2019年5月2日木曜日

4月30日、F-35Aが初の攻撃ミッションをイラクで実施



USAF F-35As Flew First-Ever Combat Strikes With Radar Reflectors And Sidewinders Fitted 米空軍F-35Aが初の実戦攻撃任務を実施 レーダー反射板とサイドワインダーミサイルを外部装着

The F-35As flew in a less than stealthy configuration as the aircraft's low observable capabilities weren't needed—at least not yet.

サイドワインダー等を搭載しステルス性を犠牲にしたのは必要がない状況だったため


BY TYLER ROGOWAYAPRIL 30, 2019


KC-10 supports F-35A's first air interdiction
U.S. AIR FORCES CENTRAL COMMAND—PUBLIC DOMAIN


空軍所属のF-35Aが初の兵装投下をした。UAEのアルダフラ航空基地を離陸したF-35Aの2機編隊は2019年4月30日イラク上空に到達し、GPS誘導方式の共用直接攻撃弾JDAMをISISの武器貯蔵地下トンネルがあるハムリン山地に投下した。この施設は連合軍に危険な存在でISISの再生の鍵になると見られていた。
388戦闘航空団、418戦闘航空団の所属機が今回投入されユタのヒルAFBから2019年4月15日に中東に移動していた。中東へのF-35A配備は今回が初めて。イスラエル、USMCがともに中東でF-35I, F-35Bをそれぞれ戦闘投入しているが、今回は9月以来初の戦闘投入になった。
第4戦闘飛行隊司令ヨセフ・モリス中佐がUSAF公式発表を以下伝えている
「相当の量の情報を収集、融合、共有し各機の残存性と戦力を高めている。...F-35Aは各所にセンサーを搭載しており、高性能レーダーがあり、戦闘地点の情報をリアルタイムで全て収集し融合できる。さらに集めた情報を僚機のF-35のみならず第4世代機と共有できる。...低視認技術がここに加わり統合軍部隊を補完し、AOR緊急事態の支援を常に行える」
USAF
KC-10から今回の戦闘任務で空中給油を受ける。AIM-9Xがパイロンにつき、レーダー反射板が垂直尾翼前に見える。


以上は正しいとは思うが今回の生来の決意作戦での戦闘ミッションではF-35は低視認(ステルス)性能を使用していない。今回の機体にもAIM-9X空対空ミサイルを主翼パイロンに装着しており、機体上部と下部にレーダー波反射装置をつけていた。この状態だとレーダー上で大きな姿をさらけ出すがイラクのような戦場では低視認性に大きな意味はないのでこれでいいのだ。
F-35Aを非ステルス機で運用すればAIM-9Xの外部装着も当然だろう。米軍戦術機が自機防御のためサイドワインダーを搭載するのは普通のことでアフガニスタンのように危険度が低くても搭載している。F-35はAIM-120AMRRAM二発を機内兵装庫に搭載できるが、視程内空戦ではAMRAAMはAIM-9Xの性能にかなわない。
非ステルス仕様でF-35を飛ばしたわけだがシリア上空への展開やこれまでF-22が果たしてきた「クォーターバック」任務をこなせば状況は変わるはずだ。完全低視認性の状態が必要になるのはロシアのような大国への投入時で最高性能の防空電子装備が配備されている空域への突入時で、相手方も同機の低視認性能を探ろうと躍起になるはずだ。ただし同じロシアでも東側となればここまで深刻な状態ではなくなる。
USAF
今回の中東ミッションでKC-10と並行して飛ぶF-35A編隊。AIM-9Xが主翼翼端パイロンについていることと機体下部のレーダー反射装置が視認できる

事実、対戦闘員攻撃ミッションでのF-35Aの威力はF-16より劣る。電子光学式標的捕捉装置EOTSを機首に装着しているがすでに15年前の技術であり、最新のスナイパーやライテニング照準ポッドをつけた第4世代機より見劣りがする。F-35のEOTSは実施未定のブロックIV改修で性能向上される予定で、ソフトウェアと一部部品を交換する。
USAF


ではF-35に高性能版のスナイパーポッド搭載が当面の近接航空支援任務や戦闘員掃討作戦で意味があるのではないか。今回の初の実戦任務でF-35Aは事前設定標的をJDAMで攻撃したが、これならEOTSを使うまでもない。今後も投入が続けば同機が航空支援に使えるかがわかるが、非ステルス仕様で飛ぶのなら第4世代機で威力のある照準ポッドを使うほうが理にかなっている。
つまりF-35を投入するミッションはステルス性能が不要な場合が大部分だということだ。そうなると共用打撃戦闘機の海外展開では外部兵装搭載の形で飛ぶ事が普通になりそうだ。

とはいえ、今回の任務達成はUSAFやF-35事業には大きな出来事になり、運に恵まれればF-35の中東での活躍ぶりを眼にすることも増えそうだ。ただしそのためには同機が現地の戦況に適合しつつミッションテンポが上向きになる必要がある。■

2019年5月1日水曜日

中国軍事力の本当の実力は?過度の評価は無用、張子の虎だ

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Not So Scary: This Is Why China's Military Is a Paper Tiger 恐れるにたらず、中国軍事力は張子の虎だ

China is a large but fragile power ruled by a vulnerable party that can’t afford any economic or foreign policy disasters, let alone war with America. 中国は広大だが実態は無敵とはいえない政党の支配下にある脆弱な国家だ。経済や外交で袋小路になる余裕はない。ましては米国との戦争の余裕はない。
October 15, 2015  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaPLAChinese MilitaryU.S.-China WarDefense


国の軍事脅威の高まりと米国の軍事力不足を強調する傾向が高まっている。この論調には1980年代中頃の旧ソ連が米国を軍事面で凌駕下との主張を思い起こさせるものがある。現在の中国がUSSRのように崩壊への最終段階にあるというつもりはないが、人民解放軍(PLA)には脆さがあり軍事組織としての職業意識は限りなく薄く、近代戦の経験が欠如し自慢する軍事装備も実戦の洗礼を受けていないのは事実だ
中国では経済成長の鈍化と社会経済構造の悪化が明らかで大国とはいえ脆弱な構造であり、統治する党も無敵ではなく経済あるいは外交面で難局が発生すればたちまち危機的状況に陥るのは間違いない。まして米国と戦争を試みる余裕はない。中国経済は国際交易とグローバルサプライチェーンがなければ成り立たない。中国にとって開戦の選択は経済社会面の破滅となろう。
さらに中国に役に立つ有力な盟友国は皆無に近く、戦略的に孤立しており、状況はむしろ悪化しつつある。
また近代戦の経験が欠如している。最後の交戦は1979年にヴィエトナムに「教訓」を教えてやろうとしたものの失敗した事例だ。インド、USSRとそれぞれ1960年代に国境をめぐり緊張し、1950年代には朝鮮戦争に派兵したのが近代戦としてかろうじて数えられる程度だ。
PLA戦力は共産党の権力に依存しており、党に忠誠を誓っても国家防衛は誓わない。PLA将校は陳腐な共産主義教義学習に相当の時間を費やし、軍事教練は二の次とする。そこに軍上層部の汚職が加わり昇進のため幹部の好意を買おうとする。
ここ数十年でPLAが驚くべき技術進歩を遂げたのは事実である。だが習近平主席が中国を海洋大国にすると述べているが、地理条件は逆に働いている。大陸国家の強国が海軍力でも強国になった実例はあっただろうか。USSR、フランス、ドイツいずれもあてはまらない。
オーストラリアでは中国の接近阻止領域拒否能力について議論をくりかえしている。中国への接近路が危険になっているのは事実だろう。とくに本国近辺で中国が動員可能な軍事力を見ればこれは正しい。だが米国はがこのままなにもせずに正視しているだろうか。また極超音速機、レイルガン、ステルス、無人機、サイバーアタックといった技術分野でなにも進展がないままでありえるだろうか。
重要な軍事技術で中国はいまだに米国から20年あまり遅れている。中国の対戦技術は限定的であり、保有する潜水艦多数は騒音がひどい。中国には推進系の静粛技術が不足しており、米ロ両国の原子力潜水艦とは隔たりがある。最新の「晋」級弾道ミサイル潜水艦は1970年代のソ連デルタIII級SSBN並みに騒々しい。今後登場する95型原子力潜水艦でさえソ連の1980年代後半のアキュラ型よりうるさいと米側が把握している。
中国の防衛体制では技術面で強力な敵に有効対応できない。さらに中国はロシア製装備のリバースエンジニアリングに大きく依存し、高性能ジェットエンジンではロシア頼みが明らかでここ30年かけても国産化に成功していない。
弾道ミサイル技術では確かに進展があるもののDF-21は未だかつて一度も移動水上目標に命中させていない。また目標捕捉には衛星や水平線超え長距離レーダーに依存したままだ。こうした装備はソフト目標と呼ばれ米軍の先制攻撃の前に脆弱だ。
ペンタゴンによれば中国に正確な標的情報を収集する能力、発射部隊に伝え遠隔地の海上を移動中の目標を破壊する能力があるのか不明だ。
ICBMではDF-5Bが複数独立標的設定再突入体(MIRVs)を搭載するがこれも革新的な技術と言い難い。1974年時点で国家情報解析部門の長として筆者はCIAから説明を受けソ連のSS-18ICBMが搭載するMIRVについて知った。40年前であれば画期的な技術だった。
中国の軍関係者や学識者で核戦闘能力を自慢する向きがある。二次攻撃能力は確保しているとはいえ全面核戦争となれば大国としては一番脆弱だ。人口密度とともに東側沿岸への集中が理由だ。人口14億といっても大規模核攻撃では生存はできない。このため米国にとって大規模核攻撃能力の維持の根拠となる。
あわせて中国に登場する軍事装備については米軍装備並びに歴史的な背景と分別ある形で比較する必要がある。米国がイノベーションで世界最先端を行く国であり、中国の軍事力整備を黙って見ているわけでないこと、あわせて中国の軍事装備の多くが深刻な能力不足であることを忘れてはならない。■
This piece first appeared in ASPI’s The Strategist here.
Image: Creative Commons.
米国にはいつも敵国が必要なのですね。特に国防分野ではどうしても「仮想敵国」の軍事力を実際以上に大きくし、警戒心から予算を確保してきた歴史があります。ただし、今回は初めて米国自身が国防予算の増額ができなくなりつつある事態となっており、その中で世界常識に反する国防予算増を毎年続ける中国(その経済の実態そのものが大いに疑わしいのですが)の不気味さが一層拡大している背景があります。本当に中国の軍事装備は張子の虎なんでしょうか。こればかりはやってみないとわかりません。

2019年4月30日火曜日

F-35A機体墜落地点が判明し回収作業が始まった、と発言してしまったPACAF司令官

コメントは下にあります。

Crashed F-35A fighter jet located, US general says 墜落したF-35Aの場所を特定できたと米将官が発言

Wreckage risked exposing military secrets if retrieved by China or Russia 機体残骸からロシアや中国に機密漏洩のリスクがある
ALEX FANG, Nikkei staff writer
APRIL 30, 2019 08:17 JST  UPDATED ON APRIL 30, 2019 14:33 JST




NEW YORK -米空軍高官が行方不明だったF-35Aが日本沖合で発見され、機体回収作業が始まっていると報道陣に29日伝えた。
「機体の場所を突き止めた。現在は回収に努力を集中している」と太平洋空軍司令官チャールズ・ブラウン大将がニューヨークで記者団に語った。
だが同日遅くNikkei Asian Reviewがジョン・ハッチェンソン大佐(在日米軍報道部長)に照会したところ大佐は「機体の場所は海底にあり把握できていない。米軍は航空自衛隊と墜落地点を特定しようとしているところだ」と答えた。.
日本で完成した同機は4月9日消息をたち航空自衛隊と米軍が機体捜索中だが、軍事機密の塊のため中国なりロシアが回収すれば大変だ。
中国、ロシアはF-35に応用してある技術の入手に躍起となっている。機体の残骸が手に渡ればレーダー波吸収材からステルス性能が露呈する。
日本側による機体回収を米国は支援中とブラウン大将は述べた。■

コメント 太平洋空軍司令官の錯誤なのでしょうか。フライングなのでしょうか。司令官の大将がとんでも発言をするとは考えにくいので、実は機体はすでに発見されているがメディアに情報規制しているのか、隠す必要があるのか、あるいは何らかのトラブルが現地で発生しているのか、意外に今回の墜落事故は複座な様相を示しているようです。日本メディアはこの発言をどこもとりあげていないようです。

米海軍は日本への前方配備部隊に揚陸艦1隻追加派遣

Navy Adding Fourth Amphib to Japan-Based Fleet for Operational Flexibility; 1 DDG Leaving Japan 米海軍が揚陸艦1隻を日本へ追加配備。DDG1隻を本国呼び戻し。

April 29, 2019 1:07 PM

揚陸輸送ドック艦USSニューオーリンズ(LPD-18)のウェルデッキから揚陸強襲艇が発進している。ドーンブリッツ2015演習 (DB-15)にて。US Navy photo.


海軍は前方配備艦として揚陸艦四隻目を日本に派遣する一方、これまでで最長の前方配備となっていた駆逐艦を本国へ呼び戻す。

日本にはサンアントニオ級揚陸上陸ドック型艦二隻が配備されているが、ここにUSSニューオーリンズ(LPD-18)が加わる。USNI Newsは複数の海軍筋からこの配備は在日前方配備海軍部隊FDNF-Jに柔軟度を高めるのが狙いで、訓練とともに同盟国との協調運用を太平洋全域で強めるのも目指しつつ、域内の自然災害にも備える。

海軍はニューオーリンズの追加派遣でUSSグリーンベイ(LPD-20)、USSアシュランド (LSD-48)の修理日程を確保しつつ揚陸即応部隊ARGの即応体制を維持できる。

揚陸艦四隻目の追加で作戦配備にも別の選択肢が生まれる。特に人道支援や災害救助の場面だ。2018年は8月から11月にかけアシュランドは北マリアナへ三回出動し台風通過後の住宅再建などを支援した。FDNF揚陸部隊では重要なミッションとはいえ、ARGの三分の一が共同訓練からはずされてしまった。四隻目の揚陸艦が加わり、ARG専属ではない形になれば司令官には災害救援でも柔軟対応が可能となる。

.同時に強襲揚陸艦USSワスプ (LHD-1) はノーフォーク(ヴァージニア)へ回航され修理に入りかわりにUSSアメリカ (LHA-6)がやってくる。アメリカは航空作戦に最適化されておりかわりにウェルデッキがないが、航空機格納庫が拡大されており、F-35B共用打撃戦闘機やMV-22Bオスプレイの搭載数はワスプをしのぐ。



揚陸輸送ドック艦USSニューオーリンズ(LPD 18)は2016年5月10日アデン湾を航行した。US Navy photo.



太平洋艦隊報道官レイチェル・マクマー中尉はUSNI Newsに対して「USSアメリカ、USSニューオーリンズは前方配備でインド太平洋地区の行動計画の一部を担う。これは米国の安全保障上のみならず国益の防御に役立ち域内の同盟国友邦国へは我が国の変わらぬ平和安定繁栄の堅持の姿勢を太平洋内のすべての国へ海上交通路アクセスの自由を守る象徴だ。USSアメリカは近代化改修を受けたところでF-35B共用打撃戦闘機運用が可能となり、基幹システムも更新されている」と発表。

駆逐艦ではUSSステサム (DDG-63)が日本を去り近代化改修に向かう。同艦は2005年から日本に配備されてきた。

2017年に相次いで発生したUSSフィッツジェラルド (DDG-62)、USSジョン・S・マケイン(DDG-56) の衝突事故を受けて米海軍と議会の間で海外基地に本拠を置く配備基幹の長さについて議論が起こった。下院軍事委員会がまず配備期間を7年から最長10年とする提案を示した。これに対し当時の米艦隊総司令官フィル・デイヴィソン海軍大将(現INDOPACOM司令官)は艦艇は本国修理を受けられるようローテーションしていくが厳格な期限に縛られたくない、艦隊への影響が懸念されるためと答えた。駆逐艦を本国へ呼び戻すと別の駆逐艦を選抜し海外へ送ることになるため修理日程でも調整が必要だ。

ステサムは艦齢24年目でうち14年を日本で過ごしたが予想外の酷使ぶりで、サンディエゴやノーフォークが本拠の場合と異なる。「同艦は長期ドック入りし最新の戦闘装備等を装備する再整備で弾道ミサイル防衛や水上戦、対潜戦能力も向上する」(マクマー中尉)

アーレイ・バーク級誘導ミサイル駆逐艦USSステサム(DDG 63) 2017年11月12日、西太平洋にて。 US Navy photo.



ステサムが日本を去る影響は測りにくい。FDNF-J隷下の駆逐艦ではUSSミリウス(DDG-69)が2018年5月に到着し1隻増えたが、フィッツジェラルド、マケインの移動で二隻減り修理作業はまだ続いている。マケインは横須賀で修理中で乾ドックを出ており、仕上げ作業中なので今年末までには復帰する。フィッツジェラルドは今月にミシシッピのインガルス造船で乾ドックを出たところだが修理工事の完工時期、艦隊復帰時期は不明だ。

フィッツジェラルド、マケイン両艦が修理を受ける間、各駆逐艦は空母打撃群に随行あるいは単独行動に投入され活躍している。

マクマー中尉からは「西太平洋での戦力低下にならないようその他艦艇の運用を効率よく進めていく

「米海軍の長期計画では常に各艦、各装備の効率かつ効果的な運用を目指している

「母港変更の決定については適宜発表していく」とした。■

米海軍に無人給油機が実現すると航空戦力にどんな変化が生まれるのか

New Navy Carrier-Launched Drone to Fly This Year - Change Attack Strategy 米海軍の新型空母運用無人機の初飛行が今年中に実現しそう-登場で海軍の航空攻撃戦略はどう変わるのか


海軍初の空母搭載無人機が高度な地上テスト中で、初飛行は早ければ今年中になりそうだ。導入で海軍航空戦力に新戦術が実現し、機材の攻撃距離が大幅に伸びる効果を生む。

無人給油機の登場でF-35CおよびF/A-18各型の攻撃半径はほぼ倍増し、空母戦略、技術に展望が開く。ボーイング製作のMQ-25試作機は現在各種テスト中で同社によれば飛行テスト実施も早期実施になる。海軍は昨年ボーイングを選定し次の開発段階に進めた。

テスト準備段階は業界の呼ぶ技術製造開発段階で地上テストから始まる。この段階から空母運用想定で難易度が上がる。

「政府と業界でチームを組みテスト日程をこなし2021年までの初飛行、初期運用能力獲得の2024年という目標を目指す」とMQ-25事業主幹のチャド・リード大佐がWarrior Mavenに伝えてきた。初飛行を2021年とするが海軍は今年中に実現できると述べている。

リード大佐はテスト段階を最長6年とするが、迅速開発方式で短縮化されるとSeapower Magazineが伝えたのは「デジタルモデリング」を多用した調達方式になったためだ。「機体に関すること全てをデジタル環境で再現しています」とブライアン・コリー少将海軍航空システムズ本部航空攻撃装備担当が同誌で述べていた。
Boeing image MQ-25 Stingray


無人機の空母運用では複雑な条件克服が課題だった。風速、艦の速力、海面状況、天候条件で無人機着艦は影響を受ける。

有人機の場合は「フレネルレンズ」が伝える照明ライトを見てパイロットが即座に調整し機体を「グライドスロープ」に乗せ安全に着艦できる。この作業は遠隔操作では困難でほぼ自律運用型の無人機でも同様だ。空母着艦とはヒトの解決能力と認知能力があって可能とされてきた。

とはいえ給油機で空母搭載機の攻撃半径が大幅に伸び、中国の「空母キラー」対艦ミサイルDF-21DやDF-26の射程範囲900マイルの外で発艦できるるようになる。

一例として現状の空母搭載戦闘機の有効行動半径は300から500カイリだが、これが二倍になれば兵力投射の選択肢も広がる。これで空母は敵沿岸地帯から離れた地点でも航空機発艦が可能となり、敵地内部への侵攻攻撃能力も実現する。

次世代の空母用「多重」防御手段が開発中で、電子戦能力、レーザー、長距離センサーは空母を困難な状況でも有効運用できる。同時にここ数年にわたるショック試験の結果からミサイルが艦の近辺に命中しただけでも艦に重大な影響が生まれる事が判明した。そのためDF-21Dのような対艦ミサイルで艦が損傷を受ける事態は直撃でなくても覚悟する必要がある。そこで敵ミサイルの誘導装置を妨害することで進路を外したり、空母近辺で迎撃してもはやり相当のリスクが残る。

2007年実施のショック試験結果を非営利団体MITREコーポレーションが解析したが「非接触型爆発で高圧衝撃波が艦に向かう」のが最大の脅威だと判明した。

MITRE報告書が興味をひくのはショック試験の発想は第二次大戦時にあるとの指摘だ。

「第二次大戦中の『ニアミス』爆発で艦体や上部構造物に損傷は生まれないもののショックや振動で重要装備が使えなくなる被害が生まれることがわかった」とMITREは指摘している。

MITRE分析ではさらに近接地点での爆発で隔壁が共鳴し艦が上方へ動くことがわかった。「局部的に大きく変形する」

こうした中で空母運用給油機の投入が今後の攻撃方法の選択肢に不可欠な存在となる。空母防御能力があらゆる段階で実現したとしても給油機により空母搭載機材の攻撃対象が全く新しくなるからだ。■

-- Kris Osborn is a Senior Fellow at The Lexington Institute --
Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army - Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has a Masters in Comparative Literature from Columbia University.

2019年4月29日月曜日

アイオワ級の航空戦艦化は1980年代冷戦時の構想....実現の可能性は閉ざされていない

The Ultimate Warship: A Hybrid Aircraft Carrier-Battleship? 

空母+戦艦のハイブリッドは究極の軍艦になったのか



1980年代初めのレーガン政権は国防事業への予算重点配分をねらっていた。選挙公約に1970年代の「空洞化」を意識し軍再建があった。
その一環で第二次大戦時のアイオワ級戦艦各艦の復帰があり、1982年に工事がアイオワ、ミズーリ、ニュージャージー、ウィスコンシンを対象に主砲16インチ砲、5インチ砲が稼働可能となった。さらにハープーン対艦ミサイル16発、トマホーク対地攻撃巡航ミサイル32発のほかファランクス局地兵装システム(CIWS)4門を新たに搭載した。
ただし四隻が冷戦終結後に退役したのは各艦2千名もの人員が必要なためだった。国防予算縮小が背景にあった。現在は四隻とも記念艦あるいは博物館となっている。だが早期退役でさらに大胆な改修案が実現できなくなった。
1980年11月号の米海軍協会紀要に米海軍大佐(退役)チャールズ・マイヤースが寄稿したのは戦艦艦尾部分の大幅改修で第三砲塔を撤去するという提案だった。
第三砲塔部分はV字形状の飛行甲板とし、V字の底部が艦尾に位置し、Vの左右は前方に伸び航空機発進を実現するとした。昇降機2つでボーイングAV-8ハリヤーII12機を格納庫から運用するとした。
5インチ砲は撤去し、155ミリ榴弾砲の搭載で火力補強をねらった。V字飛行甲板の間のスペースには戦術ミサイルサイロを配備し、320サイロまで搭載可能としトマホーク対地攻撃ミサイル、ASROC対潜ロケットやスタンダード対空ミサイルを混合配備できるとした。これだけの本数はオハイオ級誘導ミサイル潜水艦のトマホーク154本を有に凌ぐ規模だ。
マイヤースはこれを「制海強襲艦」と名付け洋上で敵部隊を迎え撃つ構想で特に当時建造中のソ連海軍キーロフ級原子力巡洋戦艦を想定した。対戦シナリオでは米海軍は重装備キーロフ級が米空母や欧州へ急派する増援部隊輸送を脅かすのを阻止するのが重点だった。
制海強襲艦(IAS)はこのキーロフ級に16インチ砲とハープーンミサイルで立ち向かうはずだった。ハリヤー部隊も加わっただろう。戦力単位として経済的な存在となり、空母を本来任務に集中させる効果も生まれていたはずだ。
IASには別ミッションもあった。海兵隊上陸作戦の支援だ。16インチ砲は6門残っており、155ミリ榴弾砲も加え揚陸作戦前に上陸地点に砲撃を加える。海軍・海兵隊はイオージマ級ヘリコプター揚陸艦、タラワ級強襲揚陸艦に同艦を加え航空機動力で揚陸作戦を支援しただろう。
この構想でIASは航空強襲作戦の拠点となるはずだった。飛行甲板はヘリコプター運用にも投入できた。格納庫は海兵500名を収容できたはずだ。またハリヤーをヘリコプター部隊の援護にあてるほか近接航空支援任務にも当てて海兵隊本隊の上陸まで支えたはずだ。
話題となったもののIAS構想の実現は二回も延期された。国防総省と海軍は戦艦の現役復帰をとにかく早く実現したいとし、改修は最低限ですますこととしたのだ。
飛行甲板とミサイルサイロの搭載は実現しなかった。1980年後半に冷戦終結で予算縮小となり、1992年までに全艦は現役を解かれた。
実現しても制海強襲艦構想では1980年代の米軍活動では運用が難しかっただろう。ペルシア湾、グレナダ、レバノン、中米での各作戦ではIASは「必須」の装備とはいえなかったはずだ。揚陸艦一隻あるいは戦艦一隻で充分な規模だったが双方の中をとった存在では中途半端観が強かったはずだ。
IASはあくまでも大規模戦で真価を発揮する存在だった。キーロフ級を追い詰めその他重装備ソ連艦船を第三次世界大戦で撃破することで、米海兵隊のノルウェー上陸を支援し、海洋戦略の一助として空母部隊に加わりソ連の北極圏内基地を攻撃する。このシナリオではIASのミサイルサイロ320個は「必携」装備だったはずだ。16インチ主砲の斉射とトマホークで対地攻撃をソ連防空施設に与えれば空母部隊には天佑となり、ソ連上空での戦闘を実施していたはずだ。.
現在のアイオワ級戦艦は各地で係留されているが、レーザーやレイルガンといった新技術が実用化となれば再々度の現役復帰もありえない話ではない。たしかに財政状態は厳しいが可能性が全くないわけではない。アイオワ級は何度も復帰してきたが今後も続く話だ。■
Image: Wikimedia

2019年4月28日日曜日

イースター襲撃情報は事前通告されていたのに何も手を打たなかったスリランカ政府

コメントは下にあります。

Indian police uncovered the Islamic State bombing plot that killed over 250 people on Easter Sunday, but Sri Lankan authorities didn't act 250名の生命を奪ったイースターの日曜日襲撃でインドはイスラム国の計画を事前把握し通告したがスリランカ当局は行動しなかった


Emily Schmall, Associated Press 1h

  • インドがスリランカにイースター襲撃を事前警告していた
  • インドは実行集団、標的地点、実行時間、自爆犯の居場所をすべてスリランカ政府に通知していた
  • キリスト教会や豪華ホテルをねらった4月21日の襲撃で200名超が死亡
ンド警察当局が通常の通信監視中に異常な内容に気づいた。最大の惨禍となった南アジア襲撃計画の詳細内容だった。
警察はインド南部で弱体化したイスラム過激派への同調者の動向を調べていたが今まで聞いたことのない名前が出てきた。ナショナル・タウヒード・ジャマートでスリランカでIS支援を受けた戦闘員集団としてイースターの日曜日に教会、ホテルを同時襲撃し250名超の人命を奪った主犯と当局が説明している。
インド警察当局は同集団の通信傍受に成功し陰謀内容を知ったと紛争処理研究所(ニューデリー)の Ajai Sahni専務理事が述べる。
「傍受内容は極めて具体的で詳細にわたるものだった。インド当局は集団について、標的も、実行予定時間も自爆犯の居場所も把握し、内容は全部スリランカ政府に伝えた」
スリランカ政府高官は自国の情報部門に襲撃の事前情報が伝わっていたが襲撃防止に何も手を打たなかったと認めた。
国防相、国家警察相を兼任するマイトリーパーラ・シリセーナ大統領と高レベル安全関連会合から閉め出されていたラニル・ウィクラマシンハ首相は、ともに事件後に実行計画を知らされたと述べている。
「極めて詳細に伝えられていた。行動が欠けていた。実態を調査中だ」(ウィクラマシンハ首相)
インドの情報提供は4月4日に始まり、自爆攻撃の計画が「重要な教会数箇所」に対して練られ、関与する六名の氏名が一覧表にあった。
警察副総監は保安部門上席職4名と同報告を共有し、内一名は「VIP」や外国大使館の担当だったという。あわせて所轄内の重要拠点や重要人物に特別の注意を払うよう求めた。
インドの情報提供はイースター当日の爆発の寸前に届いたのが最後だったとSahniは明かした。
警告が無視された理由が大きな論争となっている。元大統領マヒンダ・ラジャパクサが構築した反乱分子鎮圧の即応体制の解体を求める声も出ている。スリランカは長年に渡る内戦に苦しんできた。
26年間も同国少数派タミル族のタミル・タイガー戦闘分子が分離独立を求め騒擾を巻き起こしていた。同国多数派は仏教徒シンハリ族でラジャパクサの兄弟が国防相として冷徹に2009年に鎮圧に成功した。
今回の惨劇のもとはスリランカの治安維持体制の弱体化と指摘するのは国防担当相ルワン・ウィジェワルデネだ。
シリセーナは2015年の大統領選挙でラジャパクサを破り当選し、軍関係特に情報部門の調査を重視し、一般市民拉致誘拐殺害以外に、政治反対勢力やジャーナリストも内戦時に犠牲になったと指摘した。.
これ以後軍関係者に逮捕者が続出し、公判は今も続いている。
しかし4月26日、シリセーナ大統領はおそらく2020年再選を念頭に内戦後の軍情報関係者逮捕により国内治安体制が弱体化したと述べた。また国防相、警察総監の辞任を求め内閣の一新を約束した。
スリランカ治安部門がインド情報を信用しなかったのは内戦時代の疑わしい行動のためとの見方が専門家の間に根強い。
インドの調査分析部門Research and Analysis Wing (RAW)は対外情報集団で当初はタミル分離勢力を支援し、1970年代にタミル・タイガーに武器供与と訓練を提供した。ただし、1980年代以降は支援を停止した。
インドは1987年にスリランカを協定を結び平和維持軍をスリランカ南部に派遣し反乱勢力鎮圧をねらった。だがタミル住民への虐待行為が発覚し撤収を求められた。1991年にインド首相ラジブ・ガンディを暗殺したのはタミル・タイガーの自爆犯だった。
内戦最終段階ではタミル・タイガー鎮圧のスリランカ強硬策にインドが疑義をさしこんだ。政府軍の攻撃で数万名の一般市民が死亡したといわれる。行方不明者も数千名規模になった。少数派タミル族には今も当時の傷跡に苦しむものが多い。
インドの治安情報機関はスリランカから「道義的根拠」を失ったとインド対外情報機関で長官を務めたM・K・ナラヤナンは認める。「インドは当時の方針を守らず独断専行しスリランカの信頼を失った」
インドとスリランカの民俗文化面のつながりは数千年に及ぶ。民話ではスリランカ多数のシンハリ族はインドを放逐された王族の子孫といわれる。
一方、少数派タミル族は18-19世紀の英植民地時代に茶・ゴム農園労働で移住させられたものの子孫だ。
インドは周辺国に情報提供することで影響力を維持しているとナラヤナンは認める。
インドとスリランカは23キロ隔てらているだけで、インドから見ればスリランカは防衛上は中国の進出を食い止める防壁の位置づけだ。イースター襲撃事件の直後にインドはこの狭いポーク海峡に海軍、沿岸警備隊の艦艇を展開した。■

インドへのうらみつらみや過去のしがらみでバイアスがあったのかもしれませんが、情報がありながらなにも手を打たなかったのではスリランカ政治体制の責任は免れられませんね。同国の不安定化、弱体化につながる一歩になるかも知れません。実はそれが陰謀の狙いだったのかも知れません。しかし、日本でも来年のオリンピック等を睨んで警戒の動きがあるようですが、なんと言ってもオーム事件除けばテロ案件に巻き込まれていない国ですから初動が遅れると大変です。ましてや外国から入った情報をバイアスなしで受け止められるでしょうか。韓国から入ったらどうでしょうか。いろいろ考えさせられます。