を排除する思想だと当方は見ていますが、核融合が普通に使える時代がそこまで来ているとすれば今から本気で核分裂と核融合は違うと社会に理解させていかないといけませんね。軍事利用を考えると今までの制約から自由になれればどれだけ画期的な装備が生まれるでしょうか。むしろレーザーやレイルガンのような高エネルギー消費装備の実現が容易になることでしょうか。ともあれ、五月雨式にしか出てこないロッキードのCFRですが今後も要注意ですね。



Lockheed Martin Now Has a Patent For Its Potentially World Changing Fusion Reactorロッキード・マーティンが世界を一変させる核融合炉の特許を取得

When it first announced the project, the company said it could have a working prototype of the revolutionary power source as early as 2019. 

同社は革命的な動力源をめざすプロジェクトを初めて公表した際に実用試作機をはやければ2019年に完成させると述べていた



BY JOSEPH TREVITHICKMARCH 26, 2018
LOCKHEED MARTIN


ロッキード・マーティンが世界を一変させる可能性のある小型融合炉(CFR)で特許を交付された。予定通り進展すれば同社は、ニミッツ級空母一隻あるいは一般家庭8万軒に十分な電力を供給できる海運コンテナ大の試作機を早ければ来年にも公表する。
特許は封じ込めシステム部分で日付は2018年2月15日。メリーランド州に本社を置く防衛産業最大手のロッキード・マーティンは2013年4月3日暫定申請し一年後に正式申請していた。
2014年に同社は装置作成に取り組んでいると発表し、スカンクワークス(カリフォーニア州パームデール)で小型核融合プロジェクトとして進め、目標は5年で作動型融合炉を完成させ10年で実用型を完成させることと明らかにした。
1920年代から科学者は融合炉構想に取り組んできたが完成したモデルは低性能かつ巨大に終わるのが大部分だった。しかも巨額の費用が必要だった。その例がITER(国際熱核融合実験炉)で国際協力でフランスに2021年完成を目指し費用概算は500億ドルで総重量23千トンになる。しかも装置は実験用であり実用と程遠い存在だ。
核融合は太陽内部と同様の仕組みで核融合反応の封じ込めが中核部分とされる。核分裂では原子がぶつかり合ってエネルギーが生まれるが、核融合炉ではガス状燃料を加熱し圧力で原子をイオンと電子に分割し自由イオンが重い核に融合される。
この過程で膨大なエネルギーが放出され化石燃料を燃やす通常の化学反応の百万倍超となる。だがこのためにはガスを保持しつつ高度のエネルギーを持つプラズマ状態を維持する必要がある。温度は華氏数億度になる。
これが反応炉の性能を制約する。と言うのは作動不良が恐ろしい結果になるためだ。ロッキードの2014年のAviation Week向け説明ではソ連開発のトカマクの例では安全な作動には磁気圧を低く維持する必要があるとのことだった。
LOCKHEED MARTIN
ロッキードの反応炉の概念図


ロッキードの助けを得て本稿ではCFRでこの問題はどう解決されたかを以下説明してみる。
「トカマクの問題はプラズマ保持に限界があることでこれをベータリミットと呼ぶ。プラズマ圧と磁気圧の比率でみると平均的なトカマクのベータリミットは低く、封じ込め圧の5%相当しかない。自転車タイヤに例えると空気を入れすぎるとタイヤが壊れ破裂するようなものだ。安全運転のため限界近くにはできないことになる。
CFRではこの問題を回避するためプラズマ封じ込めに画期的な方法を採用した。プラズマをチューブ状リングに封じ込める代わりに超電導コイル多数で別の磁場を作りプラズマを反応室内に広く封じ込める。超電導磁石をコイルの間に装着し反応室の外に磁場を作る。自転車用タイヤを破裂させてしまうのではなく、強い壁に向かって拡張するチューブを使っているわけだ。CFRのベータリミットは1で、つまり100%さらに上を目指している」
装置がうまく作動すれば戦闘の将来像を大きく変えるのみでなく人類の生活が一変するのは確実だ。水素アイソトープの重水素三重水素燃料が25ポンドがあればロッキードの計算では一年連続運転でき、100メガワットが常時発電できる。
.同社ウェブサイトのCFR特集では反応炉で空母一隻を航行させ、C-5ギャラクシーと同規模の機体を飛行させ、人口10万人規模の都市に電力供給が可能とある。あるいは火星への飛行のスピードがあがるだろう。いずれの場合もCFRが通常型燃料にとって代わり、核分裂反応炉とも交代し、大幅に小型化可能となる。余分なスペースや補器類が不要となり運転維持の負担も軽減されエネルギー効率は圧倒的に向上する。
USPTO
特許成立した融合炉外観の概略図
航空分野への応用では炉の大きさが問題だが無制限の飛行距離が実現し、制約は乗員の食糧、飲料水他の生命維持関係のみとなる。高高度飛行無人機なら数か月・数か年滞空し衛星等の中継装備の代わりとなり、軍用民生用双方で活用できる。
太平洋のように広大な地域の常時監視体制は現状では困難だがCFRなら無期限に監視可能となり、敵の動きを逐一監視できるほか野生動物の群れや水温観察が連続実施できるようになる。
同様に車両、艦船、宇宙機にも恩恵が生まれ、距離の制約を取り払い無制限の電力供給が可能となる。軍用用途では無人の地上車両や艦船に無制限のパトロールをさせたり、危険性のある分裂炉を使わずに資源の有効活用につながる。
USPTO
CFRを搭載した四発航空機エンジンと反応炉の配置の概念図
核分裂に対して核融合の利点として最大の点は危険な廃棄物が生まれないことだ。重水素三重水素はともに民生分野で大量入手が可能でかつ低量なら危害は加えない。燃料が少量で済むため事故があっても融合炉から汚染が広範囲に広がることは少ない。
また融合炉では加工済み核分裂物質が不要となれば核兵器拡散防止上も有益だ。加工工程が核兵器製造の出発点となるからだ。移動可能で効率が良い電源となり世界中どこにでも設置でき病院、学校、海水淡水化プラント他重要だが大量の電力を必要とする民生インフラの安定電源となる。
燃料は膨大にあり比較的簡単に入手できる。海中にほぼ無制限の重水素があり、リチウムから三重水素を得られる。廃棄物処理は分裂炉よりはるかに容易で危険な放射能も数千年単位ではなく数百年で無害となる。
システムでは高熱を作りそのエネルギーでタービンを回し発電する。既存の発電方式の石炭、石油、核分裂方式を核融合炉に交代するのは比較的容易だとロッキード・マーティンは見ている。自然災害のような緊急事態にはトラックに搭載した反応炉で都市全体の電力復旧に役立つ。
USPTO
ロッキード・マーティンのCFRの応用可能性を示す図 特許出願内容より
もちろんロッキード・マーティンの融合炉が実現するかは別の問題だ。ほぼ一世紀にわたり多数の企業研究機関が核融合の実用化を目指しているが成功したのは一例もない。
特許取得しても書面通りに技術が実現に向かっているとは限らない。2014年のメディア向け公表以降のスカンクワークスはほぼ何も発表してこなかった。米政府は国家安全保障に関する内容で必要と判断すれば特許内容を非公表とできる。つまり今回の特許内容から見ればシステムの成熟度がまだ低く物議を醸しだす内容ではないことを意味するのか。
とは言えスカンクワークスが特許出願をこの4年間続けてきたことから同社が研究を推進中だとわかり、ある程度の達成をしたのだろう。スカンクワークスは高度研究開発で目を見張る実績を誇る。四年前も外部取材に反応炉を詳細説明するほど自信にあふれ、事業の大日程や目標まで話していたころから同社の本腰の入れようがわかる。

2014年当時に反応炉試作型完成まで5か年の大日程を示していたことから、ロッキード・マーティンからの重大発表が近づいているのではないか。■

2018年3月27日火曜日

速報 金正恩の北京訪問の背景---存在感を示さぜるを得ない習近平の苦しい立場と応じた金正恩の打算

米朝韓の一連の進展で最大の疎外感を感じているのが中国です。(日本も程度こそ違え同様)ただ面子を重んじるのはいいのですが、今回の呼びつけは後々に大きな影響を与えそうな気がします。若いキムからすれば中国に対する意識も前の世代と異なるはず。仮に「謎の人物」が金正恩本人だとすれば屈辱がばねとなる可能性もありますね。北朝鮮をめぐっては今後の進展は加速化していきますので硬直した見方をしていては理解できなくなります。


 

Kim Jong Un May Be in China. What Does That Mean for Trump? 

金正恩の北京入りでトランプにどんな影響が出るか


North Korean leader Kim Jong Un visits a factory in this undated picture provided by KCNA in Pyongyang on November 4, 2017. KCNA via Reuters

March 26, 2018


ルームバーグニュースが金正恩が北京に月曜に到着したと報じている。
日本テレビは特別列車の画像を伝え、NK Newsは北京が厳戒態勢に入ったと報じた。
Nikkei Asian Reviewは特別賓客の車列が釣魚台国賓館に入っており、人民大会堂の警備が強化されていると報じた。人民大会堂で中国指導者が各国指導者と会見することが多い。
BBC中国特派員スティーブン・マクダネルは突然の訪問に中国首都が動揺しているとツイッターで伝えた。
本当にキムだとすれば2011年12月に権力を掌握して以来初の国外旅行となる。中国外務省はキムだとは確認していない。
在韓米軍勤務の経験がありペンタゴンへ長年助言しているロバート・コリンズの観測はキムは列車に乗っておらず、中国へ来たのは実妹の金与正だという。
北京入りしたのがキム本人なのか別の高位人物なのかは別としてあらためてPRCがDPRKに異例の影響力を及ぼしていることを改めて思い起こさせてくれる。中国がひもを引いて北朝鮮に何かさせることができる。今回は習近平がひもを引いた。
習がこの時点にキムを呼びつけたのはおどろくべきことではない。北京は北朝鮮が韓国、米国とそれぞれ首脳会談をしようとする中で大事な話し合いの蚊帳の外におかれそうだ。
トランプは5月末までにキムと会談したいと話した。キムは文大統領と4月に会う。
中国は間もなく始まる協議の舞台の中心に戻ろうと必死なのだ。
北京としては面子を保つためにものけ者にされまいと必死だ。「今後の成り行きと関係なく、半島問題の解決は中国の人智と無関係ではありえず、中国の意向と無関係に進めてはならない」との評論を新華社が3月16日に伝えている。「半島問題については中国は多大な努力をし、中国案を提示し、関係国全体をまとめてきた」
北京がそうした役割を本当に果たしてきたのか証拠はない。今回の会談を実現に導いたのは文在寅であり、その安全保障補佐官鄭義溶Chung Eui-yongと国家情報院長官徐薰Suh Hoonの功績だ。
さらに北京は今後の見通しでも誤っている。「中国は朝鮮半島の核問題解決に常に独自の役割を果たしていく」と新華社は伝えている。トランプは中国を一連の工程から排除したいようだ。トランプ-lキム会談は非武装地帯で実現するとの見込みがあり、その他スウェーデン、フィンランドでも可能性があるが、中国の可能性はない。今や機能しなくなっている六か国協議が北京で開催されていた。
したがって中国では警戒の意識が出ているはずだ。「中国にとってのリスクは関係外とされることだ」とミラ・ラップ-ホッパー(イェール大ロースクール)がニューヨークタイムズに語っている。「米朝関係で完全に遮断されるのは中国の想定外」という。
だがトランプが簡単に中国を部外者にしてしまう中で中国は自らが大国だとどうやって納得させられるのか。明らかに習は北朝鮮に影響力を及ぼしキムあるいは実妹あるいは別の高官を中国の首都に来させた。
確かに中国の影響力は相当ある。まず中国は北朝鮮の最大の交易相手で、2016年の貿易量の92.5%が対中国だった。
中国は北に原油の9割以上を供給していると見られ多くは物々交換の形だが、また食料供給の三分の一は中国からで北朝鮮の食糧生産が恒常的に低下する中で重要性を増している。航空燃料は全数中国が供給することもある。中国からの投資だけで対外直接投資の半分を占める。
中国の力は経済分野以外にも広がり、平壌の主要支援国となっており、とくに国連安全保障理事会でその傾向が強い。
もう一つ手段がある。北朝鮮首脳部にとって米国、韓国その他から政権を安泰に維持できるのは中国の存在あってのためだ。
北京には金正恩の考える中核問題を変えることはできないし、だれにもできないのだが、中国にはその気になれば北朝鮮に兵器開発に固執する態度を変えさせることが可能であり、キムが政権内部で人望がないことも明らかだ。
だが原油供給を遮断したり国境を封鎖したり北への投資をすべて禁止すれば平壌のエリート層には中国が支援をしなくなったと受け止められ、中国といえども北に言うことを聞かせるのに数か月もかかることになった。
今こそ中国が影響力を行使すべき時なのだ。「習近平は文やトランプに先に金正恩と会談させたくないのだ」とデイヴィッド・マックスウェル(在韓米軍経験が長い韓国問題専門家)がNational Interstに語っている。「またもちろんキムが習に喉頭の礼を示し習が朝鮮半島の見ならず地域大で影響力を行使できるようにする意味がある」
無論キムには呼ばれる理由がある。コリンズは「金正恩は背後で虚をかかれないようにしたいのだろう。北東アジアでは同盟国がないと安心していられない」と述べた。
いずれにせよキムあるいは別の人物が特別列車で北京入りしたのは中国の北朝鮮への支配力は消えたとの主張に対して決定的な意味がある。金正恩は家臣の役割を演じている。
この見解だと中国には非常に都合がよい。北京には米大統領に習がその縄張りで軽視されているとの観を払拭する必要がある。■
Gordon G. Chang is the author of Nuclear Showdown: North Korea Takes On the World. Follow him on Twitter @GordonGChang.
Image: North Korean leader Kim Jong-un visits a factory in this undated picture provided by KCNA in Pyongyang on November 4, 2017. KCNA via Reuters

★★F/A-18ブロックIII新規生産とブロックIIからの改修でスーパーホーネットは2040年代まで活躍する。さらに「ステルス」性能も実現する見込み

とかくトランプ大統領の破天荒な発言が専門家から笑いを買っていますが、今回ばかりは正しかったという事例です。スーパーホーネットがステルス性能を一部にせよ手に入れると米海軍の航空戦力は大きく変貌しますね。また一時はいつ閉鎖になってもおかしくない状況だったF/A-18生産ラインがここにきて活況差を取り戻しそうです。あれだけ予算不足で何もできなかった米海軍が新規発注をし、一部外国発注もあるからでしょう。こうしてみると大統領の交代の影響は大きいですねおなじみAviation Weekの記事です。


Aviation Week & Space Technology

Boeing’s Next-Gen Super Hornet Will Be (Sort Of) Stealthy ボーイングの次世代スーパーホーネットは(ある程度まで)ステルスになる

米海軍はブロックIII仕様スーパーホーネットの調達を2019年度開始し24機を購入する。Credit: Boeing


Mar 22, 2018Lara Seligman | Aviation Week & Space Technology


ナルド・トランプ大統領がツイッターでボーイングのセントルイス工場視察に触れ新型F/A-18スーパーホーネットに「最新かつ最強のステルス性能が付き、その他誰も知らない装備を搭載する」と書き冷笑を買った。
だがトランプは実は正しかった。ボーイングは「ブロックIII」仕様スーパーホーネットへの移行をいよいよはじめる。次世代版F/A-18はコンピュータ処理能力を増強し、飛行距離を伸ばし、そう、ステルスを強化する。
こうした変更でスーパーホーネットはロッキード・マーティンF-35C空母運用型と肩を並べて飛ぶことになり、空母航空戦力の中心として2040年代以降まで飛ぶことになるとダン・ジリアン(ボーイングでF/A-18とEA-18を統括)は述べる。
トランプは3月14日にセントルイス工場を視察し新型改修型戦闘機を目にした。セントルイスはF/A-18の生産を1978年から続けている。
ジリアンは改良型低視認性(LO)塗装がブロックIII仕様スーパーホーネットの五大特徴の一つと説明。「ステルス機」というものの、詳細は語らない。ただし機体の場所により異なる塗料を施し機体の残存性を高めるという。
F/A-18はもともとステルス設計でなくロッキード・マーティンのF-35やF-22に見られる基本設計の特徴を欠く。だがステルス性を実現する方法はほかにもある。たとえばLO塗装やレーダー波吸収材を機体の特定場所に施すことだ。簡単な改修で「大きな成果が低コストで手に入る」とジリアンは説明。
米海軍が導入する性能強化型はボーイングの当初提案「高性能スーパーホーネット」(2013年)と異なる。ボーイングはステルスを前面に立てていた。ボーイング技術陣は同機のレーダー断面積を大幅に減らせば性能上で妥協を迫られることを突き止めた。例えばペイロードの削減だ。これをジリアンが2017年にAviation Weekに語っていた。
このためボーイングは2013年提案の一部内容を断念した。ウェポンポッドへの兵装搭載とか機内赤外線捜索追尾(IRST)センサーでこれらは最新版には見られない。
米海軍は2019年度からブロックIIIスーパーホーネット調達を開始し24機を購入する。初号機が生産ラインを離れるのは2020年の予定だ。海軍には今後5年間で110機の追加調達案があり、昨年の予算要求内容から大きな増加となる。一方で海軍は旧型ホーネットの退役を加速化するとし、最後の旧型機飛行隊はスーパーホーネットへの機種転換を2018年に完了する。F/A-18A-D型の最後の機体は2030年度までに飛行機の墓場に移動する。
ボーイングはブロックIII飛行隊を空母飛行隊ごとにひとつずつ納入していく態勢でこれを2024年に完了し、2027年には各空母でブロックIII飛行隊が二個になるとジリアンは説明。
このためボーイングは新型スーパーホーネットの生産の傍ら旧型ブロックII機材をブロックIII仕様に改修していく。ボーイングはブロックII機材の耐用年数延長改修(SLM)を4月からセントルイスで開始する。
SLMはまず飛行時間を現行の6千から9千にひきあげる。その後は機内配線をまとめたり、腐食部分を手直ししたり、ダクトを交換する。またボーイングは海軍とスーパーホーネットの環境システムを「リセット」する。これは低酸素症に似た現象が急増したことを受けてのこと。
SLMでブロックIIからブロックIIIへの完全移行は2020年代初頭に完了するとジリアンは説明。つまりLO改良、高性能コックピットシステム導入で大型画面でユーザーインターフェイスを引き上げ、コンピューターは処理能力を拡張する分散標的プロセッサーネットワーク、戦術標的ネットワーク技術に対応するデータパイプの大型化とコンフォーマル燃料タンク(CFT)がある。
このうちCFTで航続距離は100-120カイリ伸び、現在のスーパーホーネットが主翼下に吊り下げる燃料タンクは廃止する。これで重量‣抗力が減りペイロードが増える。
ボーイングは2月に219.6百万ドルでCFTの設計・開発・テスト・統合契約を受注している。その結果は新造機以外にブロックIIからブロックIIIへ改修される機体にも応用されるとジリアンは説明。
ブロックIII改修でついにIRSTセンサーが搭載されればスーパーホーネットは遠距離から敵脅威の探知追尾能力を手に入れることになる。

ジリアンはSLMの所要工期を一機あたり当初18か月と見ているが、ゆくゆく12か月に短縮したいとする。■

アメリカの技術優位性に陰り、アメリカに有利な戦争の実施はもう不可能になるのか

これまでもソ連技術が脅威となっても結局配備できないままだった事例はいっぱいあります。また中ロの脅威を強調して予算を確保する戦術がよくありましたが、今回は予算は十分ついており、本当に技術格差が埋まりつつあるとしたら大変なことです。もともと米国の戦略は攻撃重視なので本土防衛など案外軽視してきたのですが、民生技術の応用も含め抜本的に技術開発のモデルを変えないと追いつけなくなってしまいます。Breaking Defense記事の紹介です。




「死のハイウェイ」で放棄されたイラク軍戦車(1991年)By PAUL MCLEARYon March 21, 2018 at 6:12 PM

メリカ式の戦争では圧倒的な産業力、火力で海と空を支配して戦ってきたがどうやら終焉を迎えそうだ。ペンタゴンのトップがそう述べている。
二十年にわたり「中国とロシアがこのモデルの実効性を下げている」とエルドリッジ・コルビーElbridge Colby国防次官補(戦略・戦力整備)が語っている。装備近代化に巨額予算を投じ人工知能や極超音速ミサイルなど新技術を次々にアメリカより早く投入している。中ロ両国によって今後の武力衝突に臨む米国の姿勢が変わってしまった。
「もう一度原点に戻り問題の本質、問題の定義を考えれば中国やロシアの勝利が実現するのを防げるはずだ」とコルビーは指向性エナジー年次総会での講演で述べた。総会はブーズアレンハミルトンと戦略予算評価センターの共催だ。その答えは技術、訓練、指導原理の組み合わせにある。「だが課題がある。あちら側はこちらの勝利の方程式をまねているのではないか。であればこちらはあちらの勝利の方程式を研究すれば抑止効果が生まれるはずだ」
ペンタゴンで国家防衛戦略構想をまとめた一人としてコルビーはワシントンが「長期的戦略競合」をモスクワと北京を相手に始めたとの認識を持つ。コルビーはこの説明で会場の各種防衛産業関係者の課題を説明した。
従来のようにゆっくりしたテストと評価段階を経て、新技術の導入に何年もかける、あるいは何十年もかけるやりかたは「変えていかねばならない」と言う。中国やロシアの国防関係者はそんな悠長な方法をとらず、米側技術企業はペンタゴンとの仕事の進め方を冷笑してきた。あまりにも慎重で時間ばかりかかる日程のためシリコンバレーのハイテク企業には忌み嫌われている。F-35やフォード級空母の配備に十数年もかけるのは長期的に安定感を生むだろうが、「太平洋やヨーロッパで敗北すれば戦力があると威張っても意味がない」とコルビーは警告する。
国防産業界へコルビーは遠慮なく言い放った。「素晴らしい技術でも実戦配備につながらないものには関心がない。欲しいのは壁を破り創造性豊かな技術への投資で実際に運用可能なものだ」
競争相手を意識したペンタゴンを裏付けるように火曜日には台湾が台湾海峡に入ってきた中国の空母遼寧を追尾すべく艦船航空機を急派している。
太平洋軍司令官ハリー・ハリス大将が上院委員会で任期を廃したことで習近平主席が無期限に権力の座につけることになったため南シナ海はじめ各所で中国がこれまで以上に挑発的行動をとると述べた翌週にこの事態となった。
ハリスはトランプが次期オーストラリア大使に内定し、中国は域内覇権とともに米国を域内から追い出すことを狙っていると発言。中国は極超音速、第五世代戦闘機に巨額の投資をしつつ人工島を武装し南シナ海での各国の主張と衝突しながらそのペースを速めている。
ヨーロッパではロシア大統領ウラジミール・プーチンが「無敵の」新型巡航ミサイルの開発に成功したと発表し、極超音速ミサイルも含まれ、米防空網を突破できるとする。
上院軍事員会の公聴会が3月20日にあったがジェイムズ・インホウフェ上院議員Sen. James Inhofe(次期委員長に有望視される)から戦略軍団司令官ジョン・ホイテン大将 Gen. John Hytenに質問が出た。「極高音速ミサイルが実際に発射されたら防衛手段はあるのか」
ホイテン大将はいかにも心配な表情でわからないと述べた。「非常に困難で、当方の防衛は抑止力の一部です」「そのような兵器の配備を阻止する体制担っておらず、こちらの対応としては核の三本柱による抑止力の近代化で対応するしかないでしょう」
ペンタゴンはいわゆる「低出力」核兵器の開発を求めており、潜水艦から発射しながらロシアが核兵器で報復する可能性を低くするとする。

コルビー次官補の懸念をうけて民主党下院議員ティム・ライアンTim Ryanも会場で述べている。「敵側がいまなにをしているかの極秘情報を詳しく説明受ければ各種技術の実用化に予算をまわす必要はないと断言できる人はいないでしょう」■